靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム
【課題】足底圧の計測において荷重が検出されない欠損部分がある場合でも足底の重心バランスの偏りを常に精度よく判定できるようにし、足の問題をケアする靴またはインソールを的確に選定できるフィッティング・ナビゲーション・システムを提供する。
【解決手段】足底圧の圧力分布を計測する足底圧計測センサ20と、足を撮像するテレビカメラ30と、処理装置40と、モニタ画面50とを備え、足底圧データ取得部41により足底圧データを取得し、足画像取得部42により足画像を取得し、足底重心位置演算部43により足底重心位置を演算し、足外形寸法演算部44により足外形寸法を演算し、重心バランス判定部45により足底重心位置と足外形寸法とに基づいて重心バランスの偏りを常に精度よく判定する。また、足の症状判定部46により足の症状を判定し、選定部47により重心バランスの偏りと足の症状とに基づいて靴またはインソールを選定する。
【解決手段】足底圧の圧力分布を計測する足底圧計測センサ20と、足を撮像するテレビカメラ30と、処理装置40と、モニタ画面50とを備え、足底圧データ取得部41により足底圧データを取得し、足画像取得部42により足画像を取得し、足底重心位置演算部43により足底重心位置を演算し、足外形寸法演算部44により足外形寸法を演算し、重心バランス判定部45により足底重心位置と足外形寸法とに基づいて重心バランスの偏りを常に精度よく判定する。また、足の症状判定部46により足の症状を判定し、選定部47により重心バランスの偏りと足の症状とに基づいて靴またはインソールを選定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、靴またはインソールのフィッティングをナビゲーションするシステムに関し、特に足の問題をケアする靴またはインソールのフィッティングを的確にナビゲーションすることができる靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間は、関節や筋肉をたくみにコントロールしながら重心を移動させることで二足歩行を実現しているが、足の形状や歩行時の姿勢は各人各様であり、重心バランスに偏りがあるまま歩行したり、外反母趾、偏平足、ハイアーチなどの問題を抱えながら歩行するために、歩行時に転倒したり、足や下肢に過度の負担がかかって健康を害したりするなどの問題が生ずる場合も少なくない。
このため、従来より、足に問題を有する人は、足の問題をケアする靴やインソールを装用することで、これらの問題を改善することが行われてきた。
しかしながら、このような足の問題をケアする靴やインソールの選定には、足の状態や姿勢を的確に診断することのできるシューフィッターなどの専門家の診断を受ける必要があり、専門家のいないショップ等において足の問題をケアする適切な靴やインソールを選定することは困難であった。
このようなことから、専門家のいないショップ等においても、足の問題をケアする靴やインソールを的確に選定することができるフィッティング・ナビゲーション・システムの実現が期待されていた。
【0003】
このような靴やインソールのフィッティングをナビゲーションする従来技術として、例えば、特許文献1では、足型測定器により足の傾角およびアーチの高さ率を計測し、足の傾角およびアーチ率と足型との関係を定義した表を用いて靴または靴のパーツを選択する技術が開示されている。
また、特許文献2では、足の3次元形状を計測し、計測された3次元形状から踵断面を含む前後方向の2次元断面を求め、2次元断面の中心線から傾角を求めて、足の内外への傾きを矯正する靴または靴用中敷を選択する技術が開示されている。
また、特許文献3では、発色液と発色紙を用いて足底形を採取し、採取された足底形をイメージスキャナーでコンピュータに読み込み、あらかじめ足の情報とインソール情報とを関連づけたテーブルを用いてインソールを選定する技術が開示されている。
また、特許文献4では、足置透明板に載置された足を裏面側から撮像し、足置透明板の外周側端面から第1の光を導入し、足の外周側面に第1の光と異なる色の第2の光を照射することで、足底設置面形状と足底外周形状を同時に計測する技術が開示されている。
また、特許文献5では、足底圧の圧力分布を計測し、足底圧が平均的に分散する靴を導き出す技術が記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本願発明の一実施形態にかかる靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システムの外観構成図である。
【図2】本願発明の一実施形態にかかる靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システムの使用状態を示す図である。
【図3】本願発明の一実施形態にかかる靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システムのブロック構成図である。
【図4】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理の処理手順を示すフロー図である。
【図5】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理における重心バランス判定処理の処理手順を示すフロー図である。
【図6】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理における足の症状判定処理の処理手順を示すフロー図である。
【図7】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理における重心バランス判定処理の判定区分を示す図である。
【図8】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理における足の症状判定処理の判定区分(右足の場合)を示す図である。
【図9】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理により選定されるインソールの例を示す図である。
【図10】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理においてインソールを選定するためのインソール選定テーブルの例を示す図(その1)である。
【図11】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理においてインソールを選定するためのインソール選定テーブルの例を示す図(その2)である。
【図12】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理において足の診断メッセージを表示するためのメッセージテーブルの例を示す図である。
【図13】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理においてインソール選定メッセージを表示するためのメッセージテーブルの例を示す図である。
【図14】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理においてモニタ画面に表示される画像の例を示す図である。
【図15】本願発明の他の実施形態にかかる靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システムの測定器部の外観図である。
【図16】本願発明の一実施形態にかかる骨盤判定処理の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1に、本願発明の一実施形態にかかる靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム10の外観構成図を示す。
このシステムは、測定面上に直立した被験者の足底から受ける足底圧の圧力分布を計測する足底圧計測センサ(右足計測用20a、左足計測用20b)と、被験者の足の画像を撮像する足撮像用テレビカメラ(右足撮像用30a、左足撮像用30b)と、足底圧計測センサからの圧力データと足撮像用テレビカメラからの画像データを取得して被験者の足をケアする靴またはインソールを選定する処理を実行する処理装置40と、処理装置40により選定された靴またはインソールの選定結果や被験者に対するガイダンスを表示するモニタ画面50を備える。
【0034】
足底圧計測センサ20a、20bは、本実施形態では、導電性ゴムを用いた感圧センサを使用し、それぞれの足について、5mmピッチで64×32個の感圧センサを敷設して、足底圧の2次元分布を計測できるようにした。
足底圧計測センサ20a、20bの最後端には、踵の位置を基準位置に合わせるための踵ストッパー(右足用22a、左足用22b)を備える。この踵ストッパー22a、22bの踵が当る表面部分は、例えば、シリコン材のような足の踵の皮下組織と同等の硬度を有する部材によって形成し、センサの基準位置を踵ストッパーの表面から所定量だけ後に設定することが好ましい。これにより、後述する足撮像用カメラにより撮像された画像から、被験者が踵ストッパーに踵を押し当てた状態での足の先端位置を特定して足のサイズ(足長)を計測する際に、踵が変形することによって生ずる足長の計測誤差を最小限に抑えることができる。
また、足底圧計測センサ20a、20bの表面には、被験者の足の向きを合わせるための中心線表示(右足用24a、左足用24b)が表示されている。
本実施形態では、被験者が自然な姿勢で足底圧を計測できるように、左右の足底圧計測センサ20a、20bには、10°の開き角を設け、靴歩行の際の重心バランスを考慮して後方を高くする傾斜角を設け、左右の足底圧計測センサ間には15cmの空間を設けている。
被験者は、足底圧計測センサ20a、20bの上に、それぞれ右足と左足を乗せて立ち、それぞれの足の踵の中心を踵ストッパー22a、22bの中心に当て、中心線表示24a、24bが人差指と中指の間に入るようにして直立し、足底圧分布の計測を行う。
なお、この両足の開き角や傾斜角は、被験者の足の状態や使用する靴に合わせて調節できる調節要素を設けるようにしてもよい。
【0035】
足撮像用テレビカメラ30a、30bは、本実施形態ではCCDカメラを用い、足底圧計測センサ20a、20b上に直立する被験者の左右の足を前方上方より撮像する。
足撮像用テレビカメラで撮像された足の画像は、後述のように画像処理により画像内の足の先端位置と画像内の足の最大幅の画素数が特定され、特定された画像内の足の先端位置と踵ストッパーとの距離から足長が求められ、特定された画像内の足の最大幅の画素数から足幅が求められる。
画像内の足の先端位置から足長を求め、画像内の足の最大幅の画素数から足幅を求めるには、足撮像用テレビカメラ30a,30bにより撮像された画像の縦横の単位画素あたりの長さと、踵ストッパー22a、22bと画像との相対位置情報が必要となる。これらの情報は、足撮像用テレビカメラ30a,30bの光学系の設定から物理的に決定することも可能であるが、本実施形態では、一定間隔の格子模様が描かれたキャリブレーションシートを足底圧計測センサ20a、20bの上に設置し、これを足撮像用テレビカメラ30a、30bで撮像することで、縦横の画素あたりの長さと、踵ストッパーとの相対位置のキャリブレーションを行えるようにしている。
【0036】
尚、被験者は、さまざまな色の靴下を履いている可能性があり、足撮像用テレビカメラ30a、30bで撮像された画像から必要十分なコントラストで足部分を特定する画像処理を行うことが困難な場合も想定されるので、本実施形態では、足底圧計測センサ20a、20bの表面に装着される白系統色の色を有する樹脂シートと黒系統色の色を有する樹脂シートとを備え、被験者の靴下の色に応じて交換できるようにしている。これにより、足の画像から足の外形位置を検出する画像処理が容易となり、より確実に足の外形寸法を計測することができる。
【0037】
処理装置40は、本実施形態ではパーソナルコンピュータを用いているが、足底圧計測センサから足底圧データを取得し、足撮像用テレビカメラから足画像を取得し、所定の演算処理を行って、靴またはインソールの選定結果をモニタ画面に表示できるものであれば、どのようなものでもよい。
【0038】
モニタ画面50は、本実施形態ではカラー液晶表示画面を使用し、足底圧計測センサにより計測された足底圧分布を、圧力値に対応した疑似カラー表示を行えるようにしている。
また、モニタ画面50は、タッチスクリーンを装備し、被験者が画面をタッチすることで、処理を開始させたり、被験者に関する情報を入力したりできるようにしている。
【0039】
図2に、本願発明の一実施形態にかかる靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム10の使用状態を示す。
このシステムでは、被験者が、モニタ画面50に表示されるガイダンスに従って足底圧計測センサ20a、20bの上に足を乗せて直立することで、足底圧計測センサによる足底圧の計測と、足撮像用テレビカメラによる足外形寸法の計測とが一度に行われ、モニタ画面50に靴またはインソールの選定結果が表示される。
【0040】
図3に、本願発明の一実施形態にかかる靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム10の処理装置40のブロック構成を示す。
図のように、処理装置40は、足底圧計測センサ20a、20bから左右の足の足底圧データを取得する足底圧データ取得部41と、足撮像用テレビカメラ30a、30bから左右の足の足画像を取得する足画像取得部42と、足底圧データ取得部41により取得された左右の足の足底圧データから左右の足の足底の重心位置を演算する足底重心位置演算部43と、足画像取得部42により取得された左右の足画像より左右の足の外形寸法を演算する足外形寸法演算部44と、足底重心位置演算部43により演算された左右の足底の重心位置と、足外形寸法演算部44で演算された左右の足の外形寸法とに基づき、左右の足の重心バランスの偏りを演算する重心バランス判定部45と、足底圧データ取得部41により取得された左右の足の足底圧データに基づいて左右の足の症状を判定する足の症状判定部46と、重心バランス判定部45により判定された左右の足の重心バランスの偏りと、足の症状判定部46により判定された左右の足の症状とに基づき、左右の足をケアする靴またはインソールを選定する靴・インソール選定部47とを備える。
靴・インソール選定部47により選定された靴またはインソールの選定結果や足の診断結果は、モニタ画面50に表示され、被験者に提示される。
また、本システムでは、被験者のカルテを生成する機能も備え、靴またはインソールの選定結果や足の診断結果は被験者のカルテに記録され、必要に応じてプリンタ60により印刷することができる。
【0041】
次に、処理装置40において行われる具体的な情報処理を、足をケアするインソールを選定する場合を例にとって詳細に説明する。
図4に、本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理の処理手順を示す。
待機中は、「画面に触れると、インソール選定ナビゲーションが始まります」とのメッセージを記載したオープニング画面をモニタ画面50に表示する(S100)。
モニタ画面50において画面のタッチが検知されたら(S102)、このシステムの使用方法を説明する使用方法説明画面をモニタ画面50に表示する(S104)。
そして、基本情報取得画面を表示し、モニタ画面のタッチ位置に基づき、基本情報を取得する(S106)。本実施形態では、基本情報として、診断結果を表示する際に靴の推奨品を提示するために、被験者の性別を取得するようにしている。そのほか、年齢・身長・希望する靴の種別などの情報を取得するようにしてもよい。
【0042】
次に、計測に際してどのようにセンサに乗るかについての説明や、計測中の注意事項等を進行状況に合わせて説明する計測説明画面をモニタ画面50に表示する(S108)。
そして、モニタ画面に表示された計測説明画面に従って被験者に足底圧計測センサに乗ってもらい、「測定」ボタンが押されてから一定時間後、または所定時間経過後に、テレビカメラ30a、30bから左右の足画像を取得し(S110)、取得された左右の足画像について画像処理を行い、左右の足の外形寸法(足長Fl、足幅Fw)を求める(S112)。
足外形寸法計測中は、図14(1)のような画面が表示される。
【0043】
画像処理は、例えば、取得された左右の足画像に対して、平滑化処理によりノイズ成分を除去した後、適当な閾値により2値化処理をおこない、得られた2値画像に基づいて、足の最前部Y座標Yfと、最前部からY軸方向の一定範囲内の足の最内部X座標Xiと、最前部からY軸方向の一定範囲内の足の最外部X座標Xoとを検出し、キャリブレーションデータに基づいて、足の最前部Y座標Yfと踵ストッパーの位置に対応する足の最後部Y座標Yrの差分から足長Flを求め、足の最内部X座標Xiと足の最外部X座標Xoの差分から足幅Fwを求める。
尚、画像処理は、上記方法に限定されるものではなく、例えば、平滑化処理を行った画像について、Y方向の微分オペレータを用いて足の最前部Y座標Yfを求め、X方向の微分オペレータを用いて足の最内部X座標Xiと足の最外部X座標Xoを求める方法や、エッジ追跡オペレータを用いて、足画像のエッジを所定範囲で追跡させ、足の最前部Y座標Yf、足の最内部X座標Xi、足の最外部X座標Xoを求める方法などを用いることもでき、足画像から足の外形寸法を演算するものであればどのような方法を用いてもよい。
【0044】
足外形寸法(Fl,Fw)が正常に計測されたら(S114)、足底圧計測センサ20a、20bから左右の足の足底圧の2次元分布データを取得する(S116)。
足底圧データの計測中は、図14(2)のような画面が表示される。
測定は、10秒間にわたって行い、その間の異常な圧力値を除く足底圧データの平均値を求める。
【0045】
次に、取得された左右の足の足底圧分布データについて、上記画像処理により検出された左右の足の外形位置(この実施形態では、足の最後部Y座標Yrと足の最内部X座標Xi)を基準位置とするモーメント演算を行って左右の足底重心位置(長さ方向重心位置Gl,幅方向重心位置Gw)を演算する(S118)。
足の最後部Y座標Yrと足の最内部X座標Xiを基準とした左右の足の足底圧データをP(i,j)(iはY軸座標、jはX軸座標)とすると、足底重心位置(Gl,Gw)は次式により求められる。
Gl=ΣiΣjP(i,j)*i/Σi,jP(i,j)
Gw=ΣjΣiP(i,j)*j/Σi,jP(i,j)
【0046】
足底重心位置(Gl,Gw)が正常に計測されたら(S120)、左右の足について重心バランス判定処理を行う(S122)。重心バランス判定処理の詳細については後述する。
【0047】
また、取得された左右の足の足底圧分布データについて、足の症状判定処理を行う(S124)。ここでは、被験者の足に、外反母趾を含む前足部の問題、偏平足、ハイアーチがないかについて判定する。足の症状判定処理の詳細についても後述する。
【0048】
そして、重心バランス判定処理による判定結果と足の症状判定処理による判定結果とに基づき、後述するインソール選定テーブルを参照して、当該被験者の足の問題をケアするインソールを選定するインソール選定処理を行う(S126)。インソール選定処理の詳細についても後述する。
【0049】
最後に、インソール選定処理によって選定されたおすすめインソールを表示するとともに、靴の推奨品を紹介する判定結果画面をモニタ画面50に表示する(S128)。判定結果は、図14(3)のように表示される。
また、被験者が希望すれば判定結果をカルテに残すことができ、「カルテ」ボタンが押されるとカルテを表示し、「保存」ボタンが押されると判定結果をカルテに記録し、「印刷」ボタンが押されるとカルテをプリンタ60に印刷する(S130)。
一連の処理を終了すると、ナビゲーション終了画面が表示され(S132)、「終了」ボタンが押されると、最初に戻ってオープニング画面を表示する。
【0050】
S114において左右の足の外形寸法が正しく計測されない場合や、S120において左右の足の重心位置が正しく計測されない場合には、計測不良メッセージをモニタ画面に表示し(S140)、「戻る」ボタンが押されたらS108に戻って再計測を行い、「終了」ボタンが押されたらS132に進んでナビゲーションを終了する。
【0051】
図5に、重心バランス判定処理の処理手順を示す。
重心バランス判定処理(S200)は、最初に重心バランスの偏りを示すフラグ(前フラグF、後フラグR、外フラグO、内フラグI)をすべてリセットする(S202)。
ここで、Gl/Flが0.6を超える場合、すなわち長さ方向重心位置Glが足長Flの60%を超えている場合は(S204)、重心が前側に偏っていると判断し、前フラグFに1をセットする(S206)。
また、Gl/Flが0.4未満の場合、すなわち長さ方向重心位置Glが足長Flの40%未満の場合は(S208)は、重心が後側に偏っていると判断し、後フラグRに1をセットする(S210)。
また、Gw/Fwが0.6を超える場合、すなわち幅方向重心位置Gwが足幅Fwの60%を超えている場合は(S212)、重心が外側に偏っていると判断し、外フラグOに1をセットする(S214)。
また、Gw/Fwが0.4未満の場合、すなわち幅方向重心位置Gwが足幅Fwの40%未満の場合は(S216)、重心が内側に偏っていると判断し、内フラグIに1をセットする(S218)。
【0052】
上記重心バランス判定処理(S200)により、重心バランスの偏りが図7のように判断される。
すなわち、足底の重心位置が、足の外形寸法に対して、MMの範囲にあれば「問題が発見されなかった」と判断され、「重心がFMの範囲にあれば「重心が前に偏っている」と判断され、RMの範囲にあれば「重心が後に偏っている」と判断され、MOの範囲にあれば「重心が外に偏っている」と判断され、MIの範囲にあれば「重心が内に偏っている」と判断され、FOの範囲にあれば「重心が前外に偏っている」と判断され、FIの範囲にあれば「重心が前内に偏っている」と判断され、ROの範囲にあれば「重心が後外に偏っている」と判断され、RIの範囲にあれば「重心が後内に偏っている」と判断される。
【0053】
図6に、足の症状判定処理の処理手順を示す。
足の症状判定処理(S300)は、最初に足の症状を示すフラグ(前足部問題フラグFP、偏平足フラグFF、ハイアーチフラグHA)をすべてリセットする(S302)。
次に、取得された足底圧データについて、足指部分を取り除いた足底領域を9×5のエリアに分割し、全エリアの圧力範囲に基づいて各エリアの圧力を5段階表示した圧力段階値Pa(i,j)と、前足側3列の圧力範囲に基づいて各エリアの圧力を5段階表示した圧力段階値Ps(i,j)を求める(S303)。
【0054】
足の症状判定処理は、上記足底の圧力段階値Pa(i,j)、Ps(i,j)に基づいて、外反母趾等の前足部の問題の判定、偏平足の判定、ハイアーチの判定を行う。
図8に、各判定を行う際に圧力段階値を参照するエリア(右足の場合)を示す。
ここで、i=9,8は確実に前足部に該当する部分であり、i=7は前足部と中足部のグレーゾーンに該当する部分であり、i=6,5は確実に中足部に該当する部分であり、i=4は中足部と後足部のグレーゾーンに該当する部分であり、i=3,2,1は確実に後足部に該当する部分である。
【0055】
前足部の問題は、次の3つのステップに分けて判断される。
まず、i=7〜9、j=1,5の圧力段階値Pa(i,j)のいずれかが、圧力段階5(最高圧力)であることが検出されたら(S304)、前足部に問題があると判断し、前足部フラグFPを1にセットする(S310)。
次に、i=7〜9、j=1〜5の圧力段階値Pa(i,j)のすべてが、圧力段階3以下であることが検出されたら(S306)、前足部に問題があると判断し、前足部フラグFPを1にセットする(S310)。
最後に、i=7〜9、j=1,5の圧力段階値Ps(i,j)のいずれかが、圧力段階5であり、かつ、i=7〜9、j=2〜4の圧力段階値Ps(i,j)のすべてが圧力段階5未満であることが検出されたら(S308)、前足部に問題があると判断し、前足部フラグFPを1にセットする(S310)。
このように、前足部の問題は、前足部の圧力の段階に応じて、判定条件を変えることで、前足部の問題をより精度よく判定できるという特有の効果を有する。
【0056】
偏平足は、i=5,6、j=1,2の圧力段階値Pa(i,j)のなかに圧力が0でない部分が検出されたら(S312)、偏平足であると判断し、偏平足フラグFFを1にセットする(S314)。
【0057】
ハイアーチは、i=5,6、j=1〜5のすべての圧力が0であることが検出されたら(S316)、ハイアーチであると判断し、ハイアーチフラグHAを1にセットする(S318)。
【0058】
インソール選定処理は、重心バランス判定処理によって設定された各フラグ(前フラグF、後フラグR、内フラグI、外フラグO)と、足の症状判定処理によって設定された各フラグ(前足部フラグFP、偏平足フラグFF、ハイアーチフラグHA)の設定状況に基づいて、インソール選定テーブルを参照して、足の診断メッセージと、インソール選定メッセージと、推奨されるインソール種別とを取り出すことにより行われる。
【0059】
図9に、本インソール選定処理により選定されるインソールの種別を示す。
インソール1は、前足部にパッドを設けたもので、主として重心バランスが前側に偏っている場合や前足部に問題がある場合の足のケアに使用される。
インソール2は、後足部にパッドを設けたもので、主として重心バランスが後側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール3は、後足から内側に向かってパッドを設けたもので、主として重心バランスが内側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール4は、後足から外側に向かってパッドを設けたもので、主として重心バランスが外側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール5は、中足部内側にパッドを設けたもので、主として軽い偏平足の場合の足のケアに使用される。
インソール6は、中足部内側のパッドを強化したもので、主として強い偏平足の場合の足のケアに使用される。
インソール7は、インソール1とインソール5を組み合わせたもので、主として偏平足またはハイアーチであって、前足部に問題があるかまたは重心バランスが前側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール8は、インソール1とインソール3を組み合わせたもので、主として重心バランスが前内側に偏っている場合や、前足部に問題があって重心バランスが内側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール9は、インソール1とインソール4を組み合わせたもので、主として重心バランスが前外側に偏っている場合や、前足部に問題があって重心バランスが外側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール10は、インソール1とインソール2を組み合わせたもので、主として前足に問題があって重心バランスが後側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール11は、インソール1とインソール3とインソール5を組み合わせたもので、主として偏平足またはハイアーチであって、重心バランスが前内側に偏っている場合や、前足部に問題があって重心バランスが内側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール12は、インソール1とインソール4とインソール5を組み合わせたもので、主として偏平足またはハイアーチであって、重心バランスが前外側に偏っている場合や、前足部に問題があって重心バランスが外側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール13は、インソール1とインソール2とインソール5を組み合わせたもので、主として偏平足またはハイアーチであって、前足部に問題があって重心バランスが後側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール14は、インソール3とインソール5を組み合わせたもので、主として偏平足であって重心バランスが内側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール15は、インソール4とインソール5を組み合わせたもので、主として偏平足であって重心バランスが外側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール16は、インソール2とインソール5を組み合わせたもので、主として偏平足であって重心バランスが後側に偏っている場合の足のケアに使用される。
【0060】
図10、11に、重心バランス判定処理の判定結果と足の症状判定処理による判定結果に基づいて足をケアするインソールを選定するためのインソール選定テーブルの一例を示す。
重心バランス判定処理では、前述のように縦3通り×横3通りの計9通りの組み合わせがある。また、足の症状判定処理では、3つの症状の組み合わせとしては、組み合わせ上は8通りあるが、実際には偏平足とハイアーチの組み合わせは両立しないと考えられるので、6通りの組み合わせとなる。従って、全体として9×6=54通りの判定の組み合わせが生ずる。
この54通りの判定の組み合わせについて、この実施形態のインソール選定テーブルでは、足の症状判定結果に対しては通常の専門家が行う足をケアする方法の考え方に基づいてインソールを選定し、重心バランス判定結果に対しては重心バランスをより安定化させる方向に作用するインソールを選定するようにした。
なお、足の症状判定処理の判定結果と、重心バランス判定処理の判定結果が矛盾する場合は、足の症状の改善を優先させてインソールを選定させ、矛盾がない場合には、足の症状改善に対して重心バランスの改善を組み合わせてインソールを選定させる。すなわち、足の症状判定に対するインソールが重心バランス判定に対するインソールを兼ねている場合、および、重心バランス判定に対するインソールが足の症状判定に対するインソールの効果を妨げる可能性がある場合には、重心バランス判定に対するインソールは選定されない。
【0061】
図10、11に示すインソール選定テーブルにより、重心バランス判定処理による各判定フラグ(F,R,I,O)と足の症状判定処理による各判定フラグ(FP,FF,HA)の設定状況に対応して、推奨されるインソールの番号とともに、足の診断メッセージ番号と、インソール選定メッセージ番号とが選択される。
これにより、図12の足の診断メッセージテーブルを参照して足の診断メッセージが選択され、図13のインソール選定メッセージテーブルを参照してインソール選定メッセージが選択され、推奨されるインソールがこれらのメッセージとともにモニタ画面50に表示される。
尚、組み合わせ番号12,17,18,30,35,36,48,53,54においては、2種類のインソールが選定されているが、これらは前足部に問題があって重心が後よりになっているものであって、上述の足の症状判定と重心バランス判定とが矛盾する場合に相当するものである。
図13のインソール選定メッセージでは、簡単のため前足部に問題がある場合とない場合の両方の推奨インソールをまとめて表示するメッセージとしているが、実際には、被験者に対して実際に前足部に問題があるか否かについての入力を求め、その結果に基づいて好ましいインソールを表示する。
【0062】
以上のようなインソール選定ナビゲーション処理により選定されたインソールによる足の問題の改善効果を検証するため、重心バランスに偏りを有する被験者38名(男性20名、女性18名)について、選択されたインソールを装着しない場合と装着した場合の重心動揺の変化を測定した。その結果、特に閉眼時の左足について重心動揺が大きく改善されることが確認された。
また、上記被験者のうち33名(男性18名、女性15名)について、選択されたインソールを実際に装着して歩行した際の歩行改善について官能評価アンケートを実施した結果、「フィット感」「安定感」「立ったときの感じ」などの静的状態の改善について高い評価が得られた外、「歩きやすさ」「歩行中の蹴りだし」などの動的状態についても改善があったとの評価が得られている。
このように、上記インソール選定ナビゲーション処理によって、足に問題を有する被験者に対して足をケアするインソールを選定できることが確認され、本システムの有効性が明らかとなった。
【0063】
尚、上記実施形態におけるインソール選定テーブルやこれにより選定されるインソールの種別、足の症状の判定方法等は一例を示したものであり、本願発明はこれに限定されるものではない。
【0064】
また、上記実施形態では、モニタ画面50には、ガイダンスや判定結果が画像により表示されるものとして説明したが、必要に応じて音声によるメッセージやBGMなどを同時に出力させるようにしてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、足撮像用テレビカメラにより足の外形寸法の計測を行った後に足底圧計測センサにより足底圧の圧力分布の計測を行うものとして説明したが、足底圧の圧力分布の計測を先に行うようにしてもよく、足外形寸法の計測と足底圧の圧力分布の計測を同時に行うようにしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、インソールの選定を例にとって述べたが、本願発明はこれに限定されるものではなく、上記インソール選定テーブルに代えて、重心バランス判定結果や足の症状判定結果に基づいて足の問題をケアする靴を選定する靴選定テーブルを導入することで靴の選定にも適用できる。また、靴やインソールに付随して使用されるフットケアグッズ、レッグケアグッズ、レッグウェア等の選定も同様にして行うことができる。
【0067】
また、上記実施形態では、足の問題別にあらかじめ対応するインソールの種別を定め、重心バランス判定結果や足の症状判定結果に基づいていずれかのインソールを選定するようにしたが、インソール選定テーブルにおいて、重心バランス判定結果や足の症状判定結果に対応して、問題を改善するパッドの装着位置を提示するようにしてもよい。これにより、被験者に対してオーダーメイドの靴やインソールを提供することが可能となる。
更には、インソール選定テーブルにおいて、重心バランス判定処理により判定された重心バランスの偏りの度合いや、足の症状判定処理により判定された足の問題となる部分の圧力値等に対応して、パッドの厚さや形状を提示するようにしてもよい。これにより、被験者に対して問題の程度に応じたオーダーメイドの靴またはインソールを提供することが可能となる。
【0068】
上記実施形態における足の症状判定処理は、外反母趾を含む前足部の問題を発見する方法、偏平足を判定する方法、ハイアーチを判定する方法として単体で使用しても有用な判定方法であり、足の症状を的確に判定できるという特有の効果を奏する。
【0069】
上記実施形態では、足の症状判定処理において、足底圧計測センサから取得された足底圧の圧力分布に対して足指を除く足底領域を複数の領域に分割し、各領域の圧力段階値を求めて足の問題となる症状を判定するものとして説明したが、足底圧の圧力分布に対して足指部分を含む足底領域を複数の領域に分割し、各領域の圧力段階値に基づいて足の問題となる症状を判定するようにしてもよい。
【0070】
上記実施形態では、重心バランスの判定と足の症状の判定とを組み合わせて足の問題をケアする靴またはインソールを選定するものとして説明したが、重心バランスの判定のみを行って足をケアする靴またはインソールを選定するようにしてもよい。
【0071】
上記実施形態では、足外形寸法計測手段として、足撮像用テレビカメラにより、被験者が踵ストッパーに踵を押し当てた状態の足を前方上方より撮像し、左右の足の最前位置と最内位置と最外位置を検出することによって足の外形寸法を計測するものとして説明したが、足底圧計測センサとして透明材料を用いた感圧センサを使用し、足底圧計測センサの裏面からテレビカメラで足画像を撮像し、左右の足の前後内外の外形位置を検出することによって足の外形寸法を計測するようにしてもよい。
【0072】
上記実施形態では、足外形寸法計測手段として、2つの足撮像用テレビカメラにより、左右の足の足画像を別々に撮像するものとして説明したが、単一の高解像テレビカメラを用い、両足の足画像を同時に撮像するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0073】
上記実施形態では、足外形寸法計測手段として、足撮像用テレビカメラにより取得された画像を画像処理することにより足の外形寸法を計測するようにしたが、本願発明はこれに限定されるものではなく、例えば、足の長さ方向と幅方向のそれぞれについて線光源とラインセンサを対向して設け、ラインセンサの信号から足の外形位置を検出して足長と足幅を計測するようにしてもよく、機械的手段により足の外形位置を検出して足長と足幅を計測するようにしてもよい。
【0074】
上記実施形態では、足をケアする靴またはインソールを選定する機能について説明したが、足外形寸法計測手段により計測された足の外形寸法に基づいて推奨する靴のサイズを提示する機能を設け、靴の選定と足をケアするインソールの選定を同時に行うようにしてもよい。
【0075】
上記実施形態では、測定面に左右の足の足底圧を個別に計測する足底圧計測センサを設けるとしたが、測定面に一体形成された足底圧計測センサを設け、取得された圧力分布から、左右の足の踵ストッパーの位置と基準線の方向に基づいてそれぞれの足底圧の圧力分布を切り出すようにしてもよい。
【0076】
上記実施形態では、被験者が踵の位置を踵ストッパーに合わせ、足の向きを基準線に合わせて直立した状態で足底圧の圧力分布を計測することにより、重心バランスの偏りを精度よく判定できるようにしたが、踵ストッパーや基準線を設けず、被験者が足底圧計測センサの測定面上に自由に直立できるようにすることも可能である。
例えば、足外形寸法計測手段は、足底圧計測センサにより足底圧を計測した際の左右の足の前後内外の外形位置を検出できるようにし、足底圧計測手段により計測された圧力分布から、足外形寸法計測手段により検出された左右の足の前後内外の外形位置に基づいて左右の足底部分の圧力分布を切り出し、切り出された左右の足底部分の圧力分布から左右の足の重心位置を演算し、演算された左右の足の重心位置と足外形寸法計測手段により計測された左右の足の外形寸法に基づいて左右の足の重心バランスの偏りを判定するようにしてもよい。
これにより、足底圧の計測は測定面上に自由に直立した状態で行うことができるので、より制約のない状態で重心バランスの偏りを判定することができる。
【0077】
また、例えば、足外形寸法計測手段は、足底圧の計測とは独立して左右の足の外形寸法を計測するものとし、足底圧計測手段により計測された足底圧の圧力分布から、左右の足の前後内外の外形位置を推定し、推定された左右の足の前後内外の外形位置に基づいて左右の足底部分の圧力分布を切り出し、切り出された左右の足底部分の圧力分布から左右の足の重心位置を演算し、演算された左右の足の重心位置と足外形寸法計測手段により計測された左右の足の外形寸法に基づいて重心バランスの偏りを判定するようにしてもよい。
足の外形位置を推定するには、例えば、足底圧計測手段により計測された足底圧の圧力分布から、左右の足底圧の圧力が検出されている領域を抽出し、抽出された領域の前後の圧力を比較して高い方の最外位置を前後方向の基準位置として決定し、内外の圧力を比較して高い方の最外位置を内外方向の基準位置として決定し、決定された基準位置に対して、足外形寸法計測手段により計測された左右の足の外形寸法に対応する足外形枠を設定することによって、左右の足の前後内外の外形位置を推定する。
前後の圧力の比較や内外の圧力の比較は、双方の最外部分の圧力を比較するようにしてもよく、中心から両側の圧力の平均値等を比較するようにしてもよい。また、左右の足の重心位置が前後方向および内外方向のいずれに偏っているかによって前後方向および内外方向の基準位置を決定するようにしてもよい。
決定された前後方向の基準位置および内外方向の基準位置に対して設定する足外形枠は、圧力が検出されない部分を考慮して所定のオフセットを与える。このオフセットは、被験者の年齢、性別、足のサイズ等に応じて変更するようにしてもよい。
尚、被験者の足の状態によっては、足外形位置推定手段によって足の外形位置を正しく推定できないことも考えられるので、足底圧の圧力分布に対して設定された足外形枠を画面表示し、足外形枠の設定を画面上で修正できるようにしてもよい。
これにより、足底圧の計測は、足の外形寸法の計測とは独立して、測定面上に自由に直立した状態で足底圧を計測できるので、上記実施形態のように、足外形寸法の計測において踵ストッパーを設けて足の画像から足のサイズを計測する場合でも、被験者は、足底圧の計測において自由に足を踏み変えることができ、より制約のない状態で重心バランスの偏りを判定することができる。
【0078】
上記実施形態では、足の症状判定処理に対しても、足底圧計測センサにより計測された足底圧の圧力分布に対して、足外形寸法計測部で検出された左右の足の外形位置に基づいて足底領域を設定しているので、足底圧計測手段により計測された足底圧の圧力分布において足底の一部に荷重が計測されない欠損部分がある場合においても、前足部分の各領域の圧力段階値や中足部内側部分の各領域の圧力段階値や中足部全体の各領域の圧力段階値が正しく抽出され、外反母趾を含む前足部の問題や偏平足やハイアーチを精度よく判定することができる。
この場合においても、前述のように、踵ストッパーや基準線を用いず、足外形寸法計測手段において検出された左右の足の前後内外の外形位置に基づいて足底領域を設定するようにしてもよく、足外形位置推定手段により推定された左右の足の前後内外の外形位置に基づいて足底領域を設定するようにしてもよい。
【0079】
上記実施形態では、靴・インソール選定部において足をケアする靴またはインソールを最終的に選定するものとして説明したが、被験者に靴・インソール選定部で選定された靴またはインソールを実際に装用して足底圧計測センサ上で直立してもらい、上記足底重心位置演算部において演算される重心の一定時間内の変動に基づいて重心動揺パラメータを演算することで、選定された靴またはインソールを装用したときの重心動揺が一定範囲内にあることを確認したり、あらかじめ通常の靴またはインソールを装用して重心動揺を計測しておき、これに対して選定された靴またはインソールを装用した場合の重心動揺の改善度を確認したりする機能を設けるようにしてもよい。
本願発明では、足底圧計測センサから足底圧の圧力分布をリアルタイムに取得することができ、上記足底重心位置演算部において重心位置の変動をリアルタイムに演算することができるので、これに基づいて重心が移動した領域の外周面積、矩形面積、実行値面積、総軌跡長、単位軌跡長、単位面積軌跡などの重心動揺パラメータを演算することで、左右の足の重心動揺を評価することができる。
また、靴・インソール選定部において、足をケアする候補となる複数の靴またはインソールを提示し、提示された靴またはインソールについて、被験者に実際に装用してもらって重心動揺を計測し、これに基づいて最も良好な靴またはインソールを選定するようにしてもよい。
【0080】
上記実施形態では、足底圧を計測する足底圧計測センサと、足外形寸法を計測するための足撮像用テレビカメラと、重心バランスの判定処理や足の症状判定処理や靴またはインソールの選定処理を実行する処理装置と、判定結果を表示するモニタ画面を、一つの筐体内に備えたフィッティング・ナビゲーション・システムについて説明したが、図15に示すように、装置本体内には足底圧計測センサと足撮像用テレビカメラとを備え、これを汎用のパーソナルコンピュータに接続し、汎用パーソナルコンピュータにおいて、重心バランスの判定処理や足の症状判定処理や足をケアする靴またはインソールの選定処理を実行させ、判定結果を表示させるようにしてもよい。これにより、装置本体が小型化され、小規模なショップや一般家庭等においても、重心バランスの判定や足の症状の判定や靴またはインソールの選定を簡便に行うことができる。
【0081】
上記実施形態では、左右の足のそれぞれについて、個別に、重心バランスの偏りの判定と足の問題となる症状の判定を行って足の問題をケアする靴またはインソールを選定したが、左足ついての判定結果と右足についての判定結果とを組み合わせて、被験者の骨盤の状態を診断する骨盤判定機能を設けてもよい。
例えば、左右の足の重心バランスの偏りの判定結果の組み合わせに対して骨盤の診断情報を記述した骨盤判定メッセージが登録された骨盤判定テーブルを設け、上記重心バランス判定部において求められた左足の重心バランスの偏りを示すフラグと右足の重心バランスの偏りを示すフラグから、骨盤判定テーブルを参照して骨盤判定メッセージを抽出し、モニタ画面に表示する。
画面表示する骨盤判定メッセージとしては、例えば「前に傾き気味です」、「O脚になっています」、「X脚になっています」などの骨盤の状態に対する診断メッセージの他、判定された骨盤状態に対して、それを改善するためのドクターからのアドバイス情報として、例えば「骨盤が前に傾いていく可能性があります。姿勢を支える筋肉を鍛えるため、ピラティス等の運動をお勧めします。」、「膝に負担がかかりやすくなっているので注意しましょう」などのメッセージを含めるようにしてもよい。
また、骨盤判定テーブルにおいて左右の足の重心バランスの偏りの判定結果の組み合わせに対して、靴またはインソールの選定を修正する情報を登録しておき、それに基づいて最終的に選定する靴またはインソールを決定するようにしてもよい。
【0082】
また、左右の足の重心バランスの偏りの判定結果に基づいて、被験者の姿勢をシミュレートして画面表示する姿勢シミュレーション表示機能を設けてもよい。
例えば、被験者から身体情報を取得し、取得された身体情報に基づいて標準的な3次元人体モデルを変形させ、被験者の3次元人体モデルを生成する。
次に、重心バランス判定手段により判定された左右の足の重心バランスの偏りに基づき、左右の足の重心バランスの偏りに対して3次元人体モデルのどの部分をどのように変形させるかを定義した姿勢変形テーブルを参照して、被験者の3次元人体モデルを変形させて画面表示する。
被験者からの身体情報の取得は、例えば、デジタルカメラで被験者を撮像し、撮像された画像から画像処理によって被験者の肩・胴・腰・手先・足先等の特徴点を抽出し、肩幅・胴幅・腰幅・手の長さ・脚の長さ等を演算する。画像処理が容易となるように、特徴点にLEDを装着して計測するようにしてもよい。
【0083】
上記姿勢シミュレーション表示機能において、被験者の左右の足の重心バランスの偏りに基づいて被験者の身体に働くモーメントを演算するモーメント演算機能を設け、これに基づいて被験者の姿勢をシミュレートして画面表示するようにしてもよい。
モーメント演算機能は、図16に示すように、足底圧計測センサにより計測された左右の足の足底圧の圧力分布から、足底重心位置演算部において求められた左右の足の重心位置Gl,Grにかかる総荷重Wl,Wrを演算する総荷重演算機能と、左右の足の重心位置Gl,Grと左右の足の総荷重Wl,Wrから両足による全体の重心位置Gtと全体の荷重Wtを演算する全体重心演算機能と、左右の足の外形位置に基づいて両足による理想重心位置Cwを演算する理想重心演算機能とを備えることで、全体重心位置Gtと全体荷重Wtと理想重心位置Cwとから被験者の身体にかかるモーメントM(ベクトル)を演算することができる。
そして、モーメント演算機能により演算されたモーメントM(ベクトル)に基づいて被験者の3次元モデルを変形させて画面表示する。
これにより、被験者は、足の重心バランスの偏りよって身体に働くモーメントが全体の姿勢にどのような影響を与えているかを具体的に認識することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上述べたように、本願発明によれば、足底の重心バランスの偏りを常に精度よく判定することができ、足の問題をケアする靴やインソールを的確に選定できるフィッティング・ナビゲーション・システムが提供される。
従って、本願発明のシステムをシューズショップ等に設置することで、靴の購入者が自ら自分の足にフィットする靴やインソールを選定することができる。また、この発明により、靴やインソールの選定が定量化されるので、シューズショップの販売員の補佐用としても活用できる。
【0085】
本願発明は、選定手段を備えることで被験者の足の問題をケアする靴またはインソールを選定するフィッティング・ナビゲーション・システムを提供するが、選定手段を除く本願発明の他の手段は、被験者の足の状態を診断する診断装置としても活用することができる。
すなわち、本願発明の足底圧計測手段、足外形寸法計測手段、重心位置演算手段および重心バランス判定手段を備えることで、足底の重心バランスの偏りを常に精度よく判定することができる足の診断装置を提供することができる。
また、本願発明の判定機能によって発見された足の問題に対して、ストレッチ体操やリハビリ運動を提案したり、食生活の改善を指導したり、サプリメントの服用を提案したり、衣服の提案をしたりする機能を備えることで、生活改善サポートシステムとして活用することができる。
更には、個々人のライフスタイルを管理するライフスタイルデータベースを備え、フットケア用品・スポーツ用品・エステ機器・食料品・衣料品・医薬品・サプリメント等の商品や、医療・教育・スポーツ・美容・旅行等のサービスを提供する各種システムと連携を図ることで、フットケアサポートから始まり、衣食住のすべてをサポートし、個々人に最適な生活スタイルレシピを提案する総合サポートシステムとして展開することができる。
【0086】
本願発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本願発明の効果を奏する限り、各実施形態で述べた構成要素を適宜入れ替えたり、新たな構成要素を追加したり、一部の構成要素を削除したりしてもよいことはいうまでもない。
【技術分野】
【0001】
この発明は、靴またはインソールのフィッティングをナビゲーションするシステムに関し、特に足の問題をケアする靴またはインソールのフィッティングを的確にナビゲーションすることができる靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間は、関節や筋肉をたくみにコントロールしながら重心を移動させることで二足歩行を実現しているが、足の形状や歩行時の姿勢は各人各様であり、重心バランスに偏りがあるまま歩行したり、外反母趾、偏平足、ハイアーチなどの問題を抱えながら歩行するために、歩行時に転倒したり、足や下肢に過度の負担がかかって健康を害したりするなどの問題が生ずる場合も少なくない。
このため、従来より、足に問題を有する人は、足の問題をケアする靴やインソールを装用することで、これらの問題を改善することが行われてきた。
しかしながら、このような足の問題をケアする靴やインソールの選定には、足の状態や姿勢を的確に診断することのできるシューフィッターなどの専門家の診断を受ける必要があり、専門家のいないショップ等において足の問題をケアする適切な靴やインソールを選定することは困難であった。
このようなことから、専門家のいないショップ等においても、足の問題をケアする靴やインソールを的確に選定することができるフィッティング・ナビゲーション・システムの実現が期待されていた。
【0003】
このような靴やインソールのフィッティングをナビゲーションする従来技術として、例えば、特許文献1では、足型測定器により足の傾角およびアーチの高さ率を計測し、足の傾角およびアーチ率と足型との関係を定義した表を用いて靴または靴のパーツを選択する技術が開示されている。
また、特許文献2では、足の3次元形状を計測し、計測された3次元形状から踵断面を含む前後方向の2次元断面を求め、2次元断面の中心線から傾角を求めて、足の内外への傾きを矯正する靴または靴用中敷を選択する技術が開示されている。
また、特許文献3では、発色液と発色紙を用いて足底形を採取し、採取された足底形をイメージスキャナーでコンピュータに読み込み、あらかじめ足の情報とインソール情報とを関連づけたテーブルを用いてインソールを選定する技術が開示されている。
また、特許文献4では、足置透明板に載置された足を裏面側から撮像し、足置透明板の外周側端面から第1の光を導入し、足の外周側面に第1の光と異なる色の第2の光を照射することで、足底設置面形状と足底外周形状を同時に計測する技術が開示されている。
また、特許文献5では、足底圧の圧力分布を計測し、足底圧が平均的に分散する靴を導き出す技術が記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本願発明の一実施形態にかかる靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システムの外観構成図である。
【図2】本願発明の一実施形態にかかる靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システムの使用状態を示す図である。
【図3】本願発明の一実施形態にかかる靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システムのブロック構成図である。
【図4】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理の処理手順を示すフロー図である。
【図5】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理における重心バランス判定処理の処理手順を示すフロー図である。
【図6】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理における足の症状判定処理の処理手順を示すフロー図である。
【図7】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理における重心バランス判定処理の判定区分を示す図である。
【図8】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理における足の症状判定処理の判定区分(右足の場合)を示す図である。
【図9】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理により選定されるインソールの例を示す図である。
【図10】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理においてインソールを選定するためのインソール選定テーブルの例を示す図(その1)である。
【図11】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理においてインソールを選定するためのインソール選定テーブルの例を示す図(その2)である。
【図12】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理において足の診断メッセージを表示するためのメッセージテーブルの例を示す図である。
【図13】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理においてインソール選定メッセージを表示するためのメッセージテーブルの例を示す図である。
【図14】本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理においてモニタ画面に表示される画像の例を示す図である。
【図15】本願発明の他の実施形態にかかる靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システムの測定器部の外観図である。
【図16】本願発明の一実施形態にかかる骨盤判定処理の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1に、本願発明の一実施形態にかかる靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム10の外観構成図を示す。
このシステムは、測定面上に直立した被験者の足底から受ける足底圧の圧力分布を計測する足底圧計測センサ(右足計測用20a、左足計測用20b)と、被験者の足の画像を撮像する足撮像用テレビカメラ(右足撮像用30a、左足撮像用30b)と、足底圧計測センサからの圧力データと足撮像用テレビカメラからの画像データを取得して被験者の足をケアする靴またはインソールを選定する処理を実行する処理装置40と、処理装置40により選定された靴またはインソールの選定結果や被験者に対するガイダンスを表示するモニタ画面50を備える。
【0034】
足底圧計測センサ20a、20bは、本実施形態では、導電性ゴムを用いた感圧センサを使用し、それぞれの足について、5mmピッチで64×32個の感圧センサを敷設して、足底圧の2次元分布を計測できるようにした。
足底圧計測センサ20a、20bの最後端には、踵の位置を基準位置に合わせるための踵ストッパー(右足用22a、左足用22b)を備える。この踵ストッパー22a、22bの踵が当る表面部分は、例えば、シリコン材のような足の踵の皮下組織と同等の硬度を有する部材によって形成し、センサの基準位置を踵ストッパーの表面から所定量だけ後に設定することが好ましい。これにより、後述する足撮像用カメラにより撮像された画像から、被験者が踵ストッパーに踵を押し当てた状態での足の先端位置を特定して足のサイズ(足長)を計測する際に、踵が変形することによって生ずる足長の計測誤差を最小限に抑えることができる。
また、足底圧計測センサ20a、20bの表面には、被験者の足の向きを合わせるための中心線表示(右足用24a、左足用24b)が表示されている。
本実施形態では、被験者が自然な姿勢で足底圧を計測できるように、左右の足底圧計測センサ20a、20bには、10°の開き角を設け、靴歩行の際の重心バランスを考慮して後方を高くする傾斜角を設け、左右の足底圧計測センサ間には15cmの空間を設けている。
被験者は、足底圧計測センサ20a、20bの上に、それぞれ右足と左足を乗せて立ち、それぞれの足の踵の中心を踵ストッパー22a、22bの中心に当て、中心線表示24a、24bが人差指と中指の間に入るようにして直立し、足底圧分布の計測を行う。
なお、この両足の開き角や傾斜角は、被験者の足の状態や使用する靴に合わせて調節できる調節要素を設けるようにしてもよい。
【0035】
足撮像用テレビカメラ30a、30bは、本実施形態ではCCDカメラを用い、足底圧計測センサ20a、20b上に直立する被験者の左右の足を前方上方より撮像する。
足撮像用テレビカメラで撮像された足の画像は、後述のように画像処理により画像内の足の先端位置と画像内の足の最大幅の画素数が特定され、特定された画像内の足の先端位置と踵ストッパーとの距離から足長が求められ、特定された画像内の足の最大幅の画素数から足幅が求められる。
画像内の足の先端位置から足長を求め、画像内の足の最大幅の画素数から足幅を求めるには、足撮像用テレビカメラ30a,30bにより撮像された画像の縦横の単位画素あたりの長さと、踵ストッパー22a、22bと画像との相対位置情報が必要となる。これらの情報は、足撮像用テレビカメラ30a,30bの光学系の設定から物理的に決定することも可能であるが、本実施形態では、一定間隔の格子模様が描かれたキャリブレーションシートを足底圧計測センサ20a、20bの上に設置し、これを足撮像用テレビカメラ30a、30bで撮像することで、縦横の画素あたりの長さと、踵ストッパーとの相対位置のキャリブレーションを行えるようにしている。
【0036】
尚、被験者は、さまざまな色の靴下を履いている可能性があり、足撮像用テレビカメラ30a、30bで撮像された画像から必要十分なコントラストで足部分を特定する画像処理を行うことが困難な場合も想定されるので、本実施形態では、足底圧計測センサ20a、20bの表面に装着される白系統色の色を有する樹脂シートと黒系統色の色を有する樹脂シートとを備え、被験者の靴下の色に応じて交換できるようにしている。これにより、足の画像から足の外形位置を検出する画像処理が容易となり、より確実に足の外形寸法を計測することができる。
【0037】
処理装置40は、本実施形態ではパーソナルコンピュータを用いているが、足底圧計測センサから足底圧データを取得し、足撮像用テレビカメラから足画像を取得し、所定の演算処理を行って、靴またはインソールの選定結果をモニタ画面に表示できるものであれば、どのようなものでもよい。
【0038】
モニタ画面50は、本実施形態ではカラー液晶表示画面を使用し、足底圧計測センサにより計測された足底圧分布を、圧力値に対応した疑似カラー表示を行えるようにしている。
また、モニタ画面50は、タッチスクリーンを装備し、被験者が画面をタッチすることで、処理を開始させたり、被験者に関する情報を入力したりできるようにしている。
【0039】
図2に、本願発明の一実施形態にかかる靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム10の使用状態を示す。
このシステムでは、被験者が、モニタ画面50に表示されるガイダンスに従って足底圧計測センサ20a、20bの上に足を乗せて直立することで、足底圧計測センサによる足底圧の計測と、足撮像用テレビカメラによる足外形寸法の計測とが一度に行われ、モニタ画面50に靴またはインソールの選定結果が表示される。
【0040】
図3に、本願発明の一実施形態にかかる靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム10の処理装置40のブロック構成を示す。
図のように、処理装置40は、足底圧計測センサ20a、20bから左右の足の足底圧データを取得する足底圧データ取得部41と、足撮像用テレビカメラ30a、30bから左右の足の足画像を取得する足画像取得部42と、足底圧データ取得部41により取得された左右の足の足底圧データから左右の足の足底の重心位置を演算する足底重心位置演算部43と、足画像取得部42により取得された左右の足画像より左右の足の外形寸法を演算する足外形寸法演算部44と、足底重心位置演算部43により演算された左右の足底の重心位置と、足外形寸法演算部44で演算された左右の足の外形寸法とに基づき、左右の足の重心バランスの偏りを演算する重心バランス判定部45と、足底圧データ取得部41により取得された左右の足の足底圧データに基づいて左右の足の症状を判定する足の症状判定部46と、重心バランス判定部45により判定された左右の足の重心バランスの偏りと、足の症状判定部46により判定された左右の足の症状とに基づき、左右の足をケアする靴またはインソールを選定する靴・インソール選定部47とを備える。
靴・インソール選定部47により選定された靴またはインソールの選定結果や足の診断結果は、モニタ画面50に表示され、被験者に提示される。
また、本システムでは、被験者のカルテを生成する機能も備え、靴またはインソールの選定結果や足の診断結果は被験者のカルテに記録され、必要に応じてプリンタ60により印刷することができる。
【0041】
次に、処理装置40において行われる具体的な情報処理を、足をケアするインソールを選定する場合を例にとって詳細に説明する。
図4に、本願発明の一実施形態にかかるインソール選定ナビゲーション処理の処理手順を示す。
待機中は、「画面に触れると、インソール選定ナビゲーションが始まります」とのメッセージを記載したオープニング画面をモニタ画面50に表示する(S100)。
モニタ画面50において画面のタッチが検知されたら(S102)、このシステムの使用方法を説明する使用方法説明画面をモニタ画面50に表示する(S104)。
そして、基本情報取得画面を表示し、モニタ画面のタッチ位置に基づき、基本情報を取得する(S106)。本実施形態では、基本情報として、診断結果を表示する際に靴の推奨品を提示するために、被験者の性別を取得するようにしている。そのほか、年齢・身長・希望する靴の種別などの情報を取得するようにしてもよい。
【0042】
次に、計測に際してどのようにセンサに乗るかについての説明や、計測中の注意事項等を進行状況に合わせて説明する計測説明画面をモニタ画面50に表示する(S108)。
そして、モニタ画面に表示された計測説明画面に従って被験者に足底圧計測センサに乗ってもらい、「測定」ボタンが押されてから一定時間後、または所定時間経過後に、テレビカメラ30a、30bから左右の足画像を取得し(S110)、取得された左右の足画像について画像処理を行い、左右の足の外形寸法(足長Fl、足幅Fw)を求める(S112)。
足外形寸法計測中は、図14(1)のような画面が表示される。
【0043】
画像処理は、例えば、取得された左右の足画像に対して、平滑化処理によりノイズ成分を除去した後、適当な閾値により2値化処理をおこない、得られた2値画像に基づいて、足の最前部Y座標Yfと、最前部からY軸方向の一定範囲内の足の最内部X座標Xiと、最前部からY軸方向の一定範囲内の足の最外部X座標Xoとを検出し、キャリブレーションデータに基づいて、足の最前部Y座標Yfと踵ストッパーの位置に対応する足の最後部Y座標Yrの差分から足長Flを求め、足の最内部X座標Xiと足の最外部X座標Xoの差分から足幅Fwを求める。
尚、画像処理は、上記方法に限定されるものではなく、例えば、平滑化処理を行った画像について、Y方向の微分オペレータを用いて足の最前部Y座標Yfを求め、X方向の微分オペレータを用いて足の最内部X座標Xiと足の最外部X座標Xoを求める方法や、エッジ追跡オペレータを用いて、足画像のエッジを所定範囲で追跡させ、足の最前部Y座標Yf、足の最内部X座標Xi、足の最外部X座標Xoを求める方法などを用いることもでき、足画像から足の外形寸法を演算するものであればどのような方法を用いてもよい。
【0044】
足外形寸法(Fl,Fw)が正常に計測されたら(S114)、足底圧計測センサ20a、20bから左右の足の足底圧の2次元分布データを取得する(S116)。
足底圧データの計測中は、図14(2)のような画面が表示される。
測定は、10秒間にわたって行い、その間の異常な圧力値を除く足底圧データの平均値を求める。
【0045】
次に、取得された左右の足の足底圧分布データについて、上記画像処理により検出された左右の足の外形位置(この実施形態では、足の最後部Y座標Yrと足の最内部X座標Xi)を基準位置とするモーメント演算を行って左右の足底重心位置(長さ方向重心位置Gl,幅方向重心位置Gw)を演算する(S118)。
足の最後部Y座標Yrと足の最内部X座標Xiを基準とした左右の足の足底圧データをP(i,j)(iはY軸座標、jはX軸座標)とすると、足底重心位置(Gl,Gw)は次式により求められる。
Gl=ΣiΣjP(i,j)*i/Σi,jP(i,j)
Gw=ΣjΣiP(i,j)*j/Σi,jP(i,j)
【0046】
足底重心位置(Gl,Gw)が正常に計測されたら(S120)、左右の足について重心バランス判定処理を行う(S122)。重心バランス判定処理の詳細については後述する。
【0047】
また、取得された左右の足の足底圧分布データについて、足の症状判定処理を行う(S124)。ここでは、被験者の足に、外反母趾を含む前足部の問題、偏平足、ハイアーチがないかについて判定する。足の症状判定処理の詳細についても後述する。
【0048】
そして、重心バランス判定処理による判定結果と足の症状判定処理による判定結果とに基づき、後述するインソール選定テーブルを参照して、当該被験者の足の問題をケアするインソールを選定するインソール選定処理を行う(S126)。インソール選定処理の詳細についても後述する。
【0049】
最後に、インソール選定処理によって選定されたおすすめインソールを表示するとともに、靴の推奨品を紹介する判定結果画面をモニタ画面50に表示する(S128)。判定結果は、図14(3)のように表示される。
また、被験者が希望すれば判定結果をカルテに残すことができ、「カルテ」ボタンが押されるとカルテを表示し、「保存」ボタンが押されると判定結果をカルテに記録し、「印刷」ボタンが押されるとカルテをプリンタ60に印刷する(S130)。
一連の処理を終了すると、ナビゲーション終了画面が表示され(S132)、「終了」ボタンが押されると、最初に戻ってオープニング画面を表示する。
【0050】
S114において左右の足の外形寸法が正しく計測されない場合や、S120において左右の足の重心位置が正しく計測されない場合には、計測不良メッセージをモニタ画面に表示し(S140)、「戻る」ボタンが押されたらS108に戻って再計測を行い、「終了」ボタンが押されたらS132に進んでナビゲーションを終了する。
【0051】
図5に、重心バランス判定処理の処理手順を示す。
重心バランス判定処理(S200)は、最初に重心バランスの偏りを示すフラグ(前フラグF、後フラグR、外フラグO、内フラグI)をすべてリセットする(S202)。
ここで、Gl/Flが0.6を超える場合、すなわち長さ方向重心位置Glが足長Flの60%を超えている場合は(S204)、重心が前側に偏っていると判断し、前フラグFに1をセットする(S206)。
また、Gl/Flが0.4未満の場合、すなわち長さ方向重心位置Glが足長Flの40%未満の場合は(S208)は、重心が後側に偏っていると判断し、後フラグRに1をセットする(S210)。
また、Gw/Fwが0.6を超える場合、すなわち幅方向重心位置Gwが足幅Fwの60%を超えている場合は(S212)、重心が外側に偏っていると判断し、外フラグOに1をセットする(S214)。
また、Gw/Fwが0.4未満の場合、すなわち幅方向重心位置Gwが足幅Fwの40%未満の場合は(S216)、重心が内側に偏っていると判断し、内フラグIに1をセットする(S218)。
【0052】
上記重心バランス判定処理(S200)により、重心バランスの偏りが図7のように判断される。
すなわち、足底の重心位置が、足の外形寸法に対して、MMの範囲にあれば「問題が発見されなかった」と判断され、「重心がFMの範囲にあれば「重心が前に偏っている」と判断され、RMの範囲にあれば「重心が後に偏っている」と判断され、MOの範囲にあれば「重心が外に偏っている」と判断され、MIの範囲にあれば「重心が内に偏っている」と判断され、FOの範囲にあれば「重心が前外に偏っている」と判断され、FIの範囲にあれば「重心が前内に偏っている」と判断され、ROの範囲にあれば「重心が後外に偏っている」と判断され、RIの範囲にあれば「重心が後内に偏っている」と判断される。
【0053】
図6に、足の症状判定処理の処理手順を示す。
足の症状判定処理(S300)は、最初に足の症状を示すフラグ(前足部問題フラグFP、偏平足フラグFF、ハイアーチフラグHA)をすべてリセットする(S302)。
次に、取得された足底圧データについて、足指部分を取り除いた足底領域を9×5のエリアに分割し、全エリアの圧力範囲に基づいて各エリアの圧力を5段階表示した圧力段階値Pa(i,j)と、前足側3列の圧力範囲に基づいて各エリアの圧力を5段階表示した圧力段階値Ps(i,j)を求める(S303)。
【0054】
足の症状判定処理は、上記足底の圧力段階値Pa(i,j)、Ps(i,j)に基づいて、外反母趾等の前足部の問題の判定、偏平足の判定、ハイアーチの判定を行う。
図8に、各判定を行う際に圧力段階値を参照するエリア(右足の場合)を示す。
ここで、i=9,8は確実に前足部に該当する部分であり、i=7は前足部と中足部のグレーゾーンに該当する部分であり、i=6,5は確実に中足部に該当する部分であり、i=4は中足部と後足部のグレーゾーンに該当する部分であり、i=3,2,1は確実に後足部に該当する部分である。
【0055】
前足部の問題は、次の3つのステップに分けて判断される。
まず、i=7〜9、j=1,5の圧力段階値Pa(i,j)のいずれかが、圧力段階5(最高圧力)であることが検出されたら(S304)、前足部に問題があると判断し、前足部フラグFPを1にセットする(S310)。
次に、i=7〜9、j=1〜5の圧力段階値Pa(i,j)のすべてが、圧力段階3以下であることが検出されたら(S306)、前足部に問題があると判断し、前足部フラグFPを1にセットする(S310)。
最後に、i=7〜9、j=1,5の圧力段階値Ps(i,j)のいずれかが、圧力段階5であり、かつ、i=7〜9、j=2〜4の圧力段階値Ps(i,j)のすべてが圧力段階5未満であることが検出されたら(S308)、前足部に問題があると判断し、前足部フラグFPを1にセットする(S310)。
このように、前足部の問題は、前足部の圧力の段階に応じて、判定条件を変えることで、前足部の問題をより精度よく判定できるという特有の効果を有する。
【0056】
偏平足は、i=5,6、j=1,2の圧力段階値Pa(i,j)のなかに圧力が0でない部分が検出されたら(S312)、偏平足であると判断し、偏平足フラグFFを1にセットする(S314)。
【0057】
ハイアーチは、i=5,6、j=1〜5のすべての圧力が0であることが検出されたら(S316)、ハイアーチであると判断し、ハイアーチフラグHAを1にセットする(S318)。
【0058】
インソール選定処理は、重心バランス判定処理によって設定された各フラグ(前フラグF、後フラグR、内フラグI、外フラグO)と、足の症状判定処理によって設定された各フラグ(前足部フラグFP、偏平足フラグFF、ハイアーチフラグHA)の設定状況に基づいて、インソール選定テーブルを参照して、足の診断メッセージと、インソール選定メッセージと、推奨されるインソール種別とを取り出すことにより行われる。
【0059】
図9に、本インソール選定処理により選定されるインソールの種別を示す。
インソール1は、前足部にパッドを設けたもので、主として重心バランスが前側に偏っている場合や前足部に問題がある場合の足のケアに使用される。
インソール2は、後足部にパッドを設けたもので、主として重心バランスが後側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール3は、後足から内側に向かってパッドを設けたもので、主として重心バランスが内側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール4は、後足から外側に向かってパッドを設けたもので、主として重心バランスが外側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール5は、中足部内側にパッドを設けたもので、主として軽い偏平足の場合の足のケアに使用される。
インソール6は、中足部内側のパッドを強化したもので、主として強い偏平足の場合の足のケアに使用される。
インソール7は、インソール1とインソール5を組み合わせたもので、主として偏平足またはハイアーチであって、前足部に問題があるかまたは重心バランスが前側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール8は、インソール1とインソール3を組み合わせたもので、主として重心バランスが前内側に偏っている場合や、前足部に問題があって重心バランスが内側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール9は、インソール1とインソール4を組み合わせたもので、主として重心バランスが前外側に偏っている場合や、前足部に問題があって重心バランスが外側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール10は、インソール1とインソール2を組み合わせたもので、主として前足に問題があって重心バランスが後側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール11は、インソール1とインソール3とインソール5を組み合わせたもので、主として偏平足またはハイアーチであって、重心バランスが前内側に偏っている場合や、前足部に問題があって重心バランスが内側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール12は、インソール1とインソール4とインソール5を組み合わせたもので、主として偏平足またはハイアーチであって、重心バランスが前外側に偏っている場合や、前足部に問題があって重心バランスが外側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール13は、インソール1とインソール2とインソール5を組み合わせたもので、主として偏平足またはハイアーチであって、前足部に問題があって重心バランスが後側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール14は、インソール3とインソール5を組み合わせたもので、主として偏平足であって重心バランスが内側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール15は、インソール4とインソール5を組み合わせたもので、主として偏平足であって重心バランスが外側に偏っている場合の足のケアに使用される。
インソール16は、インソール2とインソール5を組み合わせたもので、主として偏平足であって重心バランスが後側に偏っている場合の足のケアに使用される。
【0060】
図10、11に、重心バランス判定処理の判定結果と足の症状判定処理による判定結果に基づいて足をケアするインソールを選定するためのインソール選定テーブルの一例を示す。
重心バランス判定処理では、前述のように縦3通り×横3通りの計9通りの組み合わせがある。また、足の症状判定処理では、3つの症状の組み合わせとしては、組み合わせ上は8通りあるが、実際には偏平足とハイアーチの組み合わせは両立しないと考えられるので、6通りの組み合わせとなる。従って、全体として9×6=54通りの判定の組み合わせが生ずる。
この54通りの判定の組み合わせについて、この実施形態のインソール選定テーブルでは、足の症状判定結果に対しては通常の専門家が行う足をケアする方法の考え方に基づいてインソールを選定し、重心バランス判定結果に対しては重心バランスをより安定化させる方向に作用するインソールを選定するようにした。
なお、足の症状判定処理の判定結果と、重心バランス判定処理の判定結果が矛盾する場合は、足の症状の改善を優先させてインソールを選定させ、矛盾がない場合には、足の症状改善に対して重心バランスの改善を組み合わせてインソールを選定させる。すなわち、足の症状判定に対するインソールが重心バランス判定に対するインソールを兼ねている場合、および、重心バランス判定に対するインソールが足の症状判定に対するインソールの効果を妨げる可能性がある場合には、重心バランス判定に対するインソールは選定されない。
【0061】
図10、11に示すインソール選定テーブルにより、重心バランス判定処理による各判定フラグ(F,R,I,O)と足の症状判定処理による各判定フラグ(FP,FF,HA)の設定状況に対応して、推奨されるインソールの番号とともに、足の診断メッセージ番号と、インソール選定メッセージ番号とが選択される。
これにより、図12の足の診断メッセージテーブルを参照して足の診断メッセージが選択され、図13のインソール選定メッセージテーブルを参照してインソール選定メッセージが選択され、推奨されるインソールがこれらのメッセージとともにモニタ画面50に表示される。
尚、組み合わせ番号12,17,18,30,35,36,48,53,54においては、2種類のインソールが選定されているが、これらは前足部に問題があって重心が後よりになっているものであって、上述の足の症状判定と重心バランス判定とが矛盾する場合に相当するものである。
図13のインソール選定メッセージでは、簡単のため前足部に問題がある場合とない場合の両方の推奨インソールをまとめて表示するメッセージとしているが、実際には、被験者に対して実際に前足部に問題があるか否かについての入力を求め、その結果に基づいて好ましいインソールを表示する。
【0062】
以上のようなインソール選定ナビゲーション処理により選定されたインソールによる足の問題の改善効果を検証するため、重心バランスに偏りを有する被験者38名(男性20名、女性18名)について、選択されたインソールを装着しない場合と装着した場合の重心動揺の変化を測定した。その結果、特に閉眼時の左足について重心動揺が大きく改善されることが確認された。
また、上記被験者のうち33名(男性18名、女性15名)について、選択されたインソールを実際に装着して歩行した際の歩行改善について官能評価アンケートを実施した結果、「フィット感」「安定感」「立ったときの感じ」などの静的状態の改善について高い評価が得られた外、「歩きやすさ」「歩行中の蹴りだし」などの動的状態についても改善があったとの評価が得られている。
このように、上記インソール選定ナビゲーション処理によって、足に問題を有する被験者に対して足をケアするインソールを選定できることが確認され、本システムの有効性が明らかとなった。
【0063】
尚、上記実施形態におけるインソール選定テーブルやこれにより選定されるインソールの種別、足の症状の判定方法等は一例を示したものであり、本願発明はこれに限定されるものではない。
【0064】
また、上記実施形態では、モニタ画面50には、ガイダンスや判定結果が画像により表示されるものとして説明したが、必要に応じて音声によるメッセージやBGMなどを同時に出力させるようにしてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、足撮像用テレビカメラにより足の外形寸法の計測を行った後に足底圧計測センサにより足底圧の圧力分布の計測を行うものとして説明したが、足底圧の圧力分布の計測を先に行うようにしてもよく、足外形寸法の計測と足底圧の圧力分布の計測を同時に行うようにしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、インソールの選定を例にとって述べたが、本願発明はこれに限定されるものではなく、上記インソール選定テーブルに代えて、重心バランス判定結果や足の症状判定結果に基づいて足の問題をケアする靴を選定する靴選定テーブルを導入することで靴の選定にも適用できる。また、靴やインソールに付随して使用されるフットケアグッズ、レッグケアグッズ、レッグウェア等の選定も同様にして行うことができる。
【0067】
また、上記実施形態では、足の問題別にあらかじめ対応するインソールの種別を定め、重心バランス判定結果や足の症状判定結果に基づいていずれかのインソールを選定するようにしたが、インソール選定テーブルにおいて、重心バランス判定結果や足の症状判定結果に対応して、問題を改善するパッドの装着位置を提示するようにしてもよい。これにより、被験者に対してオーダーメイドの靴やインソールを提供することが可能となる。
更には、インソール選定テーブルにおいて、重心バランス判定処理により判定された重心バランスの偏りの度合いや、足の症状判定処理により判定された足の問題となる部分の圧力値等に対応して、パッドの厚さや形状を提示するようにしてもよい。これにより、被験者に対して問題の程度に応じたオーダーメイドの靴またはインソールを提供することが可能となる。
【0068】
上記実施形態における足の症状判定処理は、外反母趾を含む前足部の問題を発見する方法、偏平足を判定する方法、ハイアーチを判定する方法として単体で使用しても有用な判定方法であり、足の症状を的確に判定できるという特有の効果を奏する。
【0069】
上記実施形態では、足の症状判定処理において、足底圧計測センサから取得された足底圧の圧力分布に対して足指を除く足底領域を複数の領域に分割し、各領域の圧力段階値を求めて足の問題となる症状を判定するものとして説明したが、足底圧の圧力分布に対して足指部分を含む足底領域を複数の領域に分割し、各領域の圧力段階値に基づいて足の問題となる症状を判定するようにしてもよい。
【0070】
上記実施形態では、重心バランスの判定と足の症状の判定とを組み合わせて足の問題をケアする靴またはインソールを選定するものとして説明したが、重心バランスの判定のみを行って足をケアする靴またはインソールを選定するようにしてもよい。
【0071】
上記実施形態では、足外形寸法計測手段として、足撮像用テレビカメラにより、被験者が踵ストッパーに踵を押し当てた状態の足を前方上方より撮像し、左右の足の最前位置と最内位置と最外位置を検出することによって足の外形寸法を計測するものとして説明したが、足底圧計測センサとして透明材料を用いた感圧センサを使用し、足底圧計測センサの裏面からテレビカメラで足画像を撮像し、左右の足の前後内外の外形位置を検出することによって足の外形寸法を計測するようにしてもよい。
【0072】
上記実施形態では、足外形寸法計測手段として、2つの足撮像用テレビカメラにより、左右の足の足画像を別々に撮像するものとして説明したが、単一の高解像テレビカメラを用い、両足の足画像を同時に撮像するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0073】
上記実施形態では、足外形寸法計測手段として、足撮像用テレビカメラにより取得された画像を画像処理することにより足の外形寸法を計測するようにしたが、本願発明はこれに限定されるものではなく、例えば、足の長さ方向と幅方向のそれぞれについて線光源とラインセンサを対向して設け、ラインセンサの信号から足の外形位置を検出して足長と足幅を計測するようにしてもよく、機械的手段により足の外形位置を検出して足長と足幅を計測するようにしてもよい。
【0074】
上記実施形態では、足をケアする靴またはインソールを選定する機能について説明したが、足外形寸法計測手段により計測された足の外形寸法に基づいて推奨する靴のサイズを提示する機能を設け、靴の選定と足をケアするインソールの選定を同時に行うようにしてもよい。
【0075】
上記実施形態では、測定面に左右の足の足底圧を個別に計測する足底圧計測センサを設けるとしたが、測定面に一体形成された足底圧計測センサを設け、取得された圧力分布から、左右の足の踵ストッパーの位置と基準線の方向に基づいてそれぞれの足底圧の圧力分布を切り出すようにしてもよい。
【0076】
上記実施形態では、被験者が踵の位置を踵ストッパーに合わせ、足の向きを基準線に合わせて直立した状態で足底圧の圧力分布を計測することにより、重心バランスの偏りを精度よく判定できるようにしたが、踵ストッパーや基準線を設けず、被験者が足底圧計測センサの測定面上に自由に直立できるようにすることも可能である。
例えば、足外形寸法計測手段は、足底圧計測センサにより足底圧を計測した際の左右の足の前後内外の外形位置を検出できるようにし、足底圧計測手段により計測された圧力分布から、足外形寸法計測手段により検出された左右の足の前後内外の外形位置に基づいて左右の足底部分の圧力分布を切り出し、切り出された左右の足底部分の圧力分布から左右の足の重心位置を演算し、演算された左右の足の重心位置と足外形寸法計測手段により計測された左右の足の外形寸法に基づいて左右の足の重心バランスの偏りを判定するようにしてもよい。
これにより、足底圧の計測は測定面上に自由に直立した状態で行うことができるので、より制約のない状態で重心バランスの偏りを判定することができる。
【0077】
また、例えば、足外形寸法計測手段は、足底圧の計測とは独立して左右の足の外形寸法を計測するものとし、足底圧計測手段により計測された足底圧の圧力分布から、左右の足の前後内外の外形位置を推定し、推定された左右の足の前後内外の外形位置に基づいて左右の足底部分の圧力分布を切り出し、切り出された左右の足底部分の圧力分布から左右の足の重心位置を演算し、演算された左右の足の重心位置と足外形寸法計測手段により計測された左右の足の外形寸法に基づいて重心バランスの偏りを判定するようにしてもよい。
足の外形位置を推定するには、例えば、足底圧計測手段により計測された足底圧の圧力分布から、左右の足底圧の圧力が検出されている領域を抽出し、抽出された領域の前後の圧力を比較して高い方の最外位置を前後方向の基準位置として決定し、内外の圧力を比較して高い方の最外位置を内外方向の基準位置として決定し、決定された基準位置に対して、足外形寸法計測手段により計測された左右の足の外形寸法に対応する足外形枠を設定することによって、左右の足の前後内外の外形位置を推定する。
前後の圧力の比較や内外の圧力の比較は、双方の最外部分の圧力を比較するようにしてもよく、中心から両側の圧力の平均値等を比較するようにしてもよい。また、左右の足の重心位置が前後方向および内外方向のいずれに偏っているかによって前後方向および内外方向の基準位置を決定するようにしてもよい。
決定された前後方向の基準位置および内外方向の基準位置に対して設定する足外形枠は、圧力が検出されない部分を考慮して所定のオフセットを与える。このオフセットは、被験者の年齢、性別、足のサイズ等に応じて変更するようにしてもよい。
尚、被験者の足の状態によっては、足外形位置推定手段によって足の外形位置を正しく推定できないことも考えられるので、足底圧の圧力分布に対して設定された足外形枠を画面表示し、足外形枠の設定を画面上で修正できるようにしてもよい。
これにより、足底圧の計測は、足の外形寸法の計測とは独立して、測定面上に自由に直立した状態で足底圧を計測できるので、上記実施形態のように、足外形寸法の計測において踵ストッパーを設けて足の画像から足のサイズを計測する場合でも、被験者は、足底圧の計測において自由に足を踏み変えることができ、より制約のない状態で重心バランスの偏りを判定することができる。
【0078】
上記実施形態では、足の症状判定処理に対しても、足底圧計測センサにより計測された足底圧の圧力分布に対して、足外形寸法計測部で検出された左右の足の外形位置に基づいて足底領域を設定しているので、足底圧計測手段により計測された足底圧の圧力分布において足底の一部に荷重が計測されない欠損部分がある場合においても、前足部分の各領域の圧力段階値や中足部内側部分の各領域の圧力段階値や中足部全体の各領域の圧力段階値が正しく抽出され、外反母趾を含む前足部の問題や偏平足やハイアーチを精度よく判定することができる。
この場合においても、前述のように、踵ストッパーや基準線を用いず、足外形寸法計測手段において検出された左右の足の前後内外の外形位置に基づいて足底領域を設定するようにしてもよく、足外形位置推定手段により推定された左右の足の前後内外の外形位置に基づいて足底領域を設定するようにしてもよい。
【0079】
上記実施形態では、靴・インソール選定部において足をケアする靴またはインソールを最終的に選定するものとして説明したが、被験者に靴・インソール選定部で選定された靴またはインソールを実際に装用して足底圧計測センサ上で直立してもらい、上記足底重心位置演算部において演算される重心の一定時間内の変動に基づいて重心動揺パラメータを演算することで、選定された靴またはインソールを装用したときの重心動揺が一定範囲内にあることを確認したり、あらかじめ通常の靴またはインソールを装用して重心動揺を計測しておき、これに対して選定された靴またはインソールを装用した場合の重心動揺の改善度を確認したりする機能を設けるようにしてもよい。
本願発明では、足底圧計測センサから足底圧の圧力分布をリアルタイムに取得することができ、上記足底重心位置演算部において重心位置の変動をリアルタイムに演算することができるので、これに基づいて重心が移動した領域の外周面積、矩形面積、実行値面積、総軌跡長、単位軌跡長、単位面積軌跡などの重心動揺パラメータを演算することで、左右の足の重心動揺を評価することができる。
また、靴・インソール選定部において、足をケアする候補となる複数の靴またはインソールを提示し、提示された靴またはインソールについて、被験者に実際に装用してもらって重心動揺を計測し、これに基づいて最も良好な靴またはインソールを選定するようにしてもよい。
【0080】
上記実施形態では、足底圧を計測する足底圧計測センサと、足外形寸法を計測するための足撮像用テレビカメラと、重心バランスの判定処理や足の症状判定処理や靴またはインソールの選定処理を実行する処理装置と、判定結果を表示するモニタ画面を、一つの筐体内に備えたフィッティング・ナビゲーション・システムについて説明したが、図15に示すように、装置本体内には足底圧計測センサと足撮像用テレビカメラとを備え、これを汎用のパーソナルコンピュータに接続し、汎用パーソナルコンピュータにおいて、重心バランスの判定処理や足の症状判定処理や足をケアする靴またはインソールの選定処理を実行させ、判定結果を表示させるようにしてもよい。これにより、装置本体が小型化され、小規模なショップや一般家庭等においても、重心バランスの判定や足の症状の判定や靴またはインソールの選定を簡便に行うことができる。
【0081】
上記実施形態では、左右の足のそれぞれについて、個別に、重心バランスの偏りの判定と足の問題となる症状の判定を行って足の問題をケアする靴またはインソールを選定したが、左足ついての判定結果と右足についての判定結果とを組み合わせて、被験者の骨盤の状態を診断する骨盤判定機能を設けてもよい。
例えば、左右の足の重心バランスの偏りの判定結果の組み合わせに対して骨盤の診断情報を記述した骨盤判定メッセージが登録された骨盤判定テーブルを設け、上記重心バランス判定部において求められた左足の重心バランスの偏りを示すフラグと右足の重心バランスの偏りを示すフラグから、骨盤判定テーブルを参照して骨盤判定メッセージを抽出し、モニタ画面に表示する。
画面表示する骨盤判定メッセージとしては、例えば「前に傾き気味です」、「O脚になっています」、「X脚になっています」などの骨盤の状態に対する診断メッセージの他、判定された骨盤状態に対して、それを改善するためのドクターからのアドバイス情報として、例えば「骨盤が前に傾いていく可能性があります。姿勢を支える筋肉を鍛えるため、ピラティス等の運動をお勧めします。」、「膝に負担がかかりやすくなっているので注意しましょう」などのメッセージを含めるようにしてもよい。
また、骨盤判定テーブルにおいて左右の足の重心バランスの偏りの判定結果の組み合わせに対して、靴またはインソールの選定を修正する情報を登録しておき、それに基づいて最終的に選定する靴またはインソールを決定するようにしてもよい。
【0082】
また、左右の足の重心バランスの偏りの判定結果に基づいて、被験者の姿勢をシミュレートして画面表示する姿勢シミュレーション表示機能を設けてもよい。
例えば、被験者から身体情報を取得し、取得された身体情報に基づいて標準的な3次元人体モデルを変形させ、被験者の3次元人体モデルを生成する。
次に、重心バランス判定手段により判定された左右の足の重心バランスの偏りに基づき、左右の足の重心バランスの偏りに対して3次元人体モデルのどの部分をどのように変形させるかを定義した姿勢変形テーブルを参照して、被験者の3次元人体モデルを変形させて画面表示する。
被験者からの身体情報の取得は、例えば、デジタルカメラで被験者を撮像し、撮像された画像から画像処理によって被験者の肩・胴・腰・手先・足先等の特徴点を抽出し、肩幅・胴幅・腰幅・手の長さ・脚の長さ等を演算する。画像処理が容易となるように、特徴点にLEDを装着して計測するようにしてもよい。
【0083】
上記姿勢シミュレーション表示機能において、被験者の左右の足の重心バランスの偏りに基づいて被験者の身体に働くモーメントを演算するモーメント演算機能を設け、これに基づいて被験者の姿勢をシミュレートして画面表示するようにしてもよい。
モーメント演算機能は、図16に示すように、足底圧計測センサにより計測された左右の足の足底圧の圧力分布から、足底重心位置演算部において求められた左右の足の重心位置Gl,Grにかかる総荷重Wl,Wrを演算する総荷重演算機能と、左右の足の重心位置Gl,Grと左右の足の総荷重Wl,Wrから両足による全体の重心位置Gtと全体の荷重Wtを演算する全体重心演算機能と、左右の足の外形位置に基づいて両足による理想重心位置Cwを演算する理想重心演算機能とを備えることで、全体重心位置Gtと全体荷重Wtと理想重心位置Cwとから被験者の身体にかかるモーメントM(ベクトル)を演算することができる。
そして、モーメント演算機能により演算されたモーメントM(ベクトル)に基づいて被験者の3次元モデルを変形させて画面表示する。
これにより、被験者は、足の重心バランスの偏りよって身体に働くモーメントが全体の姿勢にどのような影響を与えているかを具体的に認識することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上述べたように、本願発明によれば、足底の重心バランスの偏りを常に精度よく判定することができ、足の問題をケアする靴やインソールを的確に選定できるフィッティング・ナビゲーション・システムが提供される。
従って、本願発明のシステムをシューズショップ等に設置することで、靴の購入者が自ら自分の足にフィットする靴やインソールを選定することができる。また、この発明により、靴やインソールの選定が定量化されるので、シューズショップの販売員の補佐用としても活用できる。
【0085】
本願発明は、選定手段を備えることで被験者の足の問題をケアする靴またはインソールを選定するフィッティング・ナビゲーション・システムを提供するが、選定手段を除く本願発明の他の手段は、被験者の足の状態を診断する診断装置としても活用することができる。
すなわち、本願発明の足底圧計測手段、足外形寸法計測手段、重心位置演算手段および重心バランス判定手段を備えることで、足底の重心バランスの偏りを常に精度よく判定することができる足の診断装置を提供することができる。
また、本願発明の判定機能によって発見された足の問題に対して、ストレッチ体操やリハビリ運動を提案したり、食生活の改善を指導したり、サプリメントの服用を提案したり、衣服の提案をしたりする機能を備えることで、生活改善サポートシステムとして活用することができる。
更には、個々人のライフスタイルを管理するライフスタイルデータベースを備え、フットケア用品・スポーツ用品・エステ機器・食料品・衣料品・医薬品・サプリメント等の商品や、医療・教育・スポーツ・美容・旅行等のサービスを提供する各種システムと連携を図ることで、フットケアサポートから始まり、衣食住のすべてをサポートし、個々人に最適な生活スタイルレシピを提案する総合サポートシステムとして展開することができる。
【0086】
本願発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本願発明の効果を奏する限り、各実施形態で述べた構成要素を適宜入れ替えたり、新たな構成要素を追加したり、一部の構成要素を削除したりしてもよいことはいうまでもない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定面上に直立した被験者の左右の足底から受ける足底圧の圧力分布を計測する足底圧計測手段と、
前記被験者の左右の足の外形位置を検出することによって、左右の足の外形寸法を計測する足外形寸法計測手段とを備え、
左右の足のサイズと足底圧の圧力分布を同時に計測できるようにしたものであって、
前記足底圧計測手段により計測された左右の足底圧の圧力分布から、前記足外形寸法計測手段により検出された左右の足の外形位置を基準とする左右の足の重心位置を演算する重心位置演算手段と、
前記重心位置演算手段により演算された左右の足の重心位置と前記足外形寸法計測手段により計測された左右の足の外形寸法に基づいて、左右の足の重心バランスの偏りを判定する重心バランス判定手段と、
前記重心バランス判定手段により判定された左右の足の重心バランスの偏りに基づいて、足の問題をケアする靴またはインソールを選定する選定手段とを更に備えた、靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項2】
測定面上に直立した被験者の左右の足底から受ける足底圧の圧力分布を計測する足底圧計測手段と、
前記被験者の左右の足の外形寸法を計測する足外形寸法計測手段とを備え、
左右の足のサイズと足底圧の圧力分布を同時に計測できるようにしたものであって、
前記足底圧計測手段により計測された足底圧の圧力分布から、左右の足の圧力が検出されている領域を抽出し、前記抽出された領域の圧力分布から前後方向および内外方向の基準位置を決定し、前記決定された基準位置に対して、前記足外形寸法計測手段により計測された左右の足の外形寸法に対応する足外形枠を設定することにより、左右の足の外形位置を推定する足外形位置推定手段と、
前記足底圧計測手段により計測された足底圧の圧力分布から、前記足外形位置推定手段により推定された左右の足の外形位置を基準とする左右の足の重心位置を演算する重心位置演算手段と、
前記重心位置演算手段により演算された左右の足の重心位置と前記足外形寸法計測手段により計測された左右の足の外形寸法に基づいて、左右の足の重心バランスの偏りを判定する重心バランス判定手段と、
前記重心バランス判定手段により判定された左右の足の重心バランスの偏りに基づいて、足の問題をケアする靴またはインソールを選定する選定手段とを更に備えた、靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項3】
前記足外形寸法計測手段は、左右の足の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された左右の足の画像から、左右の足の外形位置を検出して足長と足幅を演算する画像処理手段とを有する、請求項1または請求項2に記載の靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項4】
前記足底圧計測手段により計測された左右のそれぞれの足底圧の圧力分布を複数の領域に分割し、前記分割された各領域における圧力段階値を演算し、前記演算された各領域の圧力段階値を、あらかじめ定めた圧力段階値の組み合わせ条件と比較して足に異常な症状があるか否かを判定する足の症状判定手段を更に備え、
前記選定手段は、前記重心バランス判定手段により判定された左右の足の重心バランスの偏りとともに、前記足の症状判定手段により判定された左右の足の症状に基づいて足をケアする靴またはインソールを選定する、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項5】
前記足の症状判定手段は、
前記足底圧計測手段により計測された足底圧の圧力分布に対して足指部分を除いた足底領域を複数の領域に分割し、前記分割された各領域における圧力段階値を演算する手段と、
前記演算された各領域の圧力段階値のうち前足部分の各領域の圧力段階値をあらかじめ定めた圧力段階値の組み合わせ条件と比較して外反母趾を含む前足部の問題の有無を判定する前足部の問題判定手段と、
前記演算された各領域の圧力段階値のうち中足部内側部分の各領域の圧力段階値をあらかじめ定めた圧力段階値の組み合わせ条件と比較して偏平足の有無を判定する偏平足判定手段と、
前記演算された各領域の圧力段階値のうち中足部全体の各領域の圧力段階値をあらかじめ定めた圧力段階値の組み合わせ条件と比較してハイアーチの有無を判定するハイアーチ判定手段とを有する、請求項4に記載の靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項6】
前記選定手段は、足の症状判定手段により判定された足の異常な症状を改善する靴またはインソールに対して、重心バランス判定手段により判定された重心バランスの偏りを改善する靴またはインソールを組み合わせた靴またはインソールを選定するものであって、足の症状判定手段に基づく靴またはインソールの選定に対して重心バランス判定手段に基づく靴またはインソールの選定が矛盾する場合には、足の症状判定手段に基づく靴またはインソールの選定を優先させるようにした、請求項4または請求項5に記載の靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項7】
前記選定手段は、靴またはインソールに装着するパッドの配備方法を提示するものである、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項8】
前記重心位置演算手段により演算された左右の足の重心位置の一定時間内の変動に基づいて重心動揺を演算する重心動揺演算手段を更に備え、前記選定手段により選定された靴またはインソールを被験者が装用した際の左右の足の重心動揺を計測し、前記選定された靴またはインソールの適合性を評価できるようにした、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項9】
左足の重心バランスの偏りの判定結果と右足の重心バランスの偏りの判定結果の組み合わせに対して、骨盤の診断情報を記述した骨盤判定メッセージが登録された骨盤判定テーブルを有し、
前記重心バランス判定手段による左足の重心バランスの偏りの判定結果と右足の重心バランスの偏りの判定結果とから、前記骨盤判定テーブルを参照して、対応する骨盤判定メッセージを抽出して画面表示する骨盤判定手段を更に備えた、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項10】
被験者の身体情報に基づいて被験者の3次元人体モデルを生成する人体モデル生成手段と、
前記人体モデル生成手段により生成された3次元人体モデルを、前記重心バランス判定手段により演算された左右の足の重心バランスの偏りに基づいて変形させて画面表示する姿勢シミュレーション表示手段とを更に備えた、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項11】
前記姿勢シミュレーション表示手段は、
前記足底圧計測手段により計測された左右の足底圧の圧力分布から左右の足の総荷重を求める総荷重演算手段と、
前記重心位置演算手段により演算された左右の足の重心位置と前記総荷重演算手段により求められた左右の足の総荷重に基づいて、被験者の全体重心位置と全体荷重を演算する全体重心演算手段と、
前記足外形寸法演算手段により検出された足の外形位置に基づいて、理想重心位置を演算する理想重心位置演算手段と、
前記全体重心演算手段により演算された全体重心位置および全体荷重と、前記理想重心演算手段により演算された理想重心位置とに基づいて、被験者の体に働くモーメントを演算するモーメント演算手段とを有し、
前記モーメント演算手段により演算されたモーメントに基づいて、前記3次元人体モデル生成手段により生成された被験者の3次元人体モデルを変形させて画面表示するようにした、請求項10に記載の靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項1】
測定面上に直立した被験者の左右の足底から受ける足底圧の圧力分布を計測する足底圧計測手段と、
前記被験者の左右の足の外形位置を検出することによって、左右の足の外形寸法を計測する足外形寸法計測手段とを備え、
左右の足のサイズと足底圧の圧力分布を同時に計測できるようにしたものであって、
前記足底圧計測手段により計測された左右の足底圧の圧力分布から、前記足外形寸法計測手段により検出された左右の足の外形位置を基準とする左右の足の重心位置を演算する重心位置演算手段と、
前記重心位置演算手段により演算された左右の足の重心位置と前記足外形寸法計測手段により計測された左右の足の外形寸法に基づいて、左右の足の重心バランスの偏りを判定する重心バランス判定手段と、
前記重心バランス判定手段により判定された左右の足の重心バランスの偏りに基づいて、足の問題をケアする靴またはインソールを選定する選定手段とを更に備えた、靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項2】
測定面上に直立した被験者の左右の足底から受ける足底圧の圧力分布を計測する足底圧計測手段と、
前記被験者の左右の足の外形寸法を計測する足外形寸法計測手段とを備え、
左右の足のサイズと足底圧の圧力分布を同時に計測できるようにしたものであって、
前記足底圧計測手段により計測された足底圧の圧力分布から、左右の足の圧力が検出されている領域を抽出し、前記抽出された領域の圧力分布から前後方向および内外方向の基準位置を決定し、前記決定された基準位置に対して、前記足外形寸法計測手段により計測された左右の足の外形寸法に対応する足外形枠を設定することにより、左右の足の外形位置を推定する足外形位置推定手段と、
前記足底圧計測手段により計測された足底圧の圧力分布から、前記足外形位置推定手段により推定された左右の足の外形位置を基準とする左右の足の重心位置を演算する重心位置演算手段と、
前記重心位置演算手段により演算された左右の足の重心位置と前記足外形寸法計測手段により計測された左右の足の外形寸法に基づいて、左右の足の重心バランスの偏りを判定する重心バランス判定手段と、
前記重心バランス判定手段により判定された左右の足の重心バランスの偏りに基づいて、足の問題をケアする靴またはインソールを選定する選定手段とを更に備えた、靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項3】
前記足外形寸法計測手段は、左右の足の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された左右の足の画像から、左右の足の外形位置を検出して足長と足幅を演算する画像処理手段とを有する、請求項1または請求項2に記載の靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項4】
前記足底圧計測手段により計測された左右のそれぞれの足底圧の圧力分布を複数の領域に分割し、前記分割された各領域における圧力段階値を演算し、前記演算された各領域の圧力段階値を、あらかじめ定めた圧力段階値の組み合わせ条件と比較して足に異常な症状があるか否かを判定する足の症状判定手段を更に備え、
前記選定手段は、前記重心バランス判定手段により判定された左右の足の重心バランスの偏りとともに、前記足の症状判定手段により判定された左右の足の症状に基づいて足をケアする靴またはインソールを選定する、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項5】
前記足の症状判定手段は、
前記足底圧計測手段により計測された足底圧の圧力分布に対して足指部分を除いた足底領域を複数の領域に分割し、前記分割された各領域における圧力段階値を演算する手段と、
前記演算された各領域の圧力段階値のうち前足部分の各領域の圧力段階値をあらかじめ定めた圧力段階値の組み合わせ条件と比較して外反母趾を含む前足部の問題の有無を判定する前足部の問題判定手段と、
前記演算された各領域の圧力段階値のうち中足部内側部分の各領域の圧力段階値をあらかじめ定めた圧力段階値の組み合わせ条件と比較して偏平足の有無を判定する偏平足判定手段と、
前記演算された各領域の圧力段階値のうち中足部全体の各領域の圧力段階値をあらかじめ定めた圧力段階値の組み合わせ条件と比較してハイアーチの有無を判定するハイアーチ判定手段とを有する、請求項4に記載の靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項6】
前記選定手段は、足の症状判定手段により判定された足の異常な症状を改善する靴またはインソールに対して、重心バランス判定手段により判定された重心バランスの偏りを改善する靴またはインソールを組み合わせた靴またはインソールを選定するものであって、足の症状判定手段に基づく靴またはインソールの選定に対して重心バランス判定手段に基づく靴またはインソールの選定が矛盾する場合には、足の症状判定手段に基づく靴またはインソールの選定を優先させるようにした、請求項4または請求項5に記載の靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項7】
前記選定手段は、靴またはインソールに装着するパッドの配備方法を提示するものである、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項8】
前記重心位置演算手段により演算された左右の足の重心位置の一定時間内の変動に基づいて重心動揺を演算する重心動揺演算手段を更に備え、前記選定手段により選定された靴またはインソールを被験者が装用した際の左右の足の重心動揺を計測し、前記選定された靴またはインソールの適合性を評価できるようにした、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項9】
左足の重心バランスの偏りの判定結果と右足の重心バランスの偏りの判定結果の組み合わせに対して、骨盤の診断情報を記述した骨盤判定メッセージが登録された骨盤判定テーブルを有し、
前記重心バランス判定手段による左足の重心バランスの偏りの判定結果と右足の重心バランスの偏りの判定結果とから、前記骨盤判定テーブルを参照して、対応する骨盤判定メッセージを抽出して画面表示する骨盤判定手段を更に備えた、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項10】
被験者の身体情報に基づいて被験者の3次元人体モデルを生成する人体モデル生成手段と、
前記人体モデル生成手段により生成された3次元人体モデルを、前記重心バランス判定手段により演算された左右の足の重心バランスの偏りに基づいて変形させて画面表示する姿勢シミュレーション表示手段とを更に備えた、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【請求項11】
前記姿勢シミュレーション表示手段は、
前記足底圧計測手段により計測された左右の足底圧の圧力分布から左右の足の総荷重を求める総荷重演算手段と、
前記重心位置演算手段により演算された左右の足の重心位置と前記総荷重演算手段により求められた左右の足の総荷重に基づいて、被験者の全体重心位置と全体荷重を演算する全体重心演算手段と、
前記足外形寸法演算手段により検出された足の外形位置に基づいて、理想重心位置を演算する理想重心位置演算手段と、
前記全体重心演算手段により演算された全体重心位置および全体荷重と、前記理想重心演算手段により演算された理想重心位置とに基づいて、被験者の体に働くモーメントを演算するモーメント演算手段とを有し、
前記モーメント演算手段により演算されたモーメントに基づいて、前記3次元人体モデル生成手段により生成された被験者の3次元人体モデルを変形させて画面表示するようにした、請求項10に記載の靴またはインソールのフィッティング・ナビゲーション・システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−254811(P2009−254811A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70350(P2009−70350)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(398021490)株式会社COMFORT LAB (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(398021490)株式会社COMFORT LAB (7)
【Fターム(参考)】
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