説明

電子機器、電子機器の制御方法、および、電子計算機

【課題】複数の人が総支出金額を分けて支出する場合の各人の支出金額を求める際に、前提となる条件が多くても容易に計算を行えるようにする。
【解決手段】複数の支払者が総支出金額を分けて支出する場合の金額を計算する電子計算機1は、テンキー101および選択ボタン120−129によって複数項目の条件を項目毎に入力し、条件確定指示部105によって、入力した複数項目の前記条件について項目毎に確定を指示し、計算指示ボタン102によって計算の開始を指示することができ、この指示に応じて、確定された項目の条件に基づいて計算を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された値に基づいて計算を行う電子機器、電子機器の制御方法、および、電子計算機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の人が金銭負担を分担する場合に、各人の支出金額を計算する割り勘機能を備えた電卓が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された電卓は、負担すべき総額と人数とが確定された後、総額を人数で割って一人あたりの支出金額を算出する。
【特許文献1】特開平8−255137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述したような割り勘の計算には、全員の支出金額が等しくなるようにする単純な計算で済む場合に加え、一部の人の支出金額を多めにする等の複雑な計算を要する場合がある。複雑な計算を行う場合、計算の前提となる条件が多く、これらの条件を整理して入力を行うことは面倒であった。
【0004】
本発明は、複数の人が総支出金額を分けて支出する場合の各人の支出金額を求める際に、前提となる条件が多くても容易に計算を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、複数の支払者が総支出金額を分けて支出する場合の金額を計算する電子機器において、複数項目の条件を項目毎に入力するための条件入力手段と、前記条件入力手段により入力された複数項目の前記条件について、項目毎に確定を指示する条件確定指示手段と、計算の開始を指示する計算指示手段と、前記計算指示手段の指示に応じて、前記条件確定指示手段により確定された項目の前記条件に基づいて計算を実行する計算処理手段と、を備えたことを特徴とする電子機器を提供する。
この構成によれば、複数の支払者が総支出金額を分けて支出する場合に、計算の前提となる条件を複数項目について入力し、さらに、入力した複数項目の条件の一部または全部を確定させると、確定させた条件に基づいて計算が行われる。これにより、様々な条件を入力した上で、入力した条件から計算の前提とする条件を選んで確定することができるので、各条件間の優先度等を簡単に反映させ、或いは変更できる。このため、計算の前提となる条件が多くても容易に計算を実行させることができる。また、条件の優先度を変えながら繰り返し計算を行わせれば、簡単な操作により所望の計算結果を速やかに得ることができる。
【0006】
上記構成において、前記条件入力手段は、同じ支出金額を支出する前記支払者を一つのグループに属させた場合の前記グループ毎の人数と、いずれかの前記グループに属する前記支払者一人あたりの支出金額と、総支出金額との各項目の前記条件を入力可能に構成され、前記計算処理手段は、前記グループ毎の人数と、いずれかの前記グループに属する前記支払者一人あたりの支出金額と、総支出金額とが前記条件確定指示手段により確定された場合に、これら確定された前記条件に基づいて、支出金額が確定されていない前記グループの前記支払者一人あたりの支出金額を算出するものとしてもよい。
この場合、割り勘計算において、支払者を複数のグループに分け、各グループの支払者が同じ金額を支出するよう支出金額を定めるときに、グループ毎の人数と、いずれかのグループにおける支払者一人の支出金額と、総支出金額とを入力するだけで、他のグループにおける支払者一人あたりの支出金額を速やかに得ることができる。また、各々のグループにおける支払者一人あたりの支出金額を全て入力した上で、一部のグループの支出金額のみを確定させて計算をさせることができるので、支出金額を確定するグループや支出金額を変えながら繰り返し計算を行うことで、簡単な操作によって、グループ毎の支出金額を調整しながら、最適な支出金額の配分を求めることができる。
【0007】
上記構成において、前記条件入力手段は、同じ支出金額を支出する前記支払者を一つのグループに属させた場合の前記グループ毎の人数と、各々の前記グループに属する前記支払者一人あたりの支出可能な予定金額と、現実の総支出金額との各項目の前記条件を入力可能に構成され、前記計算処理手段は、前記グループ毎の人数と、各々の前記グループに属する前記支払者一人あたりの支出可能な予定金額と、現実の総支出金額とが前記条件確定指示手段により確定された場合に、これら確定された前記条件に基づいて、今後に支出可能な残り金額を算出するものとしてもよい。
この場合、割り勘計算において支払者を複数のグループに分け、各グループの支払者が同額を支出するよう支出金額を定める場合に、グループ毎の人数と、各々のグループにおける支払者一人あたりの支出可能な予定金額と、現実の総支出金額とを入力する操作を行うことで、今後に支出可能な残り金額を速やかに得ることができる。
【0008】
上記構成において、第1の動作モードと、第2の動作モードとを切り換えて実行可能に構成され、前記第1の動作モードにおいては、前記条件入力手段は、同じ支出金額を支出する前記支払者を一つのグループに属させた場合の前記グループ毎の人数と、いずれかの前記グループに属する前記支払者一人あたりの支出金額と、総支出金額との各項目の前記条件を入力可能に構成され、前記計算処理手段は、前記グループ毎の人数と、いずれかの前記グループに属する前記支払者一人あたりの支出金額と、総支出金額とが前記条件確定指示手段により確定された場合に、これら確定された前記条件に基づいて、支出金額が確定されていない前記グループの前記支払者一人あたりの支出金額を算出し、前記第2の動作モードにおいては、前記条件入力手段は、同じ支出金額を支出する前記支払者を一つのグループに属させた場合の前記グループ毎の人数と、各々の前記グループに属する前記支払者一人あたりの支出可能な予定金額と、現実の総支出金額との各項目の前記条件を入力可能に構成され、前記計算処理手段は、前記グループ毎の人数と、各々の前記グループに属する前記支払者一人あたりの支出可能な予定金額と、現実の総支出金額とが前記条件確定指示手段により確定された場合に、これら確定された前記条件に基づいて、今後に支出可能な残り金額を算出するものとしてもよい。
この場合、第1の動作モードを実行すると、支払者を複数のグループに分け、各グループの支払者が同額を支出するよう支出金額を定めるときに、グループ毎の人数、いずれかのグループにおける支払者一人の支出金額、および総支出金額を入力する簡単な操作により、他のグループにおける支払者一人あたりの支出金額を速やかに得ることができ、さらに支出金額を確定するグループや支出金額を変えながら繰り返し計算を行うことで、グループ毎の支出金額を調整しながら最適な支出金額の配分を求めることができる。また、第2の動作モードを実行すると、グループ毎の人数と、各々のグループにおける支払者一人あたりの支出可能な予定金額と、現実の総支出金額とを入力する操作を行うことで、今後に支出可能な残り金額を速やかに得ることができる。そして、第1の動作モードと第2の動作モードとを切り換えて実行可能なため、異なる2種類の計算を実行させることができ、様々な形態の割り勘の計算を容易に実行できるという利点がある。
【0009】
上記構成において、外部の機器との間で通信を実行することにより、前記外部の機器から現在の総支出金額を取得する金額取得手段を備える構成としてもよい。
この場合、外部の機器から総支出金額を取得することにより、今後に支出可能な残り金額を算出させるための入力操作を、より一層簡単なものとすることができ、入力ミスを防止できることから、より正確な計算結果が得られる。
【0010】
上記構成において、前記計算指示手段により計算の開始が指示された場合に、前記条件確定指示手段により確定された前記条件が適切か否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記条件が適切でないと判定された場合に報知を行う報知手段と、を備える構成としてもよい。
この場合、計算の前提となる条件が不適切な場合に速やかに報知を行うので、誤った条件の入力を速やかにユーザに知らせて、正しい条件の入力を促すことができる。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、複数の支払者が総支出金額を分けて支出する場合の金額を計算する電子機器の制御方法であって、複数項目の条件が項目毎に入力され、入力された複数項目の前記条件について、項目毎に確定が指示され、計算の開始が指示された場合に、確定された項目の前記条件に基づいて計算を実行すること、を特徴とする電子機器の制御方法を提供する。
この方法によれば、複数の支払者が総支出金額を分けて支出する場合に、計算の前提となる条件を複数項目について入力し、さらに、入力した複数項目の条件の一部または全部を確定させると、確定させた条件に基づいて計算が行われる。これにより、様々な条件を入力した上で、入力した条件から計算の前提とする条件を選んで確定することができるので、各条件間の優先度等を簡単に反映させ、或いは変更できる。このため、計算の前提となる条件が多くても容易に計算を実行させることができる。また、条件の優先度を変えながら繰り返し計算を行わせれば、簡単な操作により所望の計算結果を速やかに得ることができる。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、複数の支払者が総支出金額を分けて支出する場合の金額を計算する電子計算機において、複数項目の条件について数値を入力するための数値入力部と、前記数値入力操作部により数値を入力する前記条件を選択する選択操作部と、前記数値入力操作部により入力された数値を前記条件毎に表示する数値表示部と、前記数値表示部により前記条件毎に表示された数値の確定を指示する確定操作部と、前記数値入力操作部により入力された数値に基づく計算の実行を指示する計算実行指示部と、を備えたことを特徴とする電子計算機を提供する。
この構成によれば、複数の支払者が総支出金額を分けて支出する場合に、選択操作部によって条件を選択して、選択した条件の数値を数値入力部によって入力すると、入力した数値が数値表示部により表示される。そして、確定操作部によって、数値表示部に表示された数値を確定させて、計算実行指示部によって計算の実行を指示できる。この構成では、計算の前提となる条件を、極めて簡単でミスを生じにくい操作によって入力することができる。また、入力した数値を任意に確定させて計算を実行させることで、複雑な条件に基づく割り勘計算を手軽に実行できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、割り勘計算の前提となる様々な条件を入力し、各条件間の優先度等を簡単に反映させ、或いは変更することができ、計算の前提となる条件が多くても容易に計算を実行させ、速やかに計算結果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の電子機器を適用した第1の実施形態に係る電子計算機1の構成を示す外観図である。
電子計算機1は、例えば複数の人が飲食店で飲食をした場合等、支払うべき合計金額(総支出金額)を複数の人が分けて負担する場合に、与えられた条件に従って各々の人の負担額(支出金額)を算出する、いわゆる割り勘計算を行う計算機である。
電子計算機1においては、支払いを負担する複数の人(以下、支払者という)を複数のグループに分けて、グループ毎に負担金額を変える等の条件を設定可能であり、この条件に従って、グループ毎に、支払者一人あたりの支出金額を算出する。本第1の実施形態の電子計算機1は、支払者を最大3つのグループ(グループ1〜3)に分けることが可能である。
【0015】
図1に示すように、電子計算機1は、略箱形または略平板形状の本体の前面に、ユーザが操作するボタン類および数値等を表示する表示部を配置して構成される。
図1に示すように、電子計算機1の前面には、数値を入力するためのテンキー101が配設される。テンキー101には0〜9の数字キーとともに、入力した数値を消去させるクリアキーと、電子計算機1に入力された状態にある全ての数値および金額表示部110−119の表示の消去を指示するオールクリアキーとを備えている。また、電子計算機1の前面には、テンキー101により入力された数値に基づく計算の実行を指示する計算指示ボタン102が配設されている。
【0016】
また、電子計算機1の前面には、金額表示部110−119と、選択ボタン120−129とが配置されている。
金額表示部110−119は、テンキー101により入力された条件や計算結果等を表示する表示部であり、例えば、LCDパネルや有機ELパネルを備えて構成され、所定桁数の数値を表示する。金額表示部110−119は、テンキー101の操作中に、入力された数を随時表示するので、一種の入力ボックスとして機能すると考えてよい。
【0017】
金額表示部110は、テンキー101の操作により入力された現在の合計金額を表示する。金額表示部111は、一部の支払者または支払者に含まれない人等から提供された金額(差し入れ)があった場合に、その金額を表示する。この差し入れの金額は、上記の割り勘の計算で支払者の負担金額から除かれる。
金額表示部112は、グループ1の支払者の負担金額を表示する。金額表示部113は、グループ1の支払者の人数を表示する。金額表示部114は、グループ2の支払者の負担金額を表示し、金額表示部115はグループ2の支払者の人数を表示する。金額表示部116はグループ3の支払者の負担金額を表示し、金額表示部117はグループ3の支払者の人数を表示する。
金額表示部118は、端数単位として入力された金額を表示する。この端数単位とは、グループ1〜3の支払金額を算出する際の単位となる金額であり、例えば、端数単位が500円の場合、グループ1〜3の支払金額は500円単位で算出される。金額表示部119は、端数金額を表示する。この端数金額は、全支払者の支払金額の合計と、金額表示部110に表示される現在の合計金額との差額である。ここで、現在の合計金額よりも全支払者の支払金額の合計が多い場合、端数金額は負の値となる。
【0018】
この電子計算機1の使用時に、金額表示部110−119に表示される数値をテンキー101の操作により入力する場合、入力しようとする表示部を選択する必要がある。電子計算機1は、この選択を行うための選択ボタン120−129を備えている。
選択ボタン120−129は、それぞれ、金額表示部110−119の側方に並べて配設されたスイッチである。選択ボタン120−129は、隣接する金額表示部110−119の数値を選択する際に操作され、選択ボタン120−129のいずれか一つのみが排他的にONとなるよう構成されている。選択ボタン120−129は、例えば押しボタンスイッチであって、LED等の光源を内蔵しており、ユーザの操作によりONとなった場合に光源が点灯して発光する。このため、電子計算機1の動作中には、選択ボタン120−129のいずれか一つの選択ボタンがONとなって、発光する。このONになっている選択ボタンに隣接する金額表示部の数値を、テンキー101により入力できる。
【0019】
また、金額表示部110−119を挟んで選択ボタン120−129の反対側に、条件確定指示部105が配設されている。条件確定指示部105は、金額表示部110−119にそれぞれ隣接する確定指示ボタン130−139と、確定解除ボタン140−149とを備えている。
確定指示ボタン130−139は、それぞれ、金額表示部110−119に表示された数値を確定させるためのスイッチであり、確定解除ボタン140−149は、確定指示ボタン130−139により確定された数値を、非確定状態に戻すためのスイッチである。確定指示ボタン130−139および確定解除ボタン140−149は、例えば押しボタンスイッチで構成され、LED等の光源を内蔵しており、ユーザの操作によりONとなった場合に光源が点灯して発光する。
各々の確定指示ボタン130−139と、これに隣接する各々の確定解除ボタン140−149とは対になっており、排他的にONになる。例えば、確定指示ボタン130と確定解除ボタン140とは、いずれか一方のみがONになるよう構成され、確定指示ボタン130がONになり、図中実線で示すように点灯しているときは、確定解除ボタン140はOFFになっており、図中破線で示すように消灯している。
従って、確定指示ボタン130−139をONにすることで、金額表示部110−119に表示された数値を自在に確定させることが可能で、確定された数値については、確定解除ボタン140−149の操作によって自在に非確定状態に戻すことができる。
【0020】
このように、電子計算機1においては、金額表示部110−119、選択ボタン120−129、確定指示ボタン130−139、および、確定解除ボタン140−149が一つずつ組をなしている。具体的には、金額表示部110に表示される現在の合計金額に対応する操作部として、選択ボタン120、確定指示ボタン130、および確定解除ボタン140が設けられており、これら操作部の操作によって、金額表示部110に表示される数値の入力、クリア、確定、および非確定状態に戻す操作を実行できる。
【0021】
電子計算機1を操作するユーザは、選択ボタン120−129を操作して、割り勘計算の条件となる数値を選択し、この条件をテンキー101により入力し、入力した数値を確定指示ボタン130−139の操作により確定させる。そして、必要な条件を入力し終わったら、計算指示ボタン102を操作して割り勘計算を実行させる。これにより、金額表示部110−119のうち、確定されなかった表示部に表示される数値、すなわち、金額表示部112、114、116に表示されるグループ1〜3の支出金額等が算出される。
この算出された支出金額を見て、条件を変えて再び計算を行わせる場合、ユーザは、条件確定指示部105の確定解除ボタン140−149を操作して、変更したい条件を非確定状態に移行させる。その後、選択ボタン120−129を操作して新たに入力する条件を選択し、テンキー101の操作により数値を入力し、入力後に確定指示ボタン130−139の操作によって条件を確定させる。
以上の操作の繰り返しにより、ユーザは、何度でも条件を変えて割り勘計算を行わせることができる。
また、全ての条件をクリアする場合には、テンキー101が備えるオールクリアキーを操作すればよい。
【0022】
図2は、電子計算機1の機能的構成を示すブロック図である。
この図2に示すように、電子計算機1は、電子計算機1の各部を制御するとともに割り勘計算を実行する制御部2と、制御部2によって実行されるプログラムや、このプログラムに係るデータ等を不揮発的に記憶するROM3と、電子計算機1の前面に設けられたテンキー101、計算指示ボタン102、選択ボタン120−129、確定指示ボタン130−139、確定解除ボタン140−149の操作に応じて操作信号を生成して制御部2に出力する操作部4と、制御部2の制御に従って、金額表示部110−119に数値等を表示させる表示部5と、電子計算機1の各部に電源を供給する電源部6とを備えて構成される。
【0023】
制御部2は、ROM3に記憶された制御プログラムを読み出して実行することにより、電子計算機1の各部を制御して、テンキー101により入力された数値を取得し、計算指示ボタン102の操作によって計算実行が指示された場合に、この指示に応じて計算処理を行って、支払者一人あたりの支出金額を算出する。
この計算処理において、制御部2は、計算指示ボタン102が操作された時点で確定指示ボタン130−139の操作により確定された条件を取得し、確定されていない条件を検出する。そして、制御部2は、後述する条件特性テーブル3A等に基づいて、確定された条件が適切か否かを判定し、適切な条件であれば計算を実行して、計算結果を出力する。また、制御部2は、確定されていない条件について、条件特性テーブル3Aに設定された内容に基づいて、適宜、数値を設定する。
【0024】
操作部4は、図1に示した電子計算機1のテンキー101、計算指示ボタン102、選択ボタン120−129、確定指示ボタン130−139、および、確定解除ボタン140−149に接続され、これらボタン等の操作を検出し、操作されたボタン等に応じた操作信号を生成して制御部2に出力する。
表示部5は、制御部2から入力される表示信号に基づいて、金額表示部110−119に数値を表示させる。
また、表示部5は、金額表示部110−119において、カタカナ、ひらがな、記号若しくは漢字によるメッセージを表示させることも可能である。例えば、テンキー101によって入力された数値が、制御部2によって不適切であると判定された場合、制御部2から表示部5に対して、再入力を求めるメッセージを表示するための表示信号が出力される。この場合、表示部5は、金額表示部110−119においてメッセージを表示させる。
電源部6は、各種の一次電池、二次電池または燃料電池等の電池を内蔵し、電子計算機1の各部に電源を供給する。また、電源部6を、ACアダプタを介して商用電源に接続された構成として、このACアダプタにより供給される直流電源をもとに、電子計算機1の各部に電源を供給してもよい。また、電源部6は、電子計算機1の前面や側面等に配設された太陽電池パネルを備え、この太陽電池パネルの起電力により電子計算機1の各部に電源を供給してもよい。
【0025】
図3は、条件特性テーブル3Aの構成を示す図である。
条件特性テーブル3Aは、電子計算機1において入力される条件の取り扱いに関する制限事項を定めたテーブルであり、ROM3に記憶されている。条件特性テーブル3Aでは、金額表示部110−119に表示される各条件について、計算処理時に確定されている必要の有無と、確定されていない場合に行う処理とが対応づけて定められている。
例えば、金額表示部110に表示される現在の合計金額は、計算処理時に確定されている必要があると設定されている。また、金額表示部111に表示される差し入れの金額は、計算処理時に確定されるか否かは任意であり、確定されなかった場合は初期値(0円)となる旨が設定されている。また、グループ1〜3の支出金額、および端数金額は、計算処理によって算出される数値となっている。
【0026】
電子計算機1においては、テンキー101によって入力され、確定指示ボタン130−139により確定された条件が、計算を行うにあたって不適切な場合がある。
例えば以下の例が、条件が不適切な場合として挙げられる。
1.現在の合計金額が確定されていない。
2.現在の合計金額が0円で確定された。
3.グループ1、またはグループ1〜3のいずれも、人数が確定されていない。
4.グループ1の人数、またはグループ1〜3の人数が、合計0人で確定された。
5.0人のグループの支出金額が0円でない金額で確定された。
6.差し入れの金額が、現在の合計金額より多い金額で確定された。
7.いずれかのグループの支出金額が現在の合計金額より多い金額で確定された。
8.端数単位が、現在の合計金額より多い金額で確定された。
9.端数金額が、現在の合計金額より多い金額で確定された。
【0027】
上記1、3の例では、計算にあたっての条件が不足する。例えば現在の合計金額は、条件特性テーブル3Aにおいて確定する必要があると定められており、上記1の例は、明らかにこの設定に反している。また、上記8、9の例では確定された条件が相互に矛盾を生じ、支出金額を求めることができない。上記2、4、5の例では、確定された数値自体が矛盾を含んでおり、正常な計算を行うことができない。さらに、上記6、7の例では、そもそも割り勘の計算を行う必要がないし、一部または全部のグループについて支出金額が0円になることが明らかである。
制御部2は、計算指示ボタン102が操作された時点で確定された条件が、例えば上記1〜10のように、不適切な例として予め設定された例に該当する場合、条件が適切でないと判定し、計算を実行しない。この判定の根拠は、条件特性テーブル3A、および、上記1〜10のように、不適切な例として予めROM3に記憶された情報に基づいて実行される。なお、確定された条件が不適切な例は、上記の1〜9に限定されず、他にも、いずれかのグループの支出金額が端数単位より少ないといった例等が挙げられる。
【0028】
このように電子計算機1を構成する各構成部のうち、テンキー101は数値入力操作部に相当し、選択ボタン120−129は選択操作部に相当し、金額表示部110−119は数値表示部に相当し、条件確定指示部105が備える確定指示ボタン130−139および確定解除ボタン140−149は確定操作部に相当し、計算指示ボタン102は計算実行指示部に相当する。
また、機能的には、テンキー101および選択ボタン120−129は操作部4とともに条件入力手段として機能し、条件確定指示部105が備える確定指示ボタン130−139および確定解除ボタン140−149は操作部4とともに条件確定指示手段として機能し、計算指示ボタン102は操作部4とともに計算指示手段として機能する。
さらに、以下に説明する動作において、制御部2は、計算処理手段および判定手段として機能し、さらに表示部5とともに報知手段として機能する。
【0029】
図4は、電子計算機1の動作を示すフローチャートである。
制御部2は、テンキー101および選択ボタン120−129の操作によって、金額表示部110−119に表示される各条件が入力され、確定指示ボタン130−139および確定解除ボタン140−149の操作によっていくつかの条件が確定され(ステップS11)、計算指示ボタン102が操作されると(ステップS12)、確定された条件を取得するとともに、確定されなかった条件を検出する(ステップS13)。
【0030】
ここで、制御部2は、ステップS13で取得および検出した条件が適切であるか否かを、上述した例のように判定し(ステップS14)、条件が適切でない場合には、再入力を求めるメッセージを表示するための表示信号を表示部5に出力して、金額表示部110−119のいずれか不適切なもの、或いは全ての金額表示部110−119において、メッセージを表示させて(ステップS15)、ステップS11に戻る。
また、ステップS13で取得および検出した条件が適切な場合(ステップS14;Yes)、制御部2は、確定された条件を満たすように計算を実行して、算出対象とされた数値、すなわち、グループ1〜3(0人のグループを除く)の支出金額を算出するとともに、端数金額を算出する(ステップS16)。このステップS16では、グループ1〜3のいずれかの支出金額または端数金額が確定されていた場合、確定された数値を変動させることなく、他の数値を算出する。
そして、制御部2は、計算結果を表示するための表示信号を生成して表示部5に出力し、金額表示部110−119に計算により得られた数値を表示させ(ステップS17)、本処理を終了する。
【0031】
本実施形態に係る電子計算機1は、制御部2の機能によって、確定された現在の合計金額をもとに各人の支出金額を求める計算を行う。各人の支出金額が固定されていない点に着目して、この計算を、ここでは予算変動型の計算と呼ぶ。
制御部2が実行する予算変動型の計算の概要は以下の通りである。
まず、制御部2は、差し入れの金額、グループ2の人数、グループ3の人数、および端数単位のうち、確定されなかった条件があれば、その条件に、条件特性テーブル3Aに従って初期値を入力する。
【0032】
そして、確定された条件および初期値が入力された条件に基づいて、計算を実行する。この計算の例としては、以下のケースが挙げられる。
ケース1.グループ2および3の人数が0人である場合、現在の合計金額、グループ1の人数、端数単位の確定された数値に基づいて、グループ1の支払金額と端数金額を算出する。このケースにおいて、制御部2は、現在の合計金額をグループ1の人数で除算してグループ1の支出金額を求め、求めた支出金額が端数単位よりも細かい金額であった場合には、支出金額を端数単位で切り捨てる処理を行って支出金額を決定する。続いて制御部2は、グループ1の人数と支出金額とを乗じて、この積を現在の合計金額から減算した差を、端数金額として決定する。
ケース2.グループ2またはグループ3の人数が0人でない場合、現在の合計金額、グループ1〜3の人数、0人のグループを除くいずれかのグループの支払い金額、端数単位の確定された数値に基づいて、確定されなかったグループの支払金額と端数金額を算出する。このケースにおいて、制御部2は、支出金額が確定されたグループについて支出金額と人数とを乗じてグループの総支払い金額を求め、求めた総支払い金額を現在の合計金額から減算して差を求め、この差を、支出金額が確定されていないグループの人数で除算して支出金額を求め、求めた支出金額が端数単位よりも細かい金額であった場合には、支出金額を端数単位で切り捨てる処理を行って支出金額を決定する。続いて制御部2は、全てのグループについて人数と支出金額とを乗じて、この積を現在の合計金額から減算した差を、端数金額として決定する。
上記ケース1〜2の計算を行う際に、既に端数金額が確定されている場合は、この端数金額を現在の合計金額から減算し、減算した数値を仮の合計金額として、この仮の合計金額を割って各グループの支出金額とする。ここで、仮の合計金額の端数が生じてはならないので、例えば端数単位が大きすぎる場合など、支出金額の計算ができないことがある。このような場合、制御部2は、計算を中断して再入力を求めるメッセージを表示部5によって出力するか、或いは、端数金額を変更する。
【0033】
このほか、金額表示部119に表示される端数金額が確定された場合に、端数金額を確定された数値に固定するだけでなく、確定された数値以上、または、確定された数値以下としてもよい。この場合、端数金額に関する条件が緩和されることで、計算の自由度が高まり、再入力を求めることなく計算を実行できる場合が増える。
また、制御部2は、上記の計算を行った後に、現在の合計金額、差し入れ金額、いずれかのグループの人数、いずれかのグループの支出金額、端数単位等が変更された場合に、計算指示ボタン102の操作に応じて、再計算を行う。この再計算を実行した場合、制御部2は、表示部5によって金額表示部110−119の表示を更新させる。
【0034】
以上のように、本発明を適用した第1の実施形態に係る電子計算機1によれば、割り勘計算の前提となる条件を、テンキー101および選択ボタン120−129を用いて簡単に入力することができ、条件確定指示部105の操作によって、一部または全部の条件を確定させて、計算を行わせることが可能である。特に、条件確定指示部105の操作によって、任意の条件を自在に確定させ、非確定状態に戻すことができるので、各条件の優先度等を簡単に反映させることが可能で、割り勘計算の結果を速やかに得ることができる。
【0035】
また、電子計算機1は、支払者を複数のグループに分け、各グループの支払者が同額を支出するよう支出金額を定める予算変動型の計算を行うことにより、グループ毎の人数と、いずれかのグループにおける支払者一人の支出金額と、現在の合計金額とを入力する操作でで、他のグループにおける支払者一人あたりの支出金額を速やかに得ることができる。また、全てのグループにおける支出金額を全て入力した上で、一部のグループの支出金額のみを確定させて計算をさせることができ、簡単な操作によって、グループ毎の支出金額を容易に調整しながら、最適な支出金額の配分を求めることができる。
【0036】
また、計算指示ボタン102の操作によって計算の開始が指示された場合に、制御部2は、条件確定指示部105の操作により確定された条件が適切か否かを判定し、条件が適切でない場合は金額表示部110−119を用いて報知を行うので、誤った条件の入力を速やかにユーザに知らせて、正しい条件の入力を促すことができる。
【0037】
[第2の実施形態]
図5は、本発明の電子機器を適用した第2の実施形態に係る電子計算機1Aの構成を示す外観図である。図6は、電子計算機1Aの機能的構成を示すブロック図である。
本第2の実施形態において、上記第1の実施形態と共通する部分については、同符号を付して説明を省略する。
【0038】
この第2の実施形態に係る電子計算機1Aは、本体の前面に金額取得ボタン103を備えており、この金額取得ボタン103の操作に応じて、現在の合計金額(現実の総支出金額)を自動的に取得する機能を備えている。
電子計算機1Aは、例えば飲食店の店舗において、顧客であるユーザが着席するテーブル上に設置され、好ましくは当該テーブル上から移動できないよう固定されている。
【0039】
図6に示すように、電子計算機1Aは、上記店舗内に設置されたオーダリングシステムとの間で情報を送受信可能な通信インタフェース(I/F)7を備えている。上記店舗のオーダリングシステムは、テーブル毎に顧客のオーダーを管理して、会計前のタイミングであっても、既に受け付けたオーダーに対する支払金額をテーブル毎に随時算出する機能を備えている。
通信インタフェース7は、有線または無線通信回線を介して、上記のオーダリングシステムに接続される。制御部2は、操作部4から金額取得ボタン103の操作を示す操作信号が入力されると、通信インタフェース7を制御してオーダリングシステムとの間で通信を実行させ、ユーザが着席しているテーブルの支払金額を取得し、取得した金額を、現在の合計金額として入力する。
電子計算機1Aが備えるROM3または通信インタフェース7は、電子計算機1Aに固有の識別情報(ID)を記憶している。通信インタフェース7は、オーダリングシステムとの通信実行時に、ROM3または通信インタフェース7からIDを読み出してオーダリングシステムに送信する。これにより、オーダリングシステムは、当該電子計算機1Aが設置されたテーブルを特定し、このテーブルの支払金額に係る情報を電子計算機1Aに送信する。
【0040】
また、図5に示すように、電子計算機1Aの本体前面は、支払い予定金額を表示する金額表示部151、金額表示部151を選択するための選択ボタン152、金額表示部151の値を確定させるための確定指示ボタン153および非確定状態に戻すための確定解除ボタン154を備えている。加えて、電子計算機1Aには、使える残り金額(以下、残り金額という)を表示する金額表示部155、金額表示部155を選択するための選択ボタン156、金額表示部155の数値を確定させるための確定指示ボタン157および非確定状態に戻すための確定解除ボタン158を備えている。
選択ボタン152、156は、他の選択ボタン120−129と合わせて排他的にONとなるスイッチである。従って、電子計算機1Aにおいては、選択ボタン120−129、152、156のうち、一つのみがONとなる。
また、確定指示ボタン153と確定解除ボタン154、および確定指示ボタン157と確定解除ボタン158は、それぞれ対となっており、排他的にONとなって、ONの状態で点灯するスイッチである。これら確定指示ボタン153、157、確定解除ボタン154、158は、確定指示ボタン130−139および確定解除ボタン140−149とともに、条件確定指示部105の一部として配設される。
【0041】
この電子計算機1Aにおいて、選択ボタン152、156は選択操作部に相当し、金額表示部151、155は数値表示部に相当し、確定指示ボタン153、157および確定解除ボタン154、158は確定操作部に相当する。機能的には、選択ボタン152、156は操作部4とともに条件入力手段として機能し、確定指示ボタン153、157および確定解除ボタン154、158は操作部4とともに条件確定指示手段として機能する。さらに、通信インタフェース7は制御部2とともに金額取得手段として機能する。
【0042】
本第2の実施形態に係る電子計算機1Aは、上記第1の実施形態における図5のステップS16において、制御部2の機能によって残り金額を計算する。この計算は、各人の支出金額が確定され、この支出金額と人数とに基づいた現在の合計金額が固定された条件のもとに実行される。この計算を、各人の支出金額が固定されている点に着目して、ここでは予算固定型の計算と呼ぶ。
制御部2が実行する予算固定型の計算の概要は以下の通りである。
【0043】
金額表示部151に表示される支払い予定金額は、グループ1〜3の全支払者で負担する総額である。この支払い予定金額は、テンキー101の操作により、グループ1〜3の支出金額および人数が確定されてから、この支出金額と人数を乗じた額の合計をもとに求めることが可能である。
また、支払い予定金額はテンキー101によって入力可能であり、この場合、制御部2の機能により、グループ1〜3の人数、0人のグループを除くいずれかのグループの支出金額、支払い予定金額が確定された状態で、他のグループの支出金額が自動的に計算される。
【0044】
金額表示部155に表示される残り金額は、金額表示部151に表示される支払い予定金額と金額表示部111に表示される差し入れ金額との合計から、金額表示部110に表示される現在の合計金額を減算した差額である。
電子計算機1Aの制御部2は、支払い予定金額が確定された状態で、金額取得ボタン103の操作に応じて上記店舗のオーダリングシステムから現在の合計金額を取得すると、残り金額を算出して金額表示部155の表示を更新する。この場合、制御部2は、差し入れ金額が確定されていれば、差し入れ金額を加味して残り金額を算出し、差し入れ金額が確定されていなければ、条件特性テーブル3A(図3)に従って差し入れ金額に0円を入力して、残り金額を算出する。
【0045】
さらに、制御部2は、上記計算の終了後、0人のグループを除くいずれかのグループの支出金額がテンキー101の操作により変更されて確定され、他のグループの支出金額が非確定状態に戻された場合、再計算を行う。この再計算では、変更された支出金額に基づいて、支払い予定金額を変更し、この変更した支払い予定金額に基づいて、確定されていないグループの支出金額を算出する。この再計算は、いずれかのグループの人数、端数単位、差し入れ金額が変更された場合も、実行される。
【0046】
電子計算機1Aにおいて、金額表示部110に表示される現在の合計金額、および、金額表示部155に表示される残り金額は、いずれも自動的に制御部2によって取得または算出されるが、選択ボタン120および選択ボタン156を操作することにより、テンキー101で修正・変更することが可能である。この場合、制御部2は、修正・変更された数値に基づいて再度計算を行い、表示部5によって表示を更新させる。
【0047】
以上のように、本発明を適用した第2の実施形態に係る電子計算機1Aによれば、上記第1の実施形態における電子計算機1と同様の効果に加えて、予算固定型の計算を行うことによって、グループ毎の人数と、各々のグループにおける支払者一人あたりの支出可能な予定金額と、現在の合計金額とを入力する操作を行うことで、今後に使うことができる残り金額を速やかに得ることができる。
また、電子計算機1Aは、通信インタフェース7を用いることにより、金額取得ボタン103の操作に応じて、外部のオーダリングシステムから現在の合計金額を取得するので、より簡単な操作で残り金額を算出できる。さらに、現在の合計金額に関する入力ミスが無くなるので、より正確な計算結果を得られるという利点がある。
【0048】
[第3の実施形態]
図7は、本発明の電子機器を適用した第3の実施形態に係る電子計算機1Bの構成を示す外観図である。
この図7に示す電子計算機1Bは、上記第2の実施形態に係る電子計算機1Aと同様に構成され、さらに、モード切替ボタン106、107を備えたものである。
電子計算機1Bは、第1の実施形態に係る電子計算機1と同様の予算変動型計算を行う予算変動モードと、第2の実施形態に係る電子計算機1Aと同様の予算固定型計算とを実行する予算固定モードと、を実行可能である。モード切替ボタン106は予算変動モードの実行を指示し、モード切替ボタン107は予算固定モードの実行を指示するボタンである。モード切替ボタン106とモード切替ボタン107とは対になっており、排他的にONになって、ONの状態では内蔵の光源を点灯させて、図中実線で示すように発光する。
【0049】
予算変動モードにおける電子計算機1Bの動作は、第1の実施形態の電子計算機1と同様である。この予算変動モードでは、金額表示部151、155、選択ボタン152、156、確定指示ボタン153、157、確定解除ボタン154、158は使用されない。また、電子計算機1Bでは、予算変動モードにおいても金額取得ボタン103を使用可能であり、この金額取得ボタン103の操作に応じて現在の合計金額が取得される。
一方、予算固定モードにおける電子計算機1Bの動作は、第2の実施形態の電子計算機1Aと同様である。
【0050】
この構成によれば、上記第1の実施形態の電子計算機1が実行する予算変動モードと、第2の実施形態の電子計算機1Aが実行する予算固定モードとを、モード切替ボタン106、107の操作によって簡単に切り換えて実行でき、様々な形態の割り勘計算に対応して、簡単な操作により速やかに計算結果を得られるという利点がある。
【0051】
なお、上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上記第1〜3の実施形態において、選択ボタン120−129、152、156を排他的にONにさせる構成は、例えば、機械的に、一つのボタンが押下されると他のボタンが全て押し上げられてOFF位置まで復帰する構成としてもよいし、電気的に、いずれか一つのボタンがONになる際に、他のボタンをOFFにさせてもよい。同様に、条件確定指示部105が備える確定指示ボタンと確定解除ボタンとが排他的にONになる構成も、機械的または電気的に構成することが可能である。
【0052】
また、例えば、上記各実施形態において、電子計算機1、1A、1Bは略箱形または略平板形状の本体を有するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、テーブル等の什器・設備に埋め込みまたは固定して設置されたものであってもよいし、他の機器に組み込まれた構成としてもよい。また、電子計算機1、1A、1Bは電源スイッチを備え、この電源スイッチがONの状態でのみ上記動作を実行するものとしてもよい。さらに、電子計算機1、1A、1Bは、計算指示ボタン102が操作された際に、条件確定指示部105の操作により確定された条件が不適切であった場合には、再入力を求めるメッセージを出力するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、入力された条件が不適切である旨を報知するメッセージを出力してもよい。
【0053】
さらに、上記各実施形態におけるテンキー101、計算指示ボタン102、金額取得ボタン103、モード切替ボタン106、107、選択ボタン120−129、152、156、確定指示ボタン130−139、153、157、確定解除ボタン140−149、154、158は、例えば、液晶表示画面やCRT(Cathode Ray Tube)等の表示画面上に重畳されたタッチパネルにより実現してもよい。この場合、これらボタンがONの状態とOFFの状態とでボタンの表示状態を変化させることにより、上述したように光源を内蔵したボタンが発光する機能を代替できる。また、上記各実施形態に係る電子計算機1、1A、1Bは、パーソナルコンピュータやPDA等の電子機器に適用して実現することも可能である。その他、電子計算機1、1A、1Bの具体的な細部構成についても任意に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1の実施形態に係る電子計算機の構成を示す外観図である。
【図2】電子計算機の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】電子計算機が備える条件特性テーブルの構成を示す図である。
【図4】電子計算機の動作を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態に係る電子計算機の構成を示す外観図である。
【図6】第2の実施形態に係る電子計算機の機能的構成を示すブロック図である。
【図7】第3の実施形態に係る電子計算機の構成を示す外観図である。
【符号の説明】
【0055】
1、1A、1B…電子計算機(電子機器)、2…制御部(計算処理手段、金額取得手段、判定手段、報知手段)、2A…メモリ、3…ROM、3A…条件特性テーブル、4…操作部(条件入力手段、条件確定指示手段、計算指示手段)、5…表示部、6…電源部、7…通信インタフェース(金額取得手段)、101…テンキー(条件入力手段、数値入力部)、102…計算指示ボタン(計算指示手段、計算実行指示部)、103…金額取得ボタン、105…条件確定指示部(条件確定指示手段、確定操作部)、106、107…モード切替ボタン、110−119、151、155…金額表示部(報知手段、数値表示部)、120−129、152、156…選択ボタン(条件入力手段、選択操作部)、130−139、153、157…確定指示ボタン、140−149、154、158…確定解除ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支払者が総支出金額を分けて支出する場合の金額を計算する電子機器において、
複数項目の条件を項目毎に入力するための条件入力手段と、
前記条件入力手段により入力された複数項目の前記条件について、項目毎に確定を指示する条件確定指示手段と、
計算の開始を指示する計算指示手段と、
前記計算指示手段の指示に応じて、前記条件確定指示手段により確定された項目の前記条件に基づいて計算を実行する計算処理手段と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記条件入力手段は、同じ支出金額を支出する前記支払者を一つのグループに属させた場合の前記グループ毎の人数と、いずれかの前記グループに属する前記支払者一人あたりの支出金額と、総支出金額との各項目の前記条件を入力可能に構成され、
前記計算処理手段は、前記グループ毎の人数と、いずれかの前記グループに属する前記支払者一人あたりの支出金額と、総支出金額とが前記条件確定指示手段により確定された場合に、これら確定された前記条件に基づいて、支出金額が確定されていない前記グループの前記支払者一人あたりの支出金額を算出すること、
を特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記条件入力手段は、同じ支出金額を支出する前記支払者を一つのグループに属させた場合の前記グループ毎の人数と、各々の前記グループに属する前記支払者一人あたりの支出可能な予定金額と、現実の総支出金額との各項目の前記条件を入力可能に構成され、
前記計算処理手段は、前記グループ毎の人数と、各々の前記グループに属する前記支払者一人あたりの支出可能な予定金額と、現実の総支出金額とが前記条件確定指示手段により確定された場合に、これら確定された前記条件に基づいて、今後に支出可能な残り金額を算出すること、
を特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
第1の動作モードと、第2の動作モードとを切り換えて実行可能に構成され、
前記第1の動作モードにおいては、
前記条件入力手段は、同じ支出金額を支出する前記支払者を一つのグループに属させた場合の前記グループ毎の人数と、いずれかの前記グループに属する前記支払者一人あたりの支出金額と、総支出金額との各項目の前記条件を入力可能に構成され、
前記計算処理手段は、前記グループ毎の人数と、いずれかの前記グループに属する前記支払者一人あたりの支出金額と、総支出金額とが前記条件確定指示手段により確定された場合に、これら確定された前記条件に基づいて、支出金額が確定されていない前記グループの前記支払者一人あたりの支出金額を算出し、
前記第2の動作モードにおいては、
前記条件入力手段は、同じ支出金額を支出する前記支払者を一つのグループに属させた場合の前記グループ毎の人数と、各々の前記グループに属する前記支払者一人あたりの支出可能な予定金額と、現実の総支出金額との各項目の前記条件を入力可能に構成され、
前記計算処理手段は、前記グループ毎の人数と、各々の前記グループに属する前記支払者一人あたりの支出可能な予定金額と、現実の総支出金額とが前記条件確定指示手段により確定された場合に、これら確定された前記条件に基づいて、今後に支出可能な残り金額を算出すること、
を特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項5】
外部の機器との間で通信を実行することにより、前記外部の機器から現在の総支出金額を取得する金額取得手段を備えること、
を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記計算指示手段により計算の開始が指示された場合に、前記条件確定指示手段により確定された前記条件が適切か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記条件が適切でないと判定された場合に報知を行う報知手段と、を備えること、
を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
複数の支払者が総支出金額を分けて支出する場合の金額を計算する電子機器の制御方法であって、
複数項目の条件が項目毎に入力され、入力された複数項目の前記条件について、項目毎に確定が指示され、計算の開始が指示された場合に、確定された項目の前記条件に基づいて計算を実行すること、
を特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項8】
複数の支払者が総支出金額を分けて支出する場合の金額を計算する電子計算機において、
複数項目の条件について数値を入力するための数値入力部と、
前記数値入力操作部により数値を入力する前記条件を選択する選択操作部と、
前記数値入力操作部により入力された数値を前記条件毎に表示する数値表示部と、
前記数値表示部により前記条件毎に表示された数値の確定を指示する確定操作部と、
前記数値入力操作部により入力された数値に基づく計算の実行を指示する計算実行指示部と、
を備えたことを特徴とする電子計算機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−243134(P2008−243134A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86716(P2007−86716)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】