説明

非接触電力伝送装置及び移動車両

【課題】給電コイルと受電コイルとの間に金属異物が残存するのを防止して、常に非接触での電力伝送を効率的に行うことができる非接触電力伝送装置等を提供する。
【解決手段】非接触電力伝送装置1は、移動車両としての電気自動車2に対して非接触で電力の伝送を行うものであり、水平面に対して傾斜した状態或いは垂直に設置され、電気自動車2に設けられる受電コイル21とともに電磁気結合回路を形成する給電コイル13を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を非接触で伝送可能な非接触電力伝送装置、及び当該装置から伝送される電力を受電可能な移動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低炭素社会を実現すべく、動力発生源としてエンジンに代えて又はエンジンとともにモータを備える移動車両が多くなっている。エンジンに代えてモータを備える代表的な移動車両としては電気自動車(EV:Electric Vehicle)が挙げられ、エンジンとともにモータを備える移動車両としてはハイブリッド自動車(HV:Hybrid Vehicle)が挙げられる。このような移動車両は、モータを駆動する電力を供給する再充電が可能な蓄電池(例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池)を備えており、外部の電源装置から供給される電力によって蓄電池の充電が可能に構成されている。
【0003】
現在実用化されつつある電気自動車やハイブリッド自動車(正確には、プラグイン・ハイブリッド自動車)において、蓄電池を充電するための電力は、電源装置と移動車両とを接続するケーブルを介して伝送されるのが殆どである。これに対し、近年においては、蓄電池を充電するための電力を非接触で移動車両に伝送する方法が提案されている。電力を非接触で効率的に伝送するには、電源装置に設けられる給電コイルと移動車両に設けられる受電コイルとの相対的な位置関係を適切にする必要がある。
【0004】
ここで、電源装置の給電コイルと移動車両の受電コイルとの間に金属異物が侵入すると、金属異物の影響で伝送効率が低下する等の支障が生ずる虞がある。このような金属異物としては、アルミホイル等の風で舞って移動するものも考えられ、非接触での電力伝送が行われている間に給電コイルと受電コイルとの間に金属異物が侵入する可能性もある。以下の特許文献1には、電源装置の給電コイルと移動車両の受電コイルとの間の空間を囲うための隔壁材を配置し、移動車両の停車中に異物が侵入するのを防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−226946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1に開示された技術において、移動車両が電力伝送可能エリアに停止している間は、電源装置の給電コイルと移動車両の受電コイルとの間の空間が隔壁材で囲われるため、確かに金属異物の侵入を防止することができると考えられる。しかしながら、移動車両が電力伝送可能エリアに停止する以前に隔壁材で囲われるべき空間に金属異物が侵入してしまうと、その後で移動車両が電力伝送可能エリアに移動してきたときに隔壁材で囲われる空間に金属異物が残存することになるため、電力伝送に支障が生じてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、給電コイルと受電コイルとの間に金属異物が残存するのを防止して、常に非接触での電力伝送を効率的に行うことができる非接触電力伝送装置、及び当該装置から伝送される電力を受電可能な移動車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の非接触電力伝送装置は、移動車両(2)に対して非接触で電力の伝送を行う非接触電力伝送装置(1)であって、水平面に対して傾斜した状態或いは垂直に設置され、前記移動車両に設けられる受電コイル(21)とともに電磁気結合回路を形成する給電コイル(13)を備えることを特徴としている。
また、本発明の非接触電力伝送装置は、前記給電コイルが、フッ素樹脂被膜(13a)が少なくとも一方の面に形成された板状の容器に設けられていることを特徴としている。
若しくは、本発明の非接触電力伝送装置は、前記給電コイルが、多数の微小突起物(13b)が少なくとも一方の面に形成された板状の容器に設けられていることを特徴としている。
又は、本発明の非接触電力伝送装置は、前記給電コイルが、傾斜方向に延びる多数の溝(13c)が少なくとも一方の面に形成された板状の容器に設けられていることを特徴としている。
また、本発明の非接触電力伝送装置は、前記給電コイルが、車止め(ST)によって前記移動車両の進入が禁止される場所に、少なくとも上端部を設置面から突出させた状態で設置されることを特徴としている。
また、本発明の非接触電力伝送装置は、前記給電コイルが、前記移動車両が停車すべき停車位置に、全体が設置面から下方に埋設された状態で設置されることを特徴としている。
本発明の移動車両は、外部から非接触で伝送される電力を受電可能な移動車両(2)であって、上記の何れかに記載の非接触電力伝送装置が備える前記給電コイルに対して正対可能であり、前記給電コイルとともに前記電磁気結合回路を形成する受電コイル(21)を備えることを特徴としている。
或いは、本発明の移動車両は、外部から非接触で伝送される電力を受電可能な移動車両(2)であって、移動車両の底部に設けられ、上記の何れかに記載の非接触電力伝送装置が備える前記給電コイルとともに前記電磁気結合回路を形成する受電コイル(21)を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電力を給電すべき給電対象である移動車両に設けられる受電コイルとともに電磁気結合回路を形成する給電コイルを、水平面に対して傾斜した状態或いは垂直に設置したため、給電コイルの上面の金属異物を重力によって滑り落とすことができるという効果がある。これにより、給電コイルと受電コイルとの間に金属異物が残存するのが防止され、常に非接触での電力伝送を効率的に行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態による非接触電力伝送装置及び移動車両の要部構成及び位置関係を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態による非接触電力伝送装置及び移動車両の要部構成及び位置関係を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態による非接触電力伝送装置が備える給電コイルの斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態による非接触電力伝送装置及び移動車両の要部構成及び位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による非接触電力伝送装置及び移動車両について詳細に説明する。尚、以下では、移動車両が動力発生源としてモータのみを用いる電気自動車である場合を例に挙げて説明する。
【0012】
〔第1実施形態〕
図1,2は、本発明の第1実施形態による非接触電力伝送装置及び移動車両の要部構成及び位置関係を示す図である。尚、図1は、横方向から非接触電力伝送装置及び移動車両を見た場合の図であり、図2は、後ろ方向から非接触電力伝送装置及び移動車両を見た場合の図である。
【0013】
これら図1,図2に示す通り、本実施形態の非接触電力伝送装置1は、例えば駐車場の路面(設置面)に設置されており、路面上を走行する移動車両としての電気自動車2が、予め定められた位置関係(後述する電磁気結合回路が形成される位置関係)で停車しているときに、電気自動車2に対して電力(蓄電池23を充電するための電力)を非接触で伝送可能である。この非接触電力伝送装置1は、電源装置11、給電回路12、及び給電コイル13を備える。
【0014】
電源装置11は、電気自動車2に伝送すべき電力を生成するために必要となる電力を供給する電源であり、例えば電圧が200[V]である三相交流電力を供給する電源である。尚、この電源装置11は、三相交流電源に限られることはなく、商用交流電源のような単相交流電力を供給する電源であっても良い。
【0015】
給電回路12は、電源装置11から供給される電力を、給電コイル13と電気自動車2に設けられる受電コイル21とによって形成される電磁気結合回路を介して非接触で電気自動車2に供給する。具体的に、給電回路12は、電源装置11から供給される電力(交流電力)を整流して直流電力に変換するとともに、変換した直流電力を非接触電力伝送に適した交流電力に変換して給電コイル13に与えることにより、電気自動車2に対する非接触給電を実現する。
【0016】
電源装置11として燃料電池や太陽電池など直流電源を利用することも可能である。この場合、給電回路12における整流は省略可能である。
【0017】
給電コイル13は、路面に設置されており、給電回路12から供給される交流電力を非接触で電気自動車2に給電するためのコイルである。この給電コイル13と電気自動車2に設けられた受電コイル21とが近接した状態に配置されることで、上記の電磁気結合回路が形成される。この電磁気結合回路は、給電コイル13と受電コイル21とが電磁気的に結合して給電コイル13から受電コイル21への非接触の給電が行われる回路を意味し、「電磁誘導方式」で給電を行う回路と、「電磁界共鳴方式」で給電を行う回路との何れの回路であっても良い。
【0018】
この給電コイル13は、例えば駐車場の路面に形成された溝Gの内部に、水平面に対して傾斜し、且つその上端部が溝Gから路面上に突出した状態に設置される。尚、溝Gは、駐車場の路面上に設けられた車止めSTによって電気自動車2の進入が禁止される場所に形成されている。ここで、給電コイル13を水平面に対して傾斜した状態に設置するのは、給電コイル13の上面の金属異物を重力によって滑り落とすことによって、電力の伝送効率の低下を防止するためである。水平面に対する給電コイル13の傾斜角は、電力伝送効率と金属異物の滑り落とし効果とに応じて決定されるが、例えば45〜60°程度の傾斜角にするのが好適である。
【0019】
また、給電コイル13を、その上端部が溝Gから路面上に突出した状態に設置するのは、電気自動車2に対する電力伝送効率を高めるためである。仮に、全体が溝G内に収まるように給電コイル13を設置した場合には、給電コイル13を傾斜した状態に設置している関係から給電コイル13と電気自動車2の受電コイル21との間に溝Gの側壁が位置して電力伝送効率が低下する。かかる電力伝送効率の低下を防止するために、上端部が溝Gから路面上に突出した状態に給電コイル13を配置している。
【0020】
尚、上端部が路面上に突出した状態に給電コイル13を配置していることから、給電コイル13は車止めSTによって電気自動車2の進入が禁止される場所に形成された溝Gの内部に設置される。ここで、図1,図2に示す例では、上端部のみが溝Gから路面上に突出する状態に給電コイル13を配置しているが、電力伝送効率を高めるために必要であれば全体が路面上に位置するように給電コイル13を配置しても良い。
【0021】
図3は、本発明の第1実施形態による非接触電力伝送装置が備える給電コイルの斜視図である。図3に示す通り、給電コイル13は、平面視形状が長方形である板状の容器に設けられている。上述した通り、給電コイル13は、水平面に対して傾斜した状態に設置して上面の金属異物を重力によって滑り落とすようにしているため、給電コイル13を備える容器の上面は、金属異物を滑り易くするための加工が施されている。
【0022】
図3(a)に示す例では、給電コイル13を備える容器の上面にフッ素樹脂被膜13aが形成されている。このフッ素樹脂被膜13aを形成することによって、容器上面のすべり性が向上するため金属異物が滑り易くなる。また、フッ素樹脂被膜13aは非粘着性を有することから、金属異物以外の異物も付着しにくくなるため、容器上面に金属異物以外の異物が付着することによる金属異物の滑り落ちが妨げられるといった状況を防止することができる。
【0023】
図3(b)に示す例では、給電コイル13を備える容器の上面に多数の微小突起物13bが形成されている。尚、図3(b)においては、図示の都合上、微小突起物13bを拡大して図示している。この微小突起物13bは、例えば半球形状の微小な突起であり、容器上面と金属異物との接触面積を少なくして摩擦力を低減することにより、金属異物を滑りやすくするものである。尚、微小突起物13bは、半球状のものに制限される訳ではなく、容器上面のすべり性が向上するのであれば任意の形状のものを用いることができる。
【0024】
図3(c)に示す例では、給電コイル13を備える容器の上面に、傾斜方向に延びる多数の溝13cが形成されている。尚、図3(c)においても、図示の都合上、溝13cを拡大して図示している。この溝13cは、容器上面の金属異物を下方に導くガイドとして機能するものである。この溝13cが設けられていることにより、例えば溝13cに対して交差する方向の力が容器上面の金属異物に作用したとしても、溝13cの機能によって溝13cに沿った方向の力が生じて金属異物を滑り落とすことが容易になる。
【0025】
図1,図2に示す通り、移動車両としての電気自動車2は、受電コイル21、受電回路22、及び蓄電池23を備える。受電コイル21は、電気自動車2の後方底部に設けられており、非接触電力伝送装置1に設けられた給電コイル13から供給される電力(交流電力)を非接触で受電するためのコイルである。この受電コイル21が非接触電力伝送装置1の給電コイル13に近接することによって、前述した電磁気結合回路が形成される。
【0026】
受電コイル21は、非接触電力伝送装置1に設けられた給電コイル13と同様に、水平面に対して傾斜した状態で電気自動車2の後方底部に設けられている。これは、図1,図2に示す通り、電気自動車2が規定状態(電気自動車2の後輪の各々が車止めSTに当接した状態)で停止した場合に、受電コイル21を給電コイル13に対して正対させて電力伝送効率を高めるためである。尚、受電コイル21と給電コイル13とが正対した場合には、これらが平行又はほぼ平行になる。
【0027】
受電回路22は、非接触電力伝送装置1の給電コイル13と受電コイル21とによって形成される電磁気結合回路を介して非接触で供給されてくる電力(交流電力)を受電し、受電した電力を直流電力に変換する。蓄電池23は、電気自動車2に搭載された再充電が可能な電池(例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池)であり、電気自動車2に搭載された不図示のモータを駆動するための電力を供給する。
【0028】
尚、蓄電池23には、充電状態に応じて二次電池に適切な電圧・電流を供給するための充電器を内蔵若しくは付加していてもよい。
【0029】
次に、上記構成における非接触電力伝送装置1及び電気自動車2の動作について簡単に説明する。まず、運転者が電気自動車2を運転して、電気自動車2の後輪の各々が車止めSTに当接するまで電気自動車2を後退させて停止させる。これにより、図1,図2に示す通り、非接触電力伝送装置1の給電コイル13と電気自動車2の受電コイル21とが正対して電磁気結合回路が形成される。
【0030】
次に、非接触電力伝送装置1が、電気自動車2が電力伝送可能エリア内にいるか否かを判断し、電気自動車2が電力伝送可能エリア内にいると判断した場合には給電回路12を動作させて電力の伝送を開始する。次いで、電気自動車2が停止している状態で、運転者が電気自動車2に対して充電指示を行うと蓄電池23に対する充電が開始される。具体的に、電気自動車2に設けられた不図示の制御装置が受電回路22を動作させると、給電コイル13と受電コイル21とによって形成される電磁気結合回路を介して非接触電力伝送装置1から電気自動車2に非接触で伝送されてくる電力(交流電力)が受電回路22で受電される。受電回路22で受電された交流電力は直流電力に変換され、この直流電流を用いて蓄電池23の充電が行われる。
【0031】
非接触電力伝送装置1が、電気自動車2が電力伝送可能エリア内にいるか否かを判断する方法の一例として、車止めSTに荷重センサーを内蔵し、電気自動車2の後輪の各々が車止めSTに当接し荷重センサーが荷重を検出した状態のときに電気自動車2が電力伝送可能エリア内にいると判断することが可能である。
【0032】
ここで、電気自動車2が上述した規定状態(電気自動車2の後輪の各々が車止めSTに当接した状態)で停止しているか否かに拘わらず、非接触電力伝送装置1の給電コイル13の上面の金属異物は重力によって滑り落ちて溝Gの底部に落下する。これにより、給電コイル13と受電コイル21との間に金属異物が残存することがなく、電力を非接触で効率的に伝送することができる。
【0033】
以上の通り、本実施形態では、非接触電力伝送装置1の給電コイル13を水平面に対して傾斜した状態に設置しているため、給電コイル13の上面の金属異物を重力によって滑り落とすことができる。これにより、給電コイルと受電コイルとの間に金属異物が残存するのが防止され、常に非接触での電力伝送を効率的に行うことができる。
【0034】
〔第2実施形態〕
図4は、本発明の第2実施形態による非接触電力伝送装置及び移動車両の要部構成及び位置関係を示す図である。尚、図4は、横方向から非接触電力伝送装置及び移動車両を見た場合の図である。図4に示す通り、本実施形態の非接触電力伝送装置1は、第1実施形態とは給電コイル13の位置が異なり、本実施形態の電気自動車2は、第1実施形態とは受電コイル21の位置が異なる。
【0035】
つまり、非接触電力伝送装置1に設けられる給電コイル13は、電気自動車2が停車すべき停車位置に、全体が路面から下方に埋設された状態で設置されている。具体的に、給電コイル13は、車止めSTの手前(電気自動車2が停車すべき停車位置)に形成された溝Gの内部に、水平面に対して傾斜し、且つその全体が溝G内に収まるように設置される。給電コイル13を水平面に対して傾斜した状態に設置するのは、第1実施形態と同様に、給電コイル13の上面の金属異物を重力によって滑り落とすことによって、電力の伝送効率の低下を防止するためである。また、全体が溝Gの内部に収まるように給電コイル13の設置するのは、電気自動車2の車輪が衝突するのを防止するためである。
【0036】
電気自動車2に設けられる受電コイル21は、電気自動車2が水平面上に位置している場合に、水平又はほぼ水平になるように電気自動車2の底部に設けられている。具体的に、受電コイル21は、図4に示す通り、電気自動車2が規定状態(電気自動車2の後輪の各々が車止めSTに当接した状態)で停止した場合に、給電コイル13の上方に位置する部分に取り付けられている。これにより、受電コイル21の設置に必要なスペースを小さくすることができる。
【0037】
ここで、本実施形態では、図4に示す通り、電気自動車2が規定状態(電気自動車2の後輪の各々が車止めSTに当接した状態)で停止した場合であっても、受電コイル21が給電コイル13に対して正対せず、受電コイル21と給電コイル13とが平行又はほぼ平行にはならない。このため、受電コイル21が給電コイル13に対して正対している場合に比べて電力伝送効率は低下するが、給電コイル13と受電コイル21とによって電磁気結合回路が形成されているため、ある程度の効率をもって非接触で電力の伝送を行うことは可能である。
【0038】
ここで、給電コイル13と受電コイル21とによって形成される電磁気結合回路が「電磁界共鳴方式」で給電を行う回路である場合には、受電コイル21が給電コイル13に対して正対していなくとも高効率の電力伝送を行うことが可能である。このため、本実施形態では、給電コイル13と受電コイル21とによって「電磁界共鳴方式」で給電を行う電磁気結合回路を形成するのが望ましい。
【0039】
以上の通り、本実施形態においても、非接触電力伝送装置1の給電コイル13を水平面に対して傾斜した状態に設置しているため、給電コイル13の上面の金属異物を重力によって滑り落とすことができる。これにより、給電コイルと受電コイルとの間に金属異物が残存するのが防止され、常に非接触での電力伝送を効率的に行うことができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態による非接触電力伝送装置及び移動車両について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、非接触電力伝送装置1の給電コイル13が水平面に対して傾斜した状態に設置した例について説明したが、給電コイル13を水平面に対して垂直に設置しても良い。
【0041】
また、図3を用いて説明したフッ素樹脂被膜13a、多数の微小突起物13b、又は多数の溝13cは、給電コイル13を備える容器の上面のみならず底面に形成されていても良い。これにより、給電コイル13を設置する場合に、容器の何れの面を上面にするかを気にすることなく設置することができる。
【0042】
また、給電コイル13を設ける容器の平面視形状は、長方形に限らず、例えば楕円形であってもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、給電対象が蓄電池を搭載した電気自動車である場合を例に挙げて説明したが、本発明はプラグイン・ハイブリッド自動車に適用することもでき、搬送車にも適用することができる。更には、無人式移動車両にも適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 非接触電力伝送装置
2 電気自動車
13 給電コイル
13a フッ素樹脂被膜
13b 微小突起物
13c 溝
21 受電コイル
ST 車止め

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動車両に対して非接触で電力の伝送を行う非接触電力伝送装置であって、
水平面に対して傾斜した状態或いは垂直に設置され、前記移動車両に設けられる受電コイルとともに電磁気結合回路を形成する給電コイルを備えることを特徴とする非接触電力伝送装置。
【請求項2】
前記給電コイルは、フッ素樹脂被膜が少なくとも一方の面に形成された板状の容器に設けられていることを特徴とする請求項1記載の非接触電力伝送装置。
【請求項3】
前記給電コイルは、多数の微小突起物が少なくとも一方の面に形成された板状の容器に設けられていることを特徴とする請求項1記載の非接触電力伝送装置。
【請求項4】
前記給電コイルは、傾斜方向に延びる多数の溝が少なくとも一方の面に形成された板状の容器に設けられていることを特徴とする請求項1記載の非接触電力伝送装置。
【請求項5】
前記給電コイルは、車止めによって前記移動車両の進入が禁止される場所に、少なくとも上端部を設置面から突出させた状態で設置されることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の非接触電力伝送装置。
【請求項6】
前記給電コイルは、前記移動車両が停車すべき停車位置に、全体が設置面から下方に埋設された状態で設置されることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の非接触電力伝送装置。
【請求項7】
外部から非接触で伝送される電力を受電可能な移動車両であって、
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の非接触電力伝送装置が備える前記給電コイルに対して正対可能であり、前記給電コイルとともに前記電磁気結合回路を形成する受電コイルを備えることを特徴とする移動車両。
【請求項8】
外部から非接触で伝送される電力を受電可能な移動車両であって、
移動車両の底部に設けられ、請求項1から請求項6の何れか一項に記載の非接触電力伝送装置が備える前記給電コイルとともに前記電磁気結合回路を形成する受電コイルを備えることを特徴とする移動車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−115915(P2013−115915A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259501(P2011−259501)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】