説明

電源回路

【課題】 AC電源と電池を使用する機器において、電池の長時間連続稼働に適し、且つACアダプタにオーディオ出力の高出力化が可能なものを選択できる電源回路を提供する。
【解決手段】 ACアダプタの出力及び逆流防止用ダイオード等を接続した電池の出力に、リレーを介して一方はシリーズレギュレータに、もう一方はDC/DCコンバータに接続して出力する。前記リレーはACアダプタ及び電池の出力をマイコン等で検出して切替制御される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電源にAC電源と電池を使用する機器の電源回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の技術を図2〜図7を用いて説明する。図2において、受信機10の電源回路は、ACアダプタ2、逆流防止用ダイオード4を接続した電池3及びシリーズレギュレータ5で構成される。前記ACアダプタ2及び逆流防止用ダイオード4を接続した電池3の出力は、前記シリーズレギュレータ5に入力され、一定な直流電圧に変換され出力される。例示すると、図3に示すように、ACアダプタ2及び逆流防止用ダイオード4を接続した1.5Vの乾電池11を4個直列接続することによって6Vが出力される。この6V出力は、5Vレギュレータ12に入力され、5V一定の電圧に変換される。図6に時間に対する電池の電圧降下特性14に示す。5Vレギュレータ12には、入力電圧5.16Vまで動作可能な低ドロップ型を使用した場合、電源電圧6Vから5.16Vの0時間からX時間の機器の使用が可能となる。
【0003】また、従来の技術として図4に示すようなものがあり、電源電圧の低電圧化及び電池による機器の長時間連続稼働の方法として使用されている。受信機10の電源回路は、ACアダプタ2、逆流防止用ダイオード4を接続した電池3及びDC/DCコンバータ5によって構成される。ACアダプタ2及び逆流防止用ダイオード4を接続した電池3の出力は、DC/DCコンバータ13によって一定な電圧に変換され出力される。例示すると、図5に示すように、ACアダプタ2及び逆流防止用ダイオード4を接続した1.5Vの乾電池11を直列に3個もしくは2個接続することによって、4.5Vもしくは3Vを出力する。前記4.5Vもしくは3V出力は、5VDC/DCコンバータ13に入力され5V一定の電圧に昇圧される。図7に時間に対する電池の電圧降下特性14に示す。5VDC/DCコンバータ13には、入力電圧5.5Vから1.1Vまで動作可能なものを使用した場合、電源電圧4.5Vもしくは3Vから1.1Vの0時間からY時間の機器の使用が可能となる。また、電池の数量が3個もしくは2個で5Vを出力することが可能なので電源電圧の低電圧化及び原価低減に用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前述の従来技術には、電池を使用時、図3の様に5Vレギュレータを使用した場合、5Vレギュレータの入力電圧が5.16Vまでの動作なので図6の時間に対する電池の電圧降下特性14に示すように、電池の電源電圧が6Vから5.16Vまでの0時間からX時間の動作時間となり長時間連続稼働に適していないという問題がある。また、図5の様にDC/DCコンバータを使用した場合は、電池による長時間連続稼働に適しているが、AC電源を使用した場合に、ACアダプタの電源電圧の変動が約2倍と大きく、3VのACアダプタを使用しても5VDC/DCコンバータの入力電圧は最大6Vと変動する。またACアダプタ使用時は、オーディオ出力を大きくしたいなどの要求にこたえるため高い電源電圧が必要であり、6V出力のACアダプタを使用しオーディオアンプを駆動させる必要があるが、5VDC/DCコンバータは入力電圧が5.5Vから1.1Vまでの動作なので、ACアダプタ使用時は5VDC/DCコンバータの使用は不可能であるなどの問題がある。
【0005】本発明はこれらの問題を解決するため、ACアダプタと電池を使用する機器において、電池による長時間連続稼働及びACアダプタによるオーディオ出力の高出力化が可能な電源回路を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するため、図1に示すように、ACアダプタ及び逆流防止用ダイオード等を接続した電池の出力を、リレーを介して一方はシリーズレギュレータに、もう一方はDC/DCコンバータに接続して出力する。このリレーは前記ACアダプタ及び電池の出力をマイコン等で検出して制御することで、出力電圧が高いときあるいは電池の容量があるときは、シリーズレギュレータを使用し出力電圧が低いときあるいは電池の容量がないときは、DC/DCコンバータに切り替えるようにしたものである。
【0007】その結果、電池を使用して機器を稼働させるときは、図8の時間に対する電池の電圧降下特性14に示すように、マイコンによって出力電圧を検出しリレーを出力電圧6Vから5.16Vまでは5Vレギュレータを使用し、それ以上電圧が下がったときはリレーによって5VDC/DCコンバータに切り替える。5VDC/DCコンバータの入力電圧は、5.5Vから1.1Vまで動作可能なので、出力電圧6Vから1.1Vまでの0時間からZ時間の電池が使用可能となり電池による機器の長時間連続稼働が可能となる。また、ACアダプタを使用して機器を稼働させるときは、マイコンによって出力電圧を検出しリレーによって5Vレギュレータを使用することで出力電圧の高いACアダプタを使用することが可能となり、オーディオ出力の高出力化が可能となる。
【0008】
【実施例】以下、この発明の一実施例を図8と図9を参照して説明する。図9において、受信機10の電源としては、外部のAC電源から供給された交流信号をACアダプタ2で直流に変換した出力信号、若しくは、逆流防止用ダイオード4を接続した乾電池11を使用する。その出力は、リレー8を介して、一方は5Vレギュレータ12に、もう一方は5VDC/DCコンバータ13に入力され、一定な電圧(例えば、5V)に変換され出力される。前記リレー8は、ACアダプタ2及び逆流防止用ダイオード4を接続した乾電池11の出力電圧をマイコン7によって検出して制御される。
【0009】電源として乾電池11を使用した場合、マイコン7によって乾電池11の出力電圧を検出し、図8の時間に対する電池の電圧降下14に示すように、入力電圧6Vから5.16Vまでは、前記リレー8で5Vレギュレータ12を使用し、乾電池11の容量が減り、5.16V以下になったときは前記リレー8で入力電圧が5.5Vから1.1Vまで動作可能な5VDC/DCコンバータ13に切り替え、一定な電圧(5V)を出力する。従って、図8に示すように、電源電圧6Vから1.1Vまでの0時間からZ時間の機器の連続稼働が可能となる。また、電源としてACアダプタ2を使用した場合は、前記マイコン7によって電源電圧を検出し、リレー8で5Vレギュレータ12を選択することで、高い出力電圧のACアダプタ2を使用することが可能となり、オーディオ出力の高出力化が可能となる。
【0010】なお、本実施例では、基本的に入力電圧を昇圧する手段をDC/DCコンバータとし、降圧する手段をシリーズレギュレータとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の昇圧回路及び降圧回路の使用が可能である。
【0011】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、AC電源と電池を併用する機器において、電池の長時間連続稼働に適し、且つACアダプタにオーディオ出力の高出力化が可能なものを選択できる電源回路を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の全体構成を示す図。
【図2】従来の一例を示す図。
【図3】従来の一例の詳細を示す図。
【図4】従来の他の例を示す図。
【図5】従来の他の例の詳細を示す図。
【図6】従来の時間に対する電池の電圧降下特性の一例を示すグラフ。
【図7】従来の時間に対する電池の電圧降下特性の他の例を示すグラフ。
【図8】本発明における時間に対する電池の電圧降下特性の一例を示すグラフ。
【図9】本発明の一実施例を示す図。
【符号の説明】
1…電源回路、 2…ACアダプタ、3…電池、 4…逆流防止用ダイオード、5…シリーズレギュレータ、 6…DC/DCコンバータ、7…マイコン、 8…リレー、9…出力、 10…受信機、11…乾電池、 12…5Vレギュレータ、13…5VDC/DCコンバータ、14…時間に対する電池の電圧降下特性。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 AC電源と電池を電源として併用する機器の電源回路において、上記電源の出力を昇圧する昇圧回路と、上記電源の出力を降圧する降圧回路と、該昇圧回路と降圧回路とを切り替える切替回路と、上記電源の出力電圧を検出し該検出電圧に応じて上記切替回路を切替制御する制御回路とを備えることを特徴とする電源回路。
【請求項2】 請求項1に記載の電源回路において、上記昇圧回路はDC/DCコンバータであって、上記降圧回路はシリーズレギュレータであることを特徴とする電源回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開平10−94193
【公開日】平成10年(1998)4月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−242938
【出願日】平成8年(1996)9月13日
【出願人】(000005429)日立電子株式会社 (11)