説明

電子楽器

【課題】犬や猫等の動物の鳴き声について、音の高さを理解しやすくする。
【解決手段】電子楽器1は、音階と対応付けられた鍵盤13bと、楽音を外部に出力するスピーカ11と、楽器の音色及び動物の鳴き声の楽音データを記憶する楽音データベース72と、鍵盤13bのうち、ユーザに押下された鍵盤に対応付けられた音高の楽音をスピーカ11に出力させる制御部6と、を備え、制御部6は、ユーザが鍵盤13bのうち任意の鍵盤を押下した際に、動物の鳴き声の楽音データを基準楽音データベース74から読み出して、当該楽音データに基づく楽音をメイン楽音として設定するとともに、楽器の音色の楽音データを音階データベース73から読み出して、当該楽音データに基づく楽音をサブ楽音として設定し、これらメイン楽音及びサブ楽音を重ねてスピーカ11に出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の鳴き声と、楽器の音色とを重ねて出力できる電子楽器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、犬や猫等の動物の鳴き声が記憶された電子楽器が開発されている(例えば、特許文献1参照)。この電子楽器は、ユーザにより出力音色として選択された動物の鳴き声を、所望の音の高さで出力できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−233853号公報(段落[0015])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような電子楽器では動物の鳴き声が単独で出力されるので、出力された動物の鳴き声の音の高さを理解するのが難しい。
【0005】
本発明の課題は、犬や猫等の動物の鳴き声について、音の高さを理解しやすくすることのできる電子楽器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、電子楽器において、
音階と対応付けられた入力キー群と、
楽音を外部に出力する楽音出力部と、
楽器の音色及び動物の鳴き声の楽音データを記憶する楽音データ記憶部と、
前記入力キー群のうち、ユーザに押下されたキーに対応付けられた音高の楽音を前記楽音出力部に出力させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
ユーザが前記入力キー群のうち任意のキーを押下した際に、
前記動物の鳴き声の楽音データを前記楽音データ記憶部から読み出して、当該楽音データに基づく楽音をメイン楽音として設定するとともに、前記楽器の音色の楽音データを前記楽音データ記憶部から読み出して、当該楽音データに基づく楽音をサブ楽音として設定し、これらメイン楽音及びサブ楽音を重ねて前記楽音出力部に出力させることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電子楽器において、
前記メイン楽音のみを出力する単独楽音出力モードか、前記メイン楽音と前記サブ楽音とを重ねて出力する複数楽音出力モードか、をユーザ操作に基づいて選択するためのモード選択手段を備え、
前記制御部は、
前記単独楽音出力モードでは、
ユーザが前記入力キー群のうち任意のキーを押下した際に、前記メイン楽音のみを前記楽音出力部に出力させ、
前記複数楽音出力モードでは、
ユーザが前記入力キー群のうち任意のキーを押下した際に、前記メイン楽音と前記サブ楽音とを重ねて前記楽音出力部に出力させることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の電子楽器において、
前記入力キー群に対応する音階のうち、所定の基準音高の楽音データの周波数を変更することで他の音高の楽音データを生成する楽音生成部を備え、
前記楽音データ記憶部は、
前記動物の鳴き声について、前記基準音高のみにおける楽音データを記憶しており、
前記制御部は、
ユーザが前記入力キー群のうち任意のキーを押下した際に、
当該押下されたキーに対応付けられた音高が前記基準音高である場合には、
当該基準音高における前記動物の鳴き声の楽音データを前記楽音データ記憶部から読み出して、当該楽音データの楽音を前記メイン楽音として設定し、
前記押下されたキーに対応付けられた音高が前記他の音高である場合には、
前記基準音高における前記動物の鳴き声の楽音データを前記楽音データ記憶部から読み出して、前記楽音生成部に当該楽音データの周波数を変更させることで、前記他の音高における楽音データを生成させ、生成された楽音データの楽音を前記メイン楽音として設定することを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の電子楽器において、
前記基準音高が「ファ」又は「ソ」であることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1から4の何れか一項に記載の電子楽器において、
前記楽器が木琴であることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1から5の何れか一項に記載の電子楽器において、
前記楽音データ記憶部には複数種類の動物の鳴き声の楽音データが記憶されており、
当該電子楽器は、前記複数種類の動物の鳴き声の中から所望の種類をユーザ操作に基づいて選択するための鳴き声選択手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、ユーザが入力キー群のうち任意のキーを押下した際に、動物の鳴き声の楽音データが楽音データ記憶部から読み出され、当該楽音データに基づく楽音がメイン楽音として設定されるとともに、楽器の音色の楽音データが楽音データ記憶部から読み出され、当該楽音データに基づく楽音がサブ楽音として設定され、これらメイン楽音及びサブ楽音が重ねて出力されるので、音の高さを理解しやすい楽器の音色と、動物の鳴き声とが重ねて出力されることになる。従って、動物の鳴き声のみでは分かりにくかった音の高さを理解しやすくすることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、単独楽音出力モードでは、ユーザが入力キー群のうち任意のキーを押下した際にメイン楽音のみが出力され、複数楽音出力モードでは、ユーザが入力キー群のうち任意のキーを押下した際に、メイン楽音とサブ楽音とが重ねて出力されるので、ユーザは、動物の鳴き声を単独で出力するか、楽器の音色と重ねて出力するか、を選択することができる。従って、さまざまなバリエーションの演奏を楽しむことができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、動物の鳴き声について、基準音高のみにおける楽音データが楽音データ記憶部に記憶されており、ユーザに押下されたキーに対応付けられた音高が基準音高である場合には、当該基準音高における動物の鳴き声の楽音データが読み出されて、当該楽音データの楽音がメイン楽音として設定され、ユーザに押下されたキーに対応付けられた音高が他の音高である場合には、基準音高における動物の鳴き声の楽音データが読み出され、当該基準音高の楽音データから他の音高の楽音データが楽音生成部によって生成され、生成された楽音データの楽音がメイン楽音として設定されるので、音階のすべての音高について楽音データ記憶部に楽音データが記憶される場合と比較して、記憶データ量を少なくすることができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、楽音データ記憶部に記憶される楽音データの基準音高が、音階の低い「ド」から高い「ド」までの一オクターブのうちほぼ真ん中の音高の「ファ」か「ソ」であるので、基準音高が当該一オクターブの両端付近の音高、例えば「ド」や「シ」である場合と比較して、基準音高の楽音データと、当該一オクターブのうち当該基準音高から最も離れた音高の楽音データと、の周波数の差が小さくなる。従って、当該一オクターブのうちどの音高の楽音データについても、基準音高の楽音データの周波数を大幅に変更することなく生成することができるため、正確な音高の楽音データを容易に生成することができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、動物の鳴き声と重ねて出力される楽器が木琴であるので、動物の鳴き声に合わせて歯切れの良い音色を出力することができる。従って、動物の鳴き声のみでは分かりにくかった音の高さをより理解しやすくすることができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、楽音データ記憶部には複数種類の動物の鳴き声の楽音データが記憶されており、ユーザは、鳴き声選択手段によって、複数種類の動物の鳴き声の中から所望の種類を選択することができるので、さまざまな動物の鳴き声による演奏を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】電子楽器の上面図である。
【図2】電子楽器の概略構成を示すブロック図である。
【図3】音階データベースのデータ構造を示す図である。
【図4】基準楽音データベースのデータ構造を示す図である。
【図5】フリーモードにおける楽音出力処理を示すフローチャートである。
【図6】オートモードにおける楽音出力処理を示すフローチャートである。
【図7】イージーモードにおける楽音出力処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明に係る電子楽器の実施形態について説明する。
【0020】
[外観構成]
図1は本実施形態における電子楽器1の上面図である。
この図に示すように、電子楽器1は、ディスプレイ10、スピーカ11、ランプ12及び操作部13を備えている。
【0021】
ディスプレイ10は、予め登録された曲目名等を表示する部分である。
【0022】
スピーカ11は、楽音を外部に出力する部分である。ランプ12は、ユーザによる演奏等に応じて発光する部分である。
【0023】
操作部13は、ユーザが電子楽器1を操作又は演奏するためのキーやレバーを有している。具体的には、図1に示すように、操作部13は、電源/音量キー13aと、鍵盤13bと、選曲レバー13cと、音名キー13dと、楽音切り替えキー13eと、サブ楽音キー13fと、セリフ出力キー13gと、モード切り替えキー13hと、を有している。
【0024】
電源/音量キー13aは、電源のON/OFFの切り替えを行うとともに、音量を調節するために使用されるキーである。本実施形態においては、電源/音量キー13aはスライド操作によって電源のON/OFFを切り替えるようになっている。また、この電源/音量キー13aは、電源ONの際の切り替え位置を「・」,「:」の2種類有しており、これにより、出力音量を「小」,「大」の2種類のうちから選択できるようになっている。なお、本実施形態においては、電源/音量キー13aによって電源をOFFの状態からONにした際に、「やあ!ぼくは○○○(キャラクター名)だよ。さあ、LIVEはじめよう」という音声が出力されるようになっている。
【0025】
鍵盤13bは、ユーザによる演奏等に使用されるキーであり、音階と対応付けられている。本実施形態において、鍵盤13bは低い「ド」から高い「ド」までの1オクターブ分の白鍵で構成されている。
【0026】
選曲レバー13cは、演奏対象の曲目を選択するために使用されるレバーである。具体的には、電子楽器1における後述の曲目データベース70(図2参照)には「ミッキーマウスマーチ」,「ちょうちょ」,「大きな栗の木の下で」,「むすんでひらいて」,「きらきら星」,「かえるの合唱」の各曲目の楽譜データが予め登録されており、ユーザによって選曲レバー13cが操作される度に、選択曲が上記の順番で切り替わるようになっている。なお、ユーザが選曲レバー13cを操作すると、本実施形態では、選択曲の演奏音出力時であっても、出力停止時であっても、「ガシャン」という音が出力されるとともに、選択曲が切り替わるようになっている。また、本実施形態では、電源をOFFからONにして選曲レバー13cを操作しない場合には、選択曲は「ミッキーマウスマーチ」に設定されるようになっている。
【0027】
音名キー13dは、楽器の音色等の楽音を出力するか、キャラクターの音声により発声される「ド」,「レ」,「ミ」等の音名を出力するか、を切り替えるために使用されるキーである。例えば、出力楽音が楽器の音色に設定された状態からユーザが当該音名キー13dを押下すると、出力楽音が、「ド」,「レ」,「ミ」等のキャラクターの音声に切り替わるようになっている。
【0028】
楽音切り替えキー13eは、複数種類の動物の鳴き声や楽器の音色の中で出力楽音を切り替えるために使用されるキーである。本実施形態においては、ユーザによって楽音切り替えキー13eが押下される度に、ピアノ,木琴,バイオリン,ベル,犬,猫,牛,アヒル,ガラクタ音の順番に楽音の種類が切り替わるようになっている。なお、本実施形態において、演奏停止時には、当該楽音切り替えキー13eが押下される度に、選択楽音が上記の順番で切り替わってサンプル音が出力されるようになっている。また、本実施形態において、電源をOFFからONにして楽音切り替えキー13eを押下しない場合には、楽音の種類はピアノの音色に設定されるようになっている。
【0029】
サブ楽音キー13fは、楽音切り替えキー13eにより選択された楽音(以下、メイン楽音とする)のみを出力する単独楽音出力モードか、メイン楽音とは別の種類の楽音(以下、サブ楽音とする)とメイン楽音とを重ねて出力する複数楽音出力モードか、に出力モードを切り替えるために使用されるキーである。
【0030】
なお、本実施形態においては、サブ楽音は木琴の音色となっている。また、本実施形態において、電源をOFFからONにしてサブ楽音キー13fを押下しない場合には、出力モードは単独楽音出力モードに設定されるようになっている。
【0031】
セリフ出力キー13gは、キャラクター音声によるセリフを出力させるために使用されるキーである。具体的には、電子楽器1における後述のセリフデータベース71(図2参照)には「すごいね」,「すごいすごい」,「じょうずだね」,「じょうずじょうず」,「がんばれ」,「ファイト」のセリフデータが記憶されており、ユーザによってセリフ出力キー13gが押下されると、これらのセリフデータの何れかがランダムに選択されて、そのセリフが出力されるようになっている。なお、ユーザがセリフ出力キー13gを押下すると、本実施形態では、演奏音出力時であっても出力停止時であっても、セリフが出力されるようになっている。
【0032】
モード切り替えキー13hは、フリーモード,オートモード,イージーモードの中から演奏モードを切り替えるために使用されるキーである。フリーモードとは、ユーザが鍵盤13bを押下することで自由に演奏できるモードである。オートモードとは、ユーザが鍵盤13bのうち任意の鍵盤を押下すると、選曲レバー13cによって選択された曲の自動演奏が始まるモードである。なお、本実施形態において、自動演奏中にユーザが鍵盤13bのうち任意の鍵盤を押下すると、当該曲は再び初めから演奏されるようになっている。イージーモードとは、ユーザが鍵盤13bのうち任意の鍵盤を所望のタイミングで押下すると、選曲レバー13cによって選択された曲が一音ずつ該タイミングに合わせて演奏されるモードである。
【0033】
なお、本実施形態においては、演奏音出力時であっても出力停止時であっても、モード切り替えキー13hが押下される度に、演奏モードがフリーモード,オートモード,イージーモードの順番に切り替わり、「フリーモードだよ」,「オートモードだよ」,「イージーモードだよ」という音声のうち、切り替え先の演奏モードに対応する音声が出力されるようになっている。また、本実施形態においては、フリーモード及びイージーモードに設定された際には、ユーザによる演奏終了後に、「上手に弾けたね」という音声が出力されるようになっている。
【0034】
[内部構成]
図2は、電子楽器1の概略構成を示すブロック図である。
この図に示すように、電子楽器1は、表示部2、楽音出力部3、発光部4、入力部5、制御部6、記憶部7、楽音生成部8を備えている。
【0035】
表示部2は、上述のディスプレイ10を備えており、制御部6から入力される表示信号に基づいて各種情報をディスプレイ10に表示するようになっている。
【0036】
楽音出力部3は、上述のスピーカ11を備えており、制御部6から入力される楽音出力信号に基づいて楽音データをスピーカ11に出力させるようになっている。
【0037】
発光部4は、上述のランプ12を備えており、制御部6から入力される発光信号に基づいてランプ12を発光させるようになっている。
【0038】
入力部5は、上述の操作部13を備えており、押下されたキーやレバーに対応する信号を制御部6に出力するようになっている。
【0039】
制御部6は、入力される指示に応じて所定のプログラムに基づいた処理を実行し、各機能部への指示やデータの転送等を行い、電子楽器1を統括的に制御するようになっている。具体的には、制御部6は、入力部5から入力される操作信号等に応じて記憶部7に格納された各種プログラムを読み出し、当該プログラムに従って処理を実行する。そして、制御部6は、当該処理結果を出力するための信号を表示部2や楽音出力部3に適宜出力して、対応した内容を表示・楽音出力させる。
【0040】
記憶部7は、電子楽器1の各種機能を実現するためのプログラムやデータを記憶するメモリである。本実施形態においては、記憶部7は、曲目データベース70と、セリフデータベース71と、楽音データベース72とを格納している。
【0041】
曲目データベース70には、少なくとも1種類の曲目と、当該曲目の楽譜データとが対応付けて記憶されている。本実施形態において、曲目データベース70には、「ミッキーマウスマーチ」,「ちょうちょ」,「大きな栗の木の下で」等の曲目及び楽譜データが記憶されている。
【0042】
セリフデータベース71には、上述のセリフ出力キー13gの押下に応じて出力されるセリフ等が記憶されている。
【0043】
楽音データベース72は、楽器の音色及び動物の鳴き声の楽音データを記憶しており、本実施形態では、音階データベース73と、基準楽音データベース74とを有している。
【0044】
音階データベース73は、音階と、当該音階の各音高における楽音データとを、少なくとも1種類の楽器等について対応付けて記憶しており、本実施形態においては、ピアノ,木琴,バイオリン,ベル,キャラクター音声について記憶している。より具体的には、この音階データベース73には、図3に示すように、上記の楽器及びキャラクター音声のそれぞれについて、低い「ド」から高い「ド」までの一オクターブ分の音階と、当該音階の各音高における楽音データと、が対応付けて記憶されている。なお、キャラクター音声の楽音データとは、音階の各音高に対応する「ド」,「レ」,「ミ」等の音名が、キャラクターの音声により発声される楽音データである。
【0045】
基準楽音データベース74は、楽音の種類と、当該種類の楽音の所定の基準音高における基準楽音データとを、少なくとも1種類の楽音について対応付けて記憶している。本実施形態では、図4に示すように、基準楽音データベース74には、犬,猫,牛,アヒルの鳴き声及びガラクタ音、という楽音の種類と、これらの種類の楽音の基準音高における基準楽音データと、が対応付けて記憶されている。なお、本実施形態では、基準音高は「ファ」となっている。つまり、基準楽音データベース74において、動物の鳴き声等の基準楽音データは、すべて「ファ」の音高で記憶されている。
【0046】
楽音生成部8は、制御部6から入力される楽音生成信号に基づいて、鍵盤bに対応する音階のうち、基準音高の楽音データの周波数を変更することで他の音高の楽音データを生成するようになっている。
【0047】
[楽音出力処理]
続いて、電子楽器1の動作について説明する。ここでは、演奏モードは複数楽音出力モードであり、メイン楽音は犬の鳴き声に設定されているものとして説明する。
〈フリーモード〉
まず、フリーモードについて説明する。
【0048】
図5は、フリーモードにおいて、制御部6が、ユーザに押下された鍵盤bに対応付けられた音高の楽音をスピーカ11に出力させる楽音出力処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【0049】
この図に示すように、まず、ユーザが鍵盤13bのうち任意の鍵盤を押下すると(ステップS1)、制御部6は、押下された鍵盤13bに対応付けられた音高を検出し、出力音高「A」として設定する(ステップS2)。
【0050】
次に、制御部6は、当該出力音高「A」が基準音高「ファ」であるかどうかを判定する(ステップS3)。
このステップS3において、出力音高「A」が「ファ」の音高であると判定した場合には(ステップS3;YES)、制御部6は、犬の鳴き声の基準楽音データ(音高;「ファ」)を基準楽音データベース74から読み出して、この基準楽音データの楽音をメイン楽音として設定させた後(ステップS4)、後述のステップS7に移行する。
【0051】
また、ステップS3において、出力音高「A」が「ファ」の音ではないと判定した場合には(ステップS3;NO)、制御部6は、犬の鳴き声の基準楽音データ(音高;「ファ」)を基準楽音データベース74から読み出し(ステップS5)、さらに、楽音生成部8にこの基準楽音データ(音高;「ファ」)の周波数を変更させることで、出力音高「A」における犬の鳴き声の楽音データを生成させる。そして、制御部6は、生成した楽音データ(音高;「A」)の犬の鳴き声をメイン楽音として設定する(ステップS6)。
【0052】
次に、制御部6は、出力音高「A」における木琴の楽音データを音階データベース73から読み出して、この楽音データの楽音をサブ楽音として設定する(ステップS7)。
【0053】
そして、制御部6は、犬の鳴き声であるメイン楽音(音高;「A」)と、木琴の音色であるサブ楽音(音高;「A」)とを重ねてスピーカ11に出力させ(ステップS8)、楽音出力処理を終了する。
【0054】
〈オートモード〉
次に、オートモードについて説明する。ここでは、自動演奏される曲としてミッキーマウスマーチが選択されているものとして説明する。
【0055】
図6は、オートモードにおいて、制御部6が、選択曲の楽譜データを曲目データベース70から読み出してスピーカ11に出力させる、楽音出力処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【0056】
この図に示すように、まず、ユーザが鍵盤13bのうち任意の鍵盤を押下すると(ステップS9)、制御部6は、選択曲であるミッキーマウスマーチの楽譜データの先頭音を、曲目データベース70から読み出す(ステップS10)。
【0057】
次に、制御部6は、読み出した音の音高を出力音高「A」として設定する(ステップS11)。
【0058】
次に、制御部6は、当該出力音高「A」が基準音高「ファ」であるかどうかを判定する(ステップS12)。
このステップS12において、出力音高「A」が「ファ」の音高であると判定した場合には(ステップS12;YES)、制御部6は、犬の鳴き声の基準楽音データ(音高;「ファ」)を基準楽音データベース74から読み出して、この基準楽音データの楽音をメイン楽音として設定させた後(ステップS13)、後述のステップS16に移行する。
【0059】
また、ステップS12において、出力音高「A」が「ファ」の音ではないと判定した場合には(ステップS12;NO)、制御部6は、犬の鳴き声の基準楽音データ(音高;「ファ」)を基準楽音データベース74から読み出し(ステップS14)、さらに、楽音生成部8にこの基準楽音データ(音高;「ファ」)の周波数を変更させることで、出力音高「A」における犬の鳴き声の楽音データを生成させる。そして、制御部6は、生成した楽音データ(音高;「A」)の犬の鳴き声をメイン楽音として設定する(ステップS15)。
【0060】
次に、制御部6は、出力音高「A」における木琴の楽音データを音階データベース73から読み出して、この楽音データの楽音をサブ楽音として設定する(ステップS16)。
【0061】
そして、制御部6は、犬の鳴き声であるメイン楽音(音高;「A」)と、木琴の音色であるサブ楽音(音高;「A」)とを重ねてスピーカ11に出力させる(ステップS17)。
【0062】
次に、制御部6は、選択曲であるミッキーマウスマーチの楽譜データにおいて、次に出力すべき音があるかどうかを判定する(ステップS18)。このステップS18において、次に出力すべき音があると判定した場合には(ステップS18;YES)、制御部6は、楽譜データの次の音を読み出し(ステップS19)、ステップS11に戻る。このように、次に出力すべき音がある限り、制御部6は、ステップS11〜ステップS19を繰り返す。
【0063】
そして、ステップS18において、次に出力すべき音がないと判定した場合には(ステップS18;NO)、楽音出力処理は終了する。
【0064】
〈イージーモード〉
次に、イージーモードについて説明する。ここでは、演奏される曲としてミッキーマウスマーチが選択されているものとして説明する。
【0065】
図7は、イージーモードにおいて、制御部6が、選択曲の楽譜データを曲目データベース70から読み出してスピーカ11に出力させる、楽音出力処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【0066】
この図に示すように、まず、ユーザが鍵盤13bのうち任意の鍵盤を押下すると(ステップS20)、制御部6は、選択曲であるミッキーマウスマーチの楽譜データの先頭音を、曲目データベース70から読み出す(ステップS21)。
【0067】
次に、制御部6は、読み出した音の音高を出力音高「A」として設定する(ステップS22)。
【0068】
次に、制御部6は、当該出力音高「A」が基準音高「ファ」であるかどうかを判定する(ステップS23)。
このステップS23において、出力音高「A」が「ファ」の音高であると判定した場合には(ステップS23;YES)、制御部6は、犬の鳴き声の基準楽音データ(音高;「ファ」)を基準楽音データベース74から読み出して、この基準楽音データの楽音をメイン楽音として設定させた後(ステップS24)、後述のステップS27に移行する。
【0069】
また、ステップS23において、出力音高「A」が「ファ」の音ではないと判定した場合には(ステップS23;NO)、制御部6は、犬の鳴き声の基準楽音データ(音高;「ファ」)を基準楽音データベース74から読み出し(ステップS25)、さらに、楽音生成部8にこの基準楽音データ(音高;「ファ」)の周波数を変更させることで、出力音高「A」における犬の鳴き声の楽音データを生成させる。そして、制御部6は、生成した楽音データ(音高;「A」)の犬の鳴き声をメイン楽音として設定する(ステップS26)。
【0070】
次に、制御部6は、出力音高「A」における木琴の楽音データを音階データベース73から読み出して、この楽音データの楽音をサブ楽音として設定する(ステップS27)。
【0071】
そして、制御部6は、犬の鳴き声であるメイン楽音(音高;「A」)と、木琴の音色であるサブ楽音(音高;「A」)とを重ねてスピーカ11に出力させる(ステップS28)。
【0072】
次に、制御部6は、選択曲であるミッキーマウスマーチの楽譜データにおいて、次に出力すべき音があるかどうかを判定する(ステップS29)。このステップS29において、次に出力すべき音があると判定した場合には(ステップS29;YES)、制御部6は、楽譜データの次の音を読み出した後(ステップS30)、上述のステップS20に戻る。このように、次に出力すべき音があり、かつ、ユーザが鍵盤13bのうち任意の鍵盤を押下する限り、制御部6はステップS20〜ステップS30を繰り返す。
【0073】
そして、ステップ29において、次に出力すべき音がないと判定した場合には(ステップ29;NO)、楽音出力処理は終了する。
【0074】
以上の電子楽器1によれば、ユーザが鍵盤13bのうち任意の鍵盤を押下した際に、動物の鳴き声の基準楽音データが基準楽音データベース74から読み出され、当該楽音データに基づく楽音がメイン楽音として設定されるとともに、楽器の音色の楽音データが音階データベース73から読み出され、当該楽音データに基づく楽音がサブ楽音として設定され、これらメイン楽音及びサブ楽音が重ねて出力されるので、音の高さを理解しやすい楽器の音色と、動物の鳴き声とが重ねて出力されることになる。従って、動物の鳴き声のみでは分かりにくかった音の高さを理解しやすくすることができる。
【0075】
また、単独楽音出力モードでは、ユーザが鍵盤13bのうち任意の鍵盤を押下した際にメイン楽音のみが出力され、複数楽音出力モードでは、ユーザが鍵盤13bのうち任意の鍵盤を押下した際に、メイン楽音とサブ楽音とが重ねて出力されるので、ユーザは、動物の鳴き声を単独で出力するか、楽器の音色と重ねて出力するか、を選択することができる。従って、さまざまなバリエーションの演奏を楽しむことができる。
【0076】
また、動物の鳴き声について、基準音高「ファ」のみにおける基準楽音データが基準楽音データベース74に記憶されており、ユーザに押下された鍵盤13bに対応付けられた音高が「ファ」である場合には、「ファ」の音高である動物の鳴き声の基準楽音データが読み出されて、当該基準楽音データの楽音がメイン楽音として設定され、ユーザに押下された鍵盤13bに対応付けられた音高が他の出力音高「A」である場合には、「ファ」の音高である動物の鳴き声の基準楽音データが読み出され、当該基準楽音データから出力音高「A」の楽音データが楽音生成部8によって生成され、生成された楽音データの楽音がメイン楽音として設定されるので、音階のすべての音高について楽音データ記憶部に楽音データが記憶される場合と比較して、記憶データ量を少なくすることができる。
【0077】
また、基準楽音データベース74に記憶される楽音データの基準音高が、音階の低い「ド」から高い「ド」までの一オクターブのうちほぼ真ん中の音高の「ファ」であるので、基準音高が当該一オクターブの両端付近の音高、例えば「ド」や「シ」である場合と比較して、基準音高の基準楽音データと、当該一オクターブのうち当該基準音高から最も離れた音高の楽音データと、の周波数の差が小さくなる。従って、当該一オクターブのうちどの音高の楽音データについても、基準音高「ファ」の基準楽音データの周波数を大幅に変更することなく生成することができるため、正確な音高の楽音データを容易に生成することができる。
【0078】
また、動物の鳴き声と重ねて出力される楽器が木琴であるので、動物の鳴き声に合わせて歯切れの良い音色を出力することができる。従って、動物の鳴き声のみでは分かりにくかった音の高さをより理解しやすくすることができる。
【0079】
また、基準楽音データベース74には複数種類の動物の鳴き声の基準楽音データが記憶されており、ユーザは、楽音切り替えキー13eによって、複数種類の動物の鳴き声の中から所望の種類を選択することができるので、さまざまな動物の鳴き声による演奏を楽しむことができる。
【0080】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0081】
例えば、上記の実施形態において、楽器の音色等については、音階と、当該音階の各音高における楽音データとが対応付けられて記憶されているものとして説明し、動物の鳴き声等については、所定の基準音高における基準楽音データのみが記憶されており、その他の音高の楽音データについては基準楽音データの周波数の変更により生成されるものとして説明したが、楽器の音色等について、本実施形態における動物の鳴き声等と同様の方法で楽音データを記憶・生成することとしてもよいし、動物の鳴き声等について、本実施形態における楽器の音色等と同様の方法で楽音データを記憶することとしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 電子楽器
2 表示部
3 楽音出力部
4 発光部
5 入力部
6 制御部
7 記憶部
8 楽音生成部
10 ディスプレイ
11 スピーカ
12 ランプ
13 操作部
13a 電源/音量キー
13b 鍵盤
13c 選曲レバー
13d 音名キー
13e 楽音切り替えキー
13f サブ楽音キー
13g セリフ出力キー
13h モード切り替えキー
70 曲目データベース
71 セリフデータベース
72 楽音データベース
73 音階データベース
74 基準楽音データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音階と対応付けられた入力キー群と、
楽音を外部に出力する楽音出力部と、
楽器の音色及び動物の鳴き声の楽音データを記憶する楽音データ記憶部と、
前記入力キー群のうち、ユーザに押下されたキーに対応付けられた音高の楽音を前記楽音出力部に出力させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
ユーザが前記入力キー群のうち任意のキーを押下した際に、
前記動物の鳴き声の楽音データを前記楽音データ記憶部から読み出して、当該楽音データに基づく楽音をメイン楽音として設定するとともに、前記楽器の音色の楽音データを前記楽音データ記憶部から読み出して、当該楽音データに基づく楽音をサブ楽音として設定し、これらメイン楽音及びサブ楽音を重ねて前記楽音出力部に出力させることを特徴とする電子楽器。
【請求項2】
前記メイン楽音のみを出力する単独楽音出力モードか、前記メイン楽音と前記サブ楽音とを重ねて出力する複数楽音出力モードか、をユーザ操作に基づいて選択するためのモード選択手段を備え、
前記制御部は、
前記単独楽音出力モードでは、
ユーザが前記入力キー群のうち任意のキーを押下した際に、前記メイン楽音のみを前記楽音出力部に出力させ、
前記複数楽音出力モードでは、
ユーザが前記入力キー群のうち任意のキーを押下した際に、前記メイン楽音と前記サブ楽音とを重ねて前記楽音出力部に出力させることを特徴とする請求項1に記載の電子楽器。
【請求項3】
前記入力キー群に対応する音階のうち、所定の基準音高の楽音データの周波数を変更することで他の音高の楽音データを生成する楽音生成部を備え、
前記楽音データ記憶部は、
前記動物の鳴き声について、前記基準音高のみにおける楽音データを記憶しており、
前記制御部は、
ユーザが前記入力キー群のうち任意のキーを押下した際に、
当該押下されたキーに対応付けられた音高が前記基準音高である場合には、
当該基準音高における前記動物の鳴き声の楽音データを前記楽音データ記憶部から読み出して、当該楽音データの楽音を前記メイン楽音として設定し、
前記押下されたキーに対応付けられた音高が前記他の音高である場合には、
前記基準音高における前記動物の鳴き声の楽音データを前記楽音データ記憶部から読み出して、前記楽音生成部に当該楽音データの周波数を変更させることで、前記他の音高における楽音データを生成させ、生成された楽音データの楽音を前記メイン楽音として設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子楽器。
【請求項4】
前記基準音高が「ファ」又は「ソ」であることを特徴とする、請求項3に記載の電子楽器。
【請求項5】
前記楽器が木琴であることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の電子楽器。
【請求項6】
前記楽音データ記憶部には複数種類の動物の鳴き声の楽音データが記憶されており、
当該電子楽器は、前記複数種類の動物の鳴き声の中から所望の種類をユーザ操作に基づいて選択するための鳴き声選択手段を備えることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の電子楽器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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