説明

非接触式温度検出装置

【課題】半導体や液晶パネル製造装置等において薬液、純水やこれらの混合液等の液体を応答性よく検出するようにした非接触式温度検出装置の提供。
【解決手段】両配管P8、P9の間に接続した非接触式温度検出装置S1の基体200において、四角柱部210は連通路210a及び凹所210bを有し、凹所210bは四角柱部210の上側端面213から連通路210aの軸方向中央部に向け凹状に形成され、凹所210bの底壁部212bは、連通路210aの周壁の壁部を構成し、薄く形成されている。凹所210bを閉じるように四角柱部210に組み付けたハウジング300の底壁330には、サーモパイル型温度センサ340が嵌着されて、凹所210bの内部を介し底壁部212bに対向している。当該温度センサ340は、連通路210a内の液体から凹所210b内に底壁部212bを通り放射される熱放射エネルギーに基づき上記液体の温度を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置による半導体素子の製造工程や液晶パネル製造装置による液晶パネルの製造工程において用いられる薬液、純水やこれらの混合液等の液体の温度を検出するに適した非接触式温度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、半導体製造装置において、半導体ウェハーの各種処理に用いられる薬液、純水或いはこれらの混合液等の液体の温度管理にあたっては、測温抵抗素子等の接触式温度センサが採用されている(下記特許文献1参照)。
【0003】
ここで、上記液体は、半導体製造装置の配管系統内で流動する。従って、上記液体の温度の検出は、接触式温度センサの受光部を配管系統の周壁を通し上記液体内に挿入することで行われる。
【特許文献1】特開2005−103455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のように接触式温度センサにより液体の温度を検出するにあたっては、当該接触式温度センサの受光部の温度が上記液体の温度になったときに当該液体の温度を検出することとなる。
【0005】
ここで、上記液体は固有の熱容量を有するため、当該液体の熱が接触式温度センサの受光部に伝わるには時間がかかる。その結果、当該接触式温度センサに依っては、上記液体の温度を検出しようとしても、良好な応答性を得ることができないという不具合がある。
【0006】
これに対しては、非接触式温度センサを、接触式温度センサに代えて、半導体製造装置の配管系統に設けることが考えられる。この非接触式温度センサは、配管系統の周壁を介し上記液体に対向するように配設されて、当該液体の熱放射エネルギーに基づき当該液体の温度を検出する。従って、当該非接触式温度センサは、上記液体とは非接触の状態で、当該液体の温度を検出することになる。このため、当該非接触式温度センサによれば、上記液体の温度の検出は、一応、当該液体の熱容量に影響されないといえる。
【0007】
しかしながら、配管系統の周壁は、それ自体で、熱容量を有する。このため、上記液体の熱放射エネルギーがその変化に応じて配管系統の周壁に伝わることにより、配管系統の周壁の温度が上記液体の温度となるまでには、時間がかかる。従って、当該非接触式温度センサを、単に、半導体製造装置の配管系統に設けるだけでは、上記液体の温度を応答性よく検出することはできないという不具合が生ずる。
【0008】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、半導体製造装置や液晶パネル製造装置等において薬液、純水やこれらの混合液等の液体を流動させる通路構成に工夫を凝らし、当該液体の温度を、応答性よく、検出するようにした非接触式温度検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の解決にあたり、本発明にかかる非接触式温度検出装置は、請求項1の記載によれば、
液体が流れる連通路(210a、530)と、
この連通路の周壁の所定の壁部位(212b、535)に対し間隔をおいて対向するように配設されて液体から上記所定の壁部位を介し放射される熱放射エネルギーに基づき液体の温度を検出するサーモパイル型温度センサ(340)とを備えて、
連通路の上記周壁は、上記所定の壁部位にて、所定の薄さに形成されている。
【0010】
このような構成によれば、サーモパイル型温度センサは、連通路の周壁の所定の壁部位に対し間隔をおいて対向するように配設されることから、当該温度センサは、上記連通路内の液体とは非接触の状態に維持され得る。このことは、当該温度センサが、液体の熱容量の影響を受けないことを意味する。
【0011】
従って、上記所定の薄さが、連通路の周壁の所定の壁部位が液体からの圧力を受けて損傷することなく上記熱放射エネルギーを遅延なくして温度センサに伝達するような上記所定の壁部位の薄さに設定されていれば、液体から放射される熱放射エネルギーは、上記所定の壁部位の熱容量により遅延されることなく、温度センサに迅速に入射する。その結果、当該非接触温度検出装置によれば、連通路内の液体の温度が、遅延を招くことなく、応答性よく、検出され得る。
【0012】
また、本発明は、請求項2の記載によれば、請求項1に記載の非接触式温度検出装置において、
外方に向け開口する凹所(210b)を形成してなる基体(200)と、
この基体に上記凹所を閉じるように組み付けてなる壁部材(330)とを備えて、
連通路は、上記所定の壁部位にて、上記凹所の底壁部(212b)を構成するように、基体に貫通状に設けられており、
温度センサは、上記凹所の上記底壁部に対し上記間隔をおいて対向するように壁部材に支持されて、液体から上記凹所内にその底壁部を介し放射される熱放射エネルギーに基づき液体の温度を検出することを特徴とする。
【0013】
これによれば、サーモパイル型温度センサは、基体の凹所内において、連通路の周壁の所定の壁部位である凹所の底壁部に対し間隔をおいて対向するように壁部材に支持される。このため、当該温度センサは、上述のような凹所内にて、上記連通路内の液体の熱容量の影響を受けないように、当該液体とは非接触の状態に維持され得る。
【0014】
従って、連通路の周壁の所定の壁部位である凹所の底壁部が、上述と同様に所定の薄さに設定されていれば、連通路内の液体から放射される熱放射エネルギーは、凹所の底壁部の熱容量により遅延されることなく、温度センサに迅速に入射する。その結果、当該非接触温度検出装置によれば、液体の温度を、遅延を招くことなく、応答性よく、検出し得る。
【0015】
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項2に記載の非接触式温度検出装置において、
液体は、腐食性ガスを放出する成分を含有しており、
基体は、上記腐食性ガスによっては腐食されにくい樹脂でもって形成されており、
基体には、上記凹所内に放射される上記熱放射エネルギーを温度センサへ伝達するとともに液体から上記凹所内にその底壁部を介し放出される上記腐食性ガスを温度センサから遮断するガス遮断手段(400)が設けられていることを特徴とする。
【0016】
これによれば、液体から上記凹所内に腐食性ガスが放出されても、この腐食性ガスは、ガス遮断手段により、温度センサから遮断される。従って、温度センサが腐食性ガスと接触して腐食することはない。ここで、上記凹所内に放射される上記熱放射エネルギーは、ガス遮断手段により、温度センサへ伝達されるので、温度センサは、常に正常な状態を維持しつつ、上記凹所内に放射される熱放射エネルギーに基づき液体の温度を応答性よく検出し得る。なお、基体は、上記腐食性ガスによっては腐食されにくい樹脂でもって形成されているので、当該基体が上記腐食性ガスと接触しても腐食することはない。
【0017】
また、本発明は、請求項4の記載によれば、請求項3に記載の非接触式温度検出装置において、ガス遮断手段は、上記凹所内にてその底壁部から温度センサを隔離するように支持されガス遮断膜であって上記凹所内に放射される上記熱放射エネルギーを温度センサへ伝達するとともに上凹所内に放出される上記腐食性ガスを温度センサから遮断するガス遮断膜(400)であることを特徴とする。
【0018】
このように、ガス遮断手段を上述のようなガス遮断膜でもって構成すれば、請求項3に記載の発明の作用効果が、ガス遮断膜という簡単な構成部材を採用するのみで、より一層確実に達成され得る。
【0019】
また、本発明は、請求項5の記載によれば、請求項1に記載の非接触式温度検出装置において、
筒(510)と、この筒の一側開口端部(512)を閉じる一側壁部材(520)とを備える基体(500)と、
筒の他側開口端部(513)を閉じる他側壁部材(630)とを備え、
基体は、さらに、筒の周壁にその軸に交叉して挿通される連通管であってその周壁に筒の前記他側開口端部を臨むように上記所定の壁部位を形成してなる連通管(530)を上記連通路として具備し、
他側壁部材は、連通管の上記所定の壁部位に対する対向部位にて、筒の上記他側開口端部からその外方に向け凹状となるように形成されており、
温度センサは、連通管の上記所定の壁部位に上記間隔をおいて対向するように、他側壁部材の上記凹状対向部位に支持されて、液体から連通管の上記所定の壁部位を介し筒内に放射される上記熱放射エネルギーに基づき液体の温度を検出することを特徴とする。
【0020】
これによれば、サーモパイル型温度センサは、筒の内部を介し他側壁部材の上記凹状対向部位と一側壁部材との間に形成される空間内において、連通管の上記所定の壁部位に対し間隔をおいて対向するように他側壁部材の上記凹状対向部位に支持される。このため、当該温度センサは、上述のような空間内にて、連通管内の液体の熱容量の影響を受けないように、当該液体とは非接触の状態に維持され得る。
【0021】
ここで、上記空間は、他側壁部材の上記凹状対向部位と一側壁部材との間において、筒の内部をも含むため、広く形成される。従って、基体の温度は、温度センサには伝わりにくい。よって、連通管の上記所定の壁部位が、上述と同様に所定の薄さに設定されていれば、連通管内の液体から放射される熱放射エネルギーは、基体の温度に影響されることなく、かつ連通管の上記所定の壁部位の熱容量により遅延されることなく、温度センサに迅速に入射する。その結果、当該非接触温度検出装置によれば、上述のような広い空間のもとに、液体の温度を、基体の温度に影響されることなく、応答性よく、検出することができる。
【0022】
また、本発明は、請求項6の記載によれば、請求項5に記載の非接触式温度検出装置において、
液体は、腐食性ガスを放出する成分を含有しており、
基体及び連通管は、上記腐食性ガスによっては腐食されにくい樹脂でもって形成されており、
筒内を介し他側壁部材の上記凹状対向部位と一側壁部材との間に形成される空間内にて温度センサを上記所定の壁部位から隔離するように支持されて筒内に放射される上記熱放射エネルギーを温度センサへ伝達するとともに筒内に放出される上記腐食性ガスを温度センサから遮断するガス遮断膜(700)が備えられていることを特徴とする。
【0023】
このように、上述のような構成を有するガス遮断膜を、筒内を介し他側壁部材の上記凹状対向部位と一側壁部材との間に形成される空間内にて温度センサを上記所定の壁部位から隔離するように支持することで、請求項5に記載の発明の作用効果がより一層確実に達成され得る。なお、基体及び連通管は、上記腐食性ガスによっては腐食されにくい樹脂でもって形成されているので、当該基体及び連通管が上記腐食性ガスとの接触によって腐食することはない。
【0024】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の各実施形態を図面により説明する。
(第1実施形態)
図1は、半導体製造装置の枚葉式処理系統に適用された本発明の第1実施形態を示している。調達済みの複数の半導体ウェハーにそれぞれ半導体素子を形成するにあたり、上記半導体製造装置は、その枚葉式処理系統によって、複数の半導体ウェハーの各々に対し、成膜、フォトレジストコーティング、露光、現像、エッチング、イオン注入、フォトレジストの剥離等の様々な処理をするようになっている。また、上記半導体製造装置は、上述のような様々な処理の過程において、必要に応じ、上記枚葉式処理系統により、半導体ウェハー毎に洗浄処理をするようになっている。
【0026】
ここで、上記枚葉式処理系統の構成について、図1を参照して説明すると、純水供給源10から配管P1の上流部内に供給された常温の純水は、流量制御装置20により流量制御されて、配管P1の下流部内に流入する。また、純水供給源30から配管P2の上流部内に供給された高温の純水は、流量制御装置40により流量制御されて、配管P2の下流部内に流入する。
【0027】
しかして、上述のように配管P1の下流部内に流入した常温の純水は、上述のように配管P2の下流部内に流入した高温の純水とともに、配管P3内に流入して混合され、混合純水として、開閉弁装置50に流入する。
【0028】
また、上記枚葉式処理系統において、薬液槽60内の薬液は、ポンプ70により、配管P4を通し吸引されて配管P5内に吐出される。このように吐出された薬液は、フィルター80により濾過されて配管P6内に流入し、流量制御装置90により、所定の流量となるように流量制御されて、配管P7を通り開閉弁装置50に流入する。なお、上記薬液は、例えば、硫酸や過酸化水素の混合液からなるもので、当該薬液は、赤外線による放射エネルギー(以下、熱放射エネルギーという)の放射とともに腐食性ガスを放出する。なお、当該腐食性ガスは、温度センサ340(後述する)の構成部材(ケーシングやサーモパイル素子等)との接触により当該構成部材を腐食させる。
【0029】
しかして、上述のように開閉弁装置50に流入した混合純水は、当該開閉弁装置50により、その第1開弁モード(後述する)にて、配管P8内に供給され、非接触式温度検出装置S1を通り配管P9から図1における図示左側の処理カップ100内に流下する。このように流下する混合純水でもって、左側の処理カップ100内の半導体ウェハー(図1にて符号W参照)が洗浄される。
【0030】
本第1実施形態において、当該半導体ウェハーWは、左側の処理カップ100内において、スピンテーブル101上に固定されており、当該半導体ウェハーWは、スピンテーブル101による回転のもと、上述のように流下する混合純水により洗浄される。また、配管P9からの混合純水の流下位置が、右側の処理カップ100に切り換えられたとき、この右側の処理カップ100内にてスピンテーブル101上に固定される半導体ウェハーWも、上述の左側の処理カップ100内の半導体ウェハーWと同様に洗浄される。
【0031】
また、上述のように開閉弁装置50に流入した薬液は、開閉弁装置50内にて、その流入混合純水と混合されて、所定の温度(例えば、60(℃))及び所定の低濃度の処理薬液として生成される。このように生成された処理薬液は、当該開閉弁装置50により、第2開弁モード(後述する)のもと、配管P8内に供給され、温度検出装置S1を通り配管P9から左側の処理カップ100内に流下する。このように流下する処理薬液でもって、左側の処理カップ100内の半導体ウェハーWが薬液処理される。右側の処理カップ100内の半導体ウェハーWも同様である。
【0032】
本第1実施形態において、上述した各流量制御装置20及び40は、それぞれ、温度検出装置S1の検出出力(後述する)に基づき電子制御回路110により制御されて、上記処理薬液の温度及び濃度を上記所定の温度及び所定の低濃度に維持するように、配管P1の下流部内への常温の純水の流入量及び配管P2の下流部内への高温の純水の流入量を制御する。
【0033】
また、上述した開閉弁装置50は、図示しない電子制御回路による切り換え制御のもと、エア供給源(図示しない)からのエアに応じて、第1或いは第2の開弁モードまたは閉弁モードにおかれる。また、上述した流量制御装置90は、配管P6から配管P7内への薬液の流入量を、所定の流量となるように制御する。
【0034】
また、当該枚葉式処理系統において、各処理カップ100内にて半導体ウェハーWの洗浄或いは処理に使用された混合純水或いは処理薬液は、各処理カップ100のいずれかからオーバーフローし、廃液として、配管P10を通り廃液処理槽120内に流入して貯留される。
【0035】
このように廃液処理槽120内に貯留された廃液は、アスピレータ130によって、配管P12を通し廃液処理槽120から吸引されるとともに、工業用水供給源140から配管P11の上流部、流量制御装置150及び配管P11の下流部を通し供給される工業用水と混合されて、排出可能な所定の温度の廃液となり、配管P13、非接触式温度検出装置S2及び配管P14を通り排出される。
【0036】
本実施形態において、上述の排出可能な所定の温度は、両配管P13、P14の形成材料、例えば、塩化ビニル樹脂(以下、PVCという)の耐熱温度(60(℃)〜80(℃))より低くなるように設定されている。なお、上述した各配管P1〜P11は、共に、パーフルオロアルコキシアルカン(以下、PFAという)でもって形成されており、当該PFAは、薬液(例えば、硫酸や過酸化水素を含有する液)、特に高濃度の薬液に対し、良好な耐薬液性を有する。
【0037】
本第1実施形態において、上述した流量制御装置150は、温度検出装置S2の検出出力(後述する)に基づき電子制御回路160により制御されて、工業用水供給源140からアスピレータ130への工業用水の流量を制御する。
【0038】
次に、両非接触式温度検出装置S1、S2の構成について説明する。温度検出装置S1は、図1及び図2にて示すごとく、両配管P8、P9の間に接続されており、この温度検出装置S1は、基体200及び検出装置本体300によって構成されている。なお、本実施形態では、図2において、図示上下左右の各側が、温度検出装置S1の上下左右の各側に対応する。
【0039】
基体200は、図2にて示すごとく、台状四角柱部210、上流側環状ボス部220及び下流側環状ボス部230を備えている。四角柱部210は、断面円形状連通路210aを有しており、この連通路210aは、四角柱部210にその両対向外面に平行な方向に沿い貫通状に形成されている。
【0040】
また、四角柱部210は、凹所210bを有しており、この凹所210bは、上下両側凹部211、212を有するように、四角柱部210の上側端面213から連通路210aの軸方向中央部に向け凹状に形成されている。
【0041】
上側凹部211は、円筒状内周壁部211a及び円形状底壁部211bでもって断面コ字状に形成されており、この上側凹部211は、その上端開口部にて、四角柱部210の上側端面213から上方へ開口している。
【0042】
下側凹部212は、円筒状内周壁部212a及び円板状底壁部212bでもって断面コ字状に形成されており、この下側凹部212は、上側凹部211の底壁部211bに形成した円形状中央開口部211cから上側凹部211内に開口している。
【0043】
本第1実施形態において、底壁部212bは、連通路210aの周壁のうちの所定の壁部位でもって構成されており、この底壁部212bは、次のような外形形状を有するように形成されている。即ち、底壁部212bは、その全体に亘り、所定の薄さt(例えば、0.3(mm)〜0.5(mm)の範囲以内の厚さ)を有するように、連通路210aの軸方向中央部の内周面に沿い、上に凸な断面円弧状に形成されている。
【0044】
ここで、底壁212bの熱容量が、連通路210a内の液体(混合純水或いは処理薬液)からの熱放射エネルギーを応答遅れなく下側凹部212内に迅速に伝達し得る値となるように、底壁212bが、上記所定の薄tにて、薄く設定されている。但し、底壁212bは、上述のように薄くても、連通路210a内の液体の流体としての圧力に対し、良好な耐圧性を有し破損しにくい厚さとなっている。
【0045】
以上によれば、上記所定の薄さtは、連通路210aの周壁の所定の壁部位が液体からの圧力を受けて損傷することなく熱放射エネルギーを遅延なくして温度センサに伝達するような値に設定されている。
【0046】
上流側環状ボス部220及び下流側環状ボス部230は、それぞれ、連通路210aの両端開口部から互いに逆方向に向け延出しており、これら上流側環状ボス部220及び下流側環状ボス部230は、それぞれ、断面コ字状の両ナット221、231を介し、両側配管P8、P9の各対向開口端部に液密的に螺着されている。なお、ナット221は、環状底壁部221a及び円筒部221bにて、配管P8の対向開口端部に嵌装されて、円筒部221bの開口部により、上流側環状ボス部220に液密的に螺着されている。また、ナット231は、環状底壁部231a及び円筒部231bにて、配管P9の対向開口端部に嵌装されて、円筒部231bの開口部により、上流側環状ボス部230に液密的に螺着されている。
【0047】
これにより、配管P8内の液体は、上流側環状ボス部220、連通路210a及び下流側環状ボス部230を通り配管P9内に向け流動する。なお、上流側環状ボス部220及び下流側環状ボス部230の各内径は、連通路210aの内径と同一である。また、基体200は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)でもって形成されている。
【0048】
検出装置本体300は、ハウジング300aと、このハウジング300aに組み付けた温度検出回路300bとを備えている。ハウジング300aは、四角筒310、上壁320及び底壁330を有するように、ポリプロピレン(以下、PPという)でもって形成されており、上壁320は、四角筒310の上側開口端部311を閉じるようにこの上側開口端部311と一体に形成されている。また、底壁330は、その外周部331にて、四角筒310の下側開口端部312に装着されて、当該下側開口端部312を閉じている。
【0049】
このように構成したハウジング300aは、底壁330の環状壁部333を、基体200の上側凹部211の開口端部に嵌着することで、基体200に組み付けられている。なお、環状壁部333は、底壁330の下面から下方に向け延出している。
【0050】
温度検出回路300bは、サーモパイル型温度センサ340、信号処理回路350及びコネクタ360を備えている。温度センサ340は、ケーシング340aを有しており、このケーシング340aは、円筒341と、この円筒341の上側開口端部を閉じる上壁342と、当該円筒341の下側開口端部を閉じる底壁343とによって、構成されている。ここで、上壁342の外周部は、環状フランジ部342aとして、円筒341の上側開口端部から外方へ径方向に向け環状に突出している。
【0051】
しかして、ケーシング340aにおいて、環状フランジ部342aは、底壁330に形成した段付き中央穴部332の大径部332aに気密的に嵌装され、円筒341が、段付き中央穴部332の小径部332bに気密的に嵌装されて、下方へ延出している。なお、大径部332aは、段付き中央穴部332の上端部に形成され、小径部332bは、段付き中央穴部332の上端部以外の部位でもって形成されている。
【0052】
また、当該温度センサ340は、ケーシング340a内に設けた赤外線透過フィルター340b及びサーモパイル素子340cを有している。赤外線透過フィルター340bは、その外周部にて、ケーシング340aの底壁343に形成した中央開口部343aの周縁部にその内側から装着されており、この赤外線透過フィルター340bは、その中央部にて、底壁343の中央開口部343aを通して、ガス遮断膜400(後述する)に対向している。なお、赤外線透過フィルター340bは、底壁343の中央開口部343aを通り下方から入射する熱放射エネルギーを赤外線として透過する。
【0053】
サーモパイル素子340cは、直列接続した複数の熱電対を有しており、このサーモパイル素子340cは、ケーシング340a内にて、底壁343に平行に支持した基板340dの中央開口部に、この中央開口部を通して赤外線透過フィルター340bに対向するように支持されている。これにより、サーモパイル素子340cは、ケーシング340aの内面とは非接触の状態で当該ケーシング340a内に支持されている。
【0054】
しかして、当該サーモパイル素子340cは、ケーシング340aの熱容量による影響を受けることなく、赤外線透過フィルター340bからの赤外線を基板340dの中央開口部を通し受光して、この受光赤外線に基づき連通路210a内の液体の温度を表す温度検出信号を発生する。このことは、温度センサ340が、連通路210a内の液体の温度を表す温度検出信号を発生することを意味する。
【0055】
信号処理回路350は、ハウジング300a内に支持されており、この信号処理回路350は、温度センサ340からの温度検出信号を信号処理して出力する。コネクタ360は、基板340dの上端部に設けられており、このコネクタ360は、信号処理回路350からの温度検出信号を、両リード線361を通して電子制御回路110に出力する。なお、両リード線361は、ハウジング300aの上壁320の中央開口部に嵌着したケーブルグランド313を通り外方へ延出している。
【0056】
また、温度検出装置S1は、ガス遮断膜400を有しており、このガス遮断膜400は、基体200の連通管210a内の液体からの熱放射エネルギーを温度センサ340側へ伝達するとともに、連通路210a内の液体から底壁212bを通し下側凹部212内に放出される腐食性ガスを上側凹部212aから遮断する特性を有する。本第1実施形態では、ガス遮断膜400は、PTFE或いはポリクロロトリフルオロエチレン(以下、PCTFEという)を用いて上記特性を有するように形成されている。なお、本第1実施形態では、温度検出装置S1における温度検出回路300bとしては、SSC株式会社製MIR型赤外線センサ及びその出力処理回路が採用されている。
【0057】
温度検出装置S2は、図2にて示すごとく、上述した温度検出装置S1と同様の構成を有しており、この温度検出装置S2は、図1及び図2にて示すごとく、両配管P13、P14の間に接続されている。具体的には、当該温度検出装置S2は、上流側環状ボス部220及び下流側環状ボス部230にて、それぞれ、断面コ字状の両ナット221、231を介し、両側配管P13、P14の各対向端側開口部に液密的に螺着されている。これにより、配管P13内の廃液は、温度検出装置S2の上流側環状ボス部220、連通路210a及び下流側環状ボス部230を通り配管P14内に向け流動する。なお、ナット221は、環状底壁部221a及び円筒部221bにて、配管P13の対向開口端部に嵌装されて、円筒部221bの開口部により、上流側環状ボス部220に液密的に螺着されている。また、ナット231は、環状底壁部231a及び円筒部231bにて、配管P14の対向開口端部に嵌装されて、円筒部231bの開口部により、上流側環状ボス部230に液密的に螺着されている。
【0058】
また、本実施形態において、当該温度検出装置S2は、サーモパイル素子340cからの温度検出信号を、信号処理回路350、コネクタ360及び両リード線361を介して、電子制御回路160に出力する(図1及び図2参照)。
【0059】
以上のように構成した本第1実施形態において、開閉弁装置50からの処理薬液が上述のごとく配管P8内に流入すると、この処理薬液は、温度検出装置S1の基体200の上流側環状ボス部220、連通路210a及び下流側環状ボス部230の各内部を通り配管P9内に流動する。
【0060】
このような流動過程において、連通路210aの内部を流動する上記処理薬液が熱放射エネルギーを放射すると、この熱放射エネルギーは、基体200の下側凹部212内にその底壁部212bにより伝達されて入射する。ここで、上述のように、温度検出装置S1の下側凹部212の底壁部212bは、上述のごとく薄く形成されている。このため、上記処理薬液の熱放射エネルギーは底壁部212bを迅速に通り下側凹部212内に入射することができる。また、下側凹部212の底壁部212bは上述のごとくその全体に亘り薄く形成されている。このため、上記処理薬液の熱放射エネルギーは、底壁部212bの全体を通り効率よく下側凹部212内に入射することができる。
【0061】
ついで、このように下側凹部212内に入射した熱放射エネルギーは、ガス遮断膜400に入射する。ここで、ガス遮断膜400は、上述のごとく腐食性ガスを遮断するとともに熱放射エネルギーを伝達する特性を有する。
【0062】
このため、上記処理薬液が、上記熱放射エネルギーの放射と共に腐食性ガスをも底壁部212bを通し放出しても、ガス遮断膜400は、上記腐食性ガスを上側凹部212aの内部から遮断しつつ、上記熱放射エネルギーを上側凹部212a内に入射させる。
【0063】
これによれば、上記熱放射エネルギーを上側凹部212a内に入射させるにあたり、上記腐食性ガスが温度センサ340に達することがないので、温度センサ340が、上記腐食性ガスと接触して腐食することなく、正常な検出作動を維持し得る。また、このような作用効果は、ガス遮断膜400という簡単な構成部材を上述のように設けるだけで、達成され得る。なお、基体200は、上述のごとくPTFEにより形成されているため、上記腐食性ガスと接触しても腐食することはない。両ナット221、231も、PTFEにより形成されているため、上記腐食性ガスと接触しても腐食することはない。
【0064】
しかして、上述のように上側凹部212a内に入射した熱放射エネルギーは、温度センサ340のケーシング340aの開口部343aを通り赤外線透過フィルター340bを赤外線として透過する。そして、このように透過した赤外線は、基板340dの開口部を通りサーモパイル素子340cにより受光される。
【0065】
これに伴い、当該サーモパイル素子340cは、その受光赤外線に基づき、連通路210a内の処理薬液の温度を表す温度検出信号を発生し、信号処理回路350は、サーモパイル素子340cからの温度検出信号を信号処理して、コネクター360及び両リード線361を通して電子制御回路110に出力する。
【0066】
ここで、上述のように上記処理薬液の熱放射エネルギーが底壁部212bの全体を迅速に通り効率よく下側凹部212内に入射するので、その後のサーモパイル素子340cによる赤外線の受光及び温度検出信号の出力処理並びに信号処理回路350による温度検出信号の出力処理も、同様に応答性よく迅速にかつ良好になされ得る。
【0067】
このため、各流量制御装置20、40は、信号処理回路350からの温度検出信号に基づく電子制御回路110による制御のもとに、各配管P1、P2の上流部から下流部への各純水の流量を応答遅れなく迅速にかつ良好に制御し得る。その結果、このような流量制御に基づき、開閉弁装置50により配管P9内に供給される処理薬液の温度及び濃度は、上述のように所定の温度及び所定の濃度に応答性よく良好に維持され得る。
【0068】
また、上述のごとく、開閉弁装置50からの混合純水が、上記処理薬液に代えて、配管P8内に供給される場合にも、当該混合純水の温度が、温度検出装置S1による当該混合純水の温度検出に基づき、上記処理薬液の場合と同様に、応答遅れなく良好に、上記所定の温度に維持され得る。
【0069】
また、上述のようにアスピレータ130からの廃液が配管P13内に流入すると、この処理薬液は、温度検出装置S2の基体200の上流側環状ボス部220、連通路210a及び下流側環状ボス部230の各内部を通り配管P14内に流動する。
【0070】
このような流動過程において、温度検出装置S2の連通路210a内の廃液が熱放射エネルギーを放射すると、この熱放射エネルギーは、上記処理薬液の熱放射エネルギーと同様に、基体200の下側凹部212の底壁部212bの全体を迅速に通り下側凹部212内に入射する。
【0071】
ついで、このように入射した廃液の熱放射エネルギーは、上記処理薬液の熱放射エネルギーと同様に、温度検出装置S2のガス遮断膜400に入射する。但し、上述のごとく、ガス遮断膜400は、腐食性ガスを遮断するとともに上記熱放射エネルギーを上側凹部212a側に伝達する特性を有する。このため、上記廃液が、上記熱放射エネルギーの放射と共に腐食性ガスをも底壁部212bを通し下側凹部212内に放出させても、ガス遮断膜400は、上記腐食性ガスを上側凹部212aの内部から遮断しつつ、上記熱放射エネルギーを上側凹部212a内に入射させる。
【0072】
これによれば、温度検出装置S2においては、上記廃液の熱放射エネルギーを上側凹部212a内に入射させるにあたり、上記廃液の腐食性ガスが温度センサ340に達することがないので、温度センサ340は、上記腐食性ガスと接触して腐食することなく、正常な作動を維持し得る。
【0073】
また、温度検出装置S2においても、上述のように上側凹部212a内に入射した熱放射エネルギーが、上述と同様に、赤外線透過フィルター340bを赤外線として透過し、サーモパイル素子340cにより受光される。このため、温度センサ340は、サーモパイル素子340cによる受光赤外線に基づき、連通路210a内の廃液の温度を表す温度検出信号を発生して電子制御回路160に出力する。
【0074】
ここで、上述のように、温度検出装置S2においても、下側凹部212の底壁部212bは、その全体に亘り、上述のごとく薄く形成されている。このため、上記廃液の熱放射エネルギーは、底壁部212bの全体を迅速に通り下側凹部212内に入射することができる。従って、その後の温度検出装置S2のサーモパイル素子340cによる赤外線の受光及び温度センサ340による温度検出信号の出力処理も、同様に迅速になされ得る。
【0075】
このため、流量制御装置150は、温度検出装置S2の温度センサ340からの温度検出信号に基づく電子制御回路160による制御のもとに、配管P11内に流入する工業用水の流量を応答遅れなく迅速にかつ良好に制御し得る。その結果、このような流量制御に基づき、配管P13、温度検出装置S2の連通路210a及び配管P14内に流入する廃液の温度は応答性よく良好に維持され得る。従って、両配管P13、P14の耐温度特性を阻害することなく良好に維持し得る。
【0076】
また、両温度検出装置S1、S2においては、底壁部212bは、上述のごとく、所定の薄さtとなっているから、上記処理薬液、混合純水或いは廃液が基体200の連通路210aの内部を流動する際に底壁部212bに圧力を与えることがあっても、当該底壁部212bが損傷することはない。
【0077】
また、両温度検出装置S1、S2においては、基体200の凹所210dは上述のごとくハウジング300aの底壁330により閉じられている。このため、凹所210d内の腐食性ガスを温度検出装置S1やS2の外部に漏洩させることなく、凹所210d内に入射する熱放射エネルギーに基づき、連通路210a内の液体である処理薬液や混合純水の温度を応答性よく温度センサ340によって、検出することができる。
【0078】
また、両温度検出装置S1、S2において、温度センサ340は、上述のごとく、連通路210aの周壁の一部である凹所210bの底壁部212bから間隔をおいて離れて位置している。このため、温度センサ340は、連通路210a内の液体とは、非接触の状態に維持される。従って、温度センサ340が、上記液体の熱容量の影響を受けることはないのは勿論のこと、上記液体が汚れたり、当該液体に対する流体抵抗となってこの液体の円滑な流れを阻害したりすることがない。
【0079】
また、上述のように温度センサ340は、連通路210a内の液体とは、非接触の状態に維持されるので、静電気が、上記液体の連通路210aの内壁との間の摩擦接触により発生しても、当該静電気が温度センサ340に作用して当該温度センサに損傷を招くこともない。
(第2実施形態)
図3は本発明の第2実施形態の要部を示している。この第2実施形態では、非接触式温度検出装置S3が、上記第1実施形態にて述べた温度検出装置S1に代えて採用されており、この温度検出装置S3は、上記第1実施形態にて述べた配管P3に代わる両配管P3a、P3bの間に配設されている。なお、上記第1実施形態にて述べた配管P1の下流部内の純水及び配管P2の下流部内の純水は、配管P3a内に流入して混合される。
【0080】
温度検出装置S3は、上記第1実施形態にて述べた温度検出装置S1において、図4にて示すごとく、ガス遮断膜400を廃止した構成を有するもので、当該温度検出装置S3においては、上流側環状ボス部220及び下流側環状ボス部230が、それぞれ、断面コ字状の両ナット221、231を介し、配管P3a及び配管P3bの各対向端側開口部に液密的に螺着されている。なお、ナット221は、環状底壁部221a及び円筒部221bにて、配管P3aの対向開口端部に嵌装されて、円筒部221bの開口部により、上流側環状ボス部220に液密的に螺着されている。また、ナット231は、環状底壁部231a及び円筒部231bにて、配管P3bの対向開口端部に嵌装されて、円筒部231bの開口部により、上流側環状ボス部230に液密的に螺着されている。
【0081】
これにより、温度検出装置S3においては、配管P3a内の混合純水は、上流側環状ボス部220、連通路210a及び下流側環状ボス部230を通り配管P3b内に向け流動する。これに伴い、温度検出装置S3の温度検出回路300bは、温度検出装置S1の温度検出回路と同様に、連通路210aに流れる混合純水からの熱放射エネルギーに基づき、当該混合純水の温度を表す温度検出信号を発生する。
【0082】
また、本第2実施形態では、上記第1実施形態にて述べた各流量制御装置20及び40は、それぞれ、配管P1の下流部内への常温の純水の流入量及び配管P2の下流部内への高温の純水の流入量を、温度検出装置S3の検出出力に基づく電子制御回路110による制御のもと、上記混合純水の温度を所定の温度に維持するように制御する。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0083】
このように構成した本第2実施形態において、両配管P1、P2の各下流部内の純水が配管P3a内に流入して混合されると、混合純水が、温度検出装置S3の基体200の上流側環状ボス部220、連通路210a及び下流側環状ボス部230を通り流動し、配管P3bから開閉弁装置50に流入する。
【0084】
このような流動過程において、連通路210aの内部を流動する混合純水は、その熱放射エネルギーを、温度検出装置S3の下側凹部212内にその底壁部212bを通し入射する。本第2実施形態では、上記混合純水が、薬液や廃液のように腐食性ガスを放出する成分を含有しないので、上記第1実施形態にて述べたガス遮断膜が廃止されている。このため、上述のように下側凹部212内に放射された熱放射エネルギーは、直接、上側凹部211内に入射して、温度検出装置S3の温度センサ340のサーモパイル素子340cにより、赤外線として受光される。
【0085】
ここで、温度検出装置S3の下側凹部212の底壁部212bは、温度検出装置S1の底壁部212bと同様に、薄く形成されている。このため、上記混合純水の熱放射エネルギーは、底壁部212bを介し、サーモパイル素子340cにより応答性よく迅速に受光され得る。
【0086】
これに伴い、温度検出装置S3の温度センサ340は、そのサーモパイル素子340cの受光赤外線に基づき、連通路210a内の混合純水の温度を表す温度検出信号を応答性よく迅速に発生し、上述と同様に電子制御回路110に出力する。
【0087】
このため、各流量制御装置20、40は、温度検出装置S3からの温度検出信号に基づく電子制御回路110による制御のもとに、各配管P1、P2の上流部から下流部への各純水の流量、換言すれば、開閉弁装置50に流入する混合純水の流量を、開閉弁装置50に流入する前に、予め、応答遅れなく迅速にかつ良好に制御し得る。
【0088】
その結果として、このような流量制御に基づき、開閉弁装置50により配管P9内に供給される処理薬液の温度及び濃度或いは混合純水の温度は、上述のように所定の温度及び所定の濃度に応答性よく良好に維持され得る。その他の作動及び作用効果は上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態の要部を示している。この第3実施形態では、温度検出装置S4が、上記第1実施形態にて述べた温度検出装置S1に代えて、両配管P8、P9の間に配設されている。
【0089】
温度検出装置S4は、温度検出装置S1の基体200及び検出装置本体300に対応する基体500及び検出装置本体600でもって構成されている。基体500は、四角筒510及び底壁部材520を備えている。四角筒510は、その左右両側壁511にて、図5或いは図6から分かるように、それぞれ、矩形切欠部511aを有しており、これら各矩形切欠部511aは、互いに対向するように、左右両側壁511に形成されている(図5参照)。ここで、各矩形切欠部511aは、図6にて例示するごとく、所定の左右方向幅でもって、左右両側壁511の各上下方向中央部から左右両側壁511の各下端中央部にかけて矩形状に切り欠き形成されている。
【0090】
また、四角筒510は、その左右両側壁511にて、図5或いは図6にて示すごとく、それぞれ、半円切欠部511bを有しており、これら各半円切欠部511bは、互いに対向するように、左右両側壁511に形成されている(図5参照)。また、各半円切欠部511bは、各矩形切欠部511a内に開口するように、当該各矩形切欠部511aの上縁部の左右方向中央部を中心として、当該各上縁部から上方へ半円状に形成されている。なお、各半円切欠部511bの直径は、各矩形切欠部511aの左右方向幅よりも、短い(図6参照)。
【0091】
底壁部材520は、底壁部521、左右両側壁部522及び左右両側の各一対のフック523を有している。左右両側壁部522は、図5或いは図6から分かるように、四角筒510の各矩形切欠部511aの左右方向幅に等しい左右方向幅にて、底壁部521の左右両端側中央部から上方へL字状に延出している。
【0092】
また、当該左右両側壁部522は、それぞれ、半円切欠部522aを有しており、当該各半円切欠部522aは、左右両側壁部522の各上縁中央部から下方に向け半円状に形成されている。但し、左右両側壁部522の各々において、互いに対応する各半円切欠部511b、522aは、連通管530(後述する)の外径に等しくなるように、各半円切欠部522aの中心及び半径は、それぞれ、各半円切欠部511bの中心及び半径と同一となっている。
【0093】
しかして、左右両側壁部522が、底壁部521を四角筒510の下端開口部512に接合させるようにして、各矩形切欠部511a内にその下側開口端部から上方に向け嵌装されることで、底壁部材520が、四角筒510の下端開口部及び各矩形切欠部511aを閉塞するように四角筒510に組み付けられる。これに伴い、連通管530(後述する)を貫通状に支持するための両貫通穴部が、各両半円切欠部511b、522aでもって形成される。
【0094】
左右両側の各一対のフック523は、図6にて例示するごとく、底壁部521の左右両側前後端部から四角筒510内にその左右両側壁部511に沿い上方へ延出している。左側の一対のフック523の各延出端部には、各爪部523aが左側へL字状に屈曲するように形成されており、右側の一対のフック523の各延出端部には、各爪部523aが右側へL字状に屈曲するように形成されている。
【0095】
本第3実施形態において、上述の四角筒510及び底壁部材520は、上記第1実施形態にて述べたPTFE或いはPFAでもって形成されているから、各フック523は、共に、弾力性を有する。このため、上述のように底壁部材520を四角筒510に組み付けたとき、左側の一対のフック523は、その各爪部523aにより、その弾性に抗して、左側壁部511の各係止孔部511c内に係脱可能に係止するとともに、右側の一対のフック523は、その各爪部523aにより、その弾性に抗して、右側壁部511の各係止孔部511c内に係脱可能に係止する。これにより、底壁部材520は四角筒510にしっかりと組み付けられる。
【0096】
また、当該基体500は、連通管530を有している。この連通管530は、四角筒510の上記両貫通穴部に挿通状に支持されており、当該連通管530は、その両開口端部531、532にて、断面コ字状の両ナット533、534を介し、両配管P8、P9の各対向開口端部内に液密的に螺着されている。ここで、ナット533は、環状底壁部533a及び円筒部533bにて、配管P8の対向開口端部に嵌装されて、円筒部533bの開口部により、連通管530の開口端部531に液密的に螺着されている。また、ナット534は、環状底壁部534a及び円筒部534bにて、配管P9の対向開口端部に嵌装されて、円筒部534bの開口部により、連通管530の開口端部532に液密的に螺着されている。なお、連通管530は、図5にて示すごとく、左右両側の一対の鍔部531a、532aにより、上記両貫通穴部の外周部を挟持することで、四角筒510に脱出不能に支持されている。
【0097】
また、連通管530の周壁のうちその軸方向中央部には、所定の環状壁部535が、当該軸方向中央部の外周部に沿い切削加工することで、上記所定の薄さtに形成されている。なお、このように環状壁部535を切削加工することで、当該環状壁部535の形成が容易になる。また、図5にて、符号514は、四角筒体510の左側壁511の上端部に形成したガス抜き用の小孔部を示す。
【0098】
検出装置本体600は、ハウジング600aと、上記第1実施形態にて述べた温度検出回路300bとにより構成されている。ハウジング600aは、四角筒610、上壁620及び底壁630を有するように、PPでもって形成されており、上壁620は、四角筒610の上側開口端部611を閉じるようにこの上側開口端部611と一体に形成されている。
【0099】
また、底壁630は、外周壁部631の内周側に円板状中央壁部632を同軸的にかつ一体的に形成してなるもので、この底壁630は、外周壁部631にて、四角筒610の下側開口端部612に装着されて、当該下側開口端部612を閉じている。
【0100】
本第3実施形態では、底壁630の中央部を下方から円錐台状にくり抜き加工することで、外周壁部631が、その内周面631aにて、外周壁部631の下面から上方へ末すぼまり状に形成されている。これに伴い、円板状中央壁部632は、底壁630の上端側にて、薄肉状に形成されている。これにより、底壁630には、断面台形状空所が、その下側開口面と、外周壁部631の内周面631aと、円板状中央壁部632の下面とにより形成されている。
【0101】
しかして、以上のように構成したハウジング600aは、底壁630の外周壁部631の環状下端部631bにて、四角筒510の上側開口端部513内に同軸的に嵌装されて、四角筒510に組み付けられている。このため、上記断面台形状空所が四角筒510の内部と一体となる。換言すれば、一体的な空間が、外周壁部631の内周面631a、円板状中央壁部632の下面、四角筒510の内部及び底壁部材520の内面の間に形成される。なお、環状下端部631bは外周壁部631の外周部に沿い形成されている。
【0102】
温度検出回路300bにおいて、サーモパイル型温度センサ340は、ケーシング340aの円筒341にて、底壁630の円板状中央壁部632に形成した開口部632aに上方から気密的に嵌装されて下方へ延出しており、温度センサ340は、ケーシング340aの環状フランジ部342aにて、円板状中央壁部632の開口部632a上に着座している。
【0103】
これにより、温度センサ340は、ケーシング340aの底壁343により、四角筒510内の連通管530の環状壁部535に対向している。なお、上記第1実施形態にて述べた信号処理回路350及びコネクタ360は、ハウジング600a内に収容されている。また、上記第1実施形態にて述べた両リード線361は、ハウジング600aの上壁620の中央開口部に嵌着したケーブルグランド621を通り外方へ延出している。
【0104】
また、当該温度検出装置S4は、ガス遮断膜700を有しており、このガス遮断膜700は、その外周部により、四角筒510の上側開口端部513内にて、底壁630の外周壁部631の環状下端部に装着されている。これにより、ガス遮断膜700は、底壁630の上記断面台形状空所を四角筒510の内部から隔離する。なお、本実施形態では、ガス遮断膜700は、上記第1実施形態にて述べたガス遮断膜400の形成材料と同一の材料により、当該ガス遮断膜400と同様の特性を有するように形成されている。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0105】
このように構成した本第3実施形態においては、上述のごとく、一体的な空間が、四角筒510の内部を介し、外周壁部631の内周面631a、円板状中央壁部632の下面及び底壁部材520の内面の間に形成されている。このように形成された空間は、四角筒510の内部を含むため、上記第1或いは第2の実施形態にて述べた基体200の凹所210dに比べて、かなり広くなる。従って、基体500、即ち、四角筒510や底壁部材520の温度は、温度センサ340には伝わりにくい。
【0106】
このため、連通管530内の処理薬液や混合純水等の液体から放射される熱放射エネルギーは、基体500の温度に影響されることなく、かつ連通管530の上記所定の壁部535の熱容量により遅延されることなく、温度センサに迅速に入射する。その結果、当該非接触温度検出装置S4によれば、連通管530内の液体の温度を、基体500の温度に影響されることなく、応答性よく良好に検出することができる。その他の作動及び作用効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0107】
なお、上記第3実施形態において、温度検出装置S4は、温度検出装置S1だけでなく、温度検出装置S2に代えて採用してよい。この場合、温度検出装置S4は、温度検出装置S2に代えて、両配管P13、P14の間に接続される。これによれば、配管P13から温度検出装置S4の連通管530内に流入する廃液の温度の検出にあたり、上記第3実施形態と同様の作用効果が達成され得る。
【0108】
また、上記第3実施形態において、温度検出装置S4は、上記第2実施形態にて述べた温度検出装置S3に代えて採用し、両配管P3a、P3bの間に接続されてもよい。但し、ガス遮断膜700は、廃止する。
【0109】
これによれば、配管P3aから温度検出装置S4の連通管530内に流入する混合純水の温度の検出にあたり、上記第2実施形態にて述べた作用効果を達成しつつ、上記第3実施形態と同様の作用効果を達成することができる。
【0110】
なお、本発明の実施にあたり、上記各実施形態に限ることなく、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)両温度検出装置S1、S2の基体200において、連通路210aの他に、他の連通路を採用し、当該他の連通路を、連通路210aに並行にかつ凹所210bの下側凹部212を通るように、四角柱部210に対し貫通状に形成して、パージ用ガス(例えば、窒素ガス)を、上記他の連通路の上流部、下側凹部212及び上記他の連通路の下流部を通し流動させるようにしてもよい。
【0111】
ここで、上記パージ用ガスは、連通路210a内の液体から凹所210b内にその底壁部212bを通り放射される熱放射エネルギーを温度センサ340に伝達しても、連通路210a内の液体から凹所210b内にその底壁部212bを通り放出される腐食性ガスを温度センサ340から遮断する特性を有する。なお、上記パージ用ガス及び上記他の連通路は、ガス遮断膜400と共に、或いは、このガス遮断膜400に代えて、ガス遮断手段として把握してもよい。
【0112】
これによれば、温度センサ340は、下側凹部212内のパージ用ガスによる上記腐食性ガスの遮断のもとに、連通路210a内の液体の温度を検出する。従って、当該液体の温度を検出するにあたり、温度センサ340が、上記腐食性ガスにより腐食されることなく、常に正常な検出作動を維持し得る。
(2)上記実施形態にて述べた検出装置本体300のハウジング300aにおいて、四角筒310及び上壁320は廃止してもよい。なお、上壁320は、ハウジング300aの構成にかかわりなく、基体200の台状四角柱部210の凹所210bを閉じる壁部材として把握してもよい。
(3)本発明は、枚葉式処理系統に代えて、バッチ式処理系統に適用してもよい。このバッチ式処理系統によれば、複数の半導体ウェハーが、まとまってバッチ式処理系統において処理薬液の処理或いは混合純水による洗浄を受けることになる。これによっても、処理薬液や混合純水の温度を検出するにあたり上記各実施形態にて述べたと実質的に同様の作用効果が達成され得る。
(4)温度検出装置の基体200、500、ハウジング300a、600a及び各配管P1〜P11等の各種構成部材の形成材料は、PFAに限ることなく、当該各種構成部材のうち薬液と接触する構成部材では、PTFEであってもよく、当該各種構成部材のうち薬液と接触しない構成部材では、PP或いはPVCであってもよい。
(5)ガス遮断膜400、700の形成材料は、PCTFE或いはPTFEに限ることなく、フッ素樹脂であればよく、一般的には、熱放射エネルギーに対する透過性及び上記薬液に対する遮断性を有する材料であればよい。
(6)連通路210aは、直線状に限ることなく、クランク状或いは蛇行状等の適宜な形状に形成されていてもよい。例えば、連通路210aの周壁は、下側凹部212の底壁部212bに相当する所定の壁部位を含む周壁部にて、下側凹部212側へクランク状に屈曲していてもよい。
【0113】
また、連通路210aが直線状であっても、連通路210aの周壁のうち下側凹部212の底壁部212bに相当する所定の壁部位を、下側凹部212側へ筒状に開口する筒状開口部として形成し、この筒状開口部の開口端部を閉じるように、底壁部212bを形成するようにしてもよい。
(7)本発明の実施にあたり、温度センサ340は、上記実施形態にて述べたものに限ることなく、サーモパイル素子を内蔵する赤外線センサであれば、どのようなものであってもよい。
(8)本発明は、半導体製造装置に代えて、液晶パネル製造装置等に適用してもよい。
(9)アスピレータ130に代えて、ポンプを採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】半導体製造装置の枚葉式処理系統に適用された本発明の第1実施形態を示すブロック回路図である。
【図2】図1の非接触式温度検出装置の拡大破断断面図である。
【図3】上記枚葉式処理系統に適用された本発明の第2実施形態の要部を示すブロック図である。
【図4】図3の非接触式温度検出装置の拡大破断断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態の非接触式温度検出装置を示す拡大破断断面図である。
【図6】図5の基体の左側面図である。
【符号の説明】
【0115】
200、500…基体、210a…連通路、210b…凹所、212b…底壁部、
330…底壁、340…サーモパイル型温度センサ、400、700…ガス遮断膜、
510…四角筒、512…下側開口端部、513…他側開口端部、530…連通管、
535…環状壁部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流れる連通路と、
この連通路の周壁の所定の壁部位に対し間隔をおいて対向するように配設されて前記液体から前記所定の壁部位を介し放射される熱放射エネルギーに基づき前記液体の温度を検出するサーモパイル型温度センサとを備えて、
前記連通路の前記周壁は、前記所定の壁部位にて、所定の薄さに形成されている非接触式温度検出装置。
【請求項2】
外方に向け開口する凹所を有するように形成してなる基体と、
この基体に前記凹所を閉じるように組み付けてなる壁部材とを備えて、
前記連通路は、前記所定の壁部位にて、前記凹所の底壁部を構成するように、前記基体に貫通状に設けられており、
前記温度センサは、前記凹所の前記底壁部に対し前記間隔をおいて対向するように前記壁部材に支持されて、前記液体から前記凹所内にその底壁部を介し放射される熱放射エネルギーに基づき前記液体の温度を検出することを特徴とする請求項1に記載の非接触式温度検出装置。
【請求項3】
前記液体は、腐食性ガスを放出する成分を含有しており、
前記基体は、前記腐食性ガスによっては腐食されにくい樹脂でもって形成されており、
前記基体には、前記凹所内に放射される前記熱放射エネルギーを前記温度センサへ伝達するとともに前記液体から前記凹所内にその底壁部を介し放出される前記腐食性ガスを前記温度センサから遮断するガス遮断手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の非接触式温度検出装置。
【請求項4】
前記ガス遮断手段は、前記凹所内にてその底壁部から前記温度センサを隔離するように支持されるガス遮断膜であって前記凹所内に放射される前記熱放射エネルギーを前記温度センサへ伝達するとともに前記凹所内に放出される前記腐食性ガスを前記温度センサから遮断するガス遮断膜であることを特徴とする請求項3に記載の非接触式温度検出装置。
【請求項5】
筒と、この筒の一側開口端部を閉じる一側壁部材とを備える基体と、
前記筒の他側開口端部を閉じる他側壁部材とを備え、
前記基体は、さらに、前記筒の周壁にその軸に交叉して挿通される連通管であってその周壁に前記筒の前記他側開口端部を臨むように前記所定の壁部位を形成してなる連通管を前記連通路として具備し、
前記他側壁部材は、前記連通管の前記所定の壁部位に対する対向部位にて、前記筒の前記他側開口端部からその外方に向け凹状となるように形成されており、
前記温度センサは、前記連通管の前記所定の壁部位に前記間隔をおいて対向するように、前記他側壁部材の前記凹状対向部位に支持されて、前記液体から前記連通管の前記所定の壁部位を介し前記筒内に放射される前記熱放射エネルギーに基づき前記液体の温度を検出することを特徴とする請求項1に記載の非接触式温度検出装置。
【請求項6】
前記液体は、腐食性ガスを放出する成分を含有しており、
前記基体及び前記連通管は、前記腐食性ガスによっては腐食されにくい樹脂でもって形成されており、
前記筒内を介し前記他側壁部材の前記凹状対向部位と前記一側壁部材との間に形成される空間内にて前記温度センサを前記所定の壁部位から隔離するように支持されて前記筒内に放射される前記熱放射エネルギーを前記温度センサへ伝達するとともに前記筒内に放出される前記腐食性ガスを前記温度センサから遮断するガス遮断膜が備えられていることを特徴とする請求項5に記載の非接触式温度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−19560(P2010−19560A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177557(P2008−177557)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000101514)アドバンス電気工業株式会社 (24)
【Fターム(参考)】