説明

電気コネクタ

【課題】電気コネクタが完全に取り外されるまでの間に、電圧が十分に低下するのに必要な時間を確実に確保することができる構成を提供する。
【解決手段】電気コネクタ1は、1組のループ回路コネクタ2と、1組の高電圧コネクタ3と、電磁石ロック機構19と、を備えている。ループ回路コネクタ2は、ループ回路22の一部を構成する。高電圧コネクタ3は、高電圧回路の一部を構成する。電磁石ロック機構19は、高電圧回路から分岐した分岐線26に接続され、当該分岐線26からの電力によって動作する。ループ回路コネクタ2が取り外されることにより高電圧回路への電力の供給が遮断されたとき、電磁石ロック機構19は、前記高電圧回路の電圧が所定の電圧まで降下するまでの間は、ロック状態を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧用の電気コネクタにおいて、コネクタの取外しの際に作業者の安全を確保するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車においては、電動モータ等の各種デバイスに対して大容量の電力を供給する高電圧回路が設けられる。このような高電圧回路においては、電圧がかかった状態でコネクタの抜き差しを行うと、作業者が高電圧にさらされる危険がある。そこでこの種の高電圧回路においては、電気コネクタを取り外す際に、高電圧電源からの電力を自動的に遮断する高電圧インターロックループ回路を設ける場合がある。これにより、コネクタの着脱作業を行う作業者の安全を確保することができる。このような高電圧コネクタは、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−56088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成は、高電圧回路を高電圧電源から接続解除した後、適切に放電して60Vより低くなるのに5秒程度の時間を必要とすることを指摘している。従って、高電圧インターロックループ回路によって高電圧電源からの電力を遮断した後であっても、電圧が適切な値まで低下するのに十分な時間(5秒程度)経過するまでの間は、依然として作業者が高電圧にさらされる危険がある。
【0005】
この点、特許文献1は、高電圧コネクタを取り外すために、小型のドライバーや楊枝等の工具が必要な構成を開示している。特許文献1は、オペレータが工具を掴んで、高電圧コネクタを取り外す作業を行うのに要する時間は、一般的には、電圧が60Vより低い電圧まで適切に低下するうえで好ましい5秒の期間を優に超えるとしている。このように、高電圧コネクタを取り外すまでに時間がかかるように構成することにより、その間に放電させて安全な電圧まで低下させることができる。これにより、作業者が高電圧にさらされることを防止できる。
【0006】
しかし、工具を使って高電圧コネクタを取り外すまでに掛かる時間は、作業者によって異なる。従って、特許文献1の構成では、コネクタが取り外されるまでの間に、電圧が安全な値まで低下するのに必要な時間を確実に確保することができるとは言いがたい。特に、作業者が手慣れてくると、高電圧コネクタを取り外すまでに掛かる時間も短くなるため、電圧が十分に低下しない状態で高電圧コネクタが取り外されてしまう可能性が高くなる。
【0007】
もちろん、作業者側で、コネクタを取り外す際に適当な時間だけ待機するように対応することは可能である。しかし、作業者としては、十分に電気が放電されて電圧が下がったかどうかを知る手段がないため、どれだけの時間待てば良いのかわからない。従って、作業者側で注意するにも限界がある。
【0008】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、電気コネクタが完全に取り外されるまでの間に、電圧が十分に低下するのに必要な時間を確実に確保することができる構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の電気コネクタが提供される。即ち、この電気コネクタは、1組の低電圧コネクタと、1組の高電圧コネクタと、電気デバイスと、を備える。前記低電圧コネクタは、高電圧インターロックループ回路の一部を構成する。前記高電圧コネクタは、高電圧回路の一部を構成する。前記電気デバイスは、前記高電圧回路から分岐した分岐線に接続され、当該分岐線からの電力によって動作する。前記低電圧コネクタが取り外されることにより前記高電圧回路への電力の供給が遮断されたとき、前記電気デバイスは、前記高電圧回路の電圧が所定の電圧まで降下するまでの間は動作を継続する。
【0011】
即ち、低電圧コネクタが外されて高電圧インターロックループ回路が遮断され、高電圧回路への電力の供給が遮断されたあとであっても、電気が放電するまでの間は電圧が残る。従って、高電圧回路に接続されている電気デバイスは、電力の供給が遮断された後でもしばらくの間は動作させることが可能であり、電圧が十分に低下すると、当該電気デバイスは動作を停止する。作業者は、電気デバイスが動作しなくなったことを確認してから高電圧コネクタを取り外すことにより、高電圧にさらされる危険を回避することができる。
【0012】
上記の電気コネクタは、以下のように構成することができる。即ち、前記電気デバイスは、電磁石によってロック部材を駆動することにより前記高電圧コネクタ同士が外れないようにロックする電磁石ロック機構である。前記電磁石ロック機構は、所定の電圧以上の電圧が印加されているときには前記ロックを作動させ、電圧が前記所定の電圧以下に低下したときには前記ロックが解除されるように構成されている。
【0013】
即ち、所定以上の電圧が高電圧回路にかかっているときには、電磁石によるロックが働くので、高電圧がかかったままの高電圧コネクタを作業者が不用意に外してしまう危険を防止できる。一方、電圧が十分に低下すると、電磁石によるロックが解除されるので、高電圧コネクタを取り外すことができるようになる。これにより、高電圧コネクタの着脱作業を行う作業者の安全を確実に確保することができる。
【0014】
上記の電気コネクタは、以下のように構成することもできる。即ち、前記電気デバイスはランプである。前記ランプは、所定の電圧以上の電圧が印加されているときには点灯し、電圧が前記所定の電圧以下に低下したときには消灯するように構成されている。
【0015】
即ち、所定以上の電圧が高電圧回路にかかっているときのみランプが点灯するので、作業者は、ランプが消灯したことを確認することで、電圧が十分に低下したと判断できる。従って、ランプが消灯したことを確認してから高電圧コネクタを取り外すことにより、当該高電圧コネクタの着脱作業を安全に行うことができる。
【0016】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の電気コネクタが提供される。即ち、この電気コネクタは、1組の低電圧コネクタと、1組の高電圧コネクタと、電気デバイスと、を備える。前記低電圧コネクタは、高電圧インターロックループ回路の一部を構成する。前記高電圧コネクタは、高電圧回路の一部を構成する。前記電気デバイスは、前記低電圧コネクタが外されたときからの経過時間に応じて動作を制御される。
【0017】
このように、低電圧コネクタが外されてからの時間に応じて電気デバイスを動作させることにより、作業者は、電気デバイスの動作状態を確認することで、電圧が低下するのに十分な時間が経過したか否かを判断することができる。
【0018】
上記の電気コネクタは、以下のように構成することができる。即ち、前記電気デバイスはランプである。前記ランプは、前記低電圧コネクタが外されたときから所定時間経過したときに、発光状態を変化させるように制御される。
【0019】
例えば、低電圧コネクタが外されてから所定時間経過するまではランプを発光させておき、所定時間経過した時点でランプを消灯する。これによれば、作業者は、ランプが消灯したことを確認することで、電圧が十分に低下するのに十分な時間が経過したと判断できる。従って、ランプが消灯したことを確認してから高電圧コネクタを取り外すことにより、当該高電圧コネクタの着脱作業を安全に行うことができる。
【0020】
上記の電気コネクタは、以下のように構成することもできる。即ち、前記電気デバイスは表示装置である。前記表示装置は、前記低電圧コネクタが外されたときから所定時間経過するまでの時間をカウントダウン表示するように制御される。
【0021】
これによれば、作業者は、どれだけの時間待機すれば安全であるかを一目で把握することができる。従って、電圧が低下するのに十分な時間が経過しないうちに作業者がコネクタを取り外してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気コネクタの模式的な側面図。
【図2】第1実施形態の変形例に係る電気コネクタの模式的な側面図。
【図3】本発明の第2実施形態に係る電気コネクタの模式的な側面図。
【図4】第2実施形態の変形例に係る電気コネクタの模式的な側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、図1を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
【0024】
この第1実施形態に係る電気コネクタ1は、電気自動車に設けられる高電圧用のコネクタであり、1組のループ回路コネクタ(低電圧コネクタ)2と、1組の高電圧コネクタ3とを備えている。
【0025】
1組の高電圧コネクタ3(第1高電圧コネクタ11及び第2高電圧コネクタ12)は、高電圧回路の一部を構成している。具体的には、第1高電圧コネクタ11は、大容量電流が流れるワイヤハーネス13の末端に設けられている。また第2高電圧コネクタは、図略の高電圧デバイスに接続されている電気コード14の末端に設けられている。このデバイスは、ワイヤハーネス13から電力の供給を受けるデバイス(例えば電動モータ)であっても良いし、ワイヤハーネスに対して電力を供給するデバイス(例えばインバータ)であっても良い。
【0026】
第1高電圧コネクタ11は、ワイヤハーネス13と電気的に接続しているオス端子15を備えている(図1(d)参照)。一方、第2高電圧コネクタ12は、電気コード14と電気的に接続しているメス端子16を備えている(図1(d)参照)。第1高電圧コネクタ11と第2高電圧コネクタ12は、着脱可能に構成されている。両者を係合させることにより、オス端子15とメス端子16が接触し、前記デバイスをワイヤハーネス13に接続することができるように構成されている。
【0027】
1組のループ回路コネクタ2(ループ回路側コネクタ51及びループ回路接続コネクタ52)は、高電圧インターロックループ回路(以下、ループ回路22)の一部を構成している。ループ回路側コネクタ51とループ回路接続コネクタ52は、着脱可能に構成されている。両者を係合させることにより、ループ回路22が閉じて、当該ループ回路22に電流を流す事ができるようになる。一方、ループ回路側コネクタ51からループ回路接続コネクタ52を取り外すと、ループ回路22の一部が遮断されて、当該ループ回路22に電流を流す事ができなくなるように構成されている。
【0028】
このループ回路22は公知であるが、以下簡単に説明する。即ち、ループ回路22には、所定の低電圧が印加されている。従って、ループ回路側コネクタ51とループ回路接続コネクタ52を係合させた時には、ループ回路22に電流が流れる。本実施形態の電気コネクタ1を備える電気自動車には、ループ回路22に流れる電流を監視する電流監視装置が設けられている。電流監視装置は、ループ回路22に電流が流れている間(ループ回路側コネクタ51とループ回路接続コネクタ52を係合させた時)には、高電圧回路に対して通常通り電力を供給する。一方、電流監視装置は、ループ回路22に電流が流れなくなったことを検出すると、高電圧回路に対する電力の供給を遮断するように構成されている。
【0029】
この電気コネクタ1を取り外す作業を行う際、作業者は、まずループ回路コネクタ2を取り外し、次に、高電圧コネクタ3を取り外す。高電圧コネクタ3よりも先にループ回路コネクタ2を取り外すことにより、ループ回路22が遮断されて高電圧回路に対する電力の供給が遮断されるため、高電圧コネクタ3を安全に取り外すことができる。このように、高電圧インターロックループ回路を利用することにより、高電圧がかかったままの状態で高電圧コネクタ3が取り外されてしまうことを防止できるので、作業者が高電圧にさらされてしまう危険を防止することができる。
【0030】
ところで、特許文献1は、上記のように高電圧回路への電力の供給を遮断したとしても、電気が放電されて電圧が適切な値まで下がるまでにはある程度の時間が掛かることを指摘している。この点、特許文献1は、工具を使わなければコネクタのロックを解除できないように構成することで、コネクタを取り外すときの時間を稼ぐように構成した高電圧コネクタを開示している。このように、電力の供給を遮断した後、作業者がコネクタの係合を完全に解除するまでに時間を稼ぐことにより、放電によって電圧が下がるために必要な時間を確保することができる。
【0031】
特許文献1は、作業者が工具で作業を行う際に時間がかかることを当然の前提としている。しかし現実には、手慣れた作業者であれば素早くロックを解除することができてしまう。例えば、作業者が予め工具を手に持って準備していた場合、工具を掴むための時間がかからないため、それだけ素早くロックを解除して、コネクタを取り外せてしまう。このように、特許文献1の構成では、作業者によってはコネクタを素早く取り外せてしまうため、コネクタを取り外す際の作業者の安全を確実に保証することができているとはいえない。
【0032】
そこで本実施形態の電気コネクタ1は、高電圧回路の電圧が十分に低下しない状態で作業者が高電圧コネクタ3を取り外してしまうことを防止するため、当該高電圧回路からの電力によって動作する電気デバイスを備えている。
【0033】
以下、具体的に説明する。本実施形態において、電気デバイスは電磁石ロック機構19である。電磁石ロック機構19は、電磁石20と、ロック部材21と、から構成されている。
【0034】
図1(a)に示すように、電磁石ロック機構19は、第2高電圧コネクタ12に配置されている。電磁石20は、高電圧回路から分岐した分岐線26に接続されている。これにより、高電圧回路に所定の電圧がかかっている場合には、電磁石20に磁力を発生させることができる。第2高電圧コネクタ12において、ロック部材21は、電磁石20に向かい合うようにして配置されている。また、このロック部材21は、図略の弾性部材によって、電磁石20から遠ざかる方向へ付勢されている。
【0035】
ロック部材21は、強磁性を有する金属部材から構成されている。従って、電磁石20に電圧が印加されて磁場が発生すると、当該ロック部材21を電磁石20に向けて移動させようとする磁力が働く。このとき、電磁石20に所定以上の電圧が印加されていれば、前記弾性部材の付勢力に逆らって、ロック部材21を電磁石20に向けて引き寄せることができる。一方、電磁石20に印加される電圧が所定未満であれば、前記弾性部材の付勢力に逆らうだけの磁力を働かせることができない。この場合、ロック部材21は、前記弾性部材の付勢力によって電磁石20から遠ざかる方向に移動する。
【0036】
図1に示すように、第1高電圧コネクタ11には、ロック孔24が形成されている。このロック孔24は、第1高電圧コネクタ11と第2高電圧コネクタ12を係合させたときに、電磁石20とロック部材21とを結ぶ直線上に位置するように形成されている(図1(a)参照)。そして、第1高電圧コネクタ11と第2高電圧コネクタ12を係合させた状態で、電磁石20に所定以上の電圧を印加することにより、ロック部材21が電磁石20側に引き寄せられて、ロック孔24の中に嵌まり込むように構成されている(図1(a)の状態)。一方、電磁石20に印加される電圧が所定未満の場合は、ロック部材21がロック孔24から外れるように構成されている(図1(c)の状態)。
【0037】
以上の構成で、高電圧回路に電力が供給されている間は、電磁石20にも十分な電圧がかかるため、ロック部材21が電磁石20に引き寄せられて、ロック孔24の中に嵌まりこむ。これが、電磁石ロック機構19によるロックが働いた状態(図1(a)の状態)である。このようにロックが働いた状態では、第1高電圧コネクタ11を第2高電圧コネクタ12から抜くことができない。即ち、本実施形態の電気コネクタ1によれば、高電圧回路に高電圧がかかっている間は、高電圧コネクタ3を不用意に取り外すことができないようになっている。
【0038】
作業者は、電気コネクタ1を取り外す際には、まず、ループ回路コネクタ2を取り外す。これにより、ループ回路22が遮断されるので、前記電流監視装置によって、高電圧回路に対する電力の供給が遮断される。この時点から高電圧回路の電圧が下がり始めるが、放電にはある程度の時間がかかるため、高電圧回路には電圧が残った状態がしばらく続く。このため、高電圧回路から分岐した分岐線26により電力を得ている電磁石20は、しばらくの間、ロック部材21を引き寄せ続けることができる。即ち、高電圧回路への電力の供給を遮断した後も、しばらくの間は電磁石ロック機構19によるロックが働いたままの状態となるので、この間は高電圧コネクタ3を取り外すことができない(図1(b)の状態)。
【0039】
高電圧回路に対する電力の供給が遮断されてから時間が経過するに従い、高電圧回路に残っていた電圧は低下していく。従って、電磁石20がロック部材21を引き寄せる力も弱くなっていき、高電圧回路の電圧がある電圧を下回った時点で、電磁石ロック機構19によるロックが解除される(図1(c)の状態)。電磁石20の強さや弾性部材の弾性力などを予め適切に設定しておくことにより、高電圧回路の電圧が安全な値(本実施形態では48V以下)まで下がったときに、電磁石ロック機構19による前記ロックを解除させることができる。
【0040】
以上で説明したように、本実施形態の電気コネクタ1は、1組のループ回路コネクタ2と、1組の高電圧コネクタ3と、電磁石ロック機構19と、を備えている。ループ回路コネクタ2は、ループ回路22の一部を構成する。高電圧コネクタ3は、高電圧回路の一部を構成する。電磁石ロック機構19は、高電圧回路から分岐した分岐線26に接続され、当該分岐線26からの電力によって動作する。ループ回路コネクタ2が取り外されることにより高電圧回路への電力の供給が遮断されたとき、電磁石ロック機構19は、前記高電圧回路の電圧が所定の電圧まで降下するまでの間は、ロック状態を維持する。
【0041】
即ち、ループ回路コネクタ2が外されてループ回路22が遮断され、高電圧回路への電力の供給が遮断されたあとであっても、電気が放電するまでの間は電圧が残る。従って、高電圧回路に接続されている電磁石ロック機構19は、電力の供給が遮断された後でもしばらくの間はロック状態を維持することが可能であり、電圧が十分に低下すると、当該電磁石ロック機構19はロックを解除する。作業者は、電磁石ロック機構19によるロックが解除されてから高電圧コネクタ3を取り外すことにより、高電圧にさらされる危険を回避することができる。
【0042】
また、本実施形態の電気コネクタ1において、電磁石ロック機構19は、電磁石20によってロック部材21を駆動することにより、高電圧コネクタ3同士が外れないようにロックする。電磁石ロック機構19は、所定の電圧以上の電圧が印加されているときには前記ロックを作動させ、電圧が前記所定の電圧以下に低下したときには前記ロックが解除されるように構成されている。
【0043】
即ち、所定以上の電圧が高電圧回路にかかっているときには、電磁石20によるロックが働くので、高電圧がかかったままの高電圧コネクタ3を作業者が不用意に外してしまう危険を防止できる。一方、電圧が十分に低下すると、電磁石20によるロックが解除されるので、高電圧コネクタ3を取り外すことができるようになる。これにより、高電圧コネクタ3の着脱作業を行う作業者の安全を確実に確保することができる。
【0044】
次に、上記実施形態の変形例について、図2を参照して説明する。なお、上記実施形態と同一又は類似する構成については、図面に同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
この変形例に係る電気コネクタ91は、電磁石ロック機構19に代えて、ランプ(具体的にはLED30)を備えている。このLED30は、上記実施形態の電磁石20と同様に、高電圧回路から分岐した分岐線26に接続されている。
【0046】
従って、本変形例の電気コネクタ91において、高電圧回路に電力が供給されているときには、LED30にも十分な電力が供給され、当該LED30が点灯する。作業者がループ回路コネクタ2を取り外すと、高電圧回路への電力の供給は遮断されるが、しばらくの間は電圧が残っているので、LED30は点灯した状態を維持する。そして、高電圧回路の電圧が低くなると、LED30は点灯した状態を維持できなくなり、消灯する。以上の構成により、安全な電圧まで低下したことを、LED30の消灯によって作業者に通知することができる。
【0047】
以上で説明したように、本変形例の電気コネクタ91において、前記電気デバイスはLED30である。LED30は、所定の電圧以上の電圧が印加されているときには点灯し、電圧が前記所定の電圧以下に低下したときには消灯するように構成されている。
【0048】
即ち、所定以上の電圧が高電圧回路にかかっているときのみLED30が点灯するので、作業者は、LED30が消灯したことを確認することで、電圧が十分に低下したと判断できる。従って、LED30が消灯したことを確認してから高電圧コネクタ3を取り外すことにより、当該高電圧コネクタ3の着脱作業を安全に行うことができる。
【0049】
次に、本発明の第2実施形態について、図3を参照して説明する。なお、上記実施形態と同一又は類似する構成については、図面に同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
本実施形態の電気コネクタ92は、上記で説明した電気コネクタ91と同じく、LED30(電気デバイス)を備えている。しかし、本実施形態の電気コネクタ92においては、LED30は高電圧回路には接続されていない。代わりに、本実施形態の電気コネクタ92が備えるLED30は、タイマー回路31によって制御されている。このタイマー回路31は、電気コネクタ92が備えていても良いが、電気コネクタ92とは別の部材(例えば電気自動車のECU)がタイマー回路31の機能を果たすように構成されていても良い。
【0051】
上記タイマー回路31は、ループ回路コネクタ2が取り外されたこと(ループ回路22が切断されたこと)を検出できるように構成されている。タイマー回路31は、ループ回路コネクタ2が取り外されたことを検出すると、そのときからの経過時間の計測を開始する。
【0052】
ループ回路コネクタ2が取り外されると、同時に高電圧回路への電気の供給が遮断されるので、当該高電圧回路の電圧は低下していく。タイマー回路31は、ループ回路コネクタ2が取り外されてから、高電圧回路の電気が放電されて安全な電圧まで低下するために必要な時間(本実施形態では5秒)経過すると、LED30の発光状態を変更するように構成されている。これは、例えば、それまで点灯状態だったLED30を消灯するように制御するものでも良いし、逆に、それまで消灯状態だったLED30を点灯するように制御するものであっても良い。何れにせよ、安全な電圧まで低下するのに十分な時間が経過した時点でLED30の発光状態を変更することにより、十分な時間が経過したことを作業者に通知することができる。
【0053】
以上で説明したように、本実施形態の電気コネクタ92は、1組のループ回路コネクタ2と、1組の高電圧コネクタ3と、LED30と、を備える。ループ回路コネクタ2は、ループ回路22の一部を構成する。高電圧コネクタ3は、高電圧回路の一部を構成する。LED30は、ループ回路コネクタ2が外されたときからの経過時間に応じて動作を制御される。
【0054】
このように、ループ回路コネクタ2が外されてからの時間に応じてLED30を動作させることにより、作業者は、LED30の発光状態を確認することで、電圧が低下するのに十分な時間が経過したか否かを判断することができる。
【0055】
また、本実施形態の電気コネクタ92において、LED30は、ループ回路コネクタ2が外されたときから所定時間経過したときに、発光状態を変化させるように制御される。
【0056】
例えば、ループ回路コネクタ2が外されてから所定時間経過するまではLED30を発光させておき、所定時間経過した時点でLED30を消灯する。これによれば、作業者は、LED30が消灯したことを確認することで、電圧が十分に低下するのに十分な時間が経過したと判断できる。従って、LED30が消灯したことを確認してから高電圧コネクタ3を取り外すことにより、当該高電圧コネクタ3の着脱作業を安全に行うことができる。
【0057】
次に、上記実施形態の変形例について、図4を参照して説明する。なお、上記実施形態と同一又は類似する構成については、図面に同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
この変形例に係る電気コネクタ93は、LED30に代えて、表示装置(具体的には7セグメントディスプレイ32)を備えている。この7セグメントディスプレイ32は、上記実施形態のLED30と同様に、タイマー回路31によって制御されている。
【0059】
タイマー回路31は、ループ回路コネクタ2が取り外されたことを検出すると、電気が放電されて安全な電圧まで低下するために必要な時間(本実施形態では5秒)経過するまでの残り秒数を、7セグメントディスプレイ32に表示させるように制御を行う。例えば本実施形態では当該時間は5秒であるから、ループ回路コネクタ2が取り外されると、5・・・4・・・3・・・と1秒ごとにカウントダウンされるように残り秒数が7セグメントディスプレイ32に表示される。
【0060】
以上で説明したように、本変形例の電気コネクタ93において、7セグメントディスプレイ32は、ループ回路コネクタ2が外されたときから所定時間経過するまでの時間をカウントダウン表示する。
【0061】
これによれば、作業者は、どれだけの時間待機すれば安全であるかを一目で把握することができる。従って、電圧が低下するのに十分な時間が経過しないうちに作業者が高電圧コネクタ3を取り外してしまうことを防止できる。
【0062】
以上に本発明の好適な実施の形態(及び変形例)を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0063】
本願発明の電気コネクタは、電気自動車、ハイブリッド自動車等の分野に限らず、あらゆる分野において高電圧回路に幅広く利用することができる。
【0064】
上記実施形態では、ワイヤハーネス側に第1高電圧コネクタ11を、デバイス側に第2高電圧コネクタ12をそれぞれ設ける構成としたが、これは説明の便宜のためである。実施形態の説明中にある「第1高電圧コネクタ11」と「第2高電圧コネクタ12」を入れ替えたとしても、本願発明の効果は何ら損なわれることはない。
【0065】
その他、高電圧コネクタの形状等は適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 電気コネクタ
2 ループ回路コネクタ
3 高電圧コネクタ
19 電磁石ロック機構(電気デバイス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧インターロックループ回路の一部を構成する1組の低電圧コネクタと、
高電圧回路の一部を構成する1組の高電圧コネクタと、
前記高電圧回路から分岐した分岐線に接続され、当該分岐線からの電力によって動作する電気デバイスと、
を備え、
前記低電圧コネクタが取り外されることにより前記高電圧回路への電力の供給が遮断されたとき、前記電気デバイスは、前記高電圧回路の電圧が所定の電圧まで降下するまでの間は動作を継続することを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の電気コネクタであって、
前記電気デバイスは、電磁石によってロック部材を駆動することにより前記高電圧コネクタ同士が外れないようにロックする電磁石ロック機構であり、
前記電磁石ロック機構は、所定の電圧以上の電圧が印加されているときには前記ロックを作動させ、電圧が前記所定の電圧以下に低下したときには前記ロックが解除されるように構成されていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項3】
請求項1に記載の電気コネクタであって、
前記電気デバイスはランプであり、
前記ランプは、所定の電圧以上の電圧が印加されているときには点灯し、電圧が前記所定の電圧以下に低下したときには消灯するように構成されていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項4】
高電圧インターロックループ回路の一部を構成する1組の低電圧コネクタと、
高電圧回路の一部を構成する1組の高電圧コネクタと、
前記低電圧コネクタが外されたときからの経過時間に応じて動作を制御される電気デバイスと、
を備えることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項5】
請求項4に記載の電気コネクタであって、
前記電気デバイスはランプであり、
前記ランプは、前記低電圧コネクタが外されたときから所定時間経過したときに、発光状態を変化させるように制御されることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項6】
請求項4に記載の電気コネクタであって、
前記電気デバイスは表示装置であり、
前記表示装置は、前記低電圧コネクタが外されたときから所定時間経過するまでの時間をカウントダウン表示するように制御されることを特徴とする電気コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−98056(P2013−98056A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240608(P2011−240608)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】