説明

電気設備

【課題】発光体用の給電ラインの少なくとも一部を他の電気機器と共通化して配線数を少なくする。
【解決手段】便座3は、暖房便座であり、内部の天井面に沿ってヒータ5が引き回されている。このヒータ5の熱を座面全体に伝達させるために、アルミ等の金属箔などよりなるシート状の伝熱体6が該天井面に貼り付けられている。通電制御回路10に対し、リード線17、第3のLED8、リード線18、伝熱体6、リード線19が直列に接続されている。リード線11,13,14,16,17,19はヒンジ部3aに挿通されている。ヒンジ部3aに通すリード線の数が少ない。LED8に通電するためのリード線18,19の途中部分を伝熱体6で代替しているため、便座3内で配線されるリード線が少量で済む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光体と、それ以外の電気機器とを有した電気設備に関するものであり、特に暖房便座、小便器あるいは吐水装置等に適用するのに好適な電気設備に関する。
【背景技術】
【0002】
便座にヒータを組み込んだ暖房便座は周知である。また、便器の内面に光触媒を設け、便座に光触媒励起用のランプを設けることが特開平11−299689号に記載されている。
【0003】
小便器に人体検知センサを組み込んだ自動洗浄式小便器は周知である。特開平9−78665号には、内面に光触媒を設けると共に、光触媒に光を照射するように光源を設けた小便器が記載されている。
【0004】
吐水口に手を差し出すと自動的に吐水する自動水栓は周知である。また、スイッチ操作によって吐水、止水を行う水栓も周知である。実開平5−54672号には、自動吐水機能及びスイッチ吐水機能を有した水栓が記載されている。
【特許文献1】特開平11−299689号
【特許文献2】特開平9−78665号
【特許文献3】実開平5−54672号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、発光体用の給電ラインの少なくとも一部を他の電気機器又はその付属品と共通化して配線数を少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の電気設備は、発光体と、発光体以外の電気機器とを有する電気設備において、該発光体への給電ラインの少なくとも一部を該電気機器又はその付属品と共通化したことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2の電気設備は、請求項1において、該電気設備は暖房便座であり、前記電気機器としてヒータを備えており、該ヒータ、ヒータ用伝熱体、温度測定用熱電対、又は温度測定用温度センサの配線の少なくとも一部が前記給電ラインの少なくとも一部を構成していることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3の電気設備は、請求項1において、前記電気設備は小便器であり、前記電気機器として人体検知センサを備えており、該人体検知センサの配線の少なくとも一部が前記給電ラインの少なくとも一部を構成していることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4の電気設備は、請求項1において、前記電気設備は吐水装置であり、前記電気機器として人体検知センサ又はスイッチを備えており、該人体検知センサ又はスイッチの配線の少なくとも一部が前記給電ラインの少なくとも一部を構成していることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5の電気設備は、請求項1において、前記電気機器は照度センサであり、該照度センサの配線の少なくとも一部が前記給電ラインを構成していることを特徴とするものである。
【0011】
請求項6の電気設備は、請求項5において、前記照度センサが所定照度以下のときに前記発光体への通電を行う発光体制御手段を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項7の電気設備は、発光体を備えた便座又は便蓋を有する電気設備において、便座又は便蓋のヒンジ部分にリードスイッチを設け、該リードスイッチによって便座又は便蓋を倒伏させたことを検知し、これによって前記発光体に通電可能としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電気設備にあっては、発光体用の給電ラインの少なくとも一部を他の電気機器又はその付属品(例えばリード線や、金属製伝熱体など)と共通化しているので、配線数が少なくて済む。
【0014】
なお、暖房便座に設けられたヒータや温度センサに連なるリード線をヒンジに通すことが行われているが、ヒンジの内径は小さいので、暖房便座に本発明を適用した場合には、ヒンジに挿通する配線の数を減少させることが可能である。
【0015】
請求項6の電気設備にあっては、窓のないトイレルームや洗面室などの場合、部屋の中に人がいないと、照明が消灯され暗くなっている。そこで、部屋の中に人が居らず、所定照度以下となっているときに発光体が点灯させるようにし、発光体が紫外線発光体であっても、人体に紫外線が照射されることを防止する。
【0016】
請求項7の電気設備にあっては、便座又は便蓋を倒伏させたときだけ発光体が発光するので、発光体として紫外線発光体を設置した場合でも紫外線が人体に照射されることが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図(a)は実施の形態に係る電気設備を備えた洋風便器を示す斜視図、同(b)は同(a)のB−B線断面図、同(c)は便座の平面図である。第2図はLEDへの通電ブロック図、第3図はヒンジ部の断面図である。
【0018】
洋風便器1の後部上面に便座ボックス2が設置され、便座3及び便蓋4がヒンジ部3a,4aを介して上下方向回動可能に取り付けられている。
【0019】
この便座3は、暖房便座であり、内部の天井面に沿ってヒータ5が引き回されている。このヒータ5の熱を座面全体に伝達させるために、アルミ等の金属箔などよりなるシート状の伝熱体6が該天井面に貼り付けられている。便座3には、便座温度を検出するためのサーミスタ7が設けられている。
【0020】
また、便座3内にはLED8が設置され、便座3の底面には該LED8からの光を便鉢1a内に向って出射させるための透明部9が設けられている。このLED8は紫外線を発光するUVLEDであってもよく、可視光LEDであってもよい。可視光LEDの場合、便鉢1aの内面に光触媒を設けておくのが好ましい。
【0021】
第2図に示す通り、便座ボックス2内に設置された通電制御回路10に対し、リード線14、サーミスタ7、リード線15、第1のLED8、リード線16が直列に接続されている。リード線14,16はヒンジ部3aに挿通されている。
【0022】
また、通電制御回路10に対し、リード線11、ヒータ5、リード線12、第2のLED8、リード線13が接続されている。リード線11,13はヒンジ部3aに挿通されている。
【0023】
さらに、通電制御回路10に対し、リード線17、第3のLED8、リード線18、伝熱体6、リード線19が直列に接続されている。リード線17,19はヒンジ部3aに挿通されている。
【0024】
なお、この実施の形態では、第3図の通り、便座のヒンジ部3aの周方向の一部にマグネット22が設けられ、便座ボックス2のヒンジ孔2aの周方向の一部にリードスイッチ21が設けられている。便座3を倒伏させると、マグネット22がリードスイッチ21に対峙し、このリードスイッチ21からの信号によりLED8に通電可能となるように構成されている。
【0025】
このように構成された洋風便器1においては、LED8が点灯すると、便鉢1a内に光が照射される。この光がUV(紫外線)であるときには、UVによる防汚作用が奏される。光が可視光であるときには、便鉢1aの内面に光触媒を保持しておくことにより、防汚作用が奏される。LED8がUVLEDである場合であっても、便鉢1aの内面に光触媒を設けておくことにより、優れた防汚効果が得られる。なお、リムの上面などその他の部位にも光触媒を設けておいてもよい。
【0026】
この実施の形態では、サーミスタ7用のリード線14,16を用いて第1のLED8に通電するようにしており、第1のLED8専用のリード線として、短いリード線15を用いるだけで足りる。
【0027】
また、ヒータ5用のリード線11,13を用いて第2のLED8に通電するようにしており、第2のLED8専用のリード線として短いリード線12を用いるだけで足りる。
【0028】
このリード線15,12は便座3内にのみ配置されるものであるため、ヒンジ部3aに挿通するリード線の数が少なくて済む。
【0029】
この実施の形態では、第3のLED8に通電するためのリード線18,19の途中部分を伝熱体6で代替している。そのため、便座3内で配線されるリード線が短くて済む。
【0030】
この実施の形態では、便座3を起立させたときには、リードスイッチ21の作用によりLED8には通電されないので、節電を図ることができる。また、LED8がUVLEDの場合、使用者にUVが直射することが防止される。
【0031】
第4図(a)は実施の形態に係る電気設備を備えた小便器の斜視図、同(b)は同(a)のB−B線断面図である。
【0032】
この小便器30は自動洗浄式小便器であり、小便器30の上部前面に人体検知センサ32を有したセンサニット31が設置されている。このセンサユニット31は、前面が開放したケーシング33と、該ケーシング33の前面に配置された赤外線(IR)透過材料よりなる窓プレート34と、IRの投光素子及び受光素子よりなる上記人体検知センサ32とを有する。
【0033】
また、このケーシング33の後部の底面に透明部36が設けられ、この透明部36から小便器30のボール部に向ってUVを出射させるようにUVLED35が設けられている。なお、ボール部には光触媒を設けておくのが好ましい。光触媒を設けた場合、UVLEDではなく可視光LEDを設置してもよい。
【0034】
この人体検知センサ32はリード線を介して給水制御回路(図示略)に接続されているが、このリード線の一部はLED35への通電用リード線を兼ねるよう構成されている。これにより、リード線の数が少なくて足りるものとなっている。
【0035】
第5図(a)は実施の形態に係る電気設備としての吐水装置(自動水栓)の側面図、同(b)は同(a)の自動水栓の先端部の縦断面図である。
【0036】
この自動水栓40は、洗面ボール44の奥側のカウンター43の上面に設置されている。この自動水栓40内に吐水管41が引き回され、その先端が吐水口42となっている。
【0037】
この吐水口42の近傍に赤外線透過材料よりなる窓プレート45が設けられ、その内部側に人体検知センサ46が設けられている。自動水栓40の下面部には、透明部47が設けられ、その内部側にUVLED48が設けられている。
【0038】
自動水栓40の上面に透明部50が設けられ、その内部側に照度センサ51が設けられている。
【0039】
人体検知センサ46と照度センサ51とは、それぞれリード線を介して制御回路(図示略)に接続されている。この制御回路はカウンター43内に設置されている。リード線は自動水栓40内を引き通されている。
【0040】
LED48への通電用のリード線の少なくとも一部は、この人体検知センサ46又は照度センサ51のリード線と兼用されている。これによりリード線の数が少なくて足りるものとなっている。なお、人体検知センサ46と照度センサ51へのリード線の少なくとも一部を兼用させるようにしてもよい。
【0041】
この実施の形態では、照度センサ51が検出する照度が所定以下になっており、且つ人体検知センサ46が人体非検知のときだけLED48に通電するよう構成するのが好ましい。これにより、洗面室に人が居らず洗面室が暗くなっているときだけLED48が点灯し、人体にUVが当たることが防止される。
【0042】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明の電気設備は上記以外の機器にも適用することができる。なお、第1図〜第3図の実施の形態では便座温度をサーミスタで検知し、サーミスタ用リード線をLED用リード線と兼用化しているが、サーミスタの代わりに熱電対を用いてもよく、この場合熱電対の少なくとも一部をLED用リード線と兼用してもよい。
【0043】
第3図のリードスイッチ機構は、便座に発光体を設けた場合にも適用可能である。これにより、便蓋を倒したときだけ該便蓋の発光体が点灯する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】第1図(a)は実施の形態に係る電気設備を備えた洋風便器を示す斜視図、同(b)は同(a)のB−B線断面図、同(c)は便座の平面図である。
【図2】LEDへの通電ブロック図である。
【図3】ヒンジ部の断面図である。
【図4】第4図(a)は実施の形態に係る電気設備を備えた小便器の斜視図、同(b)は同(a)のB−B線断面図である。
【図5】第5図(a)は実施の形態に係る電気設備を備えた吐水装置としての自動水栓の側面図、同(b)は同(a)の自動水栓の先端部の縦断面図である。
【符号の説明】
【0045】
3 便座
5 ヒータ
6 伝熱体
8,35,48 LED
32,46 人体検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光体と、発光体以外の電気機器とを有する電気設備において、該発光体への給電ラインの少なくとも一部を該電気機器又はその付属品と共通化したことを特徴とする電気設備。
【請求項2】
請求項1において、該電気設備は暖房便座であり、前記電気機器としてヒータを備えており、
該ヒータ、ヒータ用伝熱体、温度測定用熱電対、又は温度測定用温度センサの配線の少なくとも一部が前記給電ラインの少なくとも一部を構成していることを特徴とする電気設備。
【請求項3】
請求項1において、前記電気設備は小便器であり、前記電気機器として人体検知センサを備えており、
該人体検知センサの配線の少なくとも一部が前記給電ラインの少なくとも一部を構成していることを特徴とする電気設備。
【請求項4】
請求項1において、前記電気設備は吐水装置であり、前記電気機器として人体検知センサ又はスイッチを備えており、
該人体検知センサ又はスイッチの配線の少なくとも一部が前記給電ラインの少なくとも一部を構成していることを特徴とする電気設備。
【請求項5】
請求項1において、前記電気機器は照度センサであり、
該照度センサの配線の少なくとも一部が前記給電ラインを構成していることを特徴とする電気設備。
【請求項6】
請求項5において、前記照度センサが所定照度以下のときに前記発光体への通電を行う発光体制御手段を備えたことを特徴とする電気設備。
【請求項7】
発光体を備えた便座又は便蓋を有する電気設備において、
便座又は便蓋のヒンジ部分にリードスイッチを設け、該リードスイッチによって便座又は便蓋を倒伏させたことを検知し、これによって前記発光体に通電可能としたことを特徴とする電気設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−21015(P2007−21015A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−210226(P2005−210226)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】