説明

電気式脱イオン水製造装置及び脱イオン水の製造方法

【課題】本発明の目的は、被処理水中の不純物を省電力で除去することができる電気式脱イオン水製造装置及び当該電気式脱イオン水製造装置を用いる脱イオン水の製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明の電気式脱イオン水製造装置1は、1層の単セル構成であり、陽極10/陽極室12/カチオン交換膜18/カチオン交換体20が充填されたカチオン交換脱塩室22/カチオン交換膜18/イオン交換体30が充填された濃縮室32/アニオン交換膜24/アニオン交換体26が充填されたアニオン交換脱塩室28/アニオン交換膜24/陰極室16/陰極14の順に配列したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気式脱イオン水製造装置及び該電気式脱イオン水製造装置を利用した脱イオン水の製造方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
脱イオン水を製造する方法として、従来からイオン交換樹脂に被処理水を通して脱イオンを行う方法が知られている。しかし、この方法では、イオン交換樹脂がイオンで飽和されたときに、通常薬剤によって再生を行う。このような再生処理は、処理操作上の不利であり、このような点を解消するため、薬剤による再生が不要な電気式脱イオン法による脱イオン水製造方法が確立され、実用化に至っている。
【0003】
このような脱塩処理を行う電気式脱イオン水製造装置(EDI)としては、例えば、陽極と陰極との間に、カチオン交換膜とアニオン交換膜とを交互に配置し、両膜の間にアニオン交換体が充填された脱塩室と濃縮室とを交互に形成したものが挙げられる(例えば、特許文献1参照)。そして、電気式脱イオン水製造装置では、陽極と陰極間に直流電流を流した状態で、イオン交換体が充填された脱塩室内に被処理水を、濃縮室に濃縮水を通水させることによって、被処理水中のイオンが濃縮水中に移動し、脱イオン水が得られる。
【0004】
例えば、特許文献2には、アニオン交換膜とカチオン交換膜とで区画された脱塩室と、カチオン交換膜とアニオン交換膜とで区画され、アニオン交換膜側にアニオン交換体を充填した濃縮室とを有する電気式脱イオン水製造装置が開示されている。ここで、脱塩室に流入させる被処理水中の硬度が高い場合、例えば、水道水または水道水をRO膜処理した水を被処理水として用いると、濃縮室のアニオン交換膜面に硬度スケールが発生しやすくなる。しかし、特許文献2の装置のように、濃縮室にアニオン交換体が充填されていると、アニオン交換体が濃縮室のアニオン交換膜近傍で生じるpHシフトを緩和する役割を果たし、濃縮室のアニオン交換膜面で硬度スケールが発生することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−170646号公報
【特許文献2】特開2004−358440号公報
【特許文献3】特開2007−283228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、電気式脱イオン水製造装置の電気抵抗を低減させ、被処理水中の不純物イオンを省電力で除去することができる電気式脱イオン水製造装置の開発が、種々行われている。
【0007】
そこで、本発明の目的は、被処理水中の不純物を省電力で除去することができる電気式脱イオン水製造装置及び当該電気式脱イオン水製造装置を用いる脱イオン水の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
参考例の電気式脱イオン水製造装置は、陽極を備える陽極室と陰極を備える陰極室との間に、一対のカチオン交換膜で区画され、カチオン交換体が充填されたカチオン交換脱塩室と、一対のアニオン交換膜で区画され、アニオン交換体が充填されたアニオン交換脱塩室と、前記カチオン交換脱塩室と前記アニオン交換脱塩室との間に、前記カチオン交換脱塩室のカチオン交換膜と前記アニオン交換脱塩室のアニオン交換膜とで区画され、イオン交換体が充填された濃縮室と、を有する。
【0009】
本発明の電気式脱イオン水製造装置は、陽極/陽極室/カチオン交換膜/カチオン交換体が充填されたカチオン交換脱塩室/カチオン交換膜/イオン交換体が充填された濃縮室/アニオン交換膜/アニオン交換体が充填されたアニオン交換脱塩室/アニオン交換膜/陰極室/陰極の順に配列された構成を有する。
【0010】
また、前記電気式脱イオン水製造装置において、前記イオン交換体は、アニオン交換体、カチオン交換体、又はカチオン交換体及びアニオン交換体の混合体であることが好ましい。
【0011】
また、前記電気式脱イオン水製造装置において、被処理水を前記カチオン交換脱塩室から前記アニオン交換脱塩室の順序又は前記アニオン交換脱塩室から前記カチオン交換脱塩室の順序で通水させる脱塩処理ラインを備えることが好ましい。
【0012】
また、前記電気式脱イオン水製造装置において、pHが酸性である被処理水を前記アニオン交換脱塩室から前記カチオン交換脱塩室の順序で通水させる脱塩処理ラインを備えることが好ましい。
【0013】
また、前記電気式脱イオン水製造装置において、pHがアルカリ性である被処理水を前記カチオン交換脱塩室から前記アニオン交換脱塩室の順序で通水させる脱塩処理ラインを備えることが好ましい。
【0014】
また、参考例として、前記電気式脱イオン水製造装置において、前記脱塩処理ラインとは別に、被処理水を前記濃縮室に通水させる濃縮水ラインを有することが好ましい。
【0015】
また、前記電気式脱イオン水製造装置において、被処理水が前記カチオン交換脱塩室及び前記アニオン交換脱塩室で脱塩処理されることによって得られた処理水の一部を電極水として前記陰極室から前記陽極室の順序で通水させる電極水ラインを有することが好ましい。
【0016】
また、前記電気式脱イオン水製造装置において、被処理水が前記カチオン交換脱塩室及び前記アニオン交換脱塩室で脱塩処理されることによって得られた処理水の一部を電極水として前記陰極室から前記陽極室の順序で通水させる電極水ラインと、前記処理水の一部を前記濃縮室に通水させる濃縮水ラインと、を有することが好ましい。
【0017】
また、前記電気式脱イオン水製造装置において、前記カチオン交換脱塩室及び前記アニオン交換脱塩室に通水させる被処理水を貯留するタンクと、前記電極水ラインを通過した電極水を前記タンクに供給する循環ラインと、を有することが好ましい。
【0018】
また、前記電気式脱イオン水製造装置において、被処理水が前記カチオン交換脱塩室及び前記アニオン交換脱塩室で脱塩処理されることによって得られた処理水の一部を電極水として前記陰極室から前記陽極室の順序で通水させる電極水ラインと、前記電極水ラインを通過した電極水を前記濃縮室に通水させる濃縮水ラインと、を有することが好ましい。
【0019】
また、前記電気式脱イオン水製造装置は、燃料電池から排出される凝縮水を脱塩処理する燃料電池用の水処理装置であることが好ましい。
【0020】
また、本発明の脱イオン水の製造方法は、前記電気式脱イオン水製造装置を利用して、被処理水を脱塩処理し脱イオン水を製造する。
【0021】
また、前記脱イオン水の製造方法であって、前記被処理水は、燃料電池から排出される凝縮水であることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、被処理水中の不純物を省電力で除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置の概略構成図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置の概略構成図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置の概略構成図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置の概略構成図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0025】
図1は、本実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置の概略構成図である。図1に示す電気式脱イオン水製造装置1は、陽極10/陽極室12/カチオン交換膜18/カチオン交換体20が充填されたカチオン交換脱塩室22/カチオン交換膜18/イオン交換体30が充填された濃縮室32/アニオン交換膜24/アニオン交換体26が充填されたアニオン交換脱塩室28/アニオン交換膜24/陰極室16/陰極14の順に配列したものである。
【0026】
但し、本実施形態に電気式脱イオン水製造装置は、陽極10を備える陽極室12と陰極14を備える陰極室16との間に、一対のカチオン交換膜18で区画され、カチオン交換体20が充填されたカチオン交換脱塩室22と、一対のアニオン交換膜24で区画され、アニオン交換体26が充填されたアニオン交換脱塩室28と、カチオン交換脱塩室22とアニオン交換脱塩室28との間に、カチオン交換膜18とアニオン交換膜24とで区画され、イオン交換体30が充填された濃縮室32と、を有するものであれば、上記脱塩室及び濃縮室の構成を単セルとして、これを複数積層したものであってもよい。なお、積層する場合は、隣接するカチオン交換脱塩室22とアニオン交換脱塩室28とを区画するイオン交換膜をカチオン交換膜18又はアニオン交換膜24のどちらか1枚にすることが好ましい。
【0027】
本実施形態における電気式脱イオン水製造装置1は、上記単セルを複数積層して大流量向けの水処理装置として用いるより、上記単セル1つでも十分に被処理水の脱塩処理が可能な小流量向けの水処理装置として用いることが好ましい。小流量向けの水処理装置としては、例えば、家庭用電源、車両用電源等に用いられる燃料電池用の水処理装置等が挙げられる。燃料電池用の水処理装置は、燃料電池から排出される凝縮水に含まれる炭酸成分、アルカリ金属等の不純物を除去するために用いられる。不純物を除去した処理水は、燃料電池を構成する電解質膜の加湿用水等に利用される。以下本実施形態では、図1に示すような1つの単セルを有する電気式脱イオン水製造装置を例に説明する。
【0028】
電気式脱イオン水製造装置1において、一対のカチオン交換膜18で区画されたカチオン交換脱塩室22には、カチオン交換体20が充填され、一対のアニオン交換膜24で区画されたアニオン交換脱塩室28には、アニオン交換体26が充填されている。
【0029】
カチオン交換脱塩室22とアニオン交換脱塩室28との間に設けられ、カチオン交換膜18とアニオン交換膜24とで区画された濃縮室32には、イオン交換体30が充填されている。濃縮室32に充填されるイオン交換体30は、アニオン交換体、カチオン交換体、又はアニオン交換体とカチオン交換体との混合体等であるが、処理対象となる被処理水の水質等に応じて適宜選択されることが好ましい。例えば、硬度成分をほとんど含まない被処理水の場合には、硬度スケールの発生を考慮する必要はないので、濃縮室32に充填されるイオン交換体30にカチオン交換体を用いることができる。硬度成分をほとんど含まない被処理水としては、例えば、燃料電池から排出される凝縮水等が挙げられる。一般的にカチオン交換体は、アニオン交換体よりも導電性が高い。従って、濃縮室32にアニオン交換体を充填するよりカチオン交換体を充填した方が、濃縮室32の電気抵抗を減少させ、電気式脱イオン水製造装置1の省電力化を図ることが可能となる。また、一般的に、カチオン交換体は、アニオン交換体より熱的安定性が高いため、濃縮室32の耐熱性を向上させることができる。一方、処理対象となる被処理水が、例えば水道水または水道水をRO膜等で処理した水等である場合には、通常、硬度成分が含まれるため、硬度スケールの発生を抑制することができる点で、濃縮室32に充填されるイオン交換体30として、アニオン交換体を用いることが好ましい。濃縮室32にアニオン交換体が充填されていると、アニオン交換体が、濃縮室32のアニオン交換膜24近傍で生じるpHシフトを緩和する役割を果たし、濃縮室32のアニオン交換膜24面で硬度スケールが発生することを防止できる。
【0030】
また、濃縮室32からカチオン交換脱塩室22へ遊離炭酸が移動することを抑制し、処理水の水質を向上させることができる点で、濃縮室32に充填されるイオン交換体30として、アニオン交換体とカチオン交換体との混合体を用いることが好ましい。濃縮室32に混合体を充填することにより、アニオン交換脱塩室28から濃縮室32へ移動してきた炭酸イオンが、混合体中のアニオン交換体を移動してカチオン交換膜18に行き着く前に、混合体中のカチオン交換体から供給される水素イオンの作用により遊離炭酸として濃縮水(被処理水)中に放出される。このため、カチオン交換膜18近傍の遊離炭酸濃度が高くなることを防止し、処理水質への影響が緩和される。
【0031】
また、電気式脱イオン水製造装置1において、陽極10とカチオン交換脱塩室22との間に形成される陽極室12には、必要に応じて、カチオン交換体20が充填され、陰極14とアニオン交換脱塩室28との間に形成される陰極室16には、必要に応じてアニオン交換体26が充填される。
【0032】
また、カチオン交換体とアニオン交換体との接点では電気抵抗が高いことが判っている。本実施形態の電気式脱イオン水製造装置1の場合、濃縮室32にカチオン交換体、アニオン交換体のどちらを充填しても、カチオン交換体とアニオン交換体との接点数が少ない構成であるため、電気抵抗の上昇を抑え、装置の省電力化を図ることができる。
【0033】
電気式脱イオン水製造装置1は、被処理水をアニオン交換脱塩室28からカチオン交換脱塩室22の順序で通水させる脱塩処理ラインを有する。脱塩処理ラインは、第一ライン34、第二ライン36、第三ライン38を備える。第一ライン34は、アニオン交換脱塩室28の入口に接続されている。第二ライン36は、アニオン交換脱塩室28の出口及びカチオン交換脱塩室22の入口に接続されている。第三ライン38は、カチオン交換脱塩室22の出口に接続されている。
【0034】
また、電気式脱イオン水製造装置1は、濃縮室32に被処理水を通水させる濃縮水ラインを有する。濃縮水ラインは、濃縮水流入ライン40及び濃縮水流出ライン42を備える。濃縮水流入ライン40は、濃縮室32の入口に接続され、濃縮水流出ライン42は濃縮室32の出口に接続されている。また、電気式脱イオン水製造装置1は、アニオン交換脱塩室28及びカチオン交換脱塩室22で脱塩処理された処理水の一部を電極水として陰極室16から陽極室12の順序で通水させる電極水ラインを有する。電極水ラインは、電極水第一ライン44、電極水第二ライン46及び電極水第三ライン48を備える。電極水第一ライン44は、脱塩処理ラインの第3ライン38から分岐して陰極室16の入口に接続され、電極水第二ライン46は、陰極室16の出口及び陽極室12の入口に接続され、電極水第三ライン48は、陽極室12の出口に接続されている。
【0035】
電極水ラインは、濃縮水ラインと同様に、被処理水を陽極室12及び陰極室16に通水させる構成であってもよいが、被処理水中に含まれるアニオン、カチオン等の不純物が、陽極室12のカチオン交換膜18又は陰極室16のアニオン交換膜24を透過して、カチオン交換脱塩室22又はアニオン交換脱塩室28に移動し、処理水の水質を悪化させる場合がある。そのため、不純物が除去されている処理水の一部を電極水として電極水ラインに流して、陽極室12及び陰極室16に通水させることにより、各脱塩室(22,28)に移動する不純物の量を減少させ、処理水の水質を向上させることができる。また、電極水ラインは、処理水の一部を電極水として陽極室12から陰極室16の順序で通水させる構成であってもよいが、陽極室12では、Hが発生するため、陽極室12で発生したHが陰極室16に流れ、陰極室16に充填されたアニオン交換体26、アニオン交換膜24を劣化させるおそれがある。そのため、電極水ラインは、陽極室12で発生するHが陰極室16に流れないように、処理水の一部を電極水として陰極室16から陽極室12の順序で通水させる構成とすることが好ましい。
【0036】
本実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置1によって、脱イオン水を製造する場合の運転方法の一例を以下に説明する。まず、陽極10と陰極14間に直流電流を流した状態で、脱塩処理ラインの第一ライン34及び濃縮水流入ライン40から被処理水を流入させる。第一ライン34から流入した被処理水は、アニオン交換脱塩室28に供給され、アニオン交換体26の充填層を通過する際に、被処理水中のアニオンが除去される。更に、被処理水はアニオン交換脱塩室28から排出され、脱塩処理ラインの第二ライン36を流れ、カチオン交換脱塩室22に供給される。そして、カチオン交換体20の充填層を通過する際に被処理水中のカチオンが除去され、脱塩処理ラインの第三ライン38から処理水(脱イオン水)が得られる。また、得られた処理水の一部は電極水として、電極水第一ライン44を流れ、陰極室16に供給される。また、陰極室16を通過した電極水は、電極水第二ライン46を流れ、陽極室12に供給される。そして、陽極室12を通過した電極水は、電極水第三ライン48から排出される。また、濃縮水流入ライン40から濃縮室32に供給された被処理水は、カチオン交換脱塩室22からカチオン交換膜18を介して移動してくるカチオン、アニオン交換脱塩室28からアニオン交換膜24を介して移動してくるアニオンを受け取り、カチオン及びアニオン等の不純物を濃縮した濃縮水として濃縮水流出ライン42から流出される。上述の運転によって、被処理水中の不純物が除去された処理水(脱イオン水)が得られる。
【0037】
本実施形態の電気式脱イオン水製造装置1は、特にpHが酸性を示す被処理水において、効率的に脱塩処理を行うことが可能な装置である。すなわち、まず、酸性を示す被処理水をアニオン交換体26が充填されたアニオン交換脱塩室28に通水し、被処理水中の除去対象であるアニオンを除去する。これにより、被処理水中にはカチオンが残り、これらの対イオンとして水解離により生じた水酸化物イオンが増え、アニオン除去後の被処理水のpHがアルカリ性寄りになる。従って、カチオン交換体20を充填したカチオン交換脱塩室22に供給される被処理水がアルカリ性寄りとなるため、被処理水中において除去される水素イオンが少なくなり、結果として被処理水中の除去対象であるカチオンが除去され易くなって、被処理水中の不純物の除去効率が向上する。
【0038】
しかし、アルカリ性を示す被処理水をアニオン交換体26が充填されたアニオン交換脱塩室28に供給すると、被処理水中に多量に存在する水酸化物イオンがアニオン交換体26に捕捉され、濃縮室32へ移動するため、除去対象であるアニオンを効率的に除去することが出来ない。そうすると、除去対象であるアニオンが残留した被処理水が、カチオン交換体20を充填したカチオン交換脱塩室22に流入しても、被処理水中に残留したアニオンは除去されず、処理水中の不純物の除去効率が低下する。
【0039】
例えば、燃料電池から排出される凝縮水は炭酸成分を多く含むため、pHは酸性である。そのため、燃料電池の凝縮水を脱塩処理し、脱イオン水を製造する燃料電池用水処理装置としては、上記説明したように、被処理水(凝縮水)をアニオン交換脱塩室28からカチオン交換脱塩室22の順で通水させる脱塩処理ラインを有する電気式脱イオン水製造装置であることが好ましい。
【0040】
本実施形態では、アニオン交換脱塩室28に流入する被処理水の流れは、上昇方向であり、カチオン交換脱塩室22に流入する被処理水の流れは、下降方向であるが、これに制限されるものではない。また、電極室(陽極室12、陰極室16)及び濃縮室32に流れる被処理水、電極水の流れは、特に制限されるものではないが、上昇方向であることが好ましい。
【0041】
次に、本発明の他の実施形態として、カチオン交換体を充填したカチオン交換脱塩室からアニオン交換体を充填したアニオン交換脱塩室の順で被処理水を通水させる電気式脱イオン水製造装置について説明する。
【0042】
図2は、本発明の他の実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置の概略構成図である。図2に示す電気式脱イオン水製造装置2において、図1に示す電気式脱イオン水製造装置1と同様の構成には、同一の符合を付し、その説明を省略する。
【0043】
電気式脱イオン水製造装置2は、被処理水をカチオン交換脱塩室22からアニオン交換脱塩室28の順序で通水させる脱塩処理ラインを有する。脱塩処理ラインは、第一ライン50、第二ライン52、第三ライン54を備える。第一ライン50は、カチオン交換脱塩室22の入口に接続されている。第二ライン52は、カチオン交換脱塩室22の出口及びアニオン交換脱塩室28の入口に接続されている。第三ライン54は、アニオン交換脱塩室28の出口に接続されている。また、濃縮室32に被処理水を通水させる濃縮水ライン(濃縮水流入ライン40、濃縮水流出ライン42)、カチオン交換脱塩室22及びアニオン交換脱塩室28で脱塩処理された処理水の一部を電極水として陰極室16から陽極室12の順序で通水させる電極水ライン(電極水第一ライン44、電極水第二ライン46、電極水第三ライン48)の構成は、図1に示す電気式脱イオン水製造装置1と同様の構成であるため、その説明を省略する。
【0044】
本実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置2によって、脱イオン水を製造する場合の運転方法の一例を以下に説明する。まず、陽極10と陰極14間に直流電流を流した状態で、脱塩処理ラインの第一ライン50及び濃縮水流入ライン40から被処理水を流入させる。第一ライン50から流入した被処理水は、カチオン交換脱塩室22に供給され、カチオン交換体20の充填層を通過する際に、被処理水中のカチオンが除去される。更に、被処理水は、カチオン交換脱塩室22から排出され、脱塩処理ラインの第二ライン52を流れ、アニオン交換脱塩室28に供給される。そして、アニオン交換体26の充填層を通過する際に、被処理水中のアニオンが除去され、脱塩処理ラインの第三ライン54から処理水(脱イオン水)が得られる。また、得られた処理水の一部は電極水として、電極水第一ライン44を流れ、陰極室16に供給される。また、陰極室16を通過した電極水は、電極水第二ライン46を流れ、陽極室12に供給される。そして、陽極室12を通過した電極水は、電極水第三ライン48から排出される。また、濃縮水流入ライン40から濃縮室32に供給された被処理水は、カチオン交換脱塩室22からカチオン交換膜18を介して移動してくるカチオン、アニオン交換脱塩室28からアニオン交換膜24を介して移動しくるアニオンを受け取り、カチオン及びアニオン等の不純物を濃縮した濃縮水として濃縮水流出ライン42から流出される。上述の運転によって、被処理水中の不純物が除去された処理水(脱イオン水)が得られる。
【0045】
本実施形態の電気式脱イオン水製造装置2は、特にpHがアルカリ性を示す被処理水において、効率的に脱塩処理を行うことが可能な装置である。すなわち、まず、アルカリ性を示す被処理水をカチオン交換体20が充填されたカチオン交換脱塩室22に通水し、被処理水中の除去対象であるカチオンを除去する。これにより、被処理水中にはアニオンが残り、これらの対イオンとして水解離により生じた水素イオンが増え、カチオン除去後の被処理水のpHが酸性寄りになる。従って、アニオン交換体26を充填したアニオン交換脱塩室28に流入する被処理水が酸性寄りとなるため、被処理水中において除去される水酸化物イオンが少なくなり、結果として処理水中の除去対象であるアニオンが除去され易くなって、被処理水中の不純物の除去効率が向上する。
【0046】
しかし、酸性を示す被処理水をカチオン交換体20が充填されたカチオン交換脱塩室22に供給すると、被処理水中に多量に存在する水素イオンがカチオン交換体20に捕捉され、濃縮室32へ移動するため、除去対象であるカチオンを効率的に除去することが出来ない。そうすると、除去対象であるカチオンが残留した被処理水が、アニオン交換体26を充填したアニオン交換脱塩室28に流入しても、被処理水中に残留したカチオンは除去されず、処理水中の不純物の除去効率が低下する。
【0047】
また、本実施形態の電気式脱イオン水製造装置は、図1に示す脱塩処理ラインと、図2に示す脱塩処理ラインと、pHセンサとを備え、被処理水のpHに応じて、被処理水を通水させる脱塩処理ラインを選択するものであってもよい。
【0048】
図3は、本発明の他の実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置の概略構成図である。図3に示す電気式脱イオン水製造装置3において、図1に示す電気式脱イオン水製造装置1の構成と同様の構成については、同一の符合を付し、その説明を省略する。
【0049】
電気式脱イオン水製造装置3は、カチオン交換脱塩室22及びアニオン交換脱塩室28で脱塩処理された処理水の一部を濃縮室32に通水させる濃縮水ラインと、処理水の一部を電極水として陰極室16から陽極室12の順で通水させる電極水ラインとを有する。濃縮水ラインは、濃縮水流入ライン56及び濃縮水流出ライン58を備える。濃縮水流入ライン56は、脱塩処理ラインの第三ライン38から分岐して濃縮室32の入口に接続され、濃縮水流出ライン58は、濃縮室32の出口に接続されている。また、電極水ライン(電極水第一ライン44、電極水第二ライン46及び電極水第三ライン48)は、図1に示す電気式脱イオン水製造装置1と同様の構成である。また、上記濃縮水ライン及び電極水ラインの構成は、図2に示す電気式脱イオン水製造装置2にも適用可能である。すなわち、濃縮水流入ライン56は、図2に示す脱塩処理ラインの第三ライン54から分岐して濃縮室32の入口に接続され、濃縮水流出ライン58は濃縮室32の出口に接続される。
【0050】
上記構成によって、脱塩処理された処理水の一部は、濃縮水流入ライン56を流れ、濃縮室32に供給され、濃縮水流出ライン58から排出される。また、脱塩処理された処理水の一部は電極水として、上記説明した通り、陰極室16から陽極室12の順序で通水する。被処理水が濃縮室32に供給されると、被処理水中のカチオン及びアニオンは、濃縮室32のカチオン交換膜18及びアニオン交換膜24により遮断され、各脱塩室(22,24)に移動することはない。しかし、被処理水中の遊離炭酸がカチオン交換膜18を透過して、カチオン交換脱塩室22に移動し、処理水の水質を悪化させる場合がある。そのため、本実施形態では、遊離炭酸等の不純物が除去されている処理水の一部を濃縮室に通水させることにより、カチオン交換脱塩室22に移動する遊離炭酸の量を減少させ、処理水の水質を向上させることができる。また、電極室(陽極室12、陰極室16)に処理水を通水させることにより、各脱塩室(22,28)に移動するカチオン及びアニオン等の不純物の量を減少させ、処理水の水質を向上させることができる。
【0051】
図4は、本発明の他の実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置の概略構成図である。図4に示す電気式脱イオン水製造装置4において、図3に示す電気式脱イオン水製造装置3の構成と同様の構成については、同一の符合を付し、その説明を省略する。
【0052】
電気式脱イオン水製造装置4は、カチオン交換脱塩室22及びアニオン交換脱塩室28に通水する被処理水を貯留するタンク60を備える。タンク60の出口には、脱塩処理ラインの第1ライン34が接続されている。また、電気式脱イオン水製造装置4は、電極水ラインを通過した電極水をタンク60に供給する循環ライン62を備える。循環ライン62は、電極水第三ライン48及びタンク60の電極水入口に接続されている。なお、タンク60は、電気式脱イオン水製造装置4外から被処理水を補充することができる供給口も備えている。また、タンク60及び循環ライン62は、図1及び図2に示す電気式脱イオン水製造装置にも適用可能である。
【0053】
上記構成によって、タンク60に貯留した被処理水は、脱塩処理ライン(34,36,38)を通り、各脱塩室(22,28)により脱塩処理されて処理水となる。処理水の一部は電極水として、電極水ライン(44,46,48)及び電極室(12,16)を通過し、循環ライン62に流入し、タンク60に供給される。電極室(12,16)には、濃縮室32のように各脱塩室(22,28)から不純物が移動してこないため、電極水には、ほとんど不純物が含まれていない。従って、電極水をタンク60に戻し、再度被処理水として脱塩処理を行っても、得られる処理水の水質を悪化させることはない。さらに、電極水を循環ライン62により循環させているため、最終的に得られる処理水の回収率を向上させることもできる。
【0054】
図5は、本発明の他の実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置の概略構成図である。図5に示す電気式脱イオン水製造装置5において、図1に示す電気式脱イオン水製造装置1の構成と同様の構成については、同一の符合を付し、その説明を省略する。
【0055】
電気式脱イオン水製造装置5は、カチオン交換脱塩室22及びアニオン交換脱塩室28で脱塩処理された処理水の一部を電極水として陰極室16から陽極室12の順序で通水させる電極水ラインと、電極水ラインを通過した電極水を濃縮室32に通水させる濃縮水ラインとを有する。電極水ラインは、図1に示す電気式脱イオン水製造装置1と同様に、電極水第一ライン44、電極水第二ライン46及び電極水第三ライン48を備える。濃縮水ラインは、濃縮水流入ライン64及び濃縮水流出ライン66を備える。濃縮水流入ライン64は、電極水第三ライン48及び濃縮室32の入口に接続され、濃縮水流出ライン66は、濃縮室32の出口に接続されている。また、上記濃縮水ラインの構成は、図2に示す電気式脱イオン水製造装置2にも適用可能である。
【0056】
上記構成によって、各脱塩室(22,28)により脱塩処理された処理水の一部は、まず電極水として、電極水ライン(44,46,48)及び電極室(12,16)を通過した後、濃縮水として濃縮水流入ライン64に流入する。そして、濃縮水は濃縮水流入ライン64を通って濃縮室32に供給され、濃縮室32を通過し、濃縮水流出ライン66から排水される。濃縮室32を通過する際には、各脱塩室(22,28)から移動してきた不純物を受け取ることとなる。電極室(12,16)には、濃縮室32のように各脱塩室(22,28)から不純物が移動してこないため、電極水にはほとんど不純物が含まれていない。すなわち、電極水には被処理水のように遊離炭酸もほとんど含まれていないため、電極水を濃縮室32に供給しても、カチオン交換脱塩室22に移動する遊離炭酸の量は少なく、処理水の水質の悪化を抑制することができる。また、各脱塩室(22,28)により脱塩処理された処理水の一部をそれぞれ濃縮室32及び電極室(12,16)に供給するより、電極室(12,16)に供給した電極水を濃縮室32に供給する方が、処理水の有効利用の点で好ましく、処理水の回収率を向上させ製作コストを下げることができる。
【0057】
陽極10と陰極14間に直流電流を流して脱塩処理を行う電気式脱塩処理装置では、陽極10及び陰極14から気泡(酸素ガス、水素ガス)が発生する。上記のように、電極室(12,16)から濃縮室32に電極水を通水させる構成では、電極室(12,16)内の気泡が電極水と共に濃縮室32に供給される。濃縮室32に気泡が存在することで、被処理水の脱塩処理に悪影響を及ぼす場合には、電極水ライン、濃縮水ライン等にエアベント等を設置し、気泡を除去することが好ましい。
【0058】
本実施形態において、カチオン交換脱塩室22及びアニオン交換脱塩室28の体積は、特に制限されないが、被処理水の流量に対し、通水倍量が50〜300になる範囲で設計することが好ましい。通水倍量が300以上になると、被処理水中の不純物の除去効率が低下し、処理水質が悪化する場合がある。
【0059】
また、本実施形態において、濃縮室32の厚みは、特に制限されないが、濃縮室32の線流速が高いと通水差圧が増大するため、線流速が10m/hr以下になるように設計されることが好ましい。
【0060】
カチオン交換体20、アニオン交換体26として用いられるイオン交換体としては、イオン交換樹脂、イオン交換繊維、モノリス型有機多孔質アニオン交換体(例えば、特開2002−306976号報等に記載のもの)及びその混合体など、イオン交換機能を有する物質であればいずれでもよく、また、それらを組み合わせたものであってもよい。
【0061】
電気式脱イオン水製造装置において、流量、通電量、その他運転条件は、被処理水の性状などに応じて適宜設定することができる。但し、濃縮室32に通水する濃縮水(被処理水又は処理水)流量は、被処理水に対する濃縮倍率が20倍以下になるように設定されることが好ましい。
【0062】
本実施形態の電気式脱イオン水製造装置は、例えば、家庭用燃料電池向けの水処理装置(流量:5L/h〜10L/h)等の小流量向けの水処理装置として使用することが好ましいが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【実施例1】
【0063】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0064】
(実施例1)
陽極/カチオン交換樹脂が充填された陽極室/カチオン交換膜/カチオン交換樹脂が充填されたカチオン交換脱塩室/カチオン交換膜/カチオン交換樹脂が充填された濃縮室/アニオン交換膜/アニオン交換樹脂が充填されたアニオン交換脱塩室/アニオン交換膜/アニオン交換樹脂が充填された陰極室/陰極とした電気式脱イオン水製造装置を用い、以下の条件で被処理水を通水したときの処理水比抵抗率(MΩ・cm)及び操作電圧(V)を測定した。
<使用したイオン交換樹脂>
カチオン交換樹脂:IR120B−HG
アニオン交換樹脂:IRA402BL−HG
<脱塩室、濃縮室サイズ>
サイズ:縦40mm×幅50mm×厚さ15mm(アニオン交換脱塩室、カチオン交換脱塩室及び濃縮室をそれぞれ上記サイズとした)
<陽極板及び陰極板>
陽極板:チタン基盤上に白金皮膜を形成したものを陽極板とした。
陰極板:SUS316を陰極板とした。
<通水順序>
被処理水の通水を図1に示す順序で行った。すなわち、被処理水の一部をアニオン交換脱塩室→カチオン交換脱塩室の順序で通水させた。また、被処理水の一部を濃縮室にも通水させた。そして、脱塩室から得られた処理水の一部を陰極室→陽極室の順序で通水させた。
<通水条件>
被処理水流量:60mL/min
濃縮水流量:10mL/min
被処理水導電率:6μS/cm
被処理水全炭酸濃度:20mg/L
被処理水Na濃度:600μg/L
被処理水pH:4.9
運転時間:1000hr
<電流条件>
直流定電圧定電流電源を用い、0.25Aの定電流を流して運転を行った。
【0065】
(実施例2)
被処理水の通水を図3に示す順序で行ったこと以外は、実施例1と同様の条件で行った。すなわち、脱塩室から得られた処理水の一部を濃縮室及び電極室(陰極室→陽極室の順序)にそれぞれ通水させたこと以外は、実施例1と同様の条件で行った。
【0066】
(実施例3)
被処理水の通水を図2に示す順序で行ったこと以外は、実施例1と同様の条件で行った。すなわち、被処理水の通水順序をカチオン交換脱塩室→アニオン交換脱塩室の順序で通水させたこと以外は、実施例1と同様の条件で行った。
【0067】
(比較例)
カチオン交換脱塩室及びアニオン交換脱塩室に充填されるイオン交換樹脂をIR120B−HGとIRA402BL−HGとの混合体としたこと以外は、実施例1と同様の条件で行った。
【0068】
1000時間運転後の実施例1〜3及び比較例から得られる処理水比抵抗率(MΩ・cm)と操作電圧(V)を測定した。その結果を表1にまとめた。実施例1〜3は、比較例に対して、1/3の操作電圧で運転することができた。これは、実施例1〜3はカチオン交換体とアニオン交換体との接点が少ない構成であるため、電気抵抗の上昇を抑えることができたためである。また、実施例1,2は、比較例と同等の処理水比抵抗値が得られた。このことから、実施例1,2は、被処理水の処理効率を維持しながら、低い消費電力で運転することが可能であると云える。
【0069】
特に、実施例2の処理水比抵抗率は、実施例1より高い値を示した。これは、実施例2の場合、脱塩室により処理された処理水を濃縮室に通水させることによって、濃縮室からカチオン交換膜を通して脱塩室に移動する遊離炭酸の量を抑えることができたためである。なお、実施例1,2の処理水比抵抗率が、実施例3より高い値を示したのは、酸性の被処理水をアニオン交換脱塩室→カチオン交換脱塩室の順序で通水させているため、不純物除去効率が向上したためである。
【0070】
【表1】

【符号の説明】
【0071】
1〜5 電気式脱イオン水製造装置、10 陽極、12 陽極室、14 陰極、16 陰極室、18 カチオン交換膜、20 カチオン交換体、22 カチオン交換脱塩室、24 アニオン交換膜、26 アニオン交換体、28 アニオン交換脱塩室、30 イオン交換体、32 濃縮室、34,50 第一ライン、36,52 第二ライン、38,54 第三ライン、40,56,64 濃縮水流入ライン、42,58,66 濃縮水流出ライン、44 電極水第一ライン、46 電極水第二ライン、48 電極水第三ライン、60 タンク、62 循環ライン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極、陽極室、カチオン交換膜、カチオン交換体が充填されたカチオン交換脱塩室、カチオン交換膜、イオン交換体が充填された濃縮室、アニオン交換膜、アニオン交換体が充填されたアニオン交換脱塩室、アニオン交換膜、陰極室、陰極の順に配列された構成を有することを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の電気式脱イオン水製造装置であって、前記イオン交換体は、アニオン交換体、カチオン交換体、又はカチオン交換体及びアニオン交換体の混合体であることを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気式脱イオン水製造装置であって、被処理水を前記カチオン交換脱塩室から前記アニオン交換脱塩室の順序又は前記アニオン交換脱塩室から前記カチオン交換脱塩室の順序で通水させる脱塩処理ラインを備えることを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の電気式脱イオン水製造装置であって、pHが酸性である被処理水を前記アニオン交換脱塩室から前記カチオン交換脱塩室の順序で通水させる脱塩処理ラインを備えることを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の電気式脱イオン水製造装置であって、pHがアルカリ性である被処理水を前記カチオン交換脱塩室から前記アニオン交換脱塩室の順序で通水させる脱塩処理ラインを備えることを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気式脱イオン水製造装置であって、被処理水が前記カチオン交換脱塩室及び前記アニオン交換脱塩室で脱塩処理されることによって得られた処理水の一部を電極水として前記陰極室から前記陽極室の順序で通水させる電極水ラインを有することを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気式脱イオン水製造装置であって、被処理水が前記カチオン交換脱塩室及び前記アニオン交換脱塩室で脱塩処理されることによって得られた処理水の一部を電極水として前記陰極室から前記陽極室の順序で通水させる電極水ラインと、前記処理水の一部を前記濃縮室に通水させる濃縮水ラインと、を有することを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の電気式脱イオン水製造装置であって、前記カチオン交換脱塩室及び前記アニオン交換脱塩室に通水させる被処理水を貯留するタンクと、前記電極水ラインを通過した電極水を前記タンクに供給する循環ラインと、を有することを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気式脱イオン水製造装置であって、被処理水が前記カチオン交換脱塩室及び前記アニオン交換脱塩室で脱塩処理されることによって得られた処理水の一部を電極水として前記陰極室から前記陽極室の順序で通水させる電極水ラインと、前記電極水ラインを通過した電極水を前記濃縮室に通水させる濃縮水ラインと、を有することを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気式脱イオン水製造装置は、燃料電池から排出される凝縮水を脱塩処理する燃料電池用の水処理装置であることを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気式脱イオン水製造装置を利用して、被処理水を脱塩処理し脱イオン水を製造することを特徴とする脱イオン水の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の脱イオン水の製造方法であって、前記被処理水は、燃料電池から排出される凝縮水であることを特徴とする脱イオン水の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−152740(P2012−152740A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−65486(P2012−65486)
【出願日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【分割の表示】特願2008−74999(P2008−74999)の分割
【原出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【Fターム(参考)】