露出階段及び露出階段の組立方法
【課題】構成が単純であるため生産性が高い桁板、踏板、及び踏板固定具を用いて組み立てることができ、しかも、踏板に加えられた荷重を広い面積で支えることができる露出階段及び露出階段の組立方法を提供する。
【解決手段】アングル状の踏板固定具41,42の一側面部411,421の先端部に、踏板固定具41,42の板厚よりも長くアングルの外側へ突出する突出面部413,423を一体的に設け、踏板固定具41,42の他側面部412,422を踏板31にビス留めしてから、桁板21,22に形成されている左右一対の嵌合溝212,222に、突出面部413,423を、嵌合溝212,222の長手方向に嵌入し、一側面部411,421を桁板21,22にビス留めする。踏板31に加えられて踏板固定具41,42に伝達された荷重は、ビスと、嵌合溝212,222の内下面とで安定して支持される。
【解決手段】アングル状の踏板固定具41,42の一側面部411,421の先端部に、踏板固定具41,42の板厚よりも長くアングルの外側へ突出する突出面部413,423を一体的に設け、踏板固定具41,42の他側面部412,422を踏板31にビス留めしてから、桁板21,22に形成されている左右一対の嵌合溝212,222に、突出面部413,423を、嵌合溝212,222の長手方向に嵌入し、一側面部411,421を桁板21,22にビス留めする。踏板31に加えられて踏板固定具41,42に伝達された荷重は、ビスと、嵌合溝212,222の内下面とで安定して支持される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、踏板及び桁板を用いてなり、蹴込み板を備えない露出階段及び露出階段の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋内に設置される階段として、露出階段(オープン階段)が用いられている。
図16は、従来の露出階段の構成を示す斜視図である。
従来の露出階段は、建築物の例えば1階の床面と2階との間に夫々斜めに掛け渡されている2本の桁板91,91と、桁板91,91に階段状に固定されている複数枚の踏板92,92,…とを備える。
【0003】
各桁板91には、長辺部を部分的に切削することによって、踏板92,92,…の枚数に等しい個数の踏板支持部911,911,…が形成されている。各踏板92の長辺部には、長手方向に隣り合う2個の矩形状の切り欠き部921,921が形成されている。各踏板支持部911は、踏板92の下面が載置される踏板載置面91aと、切り欠き部921の内法に対応する外法を有し、切り欠き部921に嵌合される嵌合部91bとを有する。
【0004】
所定の階段設置場所に露出階段を設置する作業者は、まず、桁板91,91を左右方向に離隔配置して建築物の1階と2階との間に架設する。
次いで、作業者は、左右一対の踏板支持部911,911に接着剤を塗布してから、図中二点鎖線で示す踏板92の下面が踏板載置面91aに載置され、切り欠き部921が嵌合部91bに嵌合されるよう踏板92を桁板91,91に図中白抜矢符方向へ嵌め込み、固定する。
【0005】
また、桁板及び踏板夫々とは別体の踏板固定具を用いて、1本又は2本の桁板に複数枚の踏板を階段状に固定してなる露出階段が提案されている(特許文献1〜5参照)。
更に、ささら桁に一体に設けられている受け部に踏板を載置してなる露出階段が提案されている(特許文献6参照)。
【0006】
以上のような露出階段は、ボックス階段(即ち、踏板の一側部又は両側部が壁に取り付けられており、また、蹴込み板を備える階段)に比べて、装飾性が高く、開放感を有するため、例えばリビング・ルームのように、装飾性及び開放感が好まれる空間に設置されることが多い。
【特許文献1】特開2006−322304号公報
【特許文献2】特開2006−177053号公報
【特許文献3】特開2006−97384号公報
【特許文献4】特開2006−97383号公報
【特許文献5】特開2005−315031号公報
【特許文献6】特開2005−30082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図16に示すような従来の露出階段の場合、切り欠き部921,921が、踏板92の長辺部から短手方向中央部に亘って凹設されているため、踏板92は一枚板の踏板より強度が低いという問題がある。
また、1個の切り欠き部921に対応する踏板支持部911は、桁板91の長辺部の端面と両面夫々とを加工することによって形成しなければならないため、工数が多く、生産効率が悪いという問題がある。
【0008】
一般に、桁板91及び踏板92夫々は、踏板支持部911及び切り欠き部921夫々が工場で形成された状態で、露出階段の階段設置場所へ搬入される。つまり、踏板92,92,…夫々の切り欠き部921,921間の距離は一定である。ところが、桁板91の反り、階段設置場所の歪み等によって、桁板91,91の左右一対の踏板支持部911,911間の離隔距離は一定でないことがある。この場合、踏板92を桁板91,91に嵌め込めないという問題が生じる。
更に、踏板支持部911と切り欠き部921とが嵌合する部分で、桁板91が踏板92に干渉するかたちとなるため、踏板92の上面の面積が実際よりも小さいように錯覚し、足場が狭いという印象を使用者が受けるという問題がある。
【0009】
特許文献1〜6に記載の露出階段であれば、図16に示すような従来の露出階段(即ち、切り欠き部921,921を有する踏板92を、踏板支持部911,911を有する桁板91,91に嵌め込み固定する露出階段)とは構成が異なるため、前述の問題は生じない。
【0010】
ところが、特許文献2に記載されている露出階段は、複雑な形状の踏板固定具(固定プレート)を必要とする。また、特許文献3に記載されている露出階段は、2種類の踏板固定具(踏板受け具及び踏板挟持具)を必要とする。更に、特許文献4に記載されている露出階段は、踏板固定具(踏板受け具)がビス留めのみで桁板(桁)に固定されているため、踏板に加えられて踏板固定具に伝達された荷重を、ビスのみで支える必要がある。即ち、荷重に対する強度に不安がある。更にまた、特許文献5に記載されている露出階段は、単純なT字状の踏板固定具(踏板受け材)を用いてなるが、踏板固定具を取り付けるべき桁板(側桁)の構成が複雑である。特許文献6に記載されている露出階段は、踏板固定具を使用しない分、桁板(ささら桁)の形状が複雑である。
【0011】
特許文献1に記載されている露出階段は、一種類且つ単純なアングル状の踏板固定具(取付金具)を用いてなる。桁板(桁)には、踏板固定具の一側面部の板厚に等しい深さを有する台形状、平行四辺形状、又は三角形状等の単純な形状の凹部が形成されている。踏板固定具は、一側面部の大半が桁板の凹部に嵌め込まれた状態でビス留めされるため、踏板に加えられて踏板固定具に伝達された荷重を、ビスだけではなく、桁板の凹部内下面でも支えることができ、例えば特許文献4に記載されている露出階段に比べて、荷重に対する強度が向上されている。
【0012】
しかしながら、桁板の凹部は、踏板固定具の一側面部の大半を嵌め込めるだけの開口面積を必要とするため、桁板の加工に手間暇が掛かる。このため、更に加工の手間暇を減少させることが望ましい。
また、桁板の凹部内下面は、踏板固定具の板厚に等しい深さしか有していないため、面積が狭い。このため、踏板に加えられて踏板固定具に伝達された荷重を、広い面積で支えることができるように工夫して、荷重に対する強度を更に向上させることが望ましい。
【0013】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、アングル状の踏板固定具の一側面部の先端部に、踏板固定具の板厚よりも長くアングルの外側へ突出する突出部を一体的に設け、桁板に形成されている嵌合溝に突出部を嵌合させた状態で、踏板固定具の一側面部を桁板にビス留めし、他側面部を踏板にビス留めする構成とすることにより、一種類且つ単純な形状の踏板固定具を用いて、単純な形状の嵌合溝が形成されている桁板に、踏板を固定することができ、しかも、嵌合溝の内下面の広い面積で、踏板に加えられた荷重を支えることができる露出階段を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、他側面部が踏板にビス留めされている踏板固定具の突出部を、最下の嵌合溝へ、桁板の上側の側端面の開口部分から嵌入した後で、踏板固定具の一側面部を桁板にビス留めする構成とすることにより、桁板に最下段の踏板を容易に固定することができる露出階段及び露出階段の組立方法を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、先に桁板に踏板固定具をビス留めしてから踏板固定具に踏板をビス留めすることにより、最下段以外の踏板を容易に固定することができ、また、最下の嵌合溝以外の嵌合溝を目立たなくすることができる露出階段の組立方法を提供することにある。
【0016】
本発明の更に他の目的は、先に踏板に踏板固定具をビス留めしてから桁板に踏板固定具をビス留めすることにより、最下段以外の踏板を容易に固定することができ、また、最下の嵌合溝及び最下以外の嵌合溝夫々の形状を統一することができる露出階段の組立方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1発明に係る露出階段は、上段と下段とを有する建築物の前記上段と前記下段との間に、長手方向が傾斜し、且つ一面が縦姿勢で架設されている1本又は2本の桁板と、該桁板に、夫々横姿勢で階段状に固定されている複数枚の踏板と、各踏板を前記桁板に固定しており、一側面部が前記一面にビス留めされており、他側面部が前記踏板の下面にビス留めされているアングル状の踏板固定具とを備える露出階段において、前記踏板固定具の板厚よりも長くアングルの外側へ突出する突出部が、前記一側面部の先端部に一体的に設けられており、前記突出部の突出量及び板厚に対応する深さ及び幅を有し、前記突出部が嵌合されている嵌合溝が、前記一面に形成されていることを特徴とする。
【0018】
第2発明に係る露出階段は、最下段の踏板を前記桁板に固定する踏板固定具の突出部が嵌合されている最下の嵌合溝は、前記桁板の上側の側端面にも開口していることを特徴とする。
【0019】
第3発明に係る露出階段の組立方法は、上段と下段とを有する建築物の前記上段と前記下段との間に、長手方向が傾斜し、且つ一面が縦姿勢で架設されている1本又は2本の桁板と、該桁板に、夫々横姿勢で階段状に固定されている複数枚の踏板と、各踏板を前記桁板に固定しており、一側面部が前記一面にビス留めされており、他側面部が前記踏板の下面にビス留めされているアングル状の踏板固定具とを備える露出階段の組立方法において、前記踏板固定具として、該踏板固定具の板厚よりも長くアングルの外側へ突出する突出部が、一側面部の先端部に一体的に設けられている踏板固定具を準備し、前記桁板として、前記突出部の突出量及び板厚に対応する深さ及び幅を有し、前記突出部が嵌合される嵌合溝が前記一面に形成されており、最下段となすべき踏板を前記桁板に固定する踏板固定具の突出部が嵌合される最下の嵌合溝が、前記桁板の該桁板が架設された場合に上側になる側端面にも開口している桁板を準備し、該桁板を、前記上段と前記下段との間に、長手方向が傾斜し、且つ前記一面が縦姿勢になり、更に、前記側端面が上側になるよう架設し、前記踏板固定具の他側面部を、前記最下段となすべき踏板の前記桁板に固定した場合に下面になる側の面にビス留めし、前記踏板固定具の突出部を、前記最下の嵌合溝へ、前記側端面の開口部分から嵌入し、前記踏板固定具の一側面部を、前記一面にビス留めすることを特徴とする。
【0020】
第4発明に係る露出階段の組立方法は、前記桁板を架設した後、前記最下段となすべき踏板を前記桁板に固定する踏板固定具以外の踏板固定具の突出部を、前記最下の嵌合溝以外の嵌合溝へ嵌入し、前記踏板固定具の一側面部を、前記一面にビス留めし、前記踏板固定具の他側面部を、前記最下段となすべき踏板以外の踏板の下面にビス留めすることを特徴とする。
【0021】
第5発明に係る露出階段の組立方法は、前記桁板として、前記最下の嵌合溝以外の嵌合溝も前記側端面に開口している桁板を準備し、前記桁板を架設した後、前記最下段となすべき踏板を前記桁板に固定する踏板固定具以外の踏板固定具の他側面部を、前記最下段となすべき踏板以外の踏板の前記桁板に固定した場合に下面になる側の面にビス留めし、前記踏板固定具の突出部を、前記嵌合溝へ、前記側端面の開口部分から嵌入し、前記踏板固定具の一側面部を、前記一面にビス留めすることを特徴とする。
【0022】
第1発明にあっては、踏板を桁板に固定する踏板固定具はアングル状であり、踏板固定具の板厚よりも長くアングルの外側へ突出する突出部が、一側面部の先端部に一体的に設けられている。つまり、踏板固定具は、例えばL型アングル材の一側面部の先端部に、他側面部に対して平行に、且つ逆方向に突出する突出面部を有するようなものであり、全体として変形Z字板状をなす。このような踏板固定具は、形状が簡易である。踏板固定具は、桁板の一面に形成されている嵌合溝に突出部が嵌合し、一側面部がこの一面(例えば、鉛直な面)にビス留めされ、他側面部が踏板の下面(この場合、水平な面)にビス留めされる。つまり、踏板を受けるための踏板固定具と踏板を挟持するための踏板固定具のような、複数種類の踏板固定具が不要である。
【0023】
以下では、桁板に関し、踏板固定具の一側面部がビス留めされる一面を、ビス面という。
桁板は1本又は2本であり、建築物の上段と下段(例えば2階と1階)との間に、長手方向が所定の角度で傾斜し、且つビス面が縦姿勢で架設され、このビス面に、踏板固定具がビス留めされる。桁板が2本である場合、2本の桁板は、例えば夫々のビス面が互いに向かい合う内面同士か、又は外面同士になるよう、平行に離隔配置される。一方、桁板が1本である場合、1本の桁板の両面が、ビス面として用いられる。
【0024】
桁板のビス面には、嵌合溝が形成されている。各嵌合溝は、突出部の突出量及び板厚に対応する深さ及び幅を有する。つまり、嵌合溝は一直線状の単純な形状であり、また、板状の突出部と嵌合するために必要十分な寸法を有する。このような嵌合溝は、短時間で簡単に形成することができるため、加工の手間暇が減少する。更に、踏板固定具を桁板に取り付けるために嵌合溝以外の凹部又は凸部等を形成する必要はないため、桁板の構成は簡易であり、形状は単純である。桁板が、例えば工場で生産される場合は、嵌合溝が高精度に形成されるため、嵌合溝に突出部を嵌め入れることによって、踏板固定具の正確な位置決めが容易になされる。
【0025】
複数枚の踏板は、1枚につき一般に2個の踏板固定具を用いて、夫々横姿勢で、階段状に配されて桁板に固定される。各踏板固定具の一側面部は桁板のビス面にビス留めされ、しかも、一側面部に一体的に設けられている突出部が、桁板のビス面に形成されている嵌合溝に、基端から先端まで嵌め入れられている。従って、踏板に加えられて踏板固定具に伝達された荷重は、ビスと、嵌合溝の内下面とで支持される。突出部は、踏板固定具の板厚よりも長く突出し、嵌合溝は、突出部の突出量に対応する深さを有するため、嵌合溝の内下面は、面積が広い。従って、安定して荷重を支持することができる。
【0026】
以上のような露出階段は、踏板固定具を用いて踏板を桁板に固定するため、踏板を桁板に嵌め込み固定するための切り欠き部を踏板に形成する必要がない。従って、踏板の強度が弱くなることはない。
また、ビス留めすべき踏板固定具1個につき、桁板の両面を加工する必要はなく、桁板のビス面に1本の嵌合溝を形成すればよいため、工数が少なく、生産効率がよい。
【0027】
桁板、踏板、及び踏板固定具夫々は、例えば工場で生産されて、階段設置場所へ搬入される。踏板に対する踏板固定具のビス留めは、工場ではなく階段設置場所で施工されるため、2本の桁板に踏板を固定する場合、階段設置場所に架設された2本の桁板の離隔距離に応じて2個の踏板固定具が離隔配置されて、踏板にビス留めされる。このため、たとえ桁板間の距離が上下方向の各位置で異なっていても、問題なく踏板を桁板に固定することができる。
踏板固定具は踏板の下側に配され、しかも、踏板が桁板に嵌め込み固定されないため踏板と桁板との干渉は生じない。この結果、使用者が目測した踏板の上面の面積と、実際の面積とが感覚的に一致し、足場が広いという印象を使用者が受ける。
【0028】
第2発明及び第3発明にあっては、桁板のビス面に形成されている嵌合溝夫々は、このビス面に開口しているが、これらの嵌合溝の内、少なくとも最下段の踏板を桁板に固定する踏板固定具(以下、最下の踏板固定具という)の突出部が嵌合される嵌合溝(即ち最下の嵌合溝)は、桁板のビス面のみならず、桁板の側端面(即ち桁板の長手方向に沿う端面)の内、上側の側端面にも開口している。
露出階段を設置する作業者は、1本又は2本の桁板と、複数枚の踏板と、踏板1枚につき一般に2個の踏板固定具とを準備する。
ここで、作業者が準備すべき桁板は、ビス面に嵌合溝が形成されている桁板である。ただし、少なくとも最下の嵌合溝は、桁板のビス面のみならず、桁板が架設された場合に上側になる側端面にも開口している。この側端面を、以下では開口側端面という。
【0029】
作業者は、桁板を、建築物の上段と下段との間に、長手方向が所定の角度で傾斜し、且つビス面が縦姿勢になるよう架設する。このとき、作業者は、開口側端面が上側になるように桁板を配置する。桁板が2本である場合、作業者は、2本の桁板を平行に適長離隔して同様に架設する。
最下段となすべき踏板以外の踏板(以下、最下段以外の踏板という)を桁板に固定する前に、又は固定した後で、作業者は、まず、最下段となすべき踏板に関し、桁板に固定した場合に下面になる側の面に、最下の踏板固定具の他側面部をビス留めする。この結果、最下段となすべき踏板と最下の踏板固定具(更に詳細には複数個の最下の踏板固定具)とが一体化される。
【0030】
次いで、作業者は、最下段となすべき踏板に一体化されている最下の踏板固定具の突出部を、桁板のビス面に形成されている最下の嵌合溝へ、桁板の開口側端面の開口部分から嵌入する。突出部の嵌入方向は、最下の嵌合溝の長手方向、即ち踏板の配設方向(即ち横方向)であるため、最下の踏板固定具又は最下の踏板固定具と一体化されている踏板が、既に桁板に固定されている最下段以外の踏板に当接することはない。
最終的に、作業者は、最下の踏板固定具の一側面部を桁板のビス面にビス留めする。
【0031】
仮に、最下の踏板固定具を桁板にビス留めする前に、最下の踏板固定具の突出部を最下の嵌合溝に嵌入した場合、最下の踏板固定具の一側面部が桁板にビス留めされてから、桁板と一体化されている最下の踏板固定具の他側面部が、踏板の下面にビス留めされる。ところが、最下段の踏板の下面と、建築物の下段の床面との間の離隔距離は法律で定められており、最下段の踏板の下面と床面との間には、ビス留め用の工具を上下方向に配置するには不十分な広さの空間しか存在しない。このため、上下方向のビス留め(即ち、踏板の下面に対する最下の踏板固定具の他側面部のビス留め)が困難である。
【0032】
第4発明にあっては、桁板が架設された後、最下段となすべき踏板以外の踏板(即ち最下段以外の踏板)が桁板に固定される。ただし、踏板固定具は桁板にビス留めされた後で、踏板にビス留めされる。
作業者は、最下の踏板固定具以外の踏板固定具(以下、最下以外の踏板固定具という)の突出部を、最下の嵌合溝以外の嵌合溝(以下、最下以外の嵌合溝という)へ嵌入する。次いで、作業者は、最下以外の踏板固定具の一側面部を、桁板のビス面にビス留めする。最終的に、作業者は、最下以外の踏板固定具の他側面部を、最下段以外の踏板の下面にビス留めする。
【0033】
嵌合溝に対する突出部の嵌入方向は横方向であるため、最下段以外の踏板は、最下段側から上段側へ順に固定されても、逆に、最上段側から下段側へ順に固定されても、既に桁板に固定されている他の踏板に当接することはない。つまり、作業の自由度が向上される。
最下以外の嵌合溝は、開口側端面に開口していてもよく、していなくてもよい。
最下以外の踏板固定具の突出部は、最下以外の嵌合溝へ、ビス面の開口部分から嵌入されるが、最下以外の嵌合溝が開口側端面にも開口している場合は、開口側端面の開口部分から嵌入されてもよい。つまり、作業の自由度が更に向上される。
【0034】
第5発明にあっては、桁板が架設された後、最下段以外の踏板が桁板に固定される。ただし、踏板固定具は踏板にビス留めされた後で、桁板にビス留めされる。
ここで、作業者が準備すべき桁板は、ビス面に嵌合溝が形成されている桁板である。ただし、各嵌合溝は、桁板のビス面のみならず、開口側端面にも開口している。
作業者は、まず、最下段以外の踏板に関し、桁板に固定した場合に下面になる側の面に、最下以外の踏板固定具の他側面部をビス留めする。この結果、最下段以外の踏板と最下以外の踏板固定具(更に詳細には複数個の最下以外の踏板固定具)とが一体化される。
【0035】
次いで、作業者は、最下段以外の踏板に一体化されている最下以外の踏板固定具の突出部を、桁板のビス面に形成されている最下以外の嵌合溝へ、桁板の開口側端面の開口部分から嵌入する。突出部の嵌入方向は、最下以外の嵌合溝の長手方向、即ち踏板の配設方向(即ち横方向)であるため、最下以外の踏板固定具又は最下以外の踏板固定具と一体化されている踏板が、既に桁板に固定されている他の踏板に当接することはない。また、最下段以外の踏板は、最下段側から上段側へ順に固定されても、逆に、最上段側から下段側へ順に固定されても、既に桁板に固定されている他の踏板に当接することはない。つまり、作業の自由度が向上される。
【0036】
最下以外の嵌合溝は、最下の嵌合溝と同様に、開口側端面に開口している。つまり、桁板に形成されている嵌合溝夫々の形状が統一されている。
【発明の効果】
【0037】
第1発明の露出階段による場合、一種類且つ単純な形状の踏板固定具を用いて、単純な形状の嵌合溝が形成されている桁板に、踏板を固定することができる。従って、例えば特許文献1に記載されている従来の露出階段に比べて、加工の手間暇を更に減少させることができる。
しかも、ビスのみならず、広い面積を有する嵌合溝の内下面で、踏板に加えられた荷重を支えることができる。このため、例えば特許文献1に記載されている露出階段に比べて、荷重に対する強度が向上されている。
【0038】
また、夫々の形状が単純であるため、桁板、踏板、及び踏板固定具を例えば工場で効率よく生産することができる。更に、桁板、踏板、及び踏板固定具の設置現場での加工が不要であるか、又は容易であるため、設置作業の所要時間を短縮することができ、設置費用を安価に抑えることができる。更にまた、工場で嵌合溝を正確な位置に形成すること、又は、設置現場で2本の桁板間の距離に応じて2個の踏板固定具を配すること等によって、踏板を桁板に高精度で固定することができる。
【0039】
第2発明の露出階段及び第3発明の露出階段の組立方法による場合、最下段以外の踏板を先に桁板に固定しても、後から桁板に固定しても、最下段の踏板を容易に桁板に固定することができる。しかも、踏板と床面との間の狭い空間で上下方向のビス留めをする必要がないため、作業性が高い。
【0040】
第4発明の露出階段の組立方法による場合、上段側の踏板から先に桁板に固定するか下段側の踏板から先に固定するかを制限することなく、最下段以外の踏板を容易に固定することができる。また、最下の嵌合溝以外の嵌合溝を目立たなくして、美観を向上させることができる。
【0041】
第5発明の露出階段の組立方法による場合、上段側の踏板から先に桁板に固定するか下段側の踏板から先に固定するかを制限することなく、最下段以外の踏板を容易に固定することができる。また、最下の嵌合溝及び最下以外の嵌合溝夫々の形状を統一して美観を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0043】
実施の形態 1.
図1及び図2は、本発明の実施の形態1に係る露出階段の構成を示す斜視図及び正面図であり、図3は、図2におけるIII −III 線の断面図である。
図中11は露出階段であり、露出階段11は、例えば2階建ての建造物の屋内に設置されており、露出階段11を昇降することによって、使用者は1階の床面Fと、2階の図示しない床面との間を行き来する。
【0044】
露出階段11は、左右2本の桁板21,22と、N枚(Nは2以上の自然数。例えば14)の踏板31,31,…と、左側に配されるN個の踏板固定具41,41,…及び右側に配されるN個の踏板固定具42,42,…とを備え、これらは左右対称に配されている。
【0045】
桁板21は、1階と2階との間に架設されている。更に詳細には、桁板21の下部が1階の水平な床面F上に載置され、桁板21の上部が2階の床面を支持する躯体Bに固定されている。また、桁板21の長手方向が床面Fに対して所定の角度θで傾斜しており、且つ、桁板21の一面であるビス面211が縦(鉛直)に配されている。
桁板22は、桁板21,22が左右対称になるよう架設されている。このとき、桁板21のビス面211と、桁板22のビス面221とは、対面配置される。換言すれば、ビス面211,221は、露出階段11の内側に配されている。
各踏板31は、桁板21,22に、夫々横姿勢(水平の姿勢)で階段状に固定されている。
【0046】
各踏板固定具41,42夫々はアングル状であり、各踏板固定具41は踏板31と桁板21とを固定し、各踏板固定具42は、踏板31と桁板22とを固定している。
踏板固定具41の縦方向の一側面部411は、3個のビスV,V,Vを用いて桁板21のビス面211にビス留めされており、踏板固定具41の横方向の他側面部412は、4個のビスV,V,…を用いて踏板31の下面である裏面312にビス留めされている。同様に、踏板固定具42の一側面部421は、3個のビスV,V,Vを用いて桁板22のビス面221にビス留めされており、踏板固定具42の他側面部422は、4個のビスV,V,…を用いて踏板32の下面にビス留めされている。
【0047】
図4は、露出階段11の組み立てに用いられる左側の桁板21の構成を示す側面図である。右側の桁板22の構成は、桁板21の鏡像の構成に相当するため、以下では主に桁板21について説明する。
桁板21は、木材又は木質材等を用いてなる板材であり、縦横比が大きい長方形の長手方向両端部を切断して台形にしたような形状を有する。
桁板21の両短辺部21a,21bについて、短辺部21aは、桁板21が階段設置場所に設置される場合に下側になり、短辺部21bは上側になる。
【0048】
一方、桁板21の両長辺部21c,21dについて、長い方の長辺部21cは、桁板21が階段設置場所に設置される場合に上側になり、短い方の長辺部21dは下側になる。
両短辺部21a,21bの仮想的な延長線は互いに垂直に交差し、上側の長辺部21cは、下側の短辺部21aに、所定の角度θで交差している。
【0049】
桁板21の一面は、踏板固定具41の一側面部411がビス留めされるビス面211として用いられる。ビス面211には、N枚の踏板31,31,…の固定位置に対応する位置に、N本の嵌合溝212,212,…が階段状に形成されている。各嵌合溝212は、ビス面211に開口しており、更に、桁板21の上側の長辺部21cの側端面にも開口している(図2及び図4参照)。
【0050】
各嵌合溝212は、踏板固定具41の後述する突出面部413(図2及び図6参照)の突出量に略等しい深さと、突出面部413の板厚に略等しい幅とを有する。更に詳細には、嵌合溝212の深さ及び幅は、突出面部413の突出量及び板厚よりも夫々約1mm長い。また、嵌合溝212の長さは、突出面部413の長辺部の長さ以上である。このような嵌合溝212,212,…は、互いに略同一形状であって、また、短辺部21aに平行である。
【0051】
N本の嵌合溝212,212,…の形状及び形成位置等は、例えば板材を生産する工場で、NCルータを用いて高精度に形成することができる。また、ビス面211の裏面に対する加工は不要であり、しかも、各嵌合溝212は一直線状であって、開口面積が狭いため、例えば台形状、平行四辺形状、又は三角形状等の開港面積が広い凹部を形成する場合よりも、短時間で容易に形成することができる。
右側の桁板22にも、桁板21同様に、N本の嵌合溝222,222,…が形成されている(図2参照)。
【0052】
図5(a)は、露出階段11の組み立てに用いられる踏板31の構成を示す斜視図である。
踏板31は、木材又は木質材等を用いてなる長方形状の板材であり、表面311の一方の長辺部に、例えば適宜の凹凸を有する滑り止め31aが設けられている(図1参照)。一方、裏面312は平面状である。表面311(裏面312)は、踏板31を桁板21,22に固定した場合に上面(下面)になる側の面である。
【0053】
図6は、本発明の実施の形態1に係る露出階段11の組み立てに用いられる左右の踏板固定具41,42夫々の構成を示す斜視図である。右側の踏板固定具42の構成は、左側の踏板固定具41の鏡像の構成に相当するため、以下では主に踏板固定具41について説明する。
踏板固定具41は金属製のL型アングル材であり、一側面部411と他側面部412とが互いに垂直に配されている。ここで、一側面部411の板厚と他側面部412の板厚とは等しい(例えば約5mm)。
【0054】
他側面部412は長方形状であり、長方形の一方の長辺部が他側面部412の基端部に相当する。また、図1及び図6に示すように、他側面部412は、長方形の四隅部に各1個(計4個)のビス孔が形成されている。
一方、一側面部411は台形状であって、更に詳細には、図3及び図6に示すように、台形の長い方の上底部分が一側面部411の基端部に相当し、短い方の下底部分が先端部に相当する直角台形状である。また、一側面部411の先端部近傍には、直角台形の直角部分に沿って直角三角形の頂点に相当する位置に配された3個のビス孔が形成されている。
【0055】
更に、図2及び図6に示すように、踏板固定具41は、踏板固定具41の板厚よりも長く、且つ、他側面部412の短辺部の長さより短くアングルの外側(L字の外側)へ、一側面部411に垂直に突出する長方形状の突出面部413が、一側面部411の先端部に一体的に設けられている。突出面部413は、長方形の一方の長辺部が突出面部413の基端部に相当する。また、突出面部413の板厚は、一側面部411の板厚に等しく、突出面部413の一側面部411からの突出量は、約15mmである。このため、嵌合溝212の深さは16mmであり、幅は約6mmである。
【0056】
つまり、他側面部412と突出面部413とは、一側面部411の基端部と先端部とに、互いに平行に設けられ、且つ、一側面部411を間に挟んで互いに逆方向に突出している。この結果、踏板固定具41は全体として変形Z字断面を有する簡易な板状をなしている。
【0057】
このような踏板固定具41は、例えば金属板を折り曲げて形成されるか、又は金型を用いて成型されてなる。
右側の踏板固定具42にも、踏板固定具41と同様に、突出面部423が形成されている。
なお、踏板固定具41のアングルの内側に、一側面部411と他側面部412とを連結して踏板固定具41を補強する補強板部が設けられていてもよい。また、板厚約5mmの踏板固定具41における突出面部413の一側面部411からの突出量は、約15mmに限定されず、例えば約15mm〜約20mmの範囲で、桁板21の厚み及び材質等に応じて適宜に設定される。
【0058】
図7〜図9は、露出階段11の組立方法の説明図である。
作業者は、各1枚の桁板21,22、N枚の踏板31、各N個の踏板固定具41,42、踏板31を桁板21,22に固定するための{14×N}本のビスV,V,…、及び桁板21,22を躯体Bに固定するためのビス等を準備する。これらは、予め工場で生産されて、階段設置場所へ搬入される。
【0059】
作業者は、まず、図7に示すような桁板21,22の架設作業を実行する。次いで、作業者は、桁板21,22の架設後に、図8に示すような踏板31と踏板固定具41,42との一体化作業と、図9に示すような桁板21,22に対する踏板固定具41,42の固定作業とを、最下段となすべき踏板31から順に、最上段となすべき踏板31まで、N回繰り返し実行する。
【0060】
更に詳細には、作業者は、桁板21について、長辺部21cを上側、長辺部21dを下側に夫々向け、短辺部21aの端面を床面F上に載置し、短辺部21bの端面を躯体Bに密着させ、且つ、ビス面211が縦姿勢(鉛直の姿勢)になるよう、桁板21を躯体Bと床面Fとの間に架設する(図3及び図7参照)。このとき、桁板21の長手方向が床面Fに対し所定の角度θで傾斜する。
【0061】
また、作業者は、桁板21のビス面211と桁板22のビス面221とを互いに平行に対面させた状態で、ビス面211,221間を適長離隔させて、桁板22を桁板21と同様に架設する。
以上の結果、桁板21の嵌合溝212,212,…夫々は横方向に配される。何故ならば、嵌合溝212,212,…夫々が短辺部21aに平行であるからである。同様に、桁板22の嵌合溝222,222,…夫々も横方向に配される。
【0062】
桁板21,22の架設作業が終了した後、作業者は、左右一組の踏板固定具41,42の他側面部412,422夫々の外面を、踏板31の裏面312に密着させて、各4個のビスV,V,…を他側面部412,422夫々の各4個のビス孔に通して、踏板固定具41,42を踏板31にビス留めする(図1及び図8参照)。この結果、踏板31と踏板固定具41,42とが一体化し、踏板31と突出面部413,423とが平行になる。
【0063】
ただし、踏板固定具41,42の配置は、以下のa)〜d)の条件を全て満たす。
a) 踏板固定具41,42は、踏板31の滑り止め31aが形成されていない方の長辺部の近傍に配される。
b) 他側面部412,422同士が接近配置(即ち、突出面部413,423同士が離隔配置)される。
c) 一側面部411,421同士と、踏板31の両短辺部とが、互いに平行である。
d) 一側面部411,421同士の離隔距離が、踏板31を固定すべき位置のビス面211,221間の距離(即ち内々距離)に略等しい。
【0064】
ところで、ビス面211,221間の距離が、桁板21,22の上下方向の位置によって微妙に異なっていても、作業者が踏板固定具41,42の配置を微調整することによって、踏板31は下記のように問題なく桁板21,22に固定される。
【0065】
更に作業者は、踏板固定具41,42と一体化している踏板31(即ち図9中に二点鎖線で記載されているような踏板31)について、この踏板固定具41,42の突出面部413,423夫々を同時的に、桁板21,22の最下の嵌合溝212,222へ、図9中白抜矢符方向に嵌入する(図2及び図9参照)。このとき、作業者は、突出面部413を、長辺部21cの側端面(即ち上側の側端面)の開口部分から嵌合溝212へ、ビス面211に平行な方向に嵌入し、同様に、突出面部423を、上側の側端面の開口部分から嵌合溝222へ、ビス面221に平行な方向に嵌入する。このとき、突出面部413,423は、基端部から先端部まで全体的に嵌合溝212,222に嵌合する。
以上の結果、一側面部411,421とビス面211,221とが密着する。
【0066】
最後に、作業者は、突出面部413が嵌合溝212に嵌合している一側面部411の3個のビス孔に3個のビスV,V,Vを通して、踏板固定具41を桁板21にビス留めする。同様に、作業者は、突出面部423が嵌合溝222に嵌合している一側面部421の3個のビス孔に3個のビスV,V,Vを通して、踏板固定具42を桁板22にビス留めする。この結果、踏板31が横姿勢で桁板21,22に固定される。
ここで、桁板21,22夫々に対する踏板固定具41,42のビス留め方向は、桁板21,22に垂直であるが、一般に、ビス面211,221間にはビス留め用の工具(例えば電動ドライバ)を配置するために十分な広さの空間が存在するため、ビス留めは容易である。
【0067】
最下段の踏板31の固定作業が終了した後で、作業者は、以上のような踏板31と踏板固定具41,42との一体化作業と、桁板21,22に対する踏板固定具41,42の固定作業とを、最下段から2段目の踏板31に実行し、次に、最下段から3段目の踏板31に実行し、…、最後に、最上段の踏板31に実行する。以上の結果、踏板31,31,…が桁板21,22に階段状に固定される。
【0068】
図9に示すように、突出面部413,423は、桁板21,22の手前側から奥側へ、横方向に嵌合溝212,222へ嵌入されるため、踏板固定具41,42と一体化されている踏板31が、既に桁板21,22に固定されている踏板31,31,…に当接して、踏板31の固定作業が阻害されることはない。
本実施の形態では最下段から最上段へ向けて順に踏板31,31,…を固定する手順を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、最上段から最下段へ向けて順に固定する手順でもよい。
【0069】
以上のような露出階段11は、組立方法が簡単であるため、短時間で安価に設置することができる。
また、従来の露出階段同様、ボックス階段に比べて、装飾性が高く、開放感を有する。更に、切り欠き部を有する踏板を、踏板支持部を有する桁板に嵌め込み固定する従来の嵌め込み型の露出階段とは異なり、左右一対の踏板固定具41,42を用いて各踏板31を桁板21,22に固定するため、嵌め込み型の露出階段に関して生じる各種の問題(切り欠き部によって踏板の強度が弱くなること、桁板の加工工数が多いこと等)が生じることはない。
【0070】
更に、嵌め込み型の露出階段では、桁板に踏板支持部を形成する必要があるため、例えば60mm〜75mmの範囲の厚みを有する桁板が使用される。しかしながら、露出階段11の場合、嵌め込み型の露出階段の桁板よりも薄い桁板21,22を用いてもよい。
【0071】
更にまた、図2及び図3に示すように、踏板31に加えられて踏板固定具41,42に伝達された荷重は、一側面部411,421をビス面211,221にビス留めしているビスと、嵌合溝212,222の内下面の内、突出面部413,423の下面が接触している部分とで支持される。この部分は面積が広いため、安定して荷重を支持することができる。
また、桁板21,22における嵌合溝212,222の形成位置が正確であるため、突出面部413,423を嵌合溝212,222に嵌入することによって、踏板固定具41,42と一体化している踏板31も正確な位置に配置される。つまり、突出面部413,423及び嵌合溝212,222は踏板31の位置決めにも利用される。
【0072】
図5(b)は、露出階段11の組み立てに用いられる他の踏板の構成を示す斜視図である。図中32は踏板であり、踏板32は、踏板31と同様の構成であるが、裏面322に、夫々矩形凹状の位置決め部32b,32bが形成されている。
位置決め部32b,32bの形状及び寸法は、踏板固定具41,42の他側面部412,422夫々の形状及び寸法に略等しく、位置決め部32b,32bに他側面部412,422を嵌め込むことによって、他側面部412,422が正確に位置決めされるように配置されている。
【0073】
具体的には、位置決め部32b,32bは、踏板32の滑り止め(不図示)が形成されていない方の長辺部近傍に配され、位置決め部32b,32bの長辺部同士と踏板32の両短辺部とが平行であり、位置決め部32b,32bの最も離隔した長辺部同士の離隔距離が、ビス面211,221間の距離に略等しいように設けられている。
このような位置決め部32b,32b…の形状及び形成位置等は、例えば板材を生産する工場で、NCルータを用いて高精度に形成することができる。
【0074】
桁板21,22が、ビス面211,221が一定距離を有して略完全に平行に配された状態で架設されている場合は、踏板31の代わりに踏板32を使用することによって、更に容易に露出階段11を組み立てることができる。
【0075】
ところで、露出階段11の場合、踏板固定具41,42が桁板21,22の内側に配されている。このため、踏板固定具41,42が目立たず、美観が向上されるという利点がある。また、踏板固定具41,42が踏板31の中央部近傍を支持しており、踏板固定具41,42間の距離が短いため、踏板に荷重が加えられた場合の踏板31の撓みが小さいという利点もある。更に、露出階段11の設置場所の右側方又は左側方に近接して建造物の壁面が存在していても、壁面とビス面211,222との間にビス留め用の工具を配置する必要がないため、踏板固定具41,42をビス留めする作業に支障が出ないという利点もある。
【0076】
なお、桁板21,22を左右逆に配置してもよい。この場合、踏板固定具41を右側に、踏板固定具42を左側に、夫々配した状態で、踏板31に対する踏板固定具41,42のビス留め位置を、ビス面211,222の離隔距離に応じて長辺編部方向に離隔させることによって、上述した同様の手順で露出階段を組み立てることができる。この場合、桁板21,22間にビス留め用の工具を配置する必要がないため、踏板固定具41,42をビス留めする作業が簡便である。
【0077】
実施の形態 2.
図10及び図11は、本発明の実施の形態2に係る露出階段の構成を示す斜視図及び正面図であり、図12は、図11におけるXII −XII 線の断面図である。
図中12は露出階段であり、露出階段12は、実施の形態1の露出階段11と同様に、例えば2階建ての建造物の屋内に設置されている。
【0078】
露出階段12は、左右2本の桁板23,24と、N枚の踏板31,31,…と、左側に配されるN個の踏板固定具42,42,…及び右側に配されるN個の踏板固定具41,41,…とを備え、これらは左右対称に配されている。
各踏板31、各踏板固定具41、及び各踏板固定具42の寸法及び形状等は、実施の形態1の各踏板31、各踏板固定具41、及び各踏板固定具42の寸法及び形状等に等しい。
桁板23,24は、実施の形態1の桁板21,22と同様の寸法及び外形状を有し、桁板21,22と同様に、1階と2階との間に架設されている。
ただし、ビス面231,241は、露出階段12の外側に配されている。
【0079】
各踏板固定具41,42夫々はアングル状であり、各踏板固定具42は踏板31と桁板23とを固定し、各踏板固定具41は、踏板31と桁板24とを固定している。
踏板固定具41の一側面部411は、3個のビスV,V,Vを用いて桁板24のビス面241にビス留めされており、踏板固定具41の他側面部412は、4個のビスV,V,…を用いて踏板32の下面にビス留めされている。同様に、踏板固定具42の縦方向の一側面部421は、3個のビスV,V,Vを用いて桁板23のビス面231にビス留めされており、踏板固定具42の横方向の他側面部422は、4個のビスV,V,…を用いて踏板31の下面である裏面312にビス留めされている。
【0080】
図13は、露出階段12の組み立てに用いられる右側の桁板24の構成を示す側面図である。左側の桁板23の構成は、桁板24の鏡像の構成に相当するため、以下では主に桁板24について説明する。
桁板24は、実施の形態1の桁板21と同様の外形状を有する。
桁板24の両短辺部24a,24bについて、短辺部24aは、桁板24が階段設置場所に設置される場合に下側になり、短辺部24bは上側になる。一方、桁板24の両長辺部24c,24dについて、長い方の長辺部24cは、桁板24が階段設置場所に設置される場合に上側になり、短い方の長辺部24dは上側になる。
【0081】
桁板24の一面は、踏板固定具41の一側面部411がビス留めされるビス面241として用いられる。ビス面241には、最下段の踏板31の固定位置に対応する位置に、1本の嵌合溝242が形成されている。嵌合溝242は、実施の形態1の嵌合溝212と同一形状及び同一寸法を有する。また、最下段の踏板31を除く{N−1}枚の踏板31,31,…の固定位置に対応する位置に、{N−1}本の嵌合溝243,243,…が、嵌合溝242も含めて階段状に、且つ、短辺部24aに平行に形成されている。各嵌合溝242は、ビス面241に開口しているが、嵌合溝242とは異なり、桁板24の上側の長辺部24cの側端面には開口していない(図11参照)。
【0082】
各嵌合溝243は、踏板固定具41の突出面部413の突出量に略等しい深さと、突出面部413の板厚に略等しい幅と、突出面部413の長辺部の長さに略等しい長さとを有する。更に詳細には、嵌合溝243の深さ、幅、及び及び長さは、突出面部413の突出量、板厚、及び長辺部の長さよりも夫々約1mm長い。つまり、嵌合溝243,243,…は互いに略同一形状であるが、嵌合溝242とは形状が異なる。
【0083】
N本の嵌合溝242,243,243,…の形状及び形成位置等は、例えば板材を生産する工場で、NCルータを用いて高精度に形成することができる。また、ビス面241の裏面に対する加工は不要であり、しかも、嵌合溝242,243,243,…夫々は一直線状であって、開口面積が狭いため、例えば台形状、平行四辺形状、又は三角形状等の開港面積が広い凹部を形成する場合よりも、短時間で容易に形成することができる。
左側の桁板23にも、桁板22同様に、1本の嵌合溝232と、{N−1}本の図示しない嵌合溝とが形成されている(図11参照)。
その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0084】
図14は、露出階段12の組立方法の説明図である。
作業者は、各1枚の桁板23,24、N枚の踏板31、各N個の踏板固定具41,42、踏板31を桁板23,24に固定するための{14×N}本のビスV,V,…、及び桁板23,24を躯体Bに固定するためのビス等を準備する。これらは、予め工場で生産されて、階段設置場所へ搬入される。
【0085】
作業者は、まず、図7に示すような桁板21,22の架設作業と同様に、桁板23,24の架設作業を実行し、桁板23,24の架設後に、図8に示すような踏板31と踏板固定具41,42との一体化作業に類似の作業と、図9に示すような桁板21,22に対する踏板31の固定作業に類似の作業とを、最下段となすべき踏板31に実行する。
更にこの後、作業者は、図14に示すような桁板24に対する踏板固定具41の固定を{N−1}回繰り返し実行し、また、桁板23に対する踏板固定具42の固定を{N−1}回繰り返し実行す。最後に、作業者は、踏板固定具41,42に対する踏板31のビス留めを、最下段から2段目となすべき踏板31から順に、最上段となすべき踏板31まで、{N−1}回繰り返し実行する。
【0086】
更に詳細には、作業者は、桁板24について、長辺部24cを上側、長辺部24dを下側に夫々向け、短辺部24aの端面を床面F上に載置し、短辺部24bの端面を躯体Bに密着させ、且つ、ビス面241が縦姿勢になるよう、桁板24を躯体Bと床面Fとの間に架設する(図7及び図12参照)。このとき、桁板24の長手方向が床面Fに対し所定の角度θで傾斜する。
【0087】
また、作業者は、桁板23のビス面231と桁板24のビス面241とを互いに平行に、且つ、ビス面231,241夫々の裏面同士を対面させた状態で、ビス面231,241間を適長離隔させて、桁板23を桁板24と同様に架設する。
以上の結果、桁板24の嵌合溝242,243,243,…夫々は横方向に配される。何故ならば、嵌合溝242,243,243,…夫々が短辺部24aに平行であるからである。同様に、桁板23の嵌合溝232及び図示しない嵌合溝夫々も横方向に配される。
【0088】
桁板23,24の架設が終了した後、作業者は、左右一組の踏板固定具41,42の他側面部412,422夫々の外面を、踏板31の裏面312に密着させて、各4個のビスV,V,…を他側面部412,422夫々の各4個のビス孔に通して、踏板固定具41,42を踏板31にビス留めする(図8及び図10参照)。この結果、踏板31と踏板固定具41,42とが一体化し、踏板31と突出面部413,423とが平行になる。
【0089】
ただし、踏板固定具41,42の配置は、以下のd)〜g)の条件を全て満たす。
d) 踏板固定具41,42は、踏板31の滑り止め31aが形成されていない方の長辺部近傍に配される。
e) 他側面部412,422同士が離隔配置(即ち、突出面部413,423同士が接近配置)される。
f) 一側面部411,421同士と、踏板31の両短辺部とが、互いに平行である。
g) 一側面部411,421同士の離隔距離が、踏板31を固定すべき位置のビス面231,241間の距離に略等しい。
【0090】
ところで、ビス面231,241間の距離が、桁板23,24の上下方向の位置によって微妙に異なっていても、作業者が踏板固定具41,42の配置を微調整することによって、踏板31は問題なく桁板23,24に固定される。
【0091】
更に作業者は、踏板固定具41,42と一体化している踏板31について、この踏板固定具41,42の突出面部413,423夫々を同時的に、桁板24,23の最下の嵌合溝242,232へ嵌入する(図9及び図11参照)。このとき、作業者は、突出面部413を、長辺部24cの側端面(即ち上側の側端面)の開口部分から嵌合溝242へ嵌入し、同様に、突出面部423を、上側の側端面の開口部分から嵌合溝232へ嵌入する。このとき、突出面部413,423は、基端部から先端部まで全体的に嵌合溝242,232に嵌合する。
以上の結果、一側面部411,421とビス面241,231とが密着する。
【0092】
次いで、作業者は、突出面部413が嵌合溝242に嵌合している一側面部411の3個のビス孔に3個のビスV,V,Vを通して、踏板固定具41を桁板24にビス留めする。同様に、作業者は、突出面部423が嵌合溝232に嵌合している一側面部421の3個のビス孔に3個のビスV,V,Vを通して、踏板固定具42を桁板23にビス留めする。この結果、最下段の踏板31が横姿勢で桁板23,24に固定される。
ここで、桁板23,24夫々に対する踏板固定具42,41のビス留め方向は、桁板23,24に垂直であるが、一般に、ビス面231,241間にはビス留め用の工具を配置するために十分な広さの空間が存在するため、ビス留めは容易である。
【0093】
最下段の踏板31の固定作業が終了した後、作業者は、図14に示すように、各踏板固定具41の突出面部413を、桁板24の嵌合溝243へ白抜矢符方向に嵌入する。この場合、作業者は、踏板固定具41の他側面部412を上側に配して、突出面部413を、ビス面241の開口部分から嵌合溝243へ、ビス面241に垂直な方向に嵌入する。このとき、突出面部413は、基端部から先端部まで全体的に嵌合溝243に嵌合する。同様に、作業者は、各踏板固定具42の突出面部423を、桁板23の図示しない嵌合溝へ嵌入する。このとき、突出面部423は、基端部から先端部まで全体的に嵌合溝に嵌合する。
以上の結果、一側面部411,421とビス面241,231とが密着する。
【0094】
次いで、作業者は、一側面部411の3個のビス孔に3個のビスV,V,Vを通して、踏板固定具41を桁板24にビス留めする。同様に、作業者は、一側面部421の3個のビス孔に3個のビスV,V,Vを通して、踏板固定具42を桁板23にビス留めする。この結果、踏板固定具41,42の他側面部412,422が、床面Fに対して同一の高さに、横方向に配される。
【0095】
各{N−1}個の踏板固定具41,41,…及び踏板固定具42,42,…の桁板24,23に対する固定作業が終了した後で、作業者は、床面Fに対して同一の高さに配されている踏板固定具41,42(即ち左右一組の踏板固定具41,42)の他側面部412,422上に、踏板31の裏面312を載置して、各4個のビスV,V,…を他側面部412,422夫々の各4個のビス孔に通して、踏板固定具41,42を踏板31にビス留めする。この結果、踏板31が横姿勢で桁板24,23に固定される。
ここで、踏板31に対する踏板固定具41,42のビス留め方向は、踏板31に垂直であるが、最下段以外の踏板31の裏面312と床面Fとの間にはビス留め用の工具を配置するために十分な広さの空間が存在するため、ビス留めは容易である。
【0096】
ところで、ビス面231,241間の距離が、桁板23,24の上下方向の位置によって微妙に異なっていても、踏板31と一体化していない踏板固定具42,41を桁板23,24に固定するため、踏板31は問題なく桁板23,24に固定される。
また、最下段の踏板31の裏面312と床面Fとの離隔距離(蹴上げ)は一般に、約230mm以下に設定される。このため、仮に、最下段の踏板31に対する踏板固定具41,42のビス留め方向が踏板31に垂直であった場合、裏面312と床面Fとの間にビス留め用の工具を配置することが困難である。従って、最下段の踏板31を桁板23,24に固定する場合のみ、最下段以外の踏板31を桁板23,24に固定する手順とは異なる手順(即ち、実施の形態1で踏板31を桁板21,22に固定する手順)で固定する。
【0097】
作業者は、以上のような踏板固定具41,42に対する踏板31の固定作業を、最下段から2段目の踏板31に実行し、次に、最下段から3段目の踏板31に実行し、…、最後に、最上段の踏板31に実行する。以上の結果、踏板31,31,…が桁板23,24に階段状に固定される。
本実施の形態では最下段から最上段へ向けて順に踏板31,31,…を固定する手順を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、最上段から最下段へ向けて順に固定する手順でもよい。
【0098】
以上のような露出階段12は、実施の形態1の露出階段11と同様の効果を奏する。なお、踏板31の代わりに、実施の形態1の踏板32のような、裏面に矩形凹状の位置決め部が形成されている踏板を用いて、露出階段12を構成してもよい。
【0099】
露出階段12の場合、踏板固定具41,42が桁板24,23の外側に配されており、桁板24,23間にビス留め用の工具を配置する必要がないため、踏板固定具41,42をビス留めする作業に支障が出ないという利点がある。また、例えば桁板24について、最下段の嵌合溝242を除く嵌合溝243,243,…が長辺部24cの側端面には開口していないため、嵌合溝243,243,…を目立たなくして、美観を向上させることができる(図11及び図14参照)。
【0100】
なお、桁板23,24を左右逆に配置した状態で、各踏板固定具41,42及び踏板31を固定する構成でもよい。
ところで、実施の形態1の露出階段11を組み立てる際に、作業者は、最下段以外の嵌合溝212,222に踏板固定具41,42の突出面部413,423を嵌入し、一側面部411,421を桁板21,22にビス留めしてから、他側面部412,422に踏板31をビス留めしてもよい。
【0101】
実施の形態 3.
図15は、本発明の実施の形態3に係る露出階段の構成を示す斜視図である。
図中13は露出階段であり、露出階段13は、例えば2階建ての建造物の屋内に設置されている。
露出階段13は、1本の桁板20と、N枚の踏板31,31,…と、右側に配されるN個の踏板固定具41,41,…及び左側に配されるN個の踏板固定具42,42,…とを備え、これらは左右対称に配されている。
各踏板31、各踏板固定具41、及び各踏板固定具42の寸法及び形状等は、実施の形態1,2の各踏板31、各踏板固定具41、及び各踏板固定具42の寸法及び形状等に等しい。
【0102】
桁板20は、板厚以外は実施の形態2の桁板24と同様の寸法及び外形状を有し、桁板24と同様に、1階と2階との間に架設されている。
ただし、桁板20の板厚は桁板24の板厚の2倍以上である。また、桁板20の両面がビス面201,204として用いられている。
ビス面201には、例えば実施の形態2のビス面241に形成されている1本の嵌合溝242及び{N−1}本の嵌合溝243,243,…と同様のN本の嵌合溝が形成されている。同様に、ビス面204には、実施の形態2のビス面231に形成されている1本の嵌合溝232及び{N−1}本の図示しない嵌合溝と同様のN本の嵌合溝が形成されている。
【0103】
露出階段13の構成は、実施の形態2の露出階段12の構成に比べて桁板の本数が少ないだけの違いであるため、実施の形態2の露出階段12の組み立て手順と同様の手順で組み立てることができる。
また、ビス面201,204に、実施の形態1の嵌合溝212,212,…及び嵌合溝222,222,…と同様の嵌合溝が形成されている場合は、実施の形態1の露出階段11の組み立て手順と同様の手順で組み立てることができる。
その他、実施の形態1,2に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0104】
以上のような露出階段13は、実施の形態1,2の露出階段11,12と同様の効果を奏する。なお、踏板31の代わりに、実施の形態1の踏板32のような、裏面に矩形凹状の位置決め部が形成されている踏板を用いて、露出階段13を構成してもよい。
【0105】
露出階段13の場合、ビス留め用の工具を2本の桁板の間に配置する必要がないため、踏板固定具41,42をビス留めする作業が容易であるという利点がある。また、露出階段13の設置場所の右側方又は左側方に近接して建造物の壁面が存在していても、壁面とビス面201,204との間に、ビス留め用の工具を配置するために十分な広さの空間が存在するため、踏板固定具41,42をビス留めする作業に支障が出ないという利点もある。更にまた、露出階段13は、実施の形態1,2の露出階段11,12に比べて更に開放感を有する。
【0106】
なお、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
また、本発明の効果がある限りにおいて、露出階段11〜13夫々に、実施の形態1〜3に開示されていない構成要素が含まれていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の実施の形態1に係る露出階段の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る露出階段の構成を示す正面図である。
【図3】図2におけるIII −III 線の断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る露出階段の組み立てに用いられる桁板の構成を示す側面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る露出階段の組み立てに用いられる踏板の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る露出階段の組み立てに用いられる踏板固定具の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る露出階段の組立方法の説明図(桁板の架設を説明する図)である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る露出階段の組立方法の説明図(踏板と踏板固定具との一体化を説明する図)である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る露出階段の組立方法の説明図(桁板に対する踏板固定具の固定を説明する図)である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る露出階段の構成を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る露出階段の構成を示す正面図である。
【図12】図11におけるXII −XII 線の断面図である。
【図13】本発明の実施の形態2に係る露出階段の組み立てに用いられる桁板の構成を示す側面図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係る露出階段の組立方法の説明図(桁板に対する踏板固定具の固定を説明する図)である。
【図15】本発明の実施の形態3に係る露出階段の構成を示す斜視図である。
【図16】従来の露出階段の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0108】
11,12,13 露出階段
20,21,22,23,24 桁板
201,204,211,221,231,241 ビス面(一面)
212,222,232,242,243 嵌合溝
31,32 踏板
41,42 踏板固定具
411,421 一側面部
412,422 他側面部
413,423 突出面部(突出部)
B 躯体(上段)
F 床面(下段)
V ビス
【技術分野】
【0001】
本発明は、踏板及び桁板を用いてなり、蹴込み板を備えない露出階段及び露出階段の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋内に設置される階段として、露出階段(オープン階段)が用いられている。
図16は、従来の露出階段の構成を示す斜視図である。
従来の露出階段は、建築物の例えば1階の床面と2階との間に夫々斜めに掛け渡されている2本の桁板91,91と、桁板91,91に階段状に固定されている複数枚の踏板92,92,…とを備える。
【0003】
各桁板91には、長辺部を部分的に切削することによって、踏板92,92,…の枚数に等しい個数の踏板支持部911,911,…が形成されている。各踏板92の長辺部には、長手方向に隣り合う2個の矩形状の切り欠き部921,921が形成されている。各踏板支持部911は、踏板92の下面が載置される踏板載置面91aと、切り欠き部921の内法に対応する外法を有し、切り欠き部921に嵌合される嵌合部91bとを有する。
【0004】
所定の階段設置場所に露出階段を設置する作業者は、まず、桁板91,91を左右方向に離隔配置して建築物の1階と2階との間に架設する。
次いで、作業者は、左右一対の踏板支持部911,911に接着剤を塗布してから、図中二点鎖線で示す踏板92の下面が踏板載置面91aに載置され、切り欠き部921が嵌合部91bに嵌合されるよう踏板92を桁板91,91に図中白抜矢符方向へ嵌め込み、固定する。
【0005】
また、桁板及び踏板夫々とは別体の踏板固定具を用いて、1本又は2本の桁板に複数枚の踏板を階段状に固定してなる露出階段が提案されている(特許文献1〜5参照)。
更に、ささら桁に一体に設けられている受け部に踏板を載置してなる露出階段が提案されている(特許文献6参照)。
【0006】
以上のような露出階段は、ボックス階段(即ち、踏板の一側部又は両側部が壁に取り付けられており、また、蹴込み板を備える階段)に比べて、装飾性が高く、開放感を有するため、例えばリビング・ルームのように、装飾性及び開放感が好まれる空間に設置されることが多い。
【特許文献1】特開2006−322304号公報
【特許文献2】特開2006−177053号公報
【特許文献3】特開2006−97384号公報
【特許文献4】特開2006−97383号公報
【特許文献5】特開2005−315031号公報
【特許文献6】特開2005−30082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図16に示すような従来の露出階段の場合、切り欠き部921,921が、踏板92の長辺部から短手方向中央部に亘って凹設されているため、踏板92は一枚板の踏板より強度が低いという問題がある。
また、1個の切り欠き部921に対応する踏板支持部911は、桁板91の長辺部の端面と両面夫々とを加工することによって形成しなければならないため、工数が多く、生産効率が悪いという問題がある。
【0008】
一般に、桁板91及び踏板92夫々は、踏板支持部911及び切り欠き部921夫々が工場で形成された状態で、露出階段の階段設置場所へ搬入される。つまり、踏板92,92,…夫々の切り欠き部921,921間の距離は一定である。ところが、桁板91の反り、階段設置場所の歪み等によって、桁板91,91の左右一対の踏板支持部911,911間の離隔距離は一定でないことがある。この場合、踏板92を桁板91,91に嵌め込めないという問題が生じる。
更に、踏板支持部911と切り欠き部921とが嵌合する部分で、桁板91が踏板92に干渉するかたちとなるため、踏板92の上面の面積が実際よりも小さいように錯覚し、足場が狭いという印象を使用者が受けるという問題がある。
【0009】
特許文献1〜6に記載の露出階段であれば、図16に示すような従来の露出階段(即ち、切り欠き部921,921を有する踏板92を、踏板支持部911,911を有する桁板91,91に嵌め込み固定する露出階段)とは構成が異なるため、前述の問題は生じない。
【0010】
ところが、特許文献2に記載されている露出階段は、複雑な形状の踏板固定具(固定プレート)を必要とする。また、特許文献3に記載されている露出階段は、2種類の踏板固定具(踏板受け具及び踏板挟持具)を必要とする。更に、特許文献4に記載されている露出階段は、踏板固定具(踏板受け具)がビス留めのみで桁板(桁)に固定されているため、踏板に加えられて踏板固定具に伝達された荷重を、ビスのみで支える必要がある。即ち、荷重に対する強度に不安がある。更にまた、特許文献5に記載されている露出階段は、単純なT字状の踏板固定具(踏板受け材)を用いてなるが、踏板固定具を取り付けるべき桁板(側桁)の構成が複雑である。特許文献6に記載されている露出階段は、踏板固定具を使用しない分、桁板(ささら桁)の形状が複雑である。
【0011】
特許文献1に記載されている露出階段は、一種類且つ単純なアングル状の踏板固定具(取付金具)を用いてなる。桁板(桁)には、踏板固定具の一側面部の板厚に等しい深さを有する台形状、平行四辺形状、又は三角形状等の単純な形状の凹部が形成されている。踏板固定具は、一側面部の大半が桁板の凹部に嵌め込まれた状態でビス留めされるため、踏板に加えられて踏板固定具に伝達された荷重を、ビスだけではなく、桁板の凹部内下面でも支えることができ、例えば特許文献4に記載されている露出階段に比べて、荷重に対する強度が向上されている。
【0012】
しかしながら、桁板の凹部は、踏板固定具の一側面部の大半を嵌め込めるだけの開口面積を必要とするため、桁板の加工に手間暇が掛かる。このため、更に加工の手間暇を減少させることが望ましい。
また、桁板の凹部内下面は、踏板固定具の板厚に等しい深さしか有していないため、面積が狭い。このため、踏板に加えられて踏板固定具に伝達された荷重を、広い面積で支えることができるように工夫して、荷重に対する強度を更に向上させることが望ましい。
【0013】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、アングル状の踏板固定具の一側面部の先端部に、踏板固定具の板厚よりも長くアングルの外側へ突出する突出部を一体的に設け、桁板に形成されている嵌合溝に突出部を嵌合させた状態で、踏板固定具の一側面部を桁板にビス留めし、他側面部を踏板にビス留めする構成とすることにより、一種類且つ単純な形状の踏板固定具を用いて、単純な形状の嵌合溝が形成されている桁板に、踏板を固定することができ、しかも、嵌合溝の内下面の広い面積で、踏板に加えられた荷重を支えることができる露出階段を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、他側面部が踏板にビス留めされている踏板固定具の突出部を、最下の嵌合溝へ、桁板の上側の側端面の開口部分から嵌入した後で、踏板固定具の一側面部を桁板にビス留めする構成とすることにより、桁板に最下段の踏板を容易に固定することができる露出階段及び露出階段の組立方法を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、先に桁板に踏板固定具をビス留めしてから踏板固定具に踏板をビス留めすることにより、最下段以外の踏板を容易に固定することができ、また、最下の嵌合溝以外の嵌合溝を目立たなくすることができる露出階段の組立方法を提供することにある。
【0016】
本発明の更に他の目的は、先に踏板に踏板固定具をビス留めしてから桁板に踏板固定具をビス留めすることにより、最下段以外の踏板を容易に固定することができ、また、最下の嵌合溝及び最下以外の嵌合溝夫々の形状を統一することができる露出階段の組立方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1発明に係る露出階段は、上段と下段とを有する建築物の前記上段と前記下段との間に、長手方向が傾斜し、且つ一面が縦姿勢で架設されている1本又は2本の桁板と、該桁板に、夫々横姿勢で階段状に固定されている複数枚の踏板と、各踏板を前記桁板に固定しており、一側面部が前記一面にビス留めされており、他側面部が前記踏板の下面にビス留めされているアングル状の踏板固定具とを備える露出階段において、前記踏板固定具の板厚よりも長くアングルの外側へ突出する突出部が、前記一側面部の先端部に一体的に設けられており、前記突出部の突出量及び板厚に対応する深さ及び幅を有し、前記突出部が嵌合されている嵌合溝が、前記一面に形成されていることを特徴とする。
【0018】
第2発明に係る露出階段は、最下段の踏板を前記桁板に固定する踏板固定具の突出部が嵌合されている最下の嵌合溝は、前記桁板の上側の側端面にも開口していることを特徴とする。
【0019】
第3発明に係る露出階段の組立方法は、上段と下段とを有する建築物の前記上段と前記下段との間に、長手方向が傾斜し、且つ一面が縦姿勢で架設されている1本又は2本の桁板と、該桁板に、夫々横姿勢で階段状に固定されている複数枚の踏板と、各踏板を前記桁板に固定しており、一側面部が前記一面にビス留めされており、他側面部が前記踏板の下面にビス留めされているアングル状の踏板固定具とを備える露出階段の組立方法において、前記踏板固定具として、該踏板固定具の板厚よりも長くアングルの外側へ突出する突出部が、一側面部の先端部に一体的に設けられている踏板固定具を準備し、前記桁板として、前記突出部の突出量及び板厚に対応する深さ及び幅を有し、前記突出部が嵌合される嵌合溝が前記一面に形成されており、最下段となすべき踏板を前記桁板に固定する踏板固定具の突出部が嵌合される最下の嵌合溝が、前記桁板の該桁板が架設された場合に上側になる側端面にも開口している桁板を準備し、該桁板を、前記上段と前記下段との間に、長手方向が傾斜し、且つ前記一面が縦姿勢になり、更に、前記側端面が上側になるよう架設し、前記踏板固定具の他側面部を、前記最下段となすべき踏板の前記桁板に固定した場合に下面になる側の面にビス留めし、前記踏板固定具の突出部を、前記最下の嵌合溝へ、前記側端面の開口部分から嵌入し、前記踏板固定具の一側面部を、前記一面にビス留めすることを特徴とする。
【0020】
第4発明に係る露出階段の組立方法は、前記桁板を架設した後、前記最下段となすべき踏板を前記桁板に固定する踏板固定具以外の踏板固定具の突出部を、前記最下の嵌合溝以外の嵌合溝へ嵌入し、前記踏板固定具の一側面部を、前記一面にビス留めし、前記踏板固定具の他側面部を、前記最下段となすべき踏板以外の踏板の下面にビス留めすることを特徴とする。
【0021】
第5発明に係る露出階段の組立方法は、前記桁板として、前記最下の嵌合溝以外の嵌合溝も前記側端面に開口している桁板を準備し、前記桁板を架設した後、前記最下段となすべき踏板を前記桁板に固定する踏板固定具以外の踏板固定具の他側面部を、前記最下段となすべき踏板以外の踏板の前記桁板に固定した場合に下面になる側の面にビス留めし、前記踏板固定具の突出部を、前記嵌合溝へ、前記側端面の開口部分から嵌入し、前記踏板固定具の一側面部を、前記一面にビス留めすることを特徴とする。
【0022】
第1発明にあっては、踏板を桁板に固定する踏板固定具はアングル状であり、踏板固定具の板厚よりも長くアングルの外側へ突出する突出部が、一側面部の先端部に一体的に設けられている。つまり、踏板固定具は、例えばL型アングル材の一側面部の先端部に、他側面部に対して平行に、且つ逆方向に突出する突出面部を有するようなものであり、全体として変形Z字板状をなす。このような踏板固定具は、形状が簡易である。踏板固定具は、桁板の一面に形成されている嵌合溝に突出部が嵌合し、一側面部がこの一面(例えば、鉛直な面)にビス留めされ、他側面部が踏板の下面(この場合、水平な面)にビス留めされる。つまり、踏板を受けるための踏板固定具と踏板を挟持するための踏板固定具のような、複数種類の踏板固定具が不要である。
【0023】
以下では、桁板に関し、踏板固定具の一側面部がビス留めされる一面を、ビス面という。
桁板は1本又は2本であり、建築物の上段と下段(例えば2階と1階)との間に、長手方向が所定の角度で傾斜し、且つビス面が縦姿勢で架設され、このビス面に、踏板固定具がビス留めされる。桁板が2本である場合、2本の桁板は、例えば夫々のビス面が互いに向かい合う内面同士か、又は外面同士になるよう、平行に離隔配置される。一方、桁板が1本である場合、1本の桁板の両面が、ビス面として用いられる。
【0024】
桁板のビス面には、嵌合溝が形成されている。各嵌合溝は、突出部の突出量及び板厚に対応する深さ及び幅を有する。つまり、嵌合溝は一直線状の単純な形状であり、また、板状の突出部と嵌合するために必要十分な寸法を有する。このような嵌合溝は、短時間で簡単に形成することができるため、加工の手間暇が減少する。更に、踏板固定具を桁板に取り付けるために嵌合溝以外の凹部又は凸部等を形成する必要はないため、桁板の構成は簡易であり、形状は単純である。桁板が、例えば工場で生産される場合は、嵌合溝が高精度に形成されるため、嵌合溝に突出部を嵌め入れることによって、踏板固定具の正確な位置決めが容易になされる。
【0025】
複数枚の踏板は、1枚につき一般に2個の踏板固定具を用いて、夫々横姿勢で、階段状に配されて桁板に固定される。各踏板固定具の一側面部は桁板のビス面にビス留めされ、しかも、一側面部に一体的に設けられている突出部が、桁板のビス面に形成されている嵌合溝に、基端から先端まで嵌め入れられている。従って、踏板に加えられて踏板固定具に伝達された荷重は、ビスと、嵌合溝の内下面とで支持される。突出部は、踏板固定具の板厚よりも長く突出し、嵌合溝は、突出部の突出量に対応する深さを有するため、嵌合溝の内下面は、面積が広い。従って、安定して荷重を支持することができる。
【0026】
以上のような露出階段は、踏板固定具を用いて踏板を桁板に固定するため、踏板を桁板に嵌め込み固定するための切り欠き部を踏板に形成する必要がない。従って、踏板の強度が弱くなることはない。
また、ビス留めすべき踏板固定具1個につき、桁板の両面を加工する必要はなく、桁板のビス面に1本の嵌合溝を形成すればよいため、工数が少なく、生産効率がよい。
【0027】
桁板、踏板、及び踏板固定具夫々は、例えば工場で生産されて、階段設置場所へ搬入される。踏板に対する踏板固定具のビス留めは、工場ではなく階段設置場所で施工されるため、2本の桁板に踏板を固定する場合、階段設置場所に架設された2本の桁板の離隔距離に応じて2個の踏板固定具が離隔配置されて、踏板にビス留めされる。このため、たとえ桁板間の距離が上下方向の各位置で異なっていても、問題なく踏板を桁板に固定することができる。
踏板固定具は踏板の下側に配され、しかも、踏板が桁板に嵌め込み固定されないため踏板と桁板との干渉は生じない。この結果、使用者が目測した踏板の上面の面積と、実際の面積とが感覚的に一致し、足場が広いという印象を使用者が受ける。
【0028】
第2発明及び第3発明にあっては、桁板のビス面に形成されている嵌合溝夫々は、このビス面に開口しているが、これらの嵌合溝の内、少なくとも最下段の踏板を桁板に固定する踏板固定具(以下、最下の踏板固定具という)の突出部が嵌合される嵌合溝(即ち最下の嵌合溝)は、桁板のビス面のみならず、桁板の側端面(即ち桁板の長手方向に沿う端面)の内、上側の側端面にも開口している。
露出階段を設置する作業者は、1本又は2本の桁板と、複数枚の踏板と、踏板1枚につき一般に2個の踏板固定具とを準備する。
ここで、作業者が準備すべき桁板は、ビス面に嵌合溝が形成されている桁板である。ただし、少なくとも最下の嵌合溝は、桁板のビス面のみならず、桁板が架設された場合に上側になる側端面にも開口している。この側端面を、以下では開口側端面という。
【0029】
作業者は、桁板を、建築物の上段と下段との間に、長手方向が所定の角度で傾斜し、且つビス面が縦姿勢になるよう架設する。このとき、作業者は、開口側端面が上側になるように桁板を配置する。桁板が2本である場合、作業者は、2本の桁板を平行に適長離隔して同様に架設する。
最下段となすべき踏板以外の踏板(以下、最下段以外の踏板という)を桁板に固定する前に、又は固定した後で、作業者は、まず、最下段となすべき踏板に関し、桁板に固定した場合に下面になる側の面に、最下の踏板固定具の他側面部をビス留めする。この結果、最下段となすべき踏板と最下の踏板固定具(更に詳細には複数個の最下の踏板固定具)とが一体化される。
【0030】
次いで、作業者は、最下段となすべき踏板に一体化されている最下の踏板固定具の突出部を、桁板のビス面に形成されている最下の嵌合溝へ、桁板の開口側端面の開口部分から嵌入する。突出部の嵌入方向は、最下の嵌合溝の長手方向、即ち踏板の配設方向(即ち横方向)であるため、最下の踏板固定具又は最下の踏板固定具と一体化されている踏板が、既に桁板に固定されている最下段以外の踏板に当接することはない。
最終的に、作業者は、最下の踏板固定具の一側面部を桁板のビス面にビス留めする。
【0031】
仮に、最下の踏板固定具を桁板にビス留めする前に、最下の踏板固定具の突出部を最下の嵌合溝に嵌入した場合、最下の踏板固定具の一側面部が桁板にビス留めされてから、桁板と一体化されている最下の踏板固定具の他側面部が、踏板の下面にビス留めされる。ところが、最下段の踏板の下面と、建築物の下段の床面との間の離隔距離は法律で定められており、最下段の踏板の下面と床面との間には、ビス留め用の工具を上下方向に配置するには不十分な広さの空間しか存在しない。このため、上下方向のビス留め(即ち、踏板の下面に対する最下の踏板固定具の他側面部のビス留め)が困難である。
【0032】
第4発明にあっては、桁板が架設された後、最下段となすべき踏板以外の踏板(即ち最下段以外の踏板)が桁板に固定される。ただし、踏板固定具は桁板にビス留めされた後で、踏板にビス留めされる。
作業者は、最下の踏板固定具以外の踏板固定具(以下、最下以外の踏板固定具という)の突出部を、最下の嵌合溝以外の嵌合溝(以下、最下以外の嵌合溝という)へ嵌入する。次いで、作業者は、最下以外の踏板固定具の一側面部を、桁板のビス面にビス留めする。最終的に、作業者は、最下以外の踏板固定具の他側面部を、最下段以外の踏板の下面にビス留めする。
【0033】
嵌合溝に対する突出部の嵌入方向は横方向であるため、最下段以外の踏板は、最下段側から上段側へ順に固定されても、逆に、最上段側から下段側へ順に固定されても、既に桁板に固定されている他の踏板に当接することはない。つまり、作業の自由度が向上される。
最下以外の嵌合溝は、開口側端面に開口していてもよく、していなくてもよい。
最下以外の踏板固定具の突出部は、最下以外の嵌合溝へ、ビス面の開口部分から嵌入されるが、最下以外の嵌合溝が開口側端面にも開口している場合は、開口側端面の開口部分から嵌入されてもよい。つまり、作業の自由度が更に向上される。
【0034】
第5発明にあっては、桁板が架設された後、最下段以外の踏板が桁板に固定される。ただし、踏板固定具は踏板にビス留めされた後で、桁板にビス留めされる。
ここで、作業者が準備すべき桁板は、ビス面に嵌合溝が形成されている桁板である。ただし、各嵌合溝は、桁板のビス面のみならず、開口側端面にも開口している。
作業者は、まず、最下段以外の踏板に関し、桁板に固定した場合に下面になる側の面に、最下以外の踏板固定具の他側面部をビス留めする。この結果、最下段以外の踏板と最下以外の踏板固定具(更に詳細には複数個の最下以外の踏板固定具)とが一体化される。
【0035】
次いで、作業者は、最下段以外の踏板に一体化されている最下以外の踏板固定具の突出部を、桁板のビス面に形成されている最下以外の嵌合溝へ、桁板の開口側端面の開口部分から嵌入する。突出部の嵌入方向は、最下以外の嵌合溝の長手方向、即ち踏板の配設方向(即ち横方向)であるため、最下以外の踏板固定具又は最下以外の踏板固定具と一体化されている踏板が、既に桁板に固定されている他の踏板に当接することはない。また、最下段以外の踏板は、最下段側から上段側へ順に固定されても、逆に、最上段側から下段側へ順に固定されても、既に桁板に固定されている他の踏板に当接することはない。つまり、作業の自由度が向上される。
【0036】
最下以外の嵌合溝は、最下の嵌合溝と同様に、開口側端面に開口している。つまり、桁板に形成されている嵌合溝夫々の形状が統一されている。
【発明の効果】
【0037】
第1発明の露出階段による場合、一種類且つ単純な形状の踏板固定具を用いて、単純な形状の嵌合溝が形成されている桁板に、踏板を固定することができる。従って、例えば特許文献1に記載されている従来の露出階段に比べて、加工の手間暇を更に減少させることができる。
しかも、ビスのみならず、広い面積を有する嵌合溝の内下面で、踏板に加えられた荷重を支えることができる。このため、例えば特許文献1に記載されている露出階段に比べて、荷重に対する強度が向上されている。
【0038】
また、夫々の形状が単純であるため、桁板、踏板、及び踏板固定具を例えば工場で効率よく生産することができる。更に、桁板、踏板、及び踏板固定具の設置現場での加工が不要であるか、又は容易であるため、設置作業の所要時間を短縮することができ、設置費用を安価に抑えることができる。更にまた、工場で嵌合溝を正確な位置に形成すること、又は、設置現場で2本の桁板間の距離に応じて2個の踏板固定具を配すること等によって、踏板を桁板に高精度で固定することができる。
【0039】
第2発明の露出階段及び第3発明の露出階段の組立方法による場合、最下段以外の踏板を先に桁板に固定しても、後から桁板に固定しても、最下段の踏板を容易に桁板に固定することができる。しかも、踏板と床面との間の狭い空間で上下方向のビス留めをする必要がないため、作業性が高い。
【0040】
第4発明の露出階段の組立方法による場合、上段側の踏板から先に桁板に固定するか下段側の踏板から先に固定するかを制限することなく、最下段以外の踏板を容易に固定することができる。また、最下の嵌合溝以外の嵌合溝を目立たなくして、美観を向上させることができる。
【0041】
第5発明の露出階段の組立方法による場合、上段側の踏板から先に桁板に固定するか下段側の踏板から先に固定するかを制限することなく、最下段以外の踏板を容易に固定することができる。また、最下の嵌合溝及び最下以外の嵌合溝夫々の形状を統一して美観を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0043】
実施の形態 1.
図1及び図2は、本発明の実施の形態1に係る露出階段の構成を示す斜視図及び正面図であり、図3は、図2におけるIII −III 線の断面図である。
図中11は露出階段であり、露出階段11は、例えば2階建ての建造物の屋内に設置されており、露出階段11を昇降することによって、使用者は1階の床面Fと、2階の図示しない床面との間を行き来する。
【0044】
露出階段11は、左右2本の桁板21,22と、N枚(Nは2以上の自然数。例えば14)の踏板31,31,…と、左側に配されるN個の踏板固定具41,41,…及び右側に配されるN個の踏板固定具42,42,…とを備え、これらは左右対称に配されている。
【0045】
桁板21は、1階と2階との間に架設されている。更に詳細には、桁板21の下部が1階の水平な床面F上に載置され、桁板21の上部が2階の床面を支持する躯体Bに固定されている。また、桁板21の長手方向が床面Fに対して所定の角度θで傾斜しており、且つ、桁板21の一面であるビス面211が縦(鉛直)に配されている。
桁板22は、桁板21,22が左右対称になるよう架設されている。このとき、桁板21のビス面211と、桁板22のビス面221とは、対面配置される。換言すれば、ビス面211,221は、露出階段11の内側に配されている。
各踏板31は、桁板21,22に、夫々横姿勢(水平の姿勢)で階段状に固定されている。
【0046】
各踏板固定具41,42夫々はアングル状であり、各踏板固定具41は踏板31と桁板21とを固定し、各踏板固定具42は、踏板31と桁板22とを固定している。
踏板固定具41の縦方向の一側面部411は、3個のビスV,V,Vを用いて桁板21のビス面211にビス留めされており、踏板固定具41の横方向の他側面部412は、4個のビスV,V,…を用いて踏板31の下面である裏面312にビス留めされている。同様に、踏板固定具42の一側面部421は、3個のビスV,V,Vを用いて桁板22のビス面221にビス留めされており、踏板固定具42の他側面部422は、4個のビスV,V,…を用いて踏板32の下面にビス留めされている。
【0047】
図4は、露出階段11の組み立てに用いられる左側の桁板21の構成を示す側面図である。右側の桁板22の構成は、桁板21の鏡像の構成に相当するため、以下では主に桁板21について説明する。
桁板21は、木材又は木質材等を用いてなる板材であり、縦横比が大きい長方形の長手方向両端部を切断して台形にしたような形状を有する。
桁板21の両短辺部21a,21bについて、短辺部21aは、桁板21が階段設置場所に設置される場合に下側になり、短辺部21bは上側になる。
【0048】
一方、桁板21の両長辺部21c,21dについて、長い方の長辺部21cは、桁板21が階段設置場所に設置される場合に上側になり、短い方の長辺部21dは下側になる。
両短辺部21a,21bの仮想的な延長線は互いに垂直に交差し、上側の長辺部21cは、下側の短辺部21aに、所定の角度θで交差している。
【0049】
桁板21の一面は、踏板固定具41の一側面部411がビス留めされるビス面211として用いられる。ビス面211には、N枚の踏板31,31,…の固定位置に対応する位置に、N本の嵌合溝212,212,…が階段状に形成されている。各嵌合溝212は、ビス面211に開口しており、更に、桁板21の上側の長辺部21cの側端面にも開口している(図2及び図4参照)。
【0050】
各嵌合溝212は、踏板固定具41の後述する突出面部413(図2及び図6参照)の突出量に略等しい深さと、突出面部413の板厚に略等しい幅とを有する。更に詳細には、嵌合溝212の深さ及び幅は、突出面部413の突出量及び板厚よりも夫々約1mm長い。また、嵌合溝212の長さは、突出面部413の長辺部の長さ以上である。このような嵌合溝212,212,…は、互いに略同一形状であって、また、短辺部21aに平行である。
【0051】
N本の嵌合溝212,212,…の形状及び形成位置等は、例えば板材を生産する工場で、NCルータを用いて高精度に形成することができる。また、ビス面211の裏面に対する加工は不要であり、しかも、各嵌合溝212は一直線状であって、開口面積が狭いため、例えば台形状、平行四辺形状、又は三角形状等の開港面積が広い凹部を形成する場合よりも、短時間で容易に形成することができる。
右側の桁板22にも、桁板21同様に、N本の嵌合溝222,222,…が形成されている(図2参照)。
【0052】
図5(a)は、露出階段11の組み立てに用いられる踏板31の構成を示す斜視図である。
踏板31は、木材又は木質材等を用いてなる長方形状の板材であり、表面311の一方の長辺部に、例えば適宜の凹凸を有する滑り止め31aが設けられている(図1参照)。一方、裏面312は平面状である。表面311(裏面312)は、踏板31を桁板21,22に固定した場合に上面(下面)になる側の面である。
【0053】
図6は、本発明の実施の形態1に係る露出階段11の組み立てに用いられる左右の踏板固定具41,42夫々の構成を示す斜視図である。右側の踏板固定具42の構成は、左側の踏板固定具41の鏡像の構成に相当するため、以下では主に踏板固定具41について説明する。
踏板固定具41は金属製のL型アングル材であり、一側面部411と他側面部412とが互いに垂直に配されている。ここで、一側面部411の板厚と他側面部412の板厚とは等しい(例えば約5mm)。
【0054】
他側面部412は長方形状であり、長方形の一方の長辺部が他側面部412の基端部に相当する。また、図1及び図6に示すように、他側面部412は、長方形の四隅部に各1個(計4個)のビス孔が形成されている。
一方、一側面部411は台形状であって、更に詳細には、図3及び図6に示すように、台形の長い方の上底部分が一側面部411の基端部に相当し、短い方の下底部分が先端部に相当する直角台形状である。また、一側面部411の先端部近傍には、直角台形の直角部分に沿って直角三角形の頂点に相当する位置に配された3個のビス孔が形成されている。
【0055】
更に、図2及び図6に示すように、踏板固定具41は、踏板固定具41の板厚よりも長く、且つ、他側面部412の短辺部の長さより短くアングルの外側(L字の外側)へ、一側面部411に垂直に突出する長方形状の突出面部413が、一側面部411の先端部に一体的に設けられている。突出面部413は、長方形の一方の長辺部が突出面部413の基端部に相当する。また、突出面部413の板厚は、一側面部411の板厚に等しく、突出面部413の一側面部411からの突出量は、約15mmである。このため、嵌合溝212の深さは16mmであり、幅は約6mmである。
【0056】
つまり、他側面部412と突出面部413とは、一側面部411の基端部と先端部とに、互いに平行に設けられ、且つ、一側面部411を間に挟んで互いに逆方向に突出している。この結果、踏板固定具41は全体として変形Z字断面を有する簡易な板状をなしている。
【0057】
このような踏板固定具41は、例えば金属板を折り曲げて形成されるか、又は金型を用いて成型されてなる。
右側の踏板固定具42にも、踏板固定具41と同様に、突出面部423が形成されている。
なお、踏板固定具41のアングルの内側に、一側面部411と他側面部412とを連結して踏板固定具41を補強する補強板部が設けられていてもよい。また、板厚約5mmの踏板固定具41における突出面部413の一側面部411からの突出量は、約15mmに限定されず、例えば約15mm〜約20mmの範囲で、桁板21の厚み及び材質等に応じて適宜に設定される。
【0058】
図7〜図9は、露出階段11の組立方法の説明図である。
作業者は、各1枚の桁板21,22、N枚の踏板31、各N個の踏板固定具41,42、踏板31を桁板21,22に固定するための{14×N}本のビスV,V,…、及び桁板21,22を躯体Bに固定するためのビス等を準備する。これらは、予め工場で生産されて、階段設置場所へ搬入される。
【0059】
作業者は、まず、図7に示すような桁板21,22の架設作業を実行する。次いで、作業者は、桁板21,22の架設後に、図8に示すような踏板31と踏板固定具41,42との一体化作業と、図9に示すような桁板21,22に対する踏板固定具41,42の固定作業とを、最下段となすべき踏板31から順に、最上段となすべき踏板31まで、N回繰り返し実行する。
【0060】
更に詳細には、作業者は、桁板21について、長辺部21cを上側、長辺部21dを下側に夫々向け、短辺部21aの端面を床面F上に載置し、短辺部21bの端面を躯体Bに密着させ、且つ、ビス面211が縦姿勢(鉛直の姿勢)になるよう、桁板21を躯体Bと床面Fとの間に架設する(図3及び図7参照)。このとき、桁板21の長手方向が床面Fに対し所定の角度θで傾斜する。
【0061】
また、作業者は、桁板21のビス面211と桁板22のビス面221とを互いに平行に対面させた状態で、ビス面211,221間を適長離隔させて、桁板22を桁板21と同様に架設する。
以上の結果、桁板21の嵌合溝212,212,…夫々は横方向に配される。何故ならば、嵌合溝212,212,…夫々が短辺部21aに平行であるからである。同様に、桁板22の嵌合溝222,222,…夫々も横方向に配される。
【0062】
桁板21,22の架設作業が終了した後、作業者は、左右一組の踏板固定具41,42の他側面部412,422夫々の外面を、踏板31の裏面312に密着させて、各4個のビスV,V,…を他側面部412,422夫々の各4個のビス孔に通して、踏板固定具41,42を踏板31にビス留めする(図1及び図8参照)。この結果、踏板31と踏板固定具41,42とが一体化し、踏板31と突出面部413,423とが平行になる。
【0063】
ただし、踏板固定具41,42の配置は、以下のa)〜d)の条件を全て満たす。
a) 踏板固定具41,42は、踏板31の滑り止め31aが形成されていない方の長辺部の近傍に配される。
b) 他側面部412,422同士が接近配置(即ち、突出面部413,423同士が離隔配置)される。
c) 一側面部411,421同士と、踏板31の両短辺部とが、互いに平行である。
d) 一側面部411,421同士の離隔距離が、踏板31を固定すべき位置のビス面211,221間の距離(即ち内々距離)に略等しい。
【0064】
ところで、ビス面211,221間の距離が、桁板21,22の上下方向の位置によって微妙に異なっていても、作業者が踏板固定具41,42の配置を微調整することによって、踏板31は下記のように問題なく桁板21,22に固定される。
【0065】
更に作業者は、踏板固定具41,42と一体化している踏板31(即ち図9中に二点鎖線で記載されているような踏板31)について、この踏板固定具41,42の突出面部413,423夫々を同時的に、桁板21,22の最下の嵌合溝212,222へ、図9中白抜矢符方向に嵌入する(図2及び図9参照)。このとき、作業者は、突出面部413を、長辺部21cの側端面(即ち上側の側端面)の開口部分から嵌合溝212へ、ビス面211に平行な方向に嵌入し、同様に、突出面部423を、上側の側端面の開口部分から嵌合溝222へ、ビス面221に平行な方向に嵌入する。このとき、突出面部413,423は、基端部から先端部まで全体的に嵌合溝212,222に嵌合する。
以上の結果、一側面部411,421とビス面211,221とが密着する。
【0066】
最後に、作業者は、突出面部413が嵌合溝212に嵌合している一側面部411の3個のビス孔に3個のビスV,V,Vを通して、踏板固定具41を桁板21にビス留めする。同様に、作業者は、突出面部423が嵌合溝222に嵌合している一側面部421の3個のビス孔に3個のビスV,V,Vを通して、踏板固定具42を桁板22にビス留めする。この結果、踏板31が横姿勢で桁板21,22に固定される。
ここで、桁板21,22夫々に対する踏板固定具41,42のビス留め方向は、桁板21,22に垂直であるが、一般に、ビス面211,221間にはビス留め用の工具(例えば電動ドライバ)を配置するために十分な広さの空間が存在するため、ビス留めは容易である。
【0067】
最下段の踏板31の固定作業が終了した後で、作業者は、以上のような踏板31と踏板固定具41,42との一体化作業と、桁板21,22に対する踏板固定具41,42の固定作業とを、最下段から2段目の踏板31に実行し、次に、最下段から3段目の踏板31に実行し、…、最後に、最上段の踏板31に実行する。以上の結果、踏板31,31,…が桁板21,22に階段状に固定される。
【0068】
図9に示すように、突出面部413,423は、桁板21,22の手前側から奥側へ、横方向に嵌合溝212,222へ嵌入されるため、踏板固定具41,42と一体化されている踏板31が、既に桁板21,22に固定されている踏板31,31,…に当接して、踏板31の固定作業が阻害されることはない。
本実施の形態では最下段から最上段へ向けて順に踏板31,31,…を固定する手順を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、最上段から最下段へ向けて順に固定する手順でもよい。
【0069】
以上のような露出階段11は、組立方法が簡単であるため、短時間で安価に設置することができる。
また、従来の露出階段同様、ボックス階段に比べて、装飾性が高く、開放感を有する。更に、切り欠き部を有する踏板を、踏板支持部を有する桁板に嵌め込み固定する従来の嵌め込み型の露出階段とは異なり、左右一対の踏板固定具41,42を用いて各踏板31を桁板21,22に固定するため、嵌め込み型の露出階段に関して生じる各種の問題(切り欠き部によって踏板の強度が弱くなること、桁板の加工工数が多いこと等)が生じることはない。
【0070】
更に、嵌め込み型の露出階段では、桁板に踏板支持部を形成する必要があるため、例えば60mm〜75mmの範囲の厚みを有する桁板が使用される。しかしながら、露出階段11の場合、嵌め込み型の露出階段の桁板よりも薄い桁板21,22を用いてもよい。
【0071】
更にまた、図2及び図3に示すように、踏板31に加えられて踏板固定具41,42に伝達された荷重は、一側面部411,421をビス面211,221にビス留めしているビスと、嵌合溝212,222の内下面の内、突出面部413,423の下面が接触している部分とで支持される。この部分は面積が広いため、安定して荷重を支持することができる。
また、桁板21,22における嵌合溝212,222の形成位置が正確であるため、突出面部413,423を嵌合溝212,222に嵌入することによって、踏板固定具41,42と一体化している踏板31も正確な位置に配置される。つまり、突出面部413,423及び嵌合溝212,222は踏板31の位置決めにも利用される。
【0072】
図5(b)は、露出階段11の組み立てに用いられる他の踏板の構成を示す斜視図である。図中32は踏板であり、踏板32は、踏板31と同様の構成であるが、裏面322に、夫々矩形凹状の位置決め部32b,32bが形成されている。
位置決め部32b,32bの形状及び寸法は、踏板固定具41,42の他側面部412,422夫々の形状及び寸法に略等しく、位置決め部32b,32bに他側面部412,422を嵌め込むことによって、他側面部412,422が正確に位置決めされるように配置されている。
【0073】
具体的には、位置決め部32b,32bは、踏板32の滑り止め(不図示)が形成されていない方の長辺部近傍に配され、位置決め部32b,32bの長辺部同士と踏板32の両短辺部とが平行であり、位置決め部32b,32bの最も離隔した長辺部同士の離隔距離が、ビス面211,221間の距離に略等しいように設けられている。
このような位置決め部32b,32b…の形状及び形成位置等は、例えば板材を生産する工場で、NCルータを用いて高精度に形成することができる。
【0074】
桁板21,22が、ビス面211,221が一定距離を有して略完全に平行に配された状態で架設されている場合は、踏板31の代わりに踏板32を使用することによって、更に容易に露出階段11を組み立てることができる。
【0075】
ところで、露出階段11の場合、踏板固定具41,42が桁板21,22の内側に配されている。このため、踏板固定具41,42が目立たず、美観が向上されるという利点がある。また、踏板固定具41,42が踏板31の中央部近傍を支持しており、踏板固定具41,42間の距離が短いため、踏板に荷重が加えられた場合の踏板31の撓みが小さいという利点もある。更に、露出階段11の設置場所の右側方又は左側方に近接して建造物の壁面が存在していても、壁面とビス面211,222との間にビス留め用の工具を配置する必要がないため、踏板固定具41,42をビス留めする作業に支障が出ないという利点もある。
【0076】
なお、桁板21,22を左右逆に配置してもよい。この場合、踏板固定具41を右側に、踏板固定具42を左側に、夫々配した状態で、踏板31に対する踏板固定具41,42のビス留め位置を、ビス面211,222の離隔距離に応じて長辺編部方向に離隔させることによって、上述した同様の手順で露出階段を組み立てることができる。この場合、桁板21,22間にビス留め用の工具を配置する必要がないため、踏板固定具41,42をビス留めする作業が簡便である。
【0077】
実施の形態 2.
図10及び図11は、本発明の実施の形態2に係る露出階段の構成を示す斜視図及び正面図であり、図12は、図11におけるXII −XII 線の断面図である。
図中12は露出階段であり、露出階段12は、実施の形態1の露出階段11と同様に、例えば2階建ての建造物の屋内に設置されている。
【0078】
露出階段12は、左右2本の桁板23,24と、N枚の踏板31,31,…と、左側に配されるN個の踏板固定具42,42,…及び右側に配されるN個の踏板固定具41,41,…とを備え、これらは左右対称に配されている。
各踏板31、各踏板固定具41、及び各踏板固定具42の寸法及び形状等は、実施の形態1の各踏板31、各踏板固定具41、及び各踏板固定具42の寸法及び形状等に等しい。
桁板23,24は、実施の形態1の桁板21,22と同様の寸法及び外形状を有し、桁板21,22と同様に、1階と2階との間に架設されている。
ただし、ビス面231,241は、露出階段12の外側に配されている。
【0079】
各踏板固定具41,42夫々はアングル状であり、各踏板固定具42は踏板31と桁板23とを固定し、各踏板固定具41は、踏板31と桁板24とを固定している。
踏板固定具41の一側面部411は、3個のビスV,V,Vを用いて桁板24のビス面241にビス留めされており、踏板固定具41の他側面部412は、4個のビスV,V,…を用いて踏板32の下面にビス留めされている。同様に、踏板固定具42の縦方向の一側面部421は、3個のビスV,V,Vを用いて桁板23のビス面231にビス留めされており、踏板固定具42の横方向の他側面部422は、4個のビスV,V,…を用いて踏板31の下面である裏面312にビス留めされている。
【0080】
図13は、露出階段12の組み立てに用いられる右側の桁板24の構成を示す側面図である。左側の桁板23の構成は、桁板24の鏡像の構成に相当するため、以下では主に桁板24について説明する。
桁板24は、実施の形態1の桁板21と同様の外形状を有する。
桁板24の両短辺部24a,24bについて、短辺部24aは、桁板24が階段設置場所に設置される場合に下側になり、短辺部24bは上側になる。一方、桁板24の両長辺部24c,24dについて、長い方の長辺部24cは、桁板24が階段設置場所に設置される場合に上側になり、短い方の長辺部24dは上側になる。
【0081】
桁板24の一面は、踏板固定具41の一側面部411がビス留めされるビス面241として用いられる。ビス面241には、最下段の踏板31の固定位置に対応する位置に、1本の嵌合溝242が形成されている。嵌合溝242は、実施の形態1の嵌合溝212と同一形状及び同一寸法を有する。また、最下段の踏板31を除く{N−1}枚の踏板31,31,…の固定位置に対応する位置に、{N−1}本の嵌合溝243,243,…が、嵌合溝242も含めて階段状に、且つ、短辺部24aに平行に形成されている。各嵌合溝242は、ビス面241に開口しているが、嵌合溝242とは異なり、桁板24の上側の長辺部24cの側端面には開口していない(図11参照)。
【0082】
各嵌合溝243は、踏板固定具41の突出面部413の突出量に略等しい深さと、突出面部413の板厚に略等しい幅と、突出面部413の長辺部の長さに略等しい長さとを有する。更に詳細には、嵌合溝243の深さ、幅、及び及び長さは、突出面部413の突出量、板厚、及び長辺部の長さよりも夫々約1mm長い。つまり、嵌合溝243,243,…は互いに略同一形状であるが、嵌合溝242とは形状が異なる。
【0083】
N本の嵌合溝242,243,243,…の形状及び形成位置等は、例えば板材を生産する工場で、NCルータを用いて高精度に形成することができる。また、ビス面241の裏面に対する加工は不要であり、しかも、嵌合溝242,243,243,…夫々は一直線状であって、開口面積が狭いため、例えば台形状、平行四辺形状、又は三角形状等の開港面積が広い凹部を形成する場合よりも、短時間で容易に形成することができる。
左側の桁板23にも、桁板22同様に、1本の嵌合溝232と、{N−1}本の図示しない嵌合溝とが形成されている(図11参照)。
その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0084】
図14は、露出階段12の組立方法の説明図である。
作業者は、各1枚の桁板23,24、N枚の踏板31、各N個の踏板固定具41,42、踏板31を桁板23,24に固定するための{14×N}本のビスV,V,…、及び桁板23,24を躯体Bに固定するためのビス等を準備する。これらは、予め工場で生産されて、階段設置場所へ搬入される。
【0085】
作業者は、まず、図7に示すような桁板21,22の架設作業と同様に、桁板23,24の架設作業を実行し、桁板23,24の架設後に、図8に示すような踏板31と踏板固定具41,42との一体化作業に類似の作業と、図9に示すような桁板21,22に対する踏板31の固定作業に類似の作業とを、最下段となすべき踏板31に実行する。
更にこの後、作業者は、図14に示すような桁板24に対する踏板固定具41の固定を{N−1}回繰り返し実行し、また、桁板23に対する踏板固定具42の固定を{N−1}回繰り返し実行す。最後に、作業者は、踏板固定具41,42に対する踏板31のビス留めを、最下段から2段目となすべき踏板31から順に、最上段となすべき踏板31まで、{N−1}回繰り返し実行する。
【0086】
更に詳細には、作業者は、桁板24について、長辺部24cを上側、長辺部24dを下側に夫々向け、短辺部24aの端面を床面F上に載置し、短辺部24bの端面を躯体Bに密着させ、且つ、ビス面241が縦姿勢になるよう、桁板24を躯体Bと床面Fとの間に架設する(図7及び図12参照)。このとき、桁板24の長手方向が床面Fに対し所定の角度θで傾斜する。
【0087】
また、作業者は、桁板23のビス面231と桁板24のビス面241とを互いに平行に、且つ、ビス面231,241夫々の裏面同士を対面させた状態で、ビス面231,241間を適長離隔させて、桁板23を桁板24と同様に架設する。
以上の結果、桁板24の嵌合溝242,243,243,…夫々は横方向に配される。何故ならば、嵌合溝242,243,243,…夫々が短辺部24aに平行であるからである。同様に、桁板23の嵌合溝232及び図示しない嵌合溝夫々も横方向に配される。
【0088】
桁板23,24の架設が終了した後、作業者は、左右一組の踏板固定具41,42の他側面部412,422夫々の外面を、踏板31の裏面312に密着させて、各4個のビスV,V,…を他側面部412,422夫々の各4個のビス孔に通して、踏板固定具41,42を踏板31にビス留めする(図8及び図10参照)。この結果、踏板31と踏板固定具41,42とが一体化し、踏板31と突出面部413,423とが平行になる。
【0089】
ただし、踏板固定具41,42の配置は、以下のd)〜g)の条件を全て満たす。
d) 踏板固定具41,42は、踏板31の滑り止め31aが形成されていない方の長辺部近傍に配される。
e) 他側面部412,422同士が離隔配置(即ち、突出面部413,423同士が接近配置)される。
f) 一側面部411,421同士と、踏板31の両短辺部とが、互いに平行である。
g) 一側面部411,421同士の離隔距離が、踏板31を固定すべき位置のビス面231,241間の距離に略等しい。
【0090】
ところで、ビス面231,241間の距離が、桁板23,24の上下方向の位置によって微妙に異なっていても、作業者が踏板固定具41,42の配置を微調整することによって、踏板31は問題なく桁板23,24に固定される。
【0091】
更に作業者は、踏板固定具41,42と一体化している踏板31について、この踏板固定具41,42の突出面部413,423夫々を同時的に、桁板24,23の最下の嵌合溝242,232へ嵌入する(図9及び図11参照)。このとき、作業者は、突出面部413を、長辺部24cの側端面(即ち上側の側端面)の開口部分から嵌合溝242へ嵌入し、同様に、突出面部423を、上側の側端面の開口部分から嵌合溝232へ嵌入する。このとき、突出面部413,423は、基端部から先端部まで全体的に嵌合溝242,232に嵌合する。
以上の結果、一側面部411,421とビス面241,231とが密着する。
【0092】
次いで、作業者は、突出面部413が嵌合溝242に嵌合している一側面部411の3個のビス孔に3個のビスV,V,Vを通して、踏板固定具41を桁板24にビス留めする。同様に、作業者は、突出面部423が嵌合溝232に嵌合している一側面部421の3個のビス孔に3個のビスV,V,Vを通して、踏板固定具42を桁板23にビス留めする。この結果、最下段の踏板31が横姿勢で桁板23,24に固定される。
ここで、桁板23,24夫々に対する踏板固定具42,41のビス留め方向は、桁板23,24に垂直であるが、一般に、ビス面231,241間にはビス留め用の工具を配置するために十分な広さの空間が存在するため、ビス留めは容易である。
【0093】
最下段の踏板31の固定作業が終了した後、作業者は、図14に示すように、各踏板固定具41の突出面部413を、桁板24の嵌合溝243へ白抜矢符方向に嵌入する。この場合、作業者は、踏板固定具41の他側面部412を上側に配して、突出面部413を、ビス面241の開口部分から嵌合溝243へ、ビス面241に垂直な方向に嵌入する。このとき、突出面部413は、基端部から先端部まで全体的に嵌合溝243に嵌合する。同様に、作業者は、各踏板固定具42の突出面部423を、桁板23の図示しない嵌合溝へ嵌入する。このとき、突出面部423は、基端部から先端部まで全体的に嵌合溝に嵌合する。
以上の結果、一側面部411,421とビス面241,231とが密着する。
【0094】
次いで、作業者は、一側面部411の3個のビス孔に3個のビスV,V,Vを通して、踏板固定具41を桁板24にビス留めする。同様に、作業者は、一側面部421の3個のビス孔に3個のビスV,V,Vを通して、踏板固定具42を桁板23にビス留めする。この結果、踏板固定具41,42の他側面部412,422が、床面Fに対して同一の高さに、横方向に配される。
【0095】
各{N−1}個の踏板固定具41,41,…及び踏板固定具42,42,…の桁板24,23に対する固定作業が終了した後で、作業者は、床面Fに対して同一の高さに配されている踏板固定具41,42(即ち左右一組の踏板固定具41,42)の他側面部412,422上に、踏板31の裏面312を載置して、各4個のビスV,V,…を他側面部412,422夫々の各4個のビス孔に通して、踏板固定具41,42を踏板31にビス留めする。この結果、踏板31が横姿勢で桁板24,23に固定される。
ここで、踏板31に対する踏板固定具41,42のビス留め方向は、踏板31に垂直であるが、最下段以外の踏板31の裏面312と床面Fとの間にはビス留め用の工具を配置するために十分な広さの空間が存在するため、ビス留めは容易である。
【0096】
ところで、ビス面231,241間の距離が、桁板23,24の上下方向の位置によって微妙に異なっていても、踏板31と一体化していない踏板固定具42,41を桁板23,24に固定するため、踏板31は問題なく桁板23,24に固定される。
また、最下段の踏板31の裏面312と床面Fとの離隔距離(蹴上げ)は一般に、約230mm以下に設定される。このため、仮に、最下段の踏板31に対する踏板固定具41,42のビス留め方向が踏板31に垂直であった場合、裏面312と床面Fとの間にビス留め用の工具を配置することが困難である。従って、最下段の踏板31を桁板23,24に固定する場合のみ、最下段以外の踏板31を桁板23,24に固定する手順とは異なる手順(即ち、実施の形態1で踏板31を桁板21,22に固定する手順)で固定する。
【0097】
作業者は、以上のような踏板固定具41,42に対する踏板31の固定作業を、最下段から2段目の踏板31に実行し、次に、最下段から3段目の踏板31に実行し、…、最後に、最上段の踏板31に実行する。以上の結果、踏板31,31,…が桁板23,24に階段状に固定される。
本実施の形態では最下段から最上段へ向けて順に踏板31,31,…を固定する手順を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、最上段から最下段へ向けて順に固定する手順でもよい。
【0098】
以上のような露出階段12は、実施の形態1の露出階段11と同様の効果を奏する。なお、踏板31の代わりに、実施の形態1の踏板32のような、裏面に矩形凹状の位置決め部が形成されている踏板を用いて、露出階段12を構成してもよい。
【0099】
露出階段12の場合、踏板固定具41,42が桁板24,23の外側に配されており、桁板24,23間にビス留め用の工具を配置する必要がないため、踏板固定具41,42をビス留めする作業に支障が出ないという利点がある。また、例えば桁板24について、最下段の嵌合溝242を除く嵌合溝243,243,…が長辺部24cの側端面には開口していないため、嵌合溝243,243,…を目立たなくして、美観を向上させることができる(図11及び図14参照)。
【0100】
なお、桁板23,24を左右逆に配置した状態で、各踏板固定具41,42及び踏板31を固定する構成でもよい。
ところで、実施の形態1の露出階段11を組み立てる際に、作業者は、最下段以外の嵌合溝212,222に踏板固定具41,42の突出面部413,423を嵌入し、一側面部411,421を桁板21,22にビス留めしてから、他側面部412,422に踏板31をビス留めしてもよい。
【0101】
実施の形態 3.
図15は、本発明の実施の形態3に係る露出階段の構成を示す斜視図である。
図中13は露出階段であり、露出階段13は、例えば2階建ての建造物の屋内に設置されている。
露出階段13は、1本の桁板20と、N枚の踏板31,31,…と、右側に配されるN個の踏板固定具41,41,…及び左側に配されるN個の踏板固定具42,42,…とを備え、これらは左右対称に配されている。
各踏板31、各踏板固定具41、及び各踏板固定具42の寸法及び形状等は、実施の形態1,2の各踏板31、各踏板固定具41、及び各踏板固定具42の寸法及び形状等に等しい。
【0102】
桁板20は、板厚以外は実施の形態2の桁板24と同様の寸法及び外形状を有し、桁板24と同様に、1階と2階との間に架設されている。
ただし、桁板20の板厚は桁板24の板厚の2倍以上である。また、桁板20の両面がビス面201,204として用いられている。
ビス面201には、例えば実施の形態2のビス面241に形成されている1本の嵌合溝242及び{N−1}本の嵌合溝243,243,…と同様のN本の嵌合溝が形成されている。同様に、ビス面204には、実施の形態2のビス面231に形成されている1本の嵌合溝232及び{N−1}本の図示しない嵌合溝と同様のN本の嵌合溝が形成されている。
【0103】
露出階段13の構成は、実施の形態2の露出階段12の構成に比べて桁板の本数が少ないだけの違いであるため、実施の形態2の露出階段12の組み立て手順と同様の手順で組み立てることができる。
また、ビス面201,204に、実施の形態1の嵌合溝212,212,…及び嵌合溝222,222,…と同様の嵌合溝が形成されている場合は、実施の形態1の露出階段11の組み立て手順と同様の手順で組み立てることができる。
その他、実施の形態1,2に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0104】
以上のような露出階段13は、実施の形態1,2の露出階段11,12と同様の効果を奏する。なお、踏板31の代わりに、実施の形態1の踏板32のような、裏面に矩形凹状の位置決め部が形成されている踏板を用いて、露出階段13を構成してもよい。
【0105】
露出階段13の場合、ビス留め用の工具を2本の桁板の間に配置する必要がないため、踏板固定具41,42をビス留めする作業が容易であるという利点がある。また、露出階段13の設置場所の右側方又は左側方に近接して建造物の壁面が存在していても、壁面とビス面201,204との間に、ビス留め用の工具を配置するために十分な広さの空間が存在するため、踏板固定具41,42をビス留めする作業に支障が出ないという利点もある。更にまた、露出階段13は、実施の形態1,2の露出階段11,12に比べて更に開放感を有する。
【0106】
なお、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
また、本発明の効果がある限りにおいて、露出階段11〜13夫々に、実施の形態1〜3に開示されていない構成要素が含まれていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の実施の形態1に係る露出階段の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る露出階段の構成を示す正面図である。
【図3】図2におけるIII −III 線の断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る露出階段の組み立てに用いられる桁板の構成を示す側面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る露出階段の組み立てに用いられる踏板の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る露出階段の組み立てに用いられる踏板固定具の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る露出階段の組立方法の説明図(桁板の架設を説明する図)である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る露出階段の組立方法の説明図(踏板と踏板固定具との一体化を説明する図)である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る露出階段の組立方法の説明図(桁板に対する踏板固定具の固定を説明する図)である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る露出階段の構成を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る露出階段の構成を示す正面図である。
【図12】図11におけるXII −XII 線の断面図である。
【図13】本発明の実施の形態2に係る露出階段の組み立てに用いられる桁板の構成を示す側面図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係る露出階段の組立方法の説明図(桁板に対する踏板固定具の固定を説明する図)である。
【図15】本発明の実施の形態3に係る露出階段の構成を示す斜視図である。
【図16】従来の露出階段の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0108】
11,12,13 露出階段
20,21,22,23,24 桁板
201,204,211,221,231,241 ビス面(一面)
212,222,232,242,243 嵌合溝
31,32 踏板
41,42 踏板固定具
411,421 一側面部
412,422 他側面部
413,423 突出面部(突出部)
B 躯体(上段)
F 床面(下段)
V ビス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上段と下段とを有する建築物の前記上段と前記下段との間に、長手方向が傾斜し、且つ一面が縦姿勢で架設されている1本又は2本の桁板と、
該桁板に、夫々横姿勢で階段状に固定されている複数枚の踏板と、
各踏板を前記桁板に固定しており、一側面部が前記一面にビス留めされており、他側面部が前記踏板の下面にビス留めされているアングル状の踏板固定具と
を備える露出階段において、
前記踏板固定具の板厚よりも長くアングルの外側へ突出する突出部が、前記一側面部の先端部に一体的に設けられており、
前記突出部の突出量及び板厚に対応する深さ及び幅を有し、前記突出部が嵌合されている嵌合溝が、前記一面に形成されていることを特徴とする露出階段。
【請求項2】
最下段の踏板を前記桁板に固定する踏板固定具の突出部が嵌合されている最下の嵌合溝は、前記桁板の上側の側端面にも開口していることを特徴とする請求項1に記載の露出階段。
【請求項3】
上段と下段とを有する建築物の前記上段と前記下段との間に、長手方向が傾斜し、且つ一面が縦姿勢で架設されている1本又は2本の桁板と、
該桁板に、夫々横姿勢で階段状に固定されている複数枚の踏板と、
各踏板を前記桁板に固定しており、一側面部が前記一面にビス留めされており、他側面部が前記踏板の下面にビス留めされているアングル状の踏板固定具と
を備える露出階段の組立方法において、
前記踏板固定具として、該踏板固定具の板厚よりも長くアングルの外側へ突出する突出部が、一側面部の先端部に一体的に設けられている踏板固定具を準備し、
前記桁板として、前記突出部の突出量及び板厚に対応する深さ及び幅を有し、前記突出部が嵌合される嵌合溝が前記一面に形成されており、最下段となすべき踏板を前記桁板に固定する踏板固定具の突出部が嵌合される最下の嵌合溝が、前記桁板の該桁板が架設された場合に上側になる側端面にも開口している桁板を準備し、
該桁板を、前記上段と前記下段との間に、長手方向が傾斜し、且つ前記一面が縦姿勢になり、更に、前記側端面が上側になるよう架設し、
前記踏板固定具の他側面部を、前記最下段となすべき踏板の前記桁板に固定した場合に下面になる側の面にビス留めし、
前記踏板固定具の突出部を、前記最下の嵌合溝へ、前記側端面の開口部分から嵌入し、
前記踏板固定具の一側面部を、前記一面にビス留めすることを特徴とする露出階段の組立方法。
【請求項4】
前記桁板を架設した後、
前記最下段となすべき踏板を前記桁板に固定する踏板固定具以外の踏板固定具の突出部を、前記最下の嵌合溝以外の嵌合溝へ嵌入し、
前記踏板固定具の一側面部を、前記一面にビス留めし、
前記踏板固定具の他側面部を、前記最下段となすべき踏板以外の踏板の下面にビス留めすることを特徴とする請求項3に記載の露出階段の組立方法。
【請求項5】
前記桁板として、前記最下の嵌合溝以外の嵌合溝も前記側端面に開口している桁板を準備し、
前記桁板を架設した後、
前記最下段となすべき踏板を前記桁板に固定する踏板固定具以外の踏板固定具の他側面部を、前記最下段となすべき踏板以外の踏板の前記桁板に固定した場合に下面になる側の面にビス留めし、
前記踏板固定具の突出部を、前記嵌合溝へ、前記側端面の開口部分から嵌入し、
前記踏板固定具の一側面部を、前記一面にビス留めすることを特徴とする請求項3に記載の露出階段の組立方法。
【請求項1】
上段と下段とを有する建築物の前記上段と前記下段との間に、長手方向が傾斜し、且つ一面が縦姿勢で架設されている1本又は2本の桁板と、
該桁板に、夫々横姿勢で階段状に固定されている複数枚の踏板と、
各踏板を前記桁板に固定しており、一側面部が前記一面にビス留めされており、他側面部が前記踏板の下面にビス留めされているアングル状の踏板固定具と
を備える露出階段において、
前記踏板固定具の板厚よりも長くアングルの外側へ突出する突出部が、前記一側面部の先端部に一体的に設けられており、
前記突出部の突出量及び板厚に対応する深さ及び幅を有し、前記突出部が嵌合されている嵌合溝が、前記一面に形成されていることを特徴とする露出階段。
【請求項2】
最下段の踏板を前記桁板に固定する踏板固定具の突出部が嵌合されている最下の嵌合溝は、前記桁板の上側の側端面にも開口していることを特徴とする請求項1に記載の露出階段。
【請求項3】
上段と下段とを有する建築物の前記上段と前記下段との間に、長手方向が傾斜し、且つ一面が縦姿勢で架設されている1本又は2本の桁板と、
該桁板に、夫々横姿勢で階段状に固定されている複数枚の踏板と、
各踏板を前記桁板に固定しており、一側面部が前記一面にビス留めされており、他側面部が前記踏板の下面にビス留めされているアングル状の踏板固定具と
を備える露出階段の組立方法において、
前記踏板固定具として、該踏板固定具の板厚よりも長くアングルの外側へ突出する突出部が、一側面部の先端部に一体的に設けられている踏板固定具を準備し、
前記桁板として、前記突出部の突出量及び板厚に対応する深さ及び幅を有し、前記突出部が嵌合される嵌合溝が前記一面に形成されており、最下段となすべき踏板を前記桁板に固定する踏板固定具の突出部が嵌合される最下の嵌合溝が、前記桁板の該桁板が架設された場合に上側になる側端面にも開口している桁板を準備し、
該桁板を、前記上段と前記下段との間に、長手方向が傾斜し、且つ前記一面が縦姿勢になり、更に、前記側端面が上側になるよう架設し、
前記踏板固定具の他側面部を、前記最下段となすべき踏板の前記桁板に固定した場合に下面になる側の面にビス留めし、
前記踏板固定具の突出部を、前記最下の嵌合溝へ、前記側端面の開口部分から嵌入し、
前記踏板固定具の一側面部を、前記一面にビス留めすることを特徴とする露出階段の組立方法。
【請求項4】
前記桁板を架設した後、
前記最下段となすべき踏板を前記桁板に固定する踏板固定具以外の踏板固定具の突出部を、前記最下の嵌合溝以外の嵌合溝へ嵌入し、
前記踏板固定具の一側面部を、前記一面にビス留めし、
前記踏板固定具の他側面部を、前記最下段となすべき踏板以外の踏板の下面にビス留めすることを特徴とする請求項3に記載の露出階段の組立方法。
【請求項5】
前記桁板として、前記最下の嵌合溝以外の嵌合溝も前記側端面に開口している桁板を準備し、
前記桁板を架設した後、
前記最下段となすべき踏板を前記桁板に固定する踏板固定具以外の踏板固定具の他側面部を、前記最下段となすべき踏板以外の踏板の前記桁板に固定した場合に下面になる側の面にビス留めし、
前記踏板固定具の突出部を、前記嵌合溝へ、前記側端面の開口部分から嵌入し、
前記踏板固定具の一側面部を、前記一面にビス留めすることを特徴とする請求項3に記載の露出階段の組立方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−24774(P2010−24774A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190118(P2008−190118)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】
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