説明

電流監視装置

【課題】自動車に搭載される電源系のハイサイド電流を検出して発電電流、負荷電流、及びバッテリ収支電流の測定値を出力する電流監視装置を提供する。
【解決手段】発電機2による発電電流を測定するためにシャント抵抗110を設け、電装負荷3に供給される負荷電流を測定するためにシャント抵抗120を設けており、それぞれに流れる電流による電圧降下を増幅するために、それぞれにハイサイド電流センスアンプ111、121を接続している。ハイサイド電流センスアンプ111からの出力は、収支電流測定部130に入力され、ハイサイド電流センスアンプ121からの出力は、分岐されて収支電流測定部130と負荷電流測定部140に入力される。収支電流測定部130でバッテリ収支電流の測定値が求められ、負荷電流測定部140で負荷電流の測定値が求められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ及び発電機から電装負荷に電力を供給する自動車用電源系のハイサイド電流を測定する電流監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されている電装負荷に電力を供給する電源として、バッテリと発電機(オルタネータ)が備えられている。近年は、電装負荷の増大とともに、バッテリの充電率や劣化度などを適切に管理することが重要となっており、バッテリ状態の監視のために、BMS(Battery Monitoring System)やIBS(Intelligent Battery Sensor)という名称で、バッテリ状態検知センサが車両に搭載され始めている。これらのバッテリ状態検知センサの多くは、バッテリのマイナスポストに取り付けられるものであり(例えば、特許文献1)、発電機による発電電流から負荷電流を差し引いた電流値、すなわちバッテリに出入りする電流(バッテリの充放電電流であり、以下では収支電流と称する)のみを計測するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−39571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自動車メーカーによっては、バッテリの収支電流だけでなく、発電機による発電電流や電装負荷に供給される負荷電流も個別に計測したいという要求がある。このように、発電電流や負荷電流を測定するためには、発電機や負荷側に新たに電流センサを追加する必要があるが、高コストとなるだけでなく、電流センサを複数設置するためのスペースを確保するのが困難といった問題があった。
【0005】
また、従来のバッテリ状態検知センサは、バッテリのマイナスポストに取り付けられたシャント抵抗に流れる電流を測定するために、差動増幅回路を内蔵したマイコンを備えている。このマイコンは、バッテリのマイナスポストの電位を0V基準として、シャント抵抗の両端に生じる電位差を測定するものである。すなわち、グランド側のローサイド電流を測定するものであって、バッテリのプラス側に流れるいわゆるハイサイド電流を測定するものではなかった。従来のバッテリ状態検知センサでは、バッテリのハイサイド電流を測定することができないといった問題があった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、自動車に搭載される電源系のハイサイド電流を検出して発電電流、負荷電流、及びバッテリ収支電流の測定値を出力する電流監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電流監視装置の第1の態様は、バッテリ及び発電機から電装負荷に電力を供給する自動車用電源系のハイサイド電流を測定する電流監視装置であって、前記発電機の出力側に接続されて前記発電機のハイサイド電流を通電させる第1のシャント抵抗と、前記電装負荷の前記発電機側に接続されて前記電装負荷のハイサイド電流を通電させる第2のシャント抵抗と、前記第1のシャント抵抗の両端の電圧を入力して前記第1のシャント抵抗による電圧降下を測定して増幅する第1のハイサイド電流センスアンプと、前記第2のシャント抵抗の両端の電圧を入力して前記第2のシャント抵抗による電圧降下を測定して増幅する第2のハイサイド電流センスアンプと、前記第1のハイサイド電流センスアンプの出力および前記第2のハイサイド電流センスアンプの出力を入力して前記バッテリに入出力されるバッテリ収支電流の測定値を出力する収支電流測定部と、前記第2のハイサイド電流センスアンプの出力を入力して前記電装負荷に供給される負荷電流の測定値を出力する負荷電流測定部と、前記収支電流測定部および前記負荷電流測定部からそれぞれ前記バッテリ収支電流測定値及び前記負荷電流測定値を入力して前記発電機の発電電流測定値を出力する発電電流測定部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の電流監視装置の他の態様は、バッテリ及び発電機から電装負荷に電力を供給する自動車用電源系のハイサイド電流を測定する電流監視装置であって、前記発電機の出力側に接続されて前記発電機のハイサイド電流を通電させる第1のシャント抵抗と、前記電装負荷の前記発電機側に接続されて前記電装負荷のハイサイド電流を通電させる第2のシャント抵抗と、前記第1のシャント抵抗の両端の電圧を入力して前記第1のシャント抵抗による電圧降下を測定して増幅する第1のハイサイド電流センスアンプと、前記第2のシャント抵抗の両端の電圧を入力して前記第2のシャント抵抗による電圧降下を測定して増幅する第2のハイサイド電流センスアンプと、前記第1のハイサイド電流センスアンプの出力および前記第2のハイサイド電流センスアンプの出力を入力して前記バッテリに入出力されるバッテリ収支電流の測定値を出力する収支電流測定部と、前記第1のハイサイド電流センスアンプの出力を入力して前記発電機の発電電流測定値を出力する発電電流測定部と、前記収支電流測定部および前記発電電流測定部からそれぞれ前記バッテリ収支電流測定値及び前記発電電流測定値を入力して前記電装負荷に供給される負荷電流測定値を出力する負荷電流測定部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の電流監視装置の他の態様は、前記収支電流測定部は、前記第1のハイサイド電流センスアンプの出力および前記第2のハイサイド電流センスアンプの出力をそれぞれ非反転入力端子および反転入力端子に入力してバッテリ収支電流相当信号を出力する第1の差動増幅回路と、前記第1の差動増幅回路から前記バッテリ収支電流相当信号を入力してデジタル値の前記バッテリ収支電流測定値を出力する第1のアナログーデジタル変換器と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の電流監視装置の他の態様は、前記負荷電流測定部は、前記第2のハイサイド電流センスアンプの出力を非反転入力端子に入力する第2の差動増幅回路と、ベースが前記第2の差動増幅回路の出力側に接続され、コレクタが第1の抵抗を介して所定電圧の電源に接続され、エミッタが第2の抵抗を介して接地されているトランジスタと、一端が前記トランジスタのコレクタ側に接続され、他端が前記トランジスタのエミッタ側に接続されている第3の抵抗と、を備え、前記トランジスタのコレクタ側電圧から前記負荷電流測定値を求めて出力することを特徴とする。
【0011】
本発明の電流監視装置の他の態様は、前記負荷電流測定部は、前記第2のハイサイド電流センスアンプの出力を非反転入力端子に入力して負荷電流相当信号を出力する第2の差動増幅回路と、前記第2の差動増幅回路から前記負荷電流相当信号を入力してデジタル値の前記負荷電流測定値を出力する第2のアナログーデジタル変換器と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の電流監視装置の他の態様は、前記発電電流測定部は、前記第1のハイサイド電流センスアンプの出力を非反転入力端子に入力する第3の差動増幅回路と、ベースが前記第3の差動増幅回路の出力側に接続され、コレクタが第1の抵抗を介して所定電圧の電源に接続され、エミッタが第2の抵抗を介して接地されているトランジスタと、一端が前記トランジスタのコレクタ側に接続され、他端が前記トランジスタのエミッタ側に接続されている第3の抵抗と、を備え、前記トランジスタのコレクタ側電圧から前記発電電流測定値を求めて出力することを特徴とする。
【0013】
本発明の電流監視装置の他の態様は、前記発電電流測定部は、前記第1のハイサイド電流センスアンプの出力を非反転入力端子に入力して発電電流相当信号を出力する第2の差動増幅回路と、前記第2の差動増幅回路から前記発電電流相当信号を入力してデジタル値の前記発電電流測定値を出力する第2のアナログーデジタル変換器と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、自動車に搭載される電源系のハイサイド電流を検出して発電電流、負荷電流、及びバッテリ収支電流の測定値を出力する電流監視装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態の電流監視装置を備える自動車の電源系の一構成例を示すブロック図である。
【図2】第2の実施形態の電流監視装置を備える自動車の電源系の一構成例を示すブロック図である。
【図3】第3の実施形態の電流監視装置を備える自動車の電源系の一構成例を示すブロック図である。
【図4】第4の実施形態の電流監視装置を備える自動車の電源系の一構成例を示すブロック図である。
【図5】シャント抵抗の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好ましい実施の形態における電流監視装置の構成について、図面を参照して以下に詳細に説明する。なお、同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。
【0017】
(第1実施形態)
本発明の第1の実施の形態に係る電流監視装置を、図1を用いて説明する。図1は、第1の実施形態の電流監視装置100を備える自動車の電源系の一構成例を示すブロック図である。自動車には、電源としてバッテリ1と発電機(オルタネータ)2が搭載されており、これらの電源から電装負荷3に電源が供給されている。本実施形態の電流監視装置100では、発電機2による発電電流を測定するためにシャント抵抗110を設け、電装負荷3に供給される負荷電流を測定するためにシャント抵抗120を設けている。そして、それぞれのシャント抵抗110、120に流れる電流によって生じる電圧降下を検出して増幅するために、それぞれの両端の電圧を入力するハイサイド電流センスアンプ111、121を設けている。
【0018】
ハイサイド電流センスアンプ111からの出力は、収支電流測定部130に入力される。また、ハイサイド電流センスアンプ121からの出力は、分岐されて収支電流測定部130と負荷電流測定部140に入力される。
【0019】
収支電流測定部130は、差動増幅回路(オペアンプ)131とアナログーデジタル変換器132を内蔵したマイクロコントローラで構成されている。ハイサイド電流センスアンプ111、121からの出力は、差動増幅回路131のそれぞれ非反転入力端子(+側)、反転入力端子(−側)に入力され、ここで発電電流と負荷電流との差分が演算されて出力される。差動増幅回路131から出力される発電電流と負荷電流との差分は、バッテリに流れる電流となることから、差動増幅回路131からバッテリ収支電流の測定値が出力されることになる。
【0020】
差動増幅回路131から出力されるバッテリ収支電流測定値は、アナログーデジタル変換器132に入力され、ここでアナログ値からデジタル値に変換される。これにより、本実施形態の電流監視装置100は、バッテリ収支電流の測定値をデジタル値として出力することができる。
【0021】
負荷電流測定部140は、オペアンプ141、トランジスタ142、電源143、出力部144、及び抵抗R1、R2、R3を備えている。負荷電流測定部140に入力されたハイサイド電流センスアンプ121の出力は、オペアンプ141の非反転入力端子に入力される。また、オペアンプ141の出力側は、トランジスタ142のベース142Bに接続されている。
【0022】
オペアンプ141は、入力インピーダンスが非常に大きいため、ハイサイド電流センスアンプ121の出力を分岐して入力してもほとんど電流が流れないため、収支電流測定部130側への入力に影響を与えることはない。すなわち、オペアンプ141は、収支電流測定部130側への影響を低減するためのバッファとなっている。これにより、収支電流測定部130から出力されるバッテリ収支電流測定値の精度が低下しないようにしている。
【0023】
トランジスタ142のコレクタ142C側には、抵抗R1を介して電源143が接続されている。また、トランジスタ142のエミッタ142E側は、抵抗R3を介して接地されるとともに、オペアンプ141の反転入力端子にも接続されている。さらに、トランジスタ142および抵抗R3と並列に、一端がトランジスタ142のコレクタ142C側に接続され他端が接地された抵抗R2が接続されている。
【0024】
オペアンプ141の非反転入力側電圧、すなわちハイサイド電流センスアンプ121の出力をV1としたとき、負荷電流の大きさに対応して電圧V1が変化し、これによりトランジスタ142のベース−エミッタ間電圧が変化してコレクタ−エミッタ間に流れる電流I1が変化する。オペアンプ141の反転入力端子にトランジスタ142のエミッタ142E側電圧を入力していることから、トランジスタ142は、ハイサイド電流センスアンプ121の出力電圧V1に比例した電流I1をコレクタ−エミッタ間に流す。エミッタ142Eが抵抗R3を介して接地されていることから、I1=V1/R3が成立する。これより、電流I1は負荷電流の大きさに対応して変化する。
【0025】
抵抗R1に流れる電流をI3とし、抵抗R2に流れる電流をI2としたとき、I3=I1+I2が成り立つ。また、電装負荷3に電流が供給されていない無負荷時には、電圧V1及び電流I1がゼロとなり、I3=I2=Vcc/(R1+R2)となる。本実施形態の負荷電流測定部140は、負荷電流の変化に対応して電流I3が変化するのを抵抗R1における電圧変化として測定しており、電源143から抵抗R1に電流I3が流れることによる電圧降下で電源143の電圧Vccから低下した電圧を出力部(OUT)144に出力している。
【0026】
出力部144に出力される電圧をVoutとすると、
Vout=Vcc−I3・R1 (1)
が成り立つともに、
Vout=I2・R2 (2)
が成り立つ。
【0027】
I3=I1+I2、および式(2)から求まるI2=Vout/R2を式(1)に代入することにより、電流I1の算出式が次のように求まる。
I1=(Vcc−Vout)/R1−Vout/R2 (3)
これより、電圧V1は
V1=I1・R3
=(Vcc−Vout)・(R3/R1)−Vout・(R3/R2) (4)
で与えられる。
【0028】
電圧V1は負荷電流の大きさに対応していることから、上式の関係式より、電圧Voutを測定することで電圧V1、すなわち負荷電流測定値を求めることができる。出力部144に出力される電圧Voutは、電源143の電圧Vccおよび抵抗R1、R2、R3のそれぞれの抵抗値を変更することで調整可能である。
【0029】
上記のように構成された本実施形態の電流監視装置100では、発電機2のハイサイド電流の測定を可能とするために、シャント抵抗110、120の両端の電圧を入力するハイサイド電流センスアンプ111、121が、発電機2の出力電圧以上の電圧に対応可能であることが要求される。すなわち、発電機2の出力電圧を例えば12Vとすると、ハイサイド電流センスアンプ111、121として、入力電圧範囲が12V以上のものを用いる必要がある。このように、ハイサイド電流センスアンプ111、121として、発電機2の出力電圧以上の入力電圧範囲を有するものを用いることにより、収支電流測定部130および負荷電流測定部140は、ハイサイド電流によらず適宜選択して用いることができる。但し、ハイサイド電流センスアンプ111、121の出力が、それぞれ収支電流測定部130および負荷電流測定部140の入力電圧範囲を超えないように、それぞれの増倍率を設定する必要がある。
【0030】
上記説明のように、本実施形態の電流監視装置100によれば、収支電流測定部130からバッテリ収支電流の測定値を出力し、負荷電流測定部140から負荷電流の測定値を出力することができる。さらに、発電電流測定部150は、バッテリ収支電流測定値と負荷電流測定値を加算することで、発電電流の測定値を出力することができる。これにより、一つの装置で発電電流、負荷電流、及びバッテリ収支電流を測定可能な電流監視装置を提供することが可能となる。本実施形態では、バッテリ収支電流の測定値をデジタル出力し、負荷電流の測定値をアナログ出力している。
【0031】
(第2実施形態)
本発明の第2の実施の形態に係る電流監視装置を、図2を用いて説明する。図2は、第2の実施形態の電流監視装置200を備える自動車の電源系の一構成例を示すブロック図である。本実施形態では、第1の実施形態のトランジスタ142に代えて、アナログーデジタル変換器242を用いて負荷電流測定部240を構成している。すなわち、オペアンプ141の出力がアナログーデジタル変換器242に入力され、アナログーデジタル変換器242においてオペアンプ141の出力を用いて電圧V1に対応する負荷電流測定値を求めて出力するように構成している。
【0032】
本実施形態の負荷電流測定部240では、オペアンプ141の出力を反転入力端子に入力させるようにしたボルテージフォロア接続の構成としており、これにより収支電流測定部130におけるバッテリ収支電流の測定精度を低下させることなく、オペアンプ141の出力が入力電圧V1に等しくなるようにしている。これにより、アナログーデジタル変換器242は電圧V1を直接入力して負荷電流測定値を求めることができる。
【0033】
本実施形態の電流監視装置200によれば、収支電流測定部130からバッテリ収支電流の測定値を出力し、負荷電流測定部240から負荷電流の測定値を出力することができる。さらに、発電電流測定部150は、バッテリ収支電流の測定値と負荷電流の測定値を加算することで、発電電流の測定値を出力することができる。これにより、一つの装置で発電電流、負荷電流、及びバッテリ収支電流を測定可能な電流監視装置を提供することが可能となる。本実施形態では、バッテリ収支電流の測定値および負荷電流の測定値を、ともにデジタル出力している。
【0034】
(第3実施形態)
本発明の第3の実施の形態に係る電流監視装置を、図3を用いて説明する。図3は、第3の実施形態の電流監視装置300を備える自動車の電源系の一構成例を示すブロック図である。上記実施形態の電流監視装置100または200では、バッテリ収支電流を測定する収支電流測定部130と、負荷電流を測定する負荷電流測定部140または240が、ハイサイド電流センスアンプ111、121からの出力を入力してそれぞれの測定値を出力する構成としていた。これに対し本実施形態の電流監視装置300では、バッテリ収支電流を測定する収支電流測定部130と、発電電流を測定する発電電流測定部350とが、ハイサイド電流センスアンプ111、121からの出力を入力してそれぞれの測定値を出力する構成としている。
【0035】
本実施形態の発電電流測定部350は、第1の実施形態の負荷電流測定部140と同様の構成を有しており、オペアンプ351、トランジスタ352、電源353、出力部354、及び抵抗R31、R32、R33を備えている。本実施形態の発電電流測定部350でも、発電電流の変化に対応して抵抗R31に流れる電流の変化を電圧変化として測定し、これを出力部354に出力している。出力部354からの出力を用いて、発電電流の測定値を求めることができる。
【0036】
本実施形態の電流監視装置300によれば、収支電流測定部130からバッテリ収支電流の測定値を出力し、発電電流測定部350から発電電流の測定値を出力することができる。さらに、負荷電流測定部340は、バッテリ収支電流の測定値と発電電流の測定値から負荷電流の測定値を算出することができる。これにより、一つの装置で発電電流、負荷電流、及びバッテリ収支電流を測定可能な電流監視装置を提供することが可能となる。本実施形態では、バッテリ収支電流の測定値をデジタル出力し、発電電流の測定値をアナログ出力している。
【0037】
(第4実施形態)
本発明の第4の実施の形態に係る電流監視装置を、図4を用いて説明する。図4は、第4の実施形態の電流監視装置400を備える自動車の電源系の一構成例を示すブロック図である。本実施形態では、第2の実施形態と同様に、第3の実施形態のトランジスタ352に代えて、アナログーデジタル変換器452を用いて発電電流測定部450を構成している。すなわち、オペアンプ351の出力がアナログーデジタル変換器452に入力され、アナログーデジタル変換器452においてオペアンプ351の出力を用いて電圧V1に対応する発電電流測定値を求めて出力するように構成している。本実施形態でも、オペアンプ351をボルテージフォロア接続の構成としている。
【0038】
本実施形態の電流監視装置400によれば、収支電流測定部130からバッテリ収支電流の測定値を出力し、発電電流測定部450から発電電流の測定値を出力することができる。さらに、負荷電流測定部340は、バッテリ収支電流の測定値と発電電流の測定値から負荷電流の測定値を出力することができる。これにより、一つの装置で発電電流、負荷電流、及びバッテリ収支電流を測定可能な電流監視装置を提供することが可能となる。本実施形態では、バッテリ収支電流の測定値および負荷電流の測定値を、ともにデジタル出力している。
【0039】
上記の第1〜第4実施形態では、シャント抵抗110、120としてそれぞれ別個体のものを用いる必要はなく、例えば図5に示すような二又形状のものを用いることができる。図5に示すシャント抵抗4は、所定の抵抗値を有する抵抗体5、6と、抵抗体の両端にバスバー7、8、9を溶接したもので構成されている。バスバー7、8、9には、それぞれバッテリ接続端子7a、発電機接続端子8a、電装負荷接続端子9aが設けられている。図1〜4に示すように、それぞれの端子にバッテリ1、発電機2、電装負荷3を接続することで、1つのシャント抵抗4を用いて電流監視装置を構成することが可能となる。
【0040】
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る電流監視装置の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における電流監視装置の細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 バッテリ
2 発電機
3 電装負荷
4、110、120 シャント抵抗
5、6 抵抗体
7、8、9 バスバー
100、200、300、400 電流監視装置
111、121 ハイサイド電流センスアンプ
130 収支電流測定部
131、141、351 差動増幅回路(オペアンプ)
132、242、452 アナログーデジタル変換器
140、240、340 負荷電流測定部
142、352 トランジスタ
143、353 電源
144、354 出力部
150、350、450 発電電流測定部
R1、R2、R3、R31、R32、R33 抵抗


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ及び発電機から電装負荷に電力を供給する自動車用電源系のハイサイド電流を測定する電流監視装置であって、
前記発電機の出力側に接続されて前記発電機のハイサイド電流を通電させる第1のシャント抵抗と、
前記電装負荷の前記発電機側に接続されて前記電装負荷のハイサイド電流を通電させる第2のシャント抵抗と、
前記第1のシャント抵抗の両端の電圧を入力して前記第1のシャント抵抗による電圧降下を測定して増幅する第1のハイサイド電流センスアンプと、
前記第2のシャント抵抗の両端の電圧を入力して前記第2のシャント抵抗による電圧降下を測定して増幅する第2のハイサイド電流センスアンプと、
前記第1のハイサイド電流センスアンプの出力および前記第2のハイサイド電流センスアンプの出力を入力して前記バッテリに入出力されるバッテリ収支電流の測定値を出力する収支電流測定部と、
前記第2のハイサイド電流センスアンプの出力を入力して前記電装負荷に供給される負荷電流の測定値を出力する負荷電流測定部と、
前記収支電流測定部および前記負荷電流測定部からそれぞれ前記バッテリ収支電流測定値及び前記負荷電流測定値を入力して前記発電機の発電電流測定値を出力する発電電流測定部と、を備える
ことを特徴とする電流監視装置。
【請求項2】
バッテリ及び発電機から電装負荷に電力を供給する自動車用電源系のハイサイド電流を測定する電流監視装置であって、
前記発電機の出力側に接続されて前記発電機のハイサイド電流を通電させる第1のシャント抵抗と、
前記電装負荷の前記発電機側に接続されて前記電装負荷のハイサイド電流を通電させる第2のシャント抵抗と、
前記第1のシャント抵抗の両端の電圧を入力して前記第1のシャント抵抗による電圧降下を測定して増幅する第1のハイサイド電流センスアンプと、
前記第2のシャント抵抗の両端の電圧を入力して前記第2のシャント抵抗による電圧降下を測定して増幅する第2のハイサイド電流センスアンプと、
前記第1のハイサイド電流センスアンプの出力および前記第2のハイサイド電流センスアンプの出力を入力して前記バッテリに入出力されるバッテリ収支電流の測定値を出力する収支電流測定部と、
前記第1のハイサイド電流センスアンプの出力を入力して前記発電機の発電電流測定値を出力する発電電流測定部と、
前記収支電流測定部および前記発電電流測定部からそれぞれ前記バッテリ収支電流測定値及び前記発電電流測定値を入力して前記電装負荷に供給される負荷電流測定値を出力する負荷電流測定部と、を備える
ことを特徴とする電流監視装置。
【請求項3】
前記収支電流測定部は、
前記第1のハイサイド電流センスアンプの出力および前記第2のハイサイド電流センスアンプの出力をそれぞれ非反転入力端子および反転入力端子に入力してバッテリ収支電流相当信号を出力する第1の差動増幅回路と、
前記第1の差動増幅回路から前記バッテリ収支電流相当信号を入力してデジタル値の前記バッテリ収支電流測定値を出力する第1のアナログーデジタル変換器と、を備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電流監視装置。
【請求項4】
前記負荷電流測定部は、
前記第2のハイサイド電流センスアンプの出力を非反転入力端子に入力する第2の差動増幅回路と、
ベースが前記第2の差動増幅回路の出力側に接続され、コレクタが第1の抵抗を介して所定電圧の電源に接続され、エミッタが第2の抵抗を介して接地されているトランジスタと、
一端が前記トランジスタのコレクタ側に接続され、他端が前記トランジスタのエミッタ側に接続されている第3の抵抗と、を備え、
前記トランジスタのコレクタ側電圧から前記負荷電流測定値を求めて出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の電流監視装置。
【請求項5】
前記負荷電流測定部は、
前記第2のハイサイド電流センスアンプの出力を非反転入力端子に入力して負荷電流相当信号を出力する第2の差動増幅回路と、
前記第2の差動増幅回路から前記負荷電流相当信号を入力してデジタル値の前記負荷電流測定値を出力する第2のアナログーデジタル変換器と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の電流監視装置。
【請求項6】
前記発電電流測定部は、
前記第1のハイサイド電流センスアンプの出力を非反転入力端子に入力する第3の差動増幅回路と、
ベースが前記第3の差動増幅回路の出力側に接続され、コレクタが第1の抵抗を介して所定電圧の電源に接続され、エミッタが第2の抵抗を介して接地されているトランジスタと、
一端が前記トランジスタのコレクタ側に接続され、他端が前記トランジスタのエミッタ側に接続されている第3の抵抗と、を備え、
前記トランジスタのコレクタ側電圧から前記発電電流測定値を求めて出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の電流監視装置。
【請求項7】
前記発電電流測定部は、
前記第1のハイサイド電流センスアンプの出力を非反転入力端子に入力して発電電流相当信号を出力する第2の差動増幅回路と、
前記第2の差動増幅回路から前記発電電流相当信号を入力してデジタル値の前記発電電流測定値を出力する第2のアナログーデジタル変換器と、を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の電流監視装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−53095(P2011−53095A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202553(P2009−202553)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】