説明

電磁シールド部屋におけるドア構造

【課題】ドアに強い押し付け力を与える押圧機構を設ける必要がなくかつ短時間で開閉でき、しかも長期に渡り導電性を確保して電磁波の侵入を確実に防止することができる電磁シールド部屋におけるドア構造を提供すること。
【解決手段】ドア10の開放時に開口6側に面する表面板12aを導電材とし、該表面板12aの外周囲には連続した溝条13が設けられ、溝条13の底面13bに両内側面13a,13aと離間して対向する弾性変形可能な両側片15A,15Aを有する外側に向けて開口した断面略コ字形の導電材からなる受部材15を設け、両側片15A,15Aの互いが対向する内側面に、弾性変形可能な導電材からなる緩衝材17,18を設け、開口6に、ドア10に向けて部屋1aの導電材3に導通する嵌合片8を突設し、ドア10による開口6の閉塞状態で嵌合片8の外側面8aと緩衝材17,18の各々とを当接させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲を導電材により覆った部屋の一部に開口を設け、該開口を開閉可能な導電材を使用したドアを設け、該ドアにより前記開口を閉塞した状態で、ドアの周縁部と前記開口の周縁部とを導通させて、外部から部屋内への電磁波の進入も部屋から外部への電磁波の漏洩も防止することができるようにした電磁シールド部屋におけるドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
外部から部屋内への電磁波の進入や部屋から外部への電磁波の漏洩を防止するようにした従来の電磁シールド部屋におけるドア構造は、導電材により覆った部屋の一部に開口を設けるとともに、この開口を開閉する導電材を使用したドアを設け、開口を構成する上枠材と左右の竪枠材の外周面に導電性のシールドパッキンを装着し、ドアの下部に上下方向に移動可能な導電性のシールドパッキンを装着した閉鎖部材を取り付けて、ドアにより開口を閉塞した時に、ドアの外周面とシールドパッキンと当接させた上で、押圧機構によりドアの外周面とシールドパッキンを押し付けて密着させることで、電磁波の進入を防止していた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−101074号公報(段落0017、0018及び0024、図2、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1における電磁シールド部屋におけるドア構造は、ドアの外周面とシールドパッキンを確実に密着させるために押圧機構が必要でコスト高になるばかりでなく、押圧機構の操作をドアの開閉のために常に行わなければならず操作に手間が掛かり、しかもドア閉塞時に押圧操作を怠ると電磁波が侵入する虞があった。また、シールドパッキンを長時間閉塞しているためその劣化が激しく長期に渡り導電性を確保することに難点があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、ドアに強い押し付け力を与える押圧機構を設ける必要がなくかつ短時間で開閉でき、しかも長期に渡り導電性を確保して電磁波の侵入を確実に防止することができる電磁シールド部屋におけるドア構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の電磁シールド部屋におけるドア構造は、周囲を導電材により覆った部屋の一部に開口を設け、該開口を開閉可能な導電材を使用したドアを設け、該ドアにより前記開口を閉塞した状態で、ドアの外周縁部と前記開口の内周縁部とを導通させて、外部から部屋内への電磁波の進入も部屋内から外部への電磁波の漏洩も防止することができるようにした電磁シールド部屋におけるドア構造において、前記ドアによる前記開口の閉塞状態で、ドアの外周縁部と前記開口の内周縁部とを対向させるとともに、前記ドアの開放時に前記開口側に面する表面板が少なくとも導電材として構成され、該表面板の外周囲には連続した溝条が設けられ、該溝条の底面には、該溝条の両内側面と離間して対向する弾性変形可能な両側片を有する外側に開口した断面略コ字形の導電材からなる受部が設けられ、該受部における両側片の互いが対向する内側面には、弾性変形可能な導電材からなる緩衝材が設けられ、更に前記開口にはドア側に向けて前記部屋の導電材に導通する導電材からなる嵌合片が突設されており、該嵌合片の両側と前記緩衝材の各々とが当接していることを特徴としている。
この特徴によれば、導電性を確実に維持するためにドアに強い押し付け力を与える付加装置の必要がないので、ドアの開閉に時間を要すことがないばかりでなく、部屋とドアの接触部材の早期交換の必要がなく、しかも安価に構築できる。
【0007】
本発明の請求項2に記載の電磁シールド部屋におけるドア構造は、請求項1に記載の電磁シールド部屋におけるドア構造であって、前記緩衝材が、スポンジ状の芯材を導電性ファブリックで覆ったものであることを特徴としている。
この特徴によれば、ドアによって開口を閉塞状態とする時に、受部の両側片に設けた緩衝材間に嵌合片を軽い力で入れることができ、耐久性が向上すると共に、ドアと部屋との導電性も充分に確保することができる。
【0008】
本発明の請求項3に記載の電磁シールド部屋におけるドア構造は、請求項1または2に記載の電磁シールド部屋におけるドア構造であって、前記受部における両側片の略中央部に屈曲部を形成し、該屈曲部から先を外方に向けて互いが遠ざかる方向に拡開させ、前記屈曲部を挟んだ基側と先側に各々別の緩衝材を内設したことを特徴としている。
この特徴によれば、ドアによって開口を閉塞状態とする時に、受部の両側片に設けた緩衝材間に嵌合片をより軽い力で入れることができ、かつ、各緩衝材と嵌合片との接触箇所が増えるため、ドアと部屋との導電性をより確実に確保することができる。
【0009】
本発明の請求項4に記載の電磁シールド部屋におけるドア構造は、請求項1に記載の電磁シールド部屋におけるドア構造であって、前記緩衝材が、長手方向に並ぶ多数の板バネ材であることを特徴としている。
この特徴によれば、緩衝材を板バネ材で構成したので、安価でかつ製作が容易であり、ドアによって開口を閉塞状態とする時に、受部の両側片に設けた多数の板バネ材間に嵌合片を軽い力で入れることができるとともに、ドアと部屋との導電性も確実に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施例1における電磁シールド部屋およびシールドドアの全体像を示す部分切り欠き斜視図であり、図2は、図1のA−A断面図であり、図3は、図1のB−B断面図であり、図4(a)は、受部材の一部破断斜視図であり、図4(b)は、シールドドアの溝条内に設けられた受部材の断面図であり、図5は、電磁シールド部屋の開口を閉塞するシールドドアが開放された状態を示す斜視図であり、図6は、シールドドアで開口を閉塞する過程を示す要部拡大断面図で、(a)は閉塞前の状態、(b)は開口側の嵌合片に受部材が当接された状態、(c)はシールドドアの閉塞状態を示す。
【0012】
この電磁シールド部屋1は、主に病院に設置される生体検査部屋(心電図部屋・脳波部屋・筋電図部屋・誘発電位部屋・平衡機能部屋・聴力検査部屋・MRI部屋)等に用いられ、外部からの電波(例えば、携帯電話・院内無線LANおよび医用テレメータ等の無線システム)による医療機器の誤作動の発生を防止するために使用され、特に医療現場では電磁波が発生する機器および電磁波による影響を受けやすい機器とが混在しているとともに、近年では前述の携帯電話や無線のように発生源が移動して障害の原因が掴みにくい状況である。
【0013】
そこで、図1に示されるように、外部からの電磁波を遮蔽するために電磁シールド部屋1が利用される。また、研究機関の実験部屋等で部屋内の電磁波を外部に漏出させない場合にも、同様に電磁シールド部屋1が利用される。この電磁シールド部屋1には、多層の内壁(本実施例では三層構造)が設けられており、部屋内1aを覆う第一層として、仕上内装材2、第2層として、溶融亜鉛メッキしたシールド鋼板3、第三層として、電磁シールド部屋1を支える建築構造体4が用いられている。
【0014】
電磁シールド部屋1には、通路9側に連通する縦長矩形の開口6が形成されるとともに、その近接位置に部屋内1aの内部観察を兼ねた安全確保のための電磁波遮断機能を備えたシールド窓5が設置されている。この開口6にはシールドドア10が複数のヒンジ10bを介して取り付けられ、ノブ10aの操作によってシールドドア10を通路9側に開閉可能になっている。このシールドドア10には電波や磁気を遮断するシールド層が適用されている。以下、本実施例の説明において、図1で示した電磁シールド部屋1の通路9側を前方をとし、電磁シールド部屋1の部屋内1a側を後方として説明する。
【0015】
尚、特に図示しないが、電磁シールド部屋1には隣接または近接して電源ラインフィルターを備えたフィルターボックスおよび絶縁トランスが設置され、溶融亜鉛メッキしたシールド鋼板3に接続されており、電磁シールド部屋1の外部および内部からシールド鋼板3に導電された電磁波が確実に遮断されるとともに、部屋内1aに設けられた照明等の電源線から発生するノイズを遮断する。つまり、部屋内1aに設置される機器は外部からの電磁波の影響を受けず、電磁シールド部屋1の外部に設置される機器も部屋内1aの機器からの電磁波の影響を受けない構成になっている。
【0016】
次に、開口6およびシールドドア10について具体的に説明する。図2および図3に示されるように、シールドドア10が開口6に閉塞された状態においては、開口6の内周縁部7と、シールドドア10の外周縁部11とが互いに対向している。そして、開口6からシールドドア10に向けて突出した導電性を有する嵌合片8がボルト20で前述したシールド鋼板3を介して建築構造体4に強固に固定されている。
【0017】
開口6を閉塞するシールドドア10は、部屋内1a側に表面板12aを有する鋼板で成形された縦長矩形の後方扉部12Aと通路9側に外面板12bを有する同じく鋼板で成形された前方扉部12Bとを一体的に接合されており、この後方扉部12Aと前方扉部12Bは鋼板の表面全てに溶融亜鉛メッキが施されている。後方扉部12Aの外周部近傍には、部屋側に開口する連続した溝条13が形成されている。
【0018】
尚、このシールドドア10の閉塞時においては、シールドドア10の前方扉部12Bに設けられた鈎部10cが、開口6側に形成された鈎受け凹部7bに係合してロックされ、シールドドア10の安易な開放が阻止されている。特に図示しないが、電磁シールド部屋1は厳重に管理されており、シールドドア10およびその近傍には別途セキュリティーの高いロック機構が設けられている。
【0019】
次いで、受部材15について図4(a)、図4(b)に基づき具体的に説明する。受部材15は導電性のある金属板が折り曲げて断面視略コ字状に成型され、両側に弾性変形可能な溝条13の内側面13aから離間して対向するバネ製銅合金から成る側片15A,15Aと、この両側片15A,15Aに連接した底片15Bを有している。側片15A,15Aの略中央部が屈曲されて屈曲部を構成し、この屈曲部の基側は垂直部15c,15cを、屈曲部の先側は、両遊端の先が部屋内側に向かって互いに遠ざかる方向に拡開された拡開部15a,15aを構成するように形成されている。
【0020】
垂直部15c,15cの互いに対向する内側面に沿って、断面視矩形の緩衝材17,17が各々設けられており、同様に拡開部15a,15aの互いに対向する内側面に沿って、緩衝材18,18が各々設けられている。これら緩衝材17,18は内部に弾性力の有するウレタンスポンジの芯材17a,18aが設けられ、その外周に導電性があり滑り性を備えた金属膜シート材からなる導電性ファブリック17b,18bで無端状に覆われおり、この導電性ファブリック17b,18bと、垂直部15cおよび拡開部15aとが互いに各々導電可能に溶着されている。底片15Bには、ボルト貫通孔15bが所定間隔毎に複数形成されており、ボルト19がボルト貫通孔15bを介して溝条13の底面13bに形成されたボルト穴13b’に螺着され、受部材15が固定されている。
【0021】
図5および図6(a)に示されるように、開口6からシールドドア10が開放され、部屋内1aと通路9が連通された状態から、ノブ10a等を利用して再度シールドドア10を開口6に向けて移動していくと、シールドドア10はヒンジ10bの上下軸を中心にしてドア外周縁部10aが開口内周縁部7に向かって移動する。
【0022】
そしてシールドドア10が開口6に向かって更に移動すると、図6(b)に示されるように、仕上内装材2のシールドドア10側に突出した部分を導電性の金属で覆った嵌合片8の外側面8a先端が一方の緩衝材18に当接され、導電性ファブリック18bに沿って受部材15の中心に向けて案内されていく。このとき側片15Aが溝条13の内側面13aから離間しているので、拡開部15a,15aが嵌合片8に向けて拡開でき、嵌合片8の先端が円滑かつ確実に受部材15内に案内される。嵌合片8の緩衝材18への当接時には、スポンジ状の芯材18aの弾性力および側片15Aの弾性変形によって、嵌合片8の拡開部15aへの衝撃が避けられ、受部材15および嵌合片8の耐久性が向上すると共に、側片15Aには常に内側方向への弾性復帰力(バネ力)が付与されることになり、両者の密着性を高めることができる。
【0023】
シールドドア10が完全に閉塞状態になると、図6(c)に示されるように、嵌合片8の先端が垂直部15c,15cに設けられた緩衝材17,17間に挟持されるように案内され、嵌合片8の先端近傍の外側面8a,8aと導電性ファブリック17b,18bとが密着して嵌合されることにより、電磁シールド部屋1の部屋内1aが電磁波から遮断される。また、緩衝材17,18と嵌合片8との嵌合により、開口6とシールドドア10の間に隙間を生じさせることがなく、気密性が充分に確保されるとともに、嵌合片8が独立して変位可能な2対の緩衝材17,18により当接しているので、シールドドア10と電磁シールド部屋1との導電性をより確実に確保することができる。
【0024】
特に図示しないが、シールドドア10を開放する過程では、前述の嵌合片8と受部材15との嵌合過程とは逆の過程で両部材8,15の嵌合状態が解除され、開口6からシールドドア10の開放が行われるとともに、受部材15の側片15A,15Aの弾性復帰力により、嵌合前の状態に復元される。
【0025】
そしてシールドドア10の開閉が繰り返し行われた場合においても、側片15A,15Aには、弾性変形可能な金属板が用いられているので、受部材15に衝撃が加わることがなく、長期に使用が可能であり、しかもシールドドア10の押し付け装置を備える必要がないので、シールドドア10の開閉に時間を要すことが避けられ、しかもコストも安価に抑えることができる。また、芯材17a,18aが導電性ファブリック17b,18bで覆われ、導電性を有する側片15A,15Aに溶着されているので、導電材であるシールド鋼板3に接続される嵌合片8と、後方扉部12Aとの導電性が受部材15を介して確保されるので、外部から部屋内1aへの電磁波の侵入と部屋内1aから外部への電磁波の漏洩とを確実に防止することができる。
【0026】
尚、上述した本実施例においては、電磁シールド部屋1に対するシールドドア10の取り付けが通路9側に開放される外開き仕様となっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、特に図示しないが例えば変形例として、このシールドドア10が部屋内1aに向けて押し込むことで開放される内開き仕様としてもよい。この場合、実施例1とは逆に、嵌合片を部屋内1aに向けて突設し、シールドドア10の開口側の前方扉部の外周囲に溝条を設け、この溝条内に嵌合片を嵌合可能な受部材を設けることで、シールドドアを内開き仕様に仕立て、外部から部屋内1aへの電磁波の侵入と部屋内1aから外部への電磁波の漏洩とを確実に防止する。
【実施例2】
【0027】
次に、本発明の実施例2を図7に基づいて説明する。図7(a)は、本発明の実施例2における受部材の一部破断斜視図であり、図7(b)は、シールドドアの閉塞過程に開口側の嵌合片に受部材が当接された状態を示す要部拡大断面図であり、図7(c)は、シールドドアの閉塞完了時における嵌合片と受部材の状態を示す要部拡大断面図である。尚、以下の実施例2において前述の実施例1と同様の構造部分に関しては、同一の符号を付すことにより詳細な説明は省略することにする。
【0028】
実施例2の受部材21について説明する。受部材21は導電性のある金属板が折り曲げて断面視略コ字状に成型され、図7(c)に示すように、両側に弾性変形可能な溝条13の内側面13aから離間して対向するバネ製銅合金から成る側片22,22と、この両側片22,22に連接した底片23を有している。そして、互いに対向する側片22,22の内側面には、それぞれ導電性の金属板により折り曲げ形成された緩衝材である板バネ材25,25が、側片22,22の長手方向に沿って導電可能に設けられている。底片23にはボルト貫通孔23’が形成され、ボルト19がボルト貫通孔23’を介して溝条13の底面13bに形成されたボルト穴13b’に螺着され、受部材21が固定されている。
【0029】
さらに、板バネ材25,25は側片22,22に接続される取付片25b,25bと、図7(a)に示すように、弾性変形可能に互いに向き合う断面視半円弧状に湾曲形成された弾性片25a,25aとで構成されている。弾性片25a,25aは側片22,22の長手方向に沿って多数に分割され、この分割された弾性片25a,25a毎に個々に弾性バネ力が付与され、弾性片25a,25aの遊端側は取付片25b,25bに対して可動であり、所要量の移動を取付片25b,25bの下部折り返し部25cで保持している。そしてシールドア閉塞時には、図7(c)に示されるように、嵌合片8の外側面8a,8aが弾性片25a,25aに摺接され、側片22,22の弾性力により保持される。
【0030】
以上の説明により実施例2では、両側片22,22の内側に弾性片25a,25aが設けられたことで、シールドドア10の開閉過程において、嵌合片8が弾性片25a,25aに沿って円滑に案内されるとともに、一時的に受部材21が嵌合片8と強く当接しても弾性片25a,25aの遊端側が取付片25b,25bに沿って移動できるので、衝撃が吸収でき、弾性片25a,25aと嵌合片8の嵌合解除時に、弾性片25a,25aが元の位置に復帰できる。
【0031】
しかも、弾性片25a,25aが多数に分割され、弾性バネ力が調整され均等に嵌合片8に加えられることから、受部材21の両側片22,22に設けた多数の板バネ材25,・・・間に嵌合片8の衝撃を吸収しながら嵌入できとともに、シールドドア10と開口6側との導電性も確実に確保される。
【0032】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれ、例えば上記実施例では、スポンジ状の芯材17a,18aを導電性ファブリック17b,18bで覆うことで、緩衝材17,18に導電性を備え側片15A,15Aへの伝導性を向上したことから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、導電性ファブリックを設けることなく、スポンジ状の芯材内に導電性に優れた金属粉を含有させることで、導電性と緩衝性を兼ね備えた緩衝材を構成しても良い。
【0033】
また、上記実施例では、側片15A,15Aを略中間部で屈曲して拡開部15a,15aを設けているが、屈曲させずに案内片を別途、側片15A,15Aの先端側に設けるようにしても良い。
【0034】
また、上記実施例では、シールドドア10の部屋内1a側の表面板12aに導電材を適用したが、通路9側の外面板12bに導電材を用いても良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例1における電磁シールド部屋およびシールドドアの全体像を示す部分切り欠き斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】(a)は、受部材の一部破断斜視図であり、(b)は、シールドドアの溝条内に設けられた受部材の断面図である。
【図5】電磁シールド部屋の開口を閉塞するシールドドアが開放された状態を示す斜視図である。
【図6】シールドドアで開口を閉塞する過程を示す要部拡大断面図で、(a)は閉塞前の状態、(b)は開口側の嵌合片に受部材が当接された状態、(c)はシールドドアの閉塞状態を示す。
【図7】(a)は、本発明の実施例2における受部材の一部破断斜視図であり、(b)は、シールドドアの閉塞過程に開口側の嵌合片に受部材が当接された状態を示す要部拡大断面図であり、(c)は、シールドドアの閉塞完了時における嵌合片と受部材の状態を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 電磁シールド部屋
1a 部屋内(部屋)
2 仕上内装材
3 溶融亜鉛メッキしたシールド鋼板(導電材)
4 電磁シールド部屋を支える建築構造体
5 シールド窓
6 開口
7 開口内周縁部
7b 鈎受け凹部
8 嵌合片(導電材)
8a 外側面
9 通路
10 シールドドア
10a ノブ
10b ヒンジ
10c 鈎部
11 ドア外周縁部
12A 後方扉部
12a 表面板(導電材)
12B 前方扉部
12b 外面板(導電材が好ましい)
13 溝条
13a 内側面
13b 底面
13b’ ボルト穴
15 受部材(導電材からなる受部)
15A 弾性変形可能な側片
15a 拡開部(受部の先側)
15B 底片
15b ボルト貫通孔
15c 垂直部(受部の基側)
17、18 緩衝材
17a、18a スポンジ状の芯材
17b、18b 導電性ファブリック(導電材)
19、20 ボルト
21 受部材(導電材からなる受部)
22 弾性変形可能な側片
23 底片
23’ ボルト貫通孔
25 板バネ材(導電性を備えた緩衝材)
25a 弾性片
25b 取付片
25c 折り返し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲を導電材により覆った部屋の一部に開口を設け、該開口を開閉可能な導電材を使用したドアを設け、該ドアにより前記開口を閉塞した状態で、ドアの外周縁部と前記開口の内周縁部とを導通させて、外部から部屋内への電磁波の進入も部屋内から外部への電磁波の漏洩も防止することができるようにした電磁シールド部屋におけるドア構造において、前記ドアによる前記開口の閉塞状態で、ドアの外周縁部と前記開口の内周縁部とを対向させるとともに、前記ドアの開放時に前記開口側に面する表面板が少なくとも導電材として構成され、該表面板の外周囲には連続した溝条が設けられ、該溝条の底面には、該溝条の両内側面と離間して対向する弾性変形可能な両側片を有する外側に開口した断面略コ字形の導電材からなる受部が設けられ、該受部における両側片の互いが対向する内側面には、弾性変形可能な導電材からなる緩衝材が設けられ、更に前記開口にはドア側に向けて前記部屋の導電材に導通する導電材からなる嵌合片が突設されており、該嵌合片の両側と前記緩衝材の各々とが当接していることを特徴とする電磁シールド部屋におけるドア構造。
【請求項2】
前記緩衝材が、スポンジ状の芯材を導電性ファブリックで覆ったものである請求項1に記載の電磁シールド部屋におけるドア構造。
【請求項3】
前記受部における両側片の略中央部に屈曲部を形成し、該屈曲部から先を外方に向けて互いが遠ざかる方向に拡開させ、前記屈曲部を挟んだ基側と先側に各々別の緩衝材を内設した請求項1または2に記載の電磁シールド部屋におけるドア構造。
【請求項4】
前記緩衝材が、長手方向に並ぶ多数の板バネ材である請求項1に記載の電磁シールド部屋におけるドア構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−184436(P2007−184436A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−2005(P2006−2005)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【出願人】(000153616)株式会社巴コーポレーション (27)
【Fターム(参考)】