説明

非水系農薬用展着剤組成物

【課題】 散布液の濡れ性を向上させる、即ち散布液の表面張力及び接触角を小さくさせる効果を有し、さらに、散布液の泡の生成を抑制させる効果を有し、しかもこれらの効果を、従来の展着剤組成物と比較して低濃度になるような高希釈度としても発現させうる展着剤組成物を提供する。
【解決手段】 1種または2種以上の界面活性剤を有効成分として、1種または2種以上の、引火点70℃以上の水溶性有機溶剤、及び1種または2種以上の消泡剤又は破泡剤を含有する組成物とする。各組成成分の含有率は界面活性剤10〜70質量%、該水溶性有機溶剤10〜90質量%、及び消泡剤又は破泡剤1〜20質量%とするのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬を水に希釈して散布する際にその散布液に加用して、作物や害虫等、農薬の散布対象に対して濡れ性を付与する展着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、農薬製剤である乳剤、水和剤、フロアブル剤、粒状水和剤等を水で希釈して散布するとき、植物や害虫の表面など水をはじき易い表面に農薬を効率よく付着させるため、展着剤組成物を加用するのが一般的である。
【0003】
展着剤組成物は、界面活性剤を主成分とし、その他助剤を加え水に溶解して成るものが一般的であり、保存時の安定性を付与するために、イソプロピルアルコールのような低級アルコール類等を含有させている。しかし、このような低級アルコール類は引火性を有するため、使用時及び保管時の安全性に問題があった。
また、農薬の散布液を調製する際、泡立ちが激しいと、散布液のタンクより泡が溢れ出る問題があり、対応策として、泡立ちが少ない界面活性剤を主成分とした低泡性の展着剤組成物が市販されているが、展着剤組成物自体は低泡性であるものの、農薬製剤に起因する泡を積極的に消失させる作用が小さいため、展着剤組成物加用による消泡効果は必ずしも十分ではなかった。
【0004】
これまで、農薬用展着剤組成物については、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリエーテル変性シリコーンをイソプロピルアルコールに溶解してなる非水系のものが提案されている(特許文献1参照)。しかし、このものは、水が配合されず、実質的に水を含有しない組成のものであって、展着剤組成物として求められる濡れ性の向上やポリエーテル変性シリコーンによる消泡効果は認められるものの、引火点の低いアルコールを組成物全量に対して50質量%も含有し、火災等の原因となる危険物に該当するため取扱い上制限されるのを免れなかった。また、所期の消泡効果を得るためには使用時の希釈倍率は2000倍程度と、使用時の展着剤組成物濃度としては高くなるように低希釈度とする必要があった。
【0005】
また、脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、引火点が比較的高い溶剤、例えば2−ブトキシエタノール等、及び水を配合してなる展着剤組成物(特許文献2参照)も提案されているが、この展着剤組成物は、安全性は高いものの消泡効果はないし、また、展着剤組成物としての効果を発現させるためには使用時の希釈倍率は400倍程度と低希釈度であって、比較的高い濃度で使用する必要があった。展着剤組成物は、希釈倍率に効果上の特段の制限はないが、流通や保管をする上で、又、環境負荷を低減するためにも、展着剤組成物として低濃度での使用、すなわち、高希釈度に希釈しても所期の効果が得られることが望ましい。
【0006】
【特許文献1】特開2000−1404号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献2】特開平6−60161号公報(特許請求の範囲その他)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
展着剤組成物に求められる効果として最も重要なのは、それが加用された散布液を植物や害虫の表面に付着し易くさせること、即ち濡れ性を向上させることであるが、それに加え該散布液の泡立ちを抑える効果もあればより使い易くなるので有利である。さらに、人畜、環境に対する負荷軽減のためにも、低濃度で用いられるものが望ましく、又、当然のことながら、引火点が高く安全性に優れることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題に対し、散布液の濡れ性を向上させる、即ち散布液の表面張力及び接触角を小さくさせる効果を有し、さらに、散布液の泡の生成を抑制させる効果を有し、しかもこれらの効果を、従来の展着剤組成物と比較して低濃度になるような高希釈度としても発現させうる展着剤組成物について鋭意研究した結果、引火点の高い有機溶剤に主成分である界面活性剤及び消泡剤又は破泡剤を溶解し、実質的に水を含まない非水系のものとすることで、展着剤組成物中の界面活性剤及び消泡剤又は破泡剤の濃度を共に高めうるため、従来の展着剤組成物より低濃度まで希釈しても所期の効果を発現させられ、しかもその効果を長期保存後も維持できることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
(1)1種または2種以上の界面活性剤を有効成分として、1種または2種以上の、引火点70℃以上の水溶性有機溶剤、及び1種または2種以上の消泡剤又は破泡剤を含有することを特徴とする非水系農薬用展着剤組成物。
(2)1種または2種以上の界面活性剤10〜70質量%、1種または2種以上の、引火点70℃以上の水溶性有機溶剤10〜90質量%、及び1種または2種以上の消泡剤又は破泡剤1〜20質量%を含有する前記(1)記載の非水系農薬用展着剤組成物。
(3)消泡剤又は破泡剤が、炭素数12以上の脂肪酸である前記(1)又は(2)記載の農薬用展着剤組成物。
(4)界面活性剤が、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを、この順でエチレンオキサイドがエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの総付加分子量の20〜80質量%となるように、炭素数8〜14の高級アルコールにブロック付加させた平均分子量400〜2000のノニオン界面活性剤及びジアルキルスルホコハク酸塩の一方又は両方である前記(1)又は(3)のいずれかに記載の非水系農薬用展着剤組成物。
(5)引火点70℃以上の水溶性有機溶剤が、ジメチルスルホキシドとプロピレングリコールの混合溶剤である前記(1)又は(4)のいずれかに記載の非水系農薬用展着剤組成物。
【0010】
本発明の非水系農薬用展着剤組成物は、引火点が70℃以上、即ち、消防法に関する危険物第4類第3石油類以上の安全性を有する水溶性有機溶剤を含有する。
本発明の非水系農薬用展着剤組成物に用いられる溶剤としては、引火点が70℃以上で、水と任意の割合で相溶する水溶性のものであれば、特に制限されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類や、ジメチルスルホキシド、γ‐ブチロラクトン等のケトン類や、グリコールエーテル類や、アセトアミド類や、ホルムアミド類や、ピロリドン類等の含窒素有機溶剤が挙げられるが、プロピレングリコールとN−メチル−2−ピロリドン又はジメチルスルホキシドとの混合溶剤が望ましく、特にプロピレングリコールとジメチルスルホキシドとの混合溶剤が望ましい。これらの水溶性有機溶剤は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。これらの水溶性有機溶剤は、本発明の非水系農薬用展着剤組成物100質量部に対し、好ましくは10〜90質量部、中でも20〜70質量部の範囲で用いられる。
【0011】
本発明の非水系農薬用展着剤組成物に用いられる界面活性剤は、散布液のぬれ性を向上させる効果を有し、かつ、前述の引火点が70℃以上の水溶性有機溶剤と任意の割合で相溶するものであれば特に制限されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホサクシネート等のアニオン系界面活性剤、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩類等のカチオン系界面活性剤等が挙げられるが、好ましくは平均分子量400〜2000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、中でもエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを、この順でエチレンオキサイドがエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの総付加分子量の20〜80質量%となるように、炭素数8〜14の高級アルコールにブロック付加させたものや、ジアルキルスルホコハク酸塩が用いられ、中でもこの両者を混合して用いるのがよい。これらの界面活性剤は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。これらの界面活性剤は、本発明の非水系農薬用展着剤組成物100質量部に対し、好ましくは10〜70質量部、中でも20〜60質量部の範囲で用いられる。
【0012】
本発明の非水系農薬用展着剤組成物に用いられる消泡剤又は破泡剤は、農薬製剤の散布液の泡を消失させ、或いは泡の生成を抑止する効果を有するものであれば特に制限されず、例えば、脂肪酸、金属石鹸、水に不溶のアルコール及びグリコール類、シリコーン、変性シリコーン等が挙げられるが、好ましくは脂肪酸である。脂肪酸は上記溶剤に溶解するものであれば特に制限されないが、好ましくは炭素数12以上の高級脂肪酸、中でもミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸が挙げられる。これらの脂肪酸は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。特に固体の脂肪酸については、液体の脂肪酸と組み合わせて用いるのが好ましい。
消泡剤又は破泡剤、中でも脂肪酸は、本発明の非水系農薬用展着剤組成物100質量部に対し、好ましくは1〜20質量部、中でも1〜10質量部の範囲で用いられる。
【0013】
本発明の非水系農薬用展着剤組成物は、実質的に水を含有しないものであって、無水であるのが好ましいが、組成成分自体に含まれる水及び製造時や保管時の不可避不純物として混入される水については許容される。組成成分により制限されるが、本発明の非水系農薬用展着剤組成物中の水分含量は少ない方が好ましく、具体的には2.5質量%以下とするのがよく、さらには1.5質量%以下、中でも0.75質量%以下とするのがよい。実質的に水を含有しないことで、消泡剤又は破泡剤、中でも脂肪酸の必要量が組成物中に溶解した状態で存在し、かつ、長期間保存後も散布液の泡を消失させ、或いは泡の生成を抑止する効果を維持するのが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の非水系農薬用展着剤組成物は、展着剤組成物の効果として最も重要な植物や害虫の表面に対するぬれ性の効果を付与する界面活性剤、展着剤組成物の加用された散布液の泡を消失させ、或いは泡の生成を抑止する効果の高い消泡剤又は破泡剤、中でも脂肪酸を、これらに対する溶解性が高い有機溶剤に溶解することにより、界面活性剤と、消泡剤又は破泡剤、中でも脂肪酸とを高濃度に配合しても、分離や白濁のおそれがなく、更に水が組成成分から除外されることにより、毒性面や低引火点などの問題を有する特殊な溶剤を用いることなく、安全性の高い汎用性の有機溶剤を用いることで優れた保存性を有するので有利である。
そして、本発明の非水系農薬用展着剤組成物は、従来の展着剤組成物と比較して、より低濃度になるように、より高希釈度に希釈しても、十分なぬれ性及び泡の消失或いは生成抑止効果が期待でき、特に泡の消失或いは生成抑止効果の高い消泡剤又は破泡剤、中でも脂肪酸を高率に配合できるため、当該効果は顕著に高くなる。また、水が組成成分から除外されることにより、この効果は長期にわたって安定して維持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、実施例により本発明を実施するための最良の形態を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。
なお、以下の実施例において、部は質量部を表す。
【実施例1】
【0016】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(東邦化学社製 ペポールAS−053X)38部、ジオクチルスルホサクシネート(東邦化学社製 エアロールCT−1L)2部を、ジメチルスルホキシド20部及びプロピレングリコール36部を混合した溶剤に溶解し、更に、ミリスチン酸2部及びオレイン酸2部を溶解して、農薬用展着剤組成物を得た。カールフィッシャー法(平沼微量水分測定装置 AQ−7、平沼自動水分気化装置LE−24 V2.0)による水分含量測定値は、0.49質量%であった。
【実施例2】
【0017】
ポリオキシエチレンポリオキシアルキレンアルキルエーテル(東邦化学社製ペポールAS−053X)36部、ジオクチルスルホサクシネート(東邦化学社製 エアロールCT−1L)4部を、ジメチルスルホキシド30部及びプロピレングリコール26部を混合した溶剤に溶解し、更に、ミリスチン酸2部及びオレイン酸2部を溶解して、本発明の農薬用展着剤組成物を得た。カールフィッシャー法(平沼微量水分測定装置 AQ−7、平沼自動水分気化装置LE−24 V2.0)による水分含量測定値は、0.52質量%であった。
【実施例3】
【0018】
ポリオキシエチレンポリオキシアルキレンアルキルエーテル(東邦化学社製 ペポールAS−053X)36部、ジオクチルスルホサクシネート(東邦化学社製 エアロールCT−1L)2部を、ジメチルスルホキシド40部及びプロピレングリコール14部を混合した溶剤に溶解し、更に、ミリスチン酸4部及びオレイン酸4部を溶解して、農薬用展着剤組成物を得た。カールフィッシャー法(平沼微量水分測定装置 AQ−7、平沼自動水分気化装置LE−24 V2.0)による水分含量測定値は、0.58質量%であった。
【0019】
比較例1
ポリオキシエチレンポリオキシアルキレンアルキルエーテル(東邦化学社製ペポールAS−053X)36部、ジオクチルスルホサクシネート(東邦化学社製エアロールCT−1L)2部を、ジメチルスルホキシド18部及びプロピレングリコール20部を混合した溶剤に溶解し、更に、ミリスチン酸2部及びオレイン酸2部を溶解した。ここに、水20部を加えたが、白濁した上に、油滴が水面に観察され、均一な溶液が得られなかった。
【0020】
比較例2
ポリオキシエチレンポリオキシアルキレンアルキルエーテル(東邦化学社製ペポールAS−053X)18部、ジオクチルスルホサクシネート(東邦化学社製 エアロールCT−1L)2部を、ジエチレングリコールモノブチルエーテル38部を混合した溶剤に溶解し、更にミリスチン酸1部及びオレイン酸1部を溶解した。ここに水40部を加え混合することにより農薬用展着剤組成物が得られるが、これは毒性的に問題のあるブチルカービトールを含有するという問題がある。
【0021】
比較例3
ポリオキシエチレンポリオキシアルキレンアルキルエーテル(東邦化学社製ペポールAS−053X)18部、ジオクチルスルホサクシネート(東邦化学社製 エアロールCT−1L)11部を、プロピレングリコール34部に溶解し、更にミリスチン酸0.4部及びオレイン酸1.6部を溶解した。ここに水35部を加え混合して、農薬用展着剤組成物を得た。
【0022】
比較例4
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(東邦化学社製 ペポールAS−053X)38部、ジオクチルスルホサクシネート(東邦化学社製 エアロールCT−1L)2部を、ジメチルスルホキシド20部、プロピレングリコール33.5部及び水2.5部を混合した溶液に溶解し、更に、ミリスチン酸2部及びオレイン酸2部を溶解して、本発明の農薬用展着剤組成物を得た。カールフィッシャー法(平沼微量水分測定装置 AQ−7、平沼自動水分気化装置LE−24 V2.0)による水分含量測定値は、2.9質量%であった。
【0023】
試験例1(表面張力及び接触角)
実施例1〜3及び比較例2及び比較例3の展着剤組成物及び市販展着剤組成物2種類(市販展着剤組成物A:ネオエステリン クミアイ化学工業社製市販品、市販展着剤組成物B:クミテン クミアイ化学工業社製市販品)を蒸留水で5000〜40000倍に希釈して表面張力(dyne/cm)及び接触角(度)を、前者はウィルヘルミー式(20℃)、後者は液滴法でそれぞれ測定した。その結果を表1及び表2にそれぞれ示す。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
各実施例の非水系農薬用展着剤組成物は、比較例2、3及び市販の展着剤組成物の希釈倍率に対し、更に2倍希釈しても同等以上のぬれ性を発揮した。
【0027】
試験例2(保存安定性)
実施例1〜3及び比較例2及び比較例3の展着剤組成物を−5℃で7日間、−20℃で7日間、40℃で120日間保存した際の外観上の変化及び上記と同様に表面張力及び接触角を測定した。その結果、何れも−20℃保存では凍結したが、解凍すると元に戻り、分離や不溶物の析出等、外観上の変化は認められなかった。その他の保存条件では、外観上の変化は無かった。また表面張力及び接触角の変化は何れの保存条件においても、保存前と比較して変化は無かった。
【0028】
試験例3(起泡性及び消泡性1)
実施例1〜3及び比較例2〜4の展着剤組成物及び市販展着剤組成物1種類(市販展着剤組成物A:ネオエステリン クミアイ化学工業社製市販品)を実施例の区は10000倍、比較例2及び市販展着剤組成物は5000倍希釈液を工業用水で調製した。ここに、コテツフロアブル(クミアイ化学工業社製殺虫剤水性懸濁製剤)を2000倍希釈となるように加えて混合し、展着剤組成物を含むコテツフロアブルの散布液を調製した。この希釈液を直径12cm、高さ19cmのガラス製の円筒形容器に500ml入れ、液面から40cmの高さのところより循環液が落ちるようにして、ポンプで循環させた。ポンプ動作開始2分後、10分後(10分後にポンプを止める)に生成した泡の高さ(cm)を測定し、更にポンプを止めてから1分後の泡の高さ(cm)を測定した。また、循環させた後の散布液を肉眼観察し、凝集、浮遊物、沈降物等の有無を確認した。
【0029】
【表3】

【0030】
試験例3(起泡性及び消泡性2)
【0031】
実施例1〜3及び比較例4の展着剤組成物を40℃で180日間保存した後の起泡性及び消泡性を上記と同様に測定した。
【0032】
【表4】

【0033】
試験例3及び4より、各実施例では比較例2〜4と同様に凝集、浮遊物、沈降物等は認められず、また、泡の高さにおいてもせいぜい7cmまでと消泡性でも優れているのに対し、比較例2〜4の展着剤組成物では、ポンプでの循環動作開始2分後にもう起泡性を示したり、或いは長期保存後に起泡性を示したりすることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種または2種以上の界面活性剤を有効成分として、1種または2種以上の、引火点70℃以上の水溶性有機溶剤、及び1種または2種以上の消泡剤又は破泡剤を含有することを特徴とする非水系農薬用展着剤組成物。
【請求項2】
1種または2種以上の界面活性剤10〜70質量%、1種または2種以上の、引火点70℃以上の水溶性有機溶剤10〜90質量%、及び1種または2種以上の消泡剤又は破泡剤1〜20質量%を含有する請求項1記載の非水系農薬用展着剤組成物。
【請求項3】
消泡剤又は破泡剤が、炭素数12以上の脂肪酸である請求項1又は2記載の非水系農薬用展着剤組成物。
【請求項4】
界面活性剤が、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを、この順でエチレンオキサイドがエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの総付加分子量の20〜80質量%となるように、炭素数8〜14の高級アルコールにブロック付加させた平均分子量400〜2000のノニオン界面活性剤及びジアルキルスルホコハク酸塩の一方又は両方である請求項1ないし3のいずれかに記載の非水系農薬用展着剤組成物。
【請求項5】
引火点70℃以上の水溶性有機溶剤が、ジメチルスルホキシドとプロピレングリコールの混合溶剤である請求項1ないし4のいずれかに記載の非水系農薬用展着剤組成物。