説明

電気電子機器の制御装置

【課題】ブレーカの有無の何れの場合でも適用でき、過電圧印加による故障に対して安全な処理が可能な電気電子機器の制御装置を提供する。
【解決手段】本発明の制御装置は、電源に接続される電子部品を有する受電部2と、受電部2に印加される電圧を検出する電圧検出部3と、電圧検出部3で検出された電圧値が所定電圧を超えている時間をカウントするカウント部41と、カウント部41によりカウントされた時間が受電部2の故障開始に関する所定時間を超えた場合に、不揮発性の記憶手段5に故障情報を記憶する記憶部42と、記憶手段5に故障情報が記憶されている場合、電気電子機器9に対しフェールセーフ処理を実行するフェールセーフ部43と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気電子機器の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般の電気電子機器は、主に家庭用商用電源(例えばAC100V又はAC200V)に接続されて作動する。この電気電子機器には、複数の電子部品が用いられており、多くの場合は、コンセントへの誤接続等による過電圧印加及び漏電から電子部品を保護するために漏電ブレーカやヒューズなどの遮断器が設けられている。
【0003】
例えば特開2003−51238号公報(特許文献1)に記載の温水洗浄便座では、いわゆる過電圧ブレーカが設けられ、過電圧が印加された場合に電力供給を停止することが記載されている。
【0004】
ここで、電気電子機器の回路基板の設計において、ブレーカが設けられない場合では、電子部品を過電圧(例えばAC200V)でも動作可能なワイドレンジ設計にする方法と、発火等を防止するために過電圧印加でオープン故障させるヒューズとバリスタ(サージアブソーバ)を設ける方法などが採用できる。後者の場合、バリスタには、例えば誤ってAC200Vに接続した場合に通電してヒューズをオープンさせるものが用いられる。
【0005】
一方、ブレーカが設けられる場合、ブレーカが過電圧を検知するまでの数十〜数百ミリ秒(遮断に要する時間)は、回路にその時間だけ過電圧が印加するため、短時間の過電圧(例えばAC200V)でも劣化・故障しないように設計される。また、この場合、バリスタとしては、過電圧(例えばAC200V)でも通電しない電圧タイプを採用する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−51238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、電気電子機器の回路基板の製造上、ブレーカの有無によって、回路を構成する電子部品の必要耐圧値やバリスタ通電電圧も異なり、回路設計が異なっている。したがって、1つの機種にブレーカ有無の両タイプがある場合、回路基板製造時に、ブレーカ有用の回路基板と、ブレーカ無用の回路基板とを完全に分ける必要があった。これにより、製造コストや管理コストが増大していた。また、回路基板出荷後に、ブレーカの有無を変更できず、ブレーカの後付け又は取り外しができない等の不都合が生じていた。
【0008】
また、電気電子機器としては、ブレーカの有無に関わらず、過電圧印加により劣化・故障した電子部品を備える回路に対して、少なくとも次回起動(通電)時に安全のための処理(動作禁止等)が行えることが望ましい。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、ブレーカの有無の何れの場合でも適用でき、過電圧印加による故障に対して安全な処理が可能な電気電子機器の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、電気電子機器の制御装置であって、電源に接続される電子部品を有する受電部と、前記受電部に印加される電圧を検出する電圧検出部と、前記電圧検出部で検出された電圧値が所定電圧を超えている時間をカウントするカウント部と、前記カウント部によりカウントされた時間が前記受電部の故障開始に関する所定時間を超えた場合に、不揮発性の記憶手段に故障情報を記憶する記憶部と、前記記憶手段に前記故障情報が記憶されている場合、電気電子機器に対しフェールセーフ処理を実行するフェールセーフ部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記所定時間は、前記電源と前記受電部の間に接続できるブレーカによる遮断に要する時間より長く、前記所定電圧における前記受電部の故障開始時間よりも短い時間に設定されることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記受電部は、バリスタと、フィルムコンデンサと、電解コンデンサと、を備え、前記所定時間は、前記バリスタ、前記フィルムコンデンサ、及び前記電解コンデンサのうち何れかの前記所定電圧における故障開始時間より短い時間に設定されることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項において、前記電源と前記受電部の間に接続されるブレーカをさらに備え、前記所定時間は、前記ブレーカの遮断に要する時間より長く、前記所定電圧における前記受電部の故障開始時間よりも短い時間に設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、所定電圧を超える電圧が受電部に所定時間印加されると、電気電子機器に対しフェールセーフ処理が実行される。過電圧が所定時間印加された場合、受電部はダメージを受けたものとして記憶手段に記憶されるため、フェールセーフ部が記憶手段を確認可能な状態(通電時)であればフェールセーフ処理が実行される。また、ブレーカが後付けされた場合でも、ブレーカ又は制御装置により安全な処理が実行される。つまり、本発明では、過電圧印加時間に基づいて故障情報を記憶し、故障情報の有無に基づいてフェールセーフ処理を実行することで、ブレーカの有無の何れの場合でも、適切に電気電子機器の安全な処理が可能となる。また、電子部品の耐圧等に応じて所定時間を設定できるため、例えばブレーカ無用の回路設計で統一でき、管理コスト及び製造コストの削減が可能となる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、過電圧が印加された際、ブレーカが無い場合は制御装置によりフェールセーフ処理が実行され、ブレーカが有る場合はブレーカにより受電部が電源から遮断される。つまり、本発明によれば、ブレーカの有無の何れの場合でも、適切に電気電子機器の安全な処理が可能となる。なお、故障開始時間とは、JIS規格で規定された耐過電圧印加時間、又は実験等により故障開始と想定される過電圧印加時間である。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、具体的に受電部を構成する電子部品の故障開始時間に基づいて所定時間が設定されるため、より精度良く故障情報が記憶される。つまり、本発明によれば、より適切に電気電子機器の安全な処理が可能となる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2同様、ブレーカの有無の何れの場合でも、適切に電気電子機器の安全な処理が可能となる。また、本発明によれば、納品後のブレーカの取り付け取り外しにも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の電気電子機器の制御装置の構成(ブレーカ無し)を示す構成図である。
【図2】本実施形態の電気電子機器の制御装置のフェールセーフ処理に関する制御を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態の電気電子機器の制御装置の構成(ブレーカ有り)を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、好ましい実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。本実施形態では、電気電子機器として温水便座機器(AC100V用)を例にし、ブレーカの有無の両方の場合について説明する。したがって、本実施形態では、過電圧はAC200Vである。
【0020】
(ブレーカ無しの場合)
本実施形態の電気電子機器9の制御装置1は、図1に示すように、主に、受電部2と、電圧検出部3と、過電圧制御部4と、記憶手段5と、通知装置6と、を備えている。
【0021】
受電部2は、電源部(プラグ)91を介して電源(コンセント)に接続される回路であり、ヒューズ21と、バリスタ22と、フィルムコンデンサ23と、ダイオード24と、電解コンデンサ25と、を有している。ヒューズ21は、所定値以上の電流が流れるとオープンするものである。ヒューズ21は、一方端子が電源部91の一方端子に接続され、他方端子がダイオード24のアノード端子に接続されたものである。
【0022】
バリスタ22は、回路に大電流が流れた際に回路を保護するためのサージアブソーバであって、一方端子がヒューズ21の他方端子及びダイオード24のアノード端子に接続され、他方端子が電源部91の他方端子に接続されたものである。本実施形態のバリスタ22としては、過電圧(AC200V)が印加されても通電させないような電圧タイプ(例えば270V品や330V品)のものが採用されている。つまり、バリスタ22として、過電圧が印加されてもヒューズ21が溶断しない電圧タイプが採用されている。
【0023】
フィルムコンデンサ23は、ノイズ抑制のために設置されたコンデンサであって、一方端子がヒューズ21の他方端子及びダイオード24のアノード端子に接続され、他方端子が電源部91の他方端子に接続されたものである。フィルムコンデンサ23は、バリスタ22よりもダイオード23側(ヒューズ21から離れる側)に配置されている。本実施形態のフィルムコンデンサ23としては、AC100V用以上のタイプ(例えばAC100VタイプやAC125Vタイプ等)のものが採用されている。つまり、フィルムコンデンサ23として、電気電子機器9の規格電圧以上のタイプが採用されている。このタイプのフィルムコンデンサ23は、過電圧が印加された場合でも数秒程度であるならば劣化・故障に対して問題がないものである。
【0024】
ダイオード24は、アノード端子がヒューズ21の一方端子に接続され、カソード端子が電解コンデンサ25の一方端子、電圧検出部3の一方端子、及び過電圧制御部4に接続されたものである。本実施形態のダイオード24としては、過電圧が印加されても破損しない耐圧品(例えば600V耐圧品)が採用されている。
【0025】
電解コンデンサ25は、平滑コンデンサであって、一方端子がダイオード24のカソード端子及び過電圧制御部4に接続され、他方端子が電源部91の他方端子に接続されている。本実施形態の電解コンデンサ25としては、過電圧が印加された場合でも数秒程度であるならば劣化・故障に対して問題がないもの(例えばDC250Vタイプ)が採用されている。一般に電解コンデンサは、耐圧以上の電圧がおよそ10秒以上印加されると、弁が開いて蒸気や液体が放出される可能性が高い。電解コンデンサは、弁が開くと修復不能となり、弁が開かない限り通電により充電機能は修復される。
【0026】
電圧検出部3は、抵抗体31、32と、スイッチング素子33と、を有している。抵抗体31は、一方端子がダイオード24のカソード端子及び過電圧制御部4に接続され、他方端子が抵抗体32の一方端子及びスイッチング素子33の制御端子に接続された抵抗である。抵抗体32は、一方端子が抵抗体32の他方端子及びスイッチング素子33の制御端子に接続され、他方端子が電源部91の他方端子に接続された抵抗である。
【0027】
スイッチング素子33は、トランジスタであって、制御端子(ベース)が抵抗体41の他方端子及び抵抗体42の一方端子に接続され、入力端子(コレクタ)が過電圧制御部4に接続され、出力端子(エミッタ)が電源部91の他方端子に接続されたものである。スイッチング素子33は、抵抗体31に所定電圧が加わるとオンされて(オフ→オン)、過電圧制御部4につながる入力端子と出力端子と間に電流を流す。つまり、電圧検出部3は、受電部2に印加される電圧が過電圧(所定電圧を超えた電圧)か否かを検出し、検出結果を過電圧制御部4に送信している。本実施形態では、所定電圧は、若干のマージンを持たせて190V程度に設定されている。
【0028】
過電圧制御部4は、電子制御ユニット(ECU)であって、機能として、カウント部41と、記憶部42と、フェールセーフ部43と、を有している。カウント部41は、電圧検出部3で検出された電圧値が所定電圧を超えている時間をカウントするものである。詳細には、カウント部41は、スイッチング素子33のオンにより流れた電流を検知し、当該電流が所定時間流れた場合、記憶部42にその旨を示す信号(過電圧信号)を送信する。カウント部41は、公知の手段、例えば多段に接続されたフリップフロップ回路等で構成することができる。なお、本実施形態のカウント部41は、記憶部42の他に、フェールセーフ部43にも信号を送信する。また、「所定時間」については後述する。
【0029】
記憶部42は、カウント部41から過電圧信号を受信すると、記憶手段5にその旨を示す情報(故障情報)を記憶する。記憶手段5は、過電圧制御部4に接続された不揮発性メモリであって、例えばEEPROM等である。
【0030】
フェールセーフ部43は、少なくとも電気電子機器9の起動(通電)時に、記憶手段5に対して故障情報(例えば機器動作禁止フラグ等)の有無を確認する。フェールセーフ部43は、記憶手段5に故障情報が記憶されている場合、電気電子機器9に対してフェールセーフ処理を実行する。具体的に、フェールセーフ部43は、故障情報が記憶されている場合、電気電子機器9の動作を禁止する。フェールセーフ部43は、例えば電気電子機器9の動作を制御するECU等の制御手段(図示せず)に対し、動作を停止する信号を送信する。
【0031】
さらに、本実施形態のフェールセーフ部43は、故障情報が記憶されている場合、通知装置6を作動させる。通知装置6は、ユーザーに故障していることを通知する装置である。通知装置6は、例えば視覚的にユーザーに通知する表示手段、音声により通知する音声発生手段、又はその両方の機能を有する表示音声手段などである。本実施形態のフェールセーフ処理は、電気電子機器9の動作禁止と、通知装置6によるユーザーへの通知である。
【0032】
また、本実施形態のフェールセーフ部43は、起動時だけでなく、カウント部41から信号を受信した際に、記憶手段5に故障情報の有無を確認する。そして、記憶手段5に故障情報が記憶されていれば、フェールセーフ部43がフェールセーフ処理を実行する。なお、フェールセーフ部43は、通電中、定期的に記憶手段5を確認するように設定されていても良い。
【0033】
本実施形態の制御装置1によるフェールセーフ処理に関する流れを図2を参照して説明する。電気電子機器9が通電(コンセントに接続)されると、まずフェールセーフ部43が記憶手段5に対して故障情報の有無を確認する(S101)。記憶手段5に故障情報が記憶されている場合(S101:Yes)、フェールセーフ部43は、電気電子機器9に対してフェールセーフ処理を実行する(S106)。
【0034】
一方、記憶手段5に故障情報が記憶されていない場合(S101:No)、電圧検出部3により受電部2に過電圧(所定電圧を超える電圧)が印加されているか否かが検出される(S102)。過電圧が印加されていない場合(S102:No)、通常の機器制御が実行される(S103)。
【0035】
一方、過電圧が印加されている場合(S102:Yes)、カウント部41により過電圧印加時間が計測される(S104)。そして過電圧印加時間が所定時間を超えた場合(S104:Yes)、記憶部42により記憶手段5に故障情報が記憶される(S105)。そして、フェールセーフ部43により故障情報が確認され、フェールセーフ処理が実行される(S106)。
【0036】
ここで、ステップ104(S104)においてカウント部41がカウントする「所定時間」、すなわち過電圧制御部4が受電部2の故障の有無を判定するために設定された閾値となる時間について説明する。
【0037】
所定時間は、受電部2の故障開始に関する時間であり、過電圧が印加された場合における受電部2の故障開始時間より短い時間に設定されている。具体的に本実施形態における故障開始時間は、AC200V印加状態において電解コンデンサ25の故障(弁開放)がおよそ10秒である。電解コンデンサ25は、弁開放で修復不能となる。したがって、所定時間は少なくとも10秒未満に設定される。
【0038】
故障開始時間とは、実験等により故障開始と想定される過電圧印加時間、又はJIS規格により規定・保障された耐過電圧印加時間(例えばAC200V印加時でも、次回正常動作が保障される過電圧印加時間)である。なお、電解コンデンサ25の故障開始時間は、実験により、受電部2のうちで最も短時間と判断されている。
【0039】
さらに詳細には、本実施形態の所定時間は、1〜2秒に設定されている。所定時間は、過電圧が印加された際のブレーカ(図3の図番号8参照)の遮断に要する時間(数十〜数百ミリ秒)よりも長い時間に設定されている。したがって、過電圧印加時間が所定時間となった場合、電気電子機器にブレーカは設けられていないと判断でき、記憶部42は記憶手段5に故障情報を記憶し、フェールセーフ部43はフェールセーフ処理を実行する。
【0040】
(ブレーカ有りの場合)
一方、図3に示すように、電源部91と受電部2の間にブレーカ8が設けられている場合、過電圧が印加されてもブレーカ8により電源部91と受電部2は遮断される。ブレーカ8は、過電圧検出部81により過電圧を検出した時点で回路を遮断する。具体的には、電源部91がAC200Vのコンセントに接続された時から電圧値が過電圧値(所定電圧)に達するまでの時間(数十〜数百ミリ秒)の経過後に回路が遮断される。つまり、ユーザーにより誤ったコンセント接続が為されると、ほぼ瞬間的にブレーカ8により回路が遮断される。なお、ブレーカ8は、漏電検出部82も備えており、漏電を検出した際も回路を遮断する。
【0041】
本実施形態の受電部2は、過電圧が数秒流れても故障しない電子部品で構成されているため、ブレーカ8により短時間(ミリ秒単位)で遮断された場合、劣化・故障なく次回のコンセント接続(AC100V)以降に正常に作動することができる。受電部2の電子部品は、少なくともブレーカ8が遮断に要する瞬間的な時間(過電圧を検出する時間)の間に印加される電圧に耐えうるものである。また、バリスタ22としては、過電圧でも通電しない電圧タイプを採用すれば良い。ブレーカ8の有無に関わらず、統一した回路設計が可能である。
【0042】
ブレーカ8により短時間で回路が遮断された場合、カウント部41のカウントは、所定時間(ブレーカ8の遮断に要する時間より長く過電圧印加状態における故障開始時間よりも短い時間)に達する前に停止される。これにより、過電圧制御部4は、電気電子機器9にブレーカ8が設けられているか、又はカウント時間が所定時間に達する前に電源部91が電源(コンセント)から抜かれたと判断できる。この場合、記憶部42が記憶手段5に故障情報を記憶することはなく、以前の故障情報が記憶されていない限りフェールセーフ処理は実行されない。受電部2故障のおそれがないため次回通電時に正常に動作させても問題がなく、フェールセーフ処理しない適切な制御が可能となる。また、ブレーカ8が故障している場合や電気電子機器9納品後にブレーカ8を取り外した場合などでも、誤接続などに対して、制御装置1により安全な処理が実行される。
【0043】
なお、ブレーカ8の後付けに対する不都合としては、例えば、ブレーカ8を後付けしたにも関わらず、バリスタがブレーカ無用の設計であるため、過電圧印加によりヒューズがオープン故障してしまう等が挙げられる。本実施形態では、バリスタは過電圧(AC200V)でも通電しない電圧タイプが採用されているため、ブレーカ8の有無に関わらず同じ回路基板が適用できる。
【0044】
このように、本実施形態の制御装置1によれば、ブレーカ8の有無の何れの場合でも同じ回路基板を適用でき、過電圧印加による故障に対して安全な処理が可能となる。特に温水便座機器のような水周り機器においては、ユーザーが誤ってAC200Vのコンセントに接続し、過電圧による電子部品の劣化・故障が発生した場合、次回AC100Vで使用した際に劣化・故障部分から発火するおそれがある。したがって、劣化・故障に対するフェールセーフ処理は重要であり、本実施形態のように、ブレーカの有無に関わらず適切に安全処理が可能な制御装置1は、安全面及びコスト面において有効となる。
【0045】
なお、本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、電圧検出部3は、受電部2の電圧を検出する手段であれば良く、受電部2に印加される過電圧(所定電圧)を検出する手段ともいえる。また、電圧検出部3による電圧検出場所も受電部2内であれば良く、変圧器がある場合は商用電源側の電圧を検出することが好ましい。また、フェールセーフ処理として、ヒューズ21を積極的に溶断するように設定しても良い。この場合、制御装置1は、フェールセーフ部43の指令に基づきヒューズ21を溶断する溶断手段(図示せず)を備えても良い。
【符号の説明】
【0046】
1:制御装置、 2:受電部、
21:ヒューズ、 22:バリスタ、 23:フィルムコンデンサ、
24:ダイオード、 25:電解コンデンサ、
3:電圧検出部、 31,32:抵抗体、 33:スイッチング素子、
4:過電圧制御部、 41:カウント部、 42:記憶部、
43:フェールセーフ部、
5:記憶手段、 6:通知手段、
8:ブレーカ、 81:過電圧検出部、 82:漏電検出部、
9:電気電子機器、 91:電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に接続される電子部品を有する受電部と、
前記受電部に印加される電圧を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部で検出された電圧値が所定電圧を超えている時間をカウントするカウント部と、
前記カウント部によりカウントされた時間が前記受電部の故障開始に関する所定時間を超えた場合に、不揮発性の記憶手段に故障情報を記憶する記憶部と、
前記記憶手段に前記故障情報が記憶されている場合、電気電子機器に対しフェールセーフ処理を実行するフェールセーフ部と、
を備えることを特徴とする電気電子機器の制御装置。
【請求項2】
前記所定時間は、前記電源と前記受電部の間に接続できるブレーカによる遮断に要する時間より長く、前記所定電圧における前記受電部の故障開始時間よりも短い時間に設定される請求項1に記載の電気電子機器の制御装置。
【請求項3】
前記受電部は、バリスタと、フィルムコンデンサと、電解コンデンサと、を備え、
前記所定時間は、前記バリスタ、前記フィルムコンデンサ、及び前記電解コンデンサのうち何れか1つの前記所定電圧における故障開始時間より短い時間に設定される請求項1又は2に記載の電気電子機器の制御装置。
【請求項4】
前記電源と前記受電部の間に接続されるブレーカをさらに備え、
前記所定時間は、前記ブレーカの遮断に要する時間より長く、前記所定電圧における前記受電部の故障開始時間よりも短い時間に設定される請求項1〜3の何れか一項に記載の電気電子機器の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−110907(P2013−110907A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255806(P2011−255806)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】