説明

電源システム

【課題】電力系統からの電力供給が停止された場合であっても、負荷への電力供給を継続的に行うこと。
【解決手段】実施形態に係る電源システムは、蓄電池と、蓄電池と、インバータ装置と、DC/DCコンバータと、制御装置とを備える。インバータ装置は、入力側に発電装置および電力系統が接続され、出力側に負荷が接続される。DC/DCコンバータは、一方にインバータ装置のコンバータ部が接続され、他方に蓄電池が接続される。制御装置は、電力系統からの電力供給が停止する前に生成される切替指令を取得した場合に、DC/DCコンバータを制御して、蓄電池の電力をインバータ装置へ供給させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力系統から供給される電力に加え、太陽光発電装置等の発電装置によって発電される電力や蓄電池に蓄えられた電力を併用して負荷への電力供給を行う電源システムが開発されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、太陽光発電装置の発電量と負荷の消費電力量とに基づいて、電力系統および蓄電池が負荷に対して供給する電力を制御する電源システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−083082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような電源システムにおいては、電力系統からの電力供給が停止された場合であっても、負荷への電力供給を継続的に行うことが望ましい。
【0006】
実施形態の一態様は、電力系統からの電力供給が停止された場合であっても、負荷への電力供給を継続的に行うことのできる電源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る電源システムは、蓄電池と、インバータ装置と、DC/DCコンバータと、制御装置とを備える。インバータ装置は、入力側に発電装置および電力系統が接続され、出力側に負荷が接続される。DC/DCコンバータは、一方にインバータ装置のコンバータ部が接続され、他方に蓄電池が接続される。制御装置は、電力系統からの電力供給が停止する前に生成される切替指令を取得した場合に、DC/DCコンバータを制御して、蓄電池の電力をインバータ装置へ供給させる。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、電力系統からの電力供給が停止された場合であっても、負荷への電力供給を継続的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る電源システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、情報記憶部に記憶される停止情報および復旧情報の一例を示す図である。
【図3】図3は、インバータ装置およびDC/DCコンバータの回路構成の一例を示す図である。
【図4】図4は、充放電制御部およびDC/DCコンバータの具体的な構成の一例を示す図である。
【図5】図5は、電力指令生成処理の説明図である。
【図6】図6は、電源システムの動作例を示す図である。
【図7】図7は、制御装置が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する電源システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
(第1の実施形態)
[1.電源システムの構成]
まず、第1の実施形態に係る電源システムの構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る電源システムの構成を示すブロック図である。なお、図1では、電源システムの特徴を説明するために必要な構成要素を示しており、一般的な構成要素についての記載を適宜省略している。
【0012】
図1に示すように、電源システム100は、電力系統1と、太陽光発電装置2と、蓄電池3と、インバータ装置4と、DC/DCコンバータ5と、制御装置6と、操作パネル7と、日射計8と、負荷9と、スイッチ11,12とを含んで構成される。なお、電源システム100は、少なくとも蓄電池3と、インバータ装置4と、DC/DCコンバータ5と、制御装置6とを備えていればよい。
【0013】
電力系統1は、たとえば電力会社から供給される商用交流電源である。太陽光発電装置2は、太陽光エネルギーを電力へ変換する発電装置である。太陽光発電装置2は、ソーラパネル21と、インバータ部22とを備える。
【0014】
ソーラパネル21は、光起電力効果を利用して、光エネルギーを電力へ変換する電力機器である。ソーラパネル21によって生成された直流電力は、インバータ部22へ出力される。インバータ部22は、ソーラパネル21から入力される直流電力を交流電力へ変換する。インバータ部22としては、たとえば一般的なパワーコンディショナーを適用する。
【0015】
太陽光発電装置2は、最大電力追従制御により発電し、発電した電力をインバータ装置4へ出力する。なお、ここでは、太陽光発電装置2が交流電力を出力する場合の例について示したが、太陽光発電装置は、直流電力を出力する構成であってもよい。かかる場合には、後述するインバータ装置4のコンバータ部41の出力側に太陽光発電装置を接続すればよい。
【0016】
蓄電池3は、充放電可能な電池である。インバータ装置4は、電力系統1や太陽光発電装置2から供給される電力を、所定周波数の交流電力へ変換して負荷9へ供給する装置である。具体的には、インバータ装置4は、コンバータ部41とインバータ部42とを備える。
【0017】
コンバータ部41は、電力系統1および太陽光発電装置2に対して入力側が接続され、電力系統1や太陽光発電装置2から入力される交流電力を直流電力へ変換する。コンバータ部41によって生成される直流電力は、インバータ部42へ出力される。
【0018】
インバータ部42は、入力側にコンバータ部41の出力側が接続され、出力側に負荷9が接続される。かかるインバータ部42は、コンバータ部41から入力される直流電力を交流電力へ変換して負荷9へ供給する。
【0019】
DC/DCコンバータ5は、一方にコンバータ部41の出力側が接続され、他方に蓄電池3が接続される。DC/DCコンバータ5は、コンバータ部41からの直流電力を蓄電池3へ供給する処理(すなわち、充電処理)および蓄電池3からの直流電力をインバータ部42へ供給する処理(すなわち、放電処理)を行う。
【0020】
制御装置6は、DC/DCコンバータ5の動作を制御することによって、蓄電池3の充放電を制御する制御装置である。
【0021】
操作パネル7は、ユーザの入力操作を受け付ける入力デバイスであり、制御装置6に接続される。日射計8は、たとえばソーラパネル21の近傍に設置され、ソーラパネル21周辺の日射量を計測する。日射計8によって計測された日射量は、制御装置6へ入力される。負荷9は、インバータ装置4から供給される交流電力を消費するものであり、たとえば家電製品などである。
【0022】
スイッチ11は、電力系統1からの電力供給のオン/オフを切り替えるスイッチである。また、スイッチ12は、太陽光発電装置2からの電力供給のオン/オフを切り替えるスイッチである。スイッチ11,12のオン/オフは制御装置6によって制御される。
【0023】
第1の実施形態に係る電源システム100は、動作モードとして「通常動作モード」および「計画停電動作モード」を備える。ここで、「通常動作モード」における電源システム100の動作について説明する。
【0024】
「通常動作モード」において、電源システム100は、電力系統1および太陽光発電装置2の協調運転により、負荷9への電力供給を行う。
【0025】
具体的には、電源システム100は、太陽光発電装置2によって発電される電力をメイン電力として負荷9へ供給する。このとき、電源システム100は、太陽光発電装置2によって発電される電力が負荷9の消費電力を下回っている場合、不足分の電力を電力系統1から供給される電力によって賄う。
【0026】
また、電源システム100は、太陽光発電装置2によって発電される電力が負荷9の消費電力を上回っている場合には、余剰電力をDC/DCコンバータ5経由で蓄電池3へ供給し、これによって蓄電池3を充電する。
【0027】
このように、「通常動作モード」では、主として太陽光発電装置2によって発電される電力を使用しつつ、不足分を電力系統1からの供給電力を用いて補ったり、余剰分を蓄電池3へ蓄えたりする。
【0028】
つづいて、「計画停電動作モード」における電源システム100の動作について説明する。「計画停電動作モード」において、電源システム100は、蓄電池3と太陽光発電装置2との協調運転を行うことによって負荷9への電力供給を行う。具体的には、電源システム100は、太陽光発電装置2によって発電される電力が負荷9の消費電力を下回っている場合には、不足分の電力を蓄電池3に蓄えられた電力によって賄う。
【0029】
このように、「計画停電動作モード」では、主として太陽光発電装置2によって発電される電力を使用しつつ、不足分の電力を蓄電池3からの供給電力を用いて補うことで、電力系統1からの電力供給が絶たれた場合であっても、負荷9への電力供給を行うことができる。なお、「計画停電動作モード」においては、「通常動作モード」と同様に、余剰分を蓄電池3へ蓄える動作も行われる。「計画停電動作モード」の詳細については、図6を用いて後述する。
【0030】
ところで、たとえば計画停電のように、電力系統1からの電力供給が停止する時刻が予め判明している場合には、電力系統1からの電力供給が停止する時刻が到来した時点で蓄電池3の放電を開始させることで、負荷9への電力供給を継続させることが考えられる。
【0031】
しかしながら、停電開始時刻が到来した時点で蓄電池3の放電を開始させたとしても、DC/DCコンバータ5の応答速度の限界によって、蓄電池3からの電力が実際に負荷9へ供給されるまでに若干のタイムラグが生じる。このようなタイムラグが生じると、負荷9への電力供給が瞬間的に低下または途絶する可能性がある。応答速度の速いDC/DCコンバータを用いることによって無停電状態に近づけることも考えられるが、設備費用が嵩むため好ましくない。
【0032】
そこで、電源システム100は、停電開始時刻が到来する所定時間前に、「計画停電動作モード」へ移行するための準備を行う。すなわち、電源システム100は、停電開始時刻が到来するよりも前に、蓄電池3から負荷9へ電力が供給される状態へ移行しておく。これにより、無停電状態を容易に実現することができる。
【0033】
具体的には、電源システム100は、「通常動作モード」から「計画停電動作モード」へ移行するための「停止移行モード」と、「計画停電動作モード」から「通常動作モード」へ移行するための「復旧移行モード」とを備える。以下では、これら「停止移行モード」、「復旧移行モード」および「計画停電動作モード」における電源システム100の動作について具体的に説明する。
【0034】
[2.制御装置6の構成]
制御装置6は、電力系統1からの電力供給が停止する前に生成される切替指令を取得した場合に、DC/DCコンバータ5を制御して、蓄電池3の電力をインバータ装置4へ供給させる。図1に示すように、制御装置6は、情報取得部61と、情報記憶部62と、指令出力部63と、充放電制御部64とを備える。
【0035】
情報取得部61は、計画停電などによって電力系統1からの電力供給が停止する時刻(以下、「計画停電開始時刻」と記載する)を示す停止情報と、電力系統1からの電力供給が復旧する時刻(以下、「計画停電復旧時刻」と記載する)を示す復旧情報とを取得する。
【0036】
停止情報および復旧情報は、たとえば操作パネル7から入力される。すなわち、ユーザは、操作パネル7を操作することによって計画停電開始時刻および計画停電復旧時刻を制御装置6へ設定することができる。なお、情報取得部61は、図示しないサーバ装置などからインターネットといった通信網を介して停止情報および復旧情報を取得してもよい。
【0037】
情報取得部61は、停止情報および復旧情報を取得すると、取得した停止情報および復旧情報を情報記憶部62へ記憶する。このように、情報取得部61は、「停止情報取得部」および「復旧情報取得部」の一例として機能する。
【0038】
情報記憶部62は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスであり、停止情報および復旧情報を記憶する。ここで、情報記憶部62に記憶される停止情報および復旧情報の内容について図2を用いて説明する。図2は、情報記憶部62に記憶される停止情報および復旧情報の一例を示す図である。
【0039】
図2に示すように、停止情報は、「日時」項目に対して「計画停電開始時刻」項目を関連付けた情報である。また、復旧情報は、「日時」項目に対して「計画停電復旧時刻」項目を関連付けた情報である。
【0040】
図2に示す例では、日時「2011/11/26」に対して、計画停電開始時刻「21:00」および計画停電復旧時刻「23:00」がそれぞれ関連付けられている。これは、2011年11月26日の21時から23時までの期間において計画停電が行われることを示している。このように、情報記憶部62は、「停止情報記憶部」および「復旧情報記憶部」の一例である。
【0041】
図1に戻り、指令出力部63について説明する。指令出力部63は、情報記憶部62に記憶された停止情報に基づき、計画停電開始時刻よりも所定時間前のタイミングである切替タイミングを検出し、検出した切替タイミングで切替指令を充放電制御部64へ出力する処理部である。
【0042】
また、指令出力部63は、情報記憶部62に記憶された復旧情報に基づき、計画停電復旧時刻よりも所定時間前のタイミングである復旧タイミングを検出し、検出した復旧タイミングで復旧指令を充放電制御部64へ出力する処理部でもある。
【0043】
このように、指令出力部63は、「切替指令出力部」および「復旧指令出力部」の一例として機能する。なお、切替指令および復旧指令の出力タイミングについては、図6を用いて具体的に説明する。
【0044】
充放電制御部64は、指令出力部63から出力された切替指令を取得した場合に、DC/DCコンバータ5を制御して、蓄電池3の電力をインバータ装置4へ供給させる処理部である。
【0045】
既に説明したように、切替指令は、計画停電開始時刻よりも所定時間前のタイミングで出力される。したがって、充放電制御部64は、計画停電開始時刻よりも前のタイミングで、DC/DCコンバータ5の制御を行う。これにより、負荷9は、計画停電が開始される前から蓄電池3の電力が供給されることとなる。
【0046】
このため、電力系統1からの電力供給が停止された場合であっても、負荷9への供給電力が低下したり途絶したりするおそれがない。すなわち、応答速度の速いDC/DCコンバータを用いることなく、無停電状態を容易に実現することができる。
【0047】
なお、充放電制御部64は、指令出力部63から出力された復旧指令を取得した場合に、太陽光発電装置2からインバータ装置4への電力供給を停止させた後、蓄電池3からインバータ装置4への電力供給を停止させる処理も行う。かかる点については、後述する。このように、充放電制御部64は、「停電制御部」の一例として機能する。
【0048】
[3.インバータ装置4およびDC/DCコンバータ5の回路構成]
次に、インバータ装置4およびDC/DCコンバータ5の回路構成の一例について図3を用いて説明する。図3は、インバータ装置4およびDC/DCコンバータ5の回路構成の一例を示す図である。
【0049】
図3に示すように、コンバータ部41は、ダイオードD1〜D6と、電源突入防止用スイッチC1と、コンデンサC2と、抵抗器R1とを備える。かかるコンバータ部41は、入力される交流電圧をダイオードD1〜D6を用いて整流し、整流後の電圧をコンデンサC2を用いて平滑することによって直流電圧を生成する。なお、電源突入防止用スイッチC1としては、マグネットコンタクタを適用し、電源投入時に電流を抵抗器R1に流すように構成されている。
【0050】
インバータ部42は、制御装置6によってオン/オフが制御されるスイッチング素子SW1〜SW6を備える。かかるインバータ部42は、スイッチング素子SW1〜SW6のオン/オフが制御されることによって、コンバータ部41の直流電圧を交流電圧へ変換して負荷9へ出力する。スイッチング素子SW1〜SW6としては、たとえば、IGBTやMOSFETなどのパワー半導体素子を用いることができる。
【0051】
DC/DCコンバータ5は、スイッチング素子SW7,SW8を備え、制御装置6によってスイッチング素子SW7,SW8のオン/オフが制御され、蓄電池3とインバータ装置4との間で双方向の電圧変換を行う。
【0052】
たとえば、DC/DCコンバータ5は、蓄電池3からインバータ装置4への電圧変換を行う場合には、蓄電池3の電圧を昇圧してインバータ装置4へ出力する昇圧回路として動作する。また、DC/DCコンバータ5は、インバータ装置4から蓄電池3への電圧変換を行う場合には、インバータ装置4の直流電圧を降圧して蓄電池3へ降圧する降圧回路として動作する。スイッチング素子SW7,SW8としては、たとえば、IGBTやMOSFETなどのパワー半導体素子を用いることができる。
【0053】
なお、インバータ装置4およびDC/DCコンバータ5は、図3に示す構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0054】
[4.充放電制御部64およびDC/DCコンバータ5の具体的な構成]
次に、充放電制御部64およびDC/DCコンバータ5の具体的な構成について図4を用いて説明する。図4は、充放電制御部64およびDC/DCコンバータ5の具体的な構成の一例を示す図である。
【0055】
図4に示すように、充放電制御部64は、乗算部64aと、出力予測部64bと、負荷電力検出部64cと、減算部64dと、減算部64eと、スイッチ64fと、電力指令生成部64gとを備える。また、充放電制御部64は、放電規制部64hと、スイッチ64i,64jと、ソフトスタータ64kと、電流指令生成部64lとを備える。
【0056】
また、DC/DCコンバータ5は、減算部51と、リミッタ付電流制御部52と、減算部53と、リミッタ付電圧制御部54と、PWM制御部55とを備える。
【0057】
まず、充放電制御部64の構成について説明する。乗算部64aは、インバータ装置4とDC/DCコンバータ5との間で検出された電圧検出値および電流検出値を乗算する。また、乗算部64aは、かかる乗算結果を減算部64eへ出力する。
【0058】
出力予測部64bは、日射計8から入力されるソーラパネル21周辺の日射量を用いて太陽光発電装置2の予測発電量を算出する。出力予測部64bによって算出された太陽光発電装置2の予測発電量は、減算部64dへ出力される。
【0059】
負荷電力検出部64cは、インバータ装置4から負荷9に対して供給される電力を検出する。負荷電力検出部64cによって検出された負荷電力は、減算部64dへ出力される。具体的には、負荷電力検出部64cは、電力検出器を用いてもよいし、インバータ装置4と負荷9との間で検出された電流検出値とインバータ装置4の出力電圧とを乗算することによって、負荷電力を検出してもよい。なお、負荷電力検出部64cは、電圧検出器を用いて出力電圧を検出してもよいし、インバータ装置4の電圧指令を用いて出力電圧をしてもよいし、インバータ装置4の電力演算値を用いて出力電圧を検出してもよい。
【0060】
減算部64dは、負荷電力検出部64cから入力される負荷電力から、出力予測部64bから入力される太陽光発電装置2の予測発電量を減算する。減算部64dは、かかる減算結果を減算部64eへ出力する。
【0061】
減算部64eは、減算部64dから入力される減算結果から、乗算部64aから入力される乗算結果を減算する。また、減算部64eは、かかる減算結果を過不足電力値Pxとして電力指令生成部64gへ出力する。スイッチ64fは、出力予測部64bから減算部64dへの出力のオン/オフ状態を切り替えるスイッチである。
【0062】
電力指令生成部64gは、減算部64eから入力される過不足電力値Pxに応じた電力指令Pcを生成して出力する。ここで、電力指令生成部64gによる電力指令生成処理の内容について図5を用いて説明する。図5は、電力指令生成処理の説明図である。
【0063】
図5に示すように、電力指令生成部64gは、減算部64eから入力される過不足電力値Pxが0よりも大きい場合には、正の値の電力指令を出力し、過不足電力値Pxがb(<0)よりも小さい場合には、負の値の電力指令Pcを出力することになる。
【0064】
また、電力指令生成部64gは、過不足電力値Pxが0<Px≦aまたはc≦Px<bの範囲内である場合には、過不足電力値Pxに比例した大きさの電力指令Pcを出力する。すなわち、電力指令生成部64gは、過不足電力値Pxが0<Px≦aの範囲内である場合には、過不足電力値Pxが大きいほど大きい電力指令Pcを出力し、c≦Px<bの範囲内である場合には、過不足電力値Pxが小さいほど小さい電力指令Pcを出力する。
【0065】
このように、電力指令生成部64gは、蓄電池3の現在の電力供給量および太陽光発電装置2の発電量の総量が、負荷電力よりも少ない場合には、不足分の電力(すなわち、過不足電力値Px)に応じた正の値の電力指令Pcを出力する。また、電力指令生成部64gは、蓄電池3の現在の電力供給量および太陽光発電装置2の発電量の総量が、負荷電力よりも多い場合には、余剰分の電力(すなわち、過不足電力値Px)に応じた負の値の電力指令Pcを出力する。
【0066】
なお、電力指令生成部64gは、過不足電力値Pxがb≦Px≦0である場合には、電力指令として「0」を出力する。また、電力指令Pcには、たとえばDC/DCコンバータ5の性能に応じた上限値および下限値が設定される。すなわち、電力指令生成部64gは、過不足電力値Pxがaよりも大きい場合には、Px=aにおける電力指令Pcを出力し、過不足電力値Pxがcよりも小さい場合には、Px=cにおける電力指令Pcを出力する。
【0067】
このような電力指令生成処理が行われることにより、DC/DCコンバータ5は、図5に示すように、0<Px≦aの範囲では放電運転となり、c≦Px<bの範囲では充電運転となり、b≦Px≦0の範囲では運転休止状態となる。ここで、a、b、cの各値は、例えば、蓄電池3やDC/DCコンバータ5の容量などの能力によって決められる。
【0068】
図4に戻り、放電規制部64hについて説明する。放電規制部64hは、たとえばリミッタ回路であり、放電運転を行わせる電力指令Pcが入力された場合に、かかる電力指令Pcの出力を規制する(すなわち、電力指令Pcの出力を行わない)処理部である。
【0069】
スイッチ64iは、放電規制部64hとソフトスタータ64kとを接続する経路に設けられるスイッチである。また、スイッチ64jは、電力指令生成部64gとソフトスタータ64kとを接続する経路に設けられるスイッチである。
【0070】
ソフトスタータ64kは、入力される電力指令Pcの変化率を制限して出力する。ソフトスタータ64kは、DC/DCコンバータ5の容量などの能力に応じて必要により設けられる。ソフトスタータ64kから出力された電力指令Pcは、電流指令生成部64lへ入力される。
【0071】
電流指令生成部64lは、負荷電力検出部64cの検出結果に基づいて電流指令を生成する。すなわち、電流指令生成部64lは、ソフトスタータ64kから入力される電力指令Pcを、蓄電池3とDC/DCコンバータ5との間で検出された電圧検出値で除することによって電流指令を生成する。電流指令生成部64lによって生成された電流指令は、DC/DCコンバータ5の減算部51へ入力される。
【0072】
つづいて、DC/DCコンバータ5の構成について説明する。減算部51は、電流指令生成部64lから入力される電流指令から、蓄電池3とDC/DCコンバータ5との間で検出された電流検出値を減算する。減算部51による減算結果は、リミッタ付電流制御部52へ出力される。
【0073】
リミッタ付電流制御部52は、減算部51から入力される減算結果に基づいて、電圧指令を生成する。具体的には、リミッタ付電流制御部52は、電流検出値と電流指令との差分をPI制御して電圧指令を生成する。リミッタ付電流制御部52によって生成された電圧指令は、減算部53へ入力される。
【0074】
減算部53は、リミッタ付電流制御部52から入力される電圧指令から、インバータ装置4とDC/DCコンバータ5との間で検出された電圧検出値を減算する。減算部53による減算結果は、リミッタ付電圧制御部54へ入力される。
【0075】
リミッタ付電圧制御部54は、減算部53から入力される減算結果に基づいて、出力電圧指令を生成する。スイッチング素子SW3,SW4を駆動する駆動信号を生成する。リミッタ付電圧制御部54によって生成された出力電圧指令は、PWM制御部55へ入力される。
【0076】
なお、リミッタ付電圧制御部54は、減算部53から入力される減算結果が上限値を超える場合には、定電圧制御を行う。このように、リミッタ付電圧制御部54は、太陽光発電装置2の発電量や負荷で使用される電力の変動に応じてPWM制御部55を制御する。
【0077】
PWM制御部55は、リミッタ付電圧制御部54から入力される出力電圧指令をPWM制御してスイッチング素子SW3,SW4を駆動する駆動信号を生成し、かかる駆動信号に従ってスイッチング素子SW3,SW4を駆動させる。このように、リミッタ付電圧制御部54およびPWM制御部55は、DC/DCコンバータ5の一方の入出力端子の電圧と電圧指令との差分に基づいてスイッチング素子SW3,SW4を駆動する駆動信号を生成する「電圧制御部」の一例として機能する。
【0078】
「計画停電動作モード」においては、太陽光発電装置2がメインで負荷9への電力供給を行いつつ、不足分の電力を蓄電池3が補う。かかる場合、第1の実施形態に係る電源システム100のように、電圧制御ではなく電流制御によってDC/DCコンバータ5を制御することにより、負荷9への電力供給をより安定的に行うことができる。
【0079】
なお、天候が急変した場合には、太陽光発電装置2の発電量が急激に変化し、負荷電力と供給電力が大きく乖離するとリミッタ付電圧制御部54のリミッタが働き、結果的に定電圧制御が行われることとなる。
【0080】
[5.電源システム100の動作例]
次に、電源システム100の動作例について図6を用いて説明する。図6は、電源システム100の動作例を示す図である。
【0081】
ここで、図6には、時刻T1(たとえば、21時00分)に計画停電が開始され、時刻T2(たとえば、23時00分)に計画停電が終了する場合の例を示している。すなわち、電力系統1は、時刻T1以前および時刻T2以降においては稼動中であり、時刻T1から時刻T2間においては停止中であるものとする。
【0082】
また、図6では、負荷電力の変動を実線で、太陽光発電装置2から負荷9へ供給される電力の変動を一点鎖線で、蓄電池3から負荷9へ供給される電力の変動を破線で示している。図6では、蓄電池3から負荷9へ供給される電力の変動をt2〜t3の期間およびT2〜t8の期間についてのみ示しているが、実際には、蓄電池3の電力は、t2〜t8までの期間において供給される。また、蓄電池3は、満充電状態であるとする。
【0083】
図6に示すように、計画停電の開始時刻であるT1よりも所定時間前のタイミングであるt1よりも前において、電源システム100は、電力系統1と太陽光発電装置2との協調運転により負荷9への電力供給を行う。図6では太陽光発電装置2の発電量が負荷電力を下回り、不足分が電力系統1から賄われている例を示している。
【0084】
なお、タイミングt1よりも前においては、スイッチ11,12(図1参照)、スイッチ64f,64i(図4参照)がオンされた状態であり、スイッチ64jがオフされた状態となっている。タイミングt1よりも前における電源システム100の状態が「通常動作モード」に相当する。
【0085】
つづいて、タイミングt1が到来すると、電源システム100は、「停止移行モード」へ移行する。「停止移行モード」へ移行すると、電源システム100は、まず、タイミングt1において太陽光発電装置2から負荷9への電力供給を停止する。これにより、電源システム100は、電力系統1のみを用いて負荷9への電力供給を行う状態となる。
【0086】
つづいて、電源システム100は、計画停電開始時刻T1よりも前かつタイミングt1よりも後のタイミングt2において、蓄電池3の放電を開始させる。すなわち、電源システム100は、電力系統1と蓄電池3との協調運転を行う。
【0087】
このとき、蓄電池3からの供給電力は、充放電制御部64が備えるソフトスタータ64kの働きにより(図4参照)、t2からt3にかけて徐々に増加する。すなわち、負荷電力に対する蓄電池3の供給電力の割合(以下、「蓄電池3の負荷分担」と記載する)は、t2からt3の期間をかけて0%から100%へ徐々に増加する。
【0088】
このように、蓄電池3から負荷9への供給電力を徐々に増加させることで、急激に増加させる場合と比較して、不必要な電力変動を抑えるほか、DC/DCコンバータ5を必要以上に大きな容量とせずに済み、蓄電池3の寿命に与える影響を抑えることができる。なお、充放電制御部64は、必ずしもソフトスタータ64kを備える必要はない。
【0089】
また、電源システム100は、太陽光発電装置2から負荷9への電力供給を停止した後に、蓄電池3の放電を開始することとしたため、蓄電池3の負荷分担の制御を容易に行うことができる。
【0090】
タイミングt3に達すると、蓄電池3の負荷分担が100%となり、蓄電池3のみを用いて負荷9への電力供給を行う状態となる。この時点で、「計画停電動作モード」へ移行するための準備が完了したこととなり、電源システム100は、「停止移行モード」から「計画停電動作モード」へ移行する。
【0091】
このように、電源システム100は、計画停電開始時刻T1よりも前に「計画停電動作モード」へ移行する、すなわち、電力系統1を用いず蓄電池3のみを用いて負荷9への電力供給を行う状態となる。したがって、計画停電開始時刻T1が到来し、電力系統1からの電力供給が停止された場合であっても、負荷9への電力供給を継続的に行うことができる。
【0092】
つづいて、計画停電開始時刻T1から所定期間経過後のタイミングt4が到来すると、電源システム100は、太陽光発電装置2から負荷9への電力供給を再開する。これにより、電源システム100は、蓄電池3と太陽光発電装置2との協調運転により負荷9への電力供給を行う。
【0093】
なお、太陽光発電装置2から負荷9への供給電力は、太陽光発電装置2の発電量に対する割合が、所定期間(図6では、t4〜t5の期間)かけて0%から100%となるように制御装置6によって制御される。これにより、太陽光発電装置2から負荷9への電力供給を再開した場合の不必要な電力変動を抑えることができる。
【0094】
つづいて、計画停電復旧時刻T2よりも所定時間前のタイミングt6が到来すると、電源システム100は、太陽光発電装置2から負荷9への電力供給を停止する。このとき、太陽光発電装置2から負荷9への供給電力は、太陽光発電装置2の発電量に対する割合が、所定期間(図6では、t6〜t7の期間)かけて100%から0%となるように制御装置6によって制御される。これにより、太陽光発電装置2から負荷9への電力供給を停止した場合の不必要な電力変動を抑えることができる。
【0095】
タイミングt7に達すると、太陽光発電装置2から負荷9への電力供給が完全に停止する。これにより、蓄電池3の負荷分担が再び100%となり、蓄電池3のみを用いて負荷9への電力供給を行う状態となる。
【0096】
ここで、t4〜t7の期間、すなわち、蓄電池3と太陽光発電装置2との協調運転中において、太陽光発電装置2から負荷9への供給電力が負荷電力を下回っている場合、DC/DCコンバータ5は放電運転を行う。また、太陽光発電装置2から負荷9への供給電力が負荷電力を上回っている場合には、DC/DCコンバータ5は充電運転を行う。
【0097】
たとえば、図6に示す場合には、t11〜t12の期間において、太陽光発電装置2から負荷9への供給電力が負荷電力を上回っている。このため、t11〜t12の期間において蓄電池3は充電される。
【0098】
なお、ここでは、「計画停電動作モード」において、蓄電池3と太陽光発電装置2との協調運転を行う場合の例を示したが、充放電制御部64は、日射計8の計測情報に基づいて、蓄電池3および太陽光発電装置2の協調運転を行うか否かを決定してもよい。たとえば、日射計8の計測情報または太陽光発電装置2の実際の発電量、もしくはこれらの低下率が所定の閾値以下である場合、充放電制御部64は、蓄電池3のみを用いて負荷9への電力供給を行ってもよい。
【0099】
つづいて、計画停電復旧時刻T2が到来すると、電源システム100は、「計画停電動作モード」から「復旧移行モード」へ移行する。具体的には、電源システム100は、蓄電池3の負荷分担をT2からt8の期間をかけて100%から0%へ低下させる。これにより、電源システム100は、電力系統1のみを用いて負荷9への電力供給を行う状態となる。
【0100】
つづいて、タイミングt8よりも後のタイミングt9が到来すると、電源システム100は、太陽光発電装置2から負荷9への電力供給を再開させる。これにより、電源システム100は、電力系統1と太陽光発電装置2との協調運転を行うことによって負荷9への電力供給を行う。また、電源システム100は、タイミングt9が到来すると、「復旧移行モード」を終了し、「通常動作モード」へ移行する。
【0101】
[6.制御装置6の具体的動作]
次に、図4および図6を参照しつつ、制御装置6の具体的動作について図7を用いて説明する。図7は、制御装置6が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図7においては、切替タイミングが検出されることによって「通常動作モード」から「停止移行モード」へ移行してから、再び「通常動作モード」へ戻るまでの処理手順について示している。
【0102】
図7に示すように、制御装置6では、情報取得部61が、情報記憶部62に記憶された停止情報を用いて切替タイミング(図6に示すタイミングt1)を検出する(ステップS101)。また、制御装置6では、指令出力部63が、充放電制御部64に対して切替指令を出力する(ステップS102)。
【0103】
切替指令を取得すると、充放電制御部64は、太陽光発電装置給電停止処理を行う(ステップS103)。具体的には、充放電制御部64は、図4に示すスイッチ12、スイッチ64fをオフする。これにより、太陽光発電装置2から負荷9への電力供給が停止されるとともに、出力予測部64bから減算部64dに対する予測発電量の入力が停止される。
【0104】
タイミングt2が到来すると、充放電制御部64は、蓄電池放電開始処理を行う(ステップS104)。具体的には、充放電制御部64は、図4に示すスイッチ64iをオフし、スイッチ64jをオンする。これにより、放電規制部64hによる放電運転の規制状態が解除され、蓄電池3の放電が開始される。
【0105】
タイミングt4が到来すると、充放電制御部64は、太陽光発電装置給電再開処理を行う(ステップS105)。具体的には、充放電制御部64は、図4に示すスイッチ12およびスイッチ64fをオンする。これにより、太陽光発電装置2から負荷9への電力供給が再開されるとともに、出力予測部64bから減算部64dに対する予測発電量の入力も再開される。
【0106】
つづいて、制御装置6では、情報取得部61が、情報記憶部62に記憶された復旧情報を用いて復旧タイミング(図6に示すタイミングt6)を検出する(ステップS106)。また、制御装置6では、指令出力部63が、充放電制御部64に対して復旧指令を出力する(ステップS107)。
【0107】
復旧指令を取得すると、充放電制御部64は、太陽光発電装置給電停止処理を行う(ステップS108)。かかる処理は、ステップS103の処理と同じである。
【0108】
また、充放電制御部64は、計画停電復旧時刻T2が到来すると、蓄電池放電停止処理を行う(ステップS109)。具体的には、充放電制御部64は、図4に示すスイッチ64iをオンし、スイッチ64jをオフする。これにより、蓄電池3の放電が放電規制部64hによって規制されることとなる。
【0109】
そして、タイミングt9が到来すると、充放電制御部64は、太陽光発電装置給電再開処理を行い(ステップS110)、処理を終える。これにより、電源システム100は、「通常動作モード」へ戻る。
【0110】
上述してきたように、第1の実施形態では、電源システムが、蓄電池と、インバータ装置と、DC/DCコンバータと、制御装置とを備える。インバータ装置は、入力側に発電装置および電力系統が接続され、出力側に負荷が接続される。DC/DCコンバータは、一方にインバータ装置のコンバータ部が接続され、他方に蓄電池が接続される。制御装置は、電力系統からの電力供給が停止する前に生成される切替指令を取得した場合に、DC/DCコンバータを制御して、蓄電池の電力をインバータ装置へ供給させる。
【0111】
したがって、第1の実施形態に係る電源システムによれば、電力系統からの電力供給が停止された場合であっても、負荷への電力供給を継続的に行うことができる。
【0112】
また、第1の実施形態では、充放電制御部64は、指令出力部63から出力された切替指令を取得した場合に、太陽光発電装置2からインバータ装置4への電力供給を停止させた後に、DC/DCコンバータ5を制御して、蓄電池3の電力をインバータ装置4へ供給させる。すなわち、第1の実施形態では、太陽光発電装置2から負荷9への電力供給を停止した後に、蓄電池3の放電を開始することとしたため、蓄電池3の負荷分担の制御を容易に行うことができる。
【0113】
また、第1の実施形態では、充放電制御部64が、切替指令を取得してDC/DCコンバータ5を制御した後、予め定められた期間(図6では、t6〜t9の期間)が経過した場合に、太陽光発電装置2からインバータ装置4への電力供給を再開させる。具体的には、第1の実施形態では、蓄電池3の負荷分担が0%となった後に、太陽光発電装置2から負荷9への電力供給を再開させることとしたため、蓄電池3の負荷分担の制御を容易に行うことができる。
【0114】
(第2の実施形態)
上述してきた第1の実施形態では、計画停電開始時刻および計画停電復旧時刻が予め設定されておき、制御装置6が、設定された計画停電開始時刻および計画停電復旧時刻に従って、DC/DCコンバータ5の制御を自動的に行う場合の例について説明した。具体的には、第1の実施形態では、情報記憶部62に記憶された停止情報および復旧情報に基づいて切替指令や復旧指令の出力タイミングを決定することとした。
【0115】
しかし、切替指令や復旧指令の出力タイミングは、ユーザからの操作に応じて決定してもよい。すなわち、DC/DCコンバータ5の制御を自動ではなく手動で行ってもよい。
【0116】
たとえば、ユーザは、操作パネル7に設けられる「計画停電動作モード移行ボタン」を押下する。そして、「計画停電動作モード移行ボタン」が押下された旨の情報が操作パネル7から指令出力部63へ入力されると、指令出力部63は、充放電制御部64に対して切替指令を出力する。
【0117】
また、ユーザは、操作パネル7に設けられる「通常動作モード移行ボタン」を押下する。そして、「通常動作モード移行ボタン」が押下された旨の情報が操作パネル7から指令出力部63へ入力されると、指令出力部63は、充放電制御部64に対して復旧指令を出力する。なお、「計画停電動作モード移行ボタン」および「通常動作モード移行ボタン」は、物理的なボタンである必要はなく、たとえば、操作パネル7が備えるタッチパネルディスプレイ上に表示される仮想的なボタンであってもよい。
【0118】
このように、第2の実施形態では、指令出力部63が所定の操作に応じて切替指令を出力し、充放電制御部64が切替指令を取得した場合に、DC/DCコンバータ5は、蓄電池3の電力をインバータ装置4へ供給するように制御する。
【0119】
かかる場合であっても、ユーザが、計画停電が開始される前に手動で「計画停電動作モード」への移行を行うことができるため、負荷9への電力供給を継続的に行うことが可能である。
【0120】
なお、上述してきた各実施形態では、電源システム100が、発電装置として太陽光発電装置2を備える場合の例について説明したが、発電装置は、太陽光発電装置2に限られない。たとえば、発電装置は、風力発電装置やバイオマス発電装置など、太陽光発電装置以外の自然エネルギー発電装置であってもよい。また、インバータ装置4には、太陽光発電装置、風力発電装置およびバイオマス発電装置のうち複数が接続されてもよい。このように、発電装置は、太陽光発電装置、風力発電装置、バイオマス発電装置の少なくとも1つである。
【0121】
また、上述してきた各実施形態では、「停止移行モード」における蓄電池3の立ち上げおよび「復旧移行モード」における蓄電池3の立ち下げの前後において、太陽光発電装置2から負荷9への電力供給を停止することとした。しかし、充放電制御部64は、必ずしも太陽光発電装置2から負荷9への電力供給を停止する処理を行う必要はない。すなわち、電源システム100は、太陽光発電装置2から負荷9への電力供給を常時行うこととしてもよい。
【0122】
また、上述してきた各実施形態では、「計画停電動作モード」において、蓄電池3のみで負荷9への電力供給を行う期間を設けたが、かかる期間は、必ずしも設ける必要はない。かかる場合、充放電制御部64は、「計画停電動作モード」中の全ての期間において蓄電池3および太陽光発電装置2の協調運転が行われるように、太陽光発電装置2から負荷9への電力供給の再開タイミングおよび停止タイミングを制御すればよい。
【0123】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0124】
1 電力系統
2 太陽光発電装置(発電装置の一例)
3 蓄電池
4 インバータ装置
5 DC/DCコンバータ
6 制御装置
100 電源システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池と、インバータ装置と、DC/DCコンバータと、制御装置とを備えた電源システムであって、
前記インバータ装置は、入力側に発電装置および電力系統が接続され、出力側に負荷が接続され、
前記DC/DCコンバータは、一方に前記インバータ装置のコンバータ部が接続され、他方に前記蓄電池が接続され、
前記制御装置は、前記電力系統からの電力供給が停止する前に生成される切替指令を取得した場合に、前記DC/DCコンバータを制御して、前記蓄電池の電力を前記インバータ装置へ供給させることを特徴とする電源システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記電力系統からの電力供給が停止する時刻を示す停止情報を取得する停止情報取得部と、
前記停止情報取得部によって取得された前記停止情報を記憶する停止情報記憶部と、
前記停止情報記憶部に記憶された前記停止情報に基づき、前記電力系統からの電力供給が停止する時刻よりも所定時間前のタイミングを検出し、当該検出したタイミングで前記切替指令を出力する切替指令出力部と、
前記切替指令出力部から出力された前記切替指令を取得した場合に、前記DC/DCコンバータを制御して、前記蓄電池の電力を前記インバータ装置へ供給させる停電制御部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
所定の操作に応じて前記切替指令を出力する切替指令出力部と、
前記切替指令出力部から出力された前記切替指令を取得した場合に、前記DC/DCコンバータを制御して、前記蓄電池の電力を前記インバータ装置へ供給させる停電制御部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の電源システム。
【請求項4】
前記停電制御部は、
前記切替指令出力部から出力された前記切替指令を取得した場合に、前記発電装置から前記インバータ装置への電力供給を停止させた後に、前記DC/DCコンバータを制御して、前記蓄電池の電力を前記インバータ装置へ供給させることを特徴とする請求項2または3に記載の電源システム。
【請求項5】
前記停電制御部は、
前記切替指令を取得して前記DC/DCコンバータを制御した後、予め定められた期間が経過した場合に、前記発電装置から前記インバータ装置への電力供給を再開させることを特徴とする請求項4に記載の電源システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記電力系統からの電力供給が復旧する時刻を示す復旧情報を取得する復旧情報取得部と、
前記復旧情報取得部によって取得された前記復旧情報を記憶する復旧情報記憶部と、
前記復旧情報記憶部に記憶された前記復旧情報に基づき、前記電力系統からの電力供給が復旧する時刻よりも所定時間前のタイミングを検出し、当該検出したタイミングで復旧指令を出力する復旧指令出力部とを備え、
前記停電制御部は、
前記復旧指令出力部から出力された前記復旧指令を取得した場合に、前記発電装置から前記インバータ装置への電力供給を停止させた後、前記蓄電池から前記インバータ装置への電力供給を停止させることを特徴とする請求項5に記載の電源システム。
【請求項7】
前記インバータ装置から前記負荷に対して供給される電力を検出する負荷電力検出部を備え、
前記停電制御部は、前記負荷電力検出部の検出結果に基づいて電流指令を生成する電流指令生成部を備え、
前記DC/DCコンバータは、
スイッチング素子と、
前記蓄電池に流れる電流と前記電流指令との差分に基づいて電圧指令を生成する電流制御部と、
前記一方の入出力端子の電圧と前記電圧指令との差分に基づいて前記スイッチング素子を駆動する駆動信号を生成する電圧制御部と
を備えることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の電源システム。
【請求項8】
前記発電装置は、太陽光発電装置、風力発電装置、バイオマス発電装置の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−115946(P2013−115946A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260931(P2011−260931)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】