靴下揃え止め片
【課題】 周知の小金具を用いて形成されていた靴下揃え止め金具を合成樹脂素材を用いて形成し、靴下からの取り外し時に簡単に取り外すことができ、乱雑に扱っても靴下を傷めることなく、取り外し後のチップを誤って踏みつけることがあっても怪我をするようなことのない靴下揃え止め片を提供すること。
【解決手段】 合成樹脂素材を用いて一体的に形成された単体品であって、所定の空間sを隔てて上下に配置された上壁1と下壁2と、これらの両壁1,2を一端で連結する後壁3とからなり、上壁1がその遊端側において、折り曲げ自在なヒンジ部4を介して空間s内に入り込む押圧挟持片5と上壁1の延長方向に延びる延長壁6とを備えている構成としたものである。
【解決手段】 合成樹脂素材を用いて一体的に形成された単体品であって、所定の空間sを隔てて上下に配置された上壁1と下壁2と、これらの両壁1,2を一端で連結する後壁3とからなり、上壁1がその遊端側において、折り曲げ自在なヒンジ部4を介して空間s内に入り込む押圧挟持片5と上壁1の延長方向に延びる延長壁6とを備えている構成としたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、男性用、女性用、子供用を問わず、靴下の販売に際して、左右一対の靴下を一足に纏めて包装するのに際して、左右が分離しないように揃えて止め着けておくために使用する止め片に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の靴下揃え用の止め片は、従来図として示した図29において符号Aとして示したように、金属アルミの薄い小片を利用して側面視V字形に形成したものを用いてこれを押圧変形させて靴下Sの足先部と足入れ口とを止め着けていた。他の手段として、同図において符号Bとして示したように、縫い糸を用いて仮縫い状として止め着ける方法も用いられていた。このようにして1足分を揃えた状態として、例えば透明な防湿袋pで包装されていた。このような靴下の固定手段は、古くから実用されていたことであって、広く一般に周知されている。したがって、特許文献としての先行技術は、調査したが見当たらなかった。
【0003】
この出願に際して調査した文献中には、下記の特許文献1及び2の存在を確認したが、これらは発明の名称を靴下止め具及び長靴下の止め具として存在したものであるが、その記載技術そのものは、何れも靴下を使用したときにずれ落ちることを防止するために、身に着けて使用するずれ落ち防止具に関するものであった。したがって、本出願はこれらの文献記載のものとは技術的に無関係なものである。よって、本発明は、これらの靴下止め具と区別するため発明の名称を靴下揃え止め片とした。
【特許文献1】特開2003−278020号公報
【特許文献2】特開2003−193315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、本発明は、従来周知の前記金属アルミを用いた薄い小片の靴下揃え止め金具に代わる物品であって、合成樹脂素材を用いて形成したものである。ここにいうところの金属アルミを用いた小金具にあっては、低コストで形成でき、靴下への取り付けも簡単にできるという当業者にとっては捨てがたい利点を有しているものではあるが、靴下の購買者が、この小金具を取り外す際に、この小金具が薄いものであるために爪先を傷つけたり、取り外した金具を誤って踏みつけて怪我をするという事故の発生源となったり、他方で、この小金具が薄い小片ではあっても金属であるため、乱雑に取り外すと使用の前に靴下を傷つけてしまうという不快感を味わわなければならないという課題を常に内在しているものであった。
【0005】
そこで本発明は、このような従来周知の小金具を用いた靴下揃え止め金具が有していた課題を解決するために、前記のように、これを合成樹脂素材を用いて形成することとし、合成樹脂素材が内在的に有する挟持力の脆弱さを克服すること、靴下からの取り外し時に簡単に取り外すことができ、乱雑に扱っても靴下を傷めることがなく、取り外し後のチップを誤って踏みつけることがあっても怪我をするようなことのないチップ構造とすることによって、安全に取り扱うことができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
該目的を達成するために講じた本発明にいうところの靴下揃え止め片の請求項1に記載の構成を、実施例の説明に使用した符号を用いて説明すると、合成樹脂素材を用いて一体的に形成された単体品であって、所定の空間sを隔てて上下に配置された上壁1と下壁2と、これらの両壁1,2を一端で連結する後壁3とからなり、上壁1がその遊端側において、折り曲げ自在なヒンジ部4を介して前記空間s内に入り込む押圧挟持片5と上壁1の延長方向に延びる延長壁6とを備えている構成としたものである。
【0007】
また、請求項2に記載の靴下揃え止め片の構成は、上壁1と下壁2または後壁3の少なくとも1箇所に折曲作用部7が形成されている構成としたものである。
【0008】
更に、請求項3に記載の靴下揃え止め片の構成は、前記請求項1または2に記載の上壁1と下壁2と後壁3及び挟持片5と延長壁6とのそれぞれの角部が面取り形成されている構成としたものである。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明にいうところの靴下揃え止め片は、その全体を合成樹脂素材を用いて一体的に形成した単体品としてあるので、量産に適し、低廉安価に市場に提供できる利点を有しているものでありながら、折り曲げ自在なヒンジ部を介して上下壁間の空間内に入り込む押圧挟持片によって靴下への挟圧作用を確実に果たさせ、同時に靴下の抜け止め作用を確実なものとすることができるという顕著な効果を期待することができる。また、合成樹脂素材を用いてその全体を形成してあるので、金属片を使用したものに比して安全性が高く、靴下への損傷度合いも大幅に低減できるという利点をも同時に有している。
【0010】
また、請求項2の構成のように、靴下揃え止め片を構成する上壁1と下壁2または後壁3の少なくとも1箇所に折曲作用部7が形成されているものとした場合には、素材の塑性変形力を利用することによって、靴下に対する装着をより一層容易なものとすることができる利点がある。
【0011】
更に、請求項3の構成のように、靴下揃え止め片を構成する全ての角部を面取り形成されているものとしておくことによって、より確実な安全性と靴下損傷度の回避とを期待することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、上記の構成としたもので、靴下から取り外された後は廃棄処分されるものであるため、その実施に当たっての樹脂素材は、廃棄しても公害問題を引き起こす度合いの少ないポリオレフィン系樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂等の石油系樹脂の他に、自然循環型またはカーボンニュートラル素材とされる植物由来の生分解性樹脂を用いるのが好ましい。
【実施例】
【0013】
以下本発明の実施例について図面に基づいて説明する。図中、図1乃至図6は、本発明の第1実施例を示す図であって、図1は側面図、図2は平面図、図3は斜視図、図4は靴下への装着直前の状態を示す側面図、図5は靴下への装着状態を示す側面図、図6は靴下に装着した状態を示す平面図である。
【0014】
該第1実施例に示した靴下揃え止め片(以下単に止め片と言う)Tは、その成型用樹脂素材として、とうもろこし等を原材料として形成したポリ乳酸のような植物由来の樹脂素材を使用し、射出成形用金型に刻設したキャビティ内に射出して成形する。改めて言うまでもなく、本発明にいうところの止め片Tは、周知の押し出し成形手段を用いて、所定の形状に形成した金型のダイから素材樹脂の長尺物を押し出し、この押し出した長尺品を長手方向において所定幅に順次カットするという手段によっても得ることができる。ただ、この押し出し成形品をカットして得た小片は、カット面を返りのない滑らかな良品とするための再加工を必要とする点に難点がある。したがって、本発明品の場合には、良品の量産化という点からみると前者の射出成形に歩がある。
【0015】
而して、図1乃至図3に示した止め片Tは、全体を一体的に形成した単体品であって、長方形の板状に形成された下壁2と、この上方に一足の靴下Sを挟み込むのに必要な所定の空間sを隔てて配置されている、短寸の長方形板状に形成された上壁1と、これらの上下壁1,2を一端側(図において右側)で側面視U字形に連結する後壁3とからなっていて、上壁1には、後壁3と対向する遊端側の先端に形成された折り曲げ自在なヒンジ部4を介して前記空間s内に入り込む長さに形成された靴下押圧挟持片5が下壁2側に向かって突出するように連接形成され、この靴下押圧挟持片5と側面視でくの字形に接続していて、使用時には上壁1の延長方向に向かって延びる延長壁6を備えている構造としてある。また、該実施例の止め片Tは、靴下への装着時に、案内作用を果たさせるために、下壁2を上壁1に比して前方に突出するように長く形成してある。
【0016】
該実施例に示した止め片Tは、図1乃至図3に見られるように、上壁1と下壁2と後壁3とにおける角部分や、靴下Sと接する挟持片5の下端部分、延長壁6の上端部分等のそれぞれの角部を面取りや曲面に形成してあり、先鋭なエッジ部分や角部分を有しない形状に形成してある。
【0017】
該実施例に示した止め片Tを靴下Sに装着するには、図4に示したように、ヒンジ部4から垂下した挟持片5を靴下Sの取り付け部分の先端に当てつけて、姿勢変更させながら靴下Sを空間s内に挿入し、図5のように靴下Sの先端部分に装着する。このようにすることによって靴下Sに対してワンタッチ操作で装着できるようになっている。このようにして靴下1足分を揃えた状態として、図6に示したように、例えば透明な防湿袋pに入れて包装する。
【0018】
而して、靴下の厚みは、編組糸の番手によって異なり、夏物と冬物と等によっても異なるので、止め片Tの大きさ、殊に、上下壁1,2間に形成される空間sの間隔を異ならせた複数種の止め片Tを形成してもよいが、靴下は厚さ方向に圧縮変形性を有しているので1種類か2種類で充分対応させることができる。
【0019】
そこで、該第1実施例に示した止め片Tについて、その概略寸法を例示すると次の通りである。図1に示した側面図において、各壁1,2,3及び5,6の厚み0.75mm、空間sの上下間隔2.4mm、図2に示した平面図において、上下幅4.5mm、14mmとしてある。この寸法は概略寸法であって、必要に応じて変更を加えることができるものであることは当然のことである。
【0020】
図7及び図8は、第2実施例を示す側面図と靴下への装着状態を示す側面図である。該実施例に示した止め片Tは、前記第1実施例の止め片Tと対比したとき、上壁1における遊端側の折り曲げ自在なヒンジ部4に連結した挟持片5と延長壁6とを、常時は図7のように空間sから遠ざかった状態に回避していている構造としたものである。
【0021】
この実施例に示した止め片Tは、先ず、空間s内に靴下Sを挿入し、その後に、図8に示したように、延長壁6を矢印のように回転操作して、挟持片5の先端部で靴下Sを押し付けて固定するようにしたものである。その他の点は、前記第1実施例に示した止め片Tと同様に形成したものである。
【0022】
図9乃至図12は、第3実施例を示す側面図と靴下への装着状態を示す側面図及びその平面図と斜視図である。該実施例に示した止め片Tは、前記第1実施例に示した止め片Tと対比したとき、上壁1の上面と下壁2の下面とに滑り止め用の小リブ7を突出形成してあるものとし、下壁2の上面には空間s内に向かって突出する側面視鋸刃状とした小リブ18を形成してある構造としたものである。
【0023】
更に、該実施例に示した止め片Tにあっては、側面図においてより明らかなように、靴下Sに対する挟持力と弾性力をより増大させるために、後壁3の肉厚を厚肉に形成してある。他の実施例としては、この厚肉化に代えて、または厚肉化に加えて壁周方向に沿って補強リブを形成してもよい。
【0024】
図13乃至図16は、第4実施例の靴下揃え止め片を示したもので、それぞれ側面図、平面図、使用途中の説明用側面図及び使用時の状態を示す側面図である。該実施例に示した止め片Tは、靴下押圧挟持片5の形状を、ヒンジ部4から外方部分において略U字形に折り曲げ形成されたものとし、その曲面部分5aを靴下への装着時の挿入ガイドの役割を果たすようにしたものである。また、該実施例に示した該押圧挟持片5の操作用延長壁6は、終端部6aを図13のように上向き突出形に形成してあり、使用時には図16に示したように、靴下に対して押圧作用をするようにしたものである。
【0025】
また、図17乃至図19は、第5実施例を示した側面図、使用途中の状態及び使用時の状態を示す側面図である。該実施例に示した止め片Tは、靴下押圧挟持片5の形状を、側面丸形に形成した抜け止め部5bを先端に備えたものとし、延長壁6を平板状としたものである。
【0026】
以上に示した各実施例の止め片Tでは、上壁1と下壁2が概ね平行に成形されているものとして示したが、靴下の厚みに対する適用自由度を向上させるため及び靴下揃え止めの作業をより簡便にするために、使用前の常態で挿入口を広くしてあるものとして実施することもできる。例えば第6乃至第8実施例として示すように、上壁面と下壁面との仰角を20度乃至60度とし、靴下挿入後に上壁1を挟持方向に押すことにより上下壁1,2が閉じて装着されるようにする。これら一連の操作は、概ねワンタッチで実施できる。この操作による作用部はヒンジ状であってもよいし、断面湾曲状で薄肉に成形されていてもよい。この作用部は後壁3と上壁1と下壁2との何れかの少なくとも1箇所に形成すればよい。
【0027】
図20乃至図22は第6実施例の、図23乃至図25は第7実施例の、図26乃至図28は第8実施例の、それぞれ側面図と使用途中状態と使用状態とを示す側面図である。而して、図20乃至図22に示した第6実施例の止め片Tは、上壁1における後壁3に近い部分に肉厚を薄くした凹入部を形成して折り曲げを容易とする折曲作用部7を形成してあるものとし、非使用の常態で図20にみられるように、該折曲作用部7から先端側(同図において右側)の上壁1を下壁2に対して約30度の仰角を有する形状に形成したものである。このように常態で靴下への取り付け角を備えているものとしておくと、靴下への装着が容易となり、靴下の先端を挿入後、図21に示した矢印方向に上壁1を押圧することにより、上壁1は図22のように下降し、折曲作用部7の素材の塑性変形により下壁2と略平行な状態を維持し、靴下への装着を略ワンタッチ状態で行うことができる。
【0028】
図23乃至図25に示した第7実施例の止め片Tは、この折曲作用部7を下壁2における後壁3に近い部分に形成してあるものとした実施例を示したものであり、図26乃至図28に示した第8実施例の止め片Tは、後壁3における上下方向の略中間部分に折曲作用部7を形成してあるものとした実施例を示したものである。その他の点については、前記第6実施例に示した止め片Tと同様であるので、詳細は省略する。
【0029】
なお、これらの第6実施例乃至第8実施例では、靴下押圧挟持片5の形状を図示の便宜上前記第5実施例に示した靴下押圧挟持片5と同じ形状のものとして示したが、この靴下押圧挟持片5の形状は、これらの図示のものに限られるものではなく、前記第1実施例乃至第5実施例においてそれぞれ示した押圧挟持片5の何れかのものや、それらに準ずる適宜の形状のものに代えて実施できるものであることは言うまでもない。
【0030】
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施例に示した構造のみに限定されるものではなく、本発明にいうところの構成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を達成し効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明にいうところの靴下揃え止め片は、人体に対する危険性と靴下に対する損傷度を大幅に減少させることができるものであるから、世上において大いに受け入れられ重宝に使用される可能性が大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施例を示す側面図。
【図2】第1実施例を示す平面図。
【図3】第1実施例を示す斜視図。
【図4】第1実施例における靴下への装着直前の状態を示す側面図。
【図5】第1実施例における靴下への装着状態を示す側面図。
【図6】第1実施例における靴下への装着状態を示す平面図。
【図7】第2実施例を示す側面図。
【図8】第2実施例における靴下への装着状態を示す側面図。
【図9】第3実施例を示す側面図。
【図10】第3実施例における靴下への装着状態を示す側面図。
【図11】第3実施例における靴下への装着状態を示す平面図。
【図12】第3実施例における靴下への装着状態を示す斜視図。
【図13】第4実施例を示す側面図。
【図14】第4実施例を示す平面図。
【図15】第4実施例における使用途中の説明用側面図。
【図16】第4実施例における使用時の状態を示す側面図。
【図17】第5実施例を示す側面図。
【図18】第5実施例における使用途中の状態を示す側面図。
【図19】第5実施例における使用時の状態を示す側面図。
【図20】第6実施例を示す側面図。
【図21】第6実施例における使用途中の状態を示す側面図。
【図22】第6実施例における使用時の状態を示す側面図。
【図23】第7実施例を示す側面図。
【図24】第7実施例における使用途中の状態を示す側面図。
【図25】第7実施例における使用時の状態を示す側面図。
【図26】第8実施例を示す側面図。
【図27】第8実施例における使用途中の状態を示す側面図。
【図28】第8実施例における使用時の状態を示す側面図。
【図29】従来における靴下の包装状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0033】
1 上壁
2 下壁
3 後壁
4 ヒンジ部
5 押圧挟持片
6 延長壁
7 折曲作用部
s 空間
T 止め片
【技術分野】
【0001】
本発明は、男性用、女性用、子供用を問わず、靴下の販売に際して、左右一対の靴下を一足に纏めて包装するのに際して、左右が分離しないように揃えて止め着けておくために使用する止め片に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の靴下揃え用の止め片は、従来図として示した図29において符号Aとして示したように、金属アルミの薄い小片を利用して側面視V字形に形成したものを用いてこれを押圧変形させて靴下Sの足先部と足入れ口とを止め着けていた。他の手段として、同図において符号Bとして示したように、縫い糸を用いて仮縫い状として止め着ける方法も用いられていた。このようにして1足分を揃えた状態として、例えば透明な防湿袋pで包装されていた。このような靴下の固定手段は、古くから実用されていたことであって、広く一般に周知されている。したがって、特許文献としての先行技術は、調査したが見当たらなかった。
【0003】
この出願に際して調査した文献中には、下記の特許文献1及び2の存在を確認したが、これらは発明の名称を靴下止め具及び長靴下の止め具として存在したものであるが、その記載技術そのものは、何れも靴下を使用したときにずれ落ちることを防止するために、身に着けて使用するずれ落ち防止具に関するものであった。したがって、本出願はこれらの文献記載のものとは技術的に無関係なものである。よって、本発明は、これらの靴下止め具と区別するため発明の名称を靴下揃え止め片とした。
【特許文献1】特開2003−278020号公報
【特許文献2】特開2003−193315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、本発明は、従来周知の前記金属アルミを用いた薄い小片の靴下揃え止め金具に代わる物品であって、合成樹脂素材を用いて形成したものである。ここにいうところの金属アルミを用いた小金具にあっては、低コストで形成でき、靴下への取り付けも簡単にできるという当業者にとっては捨てがたい利点を有しているものではあるが、靴下の購買者が、この小金具を取り外す際に、この小金具が薄いものであるために爪先を傷つけたり、取り外した金具を誤って踏みつけて怪我をするという事故の発生源となったり、他方で、この小金具が薄い小片ではあっても金属であるため、乱雑に取り外すと使用の前に靴下を傷つけてしまうという不快感を味わわなければならないという課題を常に内在しているものであった。
【0005】
そこで本発明は、このような従来周知の小金具を用いた靴下揃え止め金具が有していた課題を解決するために、前記のように、これを合成樹脂素材を用いて形成することとし、合成樹脂素材が内在的に有する挟持力の脆弱さを克服すること、靴下からの取り外し時に簡単に取り外すことができ、乱雑に扱っても靴下を傷めることがなく、取り外し後のチップを誤って踏みつけることがあっても怪我をするようなことのないチップ構造とすることによって、安全に取り扱うことができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
該目的を達成するために講じた本発明にいうところの靴下揃え止め片の請求項1に記載の構成を、実施例の説明に使用した符号を用いて説明すると、合成樹脂素材を用いて一体的に形成された単体品であって、所定の空間sを隔てて上下に配置された上壁1と下壁2と、これらの両壁1,2を一端で連結する後壁3とからなり、上壁1がその遊端側において、折り曲げ自在なヒンジ部4を介して前記空間s内に入り込む押圧挟持片5と上壁1の延長方向に延びる延長壁6とを備えている構成としたものである。
【0007】
また、請求項2に記載の靴下揃え止め片の構成は、上壁1と下壁2または後壁3の少なくとも1箇所に折曲作用部7が形成されている構成としたものである。
【0008】
更に、請求項3に記載の靴下揃え止め片の構成は、前記請求項1または2に記載の上壁1と下壁2と後壁3及び挟持片5と延長壁6とのそれぞれの角部が面取り形成されている構成としたものである。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明にいうところの靴下揃え止め片は、その全体を合成樹脂素材を用いて一体的に形成した単体品としてあるので、量産に適し、低廉安価に市場に提供できる利点を有しているものでありながら、折り曲げ自在なヒンジ部を介して上下壁間の空間内に入り込む押圧挟持片によって靴下への挟圧作用を確実に果たさせ、同時に靴下の抜け止め作用を確実なものとすることができるという顕著な効果を期待することができる。また、合成樹脂素材を用いてその全体を形成してあるので、金属片を使用したものに比して安全性が高く、靴下への損傷度合いも大幅に低減できるという利点をも同時に有している。
【0010】
また、請求項2の構成のように、靴下揃え止め片を構成する上壁1と下壁2または後壁3の少なくとも1箇所に折曲作用部7が形成されているものとした場合には、素材の塑性変形力を利用することによって、靴下に対する装着をより一層容易なものとすることができる利点がある。
【0011】
更に、請求項3の構成のように、靴下揃え止め片を構成する全ての角部を面取り形成されているものとしておくことによって、より確実な安全性と靴下損傷度の回避とを期待することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、上記の構成としたもので、靴下から取り外された後は廃棄処分されるものであるため、その実施に当たっての樹脂素材は、廃棄しても公害問題を引き起こす度合いの少ないポリオレフィン系樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂等の石油系樹脂の他に、自然循環型またはカーボンニュートラル素材とされる植物由来の生分解性樹脂を用いるのが好ましい。
【実施例】
【0013】
以下本発明の実施例について図面に基づいて説明する。図中、図1乃至図6は、本発明の第1実施例を示す図であって、図1は側面図、図2は平面図、図3は斜視図、図4は靴下への装着直前の状態を示す側面図、図5は靴下への装着状態を示す側面図、図6は靴下に装着した状態を示す平面図である。
【0014】
該第1実施例に示した靴下揃え止め片(以下単に止め片と言う)Tは、その成型用樹脂素材として、とうもろこし等を原材料として形成したポリ乳酸のような植物由来の樹脂素材を使用し、射出成形用金型に刻設したキャビティ内に射出して成形する。改めて言うまでもなく、本発明にいうところの止め片Tは、周知の押し出し成形手段を用いて、所定の形状に形成した金型のダイから素材樹脂の長尺物を押し出し、この押し出した長尺品を長手方向において所定幅に順次カットするという手段によっても得ることができる。ただ、この押し出し成形品をカットして得た小片は、カット面を返りのない滑らかな良品とするための再加工を必要とする点に難点がある。したがって、本発明品の場合には、良品の量産化という点からみると前者の射出成形に歩がある。
【0015】
而して、図1乃至図3に示した止め片Tは、全体を一体的に形成した単体品であって、長方形の板状に形成された下壁2と、この上方に一足の靴下Sを挟み込むのに必要な所定の空間sを隔てて配置されている、短寸の長方形板状に形成された上壁1と、これらの上下壁1,2を一端側(図において右側)で側面視U字形に連結する後壁3とからなっていて、上壁1には、後壁3と対向する遊端側の先端に形成された折り曲げ自在なヒンジ部4を介して前記空間s内に入り込む長さに形成された靴下押圧挟持片5が下壁2側に向かって突出するように連接形成され、この靴下押圧挟持片5と側面視でくの字形に接続していて、使用時には上壁1の延長方向に向かって延びる延長壁6を備えている構造としてある。また、該実施例の止め片Tは、靴下への装着時に、案内作用を果たさせるために、下壁2を上壁1に比して前方に突出するように長く形成してある。
【0016】
該実施例に示した止め片Tは、図1乃至図3に見られるように、上壁1と下壁2と後壁3とにおける角部分や、靴下Sと接する挟持片5の下端部分、延長壁6の上端部分等のそれぞれの角部を面取りや曲面に形成してあり、先鋭なエッジ部分や角部分を有しない形状に形成してある。
【0017】
該実施例に示した止め片Tを靴下Sに装着するには、図4に示したように、ヒンジ部4から垂下した挟持片5を靴下Sの取り付け部分の先端に当てつけて、姿勢変更させながら靴下Sを空間s内に挿入し、図5のように靴下Sの先端部分に装着する。このようにすることによって靴下Sに対してワンタッチ操作で装着できるようになっている。このようにして靴下1足分を揃えた状態として、図6に示したように、例えば透明な防湿袋pに入れて包装する。
【0018】
而して、靴下の厚みは、編組糸の番手によって異なり、夏物と冬物と等によっても異なるので、止め片Tの大きさ、殊に、上下壁1,2間に形成される空間sの間隔を異ならせた複数種の止め片Tを形成してもよいが、靴下は厚さ方向に圧縮変形性を有しているので1種類か2種類で充分対応させることができる。
【0019】
そこで、該第1実施例に示した止め片Tについて、その概略寸法を例示すると次の通りである。図1に示した側面図において、各壁1,2,3及び5,6の厚み0.75mm、空間sの上下間隔2.4mm、図2に示した平面図において、上下幅4.5mm、14mmとしてある。この寸法は概略寸法であって、必要に応じて変更を加えることができるものであることは当然のことである。
【0020】
図7及び図8は、第2実施例を示す側面図と靴下への装着状態を示す側面図である。該実施例に示した止め片Tは、前記第1実施例の止め片Tと対比したとき、上壁1における遊端側の折り曲げ自在なヒンジ部4に連結した挟持片5と延長壁6とを、常時は図7のように空間sから遠ざかった状態に回避していている構造としたものである。
【0021】
この実施例に示した止め片Tは、先ず、空間s内に靴下Sを挿入し、その後に、図8に示したように、延長壁6を矢印のように回転操作して、挟持片5の先端部で靴下Sを押し付けて固定するようにしたものである。その他の点は、前記第1実施例に示した止め片Tと同様に形成したものである。
【0022】
図9乃至図12は、第3実施例を示す側面図と靴下への装着状態を示す側面図及びその平面図と斜視図である。該実施例に示した止め片Tは、前記第1実施例に示した止め片Tと対比したとき、上壁1の上面と下壁2の下面とに滑り止め用の小リブ7を突出形成してあるものとし、下壁2の上面には空間s内に向かって突出する側面視鋸刃状とした小リブ18を形成してある構造としたものである。
【0023】
更に、該実施例に示した止め片Tにあっては、側面図においてより明らかなように、靴下Sに対する挟持力と弾性力をより増大させるために、後壁3の肉厚を厚肉に形成してある。他の実施例としては、この厚肉化に代えて、または厚肉化に加えて壁周方向に沿って補強リブを形成してもよい。
【0024】
図13乃至図16は、第4実施例の靴下揃え止め片を示したもので、それぞれ側面図、平面図、使用途中の説明用側面図及び使用時の状態を示す側面図である。該実施例に示した止め片Tは、靴下押圧挟持片5の形状を、ヒンジ部4から外方部分において略U字形に折り曲げ形成されたものとし、その曲面部分5aを靴下への装着時の挿入ガイドの役割を果たすようにしたものである。また、該実施例に示した該押圧挟持片5の操作用延長壁6は、終端部6aを図13のように上向き突出形に形成してあり、使用時には図16に示したように、靴下に対して押圧作用をするようにしたものである。
【0025】
また、図17乃至図19は、第5実施例を示した側面図、使用途中の状態及び使用時の状態を示す側面図である。該実施例に示した止め片Tは、靴下押圧挟持片5の形状を、側面丸形に形成した抜け止め部5bを先端に備えたものとし、延長壁6を平板状としたものである。
【0026】
以上に示した各実施例の止め片Tでは、上壁1と下壁2が概ね平行に成形されているものとして示したが、靴下の厚みに対する適用自由度を向上させるため及び靴下揃え止めの作業をより簡便にするために、使用前の常態で挿入口を広くしてあるものとして実施することもできる。例えば第6乃至第8実施例として示すように、上壁面と下壁面との仰角を20度乃至60度とし、靴下挿入後に上壁1を挟持方向に押すことにより上下壁1,2が閉じて装着されるようにする。これら一連の操作は、概ねワンタッチで実施できる。この操作による作用部はヒンジ状であってもよいし、断面湾曲状で薄肉に成形されていてもよい。この作用部は後壁3と上壁1と下壁2との何れかの少なくとも1箇所に形成すればよい。
【0027】
図20乃至図22は第6実施例の、図23乃至図25は第7実施例の、図26乃至図28は第8実施例の、それぞれ側面図と使用途中状態と使用状態とを示す側面図である。而して、図20乃至図22に示した第6実施例の止め片Tは、上壁1における後壁3に近い部分に肉厚を薄くした凹入部を形成して折り曲げを容易とする折曲作用部7を形成してあるものとし、非使用の常態で図20にみられるように、該折曲作用部7から先端側(同図において右側)の上壁1を下壁2に対して約30度の仰角を有する形状に形成したものである。このように常態で靴下への取り付け角を備えているものとしておくと、靴下への装着が容易となり、靴下の先端を挿入後、図21に示した矢印方向に上壁1を押圧することにより、上壁1は図22のように下降し、折曲作用部7の素材の塑性変形により下壁2と略平行な状態を維持し、靴下への装着を略ワンタッチ状態で行うことができる。
【0028】
図23乃至図25に示した第7実施例の止め片Tは、この折曲作用部7を下壁2における後壁3に近い部分に形成してあるものとした実施例を示したものであり、図26乃至図28に示した第8実施例の止め片Tは、後壁3における上下方向の略中間部分に折曲作用部7を形成してあるものとした実施例を示したものである。その他の点については、前記第6実施例に示した止め片Tと同様であるので、詳細は省略する。
【0029】
なお、これらの第6実施例乃至第8実施例では、靴下押圧挟持片5の形状を図示の便宜上前記第5実施例に示した靴下押圧挟持片5と同じ形状のものとして示したが、この靴下押圧挟持片5の形状は、これらの図示のものに限られるものではなく、前記第1実施例乃至第5実施例においてそれぞれ示した押圧挟持片5の何れかのものや、それらに準ずる適宜の形状のものに代えて実施できるものであることは言うまでもない。
【0030】
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施例に示した構造のみに限定されるものではなく、本発明にいうところの構成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を達成し効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明にいうところの靴下揃え止め片は、人体に対する危険性と靴下に対する損傷度を大幅に減少させることができるものであるから、世上において大いに受け入れられ重宝に使用される可能性が大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施例を示す側面図。
【図2】第1実施例を示す平面図。
【図3】第1実施例を示す斜視図。
【図4】第1実施例における靴下への装着直前の状態を示す側面図。
【図5】第1実施例における靴下への装着状態を示す側面図。
【図6】第1実施例における靴下への装着状態を示す平面図。
【図7】第2実施例を示す側面図。
【図8】第2実施例における靴下への装着状態を示す側面図。
【図9】第3実施例を示す側面図。
【図10】第3実施例における靴下への装着状態を示す側面図。
【図11】第3実施例における靴下への装着状態を示す平面図。
【図12】第3実施例における靴下への装着状態を示す斜視図。
【図13】第4実施例を示す側面図。
【図14】第4実施例を示す平面図。
【図15】第4実施例における使用途中の説明用側面図。
【図16】第4実施例における使用時の状態を示す側面図。
【図17】第5実施例を示す側面図。
【図18】第5実施例における使用途中の状態を示す側面図。
【図19】第5実施例における使用時の状態を示す側面図。
【図20】第6実施例を示す側面図。
【図21】第6実施例における使用途中の状態を示す側面図。
【図22】第6実施例における使用時の状態を示す側面図。
【図23】第7実施例を示す側面図。
【図24】第7実施例における使用途中の状態を示す側面図。
【図25】第7実施例における使用時の状態を示す側面図。
【図26】第8実施例を示す側面図。
【図27】第8実施例における使用途中の状態を示す側面図。
【図28】第8実施例における使用時の状態を示す側面図。
【図29】従来における靴下の包装状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0033】
1 上壁
2 下壁
3 後壁
4 ヒンジ部
5 押圧挟持片
6 延長壁
7 折曲作用部
s 空間
T 止め片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂素材を用いて一体的に形成された単体品であって、所定の空間(s)を隔てて上下に配置された上壁(1)と下壁(2)と、これらの両壁(1,2)を一端で連結する後壁(3)とからなり、上壁(1)がその遊端側において、折り曲げ自在なヒンジ部(4)を介して前記空間(s)内に入り込む押圧挟持片(5)と上壁(1)の延長方向に延びる延長壁(6)とを備えている靴下揃え止め片。
【請求項2】
上壁(1)と下壁(2)または後壁(3)の少なくとも1箇所に折曲作用部(7)が形成されている請求項1に記載の靴下揃え止め片。
【請求項3】
上壁(1)と下壁(2)と後壁(3)及び挟持片(5)と延長壁(6)とのそれぞれの角部が面取りまたは曲面に形成されている請求項1または2に記載の靴下揃え止め片。
【請求項1】
合成樹脂素材を用いて一体的に形成された単体品であって、所定の空間(s)を隔てて上下に配置された上壁(1)と下壁(2)と、これらの両壁(1,2)を一端で連結する後壁(3)とからなり、上壁(1)がその遊端側において、折り曲げ自在なヒンジ部(4)を介して前記空間(s)内に入り込む押圧挟持片(5)と上壁(1)の延長方向に延びる延長壁(6)とを備えている靴下揃え止め片。
【請求項2】
上壁(1)と下壁(2)または後壁(3)の少なくとも1箇所に折曲作用部(7)が形成されている請求項1に記載の靴下揃え止め片。
【請求項3】
上壁(1)と下壁(2)と後壁(3)及び挟持片(5)と延長壁(6)とのそれぞれの角部が面取りまたは曲面に形成されている請求項1または2に記載の靴下揃え止め片。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2009−11552(P2009−11552A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176269(P2007−176269)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(390027915)ナックス株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(390027915)ナックス株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]