説明

面状発光装置

【課題】光源(LED)の位置および数に制約を受けることなく、薄型で省スペース化を図ることができ、また発光面からの発光均一性の高い面状発光装置を提供する。
【解決手段】意匠体2を発光表示する面状発光装置1は、意匠の形状を表す意匠形状部2cを有し、その意匠形状部2c内に下面が開口した凹所2aが形成されている意匠体2と、該意匠体2の下方に配設され、該意匠体2の平面視形状と略同一の平面視形状を有する平板状のシート体3と、シート体3の下面側に配設され、上面にシート体3の下面全体に接する発光面4cを有し、光源5からの光を導光する平板状の導光体4とを備え、光源5が意匠体2の凹所2a内で、導光体4の発光面に近接して配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型で発光面からの発光均一性の高い面状発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発光によるイルミネーション効果を狙った面状発光装置としては、光源にLED(発光ダイオード)を用いるとともに、光源から出射した光を導光、拡散させるために透明または半透明の導光体を配置した面状発光装置が知られている。面状発光装置には、例えば、導光体の側面に向かって光が入射するようにLEDを配置したエッジライト方式や、導光体の形状をL型として、導光体の一側面に入射した光が導光体内で方向を変えて拡散するL型方式や、導光体内にLEDを配設した導光体内光源方式などの方式がある。
【0003】
この面状発光装置の一例として、自動車のエンブレム等のロゴやマーク(意匠体)を光で装飾する発光装置が挙げられる(例えば、特許文献1および特許文献2)。この発光装置は、マーク本体、マーク本体の裏面側に配置される基板、基板のマーク本体と反対側の面にマウントされるLED、および導光体を備え、前記導光体は、上面側の凹部にLEDを収納するとともに、側面を発光面、裏面側をLEDの光軸方向に形成された反射面としている。ここで、この導光体の平面視形状は、前記マーク本体の平面視形状と相似であり、該導光体の側面の発光面によりマーク本体を発光表示する。また、導光体の裏面側にすり鉢状の凹部を設けて、その頂点がLEDの光軸上となるように配置しているので、LEDの光を凹部の壁面に均等に反射し、導光体内における光の分布の均一化を促して、発光面から放出される光の輝度の均一化を図るとしている。
【0004】
特許文献3には、導光体の側面に近接して光源となるLEDを配置したエッジライト方式の面状光源ユニットが開示されている。このエッジライト方式は、発光均一性は高いものの、設計の自由度が比較的低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−44330号公報
【特許文献2】特開2001−44329号公報
【特許文献3】特開平11−306831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1および特許文献2の発光装置は、導光体内にLEDを配設した導光体内光源方式による発光装置であるが、導光体の側面から発光するため、導光体をマーク本体の形状と相似形状とする必要があり、また、導光体全体の輝度を均一にするためには、複数のLEDを配設する必要があり、加工コストおよび製造コストが増加するといった課題を有する。
【0007】
また、特許文献1および特許文献2の発光装置は、図7(A)のように、LED55を収容する凹部56とは別に、導光体54の裏面側にすり鉢状の凹部57を、その頂点がLED55の光軸上となるように形成しているが、かかる構成では、LED55から照射された光の中心部の光がLED55付近で多く出光するため、図7(C)のように、LED55付近で極端に輝度が高くなり、図7(D)のように導光体54内で光線が集中する箇所Sが複数発生して、導光体54全体に光が行き届きにくくなり、図7(B)のように、発光面の中心部が極端に明るく周辺部に暗い部分が発生して発光均一性に劣る発光装置となる課題を有している。
【0008】
このような問題に鑑みて、本発明は、光源の位置および数に制約を受けることなく、薄型で省スペース化を図ることができ、また発光面からの発光均一性の高い面状発光装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る面状発光装置は、意匠の形状を表す意匠形状部を有し、その意匠形状部内に下面が開口した凹所が形成されている意匠体と、該意匠体の下方に配設され、平面視で該意匠体の外形と略同一の外形を有する平板状のシート体と、前記シート体の下面側に配設され、上面に該シート体の下面全体に接する発光面を有し、光源からの光を導光する平板状の導光体とを備え、前記光源が前記意匠体の凹所内で、前記導光体の発光面に近接して配設されている、意匠体を発光表示するものである。
【0010】
この構成によれば、光源を意匠体の意匠形状部の凹所内に配設することにより、光源を設置するための余分なスペースを設ける必要が無くなり面状発光装置の薄型化が図れる。これにより、自動車の外部に取り付けられるエンブレムなど設置スペースに制約がある部品にも適用できる。また、光源の配置の自由度が格段に高くなる。さらに、導光体内に設置する場合と比べても、導光体に光源を配置するための凹部を形成するなど加工の必要が無く、製造コストおよび製造工数を増やすことなく省スペース化を図れる。
【0011】
この面状発光装置において、前記光源の直下位置で前記導光体に、その上下方向に貫通する貫通孔が形成されていることが好ましい。この場合、光源の直下位置に貫通孔が形成されているため、該貫通孔の側面で光源から出射した光が回折して導光体内に拡散させる効果を奏すると同時に、導光体を貫通しているため、光源から出射した光のうち光源の中心に近い部分の光は貫通孔を通過してしまい、導光体の発光面から発光することはない。これにより導光体の光源に近い部分の発光量が他の部分と比べて大きくなることを防いで、導光体の発光面全体から均一に発光させることが可能となる。
【0012】
また、前記貫通孔は、前記導光体の上面における孔径が0.4〜1.0mm、下面における孔径が1.0〜4.0mmの範囲であって、その孔内側面が前記導光体の下方に向かって孔径が次第に大きくなる略円錘体形状を有してもよい。この場合、貫通孔は、導光体の上面から下面にかけて略円錘体形状に広がる孔内側面を有するため、光源から出射した光を無駄なく利用して、導光体内に均一に分散させることが可能となる。好ましくは、前記貫通孔の孔内側面は、下に凸となるような湾曲形状である。したがって、光源から出射した光の利用効率をさらに高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、光源を意匠体の意匠形状部の凹所内に配設するので、薄型で省スペース化を図ることができ、また光源の直下位置に導光体の貫通孔が形成されているので、発光面からの発光均一性を高くすることできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る面状発光装置の構成を示す分解斜視図である。
【図2】図1の面状発光装置のロゴ形状部を上方から見て左右対称となるようにII−II線で切断した縦断面図である。
【図3】本発明における面状発光装置に適用されるシート体を示す平面図である。
【図4】本発明における面状発光装置に適用される導光体を示す部分断面図である。
【図5】本発明における面状発光装置に適用される光源および導光体を示す側面図である。
【図6】(A)は本発明における面状発光装置の一部側面図、図6(B)〜(D)にそのシミュレーション結果を示す。
【図7】(A)は従来における面状発光装置の一部側面図、図6(B)〜(D)にそのシミュレーション結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明による面状発光装置1を、例えば車両を装飾するために自動車の外表面に配設されるエンブレムのロゴのような意匠体2に適用した分解斜視図である。なお、自動車の車種やブランドなどの名前やロゴマークを意匠体2に適用してもよい。
【0016】
図1の面状発光装置1は、意匠体2と光源5とシート体3と導光体4とをこの順に積層してなる。シート体3と導光体4が平板円盤状である。意匠体2は平面視で意匠の形状を表す意匠形状部2cの一例であるアルファベットAを円で囲んだサークルAのロゴ形状部を有し、このロゴ形状部2c以外の部分が刳り貫かれ貫通した形状に成形されている。意匠体2は、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂を射出成形して得られ、ABS樹脂の成形体の表面に塗装または印刷または蒸着またはメッキ等によって金属調にコーティングしている。
【0017】
面状発光装置1を意匠体2側(上方)から見た場合、意匠体2のロゴ形状部2c以外の部分は、シート体3の一部が露出しているため、該シート体3を視認できる。ここで、前記導光体4は、その上面の略全面を意匠体3およびシート体3によって被覆されている。
【0018】
図2は、面状発光装置1の意匠体2のロゴ形状部2cが平面視で互いに左右対称となるように図1のII−II線で切断した縦断面図である。意匠体2のロゴ形状部2cは、その内部に下面が開口した凹所(空間収納部)2aが形成されて、凹所2aの分だけ軽量化が図られる。この意匠体2は、軽量化を図りつつ、所要の強度、耐久性を確保するため、肉厚が約1.5mmとなるように成形されている。意匠体2の材料として採用されるものとしては、この他にポリプロピレンやポリエチレンなどの熱可塑性樹脂でもよいし、熱硬化性樹脂や金属などでもよい。
【0019】
光源5は、シート体3の上方位置で、意匠体2のロゴ形状部(意匠形状部)2cの凹所2a内に配設される。これにより、光源5を配置するための新たなスペースが不要となるため、設置スペースに制約がある場合でも面状発光装置1を採用できる。また、光源を導光体の側面に配置していた従来の発光装置と比べて、光源5の位置制約を受けることが少なくなり、設計の自由度が高められている。光源5としては、ガラスエポキシ樹脂基板上に実装された表面実装型のLED(発光ダイオード)が好適に用いられる。
【0020】
この例では、光源5を面状発光装置1の略中央に一個のみ配設しているが、これに限られるものではなく光源5を複数設置しても良いし、光源5は意匠体2の凹所2a内であれば任意の位置に設置することができる。
【0021】
図3はシート体3を上方から見た平面図を示している。シート体3は、ポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂を射出成形して得られる成形体であって、意匠体2の外形である円形と略同一となるよう薄板円盤状に形成され、意匠体2の凹所2aの開口およびロゴ以外の刳り貫かれた貫通部2bを遮蔽するように配設される。シート体3には、光源5の直下位置に貫通孔(光通過孔)3aが形成されている。該光通過孔3aによって、光源5から照射された光がシート体3によって反射されることなく、導光体4へと照射される。光通過孔3aは、光源5の有効発光エリア(図5)と同等あるいはそれ以上の範囲となるように形成されていることが、光源から出射した光の利用効率を高められるため好ましい。また、シート体3には、前記光源5から延びたハーネスを通すための挿通孔3bが形成されている。
【0022】
シート体3の裏面には、内側から黒色、青色、白色の順に印刷または塗装を行うことによって着色されている。黒色は、シート体3の意匠体2の貫通部2bに対応する部分、即ち、面状発光装置1の外部から視認できる部分のうち、発光部3c以外の部分に部分的に着色されて、導光体4によって導光された光を遮蔽して、面状発光装置1の外部に発光しない遮光部3dをシート体3に形成する。青色は、シート体3の裏面全面に着色されて、前記導光体4によって導光された光を透過させ、ロゴ形状部2c周りが青く発光する発光部3cをシート体3に形成する。白色は、シート体3の裏面全面に着色されて導光体4から導光された光を反射させ、前記遮光部3dにおいて光が減衰することを抑制し、光の利用効率を高めている。また、昼間などの非点灯時に発光部3cの部分の視認性を高める効果も奏する。
【0023】
図1の導光体4は、アクリル(PMMA)樹脂などの熱可塑性樹脂を射出成形等して得られる成形体であって、表面がシート体3と略同じ大きさとなるように形成され、シート体3の意匠体2に面する側と反対の側でシート体3に接するように配設されている。導光体4の上面が発光面4cである。導光体4には、その上下方向に貫通する貫通孔4aが形成されていて、図2のように、該貫通孔4aは、光源5およびシート体3の光通過孔3aの直下位置に形成されている。すなわち、光源5が導光体4の発光面4cに近接して配設されている。この光源5と導光体4の発光面4cとの離間距離は、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。また、導光体4には光源5から延びたハーネスを通すための挿通孔4bが形成されている(図1)。
【0024】
導光体4としては、上記アクリル樹脂のほか、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、シリコン樹脂などでも代替可能である。また、透明樹脂でなくても半透明でも使用することができる。
【0025】
図4のように、導光体4の貫通孔4aは、光源5側の上面の開口径よりも光源5と反対側の下面の開口径の方が大きく、その孔内側面が導光体4の下方に向かって孔径が次第に大きくなる略円錘体形状を有する。貫通孔4aは、導光体4の上面(光源5側の面)における開口4aaの孔径D1が0.4〜1.0mm、より好ましくは0.6〜0.8mmであり、導光体4の下面(光源5とは反対側の面)における開口4bbの孔径D2が1.0〜4.0mm、より好ましくは2.0〜3.0mmの範囲であることが、光源5から出射された光の利用効率を高める意味で好適である。
【0026】
貫通孔4aを設けることによって、光源5から出射された光は、その中心部分は該貫通孔4aを通過して捨てられると共に、その周りの部分が貫通孔4aの内側面で回折し、導光体4内に導光される。これにより、光源5の近くからの発光を抑制しながら、導光体4全体に光が分散されて導光体4の発光面4c全体において発光の均一性が高められた面状発光装置1を実現することが可能となる。
【0027】
また、貫通孔4aの内側面は内側に凸となるよう膨出した形状(湾曲形状)とすることがより好ましく、このような形状とすることによって、光源5から照射された光の利用効率をさらに高めることができる。この場合、導光体4に入射した光は、その中央部分の貫通孔4aの光源5側の開口4aa内へ入射し、光源5の反対側の開口4abへと抜けていく光は、そのまま通過して捨てられ、導光体4の内側面に当たった光は回折し、光源5から光の出射方向から方向を変えて、導光体4内を導光させることが可能となる。
【0028】
導光体4の裏面は、ドットパターンやシボ加工を施すか、白色の印刷又は塗装を施している。このような構成とすることによって、導光体4の裏面で光が反射するため、光の利用効率を高めることができる。
【0029】
図5に示すように、前記貫通孔4aは、光源5の有効発光エリア(LEDの発光部)と同等あるいはそれ以内のエリアに設けられていることが好ましい。具体的には、光源5側の開口4aaが光源5の有効発光エリアの大きさを超えない形状であり、かつ、光源5の反対側の開口4abが、光源5の指向特性で定められる半値角により規定された軸により光源5側の面に投影した大きさを超えないことが好ましい。
【実施例】
【0030】
以下、本発明による面状発光装置の実施例について説明する。
(実施例1)
光源としては、日亜化学製のLED NSSW64(3.2×2.8mm、半値角120°)を1灯のみ用いた。導光体としては、厚さ0.8mmの透明アクリル(PMMA)樹脂を用い、導光体の裏面に面内を均一に発光させるためのドットパターンをレーザーにて施した。また、導光体の表面、即ち、LED側の面に孔径D1=0.6mm、導光体の裏面に孔径D2=1.2mmとなるように、孔内側面が下に凸でR1.2(mm)の傾斜部を有する開孔を形成している。なお、LEDの発光面と導光体の間には、温度変化による収縮、膨張を考慮し、0.5mmの空隙を設けた。
【0031】
導光体の表面、即ち、LEDが配設される側にはロゴデザインに対応するように塗装又は印刷が施されている厚み0.5mmのシート体を配置し、さらに、その上面側にはロゴ形状部が凸状に形成されている意匠体を配置した。意匠体は、ABS樹脂を射出成形することにより形成されていて、凸状のロゴ形状部の内部には幅5mm程度の空間を有するように凹所が形成されている。LEDは、厚み1.0mmのガラスエポキシ樹脂基板上に実装された、表面実装型であって、このLEDを意匠体のロゴ形状部の凹所内に配置した。
【0032】
(実施例2)
光源としては、日亜化学製のLED NSSW64(3.2×2.8mm、半値角120°)を1灯のみ用いた。導光体としては、厚さ0.8mmの透明アクリル(PMMA)樹脂を用い、導光体の裏面に面内を均一に発光させるため、散乱体を配置した。また、導光体の表面、即ち、LED側の面に孔径D1=0.6mm、導光体の裏面に孔径D2=1.2mmとなるように、孔内側面が下に凸でR1.2(mm)の傾斜部を有する開孔を形成している。なお、LEDの発光面と導光体の間には、温度変化による収縮、膨張を考慮し、0.5mmの空隙を設けた。
【0033】
導光体の表面、即ち、LEDが配設される側にはロゴなどがデザインされている厚み0.5mmのシート体を配置し、さらに、その上面側にはシート体のロゴと同じロゴが凸状に形成されている意匠体を配置した。意匠体は、ABS樹脂を射出成形することにより形成されていて、凸状のロゴ形状部の内部には幅5mm程度の空間を有するように凹所が形成されている。LEDは、厚み1.0mmのガラスエポキシ樹脂基板上に実装された、表面実装型であって、このLEDを意匠体のロゴ形状部の凹所内に配置した。
【0034】
(実施例3)
光源としては、日亜化学製のLED NSSW64(3.2×2.8mm、半値角120°)を1灯のみ用いた。導光体としては、厚さ0.8mmのポリカーボネート(PC)樹脂を用い、導光体の裏面に面内を均一に発光させるためのドットパターンをレーザーにて施した。また、導光体の表面、即ち、LED側の面に孔径D1=0.6mm、導光体の裏面に孔径D2=1.2mmとなるように、孔内側面が下に凸でR1.2(mm)の傾斜部を有する開孔を形成している。なお、LEDの発光面と導光体の間には、温度変化による収縮、膨張を考慮し、0.5mmの空隙を設けた。
【0035】
導光体の表面、即ち、LEDが配設される側にはロゴなどがデザインされている厚み0.5mmのシート体を配置し、さらに、その上面側にはシート体のロゴと同じロゴが凸状に形成されている意匠体を配置した。意匠体は、ABS樹脂を射出成形することにより形成されていて、凸状のロゴ形状部の内部には幅5mm程度の空間を有するように凹所が形成されている。LEDは、厚み1.0mmのガラスエポキシ樹脂基板上に実装された、表面実装型であって、このLEDを意匠体のロゴ形状部の凹所内に配置した。
【0036】
(実施例4)
光源としては、日亜化学製のLED NSSW64(3.2×2.8mm、半値角120°)を1灯のみ用いた。導光体としては、厚さ0.8mmの透明アクリル(PMMA)樹脂を用い、導光体の裏面に面内を均一に発光させるためのドットパターンをレーザーにて施した。また、導光体の表面、即ち、LED側の面に孔径D1=0.6mm、導光体の裏面に孔径D2=4.1mmとなるように、孔内側面が下に凸でR1.2(mm)の傾斜部を有する開孔を形成している。なお、LEDの発光面と導光体の間には、温度変化による収縮、膨張を考慮し、0.5mmの空隙を設けた。
【0037】
導光体の表面、即ち、LEDが配設される側にはロゴなどがデザインされている厚み0.5mmのシート体を配置し、さらに、その上面側にはシート体のロゴと同じロゴが凸状に形成されている意匠体を配置した。意匠体は、ABS樹脂を射出成形することにより形成されていて、凸状のロゴ形状部の内部には幅5mm程度の空間を有するように凹所が形成されている。LEDは、厚み1.0mmのガラスエポキシ樹脂基板上に実装された、表面実装型であって、このLEDを意匠体のロゴ形状部の凹所内に配置した。
【0038】
(実施例5)
光源としては、日亜化学製のLED NSSW64(3.2×2.8mm、半値角120°)を1灯のみ用いた。導光体としては、厚さ0.8mmの透明アクリル(PMMA)樹脂を用い、導光体の裏面に面内を均一に発光させるためのドットパターンをレーザーにて施した。また、導光体の表面、即ち、LED側の面に孔径D1=3.2mm、導光体の裏面に孔径D2=4.1mmとなるように、孔内側面が直線状の開孔を形成している。なお、LEDの発光面と導光体の間には、温度変化による収縮、膨張を考慮し、0.5mmの空隙を設けた。
【0039】
導光体4の表面、即ち、LEDが配設される側にはロゴなどがデザインされている厚み0.5mmのシート体を配置し、さらに、その上面側にはシート体のロゴと同じロゴが凸状に形成されている意匠体を配置した。意匠体は、ABS樹脂を射出成形することにより形成されていて、凸状のロゴ形状部の内部には幅5mm程度の空間を有するように凹所が形成されている。LEDは、厚み1.0mmのガラスエポキシ樹脂基板上に実装された、表面実装型であって、このLEDを意匠体のロゴ形状部の凹所内に配置した。
【0040】
(比較例1)
光源としては、日亜化学製のLED NSSW64(3.2×2.8mm、半値角120°)を1灯のみ用いた。導光体としては、厚さ0.8mmの透明アクリル(PMMA)樹脂を用い、導光体の裏面に面内を均一に発光させるためのドットパターンをレーザーにて施した。導光体の表面、即ち、LEDが配設される側にはロゴなどがデザインされている厚み0.5mmのシート体を配置し、さらに、その上面側にはシート体のロゴと同じロゴが凸状に形成されている意匠体を配置した。意匠体は、ABS樹脂を射出成形することにより形成されていて、凸状のロゴ形状部の内部には幅5mm程度の空間を有するように凹所が形成されている。LEDは、厚み1.0mmのガラスエポキシ樹脂基板上に実装された、表面実装型であって、このLEDを前記導光体の側方へと配置し、導光体の側面へと光が照射されるように配設した。
【0041】
表1に、上記実施例1〜5および比較例1による面状発光装置によるイルミネーションの見栄えを観察した結果を示している。実施例1〜4については、ロゴ形状が均一に光ることを確認し、従来のエッジタイプの面状発光装置である比較例1と略同等の性能が得られていることを確認した。実施例5については、見栄えがやや劣る結果となった。
【0042】
【表1】

【0043】
図6(A)に面状発光装置1の一部側面図、図6(B)〜(D)にそのシミュレーション結果を示す。図6(A)の導光体4における貫通孔4aと、従来の発光装置である図7(A)の導光体54における凹部57とは、ともに光源から照射された光を回折して導光体内に光を導光することを目的としている点では同じであるが、本発明の導光体4に形成した貫通孔4aは、光源5側にも光源5の反対側にも開口した貫通した孔であるのに対して、従来の導光体54の凹部57は、導光体54の厚み方向途中から空間部が形成されて光源5の反対側に開口したものである。
【0044】
図6(D)のように、本発明による導光体4は、図7(D)のような光線の集中箇所Sを有する従来の導光体54と比べて光線が比較的均一になっており、また、図6(C)のように、本発明による導光体4は、図7(C)のような凹部57周辺に光線が集中し、光源54付近の輝度が他の部分と比べて著しく高くなって均一性に劣る従来の導光体54と比べて、光源5の直下位置に貫通孔4aによって光源4から照射された光の中心部分は捨てて、その周辺の光を導光体4全体へ導光しているため、平均輝度が高く、図6(B)のように、導光体4の発光面4cからより均一に発光させることを可能としている。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の面状発光装置は、光源の位置および数に制約を受けることなく、薄型で省スペース化を図ることができ、また発光面からの発光均一性を高くして意匠体を発光表示できるので、車両を装飾するのみならず、さまざまな装置の装飾において有用に用いることができる。
【0046】
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1:面状発光装置
2:意匠体
2a:凹所
2b:貫通部
2c:意匠形状部(ロゴ形状部)
3:シート体
3a:貫通孔(光通過孔)
3b:挿通孔
3c:発光部
3d:遮光部
4:導光体
4a:貫通孔
4c:発光面
5:光源(LED)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
意匠の形状を表す意匠形状部を有し、その意匠形状部内に下面が開口した凹所が形成されている意匠体と、該意匠体の下方に配設され、平面視で該意匠体の外形と略同一の外形を有する平板状のシート体と、前記シート体の下面側に配設され、上面に該シート体の下面全体に接する発光面を有し、光源からの光を導光する平板状の導光体とを備え、
前記光源が前記意匠体の凹所内で、前記導光体の発光面に近接して配設されている、意匠体を発光表示する面状発光装置。
【請求項2】
前記光源の直下位置で前記導光体に、その上下方向に貫通する貫通孔が形成されている請求項1に記載の面状発光装置。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記導光体の上面における孔径が0.4〜1.0mm、下面における孔径が1.0〜4.0mmの範囲であって、その孔内側面が前記導光体の下方に向かって孔径が次第に大きくなる略円錘体形状を有する請求項2に記載の面状発光装置。
【請求項4】
前記貫通孔の孔内側面は、下に凸となるような湾曲形状である請求項3に記載の面状発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−83520(P2012−83520A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229353(P2010−229353)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(390031451)株式会社林技術研究所 (83)
【Fターム(参考)】