説明

電気力式の直線駆動部を備えた打撃装置

例えば空気ばね式打撃装置として実施される打撃装置は、電気力式の直線駆動部、該直線駆動部によって打撃装置ケーシング内を往復運動可能な駆動ピストン(1)、及び打撃ピストン(3)を備えている。駆動ピストン(1)の前側及び/又は後側に付加的な中空室(14,17)を設けてあり、中空室は少なくとも一時的に外部から分離され、その結果、中空室(14,17)内に空気ばねを形成している。空気ばねは駆動ピストン(1)をその転向点で制動し、電気力式の直線駆動部を負荷することなしに、後進運動を容易にするようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打撃装置であって、電気力式の直線駆動部、該直線駆動部によって打撃装置ケーシング内を往復運動させられる駆動要素、工具への打撃のための打撃要素、並びに前記駆動要素と前記打撃要素との間に設けられていて前記駆動要素の運動を前記打撃要素へ伝達するための連結装置を備えている形式のものに関する。
【0002】
ドリル及び/又は打撃ハンマー(以下、短く単にハンマーと称する)は、一般的に電動モーターを用いて駆動され、この場合にローターによって駆動軸を回転させるようになっている。回転運動は、振動式の直線運動に変換され、該直線運動は打撃装置内の駆動要素若しくは駆動部材に伝達されるようになっている。打撃装置(打撃機構)として特に空気ばね式打撃装置を用いており、空気ばね式打撃装置内では駆動要素としての駆動ピストンを往復運動させるようになっている。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願第10204861A1号明細書にはハンマーのための空気ばね式打撃装置を開示してあり、この場合に駆動ピストンは磁気力式若しくは電気力式の直線駆動部によって駆動されるようになっている。駆動ピストンは直線駆動部の可動子と連結されており、これによって可動子の直線往復運動は駆動ピストンに伝達されるようになっている。駆動ピストンの運動は空気ばねを介して打撃ピストンに伝達され、打撃ピストンは工具端部に向けて若しくは工具との間に設けられたスライダーに向けて打ち付けられるようになっている。
【0004】
ハンマーに用いられる電気力式若しくは電磁力式の直線駆動部若しくはリニアモーターにおいては、可動子及び該可動子と連結された駆動ピストンは、終端位置への到達に際して制動されて、運動方向を転向されるようになっている。これによって振動式の打撃運転を可能にしている。制動に際して運動エネルギーの一部分は電気エネルギーとして中間回路内に蓄えられるようになっている。可動子を取り囲んでいる固定子のコイルは損失熱を発生させ、損失熱は打撃装置の効率を低下させている。さらに損失熱は適切な冷却装置を用いて排除されねばならない。
【0005】
可動子及び駆動ピストンから成る駆動ユニットの運動エネルギーをばね内に一時的に蓄えることは有利であり、蓄えられた運動エネルギーは運動方向の転向の後に逆方向の運動に利用されて、直線駆動部の電磁駆動力を助成するようになっている。
【0006】
ヨーロッパ特許出願公開第0718075A1号明細書及びドイツ連邦共和国特許出願公開第2419164A1号明細書には、打撃装置のための電気力式の駆動部を記載してあり、この場合に打撃ピストンの後進運動は端部ストッパーとしての機械式のコイルばねによって受け止められるようになっている。コイルばねは、蓄えたエネルギーを、打撃ピストンの次の前進運動に際して放出して、前進運動若しくは打撃運動を助成するようになっている。しかしながら打撃装置は空気ばね式打撃装置ではなく、駆動ピストンと打撃ピストンとの間に分離部分を有していない。
【0007】
コイルばねは欠点として高い衝撃振動によって折損しやすく、高い振動騒音を発生させるものである。さらに寸法の小さい弱いコイルばねにおいては、打撃ピストンの高い打撃速度によってコイルばねは完全に圧縮され、つまり巻条を互いに接触させてロックしてしまい、このことは打撃装置の損傷につながる。
【0008】
本発明の課題は、電気力式の直線駆動部を備えた打撃装置を改善して、直線的に運動させられる駆動ユニットの運動方向の転向のために用いられる電磁駆動力を助成できるようにし、従来技術の前記欠点を排除することである。
【0009】
前記課題を解決するために本発明に基づく構成では、打撃方向で見て、打撃装置の駆動要素の前側及び/又は後側に付加的な中空室、つまり、伸縮作用を有する双方向作用式の中空室(若しくは圧縮作用(縮み作用)から膨張作用(伸び作用)へ又は逆に膨張作用から圧縮作用へ反転する反転式の中空室)を設けてあり、該中空室は少なくとも一時的に若しくは所定の区間にわたって外部に対して遮断されて、これによって該中空室内に、前記駆動要素及び/又は前記打撃要素に対して作用する双方向作用式(若しくは反転作用式)の空気ばねを形成するようになっている。
【0010】
本発明に基づき、駆動要素の前側及び/又は後側に打撃装置の運転時に空気ばねを作用させている。付加的に設けられたいわゆる双方向作用式の空気ばねは、駆動要素を空気ばね若しくは中空室に向けて運動させる場合に、駆動要素によって負荷され、締め付けられ若しくは圧縮される。駆動要素の直線運動の転向に際して、空気ばね内に作用している空気圧は、駆動要素に作用して、運動方向の転向を助成して、駆動要素を逆方向に加速する。
【0011】
双方向作用式の空気ばねを実際に空間的に軸線方向で駆動要素の前側及び/又は後側に配置することは必ずしも必要ではない。中空室内に形成される双方向作用式の空気ばねの実際の箇所は、任意に選ばれる。双方向作用式の空気ばねのばね作用を駆動要素若しくは打撃要素に伝達し、若しくは逆に双方向作用式の空気ばねの負荷若しくは圧縮を駆動要素若しくは打撃要素によって可能にしてある。
【0012】
空気ばね装置は打撃装置分野で賞用されていて、高い信頼性を有している。空気ばね装置は適切な構成によって良好な効率を有している。空気ばねの完全な圧縮、ひいては中空室を画成していて互いに相対的に運動可能な構成要素間の衝撃的な接触負荷は、特に終端領域でのばね特性の累進推移に基づき避けられている。
双方向作用式の空気ばねの構成長さは、金属製ばね装置若しくはコイルばねの構成長さよりも短くなっている。さらに空気ばねは騒音が少ない。
【0013】
本発明の特に有利な実施態様では、駆動要素は直線駆動部若しくは電磁力駆動部の可動子に結合されていて、該可動子と一緒に1つの一体構造の駆動ユニットを形成している。特に有利には、駆動要素は可動子を支持しており、若しくはほぼ完全に可動子によって形成されており、これによって可動子は駆動要素の機能をも担うようになっている。
【0014】
直線駆動部若しくはリニアモーターは、制御式のリラクタンスモーター(SR-Motor)によって形成されていてよく、可動子の運動領域に複数の駆動コイル(固定子)を有しており、各駆動コイルは駆動要素の所望の運動に依存して制御されるようになっている。本発明においてリニアモーターとして磁気コイルによって形成された電気力式の駆動部も含み、磁気コイルは駆動要素の駆動コイルとして用いられる。駆動要素の後進運動は、駆動要素の前側に設けられた中空室内に形成された双方向作用式の空気ばねによってのみ行われるようになっていてよい。
【0015】
本発明の別の実施態様では、連結装置は、駆動要素と打撃要素との間で有効なストッパーによって形成されている。該ストッパーによって、駆動要素の駆動運動は直接に打撃要素に伝達される。連結装置は有利には、駆動要素の運動に依存して打撃要素を往復運動させる2つのストッパーによって形成されている。
【0016】
本発明の有利な実施態様では、連結装置は、駆動要素と打撃要素との間で少なくとも1つの方向で有効な弾性作用、特にばね弾性作用の構成要素によって形成されている。これによって、互いに協働する構成部分間、つまり連結部分の騒音発生及び機械的な負荷を減少させてある。弾性的な構成要素としては、両方の構成部分間に設けられる連結用の空気ばねを用いることができる。別の実施態様では、前記ストッパーは、ばね弾性作用を得るために、弾性的な構成要素によって補完され、若しくは弾性的な層を備えていてよい。
【0017】
本発明の有利な実施態様では、双方向作用式の中空室は、軸線方向で、つまり駆動要素の端面側で駆動要素と打撃装置ケーシングとの間に配置され、殊に駆動ユニットと打撃装置ケーシングとの間に配置されている。これに対応して、双方向作用式の中空室は、駆動要素と連結された可動子の端面側にも配置されていてよい。中空室の端面側配置によって、双方向作用式の中空室内に形成される空気ばねは直接に駆動ユニット、ひいては駆動要素に作用するようになっている。
【0018】
特に有利には、中空室内に形成されている空気ばねは、少なくとも一時的に駆動要素の移動運動に抗して作用するようになっている。これによって、駆動要素は該駆動要素の移動運動に際して前記空気ばねを圧縮若しくは負荷するようになっている。駆動要素の運動方向の転向の後に、前記空気ばねは、蓄えていたエネルギーを放出して駆動要素の逆方向運動を助成することになる。
【0019】
有利には、双方向作用式の中空室内に形成されている空気ばねは、駆動要素の運動方向の転向の少なくとも直前で該駆動要素の運動に抗して作用するようになっている。これによって、空気ばねは運動方向転向の直前での駆動要素の制動に寄与している。直線駆動部及び空気ばねの寸法を適切に規定することによって、駆動要素の後進運動を空気ばねのみによって行い、直線駆動部は遮断することができる。直線駆動部は小さい出力で駆動要素の後進運動を制御するようになっていてよい。このためにセンサーを設けてあり、該センサーは駆動要素若しくは可動子の静止位置若しくは転向点を正確に検出して、これによって空気ばねの作用を制御するようになっている。前記センサー及び適切な制御装置を用いて直線駆動部を始動させ、これによって可動子及び駆動要素は所定の駆動軌跡を描くようになっている。
【0020】
本発明の特に有利な実施態様では、双方向作用式の中空室は、駆動要素の前側に配置された第1の中空室であり、この場合に該第1の中空室は打撃要素の一部分によって貫通されている。
【0021】
第1の中空室の代わりに、若しくは第1の中空室に加えて、第2の中空室としての双方向作用式の中空室を駆動要素の後側に設けてあると有利であり、第2の中空室内に形成されている空気ばねは、駆動要素の、打撃方向と逆向きの後進運動に際して、該駆動要素の全後進運動距離の少なくとも30パーセント若しくは50パーセントよりも大きな値に相当する運動距離にわたって作用するようになっている。
【0022】
第1の中空室としての双方向作用式の中空室を駆動要素の前側に配置してあるのに対して、駆動要素の後側の双方向作用式の中空室は第2の中空室と称してある。このような記載は理解を容易にするためのものであり、機能の違いを意味するものではない。駆動要素の前側の第1の中空室も駆動要素の後側の中空室も、双方向作用式の空気ばねの形成のための双方向作用式の中空室として用いられており、双方向作用式の空気ばねは、駆動要素の各運動方向転向並びに、逆方向での加速を助成するものである。打撃装置内に第1の中空室又は第2の中空室を設けるか、若しくは第1及び第2の中空室を一緒に設けることも可能である。
【0023】
第2の中空室内の方向作用式の空気ばねの比較的長い有効長さは、駆動要素の後側にある方向作用式の空気ばねをできるだけ長く形成することによって達成され、その結果、駆動ユニットはそのほぼ全後進距離にわたって、前記方向作用式の空気ばねに抗して力を生ぜしめ、該空気ばねを圧縮するようになっている。打撃方向での駆動ユニットの前進運動に際して、駆動エネルギーの大部分を打撃要素に伝達し、その結果、打撃エネルギーとして用いようとするのに対して、駆動ユニットの後進運動に際してはわずかな余剰エネルギーを生じており、それというのは後進運動に際しては打撃を行わなくてすむからである。余剰エネルギーは、駆動要素の後側にある方向作用式の空気ばねをできるだけ長い距離にわたって負荷する、つまり圧縮するために用いられる。方向作用式の空気ばねに蓄えられたエネルギーは、後進運動に続く新たな前進運動のために用いられて、直線駆動部の駆動作用を助成するようになっている。これによって、直線駆動部を小型化でき、その結果固定子用コイルの損失出力は減少される。
【0024】
電磁コイルによって生ぜしめられる駆動力は、電磁コイルを流れる電流に比例しているのに対して、電磁コイル内の損失出力は、電流の二乗に比例している。衝突エネルギー若しくは打撃エネルギーは、力と距離との積に比例している。駆動要素の打撃のための有効な距離を長くすることによって、直線駆動部、つまり固定子コイルによって生ぜしめるべき力を小さくして、同じエネルギーを得ることができる。つまり、効率を高めることができる。空気ばねに損失があるものの、収支は、制動エネルギーを電気エネルギーとして中間回路内に一時的に蓄える手段に比べて改善されている。
【0025】
双方向作用式の中空室と外部との間に、一時的に閉鎖可能な通気開口部を設けてあると有利である。通気開口部は、方向作用式の空気ばね、つまり方向作用式の中空室と外部との間の空気補償手段を成していて、圧縮行程時に必然的に生じる漏れ損失を補償するようになっている。
【0026】
有利には通気開口部は、打撃装置ケーシング内で1つの打撃サイクル中に移動する駆動要素若しくは駆動ユニットによって覆われる領域に設けられている。したがって通気開口部の開閉は、駆動要素若しくは駆動ユニット自体によって直接に行われ、開閉のための付加的な制御機構は不要である。特に有利には、通気開口部は、1つの打撃サイクル中に移動する駆動要素及び/又は駆動ユニットの位置に応じて開放若しくは閉鎖されるようになっている。
【0027】
本発明の有利な実施態様では、打撃装置は空気ばね式打撃装置であり、この場合に駆動要素は駆動ピストンとして形成されており、打撃要素は打撃ピストンとして形成されており、かつ連結装置は、前記駆動ピストンと前記打撃ピストンとの間の連結用の中空室内で有効な連結用の空気ばねによって形成されている。連結用の空気ばねは、駆動ピストンから打撃ピストンへの確実なエネルギー伝達を担っており、このような空気ばねを用いた打撃装置を、空気ばねの名称にちなみ空気ばね式打撃装置と称している。空気ばね式打撃装置は種々の構造で知られている。しかしながら本発明に基づき、駆動ピストン及び/又は打撃ピストンを付加的な双方向作用式の空気ばねによって制動するようになっていることは、新規なものである。連結用の空気ばねは主空気ばねとみなすことができ、それというのは該空気ばねによって打撃エネルギーの著しい部分を伝達するようになっているからである。
【0028】
本発明の特に有利な実施態様では、駆動ピストンは打撃ピストンをほぼ取り囲んでおり、該打撃ピストンはピストンヘッドを有しており、この場合に連結用の空気ばねを形成する連結用の中空室は、打撃エネルギーを打撃ピストンへ伝達するために、打撃方向で見て前記ピストンヘッドの後側に配置されており、該ピストンヘッドの前側で前記駆動ピストンと前記打撃ピストンとの間に、戻し用の空気ばねのための別の中空室を形成してある。このように二重の作用を生ぜしめる空気ばねを備えた中空ピストン式打撃装置は公知である。駆動ピストンは中空部を有していて、該中空部内で打撃ピストンは往復運動するようになっている。戻し用の空気ばねは、打撃の後の打撃ピストンの制御された後進運動、つまり戻り運動を保証している。これによって打撃ピストンは後進運動に際しても駆動ピストンの運動に移動させられるようになっている。
【0029】
ピストンヘッドの前に戻し用の空気ばねのための中空室を形成するために、駆動ピストンは、打撃ピストンを後側の領域、つまり主空気ばねの領域だけではなく、前側の領域、つまりピストンヘッドの前でも取り囲んでいる。打撃ピストンのシャフトのみが駆動ピストンから突出して延びている。
【0030】
本発明の有利な実施態様では、双方向作用式の空気ばねは駆動ピストンに対してのみ作用するようになっており、つまり打撃ピストンに対しては作用しないようになっている。これによって打撃ピストンは自由に運動でき、駆動ピストンとの連結部を介して全運動エネルギーを受けるようになっている。
【0031】
本発明の別の実施態様では、双方向作用式の空気ばねは、打撃ピストンの少なくとも1つの運動方向で該打撃ピストンに対してのみ作用するようになっている。このような実施態様では、打撃ピストンは殊に後進運動に際して双方向作用式の空気ばねに抗して運動して、該空気ばねを負荷し、その結果、駆動ピストンとは連結されていない該空気ばねは、打撃ピストンの引き続く前進運動を助成するようになっている。この場合に有利には打撃ピストンは、双方向作用式のピストンに力伝達可能に結合されており、該双方向作用式のピストンは双方向作用式の空気ばねに抗して作用するようになっている。これによって、打撃ピストンから離れた箇所に双方向作用式の空気ばねを配置することができるようになっている。
【0032】
本発明の別の実施態様では、双方方向作用式の空気ばねは軸線方向で少なくとも一時的に駆動要素若しくは打撃要素に対して作用するようになっており、この場合に双方向作用式の中空室は、軸線方向で前記駆動要素に対応しては配置されていない領域に設けられており、このために力伝達装置を設けてあり、該力伝達装置は前記駆動要素と前記双方向作用式の中空室内に形成された双方向作用式の空気ばねとを力伝達可能に連結している。双方向作用式の中空室は、例えば側方に、つまり駆動要素の横に配置され、若しくは打撃装置の別の領域に、若しくは該打撃装置によって駆動されるハンマー内に配置されていてよい。これによって双方向作用式の空気ばねを適切なスペースのある箇所に配置することができるようになっている。
【0033】
次に本発明を図示の実施例に基づき詳細に説明する。図面において、
図1は、本発明の第1の実施例による打撃装置(空気ばね式打撃装置)を後側(上方)の終端位置で示す概略的な断面図であり、
図2は、図1の打撃装置の中間位置での概略的な断面図であり、
図3は、図1の打撃装置の前側(下方)の終端位置での概略的な断面図であり、
図4は、本発明の第2の実施例による打撃装置(空気ばね式打撃装置)を後側の終端位置で示す概略的な断面図であり、
図5は、図4の打撃装置の中間位置での概略的な断面図であり、
図6は、図4の打撃装置の前側の終端位置での概略的な断面図であり、
図7は、本発明の第3の実施例による打撃装置の概略的な断面図であり、
図8は、本発明の第4の実施例による打撃装置の概略的な断面図である。
【0034】
図1乃至図3並びに図4乃至図6は、空気ばね式打撃装置として形成された本発明に基づく打撃装置の互いに異なる2つの実施例の該略図であり、本発明の要旨ではない構成部分、例えば電気的な接続部並びにセンサーは省略してある。本発明に基づく打撃装置は特に有利には、ドリル及び/又は打撃ハンマーに用いられるものである。ドリル及び/又は打撃ハンマーなる記載は、穿孔及び打撃の少なくともいずれか1つを行う電動工具を意味している。打撃装置は種々の構造で形成されるものである。
【0035】
図1乃至図3には、電気力式の直線駆動部(エレクトロダイナミックリニアドライブ[electrodynamic linear drive])によって駆動可能な空気ばね式打撃装置の第1の実施例を示してあり、この場合に駆動ユニットは図1では上方、つまり後側の終端位置に位置し、図2では中間位置に位置し、図3では下方、つまり前側の終端位置に位置している。
【0036】
空気ばね式打撃装置は駆動ピストン1を有しており、駆動ピストンは打撃ピストン3のピストンヘッド2を取り囲んでいる。打撃ピストン3のシャフト4は駆動ピストン1の前側を貫通して、打撃ピストン案内5内に入り込んでいて、図3に示してあるように、前側の位置で工具端部6に当接するようになっている。工具端部6の代わりに、周知のように中間スライダー若しくは連結体を設けることも可能であり、つまり打撃ピストン案内内で工具と打撃ピストンのシャフトとの間に中間スライダー若しくは連結体を配置することも可能である。
【0037】
駆動ピストン1と打撃ピストン3との間に第1の中空室7を形成してあり、該中空室は第1の空気ばね(主空気ばね)8として機能するようになっている。打撃装置ケーシング9内を軸線方向に往復運動可能な駆動ピストン1の前進運動に際して、第1の空気ばね8内には圧力を生じ、該圧力(正圧)は打撃ピストン3を前方へ駆動し、これによって打撃ピストンは工具端部6に当接し、つまり工具端部を打撃するようになっている。
【0038】
駆動ピストン1の後進運動に際しては第1の空気ばね8内に負圧を生じ、該負圧は打撃ピストン3のピストンヘッド2を打撃ピストンの後進方向に吸引する。打撃ピストン3の後進運動は、工具端部6での跳ね返りによっても助成される。さらに、打撃方向で見てピストンヘッド2の前側に第1の空気ばね(戻し空気ばね)10、つまり別の中空室を設けてあり、該空気ばねは駆動ピストン1の後進運動に際して作用して、打撃ピストン3の後進運動を助成するようになっている。
【0039】
空気ばね8,10内の空気損失の補償のために、駆動ピストン1の内壁に複数の空気補償部11を設けてある。空気補償ポケット(空気補償切欠部)の構成は従来技術のものであり、詳細な説明を省略してある。空気補償ポケットの代わりに別の空気通路を設けることも周知であり、該空気通路は、空気ばね8,10の通気を可能にして、圧縮による空気損失を補償するようになっている。
【0040】
駆動ピストン1の振動による往復直線運動は、電気力式の直線駆動部によって生ぜしめられるようになっている。このために駆動ピストン1は直線駆動部の可動子12に連結されている。可動子12は、層状に重ねられた複数のエレクトロディスクによって形成されていて、交番の磁場によって往復運動させられるようになっており、磁場は直線駆動部の固定子13によって形成されるようになっている。この種の直線駆動部の構成は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10204861A1号明細書により公知である。直線駆動部若しくはリニアモーターは、リラクタンスモーターである。可動子12と駆動ピストン1とは一体構造の1つの駆動ユニットを形成している。
【0041】
駆動ピストン1の前側で駆動ピストン1と打撃装置ケーシング9との間に、付加的な第2の中空室14を形成してあり、該中空室は図1及び図2に示す位置で通気開口部15を介して外部と接続されている。
【0042】
駆動ユニットの図3に示す位置では、可動子12は駆動ピストン1を前方へ運動させ、これによって駆動ピストン1は通気開口部15上へ移動している。その結果、通気開口部5は閉じられ、かつ第2の中空室14は外部に対して遮断されている。このようにして第2の中空室14内に空気ばねを形成してあり、該空気ばねは駆動ピストン1に抗して作用し、駆動ピストンの運動を前進方向若しくは打撃方向で制動するようになっている。
【0043】
空気ばねを第2の中空室14内で適切に形成して、特に、打撃ピストン3(打撃ピストンはできるだけ妨げられることなく工具端部6に打ち当てられるべきものである)に抗して作用させないために、駆動ピストン1は前側にピストン面16を有している。ピストン面16は第2の中空室14内の空気ばねを圧縮するようになっている。
【0044】
寸法を適切に規定することによって、固定子13は、駆動ピストン1が通気開口部15を閉鎖する時点で無電流に切り換えられようになっている。したがって、駆動ピストン1及び可動子12から成る駆動ユニットの制動は、第2の中空室14内の空気ばねによってのみ行われるようになっている。圧縮されて収縮した空気ばねは、最終的に再び膨張して駆動ユニットを打撃方向と逆向きに押し戻すことになる。次いで固定子3は、必要に応じて戻し運動の助成のために再び励起される。
【0045】
第2の中空室14内の空気ばねは次のように位置決めされ若しくは寸法規定されており、つまり、駆動ユニットは下側(前側)の転向点で、打撃ピストン3と工具端部6との間の接触の前に受け止められるようになっている。
【0046】
第2の中空室14内の空気ばねに相対して、駆動ピストン1の後側、若しくは全体的な駆動ユニットの後側で駆動ピストン1若しくは駆動ユニットと打撃装置ケーシング9との間に第3の中空室17を形成してある。打撃装置ケーシング9は図面には概略的に示されている。もちろん打撃装置ケーシング9は、複数の構成部分を組み合わせて形成されていてよく、若しくは図示のものと異なる構造若しくは形状で形成されていてよいものである。
【0047】
第3の中空室17は、図2及び図3に示す位置では通気開口部18を介して外部と接続されている。これとは逆に図1に示す位置では、駆動ユニットは通気開口部18上へ移動していて、該通気開口部を閉鎖している。これによって第3の中空室17は外部に対して遮断されており、その結果、第3の中空室内には特に図1に示してあるように空気ばねを形成している。該空気ばねは駆動ユニットの後進運動を制動するようになっている。第3の中空室17内の空気ばねは、該空気ばねの適切な寸法規定に基づき、駆動ユニットの後進運動を完全に受け止めかつ逆方向運動に、つまり打撃方向の運動に変換できるように十分に強く形成されていてよい。ここでも固定子13は、第2の中空室14内の空気ばねの作用に際して通電遮断されるのと類似して、必要に応じて通電接続されるようになっていてよい。
【0048】
第3の中空室17内の空気ばねは、できるだけ長く形成されていて、これによって駆動ユニットの長い運動距離にわたって圧縮されるようになっている。駆動ユニットの後進運動に際しては、打撃運動に比べて比較的に少ないエネルギーしか必要としておらず、該エネルギーは第3の中空室17内の空気ばね内に蓄えられる。蓄えられたエネルギーは、駆動ピストン1の前進運動に際して利用されて、駆動ピストンを打撃ピストン3に向けて運動させるようになっている。つまり、中空室17内の空気ばね内に蓄えられたエネルギーによって、直線運動駆動部は助成されるようになっており、直線運動駆動部を相応に小型化でき、若しくは極めて高い打撃エネルギーを達成できるようになっている。
【0049】
図4乃至図6に本発明の第2の実施例を示してあり、該実施例は、図1乃至図3に示す第1の実施例に対して電力式の直線駆動部の構造を異にしている。同じ構成要素若しくは構成部分には同じ符号を付けてある。駆動ユニットは、図4では上方(後方若しくは後側)の終端位置で示してあり、図5では中間位置で示してあり、図6では下方(前方若しくは前側)の終端位置で示してある。直線駆動部は例えば電磁発動機によって形成されている。
【0050】
駆動ピストン1は、剣状若しくは条片状或いはプレート状の2つの付加部20によって形成された可動子19を支持しており、付加部(延長部)20の端部にマグネット21を取り付けてあり、該マグネットは各固定子22内を往復運動するようになっている。
【0051】
可動子19は、本発明の図示の実施例と異なって、例えば環状の付加部を備えていてよく、該付加部は同じく環状の固定子内を運動するようになっている。
【0052】
駆動ピストン1の後側に、打撃装置ケーシング9と協働して第3の中空室23を形成してあり、該中空室は空気ばねを成している。前に述べてあるように、打撃装置ケーシング9は多様に形成されるものである。打撃装置ケーシングは、駆動ピストン1と協働して、若しくは駆動ピストン1及び可動子19から成る駆動ユニットと協働して中空室を形成し、ひいては空気ばねを形成している。
【0053】
可動子19に通気開口部24を設けてあり、該通気開口部は図5に示す位置では、打撃装置ケーシング9に設けられた通気開口部25と合致させられており、その結果、空気は外部から第3の中空室23内に流入して、空気ばねの圧縮の際に失われた空気を再び補充するようになっている。図4及び図6に示す位置では、両方の通気開口部24,25は互いに合致しておらず、したがって第3の中空室23は外部に対して遮断されている。駆動ピストン1及び打撃ピストン3の協働作用、並びに第2の中空室14の機能は第1の実施例のものに相当しており、説明は重複を避けるために省略してある。
【0054】
図7は、本発明の第3の実施例の概略的な断面図である。図1乃至図6に記載の空気ばね式打撃装置と異なって、図7に示す実施例の打撃装置においては、打撃運動のためのエネルギーは、空気ばねを介することなしに伝達されるようになっている。
【0055】
図7に示す実施例の打撃装置は、図1乃至図6に記載の空気ばね式打撃装置と同様に電気力式の直線駆動部によって駆動されるようになっている。駆動ユニット30を設けてあり、該駆動ユニットは駆動要素の機能並びに直線駆動部の可動部の機能を担うようになっている。駆動ユニット30は図7には概略的に示してあり、つまり可動子の構造は詳細には示されておらず、該可動子の機能は、図1の可動子12並びに図4の可動子19の機能と同じである。
【0056】
駆動ユニット30は第1及び第2の実施例に類似して管状の打撃装置ケーシング9内を往復運動するようになっており、この場合に駆動ユニットの運動は固定子13によって生ぜしめられるようになっている。
【0057】
駆動ユニット30はスリーブ状に形成されていて、内部に中空領域を有しており、該中空領域内で打撃要素としての打撃ピストン3は往復運動するようになっている。打撃ピストン3は、前述の実施例の打撃ピストンと同様に工具(図示省略)に当接し、つまり工具を打撃するようになっている。
【0058】
駆動ユニット30の運動を打撃ピストン3に伝達するために、連結装置を設けてある。連結装置は、打撃ピストン3によって、特に打撃ピストン3のピストンヘッド2によって保持された連行体31を有しており、該連行体(力伝達部材)は、駆動ユニット30の切欠き部内を打撃装置の作動方向で往復運動するようになっている。連行体31は図7に示してあるように、例えば、打撃ピストン3のピストンヘッド2を、打撃装置の作動方向(軸線方向)に対して横方向若しくは垂直方向に貫通するピン(横ピン)によって形成されていてよい。
【0059】
駆動ユニット30に設けられた切欠き部は、軸線方向に延びる2つの縦溝32によって形成されており、該縦溝(軸線方向溝若しくはスリット)は中空円筒状の駆動ユニット30の周壁を貫通している。縦溝32の両方の端面はそれぞれ下方のストッパー33若しくは上方のストッパー34を形成しており、該ストッパーは縦溝32内での連行体31の軸線方向運動を規定している。
【0060】
駆動ユニット30の往復運動に際して、駆動ピストン3は各ストッパー33,34及び連行体31を介して強制的に案内(連行)されるようになっている。工具に向かう方向(作業方向)での駆動ユニット30の前進運動(図7で下方への運動)に際して、上方のストッパー34は連行体31、ひいては打撃ピストン3を下方へ押圧し、この場合に打撃ピストン3は工具への当接の直前に自由に走行して、駆動ユニット30及び連行体31への不都合な逆作用を避けるようになっている。駆動ユニット30の続いて行われる後進運動に際しては、駆動ユニットは下方のストッパー33を連行体31に接触させて、工具から跳ね返る打撃ピストン3を作業方向と逆方向に引き戻すようになっている。次いで作業サイクルは繰り返され、駆動ユニット30は上方のストッパー34で打撃ピストン3を再び工具に向けて駆動する。
【0061】
第3の実施例では連結装置は、空気ばねによってではなく、駆動ユニットの縦溝32及びストッパー33,34、並びに連行体31によって形成されている。駆動ユニット30の打撃ピストン3に伝達するための構成、つまり連結装置は種々の構造で実施されるものである。
【0062】
図8は、本発明の第4の実施例の打撃装置の概略的な断面図である。該打撃装置の基本的な構成は、図7の打撃装置の構成と同じである。追加的な構成として、打撃ピストン3のピストンヘッド2は連結ロッド35を介して双方向作用式のピストン36に力伝達可能に連結されており、双方向作用式のピストン36は、打撃装置ケーシング9に対応して配置された双方向作用式のシリンダー37内で打撃ピストン3の運動に依存して往復運動するようになっている。双方向作用式のピストン36と双方向作用式のシリンダー37とは双方向作用式の中空室38を画定しており、該中空室内に双方向作用式の空気ばね39を形成してある。
【0063】
図1乃至図3に示す第1の実施例において双方向作用式の中空室17内の双方向作用式の空気ばねによって第1の実施例の駆動ピストンの後進運動を制動し、かつ後に前進運動を助成するのに類似して、図8に示す双方向作用式の空気ばね39は、打撃ピストン3の後進運動に際して圧縮され、その結果、打撃ピストン3の後続の前進運動を助成するようになっている。双方向作用式の空気ばね39の空気損失の補償は、第1乃至第3の実施例で述べてある手段と同等の手段によって行われるようになっている。
【0064】
双方向作用式の空気ばね39も、打撃ピストン3の長い運動距離にわたって圧縮されるようになっていてよい。双方向作用式の空気ばね39の圧縮は、図8に示す第4の実施例では特に確実に行われ、それというのは、打撃ピストン3は駆動ユニット30と打撃ピストン3との間の嵌め合い結合式若しくは形状結合式の連結部(形状による拘束に基づく連結部)によって強制的に運動させられるようになっているからである。
【0065】
本発明に基づき、電気力によって直線駆動される打撃装置若しくは打撃機構の効率を増大させることができるようになっている。空気ばねによるエネルギーの一時的な蓄えによって、出力ピークを低くして一様な電気出力若しくは電気消費を達成している。さらに、駆動ユニットの運動方向の方向転換点におけるハンマーケーシングへの衝撃的な負荷を避けるようになっている。本発明に基づく打撃装置によって、大きな破砕能力若しくは打撃能力を達成すると共に、ハンドグリップ振動を減少させている。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施例の打撃装置の後側の終端位置での概略的な断面図
【図2】図1の打撃装置の中間位置での概略的な断面図
【図3】図1の打撃装置の前側の終端位置での概略的な断面図
【図4】本発明の第2の実施例の打撃装置の後側の終端位置での概略的な断面図
【図5】図4の打撃装置の中間位置での概略的な断面図
【図6】図4の打撃装置の前側の終端位置での概略的な断面図
【図7】本発明の第3の実施例の打撃装置の概略的な断面図
【図8】本発明の第4の実施例の打撃装置の概略的な断面図
【符号の説明】
【0067】
1 駆動ピストン、 2 ピストンヘッド、 3 打撃ピストン、 4 シャフト、 5 打撃ピストン案内、 6 工具端部、 7 中空室、 8 空気ばね、 9 打撃装置ケーシング、 10 空気ばね、 11 空気補償ポケット、 12 可動子、 13 固定子、 14 中空室、 15 通気開口部、 16 ピストン面、 17 中空室、 18 通気開口部、 19 可動子、 20 付加部、 21 マグネット、22 固定子、 23 中空室、 24,25 通気開口部、 30 駆動ユニット、 31 連行体、 32 縦溝、 33,34 ストッパー、 35 ピストンロッド、 36 ピストン、 37 シリンダー、 39 空気ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃装置であって、電気力式の直線駆動部(12,13;19,22)、該直線駆動部(12,13;19,22)によって打撃装置ケーシング(9)内を往復運動させられる駆動要素(1)、工具(6)に対する打撃のための打撃要素(3)、並びに、前記駆動要素(1)と前記打撃要素(3)との間に設けられていて前記駆動要素(1)の運動を前記打撃要素(3)へ伝達するための連結装置(8)を備えている形式のものにおいて、打撃方向で見て駆動要素(1)の前側及び/又は後側に双方向作用式の中空室(14,17;23)を設けてあり、該中空室(14,17;23)は少なくとも一時的に外部に対して遮断されて、該中空室(14,17;23)内に、前記駆動要素(1)及び/又は前記打撃要素(3)に対して有効な双方向作用式の空気ばねを形成するようになっていることを特徴とする打撃装置。
【請求項2】
駆動要素(1)は直線駆動部の可動子(12)に結合されていて、該可動子(12)と一緒に1つの駆動ユニットを形成している請求項1に記載の打撃装置。
【請求項3】
連結装置は、駆動要素(1)と打撃要素(3)との間で有効なストッパー(33,34)を有している請求項1又は2に記載の打撃装置。
【請求項4】
連結装置は、駆動要素(1)と打撃要素(3)との間で少なくとも1つの方向に作用する構成要素(8)を有している請求項1から3のいずれか1項に記載の打撃装置。
【請求項5】
中空室(14,17;23)は、駆動要素(1)の端面側で駆動要素(1)と打撃装置ケーシング(9)との間に、若しくは駆動ユニットと打撃装置ケーシング(9)との間に配置されている請求項1から4のいずれか1項に記載の打撃装置。
【請求項6】
中空室(14,17;23)内に形成されている空気ばねは、少なくとも一時的に駆動要素(1)の運動に抗して作用するようになっている請求項1から5のいずれか1項に記載の打撃装置。
【請求項7】
中空室(14,17;23)内に形成されている空気ばねは、駆動要素(1)の運動方向の転向の少なくとも直前で該駆動要素(1)の運動に抗して作用するようになっている請求項1から6のいずれか1項に記載の打撃装置。
【請求項8】
双方向作用式の中空室は、駆動要素(1)の前側に配置された第1の中空室(14)であり、該第1の中空室(14)は打撃要素(3)の構成部分によって貫通されている請求項1から7のいずれか1項に記載の打撃装置。
【請求項9】
双方向作用式の中空室は、駆動要素(1)の後側に配置された第2の中空室(17;23)であり、該第2の中空室(17;23)内に形成されている空気ばねは、駆動要素(1)の、打撃方向と逆向きの後進運動に際して、該駆動要素(1)の全後進運動距離の少なくとも30パーセント若しくは50パーセントを越える値に相当する運動距離にわたって作用するようになっている請求項1から8のいずれか1項に記載の打撃装置。
【請求項10】
双方向作用式の中空室(14,17;23)と外部との間に、一時的に閉鎖可能な通気開口部(15,18;24,25)を設けてある請求項1から9のいずれか1項に記載の打撃装置。
【請求項11】
通気開口部(15,18;24,25)は、打撃装置ケーシング(9)内で1つの打撃サイクル中に駆動要素(1)若しくは駆動ユニットによって覆われる領域に設けられている請求項10に記載の打撃装置。
【請求項12】
通気開口部(15,18;24,25)は、1つの打撃サイクル中に駆動要素(1)及び/又は駆動ユニットの位置に応じて開放若しくは閉鎖されるようになっている請求項10又は11に記載の打撃装置。
【請求項13】
打撃装置は空気ばね式打撃装置であり、駆動要素は駆動ピストン(1)として形成されており、打撃要素は打撃ピストン(3)として形成されており、かつ連結装置は、前記駆動ピストン(1)と前記打撃ピストン(3)との間の連結用の中空室(7)内で有効な連結用の空気ばね(8)を含んでいる請求項1から12のいずれか1項に記載の打撃装置。
【請求項14】
駆動ピストン(1)は打撃ピストン(3)を取り囲んでおり、該打撃ピストン(3)はピストンヘッド(2)を有しており、連結用の空気ばね(8)を形成する連結用の中空室(7)は、打撃方向で見て前記ピストンヘッド(2)の後側に配置されており、該ピストンヘッド(2)の前側で前記駆動ピストン(1)と前記打撃ピストン(3)との間に、戻し用の空気ばね(10)のための別の中空室を形成してある請求項13に記載の打撃装置。
【請求項15】
双方向作用式の空気ばねは駆動ピストン(1)に対してのみ作用するようになっている請求項13又は14に記載の打撃装置。
【請求項16】
双方向作用式の空気ばねは、打撃ピストン(3)の少なくとも1つの運動方向で該打撃ピストン(3)に対してのみ作用するようになっている請求項13又は14に記載の打撃装置。
【請求項17】
打撃ピストン(3)は、双方向作用式のピストン(36)と力伝達可能に結合されており、前記双方向作用式のピストン(36)は双方向作用式の空気ばね(39)に抗して作用するようになっている請求項13から16のいずれか1項に記載の打撃装置。
【請求項18】
双方方向作用式の空気ばねは少なくとも一時的に軸線方向で駆動要素(1)若しくは打撃要素(3)に対して作用するようになっており、双方向作用式の中空室は軸線方向で前記駆動要素に対応しては配置されておらず、力伝達装置を設けてあり、該力伝達装置は前記駆動要素と前記双方向作用式の中空室内に形成された双方向作用式の空気ばねとを力伝達可能に連結している請求項1から17のいずれか1項に記載の打撃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−544871(P2008−544871A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519836(P2008−519836)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006271
【国際公開番号】WO2007/000344
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(503048268)ワツカー コンストラクション イクイップメント アクチェンゲゼルシャフト (27)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Construction Equipment AG
【住所又は居所原語表記】Preussenstrasse 41, D−80809 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】