説明

静電荷像現像用キヤリアーおよび現像剤

【構成】 塩化ビニリデン及び該塩化ビニリデンと共重合可能な不飽和二重結合を有する少なくとも一種の単量体との共重合体を含有する樹脂系により、芯材の少なくとも一部を被覆してなる静電荷像現像用キャリアーであって、前記共重合体が、(a)塩化ビニリデン70〜30モル%、(b)アクリロニトリル及び/又はアクリルニトリル誘導体20〜60モル%、及び(c)これらと共重合可能な不飽和二重結合を有する単量体0〜40モル%からなる共重合体であることを特徴とする静電荷像現像用キャリアー。
【効果】 耐久性が良く帯電安定性に優れるため、画像濃度が高く、カブリの少ない鮮明な画像が得られる。又、トナーの転写効率が高く、保存安定性にも優れる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真複写機に使用する静電荷像現像用キャリアーおよびそれを用いた現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から正帯電性トナーと負帯電性樹脂被覆キャリアから成る二成分現像剤において、キャリアを被覆する樹脂としては、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとの共重合体や、フルオロアルキルメタクリレート共重合体などのフッ素樹脂系のもの、又はシリコーン樹脂系のものが提案されている(例えば特開昭61−217068号、特開昭62−24268号、特開平2−96770号公報等参照)。また、特開昭53−92134号公報には、塩素化又は臭素化ビニル系共重合体でキャリア表面を被覆することが提案され、該共重合体のモノマーとして塩化ビニリデンも例示されている。しかし、具体的に開示、使用されている技術は、塩化ビニルを用いた共重合体を被覆したキャリアのみである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来公知の樹脂被覆キャリアは、それぞれに一長一短があり、例えばフッ素樹脂系のものは帯電性は良好であるものの帯電安定性や芯材との接着性等に欠点を有するものがあり、又、シリコン樹脂系のものは芯材との接着性が悪く、次第に剥離する欠点があることが知られており、従って複写画像も安定せず次第に白地汚れ(以下カブリと称す)が強くなる等、いずれも耐久性に欠ける欠点を有している。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の如き従来技術の問題点を解決すべく研究を重ねた結果、塩化ビニリデンとアクリロニトリル及び/又はアクリロニトリル誘導体を特定比で共重合してなる共重合体、又は、これらに更に他の単量体を特定比で共重合してなる共重合体を含有する樹脂系で表面を被覆したキャリアーが、上記欠点を改良する優れた特性を発揮し、また、この被覆キャリアーによれば、極めてカブリの少ない、鮮明な複写画像が得られ、更に複写時のトナーの転写効率を極めて高くする性能があること、及び保存安定性が良好で、耐久性があることを見出し、本発明に到達した。
【0005】すなわち、本発明は塩化ビニリデン及び該塩化ビニリデンと共重合可能な不飽和二重結合を有する少なくとも一種の単量体との共重合体により、芯材の少なくとも一部を被覆してなる静電荷像現像用キャリアーであって、前記共重合体が、(a)塩化ビニリデン70〜30モル%、(b)アクリロニトリル及び/又はアクリルニトリル誘導体20〜60モル%、及び(c)これらと共重合可能な不飽和二重結合を有する単量体0〜40モル%からなる共重合体である静電荷像現像用キャリアー、及び該キャリアーと正帯電性トナーからなる静電荷像現像剤によって容易に達成される。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明のキャリアーは、(a)塩化ビニリデンと(b)アクリロニトリル及び/又はアクリロニトリル誘導体からなる二元共重合体又は、(a)、(b)及び(c)これらと共重合可能な不飽和二重結合を有する単量体からなる多元共重合体を含有する樹脂系により被覆してなることを特徴とする。該共重合体における(a)塩化ビニリデン、(b)アクリロニトリル及び/又はアクリロニトリル誘導体、及び(c)これらと共重合可能な不飽和二重結合を有する単量体の単量体比率は、それぞれ(a)70〜30モル%、(b)20〜60モル%、(c)0〜40モル%が良く、好ましくはそれぞれ(a)60〜30モル%、(b)20〜50モル%、(c)0〜30モル%であることが良い。又、二元共重合体の場合は、それぞれ(a)60〜40モル%、(b)40〜60モル%であることが好ましい。塩化ビニリデンが多すぎる場合は塩化ビニリデンホモポリマーの性質に近くなり、熱的に不安定で、かつ大多数の溶媒に溶解しないので使用が困難であり、仮に用いてもキャリアの流動性が悪くなり複写画像に悪影響を及ぼす傾向にあるので好ましくない。また、高温下などにおける保存安定性が悪い。一方、塩化ビニリデンが少なすぎる場合にはトナーの帯電性が不十分となり、多数枚連続コピーなどの耐久実写後の複写画像に悪影響を及ぼす傾向があるので好ましくない。(c)単量体の量が多すぎる場合には帯電安定性が悪くなり複写画像に悪影響を及ぼすので好ましくない。
【0007】本発明におけるアクリロニトリル誘導体としては典型的にはメタアクリロニトリルを挙げることができ、即ち、(b)アクリロニトリル及び/又はアクリロニトリル誘導体としては、アクリロニトリルの単独、メタアクリロニトリルの単独、又は、アクリロニトリルとメタアクリロニトリルの任意の比率での混合物を使用することができる。
【0008】本発明における(c)その他の塩化ビニリデンと共重合可能な単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、クロルメチルスチレンなどのスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−クロロエチル、α−フルオロアクリル酸メチル、α−フルオロアクリル酸エチル、α−クロロアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸アミル、メタアクリル酸ヘキシル、メタアクリル酸オクチル、メタアクリル酸−2−クロロエチルなどのα置換もしくは非置換のアルキル(メタ)アクリレート類;エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルアセテート、ビニルクロルアセテート、ビニルブチレート、ビニルピバレート、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、ブチルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどのビニルケトン類;エチレン、プロピレン、イソブテン、ブタジエン、イソプレンなどのオレフィン類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、などの含窒素化合物類などが挙げられる。これらの単量体は、単独又は二種以上の混合物として使用することができる。
【0009】尚、本発明の塩化ビニリデンとアクリロニトリル及び/又はアクリロニトリル誘導体からなる共重合体に含まれる市販の樹脂としては、ダウケミカル社のSaran Resin F−310、旭化成社のサランレジンR−202及びR−241B等が挙げられる。本発明で使用する共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーによる測定方法(ポリスチレン換算)で、通常6×104〜60×104が良く、より好ましくは20×104〜40×104である。重量平均分子量が低すぎると被覆キャリアの流動性が悪くなるので好ましくない。また、分子量が高すぎても性能上は問題ないが、溶媒への溶解性が悪くなるので被覆処理が煩雑になり好ましくない。
【0010】共重合体の製造方法としては、通常のラジカル重合法が採用され、バルク重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合などが行われる。キャリアー芯材の被覆剤としては、上記の共重合体に他の樹脂などをブレンドした組成物の形態で使用することも出来る。より具体的には、例えば、フッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体などのフッ素樹脂とのブレンド、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂などのその他の樹脂とのブレンド、シリカ粉末、電荷制御剤、界面活性剤、潤滑剤などとのブレンドなどが例示される。これらのブレンド材の使用量は、共重合体の50%以下とすることが好ましい。共重合体の脱塩化水素防止のためには、通常塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの安定化に使用されている安定剤が使用可能である。この様な安定化剤としては、例えば、金属石鹸、エポキシ化合物、亜りん酸エステル、ポリオールなどが例示される。
【0011】又、本発明のキャリアーの応用として、キャリアーの被覆樹脂層を多層として、塩化ビニリデン系の共重合体を含む樹脂層と、他の樹脂層を設けることができる。キャリアー芯材に対する被膜形成は、常法とほぼ同様にして行われる。例えば、本発明に用いる共重合体または該共重合体とブレンド材とを含む混合物を有機溶剤に溶解若しくは分散させて、固形分濃度0.1〜30重量%、より好ましくは1〜5重量%の被覆液を調製し、浸漬法、ドライスプレー法、フローコーターを使用する流動スプレー法などにより、芯材に被覆し、乾燥させる。必要ならば、被膜形成後、100℃までの温度で熱処理しても良い。
【0012】有機溶剤としては、該共重合体を溶解することができるものならば使用可能である。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸セロソルブ、酢酸n−ブチルなどの酢酸エステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;テトラクロルエチレン、トリクロロエチレン、メチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素類などが例示される。これらの溶剤は単独で、若しくは2種類以上を混合して使用することができる。又、これらの溶剤の沸点は50〜150℃程度のものであれば使用できるが、溶解処理及び被覆後の乾燥処理等の観点から、60〜120℃程度のものがより好ましい。
【0013】本発明で使用するキャリアーの芯材としては、公知のものが全て使用可能であり、特に限定されない。具体的には、フェライト、マグネタイトをはじめとして、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性を示す金属;これらの金属を含む合金または化合物;強磁性金属を含まないが、熱処理により強磁性を示すようになる合金、例えば、Mn−Cu−Al、Mn−Cu−Snなどのいわゆるホィスラー合金:CrO2 などの金属酸化物などが好適なものとして例示される。この様なキャリアーの粒径は、通常20〜500μm程度、より好ましくは30〜200μm程度である。
【0014】キャリアーの被膜層の厚さは、乾燥状態で、0.05〜5μm程度とすることが好ましく、0.3〜3μm程度とすることがより好ましい。0.05μm未満の場合には、耐久性が十分でなく、また帯電安定性も悪くなるため好ましくない。被膜層の厚さが5μmを越えても、性能的には実質的に問題はないが、性能的にほぼ最高値に達しており、該共重合体を大量に消費するので経済的でない。
【0015】本発明のキャリアーは、公知のトナー特に正帯電性トナーと組合わせて静電荷像現像剤として使用される。この様なトナーは、バインダー樹脂中に着色剤を分散させて得られる。バインダー樹脂としては、例えば、スチレン、バラクロロスチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸2−エチルヘキシルなどのα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのビニルニトリル類;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどのビニルピリジン類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルメトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエンなどの不飽和炭化水素およびそのハロゲン化物;クロロプレンなどのハロゲン系不飽和炭化水素類などの単量体からなる単独重合体、これらの2種以上からなる共重合体、これら単独重合体および共重合体の2種以上の混合物が挙げられる。或いは、さらにロジン変性フェノールホルマリン樹脂、油変性エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂などの非ビニル樹脂、これらの非ビニル樹脂と上記ビニル系樹脂との混合物なども挙げられる。
【0016】また、トナーにおいて使用する着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシン、アニリンブルー、カルコオイルブルー、クロームイエロー、ウルトラマリンブルー、メチレンブルー、ローズベンガル、フタロシアニンブルーなどが例示される。上記のトナーは、必要に応じ、さらにワックス類、シリカ、ステアリン酸亜鉛などの添加剤を含有または、混合して使用することができる。本発明のキャリアーとこの様なトナーとは、通常前者100重量部に対し、後者0.3〜20重量部程度の割合で混合され、磁気ブラシ法、カスケード法などの静電画像の現像に使用される。
【0017】
【発明の効果】本発明で使用する共重合体またはこれらを含む組成物からなるキャリアー被覆層は、膜強度に優れ、芯材への密着性も良好なので、耐久性に優れているのみならず、帯電性の立上がりが速く且つ高い帯電性をキャリアーに与える。よって、帯電安定性が優れているため、画像濃度が高く、極めてカブリの少ない鮮明な複写画像が得られる。又、複写時のトナーの転写効率を高くする。更に、保存安定性が良好で、耐久性に優れる。
【0018】
【実施例】以下、実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」は「重量部」を表わす。
実施例1塩化ビニリデン54モル%、アクリロニトリル46モル%から成る共重合体を製造し、トーソー社製、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーHLC−8020を用いテトラヒドロフランを溶媒としポリマーラボラトリーズ社(英国)製カラムPL10μmMix(0.75φ×30cm)2本でポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量を測定した。数平均分子量は6.5×104、重量平均分子量は32.8×104であった(以下、同様に分子量を測定した。)。該共重合体をテトラヒドロフランとメチルエチルケトンの等量混合溶媒に溶解させ、固形分濃度1.8%の被覆液を調製した後、流動スプレー法により平均粒径100μmの球状フェライトをキャリアー芯材として、乾燥膜厚が2μmになるように塗布し、樹脂被覆キャリアーを得た。
【0019】一方、スチレンとn−ブチルアクリレートとの共重合樹脂100部、カーボンブラック5部、低分子量ポリプロピレン2部、四級アンモニウム塩系帯電制御剤(オリエント化学社製、商品名P−51)2部の混練粉砕物から成る平均粒径10μmのトナー100部に対し疎水性シリカ微粉末(デグサ社製、商品名R−972)0.1部を添加してヘンシェルミキサーで混合してシリカ外添トナーを得た。該シリカ外添トナー4部と前記樹脂被覆キャリアー100部とを混合し現像剤を調製した。続いて有機光導電体を搭載した市販の複写機(シャープSF8800)を用いて、実写耐久試験をし、画像濃度の測定と、カブリの判定及びトナー転写率の測定による評価をしたところ、終始安定した鮮明な、カブリの少ない画像が得られた。またトナー転写効率も良好であった。又、現像剤50gを硝子瓶に入れ40℃下に48時間さらして保存安定性試験を行ったが、変化がなく保存安定性も良好であった。以下、各実施例について表−1にまとめて評価結果を示す。
【0020】実施例2塩化ビニリデン50モル%、アクリロニトリル50モル%からなる2元共重合体(数平均分子量7.0×104、重量平均分子量34.1×104)をテトラヒドロフラン/メチルエチルケトン=1/1(Vol)の混合溶媒に溶解させ、実施例1と同様に処理して、乾燥膜厚0.7μmの樹脂被覆キャリアーを製造し、続いて実施例1と同様にして評価をしたところ、終始安定した鮮明な、カブリの少ない画像が得られた。またトナー転写効率も良好であった。又、保存安定性も良かった。
【0021】実施例3塩化ビニリデン45モル%、アクリロニトリル55モル%からなる2元共重合体(数平均分子量8.1×104、重量平均分子量38.9×104)をテトラヒドロフラン/メチルエチルケトン=1/1(Vol)の混合溶媒に溶解させ、実施例1と同様に処理して、乾燥膜厚0.6μmの樹脂被覆キャリアーを製造し、続いて実施例1と同様にして評価をしたところ、終始安定した鮮明な、カブリの少ない画像が得られた。またトナー転写効率も良好であった。又、保存安定性も良かった。
【0022】実施例4塩化ビニリデン50モル%、アクリロニトリル50モル%からなる2元共重合体(数平均分子量3.9×104、重量平均分子量18.8×104)をメチルエチルケトン/トルエン=65/35(Vol)の混合溶媒に溶解させ、実施例1と同様に処理して、乾燥膜厚0.5μmの樹脂被覆キャリアーを製造し、続いて実施例1と同様にして評価をしたところ、終始安定した鮮明な、カブリの少ない画像が得られた。またトナー転写効率も良好であった。又、保存安定性も良かった。
【0023】実施例5塩化ビニリデン60モル%、メタアクリロニトリル40モル%からなる2元共重合体(数平均分子量5.3×104、重量平均分子量24.7×104)をメチルエチルケトン/トルエン=65/35(Vol)の混合溶媒に溶解させ、実施例1と同様に処理して、乾燥膜厚0.7μmの樹脂被覆キャリアーを製造し、続いて実施例1と同様にして評価をしたところ、終始安定した鮮明な、カブリの少ない画像が得られた。またトナー転写効率も良好であった。又、保存安定性も良かった。
【0024】実施例6塩化ビニリデン50モル%、及びアクリロニトリル25モル%とメタアクリロニトリル25モル%の混合物からなる2元共重合体(数平均分子量4.8×104、重量平均分子量23.5×104)をメチルエチルケトン/トルエン=65/35(Vol)の混合溶媒に溶解させ、実施例1と同様に処理して、乾燥膜厚0.5μmの樹脂被覆キャリアーを製造し、続いて実施例1と同様にして評価をしたところ、終始安定した鮮明な、カブリの少ない画像が得られた。またトナー転写効率も良好であった。又、保存安定性も良かった。
【0025】実施例7実施例1の共重合体1部とポリアクリロニトリル樹脂(数平均分子量2.3×104、重量平均分子量8.62×104)1部の混合物を、ジメチルフォルムアミド/THF=2/1(Vol.)の混合溶媒に溶解させ、実施例1と同様に処理して、乾燥膜厚2μmの樹脂被覆キャリアーを製造し、続いて実施例1と同様にして評価したところ、終始安定した鮮明な、カブリの少ない画像が得られた。またトナー転写効率も良好であった。又、保存安定性も良かった。
【0026】実施例8塩化ビニリデン55モル%、及びアクリロニトリル20モル%、メタクリル酸メチル25モル%からなる共重合体(数平均分子量4.6×104、重量平均分子量38.2×104)をテトラヒドロフラン/メチルエチルケトン=1/1(Vol)の混合溶媒に溶解させ、実施例1と同様に処理して、乾燥膜厚0.3μmの樹脂被覆キャリアーを製造し、続いて実施例1と同様にして評価をしたところ、終始安定した鮮明な、カブリの少ない画像が得られた。またトナー転写効率も良好であった。又、保存安定性も良かった。
【0027】実施例9塩化ビニリデン60モル%、メタクリロニトリル25モル%、アクリル酸n−ブチル15モル%から成る共重合体(数平均分子量4.1×104 、重量平均分子量28.7×104 )を実施例1と同様に処理して、乾燥膜厚2μmの樹脂被覆キャリアーを製造し、続いて実施例1と同様にして評価をしたところ、終始安定した鮮明な、カブリの少ない画像が得られた。またトナー転写効率も良好であった。又、保存安定性も良かった。
【0028】実施例10塩化ビニリデン46モル%、アクリロニトリル28モル%、メタクリル酸メチル26モル%から成る共重合体(数平均分子量4.5×104 、重量平均分子量38.3×104 )をテトラヒドロフランとトルエンの等量混合溶媒に溶解させ実施例1と同様に処理して乾燥膜厚1μmの樹脂被覆キャリアーを製造し、続いて、実施例1と同様にして評価をしたところ、終始安定した鮮明な、カブリの少ない画像が得られた。またトナー転写効率も良好であった。又、保存安定性も良かった。
【0029】実施例11塩化ビニリデン46モル%、アクリロニトリル25モル%、メタクリル酸メチル29モル%、アクリル酸1モル%から成る共重合体(数平均分子量3.7×104 、重量平均分子量26.5×104 )を実施例1と同様に処理して、乾燥膜厚1μmの樹脂被覆キャリアーを製造し、続いて実施例1と同様にして評価をしたところ、終始安定した鮮明な、カブリの少ない画像が得られた。またトナー転写効率も良好であった。又、保存安定性も良かった。
【0030】実施例12塩化ビニリデン33モル%、アクリロニトリル34モル%、アクリル酸メチル33モル%から成る共重合体(数平均分子量4.7×104 、重量平均分子量35.4×104 )をテトラヒドロフラン/メチルエチルケトン=1/1(Vol)の混合溶媒に溶解させ、実施例1と同様に処理して、乾燥膜厚0.7μmの樹脂被覆キャリアーを製造し、続いて実施例1と同様にして評価をしたところ、終始安定した鮮明な、カブリの少ない画像が得られた。またトナー転写効率も良好であった。又、保存安定性も良かった。
【0031】実施例13塩化ビニリデン35モル%、メタクリロニトリル36モル%、アクリル酸プロピル29モル%から成る共重合体(数平均分子量4.3×104 、重量平均分子量32.6×104 )をテトラヒドロフラン/メチルエチルケトン=1/1(Vol)の混合溶媒に溶解させ、実施例1と同様に処理して、乾燥膜厚0.8μmの樹脂被覆キャリアーを製造し、続いて実施例1と同様にして評価をしたところ、終始安定した鮮明な、カブリの少ない画像が得られた。またトナー転写効率も良好であった。又、保存安定性も良かった。
【0032】実施例14塩化ビニリデン45モル%、メタクリロニトリル30モル%、アクリル酸オクチル25モル%から成る共重合体(数平均分子量4.2×104 、重量平均分子量30.9×104 )をメチルエチルケトン/トルエン=65/35(Vol)の混合溶媒に溶解させ、実施例1と同様に処理して、乾燥膜厚0.5μmの樹脂被覆キャリアーを製造し、続いて実施例1と同様にして評価をしたところ、終始安定した鮮明な、カブリの少ない画像が得られた。またトナー転写効率も良好であった。又、保存安定性も良かった。
【0033】実施例15塩化ビニリデン40モル%、メタクリロニトリル35モル%、メタクリル酸ブチル25モル%から成る共重合体(数平均分子量3.4×104 、重量平均分子量25.8×104 )をメチルエチルケトン/トルエン=65/35(Vol)の混合溶媒に溶解させ、実施例1と同様に処理して、乾燥膜厚0.5μmの樹脂被覆キャリアーを製造し、続いて実施例1と同様にして評価をしたところ、終始安定した鮮明な、カブリの少ない画像が得られた。またトナー転写効率も良好であった。又、保存安定性も良かった。
【0034】比較例1樹脂を被覆していない球状フェライトをキャリアーとして用い、実施例1と同様にシリカ外添トナーとで現像剤を調製し、実施例1と同様にして評価したところ、複写を重ねるにつれて画像濃度が低下した。その上、初期からカブリが極めて多く、汚れた画像であった。また、トナーの転写効率が悪く、多量の未転写トナーが回収された。
【0035】比較例2市販のシリコン樹脂被覆キャリア(芯剤はフェライト)を用いた他は実施例1と同様にして評価をしたところ、画像濃度はほぼ良好であったが、カブリがややあり、若干汚れた画像となった。また、未転写トナーの回収量が若干多く、トナーの転写効率がやや悪かった。
【0036】比較例3市販のフッ化ビニリデン樹脂被覆キャリア(芯剤はフェライト)を用いた他は実施例1と同様にして評価をしたところ、カブリ及びトナーの転写効率は比較的良好であったが、画像濃度が低く劣っていた。
【0037】比較例4塩化ビニリデン77モル%、アクリロニトリル23モル%からなる2元共重合体(数平均分子量3.4×104、重量平均分子量16.6×104)をテトラヒドロフラン/メチルエチルケトン=1/1(Vol)の混合溶媒に溶解させ、実施例1と同様に処理して、乾燥膜厚2μmの樹脂被覆キャリアーを製造し、続いて実施例1と同様にして評価をしたところ、終始安定した鮮明な、カブリの少ない画像が得られた。またトナー転写効率も良好であった。しかしながら、現像剤の40℃48時間の保存安定性が悪かった。
【0038】比較例5塩化ビニリデン30モル%、アクリロニトリル70モル%からなる2元共重合体(数平均分子量5.1×104、重量平均分子量25.6×104)をテトラヒドロフラン/メチルエチルケトン=1/1(Vol)の混合溶媒に溶解させ、実施例1と同様に処理して、乾燥膜厚1.0μmの樹脂被覆キャリアーを製造し、続いて実施例1と同様にして評価をしたところ、初期画像及び保存安定性は良好であったが,1万枚の耐久実写後の濃度が若干低く、カブリも若干生じた。
【0039】比較例6塩化ビニリデン25モル%、アクリロニトリル75モル%からなる2元共重合体(数平均分子量6.6×104、重量平均分子量30.3×104)をテトラヒドロフラン/メチルエチルケトン=1/1(Vol)の混合溶媒に溶解させ、実施例1と同様に処理して、乾燥膜厚0.5μmの樹脂被覆キャリアーを製造し、続いて実施例1と同様にして評価をしたところ、初期画像及び保存安定性は良好であったが,1万枚の耐久実写後の濃度が若干低く、カブリも若干生じた。
【0040】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】 塩化ビニリデン及び該塩化ビニリデンと共重合可能な不飽和二重結合を有する少なくとも一種の単量体との共重合体を含有する樹脂系により、芯材の少なくとも一部を被覆してなる静電荷像現像用キャリアーであって、前記共重合体が、(a)塩化ビニリデン70〜30モル%、(b)アクリロニトリル及び/又はアクリルニトリル誘導体20〜60モル%、及び(c)これらと共重合可能な不飽和二重結合を有する単量体0〜40モル%からなる共重合体であることを特徴とする静電荷像現像用キャリアー。
【請求項2】 前記共重合体において、(c)共重合可能な不飽和結合を有する単量体が、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルであることを特徴とする請求項1記載の静電荷像現像用キャリアー。
【請求項3】 請求項1記載のキャリアーと正帯電性トナーからなることを特徴とする静電荷像現像剤。

【公開番号】特開平5−127430
【公開日】平成5年(1993)5月25日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−114886
【出願日】平成4年(1992)5月7日
【出願人】(000005968)三菱化成株式会社 (4,356)