説明

露点センサ及び露点の測定方法

【課題】精度の高い露点センサを提供する。
【解決手段】発熱抵抗素子1と、発熱抵抗素子1の発熱温度が一定となるように発熱抵抗素子1に電流を供給する電流供給装置2と、発熱抵抗素子1に接することにより、一定温度に保たれる湿度検出素子3と、発熱抵抗素子1に供給される電流に基づき、湿度検出素子3に接する気体の温度を特定する気温特定部と、を備える、露点センサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検出技術に係り、露点センサ及び露点の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵・冷凍保管庫、及び食品工場などでは、装置や製品の結露や着霜に伴うカビや雑菌の発生、あるいは錆の発生を抑制するために、低湿環境を提供する空調設備として、デシカント空調機が利用されている。このような低湿環境においては、露点を管理することが重要である。ここで、露点とは、水蒸気を含む空気を冷却したとき、凝結が始まる温度をいう。換言すれば、露点とは、空気の相対湿度が100%となる温度である。露点は、例えば鏡面式露点計によって正確に計測可能であるが、鏡面式露点計は高価である。そのため、例えば、温度検出素子と、静電容量式の湿度検出素子と、を備える安価な露点計(例えば、特許文献1乃至4参照。)が広く採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−98141号公報
【特許文献2】特表平10−508096号公報
【特許文献3】特開平7−294469号公報
【特許文献4】特開平1−295147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の静電容量式の露点計は、温度検出素子の応答速度と、湿度検出素子の応答速度と、が異なるため、露点の測定精度が低いという問題があった。そこで、本発明は、精度の高い露点センサ及び露点の測定方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様によれば、(a)発熱抵抗素子と、(b)発熱抵抗素子の発熱温度が一定となるように発熱抵抗素子に電流を供給する電流供給装置と、(c)発熱抵抗素子に接することにより、一定温度に保たれる湿度検出素子と、(d)湿度検出素子に接する気体の温度を特定する気温特定部と、を備える、露点センサが提供される。
【0006】
また、本発明の態様によれば、(a)発熱抵抗素子の発熱温度が一定となるように発熱抵抗素子に電流を供給することと、(b)湿度検出素子を発熱抵抗素子に接触させ、湿度検出素子を一定温度に保つことと、(c)湿度検出素子に接する気体の温度を特定することと、を含む、露点の測定方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、精度の高い露点センサ及び露点の測定方法を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る露点センサの一部の回路図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る露点センサの一部の模式図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る湿度検出素子の模式図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る露点センサの一部の回路図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る露点センサの一部の回路図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る露点センサの一部の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0010】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る露点センサは、図1に示すように、発熱抵抗素子1と、発熱抵抗素子1の発熱温度が一定となるように発熱抵抗素子1に電流を供給する電流供給装置2と、発熱抵抗素子1に接することにより、一定温度に保たれる湿度検出素子3と、を備える。さらに、第1の実施の形態に係る露点センサは、発熱抵抗素子1に供給される電流に基づき、湿度検出素子3に接する気体の温度を特定する図2に示す気温特定部301と、図1に示す湿度検出素子3の電気特性、及び図2に示す気温特定部301で特定される気体の温度に基づいて露点を特定する露点特定部303と、を備える。気温特定部301と、露点特定部303と、は、例えば中央演算処理装置(CPU)300に含まれている。
【0011】
図1に示す発熱抵抗素子1は、例えば白金、タングステン、及び白金イリジウム等の抵抗温度係数の大きな金属からなる細線である。発熱抵抗素子1の抵抗は、発熱抵抗素子1に接する周囲の気体の温度が低下すると、低下する。また、発熱抵抗素子1の抵抗は、発熱抵抗素子1に接する周囲の気体の温度が上昇すると、上昇する。
【0012】
発熱抵抗素子1は、ブリッジ回路の一部をなしている。ブリッジ回路は、発熱抵抗素子1に直列に接続された第1の抵抗素子11と、発熱抵抗素子1及び第1の抵抗素子11と並列に接続された第2及び第3の抵抗素子12、13と、を備える。第1乃至第3の抵抗素子11、12、13のそれぞれは、例えば抵抗温度係数の低い金属等からなる。第1乃至第3の抵抗素子11、12、13のそれぞれは、発熱抵抗素子1に接する気体から断熱されていてもよい。
【0013】
第1の抵抗素子11と、第3の抵抗素子13と、の接点が、ブリッジ回路の入力端子をなしている。また、発熱抵抗素子1と、第2の抵抗素子12と、の接点が、ブリッジ回路の出力端子をなしている。ブリッジ回路の出力端子は、例えば、接地されている。
【0014】
電流供給装置2は、反転入力端子(−)である第1の入力端子21、非反転入力端子(+)である第2の入力端子22、及び出力端子23を備えるオペアンプ20を備える。オペアンプ20の第1の入力端子21は、発熱抵抗素子1と第1の抵抗素子11の接点に接続されている。また、オペアンプ20の第2の入力端子22は、第2の抵抗素子12と第3の抵抗素子13の接点に接続されている。オペアンプ20の出力端子23は、ブリッジ回路の入力端子に接続されている。
【0015】
発熱抵抗素子1に接する気体の温度の低下により発熱抵抗素子1の抵抗が低下すると、オペアンプ20の反転入力端子(−)である第1の入力端子21に接続されている発熱抵抗素子1と第1の抵抗素子11の接点の電圧も低下する。すると、オペアンプ20の出力端子23からブリッジ回路に供給されるフィードバック電流が増加する。一方、発熱抵抗素子1に接する気体の温度の上昇により発熱抵抗素子1の抵抗が上昇すると、発熱抵抗素子1と第1の抵抗素子11の接点の電圧も上昇する。すると、オペアンプ20の出力端子23からブリッジ回路に供給するフィードバック電流が減少する。このように、発熱抵抗素子1の抵抗の変動に応じて、発熱抵抗素子1にフィードバック電流が供給されるため、発熱抵抗素子1の発熱温度THが一定に保たれる。
【0016】
第1の実施の形態に係る露点センサは、オペアンプ20の出力端子23と、ブリッジ回路の入力端子と、の間に設けられ、オペアンプ20からのフィードバック電流を計測する電流計25をさらに備える。電流計25は、図2に示すCPU300に接続されている。CPU300には、関係記憶装置401が接続されている。上述したように、図1に示すオペアンプ20のフィードバック電流は、発熱抵抗素子1に接する気体の温度に相関する。図2に示す関係記憶装置401は、予め取得された、図1に示す発熱抵抗素子1に接する気体の温度と、電流計25で計測される電流と、の関係を保存する。
【0017】
図2に示す気温特定部301は、関係記憶装置401から、気体の温度と、電流と、の関係を読み出す。さらに、気温特定部301は、図1に示す電流計25から電流の計測値を受信すると、受信した電流の計測値と、関係と、に基づいて、発熱抵抗素子1及び湿度検出素子3に接する気体の温度の値を特定する。例えば、図2に示す関係記憶装置401から読み出した関係が、図1に示す発熱抵抗素子1に接する気体の温度を従属変数とし、電流計25で計測される電流を独立変数とする関数で表現されている場合、図2に示す気温特定部301は、関数の独立変数に電流の計測値を代入して、図1に示す発熱抵抗素子1及び湿度検出素子3に接する気体の温度の値を算出する。
【0018】
湿度検出素子3は、吸湿膜を有し、水分子の吸脱着による吸湿膜の誘電率あるいはインピーダンス等の電気特性の変化を検出する素子であれば、限定されない。ここでは、静電容量式を例にとって、湿度検出素子3を説明する。静電容量式の湿度検出素子3は、図3に示すように、絶縁性の基板31と、基板31上に配置された下部電極32と、下部電極32上に配置された吸湿膜33と、吸湿膜33上に配置された上部電極34と、を備える。
【0019】
絶縁性の基板31は、ガラスやセラミック等からなる。下部電極32及び上部電極34のそれぞれは、金等の導電体からなる。上部電極34は、吸湿膜33への透湿性を確保するため、メッシュ構造を有していてもよい。吸湿膜33は、セルロース・アセテート等のセルロース・エステル化合物、ポリビニル・アルコール、ポリアクリル・アミド、及びポリビニル・ピロリドン等の高分子、あるいは酸化アルミニウム等からなる。吸湿膜33の比誘電率は、吸湿膜33に接する気体に含まれる水分の吸脱着により変化し、湿度検出素子3の静電容量が変化する。したがって、湿度検出素子3の静電容量は、湿度検出素子3に接する気体の湿度に相関する。
【0020】
図1に示す発熱抵抗素子1は、例えば、図3に示す湿度検出素子3の絶縁性の基板31の下面に接して設けられている。発熱抵抗素子1から湿度検出素子3に供給される供給熱量Qは、下記(1)式で与えられる。
Q=IH2H−HH=VH2/RH−HH ・・・(1)
(1)式において、IHは発熱抵抗素子1を流れる電流、RHは発熱抵抗素子1の抵抗、VHは発熱抵抗素子1の両端に加わる電圧、HHは発熱抵抗素子1から周囲の気体への放熱量である。
【0021】
湿度検出素子3から周囲の気体への放熱量HCは、下記(2)式で与えられる。
C=(a+bU1/2)(TC−Ta) ・・・(2)
(2)式において、a,bは定数、Uは湿度検出素子3に接する気体の風速、TCは湿度検出素子3の温度、Taは湿度検出素子3に接する気体の温度である。発熱温度THが一定の発熱抵抗素子1に接しているため、湿度検出素子3の温度TCも一定に保たれる。湿度検出素子3は、湿度検出素子3に接する気体の温度が低くなるほど、応答速度が遅くなる傾向にある。応答速度が遅くなる原因としては、水分子の吸湿膜33への吸着速度が遅くなることが挙げられる。これに対し、例えば湿度検出素子3は、発熱抵抗素子1によって、湿度検出素子3の応答速度が最も速くなる温度TCに保たれる。
【0022】
発熱温度Hが一定の発熱抵抗素子1から湿度検出素子3に供給される供給熱量Qと、湿度検出素子3から周囲の気体への放熱量HCと、は、下記(3)式に示すように、平衡状態になる。
Q=HC ・・・(3)
したがって、湿度検出素子3の熱容量を、実質的にゼロとみなすことが可能となる。そのため、湿度検出素子3の応答速度を向上させることが可能となる。
【0023】
図2に示す関係記憶装置401は、予め取得された、図1に示す湿度検出素子3に接する気体の湿度と、湿度検出素子3の静電容量と、の関係をさらに保存する。図2に示すCPU300は、湿度特定部302をさらに備える。湿度特定部302は、関係記憶装置401から、気体の湿度と、静電容量と、の関係を読み出す。さらに、湿度特定部302は、図1に示す湿度検出素子3の静電容量の計測値を受信すると、受信した静電容量の計測値と、関係と、に基づいて、湿度検出素子3に接する気体の湿度の値を特定する。例えば、図2に示す関係記憶装置401から読み出した関係が、図1に示す湿度検出素子3に接する気体の湿度を従属変数とし、湿度検出素子3の静電容量を独立変数とする関数で表現されている場合、図2に示す湿度特定部302は、関数の独立変数に静電容量の計測値を代入して、図1に示す湿度検出素子3に接する気体の湿度の値を算出する。
【0024】
露点特定部303は、上述したように気体の湿度に相関する湿度検出素子3の電気特性と、気温特定部301が特定した気温と、に基づき、露点を演算する。CPU300には、入力装置312及び出力装置313がさらに接続されている。入力装置312としては、例えばキーボード、及びマウス等のポインティングデバイス等が使用可能である。関係記憶装置401に保存されている関係は、例えば入力装置312から入力される。出力装置313には液晶ディスプレイ、モニタ等の画像表示装置、及びプリンタ等が使用可能である。出力装置313は、例えば、露点特定部303が特定した露点を出力する。
【0025】
従来の露点センサは、気体の温度が低い場合、湿度検出素子の応答速度が、温度検出素子の応答速度よりも遅い傾向にある。そのため、例えば露点温度が上昇した場合には、湿度検出素子の静電容量等の電気特性を検出した時点における温度検出素子の検出温度を露点とすると、実際の露点よりも低い露点温度を、露点として特定してしまう場合がある。これに対し、第1の実施の形態に係る露点センサにおいては、上述したように、湿度検出素子3の熱容量を、実質的にゼロとみなすことが可能であるため、湿度検出素子3の応答速度が速い。そのため、露点を正確に特定することが可能となる。また、湿度検出素子3の静電容量と、湿度と、の関係は、気体の温度に依存して変化し得る。そのため、従来の湿度センサは、静電容量と、湿度と、の関係を、様々な温度条件下において、予め取得しておく必要があった。これに対し、第1の実施の形態に係る露点センサにおいては、湿度検出素子3が一定の温度TCに保たれる。そのため、関係記憶装置401は、一定の温度TCにおける、静電容量と、湿度と、の関係を保存すればよい。
【0026】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る露点計は、図1に示した電流計25の代わりに、図4に示すように、電圧計26を備えている。電圧計26の入力端子は、オペアンプ20の出力端子23に接続されている。また、電圧計26の出力端子は、接地されている。これにより、電圧計26は、オペアンプ20の出力電圧を計測する。オペアンプ20の出力電圧は、オペアンプ20のフィードバック電流に比例する。したがって、第2の実施の形態において、図2に示す気温特定部301は、オペアンプ20の出力電圧に基づいて、図1に示す発熱抵抗素子1に接する気体の温度の値を算出する。この場合、関係記憶装置401は、予め取得された、図4に示す発熱抵抗素子1に接する気体の温度と、電圧計26で計測される電圧と、の関係を保存する。以上説明したように、本開示において、発熱抵抗素子1に供給される電流に基づき、発熱抵抗素子1に接する気体の温度を特定することとは、発熱抵抗素子1に加えられる電圧に基づき、発熱抵抗素子1に接する気体の温度を特定することを包含する。第2の実施の形態に係る露点計のその他の構成要素は、第1の実施の形態に係る露点計と同じであるので、説明は省略する。
【0027】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る露点計は、図5に示すように、npn型のバイポーラトランジスタ40をさらに備える。トランジスタ40は、ベースがオペアンプ20の出力端子23に接続され、コレクタが電源50に接続され、エミッタがブリッジ回路の入力端子に接続されている。これにより、オペアンプ20のフィードバック電流がベース電流として流れると、コレクタからエミッタにコレクタ電流が流れる。そのため、より大きな電流を、発熱抵抗素子1に供給することが可能となる。第3の実施の形態に係る露点計のその他の構成要素は、第2の実施の形態に係る露点計と同じであるので、説明は省略する。
【0028】
(第4の実施の形態)
第1乃至第3の実施の形態では、第1の抵抗素子11と、第3の抵抗素子13と、の接点が、ブリッジ回路の入力端子をなし、発熱抵抗素子1と、第2の抵抗素子12と、の接点が、ブリッジ回路の出力端子をなしている例を説明した。これに対し、図6に示すように、第4の実施の形態に係る露点計においては、第1の抵抗素子11と、第3の抵抗素子13と、の接点が、ブリッジ回路の出力端子をなし、発熱抵抗素子1と、第2の抵抗素子12と、の接点が、ブリッジ回路の入力端子をなしている。
【0029】
この場合、オペアンプ120の非反転入力端子(+)である第1の入力端子121に、発熱抵抗素子1と第1の抵抗素子11の接点が接続される。また、オペアンプ120の反転入力端子(−)である第2の入力端子122に、第2の抵抗素子12と第3の抵抗素子13の接点が接続される。
【0030】
発熱抵抗素子1に接する気体の温度の低下により発熱抵抗素子1の抵抗が低下すると、オペアンプ120の非反転入力端子(+)である第1の入力端子121に接続されている発熱抵抗素子1と第1の抵抗素子11の接点の電圧が上昇する。すると、オペアンプ120の出力端子123からブリッジ回路に供給されるフィードバック電流が増加する。一方、発熱抵抗素子1に接する気体の温度の上昇により発熱抵抗素子1の抵抗が上昇すると、発熱抵抗素子1と第1の抵抗素子11の接点の電圧が下降する。すると、オペアンプ120の出力端子123からブリッジ回路に供給するフィードバック電流が減少する。
【0031】
図6に示す回路においても、発熱抵抗素子1の抵抗の変動に応じて、発熱抵抗素子1にフィードバック電流が供給されるため、発熱抵抗素子1の発熱温度THが一定に保たれる。第4の実施の形態に係る露点計のその他の構成要素は、第1の実施の形態に係る露点計と同じであるので、説明は省略する。
【0032】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施の形態及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、実施の形態に係る露点計において、発熱抵抗素子1及び湿度検出素子3に接する気体の風速が変動すると、発熱抵抗素子1及び湿度検出素子3から気体への放熱量が変動し得る。そのため、実施の形態に係る露点計が配置されるパイプ等に、燒結金属フィルタ等を設けて、発熱抵抗素子1及び湿度検出素子3に接する気体の風速を一定にしてもよい。あるいはマスフローコントローラ等の定流量弁を用いて、発熱抵抗素子1及び湿度検出素子3に接する気体の風速を一定にしてもよい。またあるいは、発熱抵抗素子1及び湿度検出素子3に接する気体の風速を一定にできない場合は、別途、測温素子を設けて気体の温度Taを計測し、湿度検出素子の静電容量の変化の出力と、測温素子で測定した温度Taと、の関係から露点を演算してもよい。この場合、例えば、図2に示す気温特定部301は、測温素子で測定された気温Taを、湿度検出素子に接する気体の温度として特定する。この様に、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。
【符号の説明】
【0033】
1 発熱抵抗素子
2 電流供給装置
3 湿度検出素子
11 第1の抵抗素子
12 第2の抵抗素子
13 第3の抵抗素子
20、120 オペアンプ
21、121 第1の入力端子
22、122 第2の入力端子
23、123 出力端子
25 電流計
26 電圧計
31 基板
32 下部電極
33 吸湿膜
34 上部電極
40 バイポーラトランジスタ
50 電源
300 中央演算処理装置
301 気温特定部
302 湿度特定部
303 露点特定部
312 入力装置
313 出力装置
401 関係記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱抵抗素子と、
前記発熱抵抗素子の発熱温度が一定となるように前記発熱抵抗素子に電流を供給する電流供給装置と、
前記発熱抵抗素子に接することにより、一定温度に保たれる湿度検出素子と、
前記湿度検出素子に接する気体の温度を特定する気温特定部と、
を備える、露点センサ。
【請求項2】
前記気温特定部が、前記発熱抵抗素子に供給される電流に基づき、前記湿度検出素子に接する気体の温度を特定する、請求項1に記載の露点センサ。
【請求項3】
測温素子を更に備え、
前記気温特定部が、前記測温素子で測定された気温を、前記湿度検出素子に接する気体の温度として特定する、請求項1に記載の露点センサ。
【請求項4】
前記湿度検出素子の電気特性と、前記気温特定部で特定された前記気体の温度と、に基づいて、露点を特定する露点特定部を更に備える、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の露点センサ。
【請求項5】
前記電流供給装置が、前記発熱抵抗素子に接する気体の温度の低下により前記発熱抵抗素子の抵抗が低下すると、前記発熱抵抗素子に供給する前記電流を増加させ、前記気体の温度の上昇により前記発熱抵抗素子の抵抗が上昇すると、前記発熱抵抗素子に供給する前記電流を減少させる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の露点センサ。
【請求項6】
前記発熱抵抗素子が、ブリッジ回路の一部をなしている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の露点センサ。
【請求項7】
前記ブリッジ回路が、前記発熱抵抗素子に直列に接続された第1の抵抗素子と、前記発熱抵抗素子及び前記第1の抵抗素子と並列に接続された第2及び第3の抵抗素子と、を備える、請求項6に記載の露点センサ。
【請求項8】
前記電流供給装置が、第1の入力端子、第2の入力端子、及び出力端子を備えるオペアンプを備え、
前記発熱抵抗素子と前記第1の抵抗素子の接点に前記第1の入力端子が接続され、前記第2の抵抗素子と前記第3の抵抗素子の接点に前記第2の入力端子が接続される、請求項7に記載の露点センサ。
【請求項9】
前記湿度検出素子が、静電容量の変化に基づき、湿度を検出する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の露点センサ。
【請求項10】
前記湿度検出素子が、インピーダンスの変化に基づき、湿度を検出する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の露点センサ。
【請求項11】
前記湿度検出素子が、高分子又は酸化アルミニウムからなる吸湿膜を備える、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の露点センサ。
【請求項12】
前記湿度検出素子が、前記発熱抵抗素子によって、応答速度が最も速くなる温度に保たれる、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の露点センサ。
【請求項13】
発熱抵抗素子の発熱温度が一定となるように前記発熱抵抗素子に電流を供給することと、
湿度検出素子を前記発熱抵抗素子に接触させ、前記湿度検出素子を一定温度に保つことと、
前記湿度検出素子に接する気体の温度を特定することと、
を含む、露点の測定方法。
【請求項14】
前記発熱抵抗素子に供給される電流に基づき、前記湿度検出素子に接する気体の温度を特定する、請求項13に記載の露点の測定方法。
【請求項15】
前記湿度検出素子に接する気体の温度を、測温素子を用いて特定する、請求項13に記載の露点の測定方法。
【請求項16】
前記湿度検出素子の電気特性と、前記特定された前記気体の温度と、に基づいて、露点を特定することを更に含む、請求項13乃至15のいずれか1項に記載の露点の測定方法。
【請求項17】
前記発熱抵抗素子に電流を供給することにおいて、前記発熱抵抗素子に接する気体の温度の低下により前記発熱抵抗素子の抵抗が低下した場合に、前記発熱抵抗素子に供給される前記電流が増加させられ、前記気体の温度の上昇により前記発熱抵抗素子の抵抗が上昇した場合に、前記発熱抵抗素子に供給される前記電流が減少させられる、請求項13乃至16のいずれか1項に記載の露点の測定方法。
【請求項18】
前記発熱抵抗素子が、ブリッジ回路の一部をなしている、請求項13乃至17のいずれか1項に記載の露点の測定方法。
【請求項19】
前記ブリッジ回路が、前記発熱抵抗素子に直列に接続された第1の抵抗素子と、前記発熱抵抗素子及び前記第1の抵抗素子と並列に接続された第2及び第3の抵抗素子と、を備える、請求項18に記載の露点の測定方法。
【請求項20】
前記発熱抵抗素子と前記第1の抵抗素子の接点がオペアンプの第1の入力端子に接続され、前記第2の抵抗素子と前記第3の抵抗素子の接点が前記オペアンプの第2の入力端子に接続されている、請求項19に記載の露点の測定方法。
【請求項21】
前記湿度検出素子が、静電容量の変化に基づき、湿度を検出する、請求項13乃至20のいずれか1項に記載の露点の測定方法。
【請求項22】
前記湿度検出素子が、インピーダンスの変化に基づき、湿度を検出する、請求項13乃至20のいずれか1項に記載の露点の測定方法。
【請求項23】
前記湿度検出素子が、高分子又は酸化アルミニウムからなる吸湿膜を備える、請求項13乃至22のいずれか1項に記載の露点の測定方法。
【請求項24】
前記湿度検出素子が、前記発熱抵抗素子によって、応答速度が最も速くなる温度に保たれる、請求項13乃至23のいずれか1項に記載の露点の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−113778(P2013−113778A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262081(P2011−262081)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】