説明

電池収納装置

【課題】電池の規格で規定された公差幅を考慮することによって、振動や衝撃による電池の性能劣化を防止することができるとともに、電池の交換を容易に行うことができる電池収納装置を提供する。
【解決手段】電池収納装置1は、コネクタ部22a,22bを有し内部に電池B1,B2を収納するケース(ケース本体10及びカバー20)と、電池B1,B2のプラス極に接するプラス極コイルスプリング11a,21aと、電池B1,B2のマイナス極に接するマイナス極コイルスプリング11b,21bと、規格で許容される電池B1,B2の大きさの違いを吸収しつつ電池B1,B2を固定し得る弾性力をもって電池B1,B2の側壁を支持する側壁支持部33を有する電池支持具30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池を収納する電池収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラントや工場においては、差圧伝送器や温度伝送器等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、その他のフィールド機器が多数設置されている。従来のフィールド機器は、プラント等に敷設された有線の通信バスに接続され、各種信号の送受信を有線通信により行うものが一般的であったが、近年では、各種信号の送受信を無線通信により行うフィールド機器(無線フィールド機器)が実現されている。
【0003】
このような無線フィールド機器は、基本的に単独でプラント等に設置され、外部からの電力供給(例えば、通信バスを介した電力供給)を受けることができないため、電源として電池が用いられる。ここで、プラント等では可燃性のガスが用いられる場合があるため、無線フィールド機器で用いられる電池は防爆規格を満たす電池収納装置に収納されるのが殆どである。以下の特許文献1には、プラス極とマイナス極とをコイルスプリングにより押さえ付けた状態で電池を収納する電池収納装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−277513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1に開示された電池収納装置は、コイルスプリングによって電池を押さえ付けるようにしているため、振動による瞬断や接触不良を防止することは可能である。しかしながら、コイルスプリングによる押し付け力のみでは電池を固定するのに十分ではないため、振動や衝撃が電池収納装置に加わった場合に、電池収納装置の内部で電池が動いてしまい、これにより電池に振動や衝撃が加わることとなる。すると、電池内部の発電素子や集電機構の破壊等が生じて電池の性能が劣化してしまうという問題があった。
【0006】
ここで、電池収納装置に収納される電池の大きさに合わせた緩衝材(例えば、シリコーン系弾性体)を電池収納装置の内部に設ければ、電池収納装置の内部において電池が十分に固定されて電池に加わる振動や衝撃も緩和されると考えられる。しかしながら、電池の規格は、ある程度大きな公差幅をもって規定されているため、電池の大きさは各メーカによって異なっているのが現状である。例えば、一次電池に関する規格(IEC60086及びJIS C 8500)において、単一型(Dサイズ)の電池は、直径が32.2〜34.2mmの範囲であって、長さが59.5〜61.5mmの範囲であると規定されている。
【0007】
このため、あるメーカから提供される電池の大きさに適合した緩衝材を設けても、電池収納装置に収納しようとする他のメーカの電池の大きさが小さめであれば、電池を十分に固定することができず、電池に振動や衝撃が加わって電池の性能劣化が引き起こされてしまうと考えられる。これに対し、電池収納装置に収納しようとする他のメーカの電池の大きさが大きめであれば、電池収納装置に収納することができない、或いは電池の挿抜時に大きな力が必要になり電池交換を容易にすることができないという事態が考えられる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電池の規格で規定された公差幅を考慮することによって、振動や衝撃による電池の性能劣化を防止することができるとともに、電池の交換を容易に行うことができる電池収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の電池収納装置は、正極端子(22a)と負極端子(22b)とを有し内部に電池(B1、B2)を収納するケース(10、20)と、前記電池の正極に接する正極バネ(11a、21a)と、前記電池の負極に接する負極バネ(11b、21b)とを備えており、前記正極バネ及び前記負極バネにより前記電池と前記正極端子及び前記負極端子との電気的接続を行う電池収納装置(1)において、規格で許容される前記電池の大きさの違いを吸収しつつ前記電池を固定し得る弾性力をもって前記電池の側壁を支持する側壁支持部(33)を有する第1支持具(30)を備えることを特徴としている。
この発明によると、規格で許容される電池の大きさの違いを吸収しつつ電池を固定し得る弾性力をもって電池の側壁が側壁支持部によって支持された状態でケースに収納される。
また、本発明の電池収納装置は、前記第1支持具が、前記側壁支持部に沿って着脱される前記電池の一端面を支持する電池固定部(31、32)を有することを特徴としている。
また、本発明の電池収納装置は、前記側壁支持部が、前記電池固定部の一端に連結されて前記電池の側壁が当接される側壁支持部材(33a)と、該側壁支持部材に対して前記弾性力を付与する弾性部材(33b)とを備え、前記電池固定部が、前記電池の一端面の縁に沿って配置されて前記電池の一端面を支持する複数の固定部材(31a、32a)と、前記電池に接する前記正極バネ及び前記負極バネが挿通される孔(31b、32b)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の電池収納装置は、前記側壁支持部材が、前記電池の長手方向に伸延し、当該方向における前記電池の長さと同程度の長さを有する板状の部材であり、前記弾性部材が、前記側壁支持部材と前記電池固定部との接続部分に近接して設けられ、当該方向における前記電池の長さの半分程度の長さを有する部材であることを特徴としている。
また、本発明の電池収納装置は、前記弾性部材が、ゴム素材により蛇腹状に形成された部材であり、前記側壁支持部材の短手方向の両端部に取り付けられていることを特徴としている。
また、本発明の電池収納装置は、前記ケースが、内部に複数の電池を収納可能であり、前記第1支持具が、前記ケース内における前記複数の電池の配置に応じて連結された複数の前記電池固定部と、前記電池固定部の連結部に対して取り付けられた少なくとも1つの前記側壁支持部とを備えることを特徴としている。
また、本発明の電池収納装置は、前記ケースが、前記第1支持具が配設される第1ケース部材(10)と、前記電池の他端面を支持する電池固定部(41、42)を有する第2支持具(40)が配設される第2ケース部材(20)とからなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、規格で許容される電池の大きさの違いを吸収しつつ電池を固定し得る弾性力をもって収納された電池の側壁を側壁支持部で支持しているため、振動や衝撃による電池の性能劣化を防止することができるとともに、電池の交換を容易に行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による電池収納装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による電池収納装置を示す分解斜視図である。
【図3】図1中のA−A線に沿う断面矢視図である。
【図4】本発明の一実施形態による電池収納装置が備える電池支持具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による電池収納装置について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による電池収納装置を示す斜視図である。図2は、同電池収納装置を示す分解斜視図である。図3は、図1中のA−A線に沿う断面矢視図である。これら図1〜図3に示す通り、本実施形態の電池収納装置1は、ケース本体10(ケース,第1ケース部材)、カバー20(ケース,第2ケース部材)、電池支持具30(第1支持具)、及び電池支持具40(第2支持具)を備えており、2つの電池B1,B2を収納可能である。
【0013】
尚、電池収納装置1は、例えばプラントや工場に設置される無線フィールド機器で用いられる。このため、プラント等における防爆規格を満足するように設計されている。また、電池B1,B2は、例えば単一電池等の円柱形状の電池であって、ケース本体10とカバー20とを固定するネジNを外してケース本体10からカバー20を分離することにより着脱可能である。
【0014】
ケース本体10は、例えば合成樹脂を成形加工して形成された箱形形状の部材であり、電池B1,B2を収納可能な大きさを有し、その上部には電池B1,B2を挿入し、或いは取り出すための開口部OP1が設けられている(図2参照)。このケース本体10の内壁底面には、電池B1,B2を固定するとともに、電池B1と電池B2とを電気的に接続するプラス極コイルスプリング11a及びマイナス極コイルスプリング11bが設けられている(図3参照)。
【0015】
プラス極コイルスプリング11aの一端とマイナス極コイルスプリング11bの一端とは電気的に接続されている。プラス極コイルスプリング11aの他端は、電池B1が装着された場合に電池B1のプラス極と電気的に接続され、マイナス極コイルスプリング11bの他端は、電池B2が装着された場合に電池B2のマイナス極と電気的に接続される。尚、プラス極コイルスプリング11aとマイナス極コイルスプリング11bとは金属等によって一体成形されていても良い。
【0016】
カバー20は、例えばケース本体10と同様の合成樹脂を成形加工して形成された箱形形状の蓋部材であり、その下部にはケース本体10と嵌合して電池B1,B2を覆うための開口部OP2が設けられている(図2参照)。このカバー20の内壁底面には、プラス極コイルスプリング21a(正極バネ)及びマイナス極コイルスプリング21b(負極バネ)、コネクタ部22a(正極端子)及びコネクタ部22b(負極端子)、並びに抵抗素子等の電気素子(図示省略)が取り付けられた回路基板23が設けられている。
【0017】
プラス極コイルスプリング21a及びマイナス極コイルスプリング21bは、電池B2,B1を固定するとともに、電池B2,B1とコネクタ部22a,22bとをそれぞれ電気的に接続するものである。具体的に、プラス極コイルスプリング21aは、一端がコネクタ部22aに接続され、電池B2が装着されてカバー20がケース本体10に嵌合された場合に、他端が電池B2のプラス極と電気的に接続される。マイナス極コイルスプリング21bは、一端がコネクタ部22bに接続され、電池B1が装着されてカバー20がケース本体10に嵌合された場合に、他端が電池B1のマイナス極と電気的に接続される。コネクタ部22a,22bは、電池収納装置1に収納された電池B1,B2の電力を外部に供給するための端子である。
【0018】
電池支持具30は、ケース本体10内に介挿されており、電池B1,B2の側壁及び電池B1,B2の底面(一端面)を支持する。また、電池支持具40は、カバー20内に介挿されており、電池B1,B2の上面(他端面)を支持する。つまり、電池B1,B2は、電池支持具30,40によって長手方向(電池B1,B2の軸方向)に挟持されるとともに、側壁が電池支持具30に支持された状態で電池収納装置1に収納される。以下、これら電池支持具30,40の詳細について順に説明する。
【0019】
図4は、本発明の一実施形態による電池収納装置が備える電池支持具を示す斜視図である。図4に示す通り、電池支持具30は、電池B1,B2の底面をそれぞれ支持する電池固定部31,32と、電池B1,B2の側壁を支持する側壁支持部33とを備える。電池固定部31,32は、電池収納装置1に収納される電池B1,B2の底面と同様の形状又は電池B1,B2の底面よりも一回り大きな形状に形成されている。
【0020】
具体的に、電池固定部31は、上面の周縁部に沿って設けられた複数の固定部材31a(図4に示す例では5つ)と、中心部に設けられた孔31bとを有する。固定部材31aは、ケース本体10の開口部OP1から挿入された電池B1の底面に当接して電池B1の底面を支持する部材である。孔31bは、プラス極コイルスプリング11aと電池B1との電気的な接続を行うために設けられる孔であり、プラス極コイルスプリング11aの径(平面視での最大径)よりも大きな径に形成されている。
【0021】
電池固定部32は、電池固定部31と同様に、上面の周縁部に沿って設けられた複数の固定部材32a(図4に示す例では、固定部材31aと同様の5つ)と、中心部に設けられた孔32bとを有する。固定部材32aは、ケース本体10の開口部OP1から挿入された電池B2の底面に当接して電池B2の底面を支持する部材である。孔32bは、マイナス極コイルスプリング11bと電池B2との電気的な接続を行うために設けられる孔であり、マイナス極コイルスプリング11bの径(平面視での最大径)よりも大きな径に形成されている。
【0022】
電池固定部31,32は、シリコーンゴム等のゴム素材によって互いに一端で連結した状態に形成され、各々に設けられた孔31b,32bにプラス極コイルスプリング11a及びマイナス極コイルスプリング11bがそれぞれ介挿された状態で、ケース本体10の内壁底部に配置される。この電池固定部31,32の連結部J1には、電池B1,B2の長手方向に伸延して電池B1,B2の側壁を支持する側壁支持部33が取り付けられている。
【0023】
側壁支持部33は、2つの側壁支持部材33aと2つの弾性部材33bとからなり、電池収納装置1に収納される電池B1,B2の間に配置され、規格で許容される電池B1,B2の大きさの違いを吸収しつつ電池B1,B2を固定し得る弾性力をもって電池B1,B2の側壁を支持する。例えば、電池B1,B2が単一型(Dサイズ)の一次電池である場合には、側壁支持部33は、一次電池に関する規格(IEC60086及びJIS C 8500)で許容される範囲(直径が32.2〜34.2mmの範囲であって、長さが59.5〜61.5mmの範囲)の大きさの違いを吸収しつつ、振動や衝撃によって電池B1,B2が動かないように電池B1,B2の側壁を支持する。
【0024】
側壁支持部材33aは、電池B1又は電池B2の側壁が当接される部材であり、例えば長手方向の長さが電池B1,B2の長さ(電池B1,B2の長手方向における長さ)と同程度の長さに形成された剛性のある平板状のポリカーボネートシート(PCシート)である。この側壁支持部材33aは、弾性部材33bが取り付けられる根本部P1と、根本部P1よりも短手方向の幅が幅狭な先端部P2とを有する。尚、側壁支持部材33aは、PCシートに限定される訳ではなく他の樹脂又は金属により形成されたものであってもよい。
【0025】
弾性部材33bは、シリコーンゴム等のゴム素材によって蛇腹状(図4に示す例では、断面形状が「M」字形状)に形成された部材であり、側壁支持部材33aに対して電池B1,B2の大きさの違いを吸収しつつ電池B1,B2を固定し得る弾性力を付与する。この弾性部材33bは、電池B1,B2の長さ(電池B1,B2の長手方向における長さ)の半分程度の長さを有しており、2つの側壁支持部材33aに挟まれるように、各々の根本部P1の両端部(側壁支持部材33aの短手方向における両端部)にそれぞれ取り付けられる。
【0026】
つまり、側壁支持部材33aは、電池B1,B2の長手方向に伸延し、お互いが平行(略平行)となるように根本部P1の両端部が弾性部材33bによって連結されている。また、側壁支持部材33aには、お互いを連結している弾性部材33bによって、面に交差する方向の弾性力が付与されることになる。このような側壁支持部33は、側壁支持部材33aの下端部(根本部P1の下端部)が電池固定部31,32の連結部J1に係合されることによって連結部J1に取り付けられている。
【0027】
これにより、側壁支持部33は、図2に示す通り、下部(側壁支持部材33aの根本部P1及び弾性部材33b)がケース本体10内に配設される一方で、上部(側壁支持部材33aの先端部P2)がケース本体10の開口部OP1から外部に延出した状態に配設される。尚、弾性部材33bは、側壁支持部材33aと電池固定部31,32の連結部J1との接続部分に近接して設けられることになる。
【0028】
電池支持具40は、電池B1,B2の上面をそれぞれ支持する電池固定部41,42を備える。これら、電池固定部41,42は、電池支持具30が備える電池固定部31,32と同様のものであり、電池収納装置1に収納される電池B1,B2の上面と同様の形状又は電池B1,B2の上面よりも一回り大きな形状に形成されている。
【0029】
電池固定部41は、底面の周縁部に沿って設けられた複数の固定部材41a(図4に示す例では5つ)と、中心部に設けられた孔41bとを有する。固定部材41aは、カバー20がケース本体10に嵌合された場合に、ケース本体10に挿入されている電池B1の上面に当接して電池B1の上面を支持する部材である。孔41bは、マイナス極コイルスプリング21bと電池B1との電気的な接続を行うために設けられる孔であり、マイナス極コイルスプリング21bの径(平面視での最大径)よりも大きな径に形成されている。
【0030】
電池固定部42は、電池固定部41と同様に、底面の周縁部に沿って設けられた複数の固定部材42a(図4に示す例では、固定部材41aと同様の5つ)と、中心部に設けられた孔42bとを有する。固定部材42aは、カバー20がケース本体10に嵌合された場合に、ケース本体10に挿入されている電池B2の上面に当接して電池B2の上面を支持する部材である。孔42bは、プラス極コイルスプリング21aと電池B2との電気的な接続を行うために設けられる孔であり、プラス極コイルスプリング21aの(平面視での最大径)よりも大きな径に形成されている。
【0031】
電池固定部41,42は、シリコーンゴム等のゴム素材によって互いに一端で連結した状態に形成され、各々に設けられた孔41b,42bにマイナス極コイルスプリング21b及びプラス極コイルスプリング21aがそれぞれ介挿された状態で、カバー20内に配置される。具体的に、電池固定部41,42は、マイナス極コイルスプリング21b及びプラス極コイルスプリング21aが取り付けられた回路基板23に上面を接触させた状態でカバー20内に配置される。
【0032】
次に、上記構成における電池収納装置1に収納された電池B1,B2の交換方法について説明する。まず、電池B1,B2の交換作業を行う作業者がケース本体10とカバー20とを固定するネジNを外してケース本体10からカバー20を分離する。すると、下部がケース本体10に挿入されて上部が露出した状態の電池B1,B2が現れる。作業者は、この状態の電池B1,B2の上部を掴んで取り出し、取り出しを終えた後に新たな電池B1,B2をケース本体10の開口部OP1に挿入する。
【0033】
ここで、新たな電池B1,B2をケース本体10の開口部OP1に挿入するときには、ケース本体10の開口部OP1から外部に延出している電池支持具30の側壁支持部材33aに対し、長手方向が一致するように電池B1,B2の側壁を当接させた状態で、電池支持具30に沿わせながら挿入する。側壁支持部材33aの上端部P2は、弾性部材33bによって連結されていないため、面に交差する方向の力が加わると撓む。これにより、側壁支持部材33aの上端部P2は、電池B1,B2をケース本体10に導くためのいわばガイドになるため、ケース本体10への電池B1,B2の挿入を容易に行うことができる。
【0034】
電池B1が開口部OP1を介してケース本体10に挿入されると、電池B1の底面にプラス極コイルスプリング11aが接触し、プラス極コイルスプリング11aによって電池B1が支持される。同様に、電池B2が開口部OP1を介してケース本体10に挿入されると、電池B2の底面にマイナス極コイルスプリング11bが接触し、マイナス極コイルスプリング11bによって電池B2が支持される。これにより、電池B1,B2は電気的に接続される。
【0035】
このとき、電池B1,B2は、側壁が側壁支持部材33aに当接した状態でケース本体10に挿入されている。ここで、側壁支持部材33aは、根本部P1の両端部が弾性部材33bによって連結されているため、根本部P1に対して面に交差する方向の力が加わると短手方向にある程度撓むことができる。このため、電池B1,B2は、その側壁の曲率に応じて撓んだ側壁支持部材33aによって面で支持されることになる。しかも、側壁支持部材33aには弾性部材33bによって適度な弾性力が付与されることから、電池B1,B2は側壁支持部33によって適度な力によって面で支持されることになる。
【0036】
ケース本体10に対する電池B1,B2の挿入が完了すると、作業者は電池B1,B2を覆うようにケース本体10にカバー20を嵌合させてネジNによりケース本体10とカバー20とを固定する。ケース本体10にカバー20が嵌合されると、電池B1の上面にマイナス極コイルスプリング21bが接触するとともに、電池B2の上面にプラス極コイルスプリング21aが接触する。これにより、電池B1,B2は、コネクタ部22b,22a間に直列接続される。
【0037】
この状態で作業者がネジNによるネジ止めを行うと、ケース本体10に設けられたプラス極コイルスプリング11a及びマイナス極コイルスプリング11bと、カバー20に設けられたプラス極コイルスプリング21a及びマイナス極コイルスプリング21bが共に収縮する。そして、電池B1,B2の底面が電池固定具30の電池固定部31,32に設けられた固定部材31a,32aにそれぞれ当接して支持されるとともに、電池B1,B2の上面が電池固定具40の電池固定部41,42に設けられた固定部材41a,42aにそれぞれ当接して支持される。これにより、電池B1,B2は、底面が電池固定具30によって支持されるとともに、上面が電池固定具40によって支持され、更に側壁が電池固定具30の側壁支持部33に支持された状態で電池収納装置1に収納される。
【0038】
以上の通り、本実施形態では、電池支持具30の電池固定部31,32によって電池B1,B2の底面を支持するとともに、電池支持具40の電池固定部41,42によって電池B1,B2の上面を支持し、更に電池支持具30の側壁支持部33によって電池B1,B2の側壁を支持するようにしている。このため、メーカ毎の大きさの違いがあっても電池B1,B2を良好に支持することができ、振動や衝撃によって電池B1,B2が電池収納装置1で動くことはなく、振動や衝撃による電池の性能劣化を防止することができる。
【0039】
また、電池B1,B2をケース本体10の開口部OP1に挿入する場合に、電池支持具30の側壁支持部材33aが電池B1,B2をケース本体10に導くためのいわばガイドになり、しかもこの側壁支持部材33aには弾性部材33bにより適度な弾性力が付与される。このため、電池支持具30の側壁支持部材33aに対し、電池B1,B2を当接させて電池支持具30に沿わせながら挿入すれば、大きな力を要せずに電池B1,B2を容易に挿入することができる。これにより、メーカ毎の大きさの違いがあっても電池B1,B2の交換を容易に行うことができる。
【0040】
以上、本発明の一実施形態による電池収納装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、電池B1,B2を固定するとともに電気的に接続するための部材として、プラス極コイルスプリング11a,21a及びマイナス極スプリング11b,21bを用いていたが、これらに代えて板バネを用いても良い。
【0041】
また、上記実施形態では、電池支持具30,40によって電池B1,B2を長手方向に挟持するとともに、電池支持具30によって電池B1,B2の側壁を支持する例について説明した。しかしながら、プラス極コイルスプリング11a,21a及びマイナス極スプリング11b,21bによって電池B1,B2を長手方向に十分固定できるのであれば、電池支持具30によって電池B1,B2の側壁を支持するだけでもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、2つの電池B1,B2を収納可能な電池収納装置を例に挙げて説明したが、1つの電池を収納する電池収納装置や3つ以上の電池を収納可能な電池収納装置にも本発明を適用することができる。例えば、1つの電池を収納する電池収納装置の場合には、電池固定具30として、1つの電池固定部とこの電池固定部の一端に取り付けられた側壁支持部とを有するものを用い、電池固定具40として、1つの電池固定部のみを有するものを用いれば良い。
【0043】
また、3つ以上の電池を収納する電池収納装置の場合には、電池固定具30として、電池の数と同数の電池固定部と電池の数や収納形態に応じた数(少なくとも1つ)の側壁支持部とを有するものを用い、電池固定具40として、電池の数と同数の電池固定部を有するものを用いれば良い。尚、電池の収納形態は、電池を一列に配列した状態で収納する形態であっても、電池を複数の列に配列した状態で収納する形態であっても良い。
【符号の説明】
【0044】
1 電池収納装置
10 ケース本体
11a,21a プラス極コイルスプリング
11b,21b マイナス極コイルスプリング
20 カバー
22a,22b コネクタ部
30 電池支持具
31,32 電池固定部
31a,32a 固定部材
31b,32b 孔
33 側壁支持部
33a 側壁支持部材
33b 弾性部材
40 電池支持具
41,42 電池固定部
B1,B2 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極端子と負極端子とを有し内部に電池を収納するケースと、前記電池の正極に接する正極バネと、前記電池の負極に接する負極バネとを備えており、前記正極バネ及び前記負極バネにより前記電池と前記正極端子及び前記負極端子との電気的接続を行う電池収納装置において、
規格で許容される前記電池の大きさの違いを吸収しつつ前記電池を固定し得る弾性力をもって前記電池の側壁を支持する側壁支持部を有する第1支持具を備えることを特徴とする電池収納装置。
【請求項2】
前記第1支持具は、前記側壁支持部に沿って着脱される前記電池の一端面を支持する電池固定部を有することを特徴とする請求項1記載の電池収納装置。
【請求項3】
前記側壁支持部は、前記電池固定部の一端に連結されて前記電池の側壁が当接される側壁支持部材と、該側壁支持部材に対して前記弾性力を付与する弾性部材とを備え、
前記電池固定部は、前記電池の一端面の縁に沿って配置されて前記電池の一端面を支持する複数の固定部材と、前記電池に接する前記正極バネ及び前記負極バネが挿通される孔とを備える
ことを特徴とする請求項2記載の電池収納装置。
【請求項4】
前記側壁支持部材は、前記電池の長手方向に伸延し、当該方向における前記電池の長さと同程度の長さを有する板状の部材であり、
前記弾性部材は、前記側壁支持部材と前記電池固定部との接続部分に近接して設けられ、当該方向における前記電池の長さの半分程度の長さを有する部材である
ことを特徴とする請求項3記載の電池収納装置。
【請求項5】
前記弾性部材は、ゴム素材により蛇腹状に形成された部材であり、前記側壁支持部材の短手方向の両端部に取り付けられていることを特徴とする請求項4記載の電池収納装置。
【請求項6】
前記ケースは、内部に複数の電池を収納可能であり、
前記第1支持具は、前記ケース内における前記複数の電池の配置に応じて連結された複数の前記電池固定部と、前記電池固定部の連結部に対して取り付けられた少なくとも1つの前記側壁支持部とを備える
ことを特徴とする請求項2から請求項5の何れか一項に記載の電池収納装置。
【請求項7】
前記ケースは、前記第1支持具が配設される第1ケース部材と、
前記電池の他端面を支持する電池固定部を有する第2支持具が配設される第2ケース部材と
からなることを特徴とする請求項2から請求項6の何れか一項に記載の電池収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−114918(P2013−114918A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260315(P2011−260315)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】