説明

電着工具の強制冷却システム

【課題】超硬、チタン合金、ニッケル合金などの難削材料の研削加工に際して生産性を高めるのに効果的な電着工具の強制冷却システムを提供する。
【解決手段】電着工具4の本体5の内部に、本体5の取付け用端部5bの側が開放する軸方向の空洞部8を設け、この工具本体5の取付け用端部5bが工作機械の工具駆動主軸1に装着された状態において、前記空洞部8の奥端部8aに冷媒を供給する冷媒供給手段(冷媒供給管9、水滴下ノズル11)を設け、この空洞部8の奥端部8aから熱交換後の冷媒を、前記空洞部8を経由させて工具外に排出するように構成されたシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難削材料の研削加工に際して生産性を高めるのに効果的な電着工具の強制冷却システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、金型材料として超硬(超硬合金)、航空機関連材料としてチタン合金やニッケル合金など、難削材料の研削加工の要求が多くなってきている。これらの材料が難削である理由は、超硬が工作物の場合は、非常に硬く、ダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素(Cubic
Boron Nitride、以下、CBNと略称する)の工具しか刃が立たない状況であるが、生産性を上げようとすると工具温度が上昇し、ダイヤモンドやCBNの本来の強度と硬さが維持できなくなるためである。又、チタン合金やニッケル合金が工作物の場合は、それ自身の熱伝導率が極めて低く、研削加工で発生した熱の多くが工具に流入するため、ここでも工具温度が上昇し、ダイヤモンドやCBNの本来の強度と硬さが維持できなくなるためである。一方、ダイヤモンド又はCBNを砥粒とした電着工具を使用したNC制御の加工が、加工時間及び加工コストの点から有利と考えられ、現場作業としてこの加工が頻繁に要求されている。この工具温度の上昇問題を解決するために、特許文献1などに記載されるように、研削工具の本体内に軸方向に沿ってヒートパイプを内蔵させると共に、当該ヒートパイプの放熱領域を冷却する冷却手段を併設する工具の冷却システムが考えられている。
【特許文献1】特開2005−40925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のヒートパイプ内蔵の工具を使用する冷却システムでは、工具本体に直接冷媒を接触させて熱交換させる直接冷却方式と比較して冷却効率が低いばかりでなく、工具自体の大幅なコストアップを免れず、実用面で十分な効果が期待できない。勿論、直接冷却方式とも言える従来の湿式研削方法のように、工具の外表面に冷却油剤を直接滴下接触させる冷却方法を採用することも考えられるが、加工時以外の空転時は工具を多少冷却することができるものの、加工時には工具の冷却対象部位である工具先端の加工作用部は工作物によって隠れてしまい、冷却油剤が工具先端の加工作用部に全くかからない状態になってしまう。又、仮に高速回転している工具に冷却油剤をかけることができたとしても、工具は高速回転しているので当該工具表面上の遠心力で冷却油剤が飛散してしまい、滴下された冷却油剤の多くは工具先端の加工作用部まで達することはない。即ち、従来の湿式研削方法では、所期の冷却効果は殆ど期待できないのが実情である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し得る電着工具の強制冷却システムを提供することを目的とするものであって、請求項1に記載の電着工具の強制冷却システムは、後述する実施形態の参照符号を付して示すと、電着工具4の本体5の内部に、本体5の取付け用端部5bの側が開放する軸方向の空洞部8を設け、この工具本体5の取付け用端部5bが工作機械の工具駆動主軸1に装着された状態において、前記空洞部8の奥端部8aに冷媒を供給する冷媒供給手段(冷媒供給管9、水滴下ノズル11)を設け、この空洞部8の奥端部8aから熱交換後の冷媒を、前記空洞部8を経由させて工具外に排出するように構成される。
【0005】
上記構成の本発明を実施するについて、具体的には請求項2に記載のように、前記冷媒供給手段は、前記空洞部8内に差し込まれた冷媒供給管9から構成し、この冷媒供給管9から冷媒としての水を、前記空洞部8の奥端部8aで略全量が熱交換により気化する程度の流量で供給し、蒸気が前記空洞部8と冷媒供給管9との間の空隙を経由して工具外に排出するように構成することができる。
【0006】
又、請求項3に記載のように、前記電着工具4は、その工具本体5の取付け用端部5bが工作機械の垂直向きの工具駆動主軸1の下端に装着されるものであって、前記冷媒供給手段は、垂直向きの前記空洞部8の上端開放部(開放端8b)から当該空洞部8内に冷媒としての水を滴下する水滴下ノズル11から構成し、この水滴下ノズル11から水を、前記空洞部8の奥端部8aで略全量が熱交換により気化する程度の流量で滴下供給し、蒸気が前記空洞部8を経由して工具外に排出するように構成することができる。
【0007】
前記電着工具4は、請求項4に記載のように、前記空洞部8を備えた工具本体5を、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの熱伝導率の高い材料から成形したものが望ましい。更に、請求項5に記載のように、前記電着工具4は、前記空洞部8を備えた工具本体5の表面に砥粒6を、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの熱伝導率の高い鍍金材料(鍍金層7)によって電着したものが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
上記請求項1に記載の本発明に係る電着工具の強制冷却システムによれば、工作機械の工具駆動主軸に装着された電着工具の本体先端部、即ち、電着工具の加工作用部をもって工作物を研削加工するとき、当該工具本体に設けられた空洞部の奥端部、即ち、電着工具の加工作用部の内側に冷媒供給手段により冷媒を供給し、この冷媒と電着工具の加工作用部との間で熱交換作用を行わせ、熱交換後の冷媒を、前記空洞部を経由させて工具外に排出するものであるから、重力又は送給圧力で液相又は気相の適当な冷媒を前記空洞部の奥端部に供給しさえすれば、電着工具の加工作用部で発生する熱を確実に前記冷媒に伝播吸収させ、熱交換後の当該冷媒の工具外への排出により、電着工具の加工作用部で発生する熱を確実に除去することができる。
【0009】
即ち、従来のヒートパイプ内蔵の工具を使用する冷却システムと比較して、電着工具の加工作用部を内側から冷媒により直接強制冷却することができるので、その冷却効率は格段に高くなる。又、冷却油剤を工具の外側にかける湿式研削方法に頼る場合と比較して、極めて確実に且つ効率良く電着工具の加工作用部を冷却することができる。従って、先に説明したような難削材料を電着工具で研削加工する際の問題点、即ち、ダイヤモンドやCBNなどの砥粒の本来の強度と硬さが工具温度の上昇により維持できなくなるという問題点を解消し、本発明システムの電着工具を使用して超硬(超硬合金)、チタン合金、ニッケル合金などの難削材料の研削加工を行うことにより、加工時間の短縮や加工コストの低減を図ることができ、延いては電着工具の耐用寿命の大幅な延長効果が期待できるに至ったのである。しかも本発明によれば、電着工具側には、工具本体の遊端部側が開放する空洞部を工具本体の軸方向に形成するだけで良く、ヒートパイプ内蔵の工具を使用する冷却システムを採用するときのように、電着工具自体の大幅なコストアップを伴うこともない。
【0010】
尚、本発明は、冷却したエアーなどの適当な気相の冷媒や、エタノールなどの低沸点の適当な液相の冷媒を工具本体の空洞部の奥端部に、例えば当該空洞部内に差し込まれた冷媒供給管を通じて強制的に送給することによっても実施可能であるが、請求項2に記載の構成によれば、水を使用して本発明を極めて安価に実施することができるだけでなく、熱交換後の高温の水を工具本体内から回収するのではなく、供給した水の略全量を前記空洞部の奥端部で気化させて放出させるのであるから、供給する水量を、その略全量が前記空洞部の奥端部で気化し得る最大量に設定することにより、気化熱による最大の冷却効果を発揮させて、極めて高い強制冷却効果を得ることができる。
【0011】
又、工具本体に形成する前記空洞部を、当該空洞部内に向けて上から滴下させた水滴を当該空洞部の奥端部(下端部)まで到達させることができる程度の内径とすることができる場合には、請求項3に記載の構成を採用して、工具本体の前記空洞部内に差し込まれる冷媒供給管を無くし、システムの構成をシンプルにして、本発明を一層安価に実施することができる。勿論、この請求項3に記載の構成は、電着工具の本体遊端部側が工作機械の垂直向きの工具駆動主軸の下端に装着されるものであって、前記空洞部が上端開放の垂直向きになる場合に限定されるが、請求項2に記載のように、前記空洞部内に差し込まれる冷媒供給管を使用する構成では、電着工具が水平横向きにセットされるような工作機械においても本発明を適用実施することができる。
【0012】
尚、本発明は、ステンレス鋼から成る工具本体にダイヤモンドやCBNをニッケルにより電着した従来の電着工具に対しても適用することができるが、電着工具そのものも、請求項4や請求項5に記載のように改善することが望ましい。即ち、上記のような従来の電着工具では、砥粒のダイヤモンドやCBNは熱伝導率が極めて良く、ヒートシンク特性が優れているにもかかわらず、工具本体のステンレス鋼と電着材料であるニッケルの二材料が電着工具の冷却特性を著しく損ねる結果となっていた。然るに、請求項4や請求項5に記載の構成によれば、工具本体の材料や電着材料に、ステンレス鋼やニッケルと比較して熱伝導率の高い銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などを使用するのであるから、電着工具のヒートシンク特性そのものを高め、請求項1〜3に記載の本発明の構成と相俟って、研削加工で発生した熱を効率よく放散させ、工具先端の加工作用部が高温になることを確実に防止することができる。
【0013】
尚、ステンレス鋼やニッケルと比較して、上記銅などの熱伝導率の高い材料は基本的に機械的強度が低いものであるが、問題は、実際の研削加工時にこれら材料で構成された工具本体や電着層が降伏応力に達するか否かである。この点に関しては、後述するように、実際の研削加工時の実用的な切込み深さに照らして全く問題ないことが確認されている。又、基本的には請求項4と請求項5に記載の構成を同時に採用して、工具本体の材料と電着材料の両方に銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの熱伝導率の高い材料を使用するのが好ましいが、砥粒がダイヤモンドの場合、電着材料としては従来同様にニッケルを使用するのが好ましいことも確認できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の具体的実施例を添付図に基づいて説明すると、本発明の第一実施形態を示す図1において、1は工作機械の垂直向きの工具駆動主軸であって、この工具駆動主軸1の下端部に、従来周知のように、先端にコレットチャック2を備えたスピンドル3が工具駆動主軸1と同心状に取り付けられ、このスピンドル3の下端部に電着工具4がコレットチャック2により同心状に取り付けられる。電着工具4は、図3及び図4にも示すように、一例を挙げると、例えば外径 6mm程度の円柱状の本体5の一端を突曲面状に成形すると共に、この突曲面状先端から軸方向所要領域(例えば15mm程度)の外周面全体にダイヤモンド又はCBNから成る砥粒6を鍍金層7により電着して加工作用部5aを構成し、内部には、適当な内径(例えば直径3.3mm程度)の空洞部8を、その奥端部8aが加工作用部5aの内側に位置するように、本体5の取付け用端部5bの端面から同心状に穿設したものである。従って空洞部8は、本体5の取付け用端部5b側に開放端8bを有する。
【0015】
上記構成の電着工具4は、その本体5の取付け側端部5bにおいて、スピンドル3の下端部にコレットチャック2により同心状に取り付けられる。スピンドル3の内端部には、工具取付け孔3aと連通する貫通孔部3bが同心状に設けられており、工具駆動主軸1のスピンドル取付け孔1aも上端側が開放されている。従って、工具駆動主軸1におけるスピンドル取付け孔1aの上端開放部からスピンドル3の貫通孔部3b及び工具取付け孔3aを経由して、当該スピンドル3に取り付けられている電着工具4の空洞部8内に、当該空洞部8の内径より適当に小径(例えば直径 2mm程度)で撓み剛性の大きな例えばステンレス鋼から成る直線状の冷媒供給管9を差し込むことができる。而して、電着工具4の空洞部8内に冷媒供給管9を、その先端が空洞部8の奥端部8a近傍に達するように差し込んだならば、好ましくは当該冷媒供給管9が空洞部8の内壁面に接触しないように、例えば工具駆動主軸1を支承している工作機械のフレームに当該冷媒供給管9を適当な支持具を介して固定し、この冷媒供給管9を流量の微調整可能なミスト装置10に接続する。
【0016】
工作物に対する上記電着工具4による研削作業は従来周知の方法で行われるが、この研削作業に際して、前記ミスト装置10から適当な流量で冷媒としての水を冷媒供給管9に連続的に供給すると、冷媒供給管9の先端から流出する水は、工具本体5の空洞部8の奥端部8a内に供給され、この空洞部8の周壁から、研削加工作用により発生した加工作用部5aの熱を直接受けて加熱されて気化し、その気化熱による冷却作用により、空洞部8の奥端部8aの周壁、即ち、加工作用部5aを直接冷却することになる。水の気化により発生した蒸気は、冷媒供給管9と空洞部5の内壁面との間の空隙を経由して上昇し、スピンドル3の工具取付け孔3a及び貫通孔部3bから工具駆動主軸1におけるスピンドル取付け孔1aを経由してその上端開放部から外界に自然放出される。空洞部8の奥端部8a内で従って、ミスト装置10から冷媒供給管9に連続的に供給する水の流量を、その水の全量が空洞部8の奥端部8a内で気化して液相で残らない最大流量に設定することにより、工具本体5の加工作用部5aに対する内側からの水の気化熱冷却効果を最大に高め、極めて効率良く工具本体5の加工作用部5aを冷却することができる。
【0017】
図2に示す本発明の第二実施形態では、ミスト装置10に接続された冷媒供給管9を工具本体5の空洞部8内に挿入せず、当該冷媒供給管9の先端に水滴下ノズル11が取り付けられ、この水滴下ノズル11から滴下する水が工具本体5の空洞部8内に、その上端の開放端8bより流入するように、当該水滴下ノズル11が位置決め保持されている。図示例では、水滴下ノズル11がスピンドル3の工具取付け孔3a内に位置決めされているが、工具駆動主軸1におけるスピンドル取付け孔1a内や、工具駆動主軸1のスピンドル取付け孔1aより上方に水滴下ノズル11を配設し、水滴下ノズル11から滴下する水が、スピンドル3の貫通孔部3bから工具取付け孔3aを経由して工具本体5の空洞部8内に滴下流入するように構成しても良い。水滴下ノズル11の位置決め固定は、工作機械のフレームに取り付けた支持具で水滴下ノズル11を直接保持できるときはそのようにし、図示の構造のように水滴下ノズル11を直接保持できないときは、前記支持具で冷媒供給管9を保持して水滴下ノズル11を位置決めすれば良い。
【0018】
本発明の電着工具の冷却システムは以上のように実施することができるものであるが、更に好ましくは、空洞部8を備えた工具本体5は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの、ステンレス鋼と比較して熱伝導率の高い材料によって製造し、この工具本体5に砥粒6を電着する鍍金層7には、ニッケルと比較して熱伝導率の高い、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などを使用する。このように素材を特定して構成された電着工具4によれば、工具本体5の加工作用部5aによる研削加工に伴って発生した熱は、熱伝導率の高い鍍金層7から本体5へ、そして熱伝導率の高い本体5から空洞部5の内壁面に接する水へと極めて効率良く伝達されて放熱され、加工作用部5aが高温になるのを効果的に抑制できる。
【0019】
尚、図5は、本発明システムの一実施形態において研削加工実験を試みたときの強度面での影響を示している。即ち、工具本体5と鍍金層7に銅を使用して構成した電着工具4を図1に示す本発明システムに採用して、超硬V10の工作物を研削した際の、切込み深さ(mm)と工具本体5及び鍍金層7における最大応力(MPa)の関係を有限要素法シミュレーションで解析した結果を、図5に示している。この図から明らかなように、工具本体5と鍍金層7を構成している銅の降伏応力は86.3MPa であるが、切込み深さが 0.3mm(300μm)までは降伏応力に達していない。換言すれば、実用的な切込み深さは、5μm程度であるから、ステンレス鋼と比較して機械的強度が低い銅を工具本体5と鍍金層7に使用しても、強度的に全く問題ないことが明らかである。
【0020】
図6は、同図中に示す同じ加工条件の元で超硬V10の研削加工を行ったときの工具寿命、即ち、研削により母材から除去できた総量である総研削量(mm3)の比較結果を示しており、同図中、Aは、工具本体に空洞部8が設けられていない従来の中実工具本体から成る電着工具を、一切の冷却システムを利用しない環境で研削加工に供した場合の総研削量を示し、Bは、特許文献1に記載されるように、工具本体内にヒートパイプを内蔵させると共に、当該ヒートパイプの放熱領域を冷却する冷却手段を併設した従来の冷却システムを利用した場合の総研削量を示し、Cは、上記のように工具本体5と鍍金層7に銅を使用して構成した電着工具4を図1に示す本発明システムに採用した場合の総研削量を示している。この図6からも明らかなように、上記のように工具本体5と鍍金層7に銅などの熱伝導率の高い材料を使用して構成した電着工具4を本発明システムに採用することにより、上記のような従来システムと比較して、電着工具に対する極めて大きな冷却能力を得ることができ、難削材料である超硬、チタン合金、ニッケル合金などの研削加工の際に、厳しい加工条件にしても工具を低温に維持できるため、工具寿命を大幅に延長させて、生産性の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第一実施形態を示す要部の縦断側面図である。
【図2】本発明の第二実施形態を示す要部の縦断側面図である。
【図3】電着工具の縦断側面図である。
【図4】図3のA部の拡大図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る電着工具の機械的強度に関する実験データを示すグラフである。
【図6】従来システムと本発明の一実施形態に係るシステムとにおける工具寿命に関する実験データを示すグラフである。
【符号の説明】
【0022】
1 工具駆動主軸
1a 工具駆動主軸のスピンドル取付け孔
2 コレットチャック
3 スピンドル
3a スピンドルの工具取付け孔
3b スピンドルの貫通孔部
4 電着工具
5 工具本体
5a 工具本体の加工作用部
5b 工具本体の取付け用端部
6 砥粒
7 砥粒電着用鍍金層
8 工具本体の空洞部
8a 空洞部の奥端部
8b 空洞部の開放端
9 冷媒供給管
10 ミスト装置
11 水滴下ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電着工具の本体内部に、当該工具本体の取付け用端部側が開放する軸方向の空洞部を設け、この工具本体の取付け用端部が工作機械の工具駆動主軸に装着された状態において、前記空洞部の奥端部に冷媒を供給する冷媒供給手段を設け、この空洞部の奥端部から熱交換後の冷媒を、前記空洞部を経由させて工具外に排出するように構成された、電着工具の強制冷却システム。
【請求項2】
前記冷媒供給手段は、前記空洞部内に差し込まれた冷媒供給管から成り、この冷媒供給管から冷媒としての水を、前記空洞部の奥端部で略全量が熱交換により気化する程度の流量で供給し、蒸気が前記空洞部と冷媒供給管との間の空隙を経由して工具外に排出するように構成された、請求項1に記載の電着工具の強制冷却システム。
【請求項3】
前記電着工具は、その工具本体の取付け用端部が工作機械の垂直向きの工具駆動主軸の下端に装着されるものであって、前記冷媒供給手段は、垂直向きの前記空洞部の上端開放部から当該空洞部内に冷媒としての水を滴下する水滴下ノズルから成り、この水滴下ノズルから水を、前記空洞部の奥端部で略全量が熱交換により気化する程度の流量で滴下供給し、蒸気が前記空洞部を経由して工具外に排出するように構成された、請求項1に記載の電着工具の強制冷却システム。
【請求項4】
前記電着工具は、前記空洞部を備えた工具本体が、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの熱伝導率の高い材料から成形されている、請求項1〜3の何れか1項に記載の電着工具の強制冷却システム。
【請求項5】
前記電着工具は、前記空洞部を備えた工具本体の表面に砥粒が、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの熱伝導率の高い鍍金材料によって電着されている、請求項4に記載の電着工具の強制冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−214186(P2009−214186A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57328(P2008−57328)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000215006)津根精機株式会社 (10)
【Fターム(参考)】