説明

電子部品の放熱方法

【目的】本発明は、放熱板の位置ずれがなく、放熱板をネジや接着剤を用いて固定する必要もなく、更に電子部品の高さが異なっても余分な工程やコストがかかることなく電子部品の放熱を十分になしえることを主要な目的とする。
【構成】放熱板(21)に電子部品(24)の表示部と係合する凸部(22,23) を設け、この凸部(22,23) を通して電子部品(24)からの熱を放熱するか、あるいは基板に高さの異なる複数の電子部品が実装された場合に、各電子部品のうちもっとも高さのある電子部品の最高部が定位置となるように各電子部品の高さをそろえて電子部品の放熱を行うことを特徴とする電子部品の放熱方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回路基板上に実装された電子部品から発生する熱を放熱する電子部品の放熱方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知の如く、回路基板上に実装された電子部品(IC)は一般に熱を発生するためのなんらかの放熱手段が取られている。図1は、その一例を示すもので、回路基板1に実装された電子部品2,3の上面に放熱性の良い材質からなる放熱板4を取り付けて放熱を行う場合を示す。
【0003】図2は、その他の例を示すもので、電子部品2,3の上面に放熱板を取り付けられないため電子部品2,3と回路基板1との間に放熱板5を取り付ける場合を示す。なお、図中の6は放熱板5を回路基板1に固定するためのネジを示す。
【0004】ところで、上記放熱板には熱伝導率の高い安価な材質としてAI(アルミ)等が多く用いられているが、AIは導電体であることから、放熱板として使用する場合には電子部品のピン7と接触しないように取り付ける必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図2に示す従来技術によれば、電子部品2,3の底面と回路基板1との間に放熱板5を取り付けた時に位置ずれを起こし、放熱板5と電子部品2,3のピン7とが接触することがあった。また、放熱板4を固定するために図2、図3のようにネジ7で回路基板1に固定したり,あるいは接着剤で固定するために製造上で問題であった。
【0006】また、従来、回路基板上に複数の電子部品が実装される場合において、図4に示すように各電子部品11,12,13の高さが略一定の場合には、放熱板5と電子部品11〜13との接触が十分であった。しかし、例えば図5に示すように、ある電子部品12が他の電子部品11,13よりも高いというように使用する電子部品の高さが異なるものが混在する場合、高さが最も高い電子部品12に位置合せて放熱板5を位置合わせすることになる。その結果、低い電子部品11,13と放熱板5との間に隙間が生じ、電子部品11,13の放熱が不十分になる。
【0007】そこで、図6に示すように放熱板5と各電子部品11〜13との間に放熱材14を介在させる手段が講じられている。しかし、この場合、新たに放熱材14を用いるため、この放熱材14を付ける工程が必要になり、また放熱材14のコストが余分にかかるという問題点があった。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、放熱板の位置ずれがなく、また放熱板をネジや接着剤を用いて固定する必要もなく、更に電子部品の高さが異なっても余分な工程やコストがかかることなく電子部品の放熱を十分になしえる電子部品の放熱方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願第1の発明は、基板に放熱板を介して実装され,位置・方向決めのための凹部を有した電子部品を放熱する方法において、前記放熱板に前記電子部品の凹部と係合する凸部を設け、この凸部を通して電子部品からの熱を放熱することを特徴とする電子部品の放熱方法である。本願第1の発明において、凹部としては、電子部品本体に開口された貫通穴あるいは半円柱状の切欠部等が挙げられる。
【0010】本願第2の発明は、基板に実装された高さの異なる複数の電子部品を、これら電子部品の上方に配置された放熱板を用いて放熱する方法において、前記各電子部品のうちもっとも高さのある電子部品の最高部が定位置となるように各電子部品の高さをそろえ、かつこれらの電子部品の上面の夫々に前記放熱板が接するようにして電子部品の放熱を行うことを特徴とする電子部品の放熱方法である。
【0011】
【作用】本願第1の発明においては、放熱板に取付けた凸部が電子部品の凹部と係合させて電子部品の放熱を行なうため、従来のように放熱板の位置ずれもなく、またネジ止めや接着剤等による固定も必要とするなく、電子部品の放熱を良好に行なうことができる。
【0012】本願第2の発明においては、高さが低い電子部品の上部位置を高さが高い電子部品の高さに合わせて回路基板に実装し、これら電子部品放熱板を取り付けて放熱行なうため、高さが皆等しい複数の電子部品に放熱板を取り付けた場合と同じ状態で放熱を行なうことになる。従って、図6のように放熱材を用いずに、放熱板と電子部品との接触が良好となり、安定した放熱効果が得られる。また、放熱材を用いにないため、放熱剤を付ける工程を省き、コスト低減を図ることができる。
【0013】
【実施例】(実施例1)図7及び図8を参照する。
【0014】図8において、21は上部に円柱状の凸部22,23が設けられた放熱板である。ここで、前記凸部22,23は、電子部品24,25の側壁の一部に設けられた位置・方向決め用の半円柱状の切欠部24a,25aに装着するように、放熱板21に設けられている。なお、回路基板への実装は、放熱板21と電子部品24,25とを組み合わせた状態で半田付けすればよい。
【0015】しかして、上記構成の放熱板21を用いて回路基板に電子部品24,25を実装すれば、放熱板21に取付けた凸部22,23が電子部品24,25の切欠部24a,25aと係合するため、従来のように放熱板21の位置ずれもなく、またネジ止めや接着剤等による固定も必要とするなく、電子部品24,25の放熱を良好に行なうことができるという効果を有する。
【0016】なお、実施例1に係る放熱板は、図8に示すように円柱状の凸部を設けたものに限らず、例えば図9R>9に示すように放熱板21の一部を切り裂いて立設させた凸部26でもよいし、その他の種々な形状が挙げられる。
(実施例2)図10を参照する。
【0017】図10において、31,32は高さが低い電子部品を、33は電子部品31,32に比較して高さが高い電子部品を示す。この実施例2では、高さが低い電子部品31,32の上部位置を高さが高い電子部品32の高さに合わせて回路基板34に実装し、更に前記電子部品31〜33上に放熱板35を取付けて放熱を行なった。
【0018】しかして、こうした放熱方法によれば、高さが低い電子部品31,32の上部位置を高さが高い電子部品32の高さに合わせて回路基板34に実装し、これら電子部品31〜33に放熱板を取り付けて放熱行なうため、高さが皆等しい複数の電子部品に放熱板を取り付けた場合と同じ状態で放熱を行なうことになる。従って、図6のように放熱材を用いずに、放熱板35と電子部品31〜33との接触が良好となり、安定した放熱効果が得られる。また、図6のように放熱材を用いないため、放熱剤を付ける工程を省き、コスト低減を図ることができる。
【0019】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明によれば、放熱板の位置ずれがなく、また放熱板をネジや接着剤を用いて固定する必要もなく、更に電子部品の高さが異なっても余分な工程やコストがかかることなく電子部品の放熱を十分になしえる電子部品の放熱方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ICの上面に放熱板を取り付けた従来の電子部品の放熱方法の説明図。
【図2】ICの底面と基板との間に放熱板を取り付けた従来の電子部品の放熱方法の説明図。
【図3】図2の部分平面図。
【図4】複数の電子部品の高さが略一定である場合の従来の電子部品の放熱方法の説明図。
【図5】複数の電子部品の高さがそれぞれ異なる場合の従来の電子部品の放熱方法の説明図。
【図6】複数の電子部品の高さがそれぞれ異なる場合において、放熱材を用いた従来の電子部品の放熱方法の説明図。
【図7】本発明の一実施例に係る電子部品の放熱方法の説明図。
【図8】図8で用いた放熱板の斜視図。
【図9】図8とは異なる他の放熱板の斜視図。
【図10】本発明の他の実施例に係る電子部品の放熱方法の説明図。
【符号の説明】
21,35…放熱板、22,23,26…凸部、24,25,31,32,33…電子部品、24a,25a…切欠部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板に放熱板を介して実装され,位置・方向決めのための凹部を有した電子部品を放熱する方法において、前記放熱板に前記電子部品の凹部と係合する凸部を設け、この凸部を通して電子部品からの熱を放熱することを特徴とする電子部品の放熱方法。
【請求項2】 基板に実装された高さの異なる複数の電子部品を、これら電子部品の上方に配置された放熱板を用いて放熱する方法において、前記各電子部品のうちもっとも高さのある電子部品の最高部が定位置となるように各電子部品の高さをそろえ、かつこれらの電子部品の上面の夫々に前記放熱板が接するようにして電子部品の放熱を行うことを特徴とする電子部品の放熱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開平5−90459
【公開日】平成5年(1993)4月9日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−251276
【出願日】平成3年(1991)9月30日
【出願人】(000003757)東芝ライテツク株式会社 (2,710)