説明

電池

【課題】いつ、誰が見ても未使用であるか、使用済であるかを誤認させることなく判別できる電池を提供する。
【解決手段】電池容器102を包装する外装材103に設けられた剥離部107と、剥離部107によって被覆される領域部分に設けられた文字、画像、記号、符号等の表示150を備えることを特徴とする。これにより、該電池が使用済である表示を必要に応じて出現させることができ、使用者に該電池が未使用であるか、使用済であるかを誤認させずに判別させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池が未使用か使用済であるかを目視して確認することができる表示のなされる電池に関する。
【背景技術】
【0002】
一次電池を電子機器に装填する際に電池の未使用性を判別するために、電池の端子部等に未使用である趣旨の表示を施した封印シールを貼付することで未使用、使用済の誤認を防ぐ方策等が講じられている。封印シールが貼付されている電池は未使用であることを確認することができ、使用済の電池を誤って装填してしまうことを防止することができる。そのため、未使用の電池を正しく装填することができ、電気機器を正常に動作させることができる。
【0003】
図11は正極端子部404に封印シール407を貼付することで該電池の未使用、或いは使用済の判別ができる筒型電池401を示す概念図である。また、図12は図11に示す筒型電池401を正極端子部404の方向から示した概念図である。
【0004】
電池401は発電材を収容した電池容器402を、正極端子部404と負極端子部405以外の表面を外装材403によって包装されることで構成されている。この外装材403の一端を短冊状に形成し、正極端子部404の上面を保護するように接着し、封印シール407とする。
【0005】
上述の封印シール407の正極端子部404と接する面には再剥離性を有する粘着層が形成され、外装材403の包装時に接着される。
よって、電池401はこの封印シール407が正極端子部404に接着された状態であれば、未使用のものであると確認することができる。(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−259514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の様態では、封印シール407が存在しない、という事象が該電池401は使用済であることを意味する、と使用者が認知していることが前提としてあらねばならない。
そのため、この様態の電池401を初めて使用する使用者は、封印シール407が存在しないということだけでは電池401が未使用であるか、使用済であるかという判断をすることはできない。
【0007】
また、図11に示したように、封印シール407は電池401の正極端子部404或いは負極端子部405といった突起部を被覆するように貼付される。そのため、電池401と封印シール407との間に空隙410が生じる。この空隙410に意図せずに何かが当たるなどして封印シール407を剥離させてしまう虞がある。未使用の電池であっても封印シール407が存在しなければ、封印シール407が存在しないことが使用済の電池である、ということを認知している使用者は使用済の電池であると誤認してしまい、そのまま廃棄されてしまうことになる。これは、多大なる浪費を招く原因ともなる。
また、市場には当初から封印シールが施されておらず、未使用、使用済の区別ができない電池も多く存在する。そのため、電池401に封印シール407が存在しないことに対して特段の意識を持たない使用者も存在する。そのような使用者が電池401を使用すると、封印シール407の有無にかかわらず、未使用、使用済のものを混在させてしまう虞がある。そして、使用済或いは未使用の電池が混在した状態で電気機器に装填してしまい、電池からの液漏れや電力の浪費といった問題を招くことにもなり得る。
したがって、従来の態様では電池の未使用、使用済かを誤認させてしまい、誤って機器に装填してしまったり、使用できる電池であることが判らずに廃棄してしまったりするといった問題があった。
【0008】
本発明は、かかる問題点を克服し、いつ、誰が見ても未使用であるか、使用済であるかを誤認させることなく判別できる電池を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電池は、
端子部以外の電池容器の表面を外装材で包装した電池であって、
外装材に設けられた剥離部と、
剥離部によって被覆されている領域部分に設けられた文字、画像、記号または符号等のうち少なくとも一つの表示と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
上述の剥離部には手指で摘まむことができる耳部が形成されていると好適である。
【0011】
上述の剥離部は電池容器の表面に設けられた文字、画像、記号または符号等を被覆する部分に位置すると好適である。
【0012】
上述の剥離部は矩形の包装材の一端部に設けられ、包装材のもう一つの端部に設けられた文字、画像、記号または符号等を電池容器に包装されたときに被覆すると好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電池を使い終わった場合に剥離部を除去することで、剥離部に被覆された部分に設けられた文字、画像、記号または符号等の表示を出現させ、使用者にその内容を視認させることができる。
また、何らかの意図を伝達することができるため、初めてこの表示を見た使用者であっても、剥離部が存在しない意味を理解することができる。
さらに、剥離部が外装材と一体となっているため、故意に除去しようとしない限り容易に剥離部が存在しない状態になることがない。そのため、事実を誤認させてしまうような表示を不意に出現させてしまうことがない。
したがって、剥離部の被覆する部分にたとえば使用済である表示を設けておけば、未使用であるか使用済であるかという判別を容易にし、尚且つ未使用の電池を使用済のものであるとの誤認をすることによる無駄な廃棄をしてしまう虞を低減させることができる。
また、未使用の電池と使用済の電池を混在させてしまう虞も低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施形態1
まず、実施形態1について図に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態1の電池101は電池容器102が外装材103に包装されて構成されることを示した斜視図である。図1に示すように、電池容器102は底面を有する円筒状の金属で形成され、正極としての性質を有する。そして、電池容器102の上面には突起部を有する正極端子部104が、また下面には負極端子部105が設けられる。
ここで、図1では電池101を構成する各部材のうち、実施形態1の説明に必要な構成以外は省略した。また、図1に示した各部材等の配置、寸法、縮尺を実物と一致させていない。以下各図面において同様である。
【0016】
電池容器102内には発電材が収容され、正極端子部104及び負極端子部105を介して電気機器に電力を供給することができる。
【0017】
図2は電池容器102を側方から示した概念図である。
ここで、図2に示すように電池容器102の正負端子面でない表面に、たとえば電池が使用済であるという文字の表示150を記載する。本実施形態においては「使用済」と記載する。
【0018】
電池容器102の正極端子部104及び負極端子部105以外の面は、外装材103で包装される。この外装材103は熱収縮性を有する樹脂等を材質に用い、円筒形の電池容器102の表面に適宜形状を適合させて、電気絶縁性の外装面を形成する。
【0019】
かかる状態で、電気機器に所定の個数だけ電池101を装填することによって電源とすることができ、電気機器を正常に動作させることができる。
【0020】
図3は電池101を包装する外装材103の一片を示す概念図である。
外装材103一片の幅寸法Wは電池容器102の長さよりも大きく形成されており、正極端子部104の端部及び負極端子部105の端部をも包装する。また、外装材103一片の長さ寸法Lは電池容器102の外径円周と略同じ長さで形成されている。電池容器102を包装した場合に、外装材103の長さLの両端が接する状態になる。このため、実施形態1では外装材103が重なり合う部分を生じさせず、電池容器102の表面全周において1層の外装材103で包装される。
【0021】
図3の破線で示したように、外装材103の端部には所定の幅でミシン目や切り込み等の破断補助加工106が施され、容易に切り取って除去することができる剥離部107が形成されている。
また、剥離部107の端部には、剥離部107を手指で容易に摘まむことができる半円形に形成された耳部108が形成されている。図4に示すように、電池101が外装材103に包装されている場合、電池101を押さえた状態で、耳部108を手指で摘まみ、負極端子部105の方向へ引くことで破断補助加工106が順次破断され、剥離部107をきれいに除去することができる。
【0022】
さらに、剥離部107は、電池101を押さえた状態で破断補助加工106が破断されるだけの所定の強さ以上の力で耳部108を引かなければ除去されない。そのため、意図しない何らかの影響で剥離部107が存在しない状態になり、未使用、使用済の判別ができなくなるという虞を限りなく低減させることができる。
【0023】
また、上述の剥離部107の引っ張りに対する強度を利用して、耳部108を摘まんで電池101を持ち上げることもできる。そのため、電池101が装填されている電気機器から耳部108を摘まんで取り外すことを容易にすることもできる。
【0024】
上述したように、表示150が剥離部107の直下に位置するような状態にして電池容器102を外装材103によって包装させる。これによって、電池101の使用後に剥離部107を除去することで表示150を出現させることができる。
したがって、電池101が使用済の電池であることを一見にして誰しもに判別させることができる。
この結果、電池101の使用後に未使用の電池であると誤認して、電気機器に装填してしまう等の間違いを犯す虞を低減させることができる。また、複数の電池が混在している中においても未使用の電池と使用済の電池を判別することが容易にすることができる。
【0025】
実施形態2
図5は、本発明の実施形態2の電池201を包装する外装材203を示す概念図である。
【0026】
図5に示すように、外装材203には所定の幅でミシン目や切り込み等の破断補助加工206が施され、容易に切り取って除去することができる剥離部207が形成されている。
また、外装材203の前端部220には剥離部207を容易に手指で摘まむことができる耳部208が形成されている。
そして、外装材203の後端部230付近には、たとえば電池201が使用済である文字の表示250を記載する。本実施形態においては「使用済」と記載する。
【0027】
上述した外装材203の長さ寸法Lは、図6に示したように電池容器202の外径円周よりも大きく形成する。そのため、電池容器202を外装材203で包装すると、外装材203の後端部230と前端部220が重なり合う状態で配置される。つまり、外装材203にはりしろの部分を生じさせた状態で包装される。
したがって、剥離部207と前端部220がはりしろの上層部分となり、表示250が記載された後端部230がはりしろの下層部分に位置する。
【0028】
そして、図7に示したように、電池201を押さえた状態で、耳部208を手指で摘まみ、負極端子部205の方向へ引くことで破断補助加工206が順次破断され、剥離部207をきれいに除去することができる。これによって、外装材203のはりしろの下層部分に記載された表示250を出現させることができる。この結果、電池201が使用済の電池であることを一見にして誰しもに判別させることができる。
【0029】
したがって、後に使用済の電池201を未使用の電池であると誤認して、電気機器に装填してしまう等の間違いを犯す虞を低減させることができる。
【0030】
実施形態2では、電池容器202を包装する外装材203に使用済である文字の表示250を記載している。外装材203には商標名、形式名、注意書等の表記が印刷されるため、各種印刷を施す工程と同じ工程で表示250を記載することができる。そのため、電池201の製造に新たな工程を設けずとも、従来から行なっていた工程を変更することで実施することができる。よって、本実施形態は導入が簡便である。
【0031】
実施形態3
図8は実施形態3の電池301の外装を形成する外装材303を示す概念図である。また、図9は実施形態3の外装材303に包装された電池301を示す概念図である。
【0032】
図8に示すように、外装材303は所定の位置にたとえば電池が使用済である文字の表示350が記載される。外装材303の長さ寸法Lが図示しない電池容器の外径円周よりも大きく、はりしろの部分が生じる場合には、はりしろに覆われない位置に表示350を記載する。また、外装材303の長さ寸法Lが電池容器の外径円周と略同じ場合には、外装材303によって覆い隠される部分が生じないため、表示350は何れの位置に記載しても良い。
【0033】
そして、表示350を覆うようにシール状の剥離部307を貼付し、機器に装填して使用しているときには表示350を出現させない。
【0034】
剥離部307は裏面に再剥離性のある粘着層を有し、外装材303に貼付される。剥離部307は外装材303に密着した状態になるため、意図しない何らかの影響を受けて剥離され、存在しない状態になる虞を低減することができる。そして、剥離部307は再剥離性のある粘着による外装材303への貼付であるため、手指で端部を摘まみ取ることによって容易に剥離させることができる。
ここで、剥離部307の端部に折り目を形成して耳部とし、手指で摘まみやすくしておいても良い。
【0035】
図9に示す外装材303によって包装された電池301は、電池301の使用後に剥離部307を剥離させ、剥離部307に被覆された表示350を出現させることができる。これによって、電池301が使用済の電池であるということを一見にして誰しもに判別させることができる。
【0036】
したがって、後に使用済の電池301を未使用の電池であると誤認して、機器に装填してしまう等の間違いを犯す虞を低減させることができる。
【0037】
以上、具体例を参照しつつ実施形態について説明した。本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが可能である。
【0038】
たとえば、実施形態1及び実施形態2における剥離部107、207には半円形に形成された耳部108、208を設けたが、手指で容易に摘まむことができる所定の大きさを有するものであれば良く、その形状を問うものではない。
【0039】
また、図10のように、剥離部107の端部だけ電池容器102に接着させずに配置することで耳部118として形成することもできる。そして、耳部118を手指で摘まんで引くことで剥離部107を除去することができる。
ここで、剥離部107の全周において破断補助加工116を形成すれば、剥離部107の位置を外装材103の端部に設けずとも良く、配置する位置を自由に設定することができる。
【0040】
さらに、本発明において剥離部は正極端子部に近い辺から、負極端子部の方向へ引くことで表示を出現させるとしたが、負極端子部に近い辺から正極端子部の方向へ引いて剥離部を除去させる構成であっても何ら構うものではない。
【0041】
またさらに、本発明は円筒形の電池を一例として説明したが、同様の外装材を用いて所定の起電材を収容する電池容器を包装して成す電池には同様に実施することができる。たとえば、角型の電池にも応用することができる。
【0042】
さらに、起電材の配置及び材質、部材の構成等、本発明の説明に直接必要としない部分などについては記載を省略したが、必要とされる構成については適宜選択して用いることができる。
【0043】
さらに、本発明の表示は電池が使用済である告知の表示を記載することを例として挙げたが、表記する内容はこれに限るものではない。
たとえば、該電池の使用者に対し、自社製品を使用してくれたことに対する謝意を記載することもできる。
また、当該製品を購入しなければ剥離部に被覆された部分の情報を知り得ないことを利用し、購入者に対する特典となる情報を記載することもできる。たとえば、景品の応募権となるIDナンバーや、その他インターネット上でアクセスするためのURL等、種々の情報を購入者以外には秘密裡に伝達することもできる。
【0044】
したがって、上述した情報伝達の表示と、使用済である表示と併記することで、製品の訴求力と製品の利便性を共に向上させることができる。
【0045】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうるすべての、及び各部材の形状は、本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態1の電池が外装材によって包装される様子を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1の電池容器を示した概念図である。
【図3】本発明の実施形態1の外装材を示した概念図である。
【図4】本発明の実施形態1の剥離部を除去し、剥離部の直下に記載された表示を出現させる様子を示した概念図である。
【図5】本発明の実施形態2の外装材を示した概念図である。
【図6】本発明の実施形態2の電池が外装材によって包装される様子を示した斜視図である。
【図7】本発明の実施形態2の剥離部を除去し、外装材の下層に記載された表示を出現させる様子を示した概念図である。
【図8】本発明の実施形態3の外装材と、貼付する剥離部を示した概念図である。
【図9】本発明の実施形態3の外装材に貼付された剥離部を除去し、外装材に記載された表示を出現させる様子を示した概念図である。
【図10】本発明の実施形態1或いは2の剥離部の他の一例を示した概念図である。
【図11】端子部に封印シールを貼付する態様の従来の電池の構成を示す概念図である。
【図12】従来の電池の封印シールが正極端子部を保護して貼付される様子を電池の正極側から示した概念図である。
【符号の説明】
【0047】
101、201、301…電池
102、202…電池容器
103、203、303…外装材
104…正極端子部
105、205…負極端子部
106、206…破断補助加工
107、207、307…剥離部
108、208…耳部
150、250、350…表示
220…前端部
230…後端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子部以外の電池容器の表面を外装材で包装した電池であって、
前記外装材に設けられた剥離部と、
前記剥離部によって被覆されている領域部分に設けられた文字、画像、記号または符号等のうち少なくとも一つの表示と、
を備えることを特徴とする電池。
【請求項2】
前記剥離部には手指で摘まむことができる耳部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項3】
前記剥離部は前記電池容器の表面に設けられた文字、画像、記号または符号等を被覆する部分に位置することを特徴とする請求項2記載の電池。
【請求項4】
前記剥離部は矩形の前記包装材の一端部に設けられ、前記包装材のもう一つの端部に設けられた文字、画像、記号または符号等を前記電池容器に包装されたときに被覆することを特徴とする請求項2記載の電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−305582(P2008−305582A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149646(P2007−149646)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(000003539)東芝電池株式会社 (109)
【Fターム(参考)】