説明

電磁波遮蔽扉

【課題】 この発明は、ハンドル軸を電磁波遮蔽扉本体に導電接続する電磁波遮蔽材の交換を迅速容易に行える電磁波遮蔽扉を提供するものである。
【解決手段】 電磁波遮蔽扉本体2の扉操作部30に導電性筒部材36の一端を溶着し他端に導電性環状塞ぎ部材38を設ける。扉操作部30の貫通孔31に抜き差し可能に挿通されるハンドル軸34の導電性筒部材36と対応する位置に導電性筒部材36の筒孔37に収容可能な導電性環状体43を着脱自在に設ける。そのハンドル軸34を筒孔37に挿通した状態で、導電性環状体43と導電性筒部材36との間の隙間を電磁波遮蔽可能な電磁波遮蔽材25を導電性環状体43に設ける。ハンドル軸34に導電性環状体43を着脱することで電磁波遮蔽材25の交換が迅速容易にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波遮蔽扉本体と、ラッチ部材を進退操作するハンドル軸との間に電磁波遮蔽材を設けた電磁波遮蔽扉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電磁波遮蔽扉として特許文献1、2に開示のものがある。これら特許文献1、2では、電磁波遮蔽扉本体に電磁波遮蔽扉枠体に係脱可能なラッチ部材を設け、扉開閉方向へ貫通している貫通孔に抜き差し可能に挿通されたハンドル軸を設けてあり、ラッチ部材の電磁波遮蔽扉枠体との係合を外すため回動操作されるそのハンドル軸の周囲に電磁波遮蔽材を設けるものが開示されている。このハンドル軸の周囲に設けた電磁波遮蔽材によってハンドル軸とハンドル軸周囲から漏洩する電磁波を遮蔽するようになっている。特許文献1では、扉本体から突出するように備えられた筒状の電磁波シールド材と回転軸(ハンドル軸)との間に隙間空間を設け、隙間空間に金属繊毛(電磁波遮蔽材)を充填してある。また、扉本体の電磁波シールド材と筒状の電磁波シールド材間にも隙間空間を設けて金属繊毛を充填してある。金属繊毛は回転軸の回転にともなって形態を変化させたり、位置を移動させたりしながら、回転軸を介して電磁波が漏洩するのを防止している。この金属繊毛が磨耗等した場合には、ラッチ部材を備えた凸部を扉本体から取外して金属繊毛を交換できるようになっている。特許文献2では、扉本体のレバー装置の操作軸(ハンドル軸)の貫通部分に導電性シール材を貼り、更に、扉本体と操作軸間の内部隙間にステンレス繊毛等の導電性シール材(電磁波遮蔽材)を充填している。これにより、扉本体と操作軸との隙間を減らすと共に操作軸を導電性シール材を介して扉本体の金属製面板に導電接続して、操作軸を介して伝わる電磁波を遮蔽するようにしている。
【0003】
【特許文献1】特許第3576084号公報
【特許文献2】特許第2926094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ハンドル軸の回動により電磁波遮蔽材が消耗したり経年変化するため、凸部と電磁波シールド材とを扉本体から取外して電磁波遮蔽材を交換できるようになっている。しかし、隙間空間に電磁波遮蔽材としての金属繊毛を充填しているので、ハンドル軸が金属繊毛に引っかからないように挿通するように金属繊毛を充填することが難しい。また、金属繊毛の交換のため電磁波シールド材を取外すためには、ドアノブを外してラッチ部材ごと凸部を取外さなければならず、金属繊毛が交換し難い問題がある。
特許文献2では、単に扉本体とハンドル軸の間に電磁波遮蔽材を充填しているだけであり、電磁波遮蔽材の交換については考慮されていないので、電磁波遮蔽材の交換が行えない問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、ハンドル軸を電磁波遮蔽扉本体に導電接続する電磁波遮蔽材の交換を迅速容易に行える電磁波遮蔽扉を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、電磁波遮蔽扉枠体に電磁波遮蔽扉本体を開閉自在に設け、電磁波遮蔽扉本体の先端部に電磁波遮蔽扉枠体に係脱可能なラッチ部材と、扉開閉方向へ貫通している貫通孔と、貫通孔に回動操作可能で抜き差し可能に挿通され、電磁波遮蔽扉本体に導電接続されているハンドル軸を夫々設け、ハンドル軸の回動操作によりラッチ部材の電磁波遮蔽扉枠体との係合を外すようにしてある電磁波遮蔽扉において、電磁波遮蔽扉本体に貫通孔の内面を形成する導電性筒部材を電磁波遮蔽扉本体に導電接続するように設け、前記導電性筒部材の内面で形成した筒孔に収容可能な導電性環状体をハンドル軸の導電性筒部材に対応する位置に着脱自在に設け、導電性環状体の外周に筒孔内面との間の隙間を電磁波遮蔽可能な電磁波遮蔽材を全周に亘って設け、導電性環状体をハンドル軸に着脱することで電磁波遮蔽材を容易に交換できるようにした。
【0007】
請求項2に記載の発明は、電磁波遮蔽扉枠体に電磁波遮蔽扉本体を開閉自在に設け、電磁波遮蔽扉本体の先端部に電磁波遮蔽扉枠体に係脱可能なラッチ部材と、扉開閉方向へ貫通している貫通孔と、貫通孔に回動操作可能で抜き差し可能に挿通され、電磁波遮蔽扉本体に導電接続されているハンドル軸を夫々設け、ハンドル軸の回動操作によりラッチ部材の電磁波遮蔽扉枠体との係合を外すようにしてある電磁波遮蔽扉において、電磁波遮蔽扉本体に貫通孔の内面を形成する導電性筒部材を電磁波遮蔽扉本体に導電接続するように設け、導電性筒部材の内面で形成した筒孔に導電性環状体を着脱自在に設け、導電性環状体の内周にハンドル軸との間の隙間を電磁波遮蔽可能な電磁波遮蔽材を全周に亘って設け、導電性環状体を導電性筒部材に着脱することで電磁波遮蔽材を容易に交換できるようにした。
請求項3に記載の発明は、電磁波遮蔽材を導電性のモヘア材で構成したことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、導電性筒部材の扉本体内側端部を導電性環状体の外径より小さくてハンドル軸を回転可能に挿通する挿通孔を形成した導電性環状塞ぎ部材で塞いで軸挿通体収容空間を形成し、導電性環状体を軸挿通体収容空間に位置させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願の請求項1の発明では、電磁波遮蔽扉本体に貫通孔の内面を形成する導電性筒部材を電磁波遮蔽扉本体に導電接続するように設け、前記導電性筒部材の内面で形成した筒孔に収容可能な導電性環状体をハンドル軸の導電性筒部材に対応する位置に着脱自在に設け、導電性環状体の外周に筒孔内面との間の隙間を電磁波遮蔽可能な電磁波遮蔽材を全周に亘って設け、導電性環状体をハンドル軸に着脱することで電磁波遮蔽材を容易に交換できるようにした。また、本願の請求項2の発明では、電磁波遮蔽扉本体に貫通孔の内面を形成する導電性筒部材を電磁波遮蔽扉本体に導電接続するように設け、導電性筒部材の内面で形成した筒孔に導電性環状体を着脱自在に設け、導電性環状体の内周にハンドル軸との間の隙間を電磁波遮蔽可能な電磁波遮蔽材を全周に亘って設け、導電性環状体を導電性筒部材に着脱することで電磁波遮蔽材を容易に交換できるようにした。このため、電磁波遮蔽材を導電性環状体と一体に着脱することができ、迅速に交換することができる。また、導電性筒部材の全周に亘る電磁波遮蔽材によりハンドル軸と電磁波遮蔽扉本体とを導電接続したので、ハンドル軸や隙間を介しての電磁波の伝播(漏洩)を高精度に防止できる。
【0009】
また、本願の請求項3の発明では、電磁波遮蔽材を導電性のモヘア材で構成したので、導電性モヘア材の先端部が筒孔内周面全体またはハンドル軸外周面全体と常に接触しているので電磁波遮蔽性能が高く、導電性モヘア材を導電性環状体の外周と筒孔内面との間の隙間や導電性環状体の内周とハンドル軸との間の隙間を各隙間より毛足の長いものとすれば、導電性モヘア材が変形して接続するので、導電性モヘア材の接触面積が大きく均等となり、より電磁波遮蔽性能が高くなる。
また、本願の請求項4の発明では、導電性筒部材の扉本体内側端部を導電性環状体の外径より小さくてハンドル軸を回転可能に挿通する挿通孔を形成した導電性環状塞ぎ部材で塞いで軸挿通体収容空間を形成し、導電性環状体を軸挿通体収容空間に位置させるので、導電性環状体が導電性筒部材の筒孔内に位置決めされて筒孔内から外れることが無い。また、導電性筒部材の筒孔に対して直交する導電性環状塞ぎ部材により、電磁波の通り道が迷路化することになり、導電性環状塞ぎ部材が電磁波を反射する反射面となって電磁波の減衰効果が増大する。また、導電性環状塞ぎ部材の挿通孔を導電性環状体の外径より小さくしてハンドル軸が回転可能に挿通するように形成したので、ハンドル軸が挿通する挿通孔との間に形成される隙間が小さく、電磁波遮蔽性能をより向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本願発明の実施の形態について図1〜図5により説明する。電磁波遮蔽扉1は、電磁波遮蔽扉本体2と電磁波遮蔽扉枠体3とから構成されている。電磁波遮蔽扉本体2は、電磁波遮蔽扉本体2と電磁波遮蔽扉枠体3の吊元側との間に設けられたヒンジ4により電磁波遮蔽扉枠体3に対して開閉可能に蝶着されている。電磁波遮蔽扉枠体3は、スチール製の、吊元側竪枠5と、戸先側竪枠6と、上枠7と、下枠としての沓摺8と、から枠組みされている。電磁波遮蔽扉枠体3は仕上材14の開口に取付けられている。
【0011】
電磁波遮蔽扉本体2は、スチール製の両面の表面板9間内部に図示しない複数の力骨を等間隔に設けて構成されている。電磁波遮蔽扉本体2は、図2、図3に示すように、戸先側縁部10と吊元側縁部11と上側縁部12とにアルミ製の扉本体側装着部材13がビス止めされている。扉本体側装着部材13は、電磁波吸収材15が取付けられている。
【0012】
また、電磁波遮蔽扉本体2は、図3に示すように、下側縁部18に下部扉本体側装着部材19が沓摺8と対向してビス止めされている。下部扉本体側装着部材19は、電磁波吸収材15が沓摺8の電磁波吸収材15と対向して取付けられている。また、下部扉本体側装着部材19は、沓摺8の傾斜面20と同じ傾斜の収納溝部22が形成されており、後述の導電性モヘア材25を備えたプレート材21を着脱可能に収納している。
【0013】
前記電磁波遮蔽扉枠体3の吊元側竪枠5と戸先側竪枠6と上枠7とには、図2、図3に示すように、電磁波遮蔽扉本体2との対向面23に夫々アルミ製の扉枠体側装着部材24が、電磁波遮蔽扉本体2を閉じたとき扉本体側装着部材13と対向するようにビス止めされている。扉枠体側装着部材24には、扉本体側装着部材13の電磁波吸収材15と略対面するように電磁波吸収材15が固着されている。これら互いに対面する電磁波吸収材15,15は、その間で電磁波を反射させながら吸収して減衰させる。
【0014】
また、扉枠体側装着部材24には、導電性を有するプレート材21が取付け取外し可能に設けられている。プレート材21は、例えば金属板からなり、両面に電磁波遮蔽材としての導電性モヘア材25が固着されている。導電性モヘア材25は、導電性金属フィラーや金属皮膜等と、樹脂繊維と、接着するための導電性接着層とから構成されている。扉枠体側装着部材24へのプレート材21の取付けは、取付ボルト26により着脱可能な抜け止め部材27によりプレート材21の縁部を係止して行っている。電磁波遮蔽扉本体2を閉鎖した状態では、各プレート材21の導電性モヘア材25が扉本体側装着部材13,扉枠体側装着部材24に接触し、電磁波吸収材15と共に電磁波を遮蔽するようになっている。
【0015】
電磁波遮蔽扉本体2の戸先側には、図3に示すように、一方の電磁波遮蔽扉枠体3側の表面板9にドアノブ28や錠前29が設けられる扉操作部30が一体に設けられている。電磁波遮蔽扉本体2は、扉操作部30から他方の表面板9まで扉開閉方向へハンドル軸34を回動操作可能で抜き差し可能に挿通可能となっている。扉操作部30には、電磁波遮蔽扉本体2の先端部から電磁波遮蔽扉枠体3に設けられたストライク32に係脱可能なラッチ部材33が設けられている。ハンドル軸34は、扉操作部30と他方の表面板9とに固定される固定金具35に軸受されている。ハンドル軸34の両端にはドアノブ28が設けられている。このハンドル軸34はラッチ部材33に図示しない開閉操作部を介して連結されている。ハンドル軸34は、ドアノブ28により回動操作されると、ラッチ部材33の電磁波遮蔽扉枠体3に設けられたストライク32との係合を外すようになっている。
【0016】
扉操作部30には、図4に示すように、導電性筒部材36の一端の扉本体外側端部が導電接続するように溶着されている。この導電性筒部材36の内周面は筒孔37と成っており、前記筒孔37は貫通孔31の一部を形成している。導電性筒部材36の他端の扉本体内側端部には、導電性環状塞ぎ部材38が固着されている。導電性環状塞ぎ部材38は、導電性環状体43の外径より小さくてハンドル軸34を回転可能に挿通する挿通孔39が形成されている。前記導電性環状塞ぎ部材38の挿通孔39は、ハンドル軸34との間の隙間が極力小さくなるようになっており、電磁波遮蔽効果を発揮し易いようになっている。この導電性環状塞ぎ部材38により導電性筒部材36の筒孔37を塞いで、軸挿通体収容空間40が扉操作部30の外面側に凹形状に形成されている。また、導電性環状塞ぎ部材38は、導電性筒部材36の筒孔37に対して直交するので、導電性筒部材36の筒孔内周面と導電性環状塞ぎ部材38の筒孔37と直交する面41と筒孔37の軸線方向と同軸の挿通孔39とで迷路構造42が形成されている。
【0017】
軸挿通体収容空間40には、導電性環状体43が着脱可能に収容されている。導電性環状体43は、中心にハンドル軸34を挿通可能な断面四角形状の係合孔44が形成されており、ハンドル軸34を係合孔44に挿通した状態でハンドル軸34と導電接続するようになっている。導電性環状体43の外周面には、電磁波遮蔽材が全周を覆うように設けられている。電磁波遮蔽材は、前記と同様な導電性モヘア材25である。導電性環状体43は、軸挿通体収容空間40に挿入されると、導電性環状体43の内側端が導電性環状塞ぎ部材38により扉操作部30の外面側に位置するように奥に入り込むのが制限され、後述のように導電性環状体43の交換時に扉操作部30から容易に取り出せるようになっている。
【0018】
また、導電性環状体43の外周面の導電性モヘア材25が導電性環状塞ぎ部材38により導電性筒部材36の扉本体内側端部より内側に入り込むことが防止され、導電性モヘア材25全体が筒孔37に導電接続される。そして、導電性環状体43と導電性モヘア材25と導電性筒部材36とを介してハンドル軸34が電磁波遮蔽扉本体2に導電接続される。これによって、ハンドル軸34を伝播しようとする電磁波は、導電性環状体43と導電性モヘア材25と導電性筒部材36を介して電磁波遮蔽扉本体2に伝播し、電磁波が電磁波遮蔽扉本体2の一方側から他方側へ漏洩するのを防止できる。また、導電性環状体43外周の全周に亘り設けられた導電性モヘア材25が導電性筒部材36の筒孔内周面の全周に導電接続するので、隙間無く導電接続し電磁波の漏洩を高精度に防止できる。
【0019】
仮に、ハンドル軸34と導電性筒部材36の導電性環状体43を介しての接続で電磁波の漏洩を防止できなかったとしても、電磁波は、前記迷路構造42により、導電性環状塞ぎ部材38の筒孔37と直交する面41が反射面となって反射されて減衰されることとなり、伝播が妨げられる。尚、錠前29は、適宜な電磁波遮蔽構造を備えて電磁波が電磁波遮蔽扉本体2の一方から他方に伝播するのを防止するようになっている。
【0020】
電磁波遮蔽扉本体2の開閉を行う際にはラッチ部材33を操作するためドアノブ28を操作しハンドル軸34を回動するが、このときハンドル軸34と一体に導電性環状体43も回動する。電磁波遮蔽扉本体2の開閉動作を繰返すと、導電性環状体43の導電性モヘア材25が導電性筒部材36に対して摺動するので磨耗して劣化し、電磁波遮蔽性能が低下する。このために導電性モヘア材25を交換する必要がある。導電性モヘア材25の交換は、ドアノブ28と固定金具35を外し、ハンドル軸34を抜取る。固定金具35を取外すと導電性筒部材36の筒孔37の一端が開放され、導電性環状体43を軸挿通体収容空間40から取外すことができる。古い導電性環状体43を取外し、予め新しい導電性モヘア材25が外周に取付けられた新たな導電性環状体43を軸挿通体収容空間40に嵌入する。再びハンドル軸34を導電性環状体43に嵌入した後、固定金具35とドアノブ28を取付ける。このように導電性モヘア材25の交換は、導電性環状体43と一体に交換すれば良いので迅速に容易に行うことができる。劣化した導電性モヘア材25が設けられた古い導電性環状体43は、劣化した導電性モヘア材25が取除かれて、新しい導電性モヘア材25が外周面に貼着されて再利用される。
【0021】
次に第2の実施の形態について図6、図7により説明する。前記第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付けて説明を省略する。電磁波遮蔽扉本体2の扉操作部30には、第1の実施の形態と同様に、導電性環状塞ぎ部材38が溶着された導電性筒部材36が溶着されて凹形状の軸挿通体収容空間40が形成される。この軸挿通体収容空間40には、導電性環状体45が着脱可能に収容される。導電性環状体45は中心に係合孔46が設けられている。この係合孔46の内面には、全周に亘って導電性モヘア材25が貼り付けられている。導電性モヘア材25は、係合孔46の中心に向けて伸びている。導電性モヘア材25は、係合孔46にハンドル軸34が挿通された状態で、係合孔46とハンドル軸34との間の隙間を電磁波遮蔽可能に埋めるようにハンドル軸34に導電接続する。また、導電性環状体45の外周面にも、全周を覆う導電性モヘア材25が貼り付けられている。この導電性環状体45は、軸挿通体収容空間40に収容された際に、外周面に貼り付けられた導電性モヘア材25により導電性環状体45と導電性筒部材36とを導電接続するようになっている。これにより、電磁波の漏洩を高精度に防止できる。電磁波遮蔽扉本体2の開閉のためにドアノブ28を操作することで、ハンドル軸34が導電性モヘア材25に摺接しながら回動する。このハンドル軸34の回動により導電性モヘア材25が磨耗して劣化し電磁波遮蔽性能が低下する。そのため導電性モヘア材25は交換される。導電性モヘア材25の交換は、導電性モヘア材25が導電性環状体43に貼着されているので、前記第1の実施の形態と同様にドアノブ28と固定金具35とハンドル軸34を取外し、導電性モヘア材25ごと導電性環状体45を軸挿通体収容空間40から取外し、新しい導電性モヘア材25を設けた導電性環状体45を嵌入することで迅速容易に行える。尚、導電性環状体45の外周面の導電性モヘア材25は、導電性環状体45と導電性筒部材36との間の隙間が小さい場合は設けなくても良い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の電磁波遮蔽扉の正面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】導電性環状体を取外した状態を示す説明図である。
【図5】導電性環状体を取外した状態を示す要部斜視図である。
【図6】第2の実施の形態の導電性環状体を取外した状態を示す説明図である。
【図7】第2の実施の形態の導電性環状体を取外した状態を示す要部斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 電磁波遮蔽扉
2 電磁波遮蔽扉本体
3 電磁波遮蔽扉枠体
25 導電性モヘア材(電磁波遮蔽材)
31 貫通孔
33 ラッチ部材
34 ハンドル軸
36 導電性筒部材
37 筒孔
38 導電性環状塞ぎ部材
39 挿通孔
40 軸挿通体収容空間
43,45 導電性環状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波遮蔽扉枠体に電磁波遮蔽扉本体を開閉自在に設け、電磁波遮蔽扉本体の先端部に電磁波遮蔽扉枠体に係脱可能なラッチ部材と、扉開閉方向へ貫通している貫通孔と、貫通孔に回動操作可能で抜き差し可能に挿通され、電磁波遮蔽扉本体に導電接続されているハンドル軸を夫々設け、ハンドル軸の回動操作によりラッチ部材の電磁波遮蔽扉枠体との係合を外すようにしてある電磁波遮蔽扉において、電磁波遮蔽扉本体に貫通孔の内面を形成する導電性筒部材を電磁波遮蔽扉本体に導電接続するように設け、前記導電性筒部材の内周面で形成した筒孔に収容可能な導電性環状体をハンドル軸の導電性筒部材に対応する位置に着脱自在に設け、導電性環状体の外周に筒孔内面との間の隙間を電磁波遮蔽可能な電磁波遮蔽材を全周に亘って設け、導電性環状体をハンドル軸に着脱することで電磁波遮蔽材を容易に交換できるようにした電磁波遮蔽扉。
【請求項2】
電磁波遮蔽扉枠体に電磁波遮蔽扉本体を開閉自在に設け、電磁波遮蔽扉本体の先端部に電磁波遮蔽扉枠体に係脱可能なラッチ部材と、扉開閉方向へ貫通している貫通孔と、貫通孔に回動操作可能で抜き差し可能に挿通され、電磁波遮蔽扉本体に導電接続されているハンドル軸を夫々設け、ハンドル軸の回動操作によりラッチ部材の電磁波遮蔽扉枠体との係合を外すようにしてある電磁波遮蔽扉において、電磁波遮蔽扉本体に貫通孔の内面を形成する導電性筒部材を電磁波遮蔽扉本体に導電接続するように設け、導電性筒部材の内周面で形成した筒孔に導電性環状体を着脱自在に設け、導電性環状体の内周にハンドル軸との間の隙間を電磁波遮蔽可能な電磁波遮蔽材を全周に亘って設け、導電性環状体を導電性筒部材に着脱することで電磁波遮蔽材を容易に交換できるようにした電磁波遮蔽扉。
【請求項3】
電磁波遮蔽材を導電性のモヘア材で構成したことを特徴とする請求項1または2記載の電磁波遮蔽扉。
【請求項4】
導電性筒部材の扉本体内側端部を導電性環状体の外径より小さくてハンドル軸を回転可能に挿通する挿通孔を形成した導電性環状塞ぎ部材で塞いで軸挿通体収容空間を形成し、導電性環状体を軸挿通体収容空間に位置させることを特徴とする請求項1から3何れか1項記載の電磁波遮蔽扉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−167696(P2009−167696A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7477(P2008−7477)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000241588)豊和工業株式会社 (230)
【Fターム(参考)】