説明

電源装置及びアーク加工用電源装置

【課題】低出力時の出力安定化を図ることができるアーク加工用電源装置を提供する。
【解決手段】出力要求が大の時には、インバータ回路のスイッチング素子TR1,TR2及びこれに連動する補助スイッチング回路のスイッチング素子TR3,TR4に出力する各制御パルス信号のオンパルス幅Wm,Wsの調整を行うPWM制御が行われ、出力要求が小の時には、インバータ回路と補助スイッチング回路との間で対となる各制御パルス信号の相互の位相差αを調整するPSM制御に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハーフブリッジ型のインバータ回路を備える電源装置及びアーク加工用電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アーク加工機等に用いる電源装置は、交流入力電力から生成した直流電力をインバータ回路のスイッチング動作にて高周波交流電力に変換し、溶接トランスにて電圧調整された高周波交流電力を後段回路でアーク溶接等のアーク加工に適した直流出力電力に変換している。出力電力の調整は、インバータ回路のスイッチング動作を制御することで行われる。
【0003】
例えば特許文献1に開示の電源装置は、ハーフブリッジ型インバータ回路を備え、該回路のスイッチング素子のオンパルス幅を調整するパルス幅変調制御(PWM制御)が行われ、出力電力の調整が行われている。また、この電源装置には、一次整流回路とインバータ回路との間にスイッチング素子(電力開閉用スイッチング素子)及びコンデンサ等の補助スイッチング回路が備えられている。そして、インバータ回路のスイッチング素子と連動した補助スイッチング素子のオンオフ動作と、これに伴う補助コンデンサの充放電動作とから、各スイッチング素子のスイッチングロスを低減するソフトスイッチング制御が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−279774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、PWM制御では、通常、電源装置の出力を極めて小さく調整する際において、インバータ回路及び補助スイッチング回路に出力される各制御パルス信号のオンパルス幅が極めて幅狭に設定される。そのため、スイッチング素子がオンできない事象が生じ、出力不安定、偏磁等の問題が生じる虞があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、低出力時の出力安定化を図ることができる電源装置及びアーク加工用電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、スイッチング素子が交互にオンオフするスイッチング動作を行い、入力される直流電力を高周波交流電力に変換するハーフブリッジ型のインバータ回路と、前記インバータ回路前段の電源線上に設けられ、前記インバータ回路のスイッチング動作と連動動作するスイッチング素子と該素子後段の電源線間に接続される補助コンデンサとを有する補助スイッチング回路とを備え、前記インバータ回路及びこれに連動する前記補助スイッチング回路のスイッチング動作を制御して負荷への出力電力の調整を行う出力制御を行うとともに、前記補助スイッチング回路のスイッチング素子を先にオフさせて後にオフする前記インバータ回路のスイッチング素子のスイッチングロスを低減する動作を含むソフトスイッチング制御を行うように構成される電源装置であって、前記インバータ回路のスイッチング素子に出力する制御パルス信号のオンパルス幅を調整するとともに、これに応じて前記補助スイッチング回路のスイッチング素子に出力する制御パルス信号のオンパルス幅を調整するパルス幅変調制御手段と、前記インバータ回路のスイッチング素子と前記補助スイッチング回路のスイッチング素子とで対をなす制御パルス信号の相互の位相差を調整する位相シフト制御手段と、出力要求が大の時には前記パルス幅変調制御手段とし、出力要求が小の時には前記位相シフト制御手段に切り替える制御切替手段とを備えたことをその要旨とする。
【0008】
この発明では、出力要求が大の時には、インバータ回路及びこれに連動する補助スイッチング回路に出力する各制御パルス信号のオンパルス幅の調整を行うパルス幅変調制御(PWM制御)が行われ、出力要求が小の時には、インバータ回路と補助スイッチング回路との間で対となる各制御パルス信号の相互の位相差を調整する位相シフト制御(PSM制御)に切り替わる。つまり、低出力要求時にそのままPWM制御を実施すると、インバータ回路及び補助スイッチング回路の各スイッチング素子がオンできない事象が生じ得る。そのため、低出力要求時にはPSM制御に切り替わり、各制御パルス信号のオンパルス幅を確保した状態での位相調整により電流ピーク値・平均値が小さくされ、低出力とされる。これにより、低出力要求時においてもインバータ回路及び補助スイッチング回路の各スイッチング素子を確実にオンさせることが可能となるため、安定した出力が得られるようになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電源装置において、前記制御切替手段は、前記インバータ回路及び前記補助スイッチング回路の各スイッチング素子が十分にオン可能な所定狭パルス幅より大となる前記オンパルス幅に設定されるような出力要求時には前記パルス幅変調制御手段とし、前記オンパルス幅がその所定狭パルス幅より小となり得る出力要求時には前記オンパルス幅をその所定狭パルス幅に固定した状態での前記制御パルス信号の位相調整を行う前記位相シフト制御手段に切り替えることをその要旨とする。
【0010】
この発明では、インバータ回路及び補助スイッチング回路の各スイッチング素子が十分にオン可能な所定狭パルス幅より大となるオンパルス幅に設定される出力要求期間ではPWM制御が実施され、オンパルス幅がその所定狭パルス幅より小となり得る低出力要求期間ではオンパルス幅をその所定狭パルス幅に固定した状態で各制御パルス信号の位相調整を行うPSM制御が実施される。これにより、PWM制御から切り替わる際の所定狭パルス幅を継承してPSM制御に切り替えられることで、インバータ回路及び補助スイッチング回路の各スイッチング素子が確実にオンされることでの出力安定化とともに、制御が切り替わる際の出力安定化が可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電源装置において、前記位相シフト制御手段は、前記インバータ回路に出力する制御パルス信号に対して、前記補助スイッチング回路に出力する制御パルス信号を相対的に進み側にシフトさせることをその要旨とする。
【0012】
この発明では、PSM制御では、インバータ回路に出力する制御パルス信号に対して、補助スイッチング回路に出力する制御パルス信号が相対的に進み側にシフトされる。これにより、補助スイッチング回路のスイッチング素子が先にオフしてからインバータ回路のスイッチング素子がオフするソフトスイッチング動作がこのPSM制御時においても継続され、スイッチングロス低減に寄与できる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電源装置において、前記位相シフト制御手段は、前記インバータ回路に出力する制御パルス信号と、前記補助スイッチング回路に出力する制御パルス信号との一方側を固定、他方側をシフトさせることをその要旨とする。
【0014】
この発明では、PSM制御では、インバータ回路及び補助スイッチング回路に出力する各制御パルス信号の一方側が固定、他方側がシフトされる。これにより、1つの制御パルス信号のみの位相調整で済むため、位相調整が容易である。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電源装置において、前記インバータ回路にて生成された高周波交流電力を電圧調整して二次側に出力するトランスと、前記トランスを介して電圧調整された高周波交流電力から負荷に応じた出力電力に変換する出力変換回路とを備えるものであることをその要旨とする。
【0016】
この発明では、インバータ回路にて生成された高周波交流電力を電圧調整するトランスと、該トランスにて電圧調整された高周波交流電力から負荷に応じた出力電力に変換する出力変換回路とが備えられる。これらを備える電源装置の低出力時の出力安定化が可能となる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電源装置を用いてアーク加工用出力電力を生成するように構成されたアーク加工用電源装置である。
この発明では、低出力時の出力安定化が可能なアーク加工用電源装置を提供できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、低出力時の出力安定化を図ることができる電源装置及びアーク加工用電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態におけるアーク加工用電源装置の回路図である。
【図2】電源装置各所の電圧・電流波形図であり、(a)はPWM動作時(出力大時)、(b)はPWM−PSM臨界動作時(出力小時)、(c)はPSM動作時(出力極小時)である。
【図3】PWM−PSM制御態様の説明図である。
【図4】別例における制御パルス信号の波形図であり、(a)はPWM動作時(出力大時)、(b)はPWM−PSM臨界動作時(出力小時)、(c)はPSM動作時(出力極小時)である。
【図5】別例における制御パルス信号の波形図であり、(a)はPWM動作時(出力大時)、(b)はPWM−PSM臨界動作時(出力小時)、(c)はPSM動作時(出力極小時)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、アーク加工機は、アーク加工用電源装置11にて生成した出力電力をトーチTHに供給し、トーチTHから加工対象物Mに向けてアークを発生させて、加工対象物Mに対してアーク溶接、アーク切断等のアーク加工を行う装置である。
【0021】
電源装置11は、直流変換回路12、インバータ回路13、補助スイッチング回路14、トランスINT、及び出力変換回路15を備えて構成されている。
直流変換回路12は、ダイオードブリッジよりなる整流回路DR1と平滑コンデンサC1,C2とを備えている。整流回路DR1の出力端子からそれぞれ延びる電源線L1,L2間に平滑コンデンサC1,C2が直列接続され、平滑コンデンサC1,C2間から電源線L3が延びている。直流変換回路12は、商用電源から供給される三相の交流入力電力を整流回路DR1にて直流電力に変換して平滑コンデンサC1,C2を充電する。各平滑コンデンサC1,C2にて充電された直流電力は、電源線L1,L3又は電源線L3,L2を介して補助スイッチング回路14、及びその後段のインバータ回路13に出力され、整流回路DR1の出力電圧の半分の電圧値としてこれら後段回路に出力されるようになっている。
【0022】
インバータ回路13は、IGBT等の2個のスイッチング素子TR1,TR2を用い、スイッチング素子TR1を電源線L1側に、スイッチング素子TR2を電源線L2にそれぞれ配置したハーフブリッジ回路にて構成されている。各スイッチング素子TR1,TR2には、それぞれ還流ダイオードD1,D2が逆接続されている。先の平滑コンデンサC1,C2間に接続された電源線L3がトランスINTの一次側コイルの一端側に接続されているのに対し、インバータ回路13の出力端子(スイッチング素子TR1,TR2間のノード)は一次側コイルの他端側に接続されている。各スイッチング素子TR1,TR2のゲートには制御回路21から制御パルス信号が入力され、スイッチング素子TR1とスイッチング素子TR2とが交互にオンオフ駆動されて直流電力から高周波交流電力を生成し、該高周波交流電力をトランスINTの一次側コイルに供給する。
【0023】
インバータ回路13と直流変換回路12との間には、IGBT等のスイッチング素子TR3,TR4、ダイオードD5,D6、及び補助コンデンサC3,C4とを有する補助スイッチング回路14が備えられている。スイッチング素子TR3,TR4は、自身のそれぞれに還流ダイオードD3,D4が逆接続され、スイッチング素子TR3が直流変換回路12の後段における電源線L1上に、スイッチング素子TR4が直流変換回路12の後段における電源線L2上に配置されている。スイッチング素子TR3,TR4の後段には、アノードが電源線L3に、カソードが電源線L1に接続されたダイオードD5と、アノードが電源線L2に、カソードが電源線L3に接続されたダイオードD6とが配置されている。更に、ダイオードD5,D6の後段には、電源線L1,L3間に補助コンデンサC3が接続され、電源線L3,L2間に補助コンデンサC4が接続されている。各スイッチング素子TR3,TR4のゲートには制御回路21から制御パルス信号が入力され、該スイッチング素子TR3はインバータ回路13のスイッチング素子TR1と、スイッチング素子TR4はスイッチング素子TR2とそれぞれ連動してオンオフ駆動される。これにより、スイッチング素子TR3,TR4自身も含め、インバータ回路13のスイッチング素子TR1,TR2のスイッチングロスを低減するソフトスイッチングが行われる。
【0024】
トランスINTは、前記インバータ回路13で生成された高周波交流電力の電圧調整を行い、二次側コイルから所定電圧に調整された高周波交流電力を出力変換回路15に出力する。
【0025】
出力変換回路15は、2個のダイオードよりなる整流回路DR2と、直流リアクトルDCLとを備えている。整流回路DR2は、トランスINTの二次側コイルの両端にそれぞれアノードが接続される2個のダイオードを備え、各ダイオードのカソードが直流リアクトルDCLに接続されて構成されている。直流リアクトルDCLは出力線L4上に配置され、出力線L5はトランスINTの二次側コイルの中間点に接続されている。出力変換回路15は、整流回路DR2と直流リアクトルDCLにて、トランスINTから出力された高周波交流電力をアーク加工に適した直流出力電力に変換する。
【0026】
そして、出力線L4にはトーチTHが、出力線L5には加工対象物Mがそれぞれ接続され、出力線L4を介してトーチTHに供給される出力電力に基づいて加工対象物Mとの間にアークを生じさせ、加工対象物Mのアーク溶接、アーク切断等のアーク加工が行われるようになっている。出力電力の調整は、制御回路21にてインバータ回路13のスイッチングを制御することで行われる。
【0027】
制御回路21は、インバータ回路13と補助スイッチング回路14とを連動させたスイッチング制御を行っている。即ち、電源装置11には、その時々の出力電圧や出力電流の実値の検出を行う図示略の検出センサが備えられ、制御回路21は、その検出値(実値)に基づいてその時々で好適な出力電力となるスイッチング制御を行う。
【0028】
制御回路21は、偏差算出部22、制御切替部23、パルス幅算出部24、及び位相差算出部25を備えている。
偏差算出部22は、その時々の目標値と実値との偏差Xの算出を行っている。制御切替部23は、その実値との偏差Xの大きさに基づいて、図3に示すように、予め設定した所定値Xaを境にその偏差Xが大きい領域、即ち小〜大出力要求時においては、インバータ回路13のスイッチング制御をパルス幅変調制御(PWM制御)とする。この場合、パルス幅算出部24は、偏差算出部22にて算出された実値との偏差Xに基づいて、インバータ回路13のスイッチング素子TR1,TR2のオンパルス幅Wmを算出し、これに基づいて補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3,TR4のオンパルス幅Wsを算出する。実値との偏差Xが大きくなると、オンパルス幅Wm,Wsは幅広に設定され、実値との偏差Xが小さくなると、オンパルス幅Wm,Wsは幅狭に設定される。そして、実値との偏差XがPWM制御時の下限値である所定値Xaになると、オンパルス幅Wm,Wsは最小パルス幅Wm0,Ws0に設定される。
【0029】
ここで、このPWM制御時においては、補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3,TR4は、インバータ回路13のスイッチング素子TR1,TR2のそれぞれと同時(位相差ゼロ)にオンされるが、オフ時は各スイッチング素子TR1,TR2のオフに先立ってオフする。即ち、インバータ回路13のスイッチング素子TR1,TR2のオンパルスと立ち上がりが一致するが、立ち下がりが所定時間早くなるように(補助コンデンサC3,C4の放電が十分又は完全に行われるように)、補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3,TR4のオンパルス幅Wsが先のオンパルス幅Wmよりも幅狭に設定される。
【0030】
そのため、実値との偏差Xが小さくなりオンパルス幅Wm,Wsが次第に幅狭になってくると、特にオンパルスが幅狭に設定される補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3,TR4が十分にオンできるかが懸念されるところである。本実施形態ではこれを考慮し、スイッチング素子TR3,TR4が十分にオンできる下限の最小パルス幅Ws0となる、またこれに対応するスイッチング素子TR1,TR2のオンパルス幅Wmが最小パルス幅Wm0となるPWM制御の下限値として所定値Xaが設定されている。
【0031】
従って、実値との偏差Xが所定値Xaよりも小さくなる領域、即ち極小出力要求時においては、制御切替部23は、インバータ回路13のスイッチング制御をPWM制御から位相シフト制御(PSM制御)に切り替える。この場合、インバータ回路13のスイッチング素子TR1,TR2を基準相、補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3,TR4が制御相となる。位相差算出部25は、制御相側のスイッチング素子TR3,TR4のオンオフを早めるべく、制御相側の制御パルス信号を基準相側の制御パルス信号に対して進み側にシフトさせるその位相差αを偏差Xに基づいて算出する。そして、実値との偏差Xが所定値Xaから小さくなるに連れて、基準相側に対する制御相側の制御パルス信号の位相差αがゼロ(PWM制御時)から次第に大きくなるように設定され、最大位相差αxまで設定される。尚、パルス幅算出部24は、インバータ回路13のスイッチング素子TR1,TR2及び補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3,TR4のオンパルス幅Wm,Wsを最小パルス幅Wm0,Ws0に固定としている。
【0032】
これにより、各スイッチング素子TR1〜TR4のオンパルスは十分にオン可能な最小パルス幅Wm0,Ws0に保たれたまま、制御相側のスイッチング素子TR3,TR4を位相差α分進み側にシフトさせて基準相側のスイッチング素子TR1,TR2との同時オン時間が調整されることで、極小出力の調整が行われる。また、進み側にシフトされることから、PSM制御時においても補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3,TR4がインバータ回路13のスイッチング素子TR1,TR2のオフに先立ってオフされることが維持されるため、PWM制御時と同様に補助スイッチング回路14によるソフトスイッチングが継続して行われる。
【0033】
次に、本実施形態の制御回路21の各種制御を電源装置11の各所の電圧、電流波形を示す図2を参照しつつ説明する。尚、図2(a)〜(c)はそれぞれ1制御周期分を示し、スイッチング素子TR1,TR3の組側が動作する半周期について期間t1〜t10と細分化して説明する。期間t1〜t10については、図2の下部において数字のみを示す。また、図2中のTR1〜TR4(VGE)はスイッチング素子TR1〜TR4に出力する制御パルス信号(ゲート電圧)である。図2中のC3,C4(V)は補助コンデンサC3,C4の端子間電圧、TR1(VCE)及びTR3(VCE)はスイッチング素子TR1,TR3の端子間電圧、TR1(Ic)及びTR3(Ic)はスイッチング素子TR1,TR3を流れる電流である。INT(I)はトランスINTの一次側コイルを流れる電流である。
【0034】
[PWM制御]
図2(a)は出力大の要求がなされた場合であり、スイッチング素子TR1のオンパルス幅Wmが期間t2〜t9まで継続するように設定された場合である。スイッチング素子TR3のオンパルス幅Wsは期間t2〜t8まで継続するように設定される。
【0035】
期間t1:スイッチング素子TR1,TR3は、このPWM制御時ではオフ状態とされる。またこのとき、補助コンデンサC3は充電状態となっており、その端子間電圧が平滑コンデンサC1の端子間電圧と同電圧(整流回路DR1の端子間電圧の半分の電圧)となっている。
【0036】
期間t2:インバータ回路13のスイッチング素子TR1と補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3とが同時にオンする。このとき、トランスINTの一次側コイルの漏れインダクタンスによりスイッチング素子TR1,TR3にかかる電流のゼロからの立ち上がりが緩やかであるため、該スイッチング素子TR1,TR3はゼロ又は極小電流(以降、ゼロ電流とする)でのオンとなり、スイッチングロスは低減されている。また、スイッチング素子TR3においては、平滑コンデンサC1と補助コンデンサC3の端子間電圧が同電圧であることからゼロ又は極小電圧(以降、ゼロ電圧とする)でのオンとなり、このことからもスイッチングロスが低減されている。そして、これらスイッチング素子TR1,TR3のオンに基づいて、平滑コンデンサC1からの直流電力がそのスイッチング素子TR3及びスイッチング素子TR1を介してトランスINTの一次側コイルに供給される。
【0037】
期間t3〜t8:インバータ回路13のスイッチング素子TR1と補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3との期間t2から継続したオン期間である。平滑コンデンサC1からの直流電力がトランスINTの一次側コイルに継続して供給される。つまり、後の期間t9での補助コンデンサC3からの電力供給も含めて、トランスINTの二次側以降を経て生成される電源装置11の出力電力は大となる。
【0038】
期間t9:補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3がインバータ回路13のスイッチング素子TR1に先立ってオフする。このとき、平滑コンデンサC1と補助コンデンサC3の端子間電圧が同電圧であることからスイッチング素子TR3はゼロ電圧でのオフとなり、スイッチングロスは低減されている。スイッチング素子TR3のオフに基づいて、平滑コンデンサC1からの直流電力の後段への供給が遮断されるものの、充電状態にある補助コンデンサC3から引き続き直流電力のトランスINTへの供給が継続される。尚、期間t9では、補助コンデンサC3の放電に伴ってその端子間電圧が次第に低下し、次の期間t10までにゼロ又は極小の端子間電圧となる。尚、トランスINTの一次側コイルを流れる電流は維持される。
【0039】
期間t10:インバータ回路13のスイッチング素子TR1がオフする。このとき、補助コンデンサC3が先の期間t9で放電することからスイッチング素子TR1はゼロ電圧でのオフとなり、スイッチングロスは低減されている。スイッチング素子TR1のオフに基づいて、トランスINTの一次側コイル(漏れインダクタンス)に蓄積された電磁エネルギーに基づいて還流ダイオードD2を経由する還流電流が生じ、補助コンデンサC4の充電が行われる。期間t10の終了時までには補助コンデンサC4の端子間電圧が平滑コンデンサC2の端子間電圧と同電圧まで充電される。そして、還流電流は次第に減少する。尚、トランスINTの一次側コイル(漏れインダクタンス)に蓄積される電磁エネルギーが不足する場合、トランスINTの一次側コイルに直列にリアクトルを挿入して対応する。
【0040】
このようにしてスイッチング素子TR1,TR3の組側が動作する半周期が終了し、次の半周期はスイッチング素子TR2,TR4の組側が動作して、スイッチング素子TR1,TR2の交互のオンオフが繰り返される。
【0041】
図2(b)は出力小の要求がなされた場合であり、PWM制御とPSM制御との臨界でのPWM制御を行う場合である。即ち、スイッチング素子TR1のオンパルス幅Wmが期間t2〜t4まで継続する最小パルス幅Wm0に設定されている。スイッチング素子TR3のオンパルス幅Wsは期間t2〜t3まで継続する最小パルス幅Ws0に設定される。
【0042】
期間t1:スイッチング素子TR1,TR3はオフされている。またこのとき、補助コンデンサC3は充電状態となっている。
期間t2:インバータ回路13のスイッチング素子TR1と補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3とが同時にオンする。スイッチング素子TR1はゼロ電流でのオン、スイッチング素子TR3はゼロ電流、ゼロ電圧でのオンであり、スイッチングロスは低減されている。スイッチング素子TR1,TR3のオンに基づいて、平滑コンデンサC1からの直流電力がトランスINTの一次側コイルに供給される。
【0043】
期間t3:インバータ回路13のスイッチング素子TR1と補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3との期間t2から継続したオン期間であり、上記した図2(a)の場合より短い期間である。つまり、後の期間t4での補助コンデンサC3からの電力供給も含めて、トランスINTの二次側以降を経て生成される電源装置11の出力電力は小となる。
【0044】
期間t4:補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3がインバータ回路13のスイッチング素子TR1に先立ってオフする。スイッチング素子TR3はゼロ電圧でのオフであり、スイッチングロスは低減されている。スイッチング素子TR3のオフに基づいて、充電状態にある補助コンデンサC3から引き続き直流電力のトランスINTへの供給が継続される。補助コンデンサC3は放電される。
【0045】
期間t5:インバータ回路13のスイッチング素子TR1がオフする。このとき、補助コンデンサC3の放電でスイッチング素子TR1はゼロ電圧でのオフであり、スイッチングロスは低減されている。また、還流ダイオードD2を経由する還流電流が生じて、補助コンデンサC4の充電が行われる。
【0046】
期間t6〜t10:スイッチング素子TR1,TR3のオフ状態が継続する。これにより、期間t6〜t10では出力電力の生成は行われない。
このようにしてスイッチング素子TR1,TR3の組側が動作する半周期が終了し、次の半周期はスイッチング素子TR2,TR4の組側が動作する。
【0047】
そして、このPWM制御時では、実値との偏差Xに基づいて算出されるスイッチング素子TR1,TR2のオンパルス幅Wmが期間t2〜t4から期間t2〜t9の間で変更され、出力電力の大小が調整される。またこれと連動して、スイッチング素子TR3,TR4のオンパルス幅Wsは期間t2〜t3から期間t2〜t8の間で変更される。オンパルス幅Wm,Wsが最小パルス幅Wm0,Ws0に設定されても、スイッチング素子TR1,TR2、特に幅狭側となるスイッチング素子TR3,TR4でも十分にオン可能である。これ以下の極小出力の要求に対しては、PSM制御に切り替わって行われる。
【0048】
[PSM制御]
図2(c)は出力極小の要求がなされた場合であり、PSM制御を行う場合である。基準相となるインバータ回路13のスイッチング素子TR1のオンパルス幅Wmは期間t2〜t4、制御相となる補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3のオンパルス幅Wmは期間t1〜t2に設定される。つまり、スイッチング素子TR1,TR3のオンパルスがともに最小パルス幅Wm0,Ws0を維持しつつ、スイッチング素子TR3側のオンパルスが進み側に位相シフトされ、位相差αを生じさせている。
【0049】
期間t1:インバータ回路13のスイッチング素子TR1のオンに先立って、補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3がオンされる。補助コンデンサC3は充電状態となっている。従って、スイッチング素子TR3はゼロ電流、ゼロ電圧でのオンであり、スイッチングロスは低減されている。
【0050】
期間t2:インバータ回路13のスイッチング素子TR1がオンする。このとき、トランスINTの一次側コイルの漏れインダクタンスにてスイッチング素子TR1はゼロ電流でのオンであり、スイッチングロスは低減されている。そして、このスイッチング素子TR1のオンに基づいて、平滑コンデンサC1からの直流電力がスイッチング素子TR3及びスイッチング素子TR1を介してトランスINTの一次側コイルに供給される。スイッチング素子TR1,TR3の両者がオンする期間はこの期間t2のみである。トランスINTに供給される電流は後の期間t3,t4でも生じるため、期間としては図2(b)のPWM−PSM臨界時と同じであるが、電流ピーク値・平均値が小さくなることから、結果的に電源装置11の出力電力は極小となる。
【0051】
期間t3:補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3がインバータ回路13のスイッチング素子TR1に先立ってオフする。スイッチング素子TR3はゼロ電圧でのオフであり、スイッチングロスは低減されている。スイッチング素子TR3のオフに基づいて、充電状態にある補助コンデンサC3から引き続き直流電力のトランスINTへの供給が継続され、補助コンデンサC3は放電される。
【0052】
期間t4:スイッチング素子TR1のオン、スイッチング素子TR3のオフ状態が継続する。補助コンデンサC3は完全に放電状態となっている。
期間t5:インバータ回路13のスイッチング素子TR1がオフする。このとき、補助コンデンサC3の放電でスイッチング素子TR1はゼロ電圧でのオフであり、スイッチングロスは低減されている。またこのとき、還流ダイオードD2を経由する還流電流が生じて、補助コンデンサC4の充電が行われる。
【0053】
期間t6〜t10:スイッチング素子TR1,TR3のオフ状態が継続する。これにより、期間t6〜t10では出力電力の生成は行われない。
このようにしてスイッチング素子TR1,TR3の組側が動作する半周期が終了し、次の半周期はスイッチング素子TR2,TR4の組側が動作する。
【0054】
そして、このPSM制御時では、スイッチング素子TR1,TR2のオンパルス幅Wm、及びスイッチング素子TR3,TR4のオンパルス幅Wsは最小パルス幅Wm0,Ws0が固定とされ、実値との偏差Xに基づく各制御パルス信号の位相差αが変更されることで、極小出力要求時での出力電力の大小が調整される。従って、電源装置11の出力が一層小さくなっても、スイッチング素子TR1,TR2、特に幅狭側となるスイッチング素子TR3,TR4は依然として十分にオン可能となっている。
【0055】
このように本実施形態の電源装置11では、実値との偏差Xが所定値Xaよりも大となる出力小から出力大までの要求がなされた時は、インバータ回路13及びそれに付随する補助スイッチング回路14に対してオンパルス幅Wm,Wsを調整するPWM制御が行われる。一方、所定値Xaよりも小となる出力極小の要求がなされた時は、インバータ回路13及び補助スイッチング回路14に対してPWM制御時の最小パルス幅Wm0,Ws0のオンパルスを用いたPSM制御が行われるようになっている。これにより、出力が極小要求であっても、インバータ回路13のスイッチング素子TR1,TR2、特にオンパルスが幅狭となる補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3,TR4が確実にオンでき、出力の安定、偏磁等の問題は抑制される。
【0056】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)出力要求が大の時には、インバータ回路13及びこれに連動する補助スイッチング回路14に出力する各制御パルス信号のオンパルス幅Wm,Wsの調整を行うPWM制御が行われ、出力要求が小の時には、インバータ回路13と補助スイッチング回路14との間で対となる各制御パルス信号の相互の位相差αを調整するPSM制御に切り替えられるようになっている。つまり、低出力要求時にそのままPWM制御を実施すると、インバータ回路13及び補助スイッチング回路14の各スイッチング素子TR1〜TR4がオンできない事象が生じ得る。そのため、低出力要求時にはPSM制御に切り替わり、各制御パルス信号のオンパルス幅Wm,Wsを確保した状態、本実施形態ではオン可能な最小パルス幅Wm0,Ws0に固定した状態での位相調整により電流ピーク値・平均値が小さくされ、低出力とされる。これにより、低出力要求時においてもインバータ回路13及び補助スイッチング回路14の各スイッチング素子TR1〜TR4を確実にオンさせることが可能となるため、安定した出力を得ることができる。
【0057】
(2)オンパルス幅Wm,Wsが最小パルス幅Wm0,Ws0を境にPWM制御からPSM制御に切り替えられ、PSM制御時ではスイッチング素子TR1〜TR4が十分にオン可能なその最小パルス幅Wm0,Ws0に固定した状態で各制御パルス信号の位相調整が行われる。これにより、PWM制御から切り替わる際の最小パルス幅Wm0,Ws0を継承してPSM制御に切り替えられることで、インバータ回路13及び補助スイッチング回路14の各スイッチング素子TR1〜TR4が確実にオンされることでの出力安定化とともに、制御が切り替わる際の出力安定化を図ることができる。
【0058】
(3)PSM制御時において、インバータ回路13に出力する制御パルス信号に対して、補助スイッチング回路14に出力する制御パルス信号が進み側にシフトされる。これにより、補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3,TR4が先にオフしてからインバータ回路13のスイッチング素子TR1,TR2がオフするソフトスイッチング動作をこのPSM制御時においても継続でき、スイッチングロスの低減に寄与することができる。
【0059】
(4)PSM制御時において、インバータ回路13に出力する制御パルス信号が固定、補助スイッチング回路14に出力する制御パルス信号がシフトされる。これにより、1つの制御パルス信号のみの位相調整で済むため、位相調整を容易に行うことができる。
【0060】
(5)PSM制御時において、補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3,TR4がオフしてからインバータ回路13のスイッチング素子TR1,TR2がオフするまでの期間(スイッチング素子TR1,TR2のみがオンする期間)が長くなると、一次側で無用な還流電流が生じ得る。しかしながら本実施形態では、PSM制御時のスイッチング素子TR1,TR2のオンパルス幅Wmが最小パルス幅Wm0に設定されることから、無用な還流電流の発生を防止でき、還流電流発生時の導通損低減による省電力化を図ることができる。また、本実施形態のようなアーク加工用電源装置11では、低出力時に大きな出力電流が生じ得るために先の還流電流が生じる時間が長くなりがちであるが、本実施形態ではその還流電流を効果的に低減可能なため、本実施形態のようなアーク加工用電源装置11に適用する意義は大きい。
【0061】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態のPSM制御では、インバータ回路13のスイッチング素子TR1,TR2に出力する制御パルス信号を固定とし、補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3,TR4に出力する制御パルス信号を進み側にシフトさせたが、適宜変更してもよい。
【0062】
例えば図4に示すように、PSM制御時において、インバータ回路13のスイッチング素子TR1,TR2に出力する制御パルス信号を固定とし、補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3,TR4に出力する制御パルス信号を遅れ側にシフトさせてもよい。このようにしても、1つの制御パルス信号のみの位相調整で済むため、位相調整が容易である。
【0063】
また図5に示すように、補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR3,TR4に出力する制御パルス信号を固定とし、インバータ回路13のスイッチング素子TR1,TR2に出力する制御パルス信号を遅れ側にシフトさせてもよい。つまり、上記実施形態と同様に、インバータ回路13に出力する制御パルス信号に対して、補助スイッチング回路14に出力する制御パルス信号が相対的に進み側にシフトされる。このようにしても、PSM制御時においてソフトスイッチング動作の継続が可能である。
【0064】
またこのPSM制御時において、インバータ回路13及び補助スイッチング回路14の各制御パルス信号の一方側を固定、他方側をシフトさせたが、両者を相対的にシフトさせてもよい。この場合、PSM制御時も継続したソフトスイッチング動作を期待する場合、インバータ回路13に出力する制御パルス信号に対して、補助スイッチング回路14に出力する制御パルス信号を相対的に進み側にシフトさせるのが好ましい。
【0065】
更に、インバータ回路13及び補助スイッチング回路14の各制御パルス信号をシフトさせる上記の様々な態様を組み合わせて、制御中に変更させてもよい。
・上記実施形態では、PWM制御からPSM制御への切り替え判定に用いる所定狭パルス幅として最小パルス幅Wm0,Ws0を用いたが、最小でなくてもある程度幅狭の狭パルス幅を用いてもよい。また、PWM制御とPSM制御の切り替えを制御パルス信号のオンパルス幅Wm,Ws以外で行ってもよい。例えば、アーク加工機の使用者が出力を設定するその出力設定値(目標値)に基づいて制御を切り替えるようにしてもよい。具体的に、出力大〜小の設定時にはPWM制御とし、出力極小の設定時にはPSM制御に切り替える。
【0066】
・上記実施形態の電源装置11の構成を適宜変更してもよい。例えば出力変換回路15を整流回路DR2、直流リアクトルDCLで構成したが、負荷に応じて適宜変更してもよい。また、商用電源からの交流入力電力を直流電力に変換する直流変換回路12を用いたが、入力が直流電力であれば省略、若しくは電圧変換回路等であってもよい。
【0067】
・上記実施形態の電源装置11はアーク加工用電源装置であったが、その他の電源装置であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
11 アーク加工用電源装置(電源装置)
13 インバータ回路
14 補助スイッチング回路
15 出力変換回路
21 制御回路(パルス幅変調制御手段、位相シフト制御手段、制御切替手段)
23 制御切替部(制御切替手段)
24 パルス幅算出部(パルス幅変調制御手段)
25 位相差算出部(位相シフト制御手段)
L1〜L3 電源線
C3,C4 補助コンデンサ
INT トランス
TR1,TR2 スイッチング素子(インバータ回路)
TR3,TR4 スイッチング素子(補助スイッチング回路)
Wm,Ws オンパルス幅
Wm0,Ws0 最小パルス幅(所定狭パルス幅)
α 位相差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子が交互にオンオフするスイッチング動作を行い、入力される直流電力を高周波交流電力に変換するハーフブリッジ型のインバータ回路と、前記インバータ回路前段の電源線上に設けられ、前記インバータ回路のスイッチング動作と連動動作するスイッチング素子と該素子後段の電源線間に接続される補助コンデンサとを有する補助スイッチング回路とを備え、
前記インバータ回路及びこれに連動する前記補助スイッチング回路のスイッチング動作を制御して負荷への出力電力の調整を行う出力制御を行うとともに、前記補助スイッチング回路のスイッチング素子を先にオフさせて後にオフする前記インバータ回路のスイッチング素子のスイッチングロスを低減する動作を含むソフトスイッチング制御を行うように構成される電源装置であって、
前記インバータ回路のスイッチング素子に出力する制御パルス信号のオンパルス幅を調整するとともに、これに応じて前記補助スイッチング回路のスイッチング素子に出力する制御パルス信号のオンパルス幅を調整するパルス幅変調制御手段と、
前記インバータ回路のスイッチング素子と前記補助スイッチング回路のスイッチング素子とで対をなす制御パルス信号の相互の位相差を調整する位相シフト制御手段と、
出力要求が大の時には前記パルス幅変調制御手段とし、出力要求が小の時には前記位相シフト制御手段に切り替える制御切替手段と
を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置において、
前記制御切替手段は、前記インバータ回路及び前記補助スイッチング回路の各スイッチング素子が十分にオン可能な所定狭パルス幅より大となる前記オンパルス幅に設定されるような出力要求時には前記パルス幅変調制御手段とし、前記オンパルス幅がその所定狭パルス幅より小となり得る出力要求時には前記オンパルス幅をその所定狭パルス幅に固定した状態での前記制御パルス信号の位相調整を行う前記位相シフト制御手段に切り替えることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電源装置において、
前記位相シフト制御手段は、前記インバータ回路に出力する制御パルス信号に対して、前記補助スイッチング回路に出力する制御パルス信号を相対的に進み側にシフトさせることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電源装置において、
前記位相シフト制御手段は、前記インバータ回路に出力する制御パルス信号と、前記補助スイッチング回路に出力する制御パルス信号との一方側を固定、他方側をシフトさせることを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電源装置において、
前記インバータ回路にて生成された高周波交流電力を電圧調整して二次側に出力するトランスと、前記トランスを介して電圧調整された高周波交流電力から負荷に応じた出力電力に変換する出力変換回路とを備えるものであることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電源装置を用いてアーク加工用出力電力を生成するように構成されたことを特徴とするアーク加工用電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−106403(P2013−106403A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247658(P2011−247658)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】