説明

電気装置

【課題】 構成が簡単で、1台のファンにより装置全体を良好に冷却することができ、悪環境下でも故障しにくい。
【解決手段】 ケース26内で仕切板40と底壁30に間隔をおいて支持壁46、48が接している。冷却部56の一端が支持壁46に、他端が支持壁48に、取り付けられ、冷却部56の外表面と仕切板40、支持壁46、48、側壁32、34の内面によって囲われて部屋54が形成され、冷却部56の外表面に半導体素子88が取り付けられている。仕切板40の上方に制御部取付板96が取り付けられ、側壁32、34、端壁36、38、天井壁28と共に、電子部品94用の部屋44を形成し、仕切板40との間に冷却通路97を形成している。ファン76がケース26内に導入した空気が、冷却部56の冷却通路68を通過し、排気口84からケース26の外部に排出される。連通孔90を介して冷却通路97に導入され、連通孔72を介して排気口84、86に空気が流れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気装置に関し、特に、塵や油や鉄粉などが浮遊する悪環境下で、使用される電気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、防塵性を有する制御盤の一例が開示されている。この制御盤は、前側に防塵区画が位置し、後側に通気区画が位置するようにケース内を仕切り壁によって仕切っている。防塵区画の下部に制御ユニットなどが配置されている。通気区画の下部に変圧器が配置されている。防塵区画と通気区画との仕切り壁における上下方向の中途には、通気区画から防塵区画に空気を流すためのファンが取り付けられ、仕切り壁の上部には防塵区画からの空気を通気区画に流すための通気口が形成されている。通気区画の下部に対応するケースの裏板には外部の空気を通気区画に流すための通気口が形成され、通気区画の上部に対応する裏板には通気区画の空気を外部に流すためのファンが取り付けられている。通気区画の上下方向の中途には、防塵区画から通気区画に流された空気と、外部から通気区画に流された空気との熱交換を行う伝熱板が設けられている。従って、防塵区画に通気区画からファンによって流入させられた空気は、防塵区画の上部の通気口から通気区間に流入し、再びファンによって防塵区画に流入することを繰り返す。この空気は、通気区画に外部から流入させられた空気と伝熱板によって熱交換されて冷却され、冷却された空気が再びファンによって防塵区画に流入する。これによって防塵区画内にある制御ユニットなどの部品が冷却される。
【0003】
防塵区画における最上部にパルス電源ユニットが配置されている。ケースの天井板のパルス電源ユニットに対応する位置に冷却ファンが取り付けられ、パルス電源ユニットに対応するケースの側板に通気口が形成されている。冷却ファンを動作させることによって、通気口から流入した空気がパルス電源ユニットを通過して冷却ファンによってケースの外部に排気される。これによってパルス電源ユニットの冷却が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3404907号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような制御盤では、防塵区画と通気区間とに空気を循環させるための流路と、通気区間と外部との間に空気を循環させるための流路と、防塵区画の上方で防塵区画と外部との間で空気を循環させるための流路と多数の流路を構成しなければならず、しかも、各流路にはそれぞれファンを設ける必要がある。その結果、ケース内部の構成が複雑になる。しかも、通気区間に外部から空気を流入させている上に、防塵区画の上部にも空気を流入させているので、ケース内部に塵などが入り込み易い。
【0006】
本発明は、構成が簡単であり、かつ1つのファンにより装置全体を良好に冷却することができ、塵や油や鉄粉などが浮遊する悪環境下でも故障しにくい電気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の電気装置は、ケースを有している。ケースは、概略矩形に形成された第1及び第2の主壁を有している。第1及び第2の主壁は、間隔をおいてほぼ平行に配置されている。第1及び第2の主壁の一方の側縁間を第1の側壁が結合している。第1及び第2の主壁の他方の側縁間を第2の側壁が結合している。第1及び第2の主壁の一方の端部間を第1の端壁が結合している。第1及び第2の主壁の他方の端部間を第2の端壁が結合している。第1及び第2の側壁及び(または)第1及び第2の端壁は、第1及び第2の主壁の一方と一体に形成することもできる。前記ケース内に第1及び第2の端壁間に跨って仕切板が設けられている。この仕切板は、上下に位置する2つの空間に前記ケース内を仕切っている。前記2つの空間の一方における第1の端壁の近傍で、第1の支持壁が第1及び第2の側壁に結合し、かつ前記仕切板と第1及び第2の主壁の一方とに結合している。前記一方の空間における第2の端壁の近傍で、第2の支持壁が第1及び第2の側壁に結合し、かつ前記仕切板と第1及び第2の主壁の一方とに結合している。これによって、一方の空間は、第1の端壁側にある部屋、第2の端壁側に部屋及びこれら2つの部屋の間にある中間の部屋の3つに仕切られている。中間の部屋において、第1の支持壁に冷却部の一端が取り付けられ、第2の支持壁に冷却部の他端が取り付けられている。冷却部の内部に第1の支持壁及び第2の支持壁間に伸びた第1の冷却通路が形成されている。第1の冷却通路は、第1及び第2の支持壁に形成された開口を介して第1の端壁側の部屋及び第2の端壁側の部屋と連通している。中間の部屋の内周面と冷却部の外表面とによって囲われて第1の部屋が形成されている。第1の部屋内において、少なくとも前記冷却部の外表面に第1の電気部品が取り付けられている。前記2つの空間の他方において、前記仕切板と第1及び第2の主壁の他方とにそれぞれ間隔をおいて境界板が配置されている。境界板の周面が第1及び第2の側壁並びに第1及び第2の端壁に接触して、第1及び第2の主壁の他方との間に第2の部屋を形成し、かつ前記仕切板との間に第2の冷却通路を形成している。前記第2の部屋に第2の電気部品が取り付けられている。第1の端壁側の部屋における前記仕切板に第1の連通孔が形成され、第1の連通孔が第1の端壁側の部屋及び第2の冷却通路を連通させている。第2の端壁側の部屋における前記仕切板に第2の連通孔が形成され、第2の連通孔が第2の冷却通路と第2の端壁側の部屋とを連通させている。第1の端壁にファンが設けられている。このファンは、例えば、前記ケースの外部から第1の端壁側の部屋及び第1の連通孔を介して第2の冷却通路に空気を導入すると共に、第1の端壁側の部屋を介して第1の冷却通路に空気を導入することができる。第2の端壁側の部屋に外部連通孔が形成されている。外部連通孔は、例えば、第1の冷却通路を通過して第2の端壁側の部屋に導入された空気と、第2の冷却通路及び第2の連通孔を介して第2の端壁側の部屋に導入された空気とを、前記ケースの外部に排気する排気口である。なお、ファンは、ケースの内部から空気をケースの外部に導出するものとすることもできる。この場合、外部連通孔からケース内の第2の端壁側の部屋に導入された空気の一部は、第1の冷却通路を通って第1の端壁側の部屋に導入され、ファンによってケースの外部に導出される。また、外部連通孔からケース内の第2の端壁側の部屋に導入された空気の残りのものは、第2の連通孔から第2の冷却通路、第1の連通孔を通り、第1の端壁側の部屋に導入され、ファンによってケースの外部に導出される。
【0008】
このように構成された電気装置では、ファンを動作させると、例えばケースの外部から空気がケース内の第1の端壁側の部屋に導入され、さらに冷却部の第1の冷却通路を通って、第2の端壁側の部屋まで移動し、第2の端壁側の部屋の排気口からケースの外部に導出される。この空気の流れによって冷却部の外表面に設けられた第1の電気部品が冷却される。しかも、第1の電気部品は閉じられた空間である第1の部屋内に位置する。従って、第1の電気部品は、たとえファンが外部の空気と共に塵や鉄粉や油などをケース内に導入していたとしても、これら塵、鉄粉及び油に直接に接触することはない。また、ファンによって第1の端壁側の部屋に導入された空気は、第1の連通孔、第2の冷却通路、第2の連通孔を通って、第2の端壁側の部屋まで移動し、第2の端壁側の部屋の排気口からケースの外部に導出される。従って、第2の部屋に取り付けられた第2の電気部品も外部から導入された空気によって冷却される。しかも、第2の部屋も閉じられた部屋であるので、第2の電気部品は、たとえファンが外部の空気と共に塵や鉄粉や油などをケース内に導入していたとしても、これら塵、鉄粉及び油に直接に接触することはない。また、第1及び第2の部屋に取り付けられた部品を冷却するために使用されているファンは1台のみである。また、ケース内には、仕切板、境界板、第1及び第2の支持体のみが設けられており、ケースの内部は、簡単な構成である。なお、ファンが第1の端壁側の部屋からケースの外部に空気を導出するものである場合、上述した空気の流れと逆の方向にそれぞれ空気が流れる。但し、第1の部屋の電気部品や第2の電気部品が、塵、鉄粉及び油に直接に接触することが無い点は、ファンが空気を第1の端壁側の部屋に導入する場合と同一である。
【0009】
第2の電気部品は、第1の電気部品よりも発熱量の少ないものとすることができる。このように構成すると、第1の端壁側から第2の冷却通路に分岐させた空気によって第2の電気部品は冷却されているが、第2の電気部品は発熱量が少ないので、分岐された空気であっても充分に第2の電気部品は冷却されるし、第2の冷却通路から第2の端壁側の部屋に導入される空気の温度も余り上昇していないので、この空気が、第1の冷却通路から第2の端壁側の部屋に導入され、第1の電気部品を冷却したことにより温度が上昇している空気と第2の端壁側の部屋で混合されることによって、第2の端壁側の部屋に第1の冷却通路を通過した空気のみが導入される場合よりも第2の端壁側の部屋の温度の上昇を阻止することができる。
【0010】
更に、第2の端壁の外方には、前記電気装置の操作表示部を設けることができる。上述したように第2の端壁側の部屋の温度は、第1の電気部品を冷却した空気のみが存在する場合よりも上昇が阻止されており、第2端壁の外部側に操作及び表示部が設けられていても、操作表示部が晒される温度が上昇することはない。この場合、第2の部屋がケースの上側にあると、第2の電気部品が発生した熱は、第1及び第2の主壁のうち上側にあるものや、その周囲にある第1及び第2の側壁から外部へ放出されるので、第2の冷却通路を通過する空気の温度上昇が更に少なくなり、操作表示部が晒される温度の上昇を更に抑えることができる。
【0011】
また、前記冷却部の第1の冷却通路に別の電気部品を配置することができる。このように構成すると、第1の冷却通路を通る空気によって直接に別の電気部品が効率的に冷却される。また、第1の冷却通路内に配置した部品の設置スペースをケース内に、別途確保する必要が無く、ケースを小型化することが可能である。なお、冷却通路内に配置される部品は、ケースの外部から導入された空気に直接に触れるので、耐環境性処理、例えば絶縁処理が行われたものであることが望ましい。また、冷却部をヒートシンクによって構成することもできる。このように構成することによって冷却部で冷却効率が向上する。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明による電気装置では、その構成が簡単であり、1つのファンにより装置全体を良好に冷却することができ、内部に収容される電気部品に対する防塵性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態の電気装置の縦断側面図である。
【図2】図1の2−2線に沿う断面図である。
【図3】図1の3−3線に沿う断面図である。
【図4】図1の電気装置の背面図である。
【図5】図1の電気装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態の電気装置は、例えば溶接機用電源装置に本発明を実施したものである。この溶接機用電源装置の回路の一例が、図5に示されている。この電源装置は、入力側整流平滑回路2を有している。入力側整流平滑回路2は、複数のダイオード(図示せず)及び平滑用電解コンデンサ(図示せず)を含んでおり、複数、例えば3つの電源端子4a乃至4cを備えている。これら電源端子4a乃至4cに商用交流電源、例えば三相商用交流電源(図示せず)が接続される。なお、単相商用交流電源が商用交流電源として使用されることもある。入力側整流回路2は、三相商用交流電源から供給された商用交流電圧を整流及び平滑して、インバータ6の2つの入力側端子7a、7bに供給する。
【0015】
インバータ6は、例えばハーフブリッジ型のもので、直列に接続されたコンデンサ8a、8bと、直列に接続された半導体スイッチング素子、例えばIGBT10a、10bとを、並列に入力側端子7a、7bに接続したものである。なお、フルブリッジ型のインバータがインバータ6として使用されることもある。インバータ6の出力側端子12a、12bには、出力側変圧器14の一次巻線14pが接続されている。
【0016】
出力側変圧器14の二次巻線14sの両端には、出力側整流手段、例えばダイオード16a、16bのアノードが接続され、これらアノードは互いに接続され、平滑手段、例えば平滑用リアクトル18を介して正の出力端子20pに接続されている。また、二次巻線14sの中間タップ14tが負の出力端子20nに接続されている。
【0017】
平滑用リアクトル18と直列に電流検出部22が接続されており、電流検出部22が、出力端子20pに流れる電流を表した電流検出信号を発生する。この電流検出信号が制御部24に供給される。制御部24は、電流検出信号が予め定めた値になるようにIGBT10a、10bを制御する。
【0018】
これら入力側整流平滑回路、インバータ6、出力側変圧器14、ダイオード16a、16b、平滑用リアクトル18及び電流検出部22が第1の電気部品、例えば電源部に相当し、制御部24が第2の電気部品に相当する。
【0019】
これら各部品が図1乃至図4に示されているケース26内に収容されている。ケース26は、概略直方体状に形成されており、第1及び第2の主壁、例えば天井壁28及び底壁30を有している。
【0020】
天井壁28及び底壁30は、同一形状の矩形、例えば長方形状に形成され、所定の間隔をおいて平面視で互いに重なるように平行に配置されている。これら天井壁28及び底壁30の一方の側縁同士、例えば一方の長辺同士を、矩形状、例えば長方形状の第1の側壁32が結合している。即ち、第1の側壁32は、天井壁28及び底壁30とは別個に形成されており、第1の側壁32の上辺全域が天井壁28の一方の長辺全域に結合され、第1の側壁32の下辺全域が底壁30の一方の長辺全域に結合されている。同様に天井壁28及び底壁30の他方の側縁、例えば他方の長辺同士を、矩形、例えば長方形状の第2の側壁34が結合している。即ち、第2の側壁34も、天井壁28及び底壁30と別個に形成され、第2の側壁34の上辺全域が天井壁28の他方の長辺全域に結合され、第2の側壁34の下辺全域が底壁30の他方の長辺全域に結合されている。
【0021】
また、天井壁28及び底壁30の一方の端縁同士を、矩形状、例えば長方形状の第1の端壁36が結合している。即ち、第1の端壁36は、天井壁28、底壁30、第1及び第2の側壁32、34と別個に形成されており、第1の端壁36の上辺全域が天井壁28の一方の短辺全域に結合され、第1の端壁36の下辺全域が底壁30の一方の短辺全域に結合されている。同様に天井壁28及び底壁30の他方の端縁同士を、矩形状、例えば長方形状の第2の端壁38が結合している。即ち、第2の端壁38も、天井壁28、底壁30、第1及び第2の側壁32、34と別個に形成されており、第2の端壁38の上辺全域が天井壁28の他方の短辺全域に結合され、第2の端壁38の下辺全域が底壁30の他方の短辺全域に結合されている。
【0022】
ケース26の内部は、仕切板40によって、例えば下側に位置する第1の空間42dと例えば上側に位置する第2の空間44uとの上下2つの空間に仕切られている。仕切板40は長方形状で、第1及び第2の側壁32、34、第1及び第2の端壁36、38と別個に形成されている。図2に示すように、仕切板40の一方の長辺全域が第1の側壁32に結合し、仕切板40の他方の長辺全域が第2の側壁34に結合し、仕切板40の一方の短辺全域が第1の端壁36に結合し、仕切板40の他方の短辺全域が第2の端壁38に結合している。
【0023】
仕切板40と間隔をおいて、かつ天井壁28と間隔をおいて、これらと平行に境界板、例えば制御部取付板96が位置している。制御部取付板96は、矩形状、例えば長方形状に形成され、両長辺が第1及び第2の側壁32、34にそれぞれ結合しており、両短辺が第1及び第2の端壁36、38に結合している。天井壁28と制御部取付板96と第1及び第2の側壁32、34の一部と第1及び第2の端壁36、38の一部とによって密閉された空間である第2の部屋44が形成されている。第2の部屋44内において制御部取付板96に電子部品94が取り付けられている。電子部品94は、制御部24を構成している様々な電子部品である。また、制御部取付板96と仕切板との間に、第2の冷却通路、例えば冷却通路97が形成されている。
【0024】
下側空間42d内において、第1の端壁36の近傍に、第1の支持体、例えば支持壁46が設けられている。第2の端壁38の近傍に、第2の支持体、例えば支持壁48が設けられている。支持壁46は、矩形状、例えば長方形状に形成され、図3に示すように、その一方の短辺の全域が仕切り壁40の下面に結合され、他方の短辺の全域が底壁30の内面に結合されている。支持壁46の一方の長辺全域は、第1の側壁32の内面に結合され、支持壁46の他方の長辺全域は第2の側壁32の内面に結合されている。同様に、支持壁48も、矩形状、例えば長方形状に形成され、その一方の短辺の全域が仕切り壁40の下面に結合され、他方の短辺の全域が底壁30の内面に結合されている。支持壁48の一方の長辺全域は、第1の側壁32の内面に結合され、支持壁44の他方の長辺全域は第2の側壁32の内面に結合されている。
【0025】
支持壁46、48を設けることによって、下側空間42dは、第1の端壁36側にある部屋、例えば第3の部屋50と、第2の端壁38側にある部屋、例えば第4の部屋52と、これら2つの部屋の間にある中間の部屋とに分割されている。
【0026】
中間の部屋内には、冷却部56が設けられている。冷却部56は、図3に示すように複数、例えば2つの放熱手段、例えばヒートシンク58a、58bを有している。ヒートシンク58a、58bは、平板状のベース60a、60bの一方の面に、図1に示すように、ベース60a、60bの長さ方向に沿って複数のフィン62a、62bを設けたものである。冷却部56は、図1に示すように、ベース60a、60bの長さ方向が、第1及び第2の側壁32、34の長さ方向に沿うように、かつ図3に示すように、フィン62a、62bが所定の間隔をあけて向き合うように、ヒートシンク58a、58bを配置し、部分的に穴をあけた金属板64、64にベース60a、60bを固定し、さらに金属板64、64の上端を結合するように、かつ金属板64、66の下端を結合するように、金属板66、66が取り付けられている。金属板64には、穴が開けられているため、ヒートシンク58a、58bのベース60a、60bの一部が露出した露出部61a、61bが形成されている。このような構成であるので、冷却部56は、その内部にその長さ方向に沿う第1の冷却通路、例えば冷却通路68を有している筒状である。冷却部56は、図1に示すように、その一端部が支持壁46に固定され、他端が支持壁48に固定されている。この固定状態において、金属板66、66が仕切板40、支持壁46、48には、冷却通路68を第3の部屋50及び第4の部屋52に連通させるための連通孔70、72が形成されている。
【0027】
このように、中間の部屋には、支持壁46、48と、第1及び第2の側壁32、34の一部と、冷却部56とによって外気から遮断された第1の部屋54が形成されている。
【0028】
連通孔70と対向するように、第1の端壁36にはケース26の内外に連通する開口74が形成され、この開口74を覆うように、第1の端壁36の外面には、ファン76が取り付けられている。ファン76は、作動することによって、ケース26の外部の空気を第3の部屋50に導入する。ファン76を覆うように、カバー78が取り付けられている。図1に示すようにカバー78の両側面には、多数の外部連通孔、例えば吸気口80が形成され、図4に示すようにカバー78の背面にも多数の吸気口82が形成されている。また、同じ目的のために、カバー78の底にも、吸入口86が形成されている。従って、ファン76を動作させることによって、吸気口80、82、86から外部の空気が第3の部屋50に導入され、更に冷却部56の冷却通路68を通過して、第4の部屋52に導入される。
【0029】
第4の部屋52に導入された空気を第4の部屋52からケース26の外部に排気するために、第1の側壁32及び第2の側壁34における第4の部屋52に対応する位置には、図1に示すように多数の外部連通孔、例えば排気口84が形成されている。
【0030】
冷却部56の冷却通路68内には、絶縁処理がされていて耐環境性の高いリアクトル18や出力側変圧器14のリアクトル関連部品87が、図1に示すように取り付けられている。リアクトル関連部品87は、比較的発熱量が多いものである。冷却通路68内にリアクトル関連部品87を取り付けているので、スペースの有効利用が図られ、特に、出力側変圧器14等を設置するためのスペースを特別に設ける必要が無く、ケース26を小型化することができる。しかも、ファン76を動作させることによって冷却通路68内を空気が通過し、直接にリアクトル関連部品87が冷却される。比較的に多く発熱するリアクトル関連部品87に直接に空気を当てることができるので、これら発熱の大きいリアクトル関連部品78に対する冷却効率を高めることができる。
【0031】
また、第1の部屋54の一部である冷却部56の外表面、例えばヒートシンク58a、58bのベース60a、60bの露出部61a、61bには、図1及び図3に示すように、インバータ6のIGBT10a、10b、ダイオード16a、16bの半導体素子88が取り付けられ、金属板66の外表面にはそれほど高温にならないダイオード89等が取り付けられている。従って、ファン76を動作させることによって冷却通路68内を空気が通過し、半導体素子88は、ヒートシンク58a、58bを介して冷却される。しかも、半導体素子88は外部から密閉された第1の部屋54の一部である冷却部56のヒートシンク58a、58bの外表面に直接に取り付けられ、フィン62a、62bにより効率よく冷却される。従って、半導体素子88は外部から取り入れた空気と直接に触れることがなく、空気に含まれていることがある塵や油や鉄粉などに直接に接触することはない。よって、半導体素子88には、耐環境性の処理を施していない汎用性の高い部品を使用することができる。
【0032】
仕切板40における第3の部屋50に相当する部分には、図2に示すように、第1の連通孔、例えば通気口90が形成されている。通気口90は、仕切り壁40の幅方向に沿う長孔状に形成されている。また、仕切り壁40における第4の部屋52に相当する部分には、複数、例えば2個の第2の連通孔、例えば通気口92が形成されている。通気口92は、通気口90よりも長さ寸法が短い矩形状で、第1及び第2の側壁32、34に接近して形成されている。また、仕切板40と制御部取付板96との間には、上述したように冷却通路97が形成されている。冷却通路97は、通気口90、92と連通している。従って、第3の部屋50は、冷却通路97に連通し、冷却通路97は、第4の部屋52と連通している。ファン76を動作させたとき、ファン76によって第3の部屋50に外部から導入された空気は、通気口90から冷却通路97、通気口92を経て、第4の部屋52に入り、冷却部56の冷却通路68を通過してきた空気と合流して、排気口82、84からケース26の外部に排気される。
【0033】
第2の部屋44の電子部品94が発生する熱は、第2の部屋44の下方にある冷却通路97を通過する空気によって冷却され、電子部品94は外気に触れることなく、冷却される。
【0034】
なお、通気口90を長孔状とし、矩形の通気口92、92を第1及び第2の側壁32、34によせて形成してあるので、通気口90から流入した空気は、冷却通路97内を均等に流れ、空気の流れが冷却通路97内で偏在することはない。
【0035】
ファン76を動作させることによって、通気口90から導入された空気は、冷却通路97を通って通気口92から第4の部屋52に入り、冷却通路97を通過する空気が、密閉された第2の部屋44内の電子部品94の熱を冷却する。従って、電子部品94に直接に空気が接触することはなく、空気に塵や油や鉄粉などが含まれていても、電子部品94がこれらに直接に晒されることはなく、故障しにくくなる。また、仮に、これら電子部品94が故障したとしても、天井壁28を外すことによって、作業員が電子部品94に容易にアクセスすることができるので、修理や保守点検が容易に行える。従って、電子部品94には、耐環境性の処理を施していない汎用性の電子部品を使用することができる。
【0036】
更に、電子部品94は、第1及び第2の側壁32、34及び天井壁28を介しても放熱されているので、仕切板40と制御部取付板96との間に形成された冷却通路97を通過する空気は、余り温度上昇しない。
【0037】
第2の端壁38の外面側には、操作表示部98が取り付けられている。操作表示部98は、表示装置(図示せず)や操作ボタン(図示せず)等が設けられたものである。この操作表示部98は、第2の端壁38によって第1の部屋42及び第2の部屋44とは、完全に仕切られており、第1の部屋42内の空気や第2の部屋44内の空気が操作表示部98側に流入することはない。
【0038】
冷却通路68を通過した空気は、比較的発熱量の大きいリアクトル関連部品87を直接に冷却したり、ヒートシンク58a、58bを介して高温になる半導体素子88を冷却したりしているので、その温度は、第3の部屋50に導入されたときよりもかなり上昇している。この温度が上昇している空気が第4の部屋52内に導入され、特に、第2の端壁38に直接に当たると、操作表示部98内の温度が上昇する可能性がある。
【0039】
一方、制御部24を構成している電子部品94の発熱量は、リアクトル関連部品87、半導体素子88の発熱量よりも少なく、上述したように天井壁28、第1及び第2の側壁32、34を介しても放熱されているので、第3の部屋50から冷却通路97を通過して、第4の部屋52に導入された空気の温度は、第3の部屋50に導入されたときの温度よりも余り上昇していない。この温度上昇していない空気が、第3の部屋50から導入され、冷却通路68を通過したことにより第3の部屋50の空気よりも温度上昇して、第4の部屋52に導入された空気と合流する。その結果、冷却通路68を通過した空気の温度が冷却通路97を通過した空気によって低下させられるので操作表示部98内の温度上昇を防止できる。
【0040】
この電源装置では、高温になる半導体素子88やリアクトル関連部品87を冷却部56の内外に集中させ、これら半導体素子88やリアクトル関連部品87の冷却を冷却通路68によって行い、制御部24を構成する電子部品94の冷却は、冷却通路97によって行っている。従って、冷却通路58、97は比較的単純な直線的な構成であり、ケース26の外部からの空気のケース26内への導入は、1カ所のみでよく、導入に使用するファン76も1台だけでよい。そのため、この電源装置を安価に製造することができるし、ファンによる騒音も少なくできる。また、ケース26の外部から導入された空気に直接に触れるのは、冷却通路68内のリアクトル関連部品87のみであるので、リアクトル関連部品87以外の半導体素子88等の部品は、密閉された第1の部屋54に配置され、その熱をフィン62bで冷却するため、塵や油や鉄粉などが混じることがある空気に直接に触れることがなく、安全性が高く、耐環境性に優れた電源装置が得られる。第2の部屋44の電子部品98も同様である。
【0041】
上記の実施形態では、電源装置の回路として図5に示したものを使用したが、これに限ったものではなく、公知の種々の電源装置の回路を使用することができる。上記の実施形態では、本発明を溶接機の電源装置に実施したが、これに限ったものではなく、例えば電気メッキ装置や光源装置等に実施することもできる。
【0042】
上記の実施形態では、第1及び第2の側壁32、34、第1及び第2の端壁36、38は、天井壁28と別個に形成したが、第1及び第2の側壁32、34を天井壁28と一体に形成したり、第1及び第2の端壁36、38を天井壁28と一体に形成したり、第1及び第2の側壁32、34、第1及び第2の端壁36、38を天井壁28と一体に形成したりすることもできる。上記の実施形態では、ファン76は第1の端壁36の外部に設けたが、第3の部屋50内にファン76を設けることもできる。この場合、カバー78は不要である。
【0043】
上記の実施形態では、第1の部屋54をケース26の下側に、第2の部屋44をケース26の上側に配置したが、逆に第1の部屋54をケース26の上側に、第2の部屋44をケース26の下側に配置することもできる。但し、重量バランスの面から見れば、上記の実施形態のようにリアクトル等の重量部品は、下側に配置することが望ましい。上記の実施形態では、2個の通気口92を設けたが、更に多くの通気口を設けることもできるし、通気口90のような長孔状の通気口を1つだけ通気口92として設けることもできる。
【0044】
上記の実施形態では、冷却通路68内にはリアクトル関連部品87を取り付けたが、この他に、入力側整流平滑回路2において使用する平滑用電解コンデンサを冷却通路68内に設けることもできる。その場合、電解コンデンサは、絶縁処理などが行われた耐環境性の高いものとすることが望ましい。
【0045】
上記の実施形態では、冷却部56は、別個に形成した2つのヒートシンク58a、58bを組み合わせて構成したが、ヒートシンク58a、58bを一体に構成することもできる。また、上記の実施形態では、金属板64側にフィン62を形成したが、金属板66側にもフィンを形成し、金属板66の一部に穴を形成することによって金属板66にも露出部を設け、冷却部56全面の露出部に発熱が多い部品を取り付けることもできる。
【0046】
上記の実施形態では、制御部取付板96は長方形状のものを示したが、例えば長方形状の両長辺に天井壁28側に向かう側壁をそれぞれ一体に設けたものとすることもできる。これら側壁は第1及び第2の側壁32、34と面接触することが望ましい。また、上記の実施形態では、操作表示部を制御部とは別個に形成したが、操作表示部を制御部と一緒に制御部取付板96上に設けることもできる。
【0047】
上記の実施形態では、長方形状の支持壁46、48を使用したが、これに限ったものではなく、例えば冷却部56を安定に支持するために、支持壁46、48の厚さを冷却部56が底壁30側で接触している部分から徐々に厚くした形状とすることもできる。また、上記の実施形態では、支持壁46、48は、仕切板40と別個に形成したが、仕切板40と一体とすることもできる。上記の実施形態では、ファン76によってケース26内に空気を吸入する例を示したが、ファン76に代えて、ケース26から空気を排出するファンを設け、上記の実施形態とは逆の方向に空気を流通させて、放熱することもでき、空気の流れる方向は、上記の実施形態に示したものに限定されることはない。
【符号の説明】
【0048】
26 ケース
28 天井壁(第1の主壁)
30 底壁(第2の主壁)
32 第1の側壁
34 第2の側壁
36 第1の端壁
38 第2の端壁
40 仕切板
44 第2の部屋
46 48 支持壁(第1及び第2の支持体)
54 第1の部屋
56 冷却部
68 冷却通路(第1の冷却通路)
76 ファン
88 半導体素子(第1の電気部品)
94 電子部品(第2の電気部品)
96 制御部取付板(境界板)
97 冷却通路(第2の冷却通路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
概略矩形に形成された第1及び第2の主壁を間隔をおいてほぼ平行に配置し、第1及び第2の主壁の一方の側縁間を第1の側壁で結合し、第1及び第2の主壁の他方の側縁間を第2の側壁で結合し、第1及び第2の主壁の一方の端部間を第1の端壁で結合し、第1及び第2の主壁の他方の端部間を第2の端壁で結合したケースと、
前記ケース内に第1及び第2の端壁間に跨って設けられ、前記ケース内を上下に位置する2つの空間に仕切っている仕切板と、
前記2つの空間の一方における第1の端壁の近傍で第1及び第2の側壁に結合し、かつ前記仕切板と第1及び第2の主壁の一方とに結合して、第1の端壁との間に第1の端壁側の部屋を形成している第1の支持壁と、
前記2つの空間の一方における第2の端壁の近傍で第1及び第2の側壁に結合し、かつ前記仕切板と第1及び第2の主壁の一方とに結合して、第2の端壁との間に第2の端壁側の部屋を形成し、かつ第1の支持壁との間に中間の部屋を形成している第2の支持壁と、
前記中間の部屋において、第1の支持壁に一端が取り付けられ、第2の支持壁に他端が取り付けられ、第1の支持壁及び第2の支持壁間に伸び、第1及び第2の支持壁に形成された開口を介して第1及び第2の端壁側の部屋と連通している第1の冷却通路を内部に有し、その外表面と前記中間の部屋の内面との間に第1の部屋を形成している冷却部と、
第1の部屋において、少なくとも前記冷却部の前記外表面に取り付けられている第1の電気部品と、
前記2つの空間の他方において、前記仕切板と第1及び第2の主壁の他方とにそれぞれ間隔をおいて配置され、その周面が第1及び第2の側壁並びに第1及び第2の端壁に接触して、第1及び第2の主壁の他方との間に第2の部屋を形成し、かつ前記仕切板との間に第2の冷却通路を形成する境界板と、
前記第2の部屋に取り付けられた第2の電気部品と、
第1の端壁側の部屋における前記仕切板に形成され、第1の端壁側の部屋及び第2の冷却通路を連通させる第1の連通孔と、
第2の端壁側の部屋における前記仕切板に形成され、第2の冷却通路と第2の端壁側の部屋とを連通させる第2の連通孔と、
第1の端壁に設けられたファンと、
第2の端壁側の部屋に形成された外部連通孔とを、
具備する電気装置。
【請求項2】
請求項1記載の電気装置において、第2の電気部品が第1の電気部品よりも発熱量の少ないものである電気装置。
【請求項3】
請求項2記載の電気装置において、第2の端壁の外方には、前記電気装置の操作表示部が設けられている電気装置。
【請求項4】
請求項2記載の電気装置において、前記冷却部の第1の冷却通路内に別の電気部品が配置されている電気装置。
【請求項5】
請求項1記載の電気装置において、前記冷却部が、ヒートシンクによって構成されている電気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−244037(P2012−244037A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114549(P2011−114549)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000144393)株式会社三社電機製作所 (95)
【Fターム(参考)】