説明

電子写真記録材料

【課題】高いトナー定着強度が得られ、トナーの転写性及び白紙黄変に優れた電子写真記録材料を提供する。
【解決手段】トナー受理層が少なくともカチオン性のシリカゾルを含有し、トナー受理層中のカチオン性のシリカゾルの添加比率がトナー受理層の総質量に対して50〜90%であり、トナー受理層がバインダーとしてカチオン性あるいはノニオン性のアクリル系樹脂を含有する電子写真記録材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真記録材料に関するものである。詳しくは電子写真方式、さらには湿式電子写真方式において、トナーの定着強度及び転写性に優れた電子写真記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による記録は、複写機をはじめ、端末のプリント出力、ファクシミリ、少部数印刷など様々な分野に適用されている。出力装置の進歩も著しく、印刷速度は向上し、フルカラーは言うに及ばず、トナーの改良により高精細化を達成し、色再現性も大きく向上し、文書出力から写真出力まで様々な用途に使用されるようになってきた。
【0003】
このような電子写真方式のうち、乾式電子写真方式は、複写機などに代表される方式で、画像を形成するトナーは、顔料と合成樹脂からなる固体粉末トナーを使用する。画像形成方法は、コロナ帯電によって発生させた感光体ロール上の静電画像にトナーが吸着し、さらにトナーが記録材料に転写し、転写された記録材料を定着ロールで加熱することによりトナーが定着する方式である。この方式ではトナーの微細化に限界があり、高解像度が得られ難い。また、画線部のトナー定着部分の光沢が高くなり、非画線部と光沢差が生じて、不自然な描写になる不具合がある。
【0004】
一方で、湿式電子写真方式では、液体中にトナーを分散させるため、粉体の飛散などが問題とならず、乾式電子写真方式に比べてトナーを1/10以下まで微細化できること、すなわち、画線部を形成するドットを微細にできることに加えて、色材として顔料を使用できるために耐候性の問題がないこと、画像の光沢差を生じることなく、写真出力に好適な方式である。
【0005】
湿式電子写真方式の画像形成方法は、乾式電子写真方式と同様に感光体ロール上の静電画像にトナーが吸着し、電位的な反発を利用してブランケットロールへトナーが転写することによって進行する。ブランケットロールの表面はシリコンゴムなどの界面自由エネルギーの低い素材で構成されており、トナーがブランケットロールから記録材料に転写し、さらにブランケットロールは加温されており、トナーが溶融状態となり記録材料へ定着する画像形成方法の方式である。かかる方式では、ブランケットロールから記録材料へ湿式トナーが良好に転写する能力をブランケットロール、記録材料または湿式トナーに要求され、いわゆるトナーの転写性が重要である。
【0006】
記録材料の性質により、トナー粒子が十分に記録材料に転写せず画像再現が不十分になったり、ブランケットロールから記録材料に転写されたトナーの定着強度が弱く、記録面からトナーが脱離したりする不具合が生じる場合がある。そこで、トナーを記録材料に十分に転写し、高いトナー定着強度を得るための手段として、”サファイア処理”という一般に知られている方法がある。かかる方法では、比較的に短時間で、黄色の物質が生成し、白紙黄変と呼ばれる白地が黄ばむ現象が発生し、画像の発色が変動する欠点を有している。
【0007】
写真出力では高い平滑性が要求されるため、記録材料としては基紙にレジンコートを施したり、ポリマーフィルムを基材とすることが好まれる。しかし、レジンコート紙やポリマーフィルムではトナーの定着が十分ではなくなるため、トナー受理層を設ける構成が提案されている。かかる構成としては、基紙の両面に特定のポリプロピレン樹脂層を設け、その上にトナー受理層を有する電子写真記録材料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、ポリマーフィルム上にガラス転移点が規定された樹脂と低抵抗処理剤、有機ポリマー微粒子を受理層とする電子写真記録材料が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、特許文献1または特許文献2に記載されているが如くのトナー受理層は、湿式電子写真方式のトナー定着の点において未だ不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−351121号公報
【特許文献2】特開2007−65571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
トナーの転写性に優れ且つ記録材料の白紙黄変を抑制しつつ、十分なトナー定着強度を得ることができる電子写真記録材料は未だ存在しない。
本発明の目的は、高いトナー定着強度が得られ、トナーの転写性及び白紙黄変に優れた電子写真記録材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記の目的は、支持体上にトナー受理層を設けた電子写真記録材料において、トナー受理層が少なくともカチオン性のシリカゾルを含有することによって基本的に達成される。好ましくは、トナー受理層中のカチオン性のシリカゾルの添加比率がトナー受理層の総質量に対して50〜90質量%である。また好ましくは、トナー受理層が、バインダーとしてカチオン性あるいはノニオン性のアクリル系樹脂を含有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明を実施することにより、高いトナー定着強度が得られ、トナーの転写性及び白紙黄変に優れた電子写真記録材料が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
湿式電子写真方式で用いられるトナーは、液体中にトナー粒子が分散されているトナー分散物である。本発明者が鋭意検討を行った結果、トナー受理層としてカチオン性のシリカゾルを用いることにより、高いトナー定着強度が得られ、トナーの転写性が良好となることを見いだした。従来技術として用いられてきたサファイヤ処理は、トナー定着強度を高めるためにカチオン性のエチレンイミン等の有機成分を記録材料の表面に塗布し、アニオン性のトナー分散物を定着させることを原理としている。本発明においては、カチオン性のシリカゾルを用いることにより、トナー分散物を定着させるものである。サファイヤ処理において用いられるカチオン性の有機物質の反応性が高いため、共存する物質と反応し、画像を記録後に白紙黄変、印字の変色が起こる。本発明において使用するカチオン性のシリカゾルでは反応性が低いため、かかるような不具合を生じることがない。また、シリカゾルは、数nm〜100nmの単分散粒子であることが好ましい。シリカゾルは、有機物質と異なり、トナー受理層に粒子サイズに応じた凹凸を形成して比表面積を高くして、トナーの転写性を向上させる。
【0013】
本発明のトナー受理層中のカチオン性のシリカゾルの添加比率は、トナー受理層の総質量に対して50〜90質量%であることが好ましい。かかる範囲においては、トナー定着強度及びトナーの転写性がより良好である。カチオン性のシリカゾルの添加比率が50質量%より低いとトナー定着強度が低下する場合があり、90質量%より高いとトナー受理層の塗層強度が弱くなり、印字部分の脱落が発生し易くなる場合がある。
【0014】
本発明におけるカチオン性のシリカゾルは、無水珪酸の超微粒子を水あるいは有機溶媒を分散媒として分散せしめたコロイド溶液として供給されているシリカゾルをカチオン化したものである。本発明に用いられる単分散性の高いシリカゾルは、アルコキシシランを水性溶媒中で、アンモニアなどを用いて加水分解、縮合して得られる、いわゆるゾル−ゲル法により製造することができる。カチオン性を付与するためには、アルミナ表面処理を行うのが一般的である。市販品としては、日産化学工業製のスノーテックスAKシリーズ、グレースデビソン社製のCL−Pシリーズなどを挙げることができる。
【0015】
本発明におけるトナー受理層においては、シリカゾル以外の無機顔料成分を添加することができる。例えば、沈降性、ゲル法、気相法により得られたシリカ、コロイダルアルミナ及びベーマイト、擬ベーマイトのアルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウムなどを添加することができる。
【0016】
本発明におけるトナー受理層においては、バインダーを含有することが好ましい。バインダーとしては、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、酢酸ビニル重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体等の酢酸ビニル系重合体ラテックス、塩化ビニリデン系共重合体ラテックス等あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂系等の接着剤及びポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系接着剤、ゼラチン、酸化澱粉、カチオン化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジウムハライド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルエーテル、アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体及びそれらの塩、ポリエチレンイミン等の合成ポリマーである。これらバインダーを単独あるいは併用することができる。
【0017】
本発明におけるトナー受理層のバインダーとしてはアクリル系樹脂が好ましく、カチオン性あるいはノニオン性のアクリル系樹脂を用いることがより好ましい。アクリル系樹脂はトナーとの密着性に優れ、トナー定着強度の向上に寄与する。表面電荷はカチオン性あるいはノニオン性のものが好ましく、アニオン性の場合には、トナーの定着強度が低下する場合がある。
【0018】
本発明におけるアクリル系樹脂とは、単量体としてアクリル酸及びメタクリル酸並びにこれらのエステル等の誘導体を含む重合体である。例えば、アクリル酸重合体、メタクリル酸重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−メタクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸アルキル共重合体、酢酸ビニル−メタクリル酸アルキル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸アルキル共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸アルキル共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸ジアルキルアミノアルキル−アクリルアミド共重合体、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキル共重合体等及びこれらの金属塩または変性物、アクリル酸−アクリル酸アルキル−アクリルアミド共重合体、アクリル酸−メタクリルアミド−スチレン共重合体、メタクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル−アクリルアミド共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル−アクリルアミド−スチレン共重合体、メタクリル酸アルキル−アクリル酸アルキル−無水マレイン酸共重合体、アクリル酸アルキル−スチレン−無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸アルキル−フマル酸共重合体、アクリル酸アルキル−イタコン酸共重合体等及びこれらの金属塩または変性物などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0019】
トナー受理層には、他に各種無機酸、有機酸、pH調整剤、画像保存剤、着色剤、増粘剤、界面活性剤等適宜加えることができる。
【0020】
本発明におけるトナー受理層の厚みは、0.05〜10μmであることが好ましい。
【0021】
本発明における支持体としては、レジンコート紙、ポリマーフィルム、上質紙、中質紙、更紙、クラフト紙、印刷用コーテッド紙等を用いることができ、特に好ましくはレジンコート紙、ポリマーフィルムである。支持体の厚みとしては、50〜300μmであることが好ましい。
【0022】
本発明におけるトナー受理層の形成方法としては、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、マイクログラビアコーター、リバースグラビアコーター、リバースロールコーター、エクストルージョンバーコーター、カーテンコーター、エアナイフコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、リップコーター、ワイヤーバーコーター、ブレードコーター、スライドホッパーコーター及びそれらの組み合わせ等により支持体上にトナー受理層用の塗液を塗布する方法が挙げられる。塗布された塗液の乾燥装置としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等各種乾燥装置を挙げることができる。
【実施例】
【0023】
以下では、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではないことは言うまでもない。%は特に説明のない限り固形分換算の質量%である。部は特に説明のない限り固形分換算の質量部である。
【0024】
<トナー受理層液1の作製>
下記成分を混合攪拌し、トナー受理層液1を得た。
カチオン性のシリカゾル(日産化学工業製スノーテックスAK 濃度20%):100部
ノニオン性のアクリル系樹脂エマルジョン(日信化学工業製ビニブラン2680 濃度30%):20.5部
【0025】
<トナー受理層液2の作製>
下記成分を混合攪拌し、トナー受理層液2を得た。
カチオン性のシリカゾル(日産化学工業製スノーテックスAK 濃度20%):100部
ノニオン性のアクリル系樹脂エマルジョン(日信化学工業製ビニブラン2680 濃度30%):13.6部
【0026】
<トナー受理層液3の作製>
下記成分を混合攪拌し、トナー受理層液3を得た。
カチオン性のシリカゾル(日産化学工業製スノーテックスAK 濃度20%):100部
ノニオン性のアクリル系樹脂エマルジョン(日信化学工業製ビニブラン2680 濃度30%):85.2部
【0027】
<トナー受理層液4の作製>
下記成分を混合攪拌し、トナー受理層液4を得た。
カチオン性のシリカゾル(日産化学工業製スノーテックスAK 濃度20%):100部
カチオン性のアクリル系樹脂エマルジョン(日信化学工業製ビニブラン2651 濃度30%):20.5部
【0028】
<トナー受理層液5の作製>
下記成分を混合攪拌し、トナー受理層液5を得た。
カチオン性のシリカゾル(日産化学工業製スノーテックスAK 濃度20%):100部
アニオン性のアクリル系樹脂エマルジョン(大成ファインケミカル製SE−841A 濃度45.5%):20.5部
【0029】
<トナー受理層液6の作製>
下記成分を混合攪拌し、トナー受理層液6を得た。
カチオン性のシリカゾル(日産化学工業製スノーテックスAK 濃度20%):100部
カチオン性のアクリル系樹脂エマルジョン(日信化学工業製ビニブラン2651 濃度30%):8.7部
【0030】
<トナー受理層液7の作製>
下記成分を混合攪拌し、トナー受理層液7を得た。
カチオン性のシリカゾル(日産化学工業製スノーテックスAK 濃度20%):100部
カチオン性のアクリル系樹脂エマルジョン(日信化学工業製ビニブラン2651 濃度30%):122.2部
【0031】
<トナー受理層液8の作製>
下記成分を混合攪拌し、トナー受理層液8を得た。
カチオン性のシリカゾル(日産化学工業製スノーテックスAK 濃度20%):100部
カチオン性のウレタン樹脂エマルジョン(DIC製ハイドランCP7020 濃度30%):20.5部
【0032】
<トナー受理層液9の作製>
下記成分を混合攪拌し、トナー受理層液9を得た。
カチオン性のシリカゾル(日産化学工業製スノーテックスAK 濃度20%):100部
部分ケン化型ポリビニルアルコール(クラレ製PVA237):20.5部
【0033】
<トナー受理層液10の作製>
下記成分を混合攪拌し、トナー受理層液10を得た。
アニオン性のシリカゾル(日産化学工業製スノーテックス20 濃度20%):100部
ノニオン性のアクリル系樹脂エマルジョン(日信化学工業製ビニブラン2680 濃度30%):20.5部
【0034】
<トナー受理層液11の作製>
日本触媒製ポリエチレンイミン(エポミンSP−012)を4%濃度になるように水で希釈し、トナー受理層液11を得た。かかる物質は、サファイヤ処理の主成分であることが知られている。
【0035】
<トナー受理層液12の作製>
ノニオン性のアクリル系樹脂エマルジョン(日信化学工業製ビニブラン2680 濃度30%)をトナー受理層液12とした。
【0036】
<トナー受理層液13の作製>
カチオン性のアクリル系樹脂エマルジョン(日信化学工業製ビニブラン2651 濃度30%)をトナー受理層液13とした。
【0037】
表1に示すように、作製したトナー受理層液を使用し、ポリプロピレン樹脂を上質紙の両面に溶融ラミネートした坪量170g/mのレジンコート紙上に、塗布量1.5g/mとなるようにリバースグラビアコーターにて塗布し、熱風乾燥機で乾燥して、実施例1〜9、比較例1〜4の記録材料を得た。比較例2のみ、塗布量を0.4g/mに調整した。
【0038】
(トナー定着強度の評価)
湿式電子写真方式のプリンターとして、HP Indigo 7000 Digital Pressを用い、標準4色、8ビットモード、1219dpiにて、記録材料に印刷を行った。ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの単色、色濃度100%(色の光学濃度)のベタ印字部にセロハンテープを貼り付けて、テープを剥がしてテープに付着したトナーを観察し、トナー定着強度を評価した。
◎:テープにトナーの付着がなく、定着強度に優れている。
○:テープに僅かにトナーの付着が見られるが、定着強度は良好である。
△:テープにトナーの付着が見られ、定着強度は実用限度のレベルである。
×:トナーの多くはテープに付着し、定着強度は実用不可能なレベルである。
【0039】
(トナー転写性の評価)
湿式電子写真方式のプリンターとして、HP Indigo 7000 Digital Pressを用い、標準4色、8ビットモード、1219dpiにて、記録材料に印刷を行った。ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの単色、色濃度100%(色の光学濃度)の印字部を観察及び非画線部におけるカブリあるいはゴースト画像の発現状態により、トナー転写性を評価した。
◎:色再現濃度が良好で、非画線部に問題がなく優れている。
○:色再現濃度は◎のレベルよりは劣るが、非画線部に問題がなく良好である。
△:色再現濃度がやや劣り、非画線部に僅かな汚れが見られ、実用限度のレベルである。
×:色再現濃度が劣り、非画線部に汚れが見られ、実用不可能なレベル。
【0040】
(白紙黄変の評価)
蛍光灯から20cmの距離にて記録材料の表面に光が照射されるように設置し、72時間後に、表面の黄変を判定した。
◎:露光前とまったく変わらずに黄変がなく優れている。
○:露光前と比べると僅かに着色が判別できるが良好なレベル。
△:露光前との比較を省いても、黄変が観察できるが、実用限度のレベルである。
×:明らかな黄変が見られ、実用上不可能なレベルである。
【0041】
各実施例及び各比較例の評価結果を表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
実施例1〜9に示すように、発明に記載の条件で作製した電子写真用記録材料は、トナー定着強度、トナー転写性、白紙黄変に優れ、高品位な品質を得ている。比較例1、3及び4に示すように、カチオンのシリカゾルを使用しない場合には、トナー定着強度、トナー転写性が劣る。比較例2に示すように、サファイヤ処理を行うと、白紙黄変で劣る。また、実施例4と実施例6および7との対比から、カチオン性のシリカゾルの添加比率がトナー受理層の総重量に対して50〜90質量%であるとトナー定着強度により優れる。また、実施例1および4と実施例5、8および9との対比から、トナー受理層がバインダーとしてカチオン性またはノニオン性のアクリル系樹脂を含有することによって、トナー定着強度、トナー転写性、白紙黄変により優れることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上にトナー受理層を設けた電子写真記録材料において、トナー受理層に少なくともカチオン性のシリカゾルを含有することを特徴とする電子写真記録材料。
【請求項2】
トナー受理層においてカチオン性のシリカゾルの添加比率が、トナー受理層の総質量に対して、50〜90質量%である請求項1記載の電子写真記録材料。
【請求項3】
トナー受理層が、バインダーとしてカチオン性あるいはノニオン性のアクリル系樹脂を含有する請求項1または2記載の電子写真記録材料。

【公開番号】特開2013−114106(P2013−114106A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261244(P2011−261244)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)