電線束取り装置
【課題】撤去電線を巻き取った束の状態で束取りドラムから容易に引き抜くことを可能にする。
【解決手段】束取りドラム2を、ほぼ円筒状のコア22と、コアの大径端に固定されたフランジ23と、コアの小径端に着脱自在に取り付けられたフランジ24で構成し、コア22を、複数の固定コア42と複数の可動コア43とにより形成し、可動コア43の一端を径方向に揺動可能に支持し、他端近傍にリンク機構49を連結して、ネジジャッキ53を操作して、可動コアの一端側を揺動させて、可動コア径を可変する構成として撤去電線を巻き取った後、束取りドラムを横倒しして可動コアを縮径して、フランジを取り外して撤去電線の束を引き抜く。
【解決手段】束取りドラム2を、ほぼ円筒状のコア22と、コアの大径端に固定されたフランジ23と、コアの小径端に着脱自在に取り付けられたフランジ24で構成し、コア22を、複数の固定コア42と複数の可動コア43とにより形成し、可動コア43の一端を径方向に揺動可能に支持し、他端近傍にリンク機構49を連結して、ネジジャッキ53を操作して、可動コアの一端側を揺動させて、可動コア径を可変する構成として撤去電線を巻き取った後、束取りドラムを横倒しして可動コアを縮径して、フランジを取り外して撤去電線の束を引き抜く。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撤去電線を巻き取って束にする電線束取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
送電線においては、経年劣化による電線の腐食が進み、電線張り替え作業が増加する傾向にある。電線の張り替え作業は、新電線ドラムから巻き取り型延線車により新電線を繰り出し、新電線と古い電線を結束し、巻き取り型延線車により、撤去電線を巻き取りながらリールワインダーを介して束取りドラムにより巻き取り回収する方法、もしくは,ワイヤー用リールに一旦巻き取った後,人手により巻き戻しながら束取り回収作業する方法で行っている。
【0003】
束取りドラムは、対向する一対の円板を両端とするほぼ円筒状のコアと、コア両端のうちどちらか一端に固定されたフランジと、他方端に着脱自在に取り付けられたフランジとからなっていて、電線をコア部分に巻き、巻き終わったらフランジを取り外して束の状態でコアから引き抜くようにして使用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人手による撤去電線の巻き戻し作業を行った場合、作業効率が悪い上に電線で弾かれる危険がある。また,束取りドラムのリール幅が狭いと電線径が太くなる場合に巻き取ることができる長さが短くなる。そのためリールの入れ替え作業回数が増加し、作業効率が低下するので線路停止時間が長くなってしまうという問題がある。
【0005】
また、束取りドラムから電線束を引き抜く時に、コアと電線束の内側の部分との摩擦が大きいために、束の状態のまま容易に引き抜くことができないという問題も生じる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、撤去電線を巻き取った束の状態で束取りドラムから容易に引き抜くことを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の電線束取り装置は、架台と、架台に軸受けを介して回転自在に支持されたシャフトと、シャフトにクラッチを介して連結される回転駆動機と、シャフトに装着される電線の束取りドラムとを有する電線束取り装置において、束取りドラムは、対向する大径と小径の一対の円板を両端とするほぼ円筒状のコアと、コアの大径端に固定されたフランジと、コアの小径端に着脱自在に取り付けられたフランジとを有し、コアと2つのフランジの中心にシャフトが挿入される軸穴を形成してなり、コアは、一対の円板の中心に渡して固定されシャフトが挿入される中空軸と、一対の円板の周縁部に渡して周方向に間隔を空けて配置された複数の固定コアと、複数の固定コア間に形成されたスリットに配置される複数の可動コアとからなり、可動コアは、一端が径方向に揺動可能に前記大径の円板の周縁部に支持され、他端近傍にリンク機構が連結されてなり、リンク機構は、中空軸に沿ってスライド可能に設けられたスライダと、スライダと可動コアに回転継ぎ手を介してそれぞれ連結されたアームと、小径の円板に支持されアームに回転継ぎ手を介して連結されたネジジャッキとを有してなることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、束取りドラムの可動コアが径方向に揺動可能に支持されているので、スライダをネジジャッキによってコアの大径側に動かすことにより、スライダと連結されているアームが中空軸と平行になる方向に動き、その動きに連動して可動コアがコアの大径端を遥動支点として中空軸側に移動する。これにより、可動コアが中空軸側に傾斜することにより小径端側のコア半径が小さくなって、コアと電線束の内側の部分との摩擦が小さくなる。したがって、束取りドラムを大径側のフランジを下にして横倒しし、小径側のフランジを取り外すことにより、コアから電線を束の状態で容易に引き抜くことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撤去電線を巻き取った束の状態で束取りドラムから容易に引き抜くことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の電線束取り装置の実施例について図面を参照して説明する。
【実施例】
【0011】
図1は、本実施例の電線束取り装置の構成図である。図1(a)はドラム架台1の正面図、図1(b)はドラム架台1の側面図、図1(c)はドラム架台1に束取りドラム2がセットされた状態を示す図をそれぞれ示している。
【0012】
図1に示すように、本実施例の電線束取り装置のドラム架台1は、基盤3に起立して設けられた3本の軸受け支持部材4,5,6と、軸受け支持部材4,5にそれぞれ軸受け7,8を介して回転自由に支持されるシャフト9とを有して構成されている。シャフト9は束取りドラム2を固定する固定部材10,11を有し、一方の端部には、クラッチ連結具12が取り付けられている。また、軸受け7、固定部材10はシャフト9より着脱可能で、束取りドラム2に装着する際に外して、装着後に取り付けるようになっている。クラッチ13は、軸14に取り付けられ、軸14は軸受け支持部材15及び軸受け16を介して軸受け支持部材6に支持されている。クラッチ13には、クラッチ13を介して軸14及びシャフト9を回転させるモーター17が連結されている。モーター17の上部には、クラッチ13を操作する操作盤18が、モーター17の後部にはクラッチとモーターの連結部19が設けられている。
【0013】
なお、図示していないが、軸受け支持部材4,5の軸受け支持部は、シャフト9の軸受け7,8を載置可能に上半分が開放して形成されている。また、軸受け支持部の開放端には回転レバーが設けられ、ドラム架台1にシャフト9をセットした後、回転レバーを回転して軸受支持部の開放端を閉じるようになっている。
【0014】
次に、束取りドラム2の構成を図2を用いて説明する。図2(a)は束取りドラム2の正面図と側面図、図2(b)は、フランジ23の中心部の拡大図、図2(c)は円板21からフランジ24を取り外した際の図、図2(d)は束取りドラム2にシャフト9を挿入した際の図をそれぞれ示している。
【0015】
束取りドラム2は、対向する一対の大径の円板20と小径の円板21を両端とするほぼ円筒状のコア22と、円板20に固定されたフランジ23と、円板21に固定されたフランジ24から構成されている。フランジ23は、円板20より半径の小さい外円板25、内円板26を、円板20より半径の大きいリング27の中心に配置し、外円板25の周縁とリング27の内縁に、複数本(実施例では
8本)の角材28を放射状に等間隔に渡して固定されて形成される枠体で、円板20に固定されている。なお、フランジ23は後述するスリット44間に角材28が配置されるように固定されていて、外円板25の周縁にはスリット44に沿って、一対の対向する板材29が設けられており、板材29に渡してピン30が固定されている。また、外円板25には4つのボルト穴31が設けられていて、束取りドラム2をシャフト9に装着する際は、固定部材11と外円板25が、ボルト穴31と4つのボルト32により固定され、装着される。
【0016】
フランジ24は、円板33を円板21より半径の大きいリング34の中心に配置し、円板33の周縁とリング34の内縁に、複数本(実施例では8本)の角材35を放射状に等間隔に渡して固定されて形成される枠体で、円板21のコア22の反対面に着脱可能に固定されている。また、複数本の角材35のうち所定の本数(実施例では8本のうち4本)の角材35には、円板33近傍に固定ボルト39が挿入されるボルト穴が設けられており、2本の角材35には、コア22と反対側の表面に、180°の位置に2つの吊り上げ部36が設けられている。また、円板21にはスリット44間に、180°の位置に2つの位置合わせピン37、4つのボルト穴38が設けられていて、円板21とフランジ24は、位置合わせピン37により円板21と位置を合わせて、ボルト穴38と4つの固定ボルト39により固定される。なお、フランジ24はスリット44間に角材35が配置されるように固定されている。また、円板20,21,26,33の中心にはシャフト9が挿入される軸穴40が設けられている。
【0017】
ここで、コア22の構成を図2、図3を用いて説明する。図3(a)はコア22内部の構成、図3(b)は可動コア43の構成、図3(c)はスライダ51の構成、3(d)はネジジャッキ53の構成をそれぞれ示す図である。
【0018】
コア22は、中空軸41と円板20,21、固定コア42、可動コア43から構成されている。中空軸41は、円板20,21の軸穴40に渡して固定された円筒で、シャフト9が挿入されるように中空になっている。
【0019】
固定コア42は、複数(実施例では8つ)あり、円板20,21の周縁部に渡して周方向に等間隔を空けて固定された複数枚(実施例では8枚)の四角形の板材で、中空軸41側にわずかに湾曲しており、また、円板21に固定される一辺が、円板20に固定される一辺よりやや短くなっている。なお、円板20,21周縁部の固定コア42間にはスリット44が形成されている。
【0020】
可動コア43は、複数(実施例では8つ)あり、一対の長方形の板45に帯板46を渡して形成され、両端にピン穴47,48が設けられており、固定コア42間に形成されたスリット44に収まるように配置されている。また、可動コア43は、自由端である円板21側の端部が径方向に揺動するように、ピン穴47とピン30によって外円板25に支持されている。
また、可動コア43の自由端近傍の中空軸41側にリンク機構49が、ピン穴48とピン50によって支持されている。
【0021】
リンク機構49は、スライダ51とアーム52、ネジジャッキ53から構成されている。スライダ51は、中空軸41に沿って動くようになっている中空円筒54の両端に、中心に中空軸41が通るようになっている軸穴55が形成されている一対のフランジ56が固定され、中空円筒54の表面上には、円周に等間隔にフランジ56に板材57を渡して8つのスリット58が形成されている。また、スリット58間には対向する板材57にピン穴59が設けられている。
【0022】
アーム52は、複数(実施例では8本)あり、両端と中心近傍にピン50,60,68が挿入されるピン穴が設けられた角材である。それぞれのアーム52が、一端はスライダ51のピン穴59とピン60によって、中空軸41の径方向に回動するように支持されてスライダ51と連結し、他端はピン50によって、可動コア43に中空軸41の径方向に回動するように支持されて、可動コア43と連結している。
【0023】
ネジジャッキ53は、調整ボルト61、調整ボルト支持部材62、ボルト63、正方形の板64に帯板65を渡して、板64近傍の帯板65にピン穴66が設けられてなる筐体67から構成されており、調整ボルト61は調整ボルト支持部材62、ボルト63と螺合し、ボルト63は筐体67と固定されている。調整ボルト支持部材62は調整ボルト61の軸方向の移動を拘束してボルト部分を支持するようになっており、スリット44と円板21の間に支持されている。ネジジャッキ53は、円板21の180°の位置に2つあり、ピン穴66とピン68によりそれぞれ2本のアーム52と連結されている。
【0024】
ここで、図3、図4を参照して可動コア43、スライダ51、アーム52の動作を説明する。図4は、可動コア43の動きを示している。調整ボルト61を回してネジジャッキ53を円板21側に引き付けることにより、アーム52が中空軸41に垂直になる方向に動き、その動きに連動してスライダ51が円板21側に移動することによって、スライダ51と連結している6本のアーム52の動きに応じて可動コア43もピン30を遥動支点として中空軸41と平行になるように移動する。これにより、コア22の円板20側の半径と円板21側の半径がほぼ同じ大きさとなる。また、調整ボルト61を回してネジジャッキ53を押し出すことにより、アーム52が中空軸41に平行になる方向に動き、その動きに連動してスライダ51が円板20側に移動することによって、スライダ51と連結している6本のアーム52の動きに応じて可動コア43もピン30を遥動支点として中空軸41側に移動し、中空軸41側に傾斜する。これにより、コア22の円板21側の半径が円板20側の半径より小さくなる。
【0025】
次に、このように構成される実施例の動作及び使用方法について説明する。まず、電線の張替え作業について説明する。図5は電線の張り替え作業の概要である。新電線ドラム69から巻き取り型延線器70により新電線71を鉄塔72に設けた金車73を介して繰り出し、新電線71と撤去電線74を結束部75で結束して、巻き取り型延線器70により撤去電線74を巻き取りながら、本実施例の電線束取り装置の束取りドラム2により巻き取り回収する。
【0026】
次に、本実施例の電線束取り装置の使用方法を説明する。まず、束取りドラム2の調整ボルト61を回し、ネジジャッキ53を引き付けて円板21側のコア22の半径を大きくした状態で、シャフト9の軸受け7、固定部材10を外してシャフト9を中空軸41に挿入し、固定部材10、軸受け7を取り付ける。さらに、ボルト32により固定部材11と外円板25を固定して束取りドラム2にシャフト9を装着し、図示していない軸受け支持部材4,5の軸受け支持部の上半分を開放して、ドラム架台1にセットし、軸受け支持部の開放端の回転レバーを回転して軸受支持部の開放端を閉じる。
【0027】
巻き取り型延線器70で巻き取られた撤去電線74を電線束取り装置で巻き取り、規定ラインの長さまで巻き取ったら電線を切断し結束する。
【0028】
電線が巻き付けられたままの束取りドラム2をドラム架台1より吊り上げて外し、着脱可能なフランジ24の側が上方になるように横に倒す。
【0029】
調整ボルト61を回し、ネジジャッキ53を押し出して可動コア43を中空軸41側に傾斜させ、円板21側のコア22の半径を小さくする。
【0030】
フランジ24の固定ボルト39を取り外した後,フランジ24を外す。結束された電線の束を束取りドラム2より吊り上げ、引き抜いて回収する。
【0031】
以上説明したように、本実施例によれば、束取りドラム2の可動コア43が径方向に揺動可能に支持されているので、スライダ51をネジジャッキ53によって円板20側に動かすことにより、スライダ51と連結されているアーム52が中空軸41と平行になる方向に動き、その動きに連動して可動コア43が円板25を遥動支点として中空軸41側に移動する。これにより、可動コア43が中空軸41側に傾斜することにより、円板21側のコア22の半径が小さくなって、コア22と電線束の内側の部分との摩擦が小さくなるので電線を束の状態で容易に引き抜くことができるようになる。
【0032】
また、本実施例ではネジジャッキ53を使用してスライダ51を移動させているが、コア22がどういう状態であってもスライダ51を中空軸41に沿って移動させることのできる手段であればどのようなものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の電線束取り装置の構成図である。
【図2】束取りドラム2の構成図である。
【図3】コア22の詳細な構成図である。
【図4】可動コア43の動作を示す図である。
【図5】電線の張替え作業の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 ドラム架台
2 束取りドラム
7、8 軸受け
9 シャフト
10、11 固定部材
13 クラッチ
20、21 円板
22 コア
23、24 フランジ
41 中空軸
42 固定コア
43 可動コア
49 リンク機構
51 スライダ
52 アーム
53 ネジジャッキ
61 調整ボルト
【技術分野】
【0001】
本発明は、撤去電線を巻き取って束にする電線束取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
送電線においては、経年劣化による電線の腐食が進み、電線張り替え作業が増加する傾向にある。電線の張り替え作業は、新電線ドラムから巻き取り型延線車により新電線を繰り出し、新電線と古い電線を結束し、巻き取り型延線車により、撤去電線を巻き取りながらリールワインダーを介して束取りドラムにより巻き取り回収する方法、もしくは,ワイヤー用リールに一旦巻き取った後,人手により巻き戻しながら束取り回収作業する方法で行っている。
【0003】
束取りドラムは、対向する一対の円板を両端とするほぼ円筒状のコアと、コア両端のうちどちらか一端に固定されたフランジと、他方端に着脱自在に取り付けられたフランジとからなっていて、電線をコア部分に巻き、巻き終わったらフランジを取り外して束の状態でコアから引き抜くようにして使用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人手による撤去電線の巻き戻し作業を行った場合、作業効率が悪い上に電線で弾かれる危険がある。また,束取りドラムのリール幅が狭いと電線径が太くなる場合に巻き取ることができる長さが短くなる。そのためリールの入れ替え作業回数が増加し、作業効率が低下するので線路停止時間が長くなってしまうという問題がある。
【0005】
また、束取りドラムから電線束を引き抜く時に、コアと電線束の内側の部分との摩擦が大きいために、束の状態のまま容易に引き抜くことができないという問題も生じる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、撤去電線を巻き取った束の状態で束取りドラムから容易に引き抜くことを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の電線束取り装置は、架台と、架台に軸受けを介して回転自在に支持されたシャフトと、シャフトにクラッチを介して連結される回転駆動機と、シャフトに装着される電線の束取りドラムとを有する電線束取り装置において、束取りドラムは、対向する大径と小径の一対の円板を両端とするほぼ円筒状のコアと、コアの大径端に固定されたフランジと、コアの小径端に着脱自在に取り付けられたフランジとを有し、コアと2つのフランジの中心にシャフトが挿入される軸穴を形成してなり、コアは、一対の円板の中心に渡して固定されシャフトが挿入される中空軸と、一対の円板の周縁部に渡して周方向に間隔を空けて配置された複数の固定コアと、複数の固定コア間に形成されたスリットに配置される複数の可動コアとからなり、可動コアは、一端が径方向に揺動可能に前記大径の円板の周縁部に支持され、他端近傍にリンク機構が連結されてなり、リンク機構は、中空軸に沿ってスライド可能に設けられたスライダと、スライダと可動コアに回転継ぎ手を介してそれぞれ連結されたアームと、小径の円板に支持されアームに回転継ぎ手を介して連結されたネジジャッキとを有してなることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、束取りドラムの可動コアが径方向に揺動可能に支持されているので、スライダをネジジャッキによってコアの大径側に動かすことにより、スライダと連結されているアームが中空軸と平行になる方向に動き、その動きに連動して可動コアがコアの大径端を遥動支点として中空軸側に移動する。これにより、可動コアが中空軸側に傾斜することにより小径端側のコア半径が小さくなって、コアと電線束の内側の部分との摩擦が小さくなる。したがって、束取りドラムを大径側のフランジを下にして横倒しし、小径側のフランジを取り外すことにより、コアから電線を束の状態で容易に引き抜くことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撤去電線を巻き取った束の状態で束取りドラムから容易に引き抜くことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の電線束取り装置の実施例について図面を参照して説明する。
【実施例】
【0011】
図1は、本実施例の電線束取り装置の構成図である。図1(a)はドラム架台1の正面図、図1(b)はドラム架台1の側面図、図1(c)はドラム架台1に束取りドラム2がセットされた状態を示す図をそれぞれ示している。
【0012】
図1に示すように、本実施例の電線束取り装置のドラム架台1は、基盤3に起立して設けられた3本の軸受け支持部材4,5,6と、軸受け支持部材4,5にそれぞれ軸受け7,8を介して回転自由に支持されるシャフト9とを有して構成されている。シャフト9は束取りドラム2を固定する固定部材10,11を有し、一方の端部には、クラッチ連結具12が取り付けられている。また、軸受け7、固定部材10はシャフト9より着脱可能で、束取りドラム2に装着する際に外して、装着後に取り付けるようになっている。クラッチ13は、軸14に取り付けられ、軸14は軸受け支持部材15及び軸受け16を介して軸受け支持部材6に支持されている。クラッチ13には、クラッチ13を介して軸14及びシャフト9を回転させるモーター17が連結されている。モーター17の上部には、クラッチ13を操作する操作盤18が、モーター17の後部にはクラッチとモーターの連結部19が設けられている。
【0013】
なお、図示していないが、軸受け支持部材4,5の軸受け支持部は、シャフト9の軸受け7,8を載置可能に上半分が開放して形成されている。また、軸受け支持部の開放端には回転レバーが設けられ、ドラム架台1にシャフト9をセットした後、回転レバーを回転して軸受支持部の開放端を閉じるようになっている。
【0014】
次に、束取りドラム2の構成を図2を用いて説明する。図2(a)は束取りドラム2の正面図と側面図、図2(b)は、フランジ23の中心部の拡大図、図2(c)は円板21からフランジ24を取り外した際の図、図2(d)は束取りドラム2にシャフト9を挿入した際の図をそれぞれ示している。
【0015】
束取りドラム2は、対向する一対の大径の円板20と小径の円板21を両端とするほぼ円筒状のコア22と、円板20に固定されたフランジ23と、円板21に固定されたフランジ24から構成されている。フランジ23は、円板20より半径の小さい外円板25、内円板26を、円板20より半径の大きいリング27の中心に配置し、外円板25の周縁とリング27の内縁に、複数本(実施例では
8本)の角材28を放射状に等間隔に渡して固定されて形成される枠体で、円板20に固定されている。なお、フランジ23は後述するスリット44間に角材28が配置されるように固定されていて、外円板25の周縁にはスリット44に沿って、一対の対向する板材29が設けられており、板材29に渡してピン30が固定されている。また、外円板25には4つのボルト穴31が設けられていて、束取りドラム2をシャフト9に装着する際は、固定部材11と外円板25が、ボルト穴31と4つのボルト32により固定され、装着される。
【0016】
フランジ24は、円板33を円板21より半径の大きいリング34の中心に配置し、円板33の周縁とリング34の内縁に、複数本(実施例では8本)の角材35を放射状に等間隔に渡して固定されて形成される枠体で、円板21のコア22の反対面に着脱可能に固定されている。また、複数本の角材35のうち所定の本数(実施例では8本のうち4本)の角材35には、円板33近傍に固定ボルト39が挿入されるボルト穴が設けられており、2本の角材35には、コア22と反対側の表面に、180°の位置に2つの吊り上げ部36が設けられている。また、円板21にはスリット44間に、180°の位置に2つの位置合わせピン37、4つのボルト穴38が設けられていて、円板21とフランジ24は、位置合わせピン37により円板21と位置を合わせて、ボルト穴38と4つの固定ボルト39により固定される。なお、フランジ24はスリット44間に角材35が配置されるように固定されている。また、円板20,21,26,33の中心にはシャフト9が挿入される軸穴40が設けられている。
【0017】
ここで、コア22の構成を図2、図3を用いて説明する。図3(a)はコア22内部の構成、図3(b)は可動コア43の構成、図3(c)はスライダ51の構成、3(d)はネジジャッキ53の構成をそれぞれ示す図である。
【0018】
コア22は、中空軸41と円板20,21、固定コア42、可動コア43から構成されている。中空軸41は、円板20,21の軸穴40に渡して固定された円筒で、シャフト9が挿入されるように中空になっている。
【0019】
固定コア42は、複数(実施例では8つ)あり、円板20,21の周縁部に渡して周方向に等間隔を空けて固定された複数枚(実施例では8枚)の四角形の板材で、中空軸41側にわずかに湾曲しており、また、円板21に固定される一辺が、円板20に固定される一辺よりやや短くなっている。なお、円板20,21周縁部の固定コア42間にはスリット44が形成されている。
【0020】
可動コア43は、複数(実施例では8つ)あり、一対の長方形の板45に帯板46を渡して形成され、両端にピン穴47,48が設けられており、固定コア42間に形成されたスリット44に収まるように配置されている。また、可動コア43は、自由端である円板21側の端部が径方向に揺動するように、ピン穴47とピン30によって外円板25に支持されている。
また、可動コア43の自由端近傍の中空軸41側にリンク機構49が、ピン穴48とピン50によって支持されている。
【0021】
リンク機構49は、スライダ51とアーム52、ネジジャッキ53から構成されている。スライダ51は、中空軸41に沿って動くようになっている中空円筒54の両端に、中心に中空軸41が通るようになっている軸穴55が形成されている一対のフランジ56が固定され、中空円筒54の表面上には、円周に等間隔にフランジ56に板材57を渡して8つのスリット58が形成されている。また、スリット58間には対向する板材57にピン穴59が設けられている。
【0022】
アーム52は、複数(実施例では8本)あり、両端と中心近傍にピン50,60,68が挿入されるピン穴が設けられた角材である。それぞれのアーム52が、一端はスライダ51のピン穴59とピン60によって、中空軸41の径方向に回動するように支持されてスライダ51と連結し、他端はピン50によって、可動コア43に中空軸41の径方向に回動するように支持されて、可動コア43と連結している。
【0023】
ネジジャッキ53は、調整ボルト61、調整ボルト支持部材62、ボルト63、正方形の板64に帯板65を渡して、板64近傍の帯板65にピン穴66が設けられてなる筐体67から構成されており、調整ボルト61は調整ボルト支持部材62、ボルト63と螺合し、ボルト63は筐体67と固定されている。調整ボルト支持部材62は調整ボルト61の軸方向の移動を拘束してボルト部分を支持するようになっており、スリット44と円板21の間に支持されている。ネジジャッキ53は、円板21の180°の位置に2つあり、ピン穴66とピン68によりそれぞれ2本のアーム52と連結されている。
【0024】
ここで、図3、図4を参照して可動コア43、スライダ51、アーム52の動作を説明する。図4は、可動コア43の動きを示している。調整ボルト61を回してネジジャッキ53を円板21側に引き付けることにより、アーム52が中空軸41に垂直になる方向に動き、その動きに連動してスライダ51が円板21側に移動することによって、スライダ51と連結している6本のアーム52の動きに応じて可動コア43もピン30を遥動支点として中空軸41と平行になるように移動する。これにより、コア22の円板20側の半径と円板21側の半径がほぼ同じ大きさとなる。また、調整ボルト61を回してネジジャッキ53を押し出すことにより、アーム52が中空軸41に平行になる方向に動き、その動きに連動してスライダ51が円板20側に移動することによって、スライダ51と連結している6本のアーム52の動きに応じて可動コア43もピン30を遥動支点として中空軸41側に移動し、中空軸41側に傾斜する。これにより、コア22の円板21側の半径が円板20側の半径より小さくなる。
【0025】
次に、このように構成される実施例の動作及び使用方法について説明する。まず、電線の張替え作業について説明する。図5は電線の張り替え作業の概要である。新電線ドラム69から巻き取り型延線器70により新電線71を鉄塔72に設けた金車73を介して繰り出し、新電線71と撤去電線74を結束部75で結束して、巻き取り型延線器70により撤去電線74を巻き取りながら、本実施例の電線束取り装置の束取りドラム2により巻き取り回収する。
【0026】
次に、本実施例の電線束取り装置の使用方法を説明する。まず、束取りドラム2の調整ボルト61を回し、ネジジャッキ53を引き付けて円板21側のコア22の半径を大きくした状態で、シャフト9の軸受け7、固定部材10を外してシャフト9を中空軸41に挿入し、固定部材10、軸受け7を取り付ける。さらに、ボルト32により固定部材11と外円板25を固定して束取りドラム2にシャフト9を装着し、図示していない軸受け支持部材4,5の軸受け支持部の上半分を開放して、ドラム架台1にセットし、軸受け支持部の開放端の回転レバーを回転して軸受支持部の開放端を閉じる。
【0027】
巻き取り型延線器70で巻き取られた撤去電線74を電線束取り装置で巻き取り、規定ラインの長さまで巻き取ったら電線を切断し結束する。
【0028】
電線が巻き付けられたままの束取りドラム2をドラム架台1より吊り上げて外し、着脱可能なフランジ24の側が上方になるように横に倒す。
【0029】
調整ボルト61を回し、ネジジャッキ53を押し出して可動コア43を中空軸41側に傾斜させ、円板21側のコア22の半径を小さくする。
【0030】
フランジ24の固定ボルト39を取り外した後,フランジ24を外す。結束された電線の束を束取りドラム2より吊り上げ、引き抜いて回収する。
【0031】
以上説明したように、本実施例によれば、束取りドラム2の可動コア43が径方向に揺動可能に支持されているので、スライダ51をネジジャッキ53によって円板20側に動かすことにより、スライダ51と連結されているアーム52が中空軸41と平行になる方向に動き、その動きに連動して可動コア43が円板25を遥動支点として中空軸41側に移動する。これにより、可動コア43が中空軸41側に傾斜することにより、円板21側のコア22の半径が小さくなって、コア22と電線束の内側の部分との摩擦が小さくなるので電線を束の状態で容易に引き抜くことができるようになる。
【0032】
また、本実施例ではネジジャッキ53を使用してスライダ51を移動させているが、コア22がどういう状態であってもスライダ51を中空軸41に沿って移動させることのできる手段であればどのようなものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の電線束取り装置の構成図である。
【図2】束取りドラム2の構成図である。
【図3】コア22の詳細な構成図である。
【図4】可動コア43の動作を示す図である。
【図5】電線の張替え作業の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 ドラム架台
2 束取りドラム
7、8 軸受け
9 シャフト
10、11 固定部材
13 クラッチ
20、21 円板
22 コア
23、24 フランジ
41 中空軸
42 固定コア
43 可動コア
49 リンク機構
51 スライダ
52 アーム
53 ネジジャッキ
61 調整ボルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台と、該架台に軸受けを介して回転自在に支持されたシャフトと、該シャフトにクラッチを介して連結される回転駆動機と、前記シャフトに装着される電線の束取りドラムとを有する電線束取り装置において、
前記束取りドラムは、対向する大径と小径の一対の円板を両端とするほぼ円筒状のコアと、前記コアの大径端に固定されたフランジと、前記コアの小径端に着脱自在に取り付けられたフランジとを有し、前記コアと前記2つのフランジの中心に前記シャフトが挿入される軸穴を形成してなり、
前記コアは、前記一対の円板の中心に渡して固定され前記シャフトが挿入される中空軸と、前記一対の円板の周縁部に渡して周方向に間隔を空けて配置された複数の固定コアと、複数の前記固定コア間に形成されたスリットに配置される複数の可動コアとからなり、
前記可動コアは、一端が径方向に揺動可能に前記大径の円板の周縁部に支持され、他端近傍にリンク機構が連結されてなり、
前記リンク機構は、前記中空軸に沿ってスライド可能に設けられたスライダと、該スライダと前記可動コアに回転継ぎ手を介してそれぞれ連結されたアームと、前記小径の円板に支持され前記アームに回転継ぎ手を介して連結されたネジジャッキとを有してなる電線束取り装置。
【請求項1】
架台と、該架台に軸受けを介して回転自在に支持されたシャフトと、該シャフトにクラッチを介して連結される回転駆動機と、前記シャフトに装着される電線の束取りドラムとを有する電線束取り装置において、
前記束取りドラムは、対向する大径と小径の一対の円板を両端とするほぼ円筒状のコアと、前記コアの大径端に固定されたフランジと、前記コアの小径端に着脱自在に取り付けられたフランジとを有し、前記コアと前記2つのフランジの中心に前記シャフトが挿入される軸穴を形成してなり、
前記コアは、前記一対の円板の中心に渡して固定され前記シャフトが挿入される中空軸と、前記一対の円板の周縁部に渡して周方向に間隔を空けて配置された複数の固定コアと、複数の前記固定コア間に形成されたスリットに配置される複数の可動コアとからなり、
前記可動コアは、一端が径方向に揺動可能に前記大径の円板の周縁部に支持され、他端近傍にリンク機構が連結されてなり、
前記リンク機構は、前記中空軸に沿ってスライド可能に設けられたスライダと、該スライダと前記可動コアに回転継ぎ手を介してそれぞれ連結されたアームと、前記小径の円板に支持され前記アームに回転継ぎ手を介して連結されたネジジャッキとを有してなる電線束取り装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2008−195518(P2008−195518A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34726(P2007−34726)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000222015)株式会社ユアテック (26)
【出願人】(301000631)有限会社渡信鉄工 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000222015)株式会社ユアテック (26)
【出願人】(301000631)有限会社渡信鉄工 (1)
【Fターム(参考)】
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