説明

青果物用包装袋及び青果物包装体

【課題】 青果物を内包する青果物用の包装袋において、従来困難であった、青果物がしおれることがなく、包装体内に結露が生じず、使用しやすく、青果物包装体の見栄えがよく、ヒートシールでの製袋が可能であり青果物用包装袋を提供することにある。
【解決手段】 青果物の包装用の包装袋であり、該包装袋は合成樹脂フィルムを含み、該合成樹脂フィルムが2層以上の積層フィルムであり、該包装袋の最外層がポリエチレンテレフタレートであり、最内層がエチレンコンテントが25~47mol%のエチレンビニルアルコール共重合体であり、該エチレンビニルアルコール共重合体は界面活性剤を含む青果物用包装袋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青果物を内包する包装体内において、結露が生じにくく青果物の鮮度保持効果に優れた青果物用包装袋及び青果物包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
青果物の劣化で最も顕著なのは、水分ロスによるしおれである。このため、青果物を貯蔵、輸送或いは販売する際には、水蒸気を吹きかけたり、冷蔵庫内を高湿度に維持したり、切り口を水につけたりしてしおれを軽減している。しかし、水蒸気や冷蔵庫では特殊な設備が必要であり、水は輸送中にこぼれるといった問題があった。また、合成樹脂フィルム製の袋で青果物を包装する方法が一般的に用いられているが、この方法では以下のような問題があった。
【0003】
従来の青果物の包装では、防曇加工を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)が多く用いられている。これは、OPPフィルムが安価で透明性やヒートシール性に優れているため使いやすく青果物を包装した際の見栄えが良いといった特徴によるものである。しかし、包装袋内に青果物が密封されていると、青果物は含水率がおよそ80%以上であるため、包装袋内に青果物から出た水分がこもってしまい、防曇加工を施してもフィルム表面や青果物の表面に水滴が付着してしまい、徐々に袋内に水が溜まってしまうという欠点があった。このような状態だと見栄えが悪くて市場、量販店或いは消費者に敬遠されたり、青果物表面がぬめりやすくなるという欠点があった。
【0004】
このため、袋内に水分がこもらないように袋開口部が開いたままのオープンの状態にしたり、直径5mm程度の穴をあけた袋を用いたりして貯蔵、輸送しているが、これらの方法では水分が蒸発して、結露が生じないが青果物がしおれてしまうという問題があった。
また、ポリスチレン、ポリアミドなどの水蒸気透過率の高いフィルムで青果物を包装することで結露をなくすことも検討されているが、青果物がしおれやすいので鮮度保持が難しい、フィルムの強度が低くかったり、或いは吸湿してフィルムの腰が無くなったりするので見栄えが悪くなる、ヒートシール性が悪いので製袋し難いなどの問題点があるためほとんど実用化にいたっていない。
【0005】
特開2001−146291号公報(特許文献1)では、水蒸気透過率が20g/m・24hr(at40℃・90%RH)以上である単層または多層の高分子フィルムを用いた袋状包装体に青果物を入れて密封包装する青果物鮮度保持包装体が開示されている。該高分子フィルムがポリエステル型樹脂フィルム、ポリアミド型樹脂フィルム、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合系樹脂フィルムの少なくともいずれか1種を含む単層または多層の高分子フィルムであり、内容物である青果物自身の呼吸により包装体内の炭酸ガス濃度が大気中に比べて高濃度でかつ包装体内の酸素濃度が大気中に比べて低濃度となり、かつ包装体全体での重量減少が1日あたり1重量%未満であることを特徴とする青果物鮮度保持包装体が開示されている。
しかし、当該公報の内容では、保管中にフィルムが吸湿してシワになり、包装体の見栄えが悪かったり、水蒸気透過率が高すぎて青果物がしおれやすかったり、フィルムの粘性が高いため青果物に貼りつきやすいといった欠点があった。
【0006】
特開2003−284487号公報(特許文献2)では、通気性、水蒸気透過性を有する高分子フィルムに果実類、野菜類、果菜類、または菌茸類の青果物を入れて保存する包装体において、密封した包装体内のエタノール濃度が0.001〜3%であることを特徴とする青果物の鮮度保持包装体が開示されている。特許文献2では高分子フィルムが開孔面積0.06mm2以下の微細孔及び/又はキズを設けられた高分子フィルムであり、包装体に1個以上の微細孔及び/又はキズを有することが好ましいとされている。かつ包装全体の重量減少が0.5〜3%である包装体である。また、通気性及び水蒸気透過性を有する高分子フィルムが、ナイロン単層フィルム、ナイロンとその他素材との多層フィルムである。
【0007】
特許文献2では、青果物の鮮度保持包装体の素材に関する詳細については、実施例を含めナイロンの単層フィルム、ナイロンと他の樹脂との多層フィルムについてのみ記載されている。ナイロンフィルム自身の水蒸気透過性が大きいことは知られており、水蒸気透過性が必要な包装体には用いられるケースもあったが、ナイロンフィルム自身は吸湿しやすいためしわになり易くかつ腰がないため、青果物を内包して店頭で陳列した場合、しわのため包装体の見栄えが悪いこと及びナイロンフィルムの価格が高いため使い捨てになるケースが多い青果物用の包装袋として採用に至らないケースが多い。また、ナイロンフィルム単層だけでは、熱シールがし辛く、袋加工の面でも問題があった。
【0008】
特許4579344号公報(特許文献3)では、複数の透水孔を有する基材シートの内面側に保水剤層を有し、外面側に抗菌剤層を有して成ることを特徴とする野菜・果実類保存用包装シートが開示されている。透水孔として直径2ナノメートル以上3ミリメートル以下が好ましい旨記載され、透水孔の密度は、直径1ミリメートルの透水孔であれば、1乃至25個/cmであることが好ましい旨記載されている(段落番号0008)。また、実施例では、透水孔の孔径約0.8mmの貫通孔を袋体の表面に2〜3個/cmの密度となるよう形成することが開示されている(段落番号0026)。
【0009】
しかし、特許文献3に記載のような孔密度を設けたものは、袋内の青果物が徐々にしおれてくるという問題があった。更に、基材シートの内面側に保水剤層を有し、外面側に抗菌剤層を設けるため価格的に高価になり、透明性が悪くなり、かつこれらの層を設けるため製作の工程も複雑となる。
【0010】
以上ように、これまでは、安価で使い勝手や青果物包装体の見栄えが良く、水蒸気透過率を自在にコントロールできる青果物用の包装袋は存在しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−146291号
【特許文献2】特開2003−284487号
【特許文献3】特許4579344号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
青果物を内包する青果物用の包装袋及び青果物包装体において、従来困難であった、青果物がしおれることがなく、結露が生じず、使用しやすく、しわの発生がなく、かつ見栄えが良い青果物用包装袋及び青果物包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
青果物の包装用の包装袋であり、該包装袋は合成樹脂フィルムを含み、該合成樹脂フィルムが2層以上の積層フィルムであり、該包装袋の最外層がポリエチレンテレフタレートであり、最内層がエチレンコンテントが25~47mol%のエチレンビニルアルコール共重合体であり、該エチレンビニルアルコール共重合体は界面活性剤を含む青果物用包装袋である。
【0014】
更に好ましい形態としては、前記エチレンビニルアルコール共重合体に含まれる界面活性剤の量が0.3〜3.5重量%であり、最内層の表面の水の接触角が0℃より大きく60°以下であり、青果物が、シイタケ、エリンギ、マイタケ、シメジ、オクラ、ナス、ピーマン、パプリカ、バナナ、ブドウである青果物用包装袋である。
また、上記に記載の青果物用包装袋を用いて青果物を包装した青果物包装体である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明者は、上記の課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、特定の合成樹脂フィルムを積層し、界面活性剤を併用する特定の構成にして包装袋を製作することで、従来問題となっていた青果物包装体内の結露を解消できる青果物用包装袋を見出し、本発明を完成させるに至った。また、上記の青果物用包装袋を用い、青果物用包装袋に青果物を内包した青果物包装体を完成させるに至った。
【0016】
本発明の青果物用包装袋に用いられる合成樹脂フィルムは、2層以上の積層フィルムであり、該包装袋の最外層の樹脂はポリエチレンテレフタレートであり、最内層の樹脂はエチレンビニルアルコール共重合体である。最外層がポリエチレンテレフタレート(PET)であるのは、適度な吸水性、透湿性を有しており、透明性が高く、内層として用いるエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)よりも耐熱性が高いためであり、包装体の外観が良くなり、製袋時等でのヒートシールが容易となる。PET層は、寸法安定性が良いことにより印刷しやすく、また透明性が良い。青果物包装時の包装体の見栄えを考慮すると、PETの二軸延伸フィルム(OPET)を用いることが好ましい。また、PETには、その特性を損なわない程度に他の樹脂が混合されていても良い。
【0017】
最内層は、界面活性剤を含むEVOH層の積層フィルムである。最内層をこの構成にすることで、結露が発生しにくく、袋内に水分が溜まることを防止でき、袋内の青果物が水にぬれることを防止できることを見出した。EVOHには、その特性を損なわない程度に他の樹脂が混合されていても良い。
EVOHは、エチレンコンテントが25〜47mol%である。
エチレンコンテントが25mol%未満では、ヒートシールし難くなるので製袋や自動包装し辛い。逆に、47mol%を超えると、結露を防止するのに必要な界面活性剤を多く添加する必要があるためフィルムの透明性が低下したり、界面活性剤がフィルム表面にしみだしすぎて製袋しにくくなったりしてしまう。好ましくは、29〜40mol%であり、さらに好ましくは、29〜35mol%である。
【0018】
最内層表面の水の接触角は0℃より大きく60°以下であることが好ましい。水の接触角が0℃より大きいとは0°を含まない。水の接触角が0℃では界面活性剤が無駄に多く必要であり、フィルムの透明性低下、べたつきの原因となる可能性があり、60°を超えると結露防止が悪くなる可能性がある。水の接触角は、接触角計で測定した(協和界面科学株式会社製 DM−SAを使用、水1.5μLをフィルムに着滴して6秒後の値)。
【0019】
本発明の最内層に用いられる界面活性剤は、食品に接触しても使用が可能なものでEVOHにコート或いは練りこみ可能なものであればどのようなものでも差し支えないが、防曇効果の持続性とべとつき防止の点からEVOHに練りこむ方法が好ましい。
例えば、多価アルコールの脂肪酸エステル類、高級脂肪酸のアミン類、高級脂肪酸のアマイド類、高級脂肪酸のアミンやアマイドのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。界面活性剤は、直接EVOHに添加しても良く、また、他の樹脂(ベース樹脂)と混合したもの(マスターバッチ)を製作し、そのマスターバッチをEVOHと混合しても良い。ベース樹脂は、EVOHとブレンド可能なものであればどのようなものでもよいが、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、EVOHなどが挙げられる。
【0020】
本発明に用いる界面活性剤の量は、EVOH中に0.3〜3.5重量%であることが好ましい。0.3重量%未満では防曇性が不十分である可能性があり、3.5重量%を超えると、フィルム表面がべとつきやすく、透明性が損なわれる可能性がある。好ましくは0.4〜2.5重量%、より好ましくは、0.5〜2.2重量%である。
【0021】
フィルムの積層方法は、どのような方法でも差し支えないが、例えば、押出ラミネート、ドライラミネート、ウエットラミネート、コートなどの方法が挙げられる。また、PET層とEVOH層間に接着層を有しても差し支えない。
【0022】
本発明の青果物包装用袋に用いる合成樹脂フィルムは、酸素透過速度が1,000〜500,000cc/m・日・atmであることが好ましい。青果物は、収穫後も呼吸し続けており、呼吸するほど劣化してしまう特性がある。青果物の呼吸は、大気中よりも程よい低酸素濃度、高任酸化炭素環境下で抑制されるので、鮮度保持が可能となる。
【0023】
酸素透過速度の測定方法は、密閉可能な容器に穴をあけて、この部分にフィルムを張り付け、容器内を窒素置換して23℃で保管して、この容器内の酸素濃度変化をガスクロマトグラフィーで測定し、時間あたりの酸素容器への流入量(g)を求め、これをフィルム1m、1日あたりの値に換算した。なお、酸素濃度は経過時間と反比例の関係を有する範囲の数値を使用する。
【0024】
本発明の青果物包装用袋には、合成樹脂フィルムの酸素透過速度をコントロールするために、孔1個の開口面積が3.0×10−4〜7.5×10−2mmの微細孔を1個以上設けてもよい。また、同じ目的で長さ0.1〜5mm以下の切れ込み、フィルム表面に傷を設けてもよい。
【0025】
本発明の合成樹脂フィルムの厚みは、10〜80μmであることが好ましい。フィルムの厚みが10μm未満ではフィルムが破れやすく、80μmを超えると価格が高くなるだけでメリットが得られない。さらに好ましくは、20〜40μmである。また、PET層の厚みが6μm以上28μm以下であることが好ましい。PET層の厚みをこの範囲内にすることで、包装袋に腰を持たせることができる。
【0026】
本発明の包装袋で包装される青果物としては、特に限定されず、例えば、ブロッコリー、ホウレンソウ、コマツナ、ナバナ、シュンギク、チンゲンサイ、レタス、アスパラガスなど葉茎菜類、
ピーマン、パプリカ、ニガウリ、エダマメ、スイートコーン、キュウリ、オクラ、ナス、トマト、ミニトマト、アオウメ、イチゴなど果菜類、
バナナ、ブドウ、和梨、西洋梨、イチジク、ビワ、リンゴなど果実類、
ナガイモ、ゴボウなどの根菜類、
シイタケ、シメジ、エリンギ、マイタケ、マツタケなど菌茸類、
或いは菊、ユリなどの切り花である。これらのうち、包装袋内の結露が目立ちやすい、オクラ、ナス、ピーマン、パプリカ、ニガウリ、トマト、ミニトマト、シイタケ、エリンギ、シメジ、マイタケ、マツタケ、バナナ、ブドウ、和梨、西洋梨、イチジク、ビワ、切り花などに使用されることが好ましく、更にオクラ、ナス、ピーマン、パプリカ、バナナ、ブドウ、シイタケ、エリンギ、マイタケ、シメジに用いられることがより好ましい。キノコ類に用いるのが最適である。
【0027】
本発明の青果物用包装体は、0℃以上、35℃以下で用いるのが良い。0℃未満では、青果物が凍結する恐れがあり、冷蔵庫の温度の振れ幅を考慮すると、2℃以上が好ましい。35℃を超えると青果物の劣化が著しく進みやすくなる。好ましくは、30℃以下である。より好ましくは5℃以上、25℃以下である。
【0028】
本発明の包装袋は、コンシューマー包装(個包装)でもバルク包装(集合包装)のどちらでも使用可能であるが、結露防止の効能は店頭でのメリットが大きいことを考慮すすると、コンシューマー包装用として用いることが好ましい。
【実施例】
【0029】
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
<実施例1>
厚み9μmのOPETフィルムと厚み30μmの界面活性剤(ジグリセリンラウレート)を1重量%添加したエチレンコンテント29mol%のEVOHフィルムをドライラミネートで積層した。
このフィルムで内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表1に示す。
【0030】
<実施例2>
厚み12μmのOPETフィルムと厚み30μmの界面活性剤(ジグリセリンラウレート)を1重量%添加したエチレンコンテント29mol%のEVOHフィルムをドライラミネートで積層した。
このフィルムで内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表1に示す。
<実施例3>
厚み9μmのOPETフィルムと厚み30μmの界面活性剤(ジグリセリンラウレート)を2重量%添加したエチレンコンテント29mol%のEVOHフィルムをドライラミネートで積層した。
このフィルムで内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表1に示す。
<実施例4>
厚み9μmのOPETフィルムと厚み30μmの界面活性剤(ジグリセリンラウレート)を1重量%添加したエチレンコンテント38mol%のEVOHフィルムをドライラミネートで積層した。
このフィルムで内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表1に示す。
【0031】
<実施例5>
厚み12μmのOPETフィルムに総厚22μmとなるように界面活性剤(ジグリセリンラウレート)を1重量%添加したエチレンコンテント29mol%のEVOH樹脂を押し出しラミネートで積層した。
このフィルムで内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表1に示す。
<実施例6>
厚み25μmのOPETフィルムに総厚35μmとなるように界面活性剤(ジグリセリンラウレート)を2.5重量%添加したエチレンコンテント44mol%のEVOH樹脂を押し出しラミネートで積層した。
このフィルムで内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表1に示す。
<実施例7>
界面活性剤がテトラグリセリンステアレートである以外は、実施例1と同様に内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表1に示す。
【0032】
<実施例8>
界面活性剤がテトラグリセリンステアレートとポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテルの50:50の混合物で添加量が1.5重量%である以外は実施例1と同様に内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表1に示す。
<実施例9>
厚み12μmのOPETフィルムに厚み20μmの界面活性剤としてテトラグリセリンステアレートとポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテルの50:50の混合物が12重量%となるように低密度ポリエチレンベースのマスターバッチを製作し、このマスターバッチ(12重量部)とエチレンコンテントが29mol%のEVOH(100重量部)を混合して製作したフィルムをドライラミネートで積層した。この時の界面活性剤の添加量は1.29%である。
このフィルムで内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表1に示す。
<実施例10>
EVOHのエチレンコンテントが32mol%である以外は、実施例1と同様に内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表1に示す。
【0033】
<実施例11>
シイタケの替わりにエリンギ100gを包装した以外は実施例1と同様にエリンギ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表1に示す。
<実施例12>
シイタケの替わりにマイタケ100gを包装した以外は実施例1と同様にマイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表1に示す。
<実施例13>
袋サイズが160×200mmであり、シイタケの替わりにオクラ100gを包装した以外は実施例1と同様にオクラ包装体を15℃で5日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表1に示す。
<実施例14>
袋サイズが200×330mmであり、シイタケの替わりにバナナ580gを包装した以外は実施例1と同様にバナナ包装体を23℃で4日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表1に示す。
【0034】
<比較例1>
界面活性剤(ジグリセリンラウレート)を1重量%添加した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)で内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表2に示す。
<比較例2>
界面活性剤を添加していない点以外は実施例1と同様に内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表2に示す。
<比較例3>
厚み15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムと酢酸ビニル含有量が15重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を押し出しラミネートして総厚35μmのフィルムを製造した。
このフィルムで内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表2に示す。
【0035】
<比較例4>
厚み25μmのOPETフィルムで内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表2に示す。
<比較例5>
界面活性剤(ジグリセリンラウレート)の添加量が0.3重量%である以外は実施例1と同様に内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表2に示す。
<比較例6>
界面活性剤(ジグリセリンラウレート)の添加量が4重量%である以外は実施例1と同様に内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表2に示す。
【0036】
<比較例7>
厚み12μmのOPETフィルムと厚み30μmの界面活性剤(ジグリセリンラウレート)を1重量%添加した酢酸ビニル含有量が20重量%であるエチレン酢酸ビニル共重合体フィルムをドライラミネートで積層した。
このフィルムで内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表2に示す。
<比較例8>
OPETの替わりに厚み25μmのOPPフィルムを用いた以外は実施例1と同様に内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表2に示す。
<比較例9>
厚み30μmの界面活性剤(ジグリセリンラウレート)を1重量%添加したエチレンコンテント29mol%のEVOHフィルムで内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表2に示す。
<比較例10>
厚み9μmのOPETフィルムと厚み30μmの界面活性剤(ジグリセリンラウレート)を1重量%添加したエチレンコンテント49mol%のEVOHフィルムをドライラミネートで積層した。
このフィルムで内寸180×230mmの袋を作成して、シイタケ100gを入れてヒートシールで開口部を密封した。このシイタケ包装体を10℃で6日間保管した。このときの袋内の結露等の評価結果を表1に示す。
【0037】
【表1】

表中の評価結果は次のとおりである。
○:良い、□:少し悪い、△:悪い、×:著しく悪い、
□までの評価結果が使用できる範囲
【0038】
【表2】

表中の評価結果は次のとおりである。
○:良い、□:少し悪い、△:悪い、×:著しく悪い、
□までの評価結果が使用できる範囲
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の青果物用包装袋は、青果物を収穫後、青果物を保存したり、消費地に輸送したり、店頭で販売したりする際の青果物の鮮度保持に効果があり、当該青果物用包装袋を用いることにより鮮度の良い青果物を消費地に提供できると同時に結露を生じずに見栄え良く維持することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青果物の包装用の包装袋であり、該包装袋は合成樹脂フィルムを含み、該合成樹脂フィルムが2層以上の積層フィルムであり、該包装袋の最外層がポリエチレンテレフタレートであり、最内層がエチレンコンテントが25~47mol%のエチレンビニルアルコール共重合体であり、該エチレンビニルアルコール共重合体は界面活性剤を含むことを特徴とする青果物用包装袋。
【請求項2】
前記エチレンビニルアルコール共重合体に含まれる界面活性剤の量が0.3〜3.5重量%である請求項1記載の青果物用包装袋。
【請求項3】
前記最内層の表面の水の接触角が0°より大きく60°以下である請求項1又は2に記載の青果物用包装袋。
【請求項4】
青果物が、シイタケ、エリンギ、マイタケ、シメジ、オクラ、ナス、ピーマン、パプリカ、バナナ、ブドウである請求項1、2又は3に記載の青果物用包装袋。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の青果物用包装袋を用いて青果物を包装したことを特徴とする青果物包装体。

【公開番号】特開2013−112385(P2013−112385A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261501(P2011−261501)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】