説明

電話システム

【課題】 コンピュータ端末だけではなくシステム全体で効果的に消費電力を削減する。
【解決手段】 コンピュータ端末4Aの動作状態が通常モードから待機モードへ移行したことが、サーバー2の管理部22を介して主装置1の制御部13に通知された場合、主装置1の制御部は、そのコンピュータ端末4Aに対応付けられたボタン電話機3Aに対する主装置1からの給電を停止する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電話システムに関し、特に収容する電話機と外線とを交換接続するとともに、コンピュータ端末に電話機を対応付けて制御する電話システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】オフィスなどに設置されるボタン電話装置やPBXシステムなどの電話システムでは、利用者1人に対して1台の電話機を使用する形態が一般的となっている。一方、コンピュータ端末(パーソナルコンピュータ:PC)では、インターネットや電子メールなどで電話回線を使用する用途が増える傾向にあり、電話機と同様に利用者1人に対して1台のコンピュータ端末を使用する形態が導入されつつある。
【0003】このような状況から、例えば同一利用者のコンピュータ端末に電話機を対応付けて制御する電話システムが検討されている。この種の電話システムでは、例えば、コンピュータ端末のそばに配置された電話機に対して着信が発生した場合、着信先となる電話機に着信を通知して着信音を鳴動させるとともに、その電話機に対応付けられているコンピュータ端末に対しても着信を通知し、コンピュータ端末の画面でのポップアップ表示や着信音出力などにより着信表示が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、コンピュータ端末では、モード制御機能として、未使用状態が所定期間継続されると、スクリーンセーバーを起動したり、自装置の電源制御を行って消費電力を低減させる待機モードへ移行する機能を有しているが、前述した従来の電話システムでは、利用者が不在中であるにもかかわらず主装置から各電話機へ常時給電を行っており、このようなシステム全体で効果的に消費電力を削減できないという問題点があった。本発明はこのような課題を解決するためのものであり、コンピュータ端末だけではなくシステム全体で効果的に消費電力を削減できる電話システムを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するために、本発明による電話システムは、コンピュータ端末の動作状態が通常モードから待機モードへ移行した場合は、そのコンピュータ端末に対応付けられた電話機への給電を停止するようにしたものである。
【0006】また、コンピュータ端末の待機モードへの移行に応じて対応付けられた電話機への給電を停止した場合、そのコンピュータ端末が通常モードへ復帰するまで、予めその電話機に対して設定されている所定の不在モードに基づきその電話機を制御するようにしたものである。
【0007】また、電話機への給電が停止されている場合に、その電話機のフック状態を監視するフック状態監視手段を設け、電話機の不在モードとして不在監視モードに設定されている場合は、その不在監視モードとして、その電話機への着信があった場合でもその電話機への呼び出しを停止し、フック状態監視手段によりその電話機でのオフフックが検出された場合は、その電話機への給電を再開するようにしたものである。
【0008】また、電話機の不在モードとして不在転送モードに設定されている場合は、その不在転送モードとして、その電話機への着信があった場合には、予めその電話機に対して登録されている転送先へその着信を転送するようにしたものである。
【0009】また、電話機の不在モードとして不在停止モードに設定されている場合は、その不在監視モードとして、その電話機への着信があった場合でもその電話機への呼び出しを停止するようにしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態である電話システムのブロック図である。以下では、電話システムとして主装置とボタン電話機とからなるボタン電話装置を例として説明するが、PBXと内線電話機からなる電話システムなど他の構成の電話システムについても本発明を適用できる。
【0011】同図において、1はデータ伝送路5A〜5Nを介してデータ伝送を行うことにより各ボタン電話機3A〜3Nを制御する主装置、2は各コンピュータ端末4A〜4N(パーソナルコンピュータ:PC)とLAN回線8を介して接続されているサーバーであり、各ボタン電話機3A〜3Nと各コンピュータ端末4A〜4Nとが対応付けて配置されている。
【0012】主装置1において、11は外線7と各ボタン電話機3A〜3Nとを交換接続する回線交換部、12はデータ伝送路5A〜5Nを介して各ボタン電話機3A〜3Nへ給電を行うとともに、状態監視伝送路6A〜6Nを介して各ボタン電話機3A〜3Nの動作状態を監視する内線インターフェース部、13は主装置の各部およびボタン電話機などシステム全体を制御する制御部、14は制御部13での制御に必要な制御情報を記憶する記憶部である。
【0013】サーバー2において、21はLAN回線8を介して各コンピュータ端末4A〜4Nと通信を行うLANインターフェース部、22は各コンピュータ端末の動作状態を管理する管理部、23は管理部22で用いられる管理情報を記憶する管理テーブルである。主装置1の制御部13とサーバー2の管理部22とは、通信回線9で相互に接続されており、サーバー2の管理部22から主装置1の制御部13に対して、コンピュータ端末4A〜4Nから通知された各種情報や管理テーブル23に格納されている管理情報が通知される。
【0014】各コンピュータ端末4A〜4Nがスクリーンセーバーの起動や省電力動作などに応じて、利用者による操作待ち状態すなわち待機モードに移行した場合、この動作モードの変化がサーバー2の管理部22に通知される。管理部22では、各コンピュータ端末4A〜4Nからの通知に基づき、各コンピュータ端末4A〜4Nの動作状態を管理情報として管理テーブル23で管理している。
【0015】また、所定の電話機例えばボタン電話機3Aに着信があった場合、主装置1からボタン電話機3Aに対して、データ伝送により着信が通知され、ボタン電話機3Aで着信表示が行われるとともに、主装置1の制御部13からサーバー2の管理部22に対して、ボタン電話機3Aへの着信が発生したこと、あるいはボタン電話機3Aに対応するコンピュータ端末4Aへの着信が発生したことが通知される。これに応じて、LAN回線8を介して管理部22から対応するコンピュータ端末4Aへ着信が通知され、その画面でのポップアップ表示や着信音出力などによりコンピュータ端末4Aでも着信表示が行われる。
【0016】さらに、利用者が不在の場合、そのボタン電話機への着信を転送する転送先として他のボタン電話機を示す転送先情報が、必要に応じて主装置1の記憶部14に予め設定される。なお、コンピュータ端末で利用者のスケジュールや個人情報を管理するPIM(Personal Information Manager)ツールを用いて、転送先情報をサーバー2の管理部22に通知し、これを主装置1の制御部13に逐次転送するようにしてもよい。
【0017】図2は主装置とボタン電話機との接続形態を示すブロック図である。以下、ボタン電話機3Aを例として、主装置とボタン電話機との接続形態について説明するが、他のボタン電話機との接続形態も同様である。主装置1の内線インターフェース部12には、ボタン電話機3Aに対応して給電部15Aと状態監視部16Aとが設けられている。
【0018】給電部15Aでは、データ伝送路5Aを介してボタン電話機3Aの動作に要する電源VAを供給する。また、状態監視部16Aでは、データ伝送路5Aとは別個の状態監視伝送路6Aを介してボタン電話機の動作状態を監視する。
【0019】ボタン電話機3Aにおいて、31はデータ伝送路5Aを介して接続された主装置1の回線交換部11(図1参照)とデータ伝送を行う伝送インターフェース、32はデータ伝送路5Aに重畳された電源VAから電源VDを取り出してボタン電話機の各部に供給する電源部、33はボタン電話機3Aの動作状態、ここではフックスイッチHSで検出されたハンドセットの状態(オンフック/オフフック)を通知する状態通知部である。
【0020】したがって、主装置1の制御部13により内線インターフェース部12の給電部15Aが制御され、ボタン電話機3Aへの給電開始/停止が制御される。また、内線インターフェース部12の状態監視部16Aで検出されたボタン電話機3Aの動作状態が制御部13へ通知される。なお、ボタン電話機3Aには、伝送インターフェース部31を介してやり取りされる音声データを処理する音声処理系回路部や、伝送インターフェース部31を介してやり取りされる制御データに基づきボタン電話機3A全体を制御する制御系回路部が設けられているが、ここでの説明は省略する。
【0021】次に、図3〜図6を参照して、本発明の動作について説明する。図3はコンピュータ端末のモード制御処理を示すフローチャート、図4はサーバーの情報転送処理を示すフローチャート、図5は主装置のモード管理処理を示すフローチャートである。また、図6は主装置の制御処理を示すフローチャートであり、(a)は着信処理、(b)は不在監視モードにおけるオフフック検出処理、(c)は不在監視モードにおけるオンフック処理を示している。
【0022】本発明では、コンピュータ端末が待機モードに移行した場合、利用者が不在であると判断して、そのコンピュータ端末に対応付けられているボタン電話機への給電を停止して、そのボタン電話機に対応して予め登録されている各種不在モードに移行させる。以下では、この不在モードとして、不在監視モード、不在転送モードおよび不在停止モードの3つのモードが設けられている場合を例に説明する。
【0023】不在監視モードとは、当該ボタン電話機への給電を停止する代わりに、フック状態が主装置側で監視され、オフフック検出に応じて給電が再開されてそのボタン電話機が一時的に使用可能となるモードである。また、不在転送モードとは、当該ボタン電話機への給電を停止する代わりに、その状態で着信があった場合に予め設定されている転送先へ着信を転送するモードである。さらに、不在停止モードとは、当該ボタン電話機への給電を停止して、その機能を完全に抑止するモードである。
【0024】最初に、図3を参照して、コンピュータ端末でのモード制御処理について、コンピュータ端末4Aを例として説明する。コンピュータ端末4Aにおいて、図3に示すモード制御処理が所定間隔ごとに実行されている。まず、PIMアプリケーションなどにより転送先が設定されている場合のみ(ステップ50:YES)、その最新の転送先情報をLAN回線8を介してサーバー2へ通知する(ステップ51)。
【0025】次に、コンピュータ端末4Aのキー操作やマウス操作などの操作入力が、所定期間以上なかったかどうか判断される(ステップ52)。ここで、所定期間以上操作入力がなかったときは(ステップ52:YES)、待機モードへの移行処理として、待機モード時に実行すべきアプリケーション、例えばスクリーンセーバーや省電力処理を実行することにより待機モードを起動し(ステップ53)、待機モードを起動したことをサーバー2へ通知して(ステップ54)、一連の処理を終了する。
【0026】また、ステップ52において、所定期間経過前に操作入力があった場合は(ステップ52:NO)、そのとき待機モードが起動されているかどうか判断し(ステップ55)、すでに起動されている場合は(ステップ55:YES)、待機モードの解除処理として、待機モードで実行していたアプリケーションを終了させることにより待機モードを解除し(ステップ56)、待機モードを解除したことをサーバー2へ通知して(ステップ57)、一連の処理を終了する。
【0027】次に、図4を参照して、サーバー2での情報転送処理について説明する。まず、サーバー2の管理部22では、信号待ち状態(ステップ60)において、任意のコンピュータ端末4A〜4Nから転送先情報が通知された場合は、通信回線9を介してその転送先情報を主装置1の制御部13に通知する(ステップ61)。
【0028】また、信号待ち状態(ステップ60)において、任意のコンピュータ端末4A〜4Nから、そのコンピュータ端末で待機モードが起動された旨が通知された場合は、同様にしてそのコンピュータ端末での待機モードの起動が主装置1の制御部13に通知される(ステップ62)。さらに、信号待ち状態(ステップ60)において、任意のコンピュータ端末4A〜4Nから、そのコンピュータ端末で待機モードが解除された旨が通知された場合は、同様にしてそのコンピュータ端末での待機モードの解除が主装置1の制御部13に通知される(ステップ63)。
【0029】次に、図5を参照して、主装置1でのモード管理処理の概略について説明する。まず、信号待ち状態(ステップ65)において、サーバー2から所定コンピュータ端末の転送先情報が送られてきた場合は、それに対応付けられたボタン電話機が不在転送モードになった場合の着信転送先電話機として、その転送先情報に対応するボタン電話機を記憶部14に登録する(ステップ66)。
【0030】また、信号待ち状態(ステップ65)において、サーバー2から所定コンピュータ端末で待機モードが起動された旨が送られてきた場合は、それに対応付けられたボタン電話機の不在モードとして予め設定されたモードを記憶部14から読み出し、そのボタン電話機をそのモードへ移行させる(ステップ67)。また、信号待ち状態(ステップ65)において、サーバー2から所定コンピュータ端末で待機モードが解除された旨が送られてきた場合は、それに対応付けられたボタン電話機を通常モードへ復帰させる(ステップ68)。
【0031】次に、図6を参照して、主装置1での制御処理について説明する。外線7あるいは他のボタン電話機(内線)から着信があった場合、その着信先となるボタン電話機についてのみ、図6(a)に示す着信処理が実行される。以下、着信先ボタン電話機に含まれるボタン電話機3Aについて着信処理を行う場合を例にして説明する。まず、その着信がボタン電話機3Aだけを着信先とする個別着信か否か判断し(ステップ70)、個別着信の場合は(ステップ70:YES)、着信先となるボタン電話機3Aが通常モードで動作しているかどうか判断する(ステップ71)。
【0032】ここで、通常モードで動作中の場合は(ステップ71:YES)、データ伝送によりボタン電話機3Aへ着信表示を指示し(ステップ72)、一連の処理を終了する。一方、通常モードでない場合は(ステップ71:NO)、そのボタン電話機3Aへの給電が停止されていることから、ボタン電話機3Aの不在モードとして不在転送モードが設定されている場合にのみ(ステップ73:YES)、そのボタン電話機3Aに対応して予め登録されている転送先のボタン電話機へ着信を転送し(ステップ74)、他の不在モードの場合は(ステップ73:NO)、着信表示を行わず処理を終了する。
【0033】さらに、ステップ70において、個別着信でなく着信先が複数ある通常着信の場合は(ステップ70:NO)、着信先となるボタン電話機3Aが通常モードで動作している場合にのみ(ステップ75:YES)、データ伝送によりボタン電話機3Aへ着信表示を指示する(ステップ76)。一方、ボタン電話機3Aが不在モードの場合は(ステップ75:NO)、着信表示を行わず処理を終了する。
【0034】また、主装置1の制御部13では、不在監視モードで制御中のボタン電話機、例えばボタン電話機3Aによるオフフックが、内線インターフェース部12の状態監視部16Aで検出された場合、図6(b)に示すオフフック検出処理が実行される。まず、状態監視部16Aからボタン電話機3Aに対し、状態監視伝送路6Aを介してフック検出用電位の供給を停止して給電停止時のフック検出処理を停止するとともに(ステップ80)、給電部15Aを制御することにより、データ伝送路5Aを介してボタン電話機3Aへ一時的に給電を開始する(ステップ81)。
【0035】このとき、フック検出用電位の供給を停止せずに給電を再開してもよい。そして、ボタン電話機3Aに着信が発生している場合は(ステップ82)、先に検出したオフフックがその着信への応答操作であると判断して、その着信とボタン電話機3Aとの通話を開始する着信応答処理を実行し(ステップ83)、一連の処理を終了する。
【0036】一方、主装置1の制御部13では、不在監視モードで制御中のボタン電話機、例えばボタン電話機3Aによるオンフックが、内線インターフェース部12の状態監視部16Aで検出された場合、図6(c)に示すオンフック検出処理が実行される。
【0037】まず、ボタン電話機3Aが外線捕捉中である場合にのみ(ステップ85:YES)、その外線を解放する終話処理を実行する(ステップ86)。そして、給電部15Aを制御してボタン電話機3Aへの給電を停止し(ステップ87)、状態監視部16Aからボタン電話機3Aへフック検出用電位の供給を開始して給電停止時のフック検出処理を再開し(ステップ88)、一連の処理を終了する。
【0038】このように、コンピュータ端末の動作状態が待機モードになった場合は、利用者が不在であると判断して、そのコンピュータ端末に対応付けられているボタン電話機への給電を停止するようにしたので、従来のように、利用者が不在であるのにもかかわらず主装置から各電話機へ常時給電を行うものと比較して、コンピュータ端末だけではなくシステム全体で効果的に消費電力を削減できる。
【0039】また、電話機への給電を停止した場合、そのコンピュータ端末が通常モードへ復帰するまで、予めその電話機に対して設定されている所定の不在モード、例えば不在監視モードや不在転送モードに基づきその電話機を制御するようにしたので、一部のボタン電話機への給電を停止した場合でも、支障を来すことなくシステム全体を制御できる。
【0040】なお、図6(a)のステップ73において、着信先であるボタン電話機が不在転送モード以外の他の不在モードの場合には(ステップ73:NO)、一般的なボタン電話装置における不在着信処理を行ってもよい。この不在着信処理としては、例えば主装置1に設けられた留守番機能や留守番電話機で着信に応答する処理や、他の通常モードのボタン電話機へ着信を転送する処理などがある。
【0041】また、この不在着信処理の代わりに、着信に応じてその着信先ボタン電話機3Aへの給電を再開して、通常モードと同様に着信表示および着信応答処理を実行し、その後の終話に応じて、ボタン電話機3Aへの給電を停止するようにしてもよい。これにより、必要に応じて給電停止中のボタン電話機で着信表示され、近くにいた他の利用者により応答することができ、利用者不在時でも円滑な運用が可能となる。
【0042】以上説明した処理がコンピュータ端末、サーバーおよび主装置で実行された場合、ボタン電話機の動作モードは図7に示すように遷移する。図7はボタン電話機の動作モードの遷移を示す状態遷移図であり、以下、ボタン電話機3Aとコンピュータ端末4Aを例にして説明する。なお、図7では着信として個別着信を想定しており、通常着信については省略している。
【0043】まず、対応付けられたコンピュータ端末4Aが通常動作しており待機モードではない場合、ボタン電話機3Aは通常モード(ステップ100)の状態にあり、主装置1から給電が行われている。このとき、ボタン電話機3Aに対して着信があった場合は、そのボタン電話機3Aで着信表示が行われる(ステップ101)。
【0044】この通常モード(ステップ100)において、コンピュータ端末4Aが待機モードに移行した場合は、ボタン電話機3Aへの給電が停止され(ステップ102)、予め設定された不在モードへそれぞれ移行する。例えば、不在モードとして不在監視モードが設定されていた場合は(ステップ103:YES)、フック検出用電位の供給が開始されて給電停止時のフック検出処理が開始され(ステップ104)、不在監視モード(ステップ105)へ移行する。
【0045】この不在監視モードにおいて、給電停止中に着信があった場合、ボタン電話機3Aでの呼び出し(着信表示)を行わない。また、ボタン電話機3Aでオフフックが検出された場合は給電が再開され(ステップ106)、ボタン電話機3Aが一時的に使用可能となる。これにより、給電停止中であっても、オフフックにより一時使用が可能となり、緊急時などにも対応できる。
【0046】その後、オンフックが検出された場合は、一時使用が終了したと判断して給電が停止される(ステップ107)。さらに、コンピュータ端末4Aが通常動作に復帰した場合は、フック検出用電位の供給を停止して給電停止時のフック検出処理が停止されるとともに(ステップ108)、ボタン電話機3Aへの給電が再開されて(ステップ130)、通常モード(ステップ100)へ移行する。
【0047】また、ボタン電話機3Aの不在モードとして不在転送モードが設定されていた場合は(ステップ110:YES)、不在転送モード(ステップ111)に移行する。この不在転送モードにおいて、着信があった場合は、ボタン電話機3Aに対応して予め登録されている転送先へ着信が転送される(ステップ112)。これにより、給電停止中に着信があった場合でも、転送先のボタン電話機で応答することができる。
【0048】さらに、コンピュータ端末4Aが通常動作に復帰した場合は、ボタン電話機3Aへの給電が再開されて(ステップ130)、通常モード(ステップ100)へ移行する。なお、不在転送モードでは、ボタン電話機3Aのフック状態が監視されておらず、フック状態が変化しても処理は行われず、一時使用はできない。
【0049】また、ボタン電話機3Aの不在モードとして不在停止モードが設定されていた場合は(ステップ110:NO)、不在停止モード(ステップ120)に移行する。この不在停止モードにおいて、着信があった場合は、ボタン電話機3Aに対応して予め登録されている転送先へ着信が転送され(ステップ112)、転送先のボタン電話機で呼び出しが行われる。
【0050】さらに、コンピュータ端末4Aが通常動作に復帰した場合は、ボタン電話機3Aへの給電が再開されて(ステップ130)、通常モード(ステップ100)へ移行する。なお、不在停止モードでは、ボタン電話機3Aのフック状態が監視されておらず、フック状態が変化しても処理は行われず、一時使用はできない。これにより、コンピュータ端末が待機モードの場合は、対応付けられたボタン電話機への給電が完全に停止され、最も効率よく消費電力を削減できる。
【0051】なお、以上の説明では、通信回線9を介して主装置1の制御部13とサーバー2の管理部22との間で通信を行うことにより、サーバー2へ通知された各コンピュータ端末4A〜4Nの動作状態を、主装置1の制御部13に通知する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、主装置1にLANインターフェース部を設けてLAN回線8と接続し、通信回線9の代わりに、LAN回線8を介してサーバー2から主装置1の制御部13に通知するようにしてもよい。
【0052】また、以上の説明では、各コンピュータ端末4A〜4Nの電源状態をサーバー2を介して主装置1の制御部13に通知する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、サーバー2の管理テーブル23で各コンピュータ端末の動作状態を管理しておき、必要に応じて主装置1の制御部13から管理テーブル23をアクセスしもよい。
【0053】さらには、対応付けられたボタン電話機とコンピュータ端末とを直接接続し、各コンピュータ端末4A〜4Nの電源状態をボタン電話機を介して主装置1の制御部13へ通知するようにしてもよい。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、コンピュータ端末の動作状態が通常モードから待機モードへ移行した場合は、そのコンピュータ端末に対応付けられた電話機への給電を停止するようにしたので、従来のように、利用者が不在であるのにもかかわらず主装置から各電話機へ常時給電を行うものと比較して、コンピュータ端末だけではなくシステム全体で効果的に消費電力を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態による電話システムのブロック図である。
【図2】 主装置とボタン電話機との接続形態を示すブロック図である。
【図3】 コンピュータ端末のモード制御処理を示すフローチャートである。
【図4】 サーバーの情報転送処理を示すフローチャートである。
【図5】 主装置のモード管理処理を示すフローチャートである。
【図6】 主装置の制御処理を示すフローチャートである。
【図7】 ボタン電話機の動作モードの遷移を示す状態遷移図である。
【符号の説明】
1…主装置、11…回線交換部、12…内線インターフェース部、13…制御部、14…記憶部、15(15A〜15N)…給電部、16(16A〜16N)…状態監視部、2…サーバー、21…LANインターフェース部、22…管理部、23…管理テーブル、3A〜3N…ボタン電話機、31…伝送インターフェース、32…電源部、33…状態通知部、4A〜4N…コンピュータ端末、5A〜5N…データ伝送路、6A〜6N…状態監視伝送路、7…外線、8…LAN回線、9…通信回線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 収容する電話機と外線とを交換接続するとともに、コンピュータ端末に電話機を対応付けて制御する電話システムにおいて、コンピュータ端末の動作状態が通常モードから待機モードへ移行した場合は、そのコンピュータ端末に対応付けられた電話機への給電を停止する制御手段を備えることを特徴とする電話システム。
【請求項2】 請求項1記載の電話システムにおいて、制御手段は、コンピュータ端末の待機モードへの移行に応じて対応付けられた電話機への給電を停止した場合、そのコンピュータ端末が通常モードへ復帰するまで、予めその電話機に対して設定されている所定の不在モードに基づきその電話機を制御することを特徴とする電話システム。
【請求項3】 請求項2記載の電話システムにおいて、電話機への給電が停止されている場合に、その電話機のフック状態を監視するフック状態監視手段を備え、制御手段は、電話機の不在モードとして不在監視モードに設定されている場合は、その不在監視モードとして、その電話機への着信があった場合でもその電話機への呼び出しを停止し、フック状態監視手段によりその電話機でのオフフックが検出された場合は、その電話機への給電を再開することを特徴とする電話システム。
【請求項4】 請求項2記載の電話システムにおいて、制御手段は、電話機の不在モードとして不在転送モードに設定されている場合は、その不在転送モードとして、その電話機への着信があった場合には、予めその電話機に対して登録されている転送先へその着信を転送することを特徴とする電話システム。
【請求項5】 請求項2記載の電話システムにおいて、制御手段は、電話機の不在モードとして不在停止モードに設定されている場合は、その不在監視モードとして、その電話機への着信があった場合でもその電話機への呼び出しを停止することを特徴とする電話システム。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図4】
image rotate


【図3】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【公開番号】特開2000−287233(P2000−287233A)
【公開日】平成12年10月13日(2000.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−93515
【出願日】平成11年3月31日(1999.3.31)
【出願人】(000003632)株式会社田村電機製作所 (18)
【Fターム(参考)】