説明

非晶質アルミニウムケイ酸塩、及び非晶質アルミニウムケイ酸塩を有する吸着剤、除湿ロータ及び空調装置

【課題】 湿度調節などの水分の調整、有害物質の除去、吸着される物質の貯蔵及び乾燥剤などに利用可能な多孔質無機材料、及びこの材料を利用した吸着剤、除湿ロータ及び空調装置を提供する。
【解決手段】 非晶質アルミニウムケイ酸塩であって、2nm以上6nm以下の範囲の半径を有する第1の細孔を有し、第1の細孔が単位質量あたりに占める容積が、0.6cm3/g以上4.0cm3/g以下であることを特徴とするものである。また、この非晶質アルミニウムケイ酸塩を吸着剤として用い、さらに空調装置の除湿ロータに含ませる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質無機材料に関するものであり、さらに詳しくは吸着特性に優れた非晶質アルミニウムケイ酸塩、及び非晶質アルミニウムケイ酸塩を有する吸着剤、及びその吸着剤を用いた除湿ロータ及び空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、湿度調節などの水分の調整、有害物質の除去、吸着される物質の貯蔵及び乾燥剤などに利用可能なことから、ナノメータ径の多量の微細孔を有する多孔質無機材料について、様々な研究がなされている。特に、広範囲な湿度領域において優れた吸脱着性能を有する水蒸気の吸着剤に利用可能な物質が開発されることが望まれている。
【0003】
例えば、フロン使用規制に対応した冷凍機及び冷蔵庫として、その熱効率の良さからデシカント空調装置が開発され、商品化されている。このデシカント空調装置では、吸着剤を付着させた除湿ロータを回転させつつ、そのロータを空気が通過することによって、空気中に含まれた余分な水蒸気を除去するとともに、顕熱ロータで熱交換を行うことによって、空調を行う。
【0004】
このデシカント空調装置をオフィスビルや家庭内の空調装置として利用可能とするために、広範囲な湿度領域において優れた吸着性能を有する吸着剤が必要不可欠である。また、その空調装置の熱効率を向上させるためには、特別の熱源を準備することなく、除湿ロータを脱水乾燥できることが必要である。そのため、広範囲な湿度領域において優れた吸着性能を有するとともに、比較的低温な熱源を利用して脱水乾燥可能な水蒸気の吸着剤を開発することが必要不可欠である。
【0005】
一方、比較的低温で脱水可能な材料として、アロフェン・イモゴライトが知られている(特許文献1及び2参照)。アロフェン・イモゴライトは、脱水温度としては40℃程度といった比較的低温でも脱水乾燥させることが可能である。しかし、アロフェン・イモゴライトを単体で用いた場合、あるいはゼオライトやシリカゲルといった既知の吸着剤と組み合わせて用いた場合であっても、それらの水蒸気吸着特性において、相対湿度が30%から80%の中湿度領域では水蒸気の吸着量が少なく、広範囲な湿度領域に対応するためには不十分な性能しか得ることができなかった。
【0006】
一方、相対湿度が0%〜30%の低湿度領域、あるいは相対湿度が80%以上の高湿度領域における水蒸気の吸着量を向上させたものとして、合成したアロフェン・イモゴライトを凍結乾燥させる処理により得られる、凍結乾燥アロフェン・イモゴライト(特許文献3参照)や、イモゴライトの合成において生成阻害因子となる塩素イオン濃度を高くして合成することにより得られる、アルミニウムケイ酸塩管状構造体(特許文献4参照)が知られている。しかしながら、アルミニウムケイ酸塩管状構造体では、中湿度及び高湿度領域において不十分な水蒸気の吸着性能しか得られていない。また、凍結乾燥アロフェン・イモゴライトでは、高湿度領域での吸着量が増加した分、中湿度領域における水蒸気の吸着量が不十分となる問題があった。
【0007】
また、吸着剤を上述したデシカント空調装置の除湿ロータに担持させる場合には、吸着剤が塗布等された基盤から剥がれることを防ぐために、一般的にバインダーを使用する。しかし、バインダー自体には水蒸気の吸放出特性がほとんどなく、またバインダーにより、吸着剤の細孔が塞がれてしまい、吸着剤自体の吸水性能まで劣化させてしまうという問題点があった。
【0008】
【特許文献1】特開2002−053849号公報
【特許文献2】特開2002−095926号公報
【特許文献3】特開2003−320216号公報
【特許文献4】特開2004−059330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は湿度調節などの水分の調整、有害物質の除去、吸着される物質の貯蔵及び乾燥剤などに利用可能な多孔質無機材料を提供することにある。
【0010】
また、本発明は、水蒸気の吸着特性を向上し、広い湿度領域に対応可能且つ低温で除湿乾燥可能な非晶質アルミニウムケイ酸塩、及びその様な非晶質アルミニウムケイ酸塩を用いた吸着剤を提供することを目的とする。
【0011】
さらに本発明は、オフィスビルや家庭内環境に適した空調装置、及びそのような空調装置に用いる除湿ロータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る、非晶質アルミニウムケイ酸塩は、2nm以上6nm以下の範囲の半径を有する第1の細孔を有し、第1の細孔が単位質量あたりに占める容積が、0.6cm3/g以上4.0cm3/g以下であることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩では、0.6nm以上1.0nm以下の半径を有する第2の細孔を有し、第2の細孔が単位質量あたりに占める容積が0.2cm3/g以上1.0cm3/g以下であることが好ましい。
【0014】
また、第1の細孔が単位質量あたりに占める容積の合計は、0.8cm3/g以上1.2cm3/g以下であることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩は、負の電荷を有する結合基を含む化合物若しくはハロゲン元素を含有し、化合物若しくはハロゲン元素が非晶質アルミニウムケイ酸塩中に占める重量比が3重量%以上50重量%以下であることが好ましく、その重量比が10重量%以上25重量%以下であることがなお好ましい。
【0016】
また、ハロゲン元素は塩素であることが好ましく、また上記化合物はリン酸であることが好ましい。
【0017】
また、本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩の製造方法は、無機ケイ素化合物水溶液と無機アルミニウム化合物水溶液とを混合する工程と、混合工程によって生成された水溶液にアルカリ性溶液を滴下することによって、pHが略4〜7の範囲にて非晶質アルミニウムケイ酸塩の前駆体を生成する工程と、前駆体を生成する工程で生成された前駆体を脱塩処理する工程と、脱塩処理された前駆体をエージングさせる工程とを有することを特徴とする。さらに、脱塩処理された前駆体を 純水又は酸性水溶液に分散させる工程を有し、エージングさせる工程では、分散された前駆体をエージングさせることが好ましい。
【0018】
本発明に係る吸着剤は、上述した非晶質アルミニウムケイ酸塩、若しくは上述した非晶質アルミニウムケイ酸塩の製造方法で製造された非晶質アルミニウムケイ酸塩を含むことを特徴とする。さらに、イモゴライトを含むアルカリ性水溶液をゲル状化したバインダーを有することが好ましい。
【0019】
また、本発明に係る空調装置の除湿ロータは、上述した吸着剤を有することを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明に係る空調装置の除湿ロータは、アルミニウムケイ酸塩管状構造体又はアロフェン・イモゴライトを有することが好ましい。
【0021】
さらに、本発明に係る空調装置は、上述した除湿ロータを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、広範囲な湿度領域において優れた吸着特性を有する非晶質アルミニウムケイ酸塩を得ることが可能となった。
【0023】
また、本発明によれは、相対湿度30%〜80%の中湿度領域において、優れた水蒸気の吸着特性を有する吸着剤を得ることが可能となった。
【0024】
さらに、オフィスや家庭環境といった、常温環境で使用することに適した空調装置、若しくはその空調装置で使用可能な除湿ロータを得ることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0026】
なお、以下の説明において、本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩が有する細孔の半径の分布は、比表面積自動測定装置により、窒素ガスを用いて−196℃で測定を行った上、Holvas-Kawazoe法により解析を行って測定される値(単位はcm3・g-1・ nm-1)とする。また、ある特定範囲の細孔半径を有する細孔が、単位質量あたりに占める容積の値とは、その特定範囲内に含まれる細孔半径の上記の測定値を、細孔半径1nmの幅毎に平均し、その平均値を足し合わせることにより算出したものを言う。例えば、細孔半径が1nm以上5nm以下である細孔が、単位質量あたりに占める容積の値とは、細孔半径1nm以上2nm未満、2nm以上3nm未満、3nm以上4nm未満、4nm以上5nm以下の各範囲で測定値を平均し、その平均した値を足し合わせた値となる。また、上記細孔半径の特定範囲が1nmに満たない場合は、その特定範囲全区間で平均し、その特定範囲の幅を乗じた値を、単位質量あたりに占める容積の値とする。
【0027】
さらに、本実施例の非晶質アルミニウムケイ酸塩の組成分布については、水分を含まない乾燥状態における重量%で表すものとする。
【0028】
本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩は、ナノメータ径の多量の微細孔を有する多孔質無機物質からなるものであり、水分子、低分子量の無機物質及び有機物質などを、多量に素早く吸着及び脱着する吸着剤として使用できる。そのため、湿度調節などの水分の調整、有害物質の除去、吸着される物質の貯蔵及び乾燥剤などとして広範な産業分野で利用できるものである。
【0029】
本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩の原料としては、無機ケイ素化合物等のケイ素源と無機アルミニウム化合物等のアルミニウム源が用いられる。ケイ素源として使用される試剤は、モノケイ酸化物であればよく、具体的にはオルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、無定形コロイド状二酸化ケイ素(エアロジルなど)などが好適なものとして挙げられる。一方、アルミニウム源としては、アルミニウムイオンであればよく、具体的には、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムなどのアルミニウム化合物が挙げられる。これらのケイ素源及びアルミニウム源は、上記の化合物に限定されるものではなく、それらと同じ効果を有するものであれば、同様に使用することができる。
【0030】
本発明においては、これらの原料をそれぞれ適切な水溶液に溶解させ、所定の濃度の溶液を調整する。次に、これらの溶液を混合して反応させる。その際、任意の比率で混合しても後述する前駆体の形成には問題はないが、好適にはケイ素/アルミニウム比は0.3〜1.0になるように混合する。ケイ素化合物溶液及びアルミニウム化合物溶液の濃度は、如何なる濃度からの合成でも前駆体は生成するが、好適な濃度としては、1〜500mmol/リットルのケイ素化合物溶液と1〜1000mmol/リットルのアルミニウム化合物溶液を混合することが好ましい。
【0031】
このアルミニウム化合物溶液にケイ素化合物溶液を混合した後、アルカリ性溶液を滴下し、弱酸性から中性にpHを調整し、前駆体を形成させる。
【0032】
前駆体の生成工程において、中和反応に用いるアルカリ性溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの溶液が挙げられる。本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩は、好適にはpHが4〜7程度の範囲で合成される。
【0033】
次に、その前駆体を含む溶液を、遠心分離、濾過又は膜分離等の適宜の手段を用いて、溶液中の共存イオンを取り除いた(脱塩処理した)後、回収した前駆体を純水あるいは酸性水溶液に分散させる。その前駆体を分散させる酸性水溶液としては、塩酸、硝酸、過塩素酸などが挙げられる。その後、得られた前駆体の分散溶液を室温にて攪拌させながら一定時間のエージング(熟成)を行う。その室温におけるエージングとしては、通常20℃〜30℃において5分〜48時間、好ましくは10分〜6時間の間、行われる。
【0034】
次に、エージングした前駆体分散溶液を乾燥させることにより、目的とした非晶質アルミニウムケイ酸塩を得ることができる。またこのときの乾燥温度は100℃以下であるが、0℃〜80℃であることが好ましい。
【0035】
図1に、上述のような方法で製造された非晶質アルミニウムケイ酸塩の構造例を示す。
【0036】
図1に示すように、本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩では、半径0.6nm〜1 nmの微細孔3を有するHASイオン(Hydroxyl Aluminum Silicate ion)1が、塩素、フッ素といったハロゲン元素、若しくは硝酸、リン酸等といった負の電荷を有する結合基を備える化合物2を介して結合され、半径2nm〜6nmの細孔4を形成していると想定される。毛細管凝縮に関するケルビン方程式を考慮すると、このように、半径2nm〜6nmの細孔4を多数有していることが、特に中湿度領域(相対湿度30%〜80%)において吸着特性に優れる要因と想定される。即ち、2.0nm以上6.0nm以下の半径を有する細孔が、各半径で比較的偏り無く分布していることが好ましい。具体的には、細孔半径が2.0nm以上6.0nm以下の細孔が非晶質アルミニウムケイ酸塩の単位質量あたりに占める容積が、0.6cm3/g以上4.0cm3/g以下であることが好ましい。半径2.0nm以上6.0nm以下の細孔の単位質量あたりの容積が0.6cm3/g未満では、中湿度領域全域に亘って優れた吸着特性を示すことが困難となる。一方、半径2.0nm以上6.0nm以下の細孔の単位質量あたりの容積が4.0cm3/gより大きい場合には、材料としての安定性を保つことが困難となり、耐久性に劣る。
【0037】
また、細孔半径が0.6nm以上1nm以下である微細孔を有し、その微細孔が単位質量あたりに占める容積が0.20cm3/g以上1.0cm3/g以下であることがなお好ましい。この条件を満たす場合、相対湿度30%未満の低湿度領域においても、優れた吸着特性を併せ持つことが可能となる。
【0038】
さらに、半径2.0nm以上6.0nm以下の細孔が非晶質アルミニウムケイ酸塩の単位質量あたりに占める容積の合計が、0.8cm3/g以上であることがなお好ましく、この場合、中湿度領域における吸着特性がなお優れたものとなる。同様に、半径2.0nm以上6.0nm以下の細孔が非晶質アルミニウムケイ酸塩の単位質量あたりに占める容積の合計が、1.2cm3/g以下であることがなお好ましく、この場合、材料としての安定性が向上し、耐久性に優れたものとなる。
【0039】
また、本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩には、ハロゲン元素、若しくは硝酸、リン酸等といった負の電荷を有する結合基を備える化合物を3重量%以上50重量%以下含むことが好ましい。この条件を満たす場合、半径2nm〜6nmの細孔が各半径で比較的偏り無く分布するように構成され、中湿度領域において優れた吸着特性が得られる。一方、本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩が、上記ハロゲン元素若しくは上記化合物を3重量%未満しか含まない場合、若しくは50重量%より多く含む場合、半径2nm〜6nmの細孔の形成が不十分となり、中湿度領域における吸着特性の向上は限定的となる。中湿度領域で優れた吸着特性を得るために、本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩は、上記ハロゲン元素若しくは上記化合物を10重量%以上25重量%以下含むことがなお好ましい。
【0040】
また上記ハロゲン元素は、塩素であることが好ましい。半径2nm〜6nmの細孔を形成し易く、中湿度領域における吸着特性に優れるためである。
【0041】
さらに、上記化合物としては、リン酸であることが好ましい。上記化合物がリン酸である場合、本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩は、HASイオン間の結合が強まるため、耐久性に優れ、吸着剤等として長期間使用しても劣化が少ないためである。
【0042】
上記により得られた非晶質アルミニウムケイ酸塩を吸着剤として使用することができる。係る吸着剤は、相対湿度30%〜80%の中湿度領域において、優れた水蒸気の吸着特性を有する。さらに、高湿度領域において水蒸気の吸着特性に優れた材料(例えば、特許文献3に開示された凍結乾燥アロフェン・イモゴライト)、又は低湿度領域において水蒸気の吸着特性に優れた材料(例えば、特許文献4に記載されたアルミニウムケイ酸塩管状構造体)の少なくともどちらか一種を含む材料を混合したものを吸着剤として使用することも可能である。係る吸着剤は、広範囲な湿度領域において、優れた水蒸気の吸着特性を有する。
【0043】
図2に、本発明に係る除湿ロータの一例を示す。
【0044】
図2(a)に、本発明に係る除湿ロータの概観図を示す。
【0045】
図2(a)に示すように、除湿ロータの基幹部品101は、円筒形をしており、円筒内部に回転軸102、ハニカム部103を有している。除湿ロータが回転軸102を回転中心として回転可能なように、回転軸102は、円筒の中心に配置した。ハニカム部103は、回転軸102の周囲に配置した。
【0046】
また、図2(b)に、本発明に係る除湿ロータのハニカム部103の拡大図を示す。
【0047】
ハニカム部103の孔壁104は、円筒の両端面間を空気が通り抜けられるように、円筒に略平行となるように構成した。また、孔壁104は、非晶質シリカのような吸水性の高い素材で構成した。
【0048】
本発明に係る除湿ロータは、除湿ロータの基幹部品の孔壁104に、上述した吸着剤を付着したものである。そして、この除湿ロータは、除湿ロータを回転軸102を回転中心として回転させ、除湿しようとする空気をハニカム部103に通すと、ハニカムに付着した吸着剤によって空気が除湿されるように動作するものである。
【0049】
本発明に係る除湿ロータの製造方法について説明する。
【0050】
本発明に係る吸着剤を含む水溶液を、上述した除湿ロータの基幹部品の孔壁104に含浸させる。その後乾燥させることによって、本発明の吸着剤を有する除湿ロータが製造される。なお、乾燥の際、吸着剤を孔壁104の表面に付着させることが重要である。
【0051】
また、吸着剤が剥がれないようにするため、孔壁104に吸着剤の含浸を終えた後、バインダー水溶液をハニカムの最表面に塗布してコーティングする。若しくは、上記の吸着剤とゲル化したバインダー水溶液とを混練した後、孔壁104に含浸させてもよい。
【0052】
ここでバインダーには、イモゴライトを含む水溶液、あるいはイモゴライトを含む水溶液を弱アルカリ性にしてゲル状にしたものを用いることが好ましい。このようなバインダーは、バインダー自体に水蒸気の吸放出性を有するため、より効率的な除湿ロータを提供することができる。
【0053】
除湿ロータの他の製造方法を以下に示す。
【0054】
本発明に係る吸着剤と、ポリビニルアルコール(PVA)からなる抄紙用バインダー、及び合成パルプといった構成材料を用いて、湿式抄紙法によってまず吸着剤を含むシートを作成する。次に、このシートを平面シートと波形シートに成型する。平面シートと波型シートを、アセトアセチル基を有する変性酢酸ビニル接着剤を用いてハニカムの接着部分が剥離しない程度に接着し、ハニカム状にする。そして、ハニカムを芯材に巻き付け、変性酢酸ビニル接着剤を用いて接着する。その結果、ロータ状にした円柱状エレメントが作成され、除湿ロータが完成する。
【0055】
除湿ロータの製造に使用する本発明に係る吸着剤は、本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩単体からなる吸着剤でもよく、さらに広範囲な湿度領域で最適に水蒸気の吸着を行えるように、本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩に凍結乾燥アロフェン・イモゴライト(特許文献3に開示されたもの)又はアルミニウムケイ酸塩管状構造体(特許文献4に開示されたもの)の少なくともどちらか1種を含む材料を混合した吸着剤でもよい。使用する吸着剤の組成は、本発明による除湿ロータを搭載した空調装置の用途(オフィス用、家庭用、冷蔵庫用、工場用等)や、使用条件(対象とする部屋の広さ等)に合わせて、最適化することが可能である。
【0056】
図3に、本発明に係る空調装置の一例を示す。
【0057】
本発明に係る空調装置は、一般にデシカント空調装置と呼ばれるものであり、前述した本発明に係る除湿ロータ100、顕熱交換ロータ200、蒸発冷却器300及び加熱器400等を有するように構成した。空調装置内には、外気を処理して快適な空気を室内に供給する処理側と、室内から外気へ放出される空気を利用した再生側とを、対向して配置した。また、除湿ロータ100は、外気に含まれる水蒸気を吸着し、除湿する吸着ゾーン110と、その除湿により吸着した水蒸気を再生側の空気を利用して脱着する脱着ゾーン120とを有し、ロータが吸着ゾーン110と脱着ゾーン120とを交互に通過するように回転可能に設けた。同様に顕熱交換ロータ200についても、連続して熱交換可能とするため、処理側の空気が通る第1ゾーン210と再生側の空気が通る第2ゾーン220とを交互に通過するように回転可能に設けた。
【0058】
以下に本発明に係る空調装置の動作について説明する。
【0059】
取り入れられた外気は、空調装置の処理側の流路510へ送られる。そして除湿ロータ100の吸着ゾーン110を通過して高温低湿空気となる。この高温低湿空気は、顕熱交換ロータ200の第1ゾーン210を通過する際に冷却される。さらに、顕熱交換ロータ200を通過した空気は、蒸発冷却器300でさらに冷却され、快適な空気となって室内に供給される。一方、室内から排出される排出空気は、再生側の流路520へ取り込まれる。再生側の流路へ取り込まれた排出空気は、蒸発冷却器300で冷却された後、顕熱交換ロータ200の第2ゾーン220を通り、顕熱交換ロータ200を冷却する。さらに、顕熱交換ロータ200を通過した排出空気は、加熱器400で加熱され、除湿ロータ100の脱着ゾーン120を通過した後、外気へ排出される。その加熱された排出空気が除湿ロータ100を通過することにより、除湿ロータ100に付着した水蒸気が脱着される。
【0060】
ここで、除湿ロータ100は、比較的低温でも水蒸気を脱着することが可能であるため、加熱器400用に特別の高温熱源を準備する必要が無い。そのため、廃熱源からの湯などを利用することが可能であり、エネルギー効率の良い空調装置を構成することができる。なお、加熱器400では、排出空気を約30℃以上に熱するだけの熱量を与えれば、除湿ロータ100に付着した水蒸気の脱着は可能であるが、約40℃〜200℃程度に熱するだけの熱量を与えることがより十分な脱着を実現するために好ましい。
【0061】
図4に、除湿ロータ100を複数の除湿ロータで構成した他の空調装置の例を示す。
【0062】
除湿ロータ100は、必ずしも1個のロータで構成される必要はなく、図4に示すように吸着剤毎に作成した複数のロータを直列式に並べても良い。例えば、高湿度領域における吸着特性に秀でた凍結乾燥アロフェン・イモゴライトからなる吸着剤を用いた高湿度用除湿ロータ130、中湿度領域で優れた吸着特性を有する本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩を吸着剤として用いた中湿度用除湿ロータ140、及び低湿度領域において優れた吸着特性を有するアルミニウムケイ酸塩管状構造体を吸着剤として用いた低湿度用除湿ロータ150を、直列に並べる。そして高湿度用除湿ロータ130の側から、除湿する空気を流すようにすることで、1種類の吸着剤だけを用いた除湿ロータを使用するよりも、広範囲な湿度領域において効率よく除湿することが可能となる。この際、除湿ロータを使用する目的や条件に合わせて、各除湿ロータの厚みや大きさを変えることも可能である。
【実施例】
【0063】
以下に、本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩について、さらに詳しく説明する。しかし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
SiO2濃度が60mmol/リットルになるように、純水で希釈したオルトケイ酸ナトリウム水溶液250ミリリットルを調整した。これと別に、塩化アルミニウムを純水に溶解させ、150mmol/リットル水溶液250ミリリットルを調整した。
【0064】
次に、塩化アルミニウム水溶液にオルトケイ酸ナトリウム水溶液を混合し、マグネティックスターラーで撹拌した。このときのケイ素/アルミニウム比は0.4である。さらにこの混合液に0.1N水酸化ナトリウム溶液500ミリリットルを滴下し、pHが5.7になるよう調整した。
【0065】
この溶液から遠心分離により前駆体を回収し、さらに純水で前駆体を1回遠心分離により洗浄した後、2リットルの純水中に分散させた。
【0066】
この前駆体の懸濁液2リットルに1N塩酸を6ミリリットル加えた後、室温で1時間撹拌させることによりエージングを行った。30℃で約6日間乾燥させることにより、第1の実施例に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩を得た。
【0067】
図5に、第1の実施例に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩の粉末X線回折図形を示す。図5に示すように、粉末X線回折において、2θ=26°、40°付近に比較的大きなブロードなピークを示し、非晶質物質であることが確認された。
【0068】
[実施例2]
SiO2濃度が90mmol/リットルになるように、純水で希釈したオルトケイ酸ナトリウム水溶液250ミリリットルを調整した。これと別に、塩化アルミニウムを純水に溶解させ、150mmol/リットル水溶液250ミリリットルを調整した。
【0069】
次に、塩化アルミニウム水溶液にオルトケイ酸ナトリウム水溶液を混合し、マグネティックスターラーで撹拌した。このときのケイ素/アルミニウム比は0.6である。さらにこの混合液に0.1N水酸化ナトリウム溶液10ミリリットルを滴下し、pHが6.5になるよう調整した。
【0070】
この溶液から遠心分離により前駆体を回収し、さらに純水で前駆体を2回遠心分離により洗浄した後、2リットルの純水中に分散させた。
【0071】
この前駆体の懸濁液2リットルに1N塩酸を6ミリリットル加えた後、100℃で1日間加熱を行った。加熱合成物をろ過することによって回収し、室温で乾燥させることにより、第2の実施例に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩を得た。
第2の実施例に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩についても、粉末X線回折において、2θ=26°、40°付近に比較的大きなブロードなピークを示し、非晶質物質であることが確認された。
【0072】
[比較例1]
比較例1として、特許文献2に開示された加熱合成イモゴライトを用いた。
【0073】
[比較例2]
比較例2として、特許文献3に開示された凍結乾燥アロフェン・イモゴライトを用いた。
【0074】
[比較例3]
比較例3として、特許文献4に開示されたアルミニウムケイ酸塩管状構造体を用いた。
【0075】
[比較例4]
比較例4として、市販の低温再生ゼオライトを用いた。
【0076】
図6に、実施例1又は2の非晶質アルミニウムケイ酸塩及び比較例1〜3について細径半径毎の細孔の分布を測定した結果を示す。図6において、実線11及び12は、それぞれ実施例1及び実施例2に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩の測定結果を表す。また、破線21〜23は、それぞれ比較例1〜比較例3の測定結果を表す。
【0077】
図6に示すように、実施例1又は2に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩は、2nm〜6nm近傍の領域で比較的ブロードなピークを有することを確認した。詳しくは、実施例1に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩では、細孔半径が2.0nm以上6.0nm以下の細孔が単位質量あたりに占める容積は、0.88cm3/gであり、同様に実施例2に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩では、細孔半径が2.0nm以上6.0nm以下の細孔が単位質量あたりに占める容積は、0.62cm3/gであった。
【0078】
また、実施例1又は2に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩は、0.6nm〜1nm近傍にもピークの存在を認められる。詳しくは、実施例1又は2に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩において、細孔半径が0.6nm以上1.0nm以下の細孔が単位質量あたりに占める容積は、それぞれ0.22cm3/g、及び0.24cm3/gであった。
【0079】
なお、実施例1に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩では、細孔半径2.0nm以上6.0nm以下の範囲では、細孔半径約2nmで単位質量あたりの細孔容積は最大となり、その値は0.33 cm3/(g・nm)であり、細孔半径0.6nm以上1nm以下の範囲では、細孔半径約0.65nmで単位質量あたりの細孔容積は最大となり、その値は0.69 cm3/(g・nm)であった。同様に、実施例2に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩においても、細孔半径2.0nm以上6.0nm以下の範囲では、細孔半径約2nmで単位質量あたりの細孔容積は最大となり、その値は0.21 cm3/(g・nm)であり、細孔半径0.6nm以上1nm以下の微細孔では、細孔半径約0.65nmで単位質量あたりの細孔容積は最大となり、その値は0.87cm3/(g・nm)であった。
【0080】
上述のように、実施例1又は2に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩は、細孔半径2.0nm以上6.0nm以下の細孔、及び細孔半径0.6nm以上1.0nm以下の微細孔の単位質量あたりの細孔容積を変化させたものと言える。
【0081】
一方、点線21〜23を参照すると、比較例1に係る加熱合成イモゴライトや比較例2に係る凍結乾燥アロフェン・イモゴライトでは、細孔半径が0.3nm〜0.6nm近傍で大きな単一のピークを有しているものの、細孔半径が1nmを超えると、細孔の量はほぼ単調減少となる。この点において、本実施例の非晶質アルミニウムケイ酸塩とは明らかなる差異を有する。詳しくは、加熱合成イモゴライトについては、細孔半径が2.0nm以上6.0nm以下の細孔が単位質量あたりに占める容積は、0.55cm3/gであった。またアロフェン・イモゴライトについては、細孔半径が2.0nm以上6.0nm以下の細孔が単位質量あたりに占める容積は、0.27cm3/gであった。さらに、比較例3のアルミニウムケイ酸塩管状構造体では、実施例や他の比較例と比べて、全般的に細孔の量が少ないことが見て取れる。
【0082】
さらに、実施例1の非晶質アルミニウムケイ酸塩の組成分布を調べると、水分を含まない乾燥状態において、Al2O3が49.68重量%、SiO2が32.02重量%、及びClが18.30重量%を占めていることを確認した。この測定結果は、本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩では、半径0.6nm〜1nmの微細孔を有するHASイオン(Hydroxyl Aluminum Silicate ion)が、ハロゲン元素(本実施例においては塩素イオン)を介して結合され、半径2nm〜6nmの細孔を形成しているとの想定を裏付ける一つの例証である。
【0083】
図7に、実施例1又は2に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩及び比較例1〜4の25℃における水蒸気吸着等温線を示す。実線31及び32は、それぞれ実施例1及び2に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩の水蒸気吸着等温線を表す。一方、破線41〜44は、それぞれ比較例1〜4の水蒸気吸着等温線を表す。
【0084】
実線31を参照すると、実施例1に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩では、相対湿度12%で吸湿率は20重量%となり、相対湿度の増加とともに吸湿率は増加し、相対湿度30%において約25重量%、相対湿度80%において約59重量%となる。
【0085】
実線32を参照すると、実施例2に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩では、相対湿度30%において約24重量%となり、実施例1よりも緩やかであるものの、相対湿度の増加とともに吸湿率は増加し、相対湿度80%において約40重量%となる。上記の実施例1と比較した場合、吸着特性は劣るものの、後述する他の比較例と同等以上の吸着性能を示すことが分かる。
【0086】
破線41を参照すると、比較例1の加熱合成イモゴライトでは、相対湿度30%において約22重量%、相対湿度80%において約34重量%の吸湿率となる。上記より、各実施例に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩では、相対湿度30%〜80%における吸湿率が加熱合成イモゴライトの最大で約2倍にも到達するという優れた値を有していることが分かる。
【0087】
破線42を参照すると、比較例2の凍結乾燥したアロフェン・イモゴライトでは、相対湿度80%〜100%の高湿度領域で吸着量が多いものの、相対湿度80%以下では最大で約20重量%の吸湿率であり、低中湿度での水蒸気吸湿率が実施例1又は2に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩の方が最大で約3倍となり、本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩の優位性は明らかである。
【0088】
破線43を参照すると、比較例3のアルミニウムケイ酸塩管状構造体(特許文献4参照)では、相対湿度が数%以下の領域では、実施例1又は実施例2に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩よりも吸湿率が高いものの、相対湿度30%以上の中高湿度領域となると、吸湿率は約20重量%でほぼ一定であり、実施例1又は2に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩の方が、相対湿度が高湿度になるほど吸着特性が優れることが分かる。
【0089】
破線44を参照すると、比較例4の低温再生ゼオライトでは、アルミニウムケイ酸塩管状構造体同様、相対湿度20%以上の領域においてほとんど吸湿率が向上しないのに対し、実施例1又は2に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩は、相対湿度20%〜80%の領域においても吸湿率は増加し、相対湿度30%〜80%の中湿度領域で低温再生ゼオライトより高い吸湿率を維持している。
【0090】
以上説明してきたように、本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩は、特に中湿度領域において、水蒸気の吸着特性が優れた材料である。
【0091】
また、上記の説明においては、水蒸気の吸着特性を例として説明してきたが、本発明に係る非晶質アルミニウムケイ酸塩は、吸湿剤としての使用に限られるものではなく、様々な低分子の吸着にも使用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明に係る、非晶質アルミニウムケイ酸塩の構造概念図である。
【図2】(a)は本発明に係る、除湿ロータの斜視図、(b)はその部分拡大図である。
【図3】本発明に係る、除湿ロータを用いた空調装置の概略構成図である。
【図4】本発明に係る、3段構成とした除湿ロータを用いた空調装置の概略構成図である。
【図5】本発明に係る、非晶質アルミニウムケイ酸塩の粉末X線回折図形を示した図である。
【図6】本発明の実施例に係る、非晶質アルミニウムケイ酸塩及び比較例の窒素吸着による細径分布を示した図である。
【図7】本発明の実施例に係る、非晶質アルミニウムケイ酸塩及び比較例の水蒸気吸着等温線を示した図である。
【符号の説明】
【0093】
1 HASイオン
2 ハロゲン元素
3 半径0.6nm〜1nmの微細孔
4 半径2nm〜6nmの細孔
100 除湿ロータ
101 除湿ロータの基幹部品
102 回転軸
103 ハニカム部
104 孔壁
110 吸着ゾーン
120 脱着ゾーン
130 高湿度用除湿ロータ
140 中湿度用除湿ロータ
150 低湿度用除湿ロータ
200 顕熱交換ロータ
210 第1ゾーン
220 第2ゾーン
300 蒸発冷却器
400 加熱器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質アルミニウムケイ酸塩であって、
2nm以上6nm以下の範囲の半径を有する第1の細孔を有し、
前記第1の細孔が単位質量あたりに占める容積が、0.6cm3/g以上4.0cm3/g以下であること、を特徴とする非晶質アルミニウムケイ酸塩。
【請求項2】
さらに、0.6nm以上1.0nm以下の半径を有する第2の細孔を有し、前記第2の細孔が単位質量あたりに占める容積が0.2cm3/g以上1.0cm3/g以下である、
請求項1に記載の非晶質アルミニウムケイ酸塩。
【請求項3】
前記第1の細孔が単位質量あたりに占める容積が、0.8cm3/g以上1.2cm3/g以下である、
請求項1又は請求項2に記載の非晶質アルミニウムケイ酸塩。
【請求項4】
さらに、負の電荷を有する結合基を含む化合物若しくはハロゲン元素を含有し、前記化合物若しくは前記ハロゲン元素が非晶質アルミニウムケイ酸塩中に占める重量比が、3重量%以上50重量%以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載の非晶質アルミニウムケイ酸塩。
【請求項5】
前記化合物若しくは前記ハロゲン元素が非晶質アルミニウムケイ酸塩中に占める重量比が、10重量%以上25重量%以下である、請求項4に記載の非晶質アルミニウムケイ酸塩。
【請求項6】
前記ハロゲン元素は、塩素である、請求項4又は請求項5に記載の非晶質アルミニウムケイ酸塩。
【請求項7】
前記化合物は、リン酸である、請求項4又は請求項5に記載の非晶質アルミニウムケイ酸塩。
【請求項8】
非晶質アルミニウムケイ酸塩の製造方法であって、
無機ケイ素化合物水溶液と無機アルミニウム化合物水溶液とを混合する工程と、
前記混合工程によって生成された水溶液にアルカリ性溶液を滴下することによって、pHが略4〜7の範囲にて非晶質アルミニウムケイ酸塩の前駆体を生成する工程と、
前記前駆体を脱塩処理する工程と、
脱塩処理された前駆体をエージングさせる工程と、
を有することを特徴とする非晶質アルミニウムケイ酸塩の製造方法。
【請求項9】
さらに、前記の脱塩処理された前駆体を純粋又は酸性水溶液に分散させる工程を有し、
前記のエージングさせる工程では、分散された前駆体をエージングさせる、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
吸着剤であって、
請求項1〜7の何れか一項に記載の非晶質アルミニウムケイ酸塩を含むこと、
を特徴とする吸着剤。
【請求項11】
吸着剤であって、
請求項8又は請求項9に記載の製造方法で製造された非晶質アルミニウムケイ酸塩を含むこと、
を特徴とする吸着剤。
【請求項12】
さらに、イモゴライトを含むアルカリ性水溶液をゲル状化したバインダーを含む、請求項10又は請求項11に記載の吸着剤。
【請求項13】
空調装置の除湿ロータであって、
請求項10〜12の何れか一項に記載の吸着剤を有すること、を特徴とする除湿ロータ。
【請求項14】
さらに、アルミニウムケイ酸塩管状構造体又はアロフェン・イモゴライトを有する、請求項13に記載の除湿ロータ。
【請求項15】
空調装置であって、
請求項13又は請求項14に記載の除湿ロータを有すること、
を特徴とする空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−240956(P2006−240956A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62336(P2005−62336)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(503452937)株式会社アースシップ (8)
【出願人】(000000147)伊藤忠商事株式会社 (43)
【Fターム(参考)】