説明

電子基板組付構造

【課題】電子基板の実装面をより広く確保しつつ、ブラケットへの組付けがより容易となる電子基板の組付技術を提供する。
【解決手段】複数の電子基板10、13をブラケット11に組み付ける電子基板組付構造であって、ブラケット11は、少なくとも一つの電子基板10を組み付ける第一の組み付け部と、第一の組み付け部と異なる面に、少なくとも一つの電子基板を組み付ける第二の組み付け部と、を備え、第一の組み付け部に組みつけられる第一の電子基板10と、第二の組み付け部に組みつけられる第二の電子基板13とは、棒状部材16により貫通されて組みつけられ、第二の電子基板13と、ブラケット11の第二の組み付け部との間には、スペーサー12が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子基板の組付技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子基板は、骨格を形成する筐体あるいはブラケットに、電子基板毎にねじ等により固定して組みつけて構成される。特許文献1には、このような電子基板についての技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−103446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような組付け技術では、複数の電子基板をブラケットに組付ける場合に、電子基板ごとにブラケットにねじ止めを行うために、ねじ止め作業が煩雑となり、また、ブラケットの製造容易性のためにねじ孔等の実装位置が制限され、その結果として組付け位置の制限が発生し、ひいては電子基板の電子部品実装面積が限られてしまうことがあった。
【0005】
本発明の目的は、電子基板の実装面をより広く確保しつつ、ブラケットへの組付けがより容易となる電子基板の組付技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明に係る電子基板組付構造は、複数の電子基板をブラケットに組み付ける電子基板組付構造であって、前記ブラケットは、少なくとも一つの前記電子基板を組み付ける第一の組み付け部と、前記第一の組み付け部と異なる面に、少なくとも一つの前記電子基板を組み付ける第二の組み付け部と、を備え、前記第一の組み付け部に組みつけられる第一の電子基板と、前記第二の組み付け部に組みつけられる第二の電子基板とは、棒状部材により貫通されて組みつけられ、前記第二の電子基板と、前記ブラケットの第二の組み付け部との間には、スペーサーが設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、電子基板の実装面をより広く確保しつつ、ブラケットへの組付けがより容易となる電子基板の構造についての技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、電子基板が組み付けられた電子ユニットを示す図である。
【図2】図2は、電子基板が組み付けられた電子ユニットを示す図である。
【図3】図3は、ブラケットに電子基板を組み付ける状態を示す図である。
【図4】図4は、電子基板が組み付けられた電子ユニットの断面図である。
【図5】図5は、環座の斜視図である。
【図6】図6は、ブラケットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の第一の実施形態を適用したナビゲーション装置の電子ユニットについて、図面を参照して説明する。
【0010】
図1、図2に、電子ユニット1の外観を示す図を示す。なお、電子ユニット1は、地図情報を表示して、現在地を示す地点と、設定された目的地までの経路を誘導する情報と、を示すことが可能ないわゆるナビゲーション装置の電子ユニットの一つである。
【0011】
電子ユニット1は、ブラケット11に取り付けられた天面側電子基板10と、遮蔽効果のあるシールド板15にラグ端子14を介して取り付けられた底面側電子基板13と、を備える。底面側電子基板13は、導電性のある金属、例えば真鍮製の環座12を介してブラケット11に位置決めされ、取り付けられる。すなわち、ブラケット11の両面には、電子基板が取り付けられており、そのうちの一方は、環座を介して電子基板が取り付けられている。
【0012】
電子ユニット1においては、図3に示すように、天面側電子基板10側から挿入され、シールド板15側へ貫通するネジ16が用いられて、ネジ16により各部品が取り付けられている。ネジ16は、天面側電子基板10の電子回路実装面との不意の通電を避けるために、アース端子10Eを介して、天面側電子基板10に設けられた天面側電子基板取付孔10Hに挿入される。なお、図1においては、天面側電子基板10側をZ方向、右手前側をX方向、右奥側をY方向とする斜視図としている。
【0013】
ブラケット11は、天面側電子基板10を取り付ける上面と、環座12を取り付ける下面と、を有する板状の部材であり、望ましくは金属製である。また、ブラケット11には、天面側電子基板10との所定のクリアランス(例えば、5mm程度)を確保するための、切り起しにより形成された天面側電子基板支持部11Aが設けられている。天面側電子基板支持部11Aには、天面側電子基板10と略平行を成す支持面があり、当該支持面には、ブラケット取付孔11Hと、当該支持面と略垂直に形成された位置決め爪11Sと、が設けられている。位置決め爪11Sは、天面側電子基板10に予め設けられた位置決め孔10Pに差し込まれることで、ブラケット11と天面側電子基板10との位置が決定される。
【0014】
ブラケット11の天面側電子基板支持部11Aの支持面の裏面(図3における下側面)には、環座12が取り付けられる。環座12の高さ、すなわち上面12Uから下面12Lまでの距離は、ブラケット11と、底面側電子基板13と、の間の所定のクリアランス(例えば、10mm程度)を確保できる程度の高さであることが望ましい。
【0015】
環座12は、図5に示すように、円柱に類似する形状を有し、その上面12Uと下面12Lの間を貫通するように貫通孔12Hが設けられている。また、環座12の上面12Uには、図5(a)に示すように、上面12Uより突出し、貫通孔12Hと中心軸が同一であって同一の内径の孔を備える突起部12Tが設けられている。突起部12Tの先端には、徳利状に外側に突出するカシメ12Kが設けられている。また、下面12Lには、図5(b)に示すように、下面12Lより突出し、貫通孔12Hと中心軸が同一であって同一の内径の孔を備える突起部12Bが設けられている。なお、環座12は、金属製、例えば真鍮製のワッシャー等であるが、これに限られず、導電性のあるスペーサーであればよい。
【0016】
環座12の突起部12Tは、ブラケット11のブラケット取付孔11Hにはめ込まれ、カシメ12Kによりブラケット11に対して安定的な接地を実現する。また、環座12の貫通孔12Hは、孔の内径がネジ16の径と略同一となっていることが望ましい。
【0017】
環座12の下面12Lに設けられた突起部12Bは、底面側電子基板13に設けられた底面側電子基板取付孔13Hに挿入される。突起部12Bの外径は、底面側電子基板取付孔13Hの径と同一であることが望ましいが、若干底面側電子基板取付孔13Hの径の方が大きくてもよい。なお、環座12の下面12Lに設けられた突起部12Bの突起の高さは、底面側電子基板13の厚さと同一であることが望ましい。
【0018】
底面側電子基板13と、シールド板15との間には、ラグ端子14が挟み込まれる。ラグ端子14は、ネジ16が貫通するラグ端子孔12Hと、底面側電子基板13の位置決め孔13Pにはまり込む位置決め爪14Sと、を備える金属切片である。尚、ラグ端子14は、アース端子10Eでも代用することが可能である。
【0019】
シールド板15には、ラグ端子14を支持する隆起部15Aが設けられている。隆起部15Aには、底面側電子基板13と略平行を成す支持面が形成されており、当該支持面には、シールド板取付孔15Hと、当該支持面と略垂直に形成された位置決め爪15Sと、が設けられている。位置決め爪15Sは、ラグ端子14の取り付け位置をガイドする。隆起部の高さは、シールド板15の底面と、底面側電子基板13と、の間の所定のクリアランス(例えば、5mm程度)を確保できる程度の高さであることが望ましい。
【0020】
シールド板15は、電子ユニット1と外部環境との間の電磁的・物理的な遮蔽効果を実現する。例えば、シールド板15は、電子ユニット1からの不要輻射の漏れ出しを遮断する。また、シールド板15のシールド板取付孔15Hの内周には、ネジ16の先端の固定先となるべく、ネジ16のネジ溝にかみ合うタップ(ネジ溝)が切ってあることが望ましい。シールド板15は、不要輻射の遮蔽能力を考慮すると、導電性のある金属製であることが望ましい。
【0021】
図4は、ネジ16の中心を通るX方向に沿った電子ユニット1の断面の一部をY方向に見た断面図である。図4に示すように、ブラケット11の天面側電子基板支持部11Aに設けられたブラケット取付孔11Hには、環座12の突起部12Tがはめ込まれ、カシメ12Kによりブラケット11に対して安定的な接地を実現する。また、底面側電子基板取付孔13Hには、環座12の突起部12Bがはめ込まれ、底面側電子基板13と環座12は、安定的に固定される。
【0022】
以上が、本願発明にかかる第一の実施形態である。上記実施形態によれば、電子基板の実装面をより広く確保しつつ、ブラケットへの組付けがより容易となる電子基板の構造とすることができる。そのため、ブラケットへ各部品を部品ごとにネジ止めする組立構造よりも、組立にかかる作業量を減らすことができる。また、組立にミスがあった場合にも、ミスを修正して再度組み立てることが容易にできる。なお、さらに、上記実施形態では、各部品の凹凸を組み合わせて予め仮保持できる構造であるため、ネジ16によるねじ止めをまとめて行うことができる。
【0023】
また、上記実施形態によれば、ブラケット11の位置決め爪11Sが、天面側電子基板10に予め設けられた位置決め孔10Pに差し込まれることで、ブラケット11と天面側電子基板10との位置が決定される。そして、環座12の突起部12Tは、ブラケット11のブラケット取付孔11Hにはめ込まれ、カシメ12Kによりブラケット11に対する位置が決定される。環座12の下面12Lに設けられた突起部12Bは、底面側電子基板13に設けられた底面側電子基板取付孔13Hに挿入されると、底面側電子基板13は、環座12との位置を固定される。
【0024】
本発明は、上記の実施形態に制限されない。上記実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態においては、底面側電子基板13は、シールド板15との間にラグ端子14を介しているが、これに限られず、ラグ端子14を介さないものであってもよい。このようにすることで、部品点数を減らすことができる。
【0025】
また例えば、上記実施形態においては、天面側電子基板10は、ネジ16のネジ頭との間にアース端子10Eを介しているが、これに限られず、アース端子10Eを介さないものであってもよい。このようにすることで、部品点数を減らすことができる。
【0026】
また例えば、上記実施形態においては、環座12は、略円柱形状であるが、これに限られず、例えば上面12Uの直径と下面12Lの直径のいずれかが、他方よりも小さいものであってもよい。このようにすることで、電子基板の大きさ等に応じた柔軟な構成を実現しうる。
【0027】
また例えば、上記実施形態においては、ネジ16により片方から複数の基板とブラケット等を貫通してねじ止めしているが、これに限られず、例えば割りピン等のネジ構造を有しないものにより複数の基板とブラケット等を貫通して繋ぎ止める各種の棒状の部材を用いてもよい。このようにすることで、電子基板の大きさや加工容易性等に応じた柔軟な構成を実現しうる。
【0028】
また例えば、上記実施形態においては、ブラケット11には、天面側電子基板10との所定のクリアランス(例えば、5mm程度)を確保するための、切り起しにより形成された天面側電子基板支持部11Aが設けられているが、これに限られない。天面側電子基板支持部11Aは、切り起しにより形成されず、ブラケット11の主面により構成されるものであってもよい。その場合、ブラケット11が天面側電子基板10の半田等の突起と電気的に接触しないよう、ブラケット11の天面側電子基板10との境界に、絶縁素材を塗布あるいは貼付するようにしてもよい。このようにすることで、電子ユニット1の大きさを小さくすることができる。
【0029】
以上、本発明について、実施形態を中心に説明した。なお、上記の実施形態では、本発明をナビゲーション装置の電子ユニットに適用した例について説明したが、本発明はナビゲーション装置に限らず、組立構造を備える装置全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1・・・電子ユニット、10・・・天面側電子基板、10E・・・アース端子、10H・・・天面側電子基板取付孔、10P・・・位置決め孔、11・・・ブラケット、11A・・・天面側電子基板支持部、11H・・・ブラケット取付孔、11S・・・位置決め爪、12・・・環座、12B・・・突起部、12H・・・貫通孔、12H、ラグ端子孔、12K・・・カシメ、12L・・・下面、12T・・・突起部、12U・・・上面、13・・・底面側電子基板、13H・・・底面側電子基板取付孔、13P・・・位置決め孔、14・・・ラグ端子、14S・・・位置決め爪、15・・・シールド板、15A・・・隆起部、15H・・・シールド板取付孔、15S・・・位置決め爪、16・・・ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子基板をブラケットに組み付ける電子基板組付構造であって、
前記ブラケットは、少なくとも一つの前記電子基板を組み付ける第一の組み付け部と、
前記第一の組み付け部と異なる面に、少なくとも一つの前記電子基板を組み付ける第二の組み付け部と、を備え、
前記第一の組み付け部に組みつけられる第一の電子基板と、前記第二の組み付け部に組みつけられる第二の電子基板とは、棒状部材により貫通されて組みつけられ、
前記第二の電子基板と、前記ブラケットの第二の組み付け部との間には、スペーサーが設けられている、
ことを特徴とする電子基板組付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の電子基板組付構造であって、
前記第一の組み付け部において、前記ブラケットに設けられた位置決め爪と、前記第一の電子基板に設けられた位置決め孔と、が咬みあうことで前記第一の電子基板の位置が特定される、
ことを特徴とする電子基板組付構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子基板組付構造であって、
前記第二の組み付け部において、前記ブラケットに設けられた孔と、前記スペーサーに設けられた第一の突起部と、が咬みあうことで、前記スペーサーの位置が特定され、さらに、前記スペーサーに設けられた第二の突起部と、前記第二の電子基板に設けられた孔と、が咬みあうことで、前記第二の電子基板の位置が特定される、
ことを特徴とする電子基板組付構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子基板組付構造であって、
前記スペーサーは、前記第二の電子基板を貫通し、前記第二の電子基板を貫通した先に設けられるラグ端子に接触する、
ことを特徴とする電子基板組付構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子基板組付構造であって、
前記スペーサーは、前記ブラケットの第二の組み付け部において、前記ブラケットを貫通し、かしめられて取り付けられる、
ことを特徴とする電子基板組付構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子基板組付構造であって、
前記第一の組み付け部と、前記第二の組み付け部とは、前記ブラケットに設けられた貫通孔の片側の開口部と、他方の開口部とのそれぞれにより構成される、
ことを特徴とする電子基板組付構造。
【請求項7】
請求項4に記載の電子基板組付構造であって、さらに、
前記棒状部材は、前記ラグ端子を貫通し、前記第二の電子基板を遮蔽するシールド板に取り付けられる、
ことを特徴とする電子基板組付構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子基板組付構造であって、
前記棒状部材は、割りピンである、
ことを特徴とする電子基板組付構造。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子基板組付構造であって、
前記第一の組み付け部は、前記第一の電子基板と略平行を成す支持面に設けられており、前記支持面は、前記第一の電子基板を配置する方向に切り起されて形成されている、
ことを特徴とする電子基板組付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−4536(P2013−4536A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130598(P2011−130598)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】