靴中敷
【課題】靴や足の臭いを効果的に解消する靴中敷を提供する。靴や足の臭いの原因は、表皮ブドウ球菌やバクテリア等の細菌が足の汗の成分を分解して生産される酸性物質が原因と言われている。この酸性成分を中和して臭いを良好に解消できる靴中敷を提供する。
【解決手段】靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材を用いて形成した中敷本体に、任意の形状の穴を1個以上貫設し、その穴に塩基性粉粒体又は塩基性粉粒体及び水分吸収寄与粉粒体の両方を充填し、中敷本体の両面にシート状の通気性素材を貼着してそれらを封じ込めた構造からなる靴中敷。
【解決手段】靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材を用いて形成した中敷本体に、任意の形状の穴を1個以上貫設し、その穴に塩基性粉粒体又は塩基性粉粒体及び水分吸収寄与粉粒体の両方を充填し、中敷本体の両面にシート状の通気性素材を貼着してそれらを封じ込めた構造からなる靴中敷。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩基性粉粒体を使用して消臭効果を付与した靴中敷に関するものである。
【背景技術】
【0002】
靴中敷については、これまで様々なものが考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公開2006−254特許公開平8−238108
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】実用新案公開平7−5403
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまで、活性炭等を使用して消臭効果を付与したもの等、様々な靴中敷が考案されているが、更に優れた効果を付与した製品が要望される。本発明はこの懸案を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材を用いて形成した中敷本体に、任意の形状の穴を1個以上貫設し、その穴に塩基性粉粒体又は塩基性粉粒体及び水分吸収寄与粉粒体の両方を充填し、中敷本体の両面にシート状の通気性素材を貼着してそれらを封じ込めた構造からなる靴中敷。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、塩基性粉粒体が臭いの原因となる酸性成分を中和する働きをするため、靴及び足の臭いを良好に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の外観斜視図
【図2】本発明の分解斜視図
【図3】図2に示された本発明の一部である中敷本体の外観斜視図
【図4】図3に示された中敷本体の穴に充填される塩基性粉粒体及び水分吸収寄与粉粒体の外観斜視図
【図5】本発明の他の実施例を示す分解斜視図
【図6】図5に示された本発明の一部である中敷本体の外観斜視図
【図7】図6に示された中敷本体の穴に充填される塩基性粉粒体及び水分吸収寄与粉粒体の外観斜視図
【図8】本発明において中敷本体に充填される塩基性粉粒体及び水分吸収寄与粉粒体をスティック状に形成したところの塩基性粉粒体内包部材及び水分吸収寄与粉粒体内包部材を封入した状態を示す分解斜視図
【図9】図8の部分拡大斜視図
【図10】図8に示された本発明の一部である中敷本体の外観斜視図
【図11】図10に示された中敷本体の穴に充填される塩基性粉粒体内包部材及び水分吸収寄与粉粒体内包部材の外観斜視図
【図12】図11に示された塩基性粉粒体内包部材及び水分吸収寄与粉粒体内包部材の単位拡大分解斜視図
【図13】本発明において中敷本体に穴を有しない形での実施例を示す外観斜視図
【図14】本発明において中敷本体に穴を凹設した場合の実施例における分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の靴中敷は、中敷本体(1)と、塩基性粉粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)及び通気性素材(4)とからなっている。中敷本体(1)には、穴(5)が1個以上貫設され、この穴(5)の部分に塩基性紛粒体(2)又は塩基性紛粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)の両方が充填されている。中敷本体(1)は、靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材で形成され、穴(5)の形や大きさ、数は、任意とする。中敷本体(1)の両面には、シート状の通気性素材(4)が接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で貼着され、塩基性紛粒体(2)又は塩基性紛粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)の両方が別々の穴(5)に封じ込められている。ここで塩基性紛粒体(2)は、その形状が粉状又は粒状のもので、その水溶液がアルカリ性を示すものを指し、具体的には重曹やホタテ貝焼成カルシウム、等を挙げることができる。重曹は重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム(NaHCO3))のことで、その水溶液は弱アルカリ性を示す。重曹は食品添加物にも使用される安全性の高いもので、靴や足の悪臭原因である酸性成分を中和することで足の臭いを効果的に解消することができる。靴や足の臭いの原因は、表皮ブドウ球菌やバクテリア等の細菌が足の汗の成分を分解して生産される酸性物質が原因と言われている。この酸性成分を重曹が中和することで臭いが良好に解消される。靴や足の臭い成分は、シート状の通気性素材(4)を通過して、塩基性紛粒体(2)に触れ、中和されて臭いが軽減される。穴(5)は、中敷本体(1)を貫通している為、靴や足の臭い成分は本発明の表面及び裏面の両方からシート状の通気性素材(4)を通過して、塩基性紛粒体(2)に触れ、中和されて臭いが軽減される。従来から重曹が悪臭解消に高い効果があることは良く知られている。靴の悪臭解消に重曹粉末を靴の中に撒いておくと高い効果があることも良く知られているが、この方法では靴を履いている時には足が重曹粉末で汚れるので使用できない。また、靴を脱いだ場合に行なった場合は、靴を再度使用する時にその都度、重曹粉末を掃除する手間が大変である。本発明はこの難点を解決することにも役立っている。ホタテ貝焼成カルシウムにも同様の効果があり、これらを使用することで靴や足の臭いを効果的に解消することができる。塩基性紛粒体としてはこれらの他、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化銅、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、等もあり、同様の効果があると思われるが、安全性を考慮すると、重曹やホタテ貝焼成カルシウム、等がより適切であると思われる。水分吸収寄与粉粒体(3)は、その形状が粉状又は粒状のもので、その成分が水分を吸収する性質を持つものを指し、具体的にはシリカゲルや珪藻土を挙げることができる。これらを使用することにより、靴の中の湿度を低下させることができる。靴の中の湿度を低下させることで靴を履いた時の快適性を増すことができる。穴(5)は、中敷本体(1)を貫通している為、水分も本発明の表面及び裏面の両方からシート状の通気性素材(4)を通過して、水分吸収寄与粉粒体(3)に吸収される。中敷本体(1)は、ポリエチレン発砲体や、ポリウレタン発砲体、塩ビ等の各種プラスチックやコルク、紙、木材、金属、不織布、等、靴の中敷の形状を形成できるものであればどれでも利用できる。シート状の通気性素材(4)は、ポリエステル等の合成繊維で編んだ布、木綿等のその他の素材で編んだ布、細かい穴を貫設した各種プラスチックのシート状の素材、細かい穴を貫設したその他の素材のシート状のもの等を使用することができる。シート状の通気性素材(4)は、中敷本体(1)の両面に接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で貼着されている。シート状の通気性素材(4)は、デザイン等の観点から、中敷本体(1)の側面にも貼着しても良い。中敷本体(1)に貫設された穴(5)には、全てに塩基性紛粒体(2)を充填するか、又は、塩基性紛粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)の両方を任意の個数の割合で充填する。この場合は、例えば、中敷本体(1)に穴(5)を37個貫設した場合、その内の27個に塩基性紛粒体(2)を充填し、残りの10個の穴(5)に水分吸収寄与粉粒体(3)を充填する。これらを充填する穴(5)の位置は、任意とするが塩基性紛粒体(2)と水分吸収寄与粉粒体(3)とが偏ることなく互いに分散された位置が望ましい。重曹やホタテ貝焼成カルシウムは、塩基性であり、シリカゲルや珪藻土は、酸性であるため、同じ穴(5)に、重曹又はホタテ貝焼成カルシウムと、シリカゲル又は珪藻土を混合して充填することはしない。以上の構造により作成した本発明の靴中敷は、靴及び足の悪臭を効果的に解消することができる他、靴の中の湿度を低下させることができ、快適性を増すことができる。全ての穴(5)に、塩基性紛粒体(2)を充填した場合には、水分吸収寄与粉粒体(3)が無いため、靴の中の湿度を低下させる機能は無いが、靴や足の悪臭を効果的に低下させることはできる。なを、本発明は当然ながら、左右対で使用するものである。また粉粒体とは、一般的には粉状のものや粒状のものを総称して指すが、ここではそれらを圧力やバインダー等によって成型したものも含める。なを、塩基性粉粒体(2)又は塩基性粉粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)の両方を、靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材で形成された中敷本体(1)の表面に配置し、その上から通気性素材(4)を接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で貼着し、塩基性粉粒体(2)や水分吸収寄与粉粒体(3)を封じ込めることでも、同様の効果を持つ靴中敷を製造することもできる。この場合には、塩基性粉粒体(2)又は塩基性粉粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)の両方が穴に埋まっていない為に、塩基性粉粒体(2)又は塩基性粉粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)の両方の部分が盛り上がる構造となり、これを靴の中に装着し、靴を履いた場合、足に違和感がある。また、塩基性粉粒体(2)又は水分吸収寄与粉粒体(3)を圧力やバインダー等によって成型していない場合には、それらが中敷本体(1)の上で、一部分に偏り、その部分が大きく盛り上がる為、やや実用性に欠ける。中敷本体(1)に穴(5)を1個以上、貫設でなく、凹設して、同様に塩基性粉粒体(2)又は塩基性粉粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)の両方を充填し、表面にシート状の通気性素材(4)を接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で貼着することでも同様の効果を持つ製品をつくることもできる。塩基性粉粒体(2)又は塩基性粉粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)の両方を、両面からシート状の通気性の素材(4)を用いて接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で封じ込め靴の中敷の形状とする構造でも同様の効果を持つ靴中敷を製造することができるが、この場合には、中敷本体(1)が無く、くにゃ、くにゃ、と曲がり、靴中敷の形状を保つことが出来ないため、実用性に欠ける。塩基性粉粒体(2)又は水分吸収寄与粉粒体(3)に抗菌剤を添加することで、細菌の増殖を抑えることができ、更に消臭効果を増すことも出来る。固体の無機抗菌剤として「ゼオミック」(株式会社シナネンゼオミック製)等があり、これらを添加することで更に消臭効果を改善できる。本発明の構造の穴(5)に、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、等の臭気解消寄与粉粒剤を充填しても消臭効果に寄与する靴中敷を製造することが出来る。この場合は、本発明の構造の中敷において、塩基性粉粒体(2)を塩基性粉粒体(2)以外の臭気解消寄与粉粒剤に置き換えたものである。ここで、臭気解消寄与粉粒体とは、その物質が臭気を解消することに寄与する粉粒体を意味する。また、塩基性粉粒体(2)、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、水分吸収寄与粉粒体(3)、等をそれぞれ適当な数の穴(5)に充填し、数種、組み合わせて製品とすることも出来る。
【実施例】
【0010】
実施例1
図1は、本発明の外観斜視図である。図2は、この分解斜視図である。中敷本体(1)は、靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材で形成され、1個以上の穴(5)が貫設されている。この例では、図3のように計37個の円形状の穴(5)が貫設されている。図4のように、この内の27個に塩基性粉粒体(2)が充填され、10個に水分吸収寄与粉粒体(3)が充填されている。穴(5)の形状は任意で、楕円形や四角形、三角形、星型、等でもかまわない。また穴(5)の大きさ、数も任意で、必要に応じて種々の製品をつくることが出来る。穴(5)の全部に塩基性粉粒体(2)を充填しても良い。穴(5)のいくつかに水分吸収寄与粉粒体(3)を充填した場合には、これが靴の中の水分を吸収することに役立ち、靴を履いた時の快適性が増す。穴(5)に、塩基性粉粒体(2)と水分吸収寄与粉粒体(3)の両方をそれぞれ充填する場合、それぞれ充填する穴(5)の数の割合は、任意で良い。この例では、27個の穴(5)に塩基性粉粒体(2)が充填され、10個の穴(5)に水分吸収寄与粉粒体(3)が充填されているが、例えば、20個の穴(5)に塩基性粉粒体(2)を充填し、17個の穴(5)に水分吸収寄与粉粒体(3)を充填しても良い。また、塩基性粉粒体(2)と水分吸収寄与粉粒体(3)を充填する穴(5)の位置は任意で良いが、塩基性粉粒体(2)と水分吸収寄与粉粒体(3)とが偏ることなく互いに分散された位置が望ましい。中敷本体(1)の両面には図2で示されるように、シート状の通気性素材(4)が接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で貼着されている。中敷本体(1)は、ポリエチレン発砲体や、ポリウレタン発砲体、塩ビ等の各種プラスチックやコルク、紙、木材、金属、不織布、等、靴の中敷の形状を形成できるものであればどれでも利用できる。例では、三和化工(株)製のサンペルカL−1400を使用してこれに円形状の穴(5)を37個、貫設した。この穴(5)の27個に塩基性粉粒体(2)を充填し、10個に水分吸収寄与粉粒体(3)を充填した。例では、塩基性粉粒体(2)として、安全性の高い、共立化成(株)製のタンサン(重曹)(炭酸水素ナトリウム)や(株)日本漢方研究所のホタテ貝焼成カルシウム、等を使用した。水分吸収寄与粉粒体(3)としては、シリカゲルや珪藻土が使用できる。例では、豊田化工(株)のシリカゲルや、フジワラ化学(株)の珪藻土、等を使用した。シート状の通気性素材(4)は、ポリエステル等の合成繊維で編んだ布、木綿等のその他の素材で編んだ布、細かい穴を貫設した各種プラスチックのシート状の素材、細かい穴を貫設したその他の素材のシート状のもの等を使用することができる。例では東レのセラミカサテン#310(ポリエステル100%)の生地を使用した。こうして試作した靴中敷は、塩基性粉粒体(2)が靴や足の悪臭原因である酸性成分を中和し、水分吸収寄与粉粒体(3)が靴の中の水分を吸収することで良好な消臭効果と快適性を発揮し、持続性にも優れた。水分を吸収したシリカゲルや珪藻土は、空気中に放置すれば水分が自然に蒸発し、再度、水分吸収効果機能が発現する。このため、本発明を複数用意し、交互に使用することがより望ましい。これにより優れた消臭効果と靴を履いた際の快適性を実現することが可能となる。この例において、塩基性粉粒体(2)の代わりに、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、等の臭気解消寄与粉粒剤を充填しても消臭効果に寄与する靴中敷を製造することが出来る。また、塩基性粉粒体(2)、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、水分吸収寄与粉粒体(3)、等をそれぞれ適当な数の穴(5)に充填し、数種、組み合わせて製品とすることも出来る。
実施例2
図5は、本発明の他の実施例を示す分解斜視図である。この例では、図6で中敷本体(1)の外観斜視図が示されているように、穴(5)の形状が、円形で無く、長方形、等になっている。図7で示されるように、この穴(5)に塩基性粉粒体(2)と水分吸収寄与粉粒体(3)が交互に充填され、合計では、7個の穴(5)に塩基性粉粒体(2)が充填され、6個の穴(5)に水分吸収寄与粉粒体(3)が充填されている。これらを充填後、通気性素材(4)を接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で中敷本体(1)の両面に貼着することにより、本発明を得る。この例において、塩基性粉粒体(2)の代わりに、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、等の臭気解消寄与粉粒剤を充填しても消臭効果に寄与する靴中敷を製造することが出来る。また、塩基性粉粒体(2)、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、水分吸収寄与粉粒体(3)、等をそれぞれ適当な数の穴(5)に充填し、数種、組み合わせて製品とすることも出来る。
実施例3
図8は、本発明において中敷本体に充填される塩基性粉粒体及び水分吸収寄与粉粒体をスティック状に形成したところの塩基性粉粒体内包部材及び水分吸収寄与粉粒体内包部材を封入した状態を示す分解斜視図である。この例では、図10で中敷本体(1)の外観斜視図が示されているように、穴(5)は、中敷本体(1)に作られた1個しかない。この中に、図11で示されるような塩基性粉粒体内包部材(6)と水分吸収寄与粉粒体内包部材(7)の集合体が充填されている。塩基性粉粒体内包部材(6)は図12で示されるように、内部に塩基性粉粒体(2)を内包したスティック状の部材で、通気性の素材で作られている。水分吸収寄与粉粒体内包部材(7)は、内部に水分吸収寄与粉粒体(3)を内包したスティック状の部材で、通気性の素材で作られている。例では、この塩基性粉粒体内包部材(6)と水分吸収寄与粉粒体内包部材(7)が交互に、穴(5)に充填され、合計では、図11のように、塩基性粉粒体内包部材(6)が49個、水分吸収寄与粉粒体内包部材(7)が49個、充填されている。図9は、これらを充填した場合の部分拡大図を示している。穴(5)にこれらを充填後、シート状の通気性素材(4)を接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で中敷本体(1)の両面に貼着することにより、本発明を得る。この例の場合も靴や足の臭い成分が、シート状の通気性素材(4)及び塩基性粉粒体内包部材(6)を通過し、この内部に充填されている塩基性粉粒体(2)に触れて中和されることにより、臭いが軽減される。また、水分吸収寄与粉粒体内包部材(7)の中に充填されている水分吸収寄与粉粒体(3)が水分を吸収する働きをするため、靴を履いた際の快適性を実現することが可能となる。穴(5)に充填される塩基性粉粒体内包部材(6)と水分吸収寄与粉粒体内包部材(7)の数は、任意である。また、塩基性粉粒体内包部材(6)と水分吸収寄与粉粒体内包部材(7)を必ずしも交互に充填する必要は無く、任意である。この例で示される本発明は、粉粒体を量的に多く充填出来る為、効果や持続性により優れる。この例において、塩基性粉粒体(2)の代わりに、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、等の臭気解消寄与粉粒剤を使用しても消臭効果に寄与する靴中敷を製造することが出来る。また、塩基性粉粒体(2)、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、水分吸収寄与粉粒体(3)、等をそれぞれ同様の構造でスティック状に加工し、数種、組み合わせて製品とすることも出来る。
実施例4
図13は、本発明において中敷本体に穴を有しない形での実施例を示す外観斜視図である。図13では、穴(5)を有しない中敷本体(1)の表面に塩基性粉粒体(2)と水分吸収寄与粉粒体(3)が交互に配置され、シート状の通気性素材(4)が接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で中敷本体(1)の表面に貼着されこれらが封入されている。このケースでは、穴(5)が無いため、塩基性粉粒体(2)と水分吸収寄与粉粒体(3)の部分は、中敷本体(1)の上に盛り上がる形になる。これを靴に装着して使用した場合には、この盛り上がりが足に触れる為、やや違和感がある。また、塩基性粉粒体(2)や水分吸収寄与粉粒体(3)を圧力やバインダー等によって成型していない場合には、それらが中敷本体(1)の上で、一部分に偏り、その部分が大きく盛り上がる為、やや実用性に欠ける。この例では、中敷本体(1)に通気性が無い場合は、靴や足の臭い成分は本発明品の表面からのみシート状の通気性素材(4)を通過して、塩基性粉粒体(2)に触れ中和される。中敷本体(1)に塩基性粉粒体(2)又は水分吸収寄与粉粒体(3)が通過しない微小な穴を設け通気性を持たせれば、裏面からも靴や足の臭い成分が中敷本体(1)を通過して塩基性粉粒体(2)に触れ中和される。この場合、水分も同様に裏面から中敷本体(1)を通過して、水分吸収寄与粉粒体(3)に吸収される。この例において、塩基性粉粒体(2)の代わりに、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、等の臭気解消寄与粉粒剤を使用しても消臭効果に寄与する靴中敷を製造することが出来る。また、塩基性粉粒体(2)、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、水分吸収寄与粉粒体(3)、等を、数種、組み合わせて製品とすることも出来る。なを、この例で示されている本発明の構造は、穴の無い中敷本体(1)の両面に設けることも出来る。
実施例5
図14は、本発明において中敷本体に穴を凹設した場合の実施例における分解斜視 図である。この例では、図14で示されるように中敷本体(1)に穴(5)が凹設されている。すなわち穴(5)は、中敷本体(1)を貫通していない。中敷本体(1)に凹設されたこの穴(5)に、塩基性粉粒体(2)又は塩基性粉粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)の両方が充填され、中敷本体(1)の表面にシート状の通気性素材(4)が接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で貼着され、これらが封入されている。穴(5)が中敷本体(1)を貫通していないことを除くと、実施例1の場合と同様となる。ただし、穴(5)が中敷本体(1)を貫通していないので、中敷本体(1)の裏面にシート状の通気性素材(4)を貼着する必要は無い。この例の場合も、中敷本体(1)に通気性が無い場合は、靴や足の臭い成分は本発明品の表面からのみシート状の通気性素材(4)を通過して、塩基性粉粒体(2)に触れ中和される。中敷本体(1)に塩基性粉粒体(2)又は水分吸収寄与粉粒体(3)が通過しない微小な穴を設け通気性を持たせれば、裏面からも靴や足の臭い成分が中敷本体(1)を通過して塩基性粉粒体(2)に触れ中和される。この場合、水分も同様に裏面から中敷本体(1)を通過して、水分吸収寄与粉粒体(3)に吸収される。この穴(5)を中敷本体(1)に凹設した構造の本発明は、中敷本体(1)の厚さが同じで、穴(5)の形状、大きさ、数が同じ場合、実施例1の場合と比べると、穴(5)に充填される塩基性粉粒体(2)又は水分吸収寄与粉粒体(3)の量が少なくなる。この為、本発明の効果を考慮すると、穴(5)は中敷本体(1)に貫設した方が望ましいと言える。このことは、実施例2や実施例3に関して、中敷本体(1)に凹設した穴(5)を用いた場合にも同様に言えることである。この例において、塩基性粉粒体(2)の代わりに、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、等の臭気解消寄与粉粒剤を充填しても消臭効果に寄与する靴中敷を製造することが出来る。また、塩基性粉粒体(2)、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、水分吸収寄与粉粒体(3)、等をそれぞれ適当な数の穴(5)に充填し、数種、組み合わせて製品とすることも出来る。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明は、工業的に量産することが可能であるため、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0012】
1 中敷本体
2 塩基性粉粒体
3 水分吸収寄与粉粒体
4 通気性素材
5 穴
6 塩基性粉粒体内包部材
7 水分吸収寄与粉粒体内包部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩基性粉粒体を使用して消臭効果を付与した靴中敷に関するものである。
【背景技術】
【0002】
靴中敷については、これまで様々なものが考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公開2006−254特許公開平8−238108
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】実用新案公開平7−5403
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまで、活性炭等を使用して消臭効果を付与したもの等、様々な靴中敷が考案されているが、更に優れた効果を付与した製品が要望される。本発明はこの懸案を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材を用いて形成した中敷本体に、任意の形状の穴を1個以上貫設し、その穴に塩基性粉粒体又は塩基性粉粒体及び水分吸収寄与粉粒体の両方を充填し、中敷本体の両面にシート状の通気性素材を貼着してそれらを封じ込めた構造からなる靴中敷。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、塩基性粉粒体が臭いの原因となる酸性成分を中和する働きをするため、靴及び足の臭いを良好に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の外観斜視図
【図2】本発明の分解斜視図
【図3】図2に示された本発明の一部である中敷本体の外観斜視図
【図4】図3に示された中敷本体の穴に充填される塩基性粉粒体及び水分吸収寄与粉粒体の外観斜視図
【図5】本発明の他の実施例を示す分解斜視図
【図6】図5に示された本発明の一部である中敷本体の外観斜視図
【図7】図6に示された中敷本体の穴に充填される塩基性粉粒体及び水分吸収寄与粉粒体の外観斜視図
【図8】本発明において中敷本体に充填される塩基性粉粒体及び水分吸収寄与粉粒体をスティック状に形成したところの塩基性粉粒体内包部材及び水分吸収寄与粉粒体内包部材を封入した状態を示す分解斜視図
【図9】図8の部分拡大斜視図
【図10】図8に示された本発明の一部である中敷本体の外観斜視図
【図11】図10に示された中敷本体の穴に充填される塩基性粉粒体内包部材及び水分吸収寄与粉粒体内包部材の外観斜視図
【図12】図11に示された塩基性粉粒体内包部材及び水分吸収寄与粉粒体内包部材の単位拡大分解斜視図
【図13】本発明において中敷本体に穴を有しない形での実施例を示す外観斜視図
【図14】本発明において中敷本体に穴を凹設した場合の実施例における分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の靴中敷は、中敷本体(1)と、塩基性粉粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)及び通気性素材(4)とからなっている。中敷本体(1)には、穴(5)が1個以上貫設され、この穴(5)の部分に塩基性紛粒体(2)又は塩基性紛粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)の両方が充填されている。中敷本体(1)は、靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材で形成され、穴(5)の形や大きさ、数は、任意とする。中敷本体(1)の両面には、シート状の通気性素材(4)が接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で貼着され、塩基性紛粒体(2)又は塩基性紛粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)の両方が別々の穴(5)に封じ込められている。ここで塩基性紛粒体(2)は、その形状が粉状又は粒状のもので、その水溶液がアルカリ性を示すものを指し、具体的には重曹やホタテ貝焼成カルシウム、等を挙げることができる。重曹は重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム(NaHCO3))のことで、その水溶液は弱アルカリ性を示す。重曹は食品添加物にも使用される安全性の高いもので、靴や足の悪臭原因である酸性成分を中和することで足の臭いを効果的に解消することができる。靴や足の臭いの原因は、表皮ブドウ球菌やバクテリア等の細菌が足の汗の成分を分解して生産される酸性物質が原因と言われている。この酸性成分を重曹が中和することで臭いが良好に解消される。靴や足の臭い成分は、シート状の通気性素材(4)を通過して、塩基性紛粒体(2)に触れ、中和されて臭いが軽減される。穴(5)は、中敷本体(1)を貫通している為、靴や足の臭い成分は本発明の表面及び裏面の両方からシート状の通気性素材(4)を通過して、塩基性紛粒体(2)に触れ、中和されて臭いが軽減される。従来から重曹が悪臭解消に高い効果があることは良く知られている。靴の悪臭解消に重曹粉末を靴の中に撒いておくと高い効果があることも良く知られているが、この方法では靴を履いている時には足が重曹粉末で汚れるので使用できない。また、靴を脱いだ場合に行なった場合は、靴を再度使用する時にその都度、重曹粉末を掃除する手間が大変である。本発明はこの難点を解決することにも役立っている。ホタテ貝焼成カルシウムにも同様の効果があり、これらを使用することで靴や足の臭いを効果的に解消することができる。塩基性紛粒体としてはこれらの他、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化銅、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、等もあり、同様の効果があると思われるが、安全性を考慮すると、重曹やホタテ貝焼成カルシウム、等がより適切であると思われる。水分吸収寄与粉粒体(3)は、その形状が粉状又は粒状のもので、その成分が水分を吸収する性質を持つものを指し、具体的にはシリカゲルや珪藻土を挙げることができる。これらを使用することにより、靴の中の湿度を低下させることができる。靴の中の湿度を低下させることで靴を履いた時の快適性を増すことができる。穴(5)は、中敷本体(1)を貫通している為、水分も本発明の表面及び裏面の両方からシート状の通気性素材(4)を通過して、水分吸収寄与粉粒体(3)に吸収される。中敷本体(1)は、ポリエチレン発砲体や、ポリウレタン発砲体、塩ビ等の各種プラスチックやコルク、紙、木材、金属、不織布、等、靴の中敷の形状を形成できるものであればどれでも利用できる。シート状の通気性素材(4)は、ポリエステル等の合成繊維で編んだ布、木綿等のその他の素材で編んだ布、細かい穴を貫設した各種プラスチックのシート状の素材、細かい穴を貫設したその他の素材のシート状のもの等を使用することができる。シート状の通気性素材(4)は、中敷本体(1)の両面に接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で貼着されている。シート状の通気性素材(4)は、デザイン等の観点から、中敷本体(1)の側面にも貼着しても良い。中敷本体(1)に貫設された穴(5)には、全てに塩基性紛粒体(2)を充填するか、又は、塩基性紛粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)の両方を任意の個数の割合で充填する。この場合は、例えば、中敷本体(1)に穴(5)を37個貫設した場合、その内の27個に塩基性紛粒体(2)を充填し、残りの10個の穴(5)に水分吸収寄与粉粒体(3)を充填する。これらを充填する穴(5)の位置は、任意とするが塩基性紛粒体(2)と水分吸収寄与粉粒体(3)とが偏ることなく互いに分散された位置が望ましい。重曹やホタテ貝焼成カルシウムは、塩基性であり、シリカゲルや珪藻土は、酸性であるため、同じ穴(5)に、重曹又はホタテ貝焼成カルシウムと、シリカゲル又は珪藻土を混合して充填することはしない。以上の構造により作成した本発明の靴中敷は、靴及び足の悪臭を効果的に解消することができる他、靴の中の湿度を低下させることができ、快適性を増すことができる。全ての穴(5)に、塩基性紛粒体(2)を充填した場合には、水分吸収寄与粉粒体(3)が無いため、靴の中の湿度を低下させる機能は無いが、靴や足の悪臭を効果的に低下させることはできる。なを、本発明は当然ながら、左右対で使用するものである。また粉粒体とは、一般的には粉状のものや粒状のものを総称して指すが、ここではそれらを圧力やバインダー等によって成型したものも含める。なを、塩基性粉粒体(2)又は塩基性粉粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)の両方を、靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材で形成された中敷本体(1)の表面に配置し、その上から通気性素材(4)を接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で貼着し、塩基性粉粒体(2)や水分吸収寄与粉粒体(3)を封じ込めることでも、同様の効果を持つ靴中敷を製造することもできる。この場合には、塩基性粉粒体(2)又は塩基性粉粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)の両方が穴に埋まっていない為に、塩基性粉粒体(2)又は塩基性粉粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)の両方の部分が盛り上がる構造となり、これを靴の中に装着し、靴を履いた場合、足に違和感がある。また、塩基性粉粒体(2)又は水分吸収寄与粉粒体(3)を圧力やバインダー等によって成型していない場合には、それらが中敷本体(1)の上で、一部分に偏り、その部分が大きく盛り上がる為、やや実用性に欠ける。中敷本体(1)に穴(5)を1個以上、貫設でなく、凹設して、同様に塩基性粉粒体(2)又は塩基性粉粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)の両方を充填し、表面にシート状の通気性素材(4)を接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で貼着することでも同様の効果を持つ製品をつくることもできる。塩基性粉粒体(2)又は塩基性粉粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)の両方を、両面からシート状の通気性の素材(4)を用いて接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で封じ込め靴の中敷の形状とする構造でも同様の効果を持つ靴中敷を製造することができるが、この場合には、中敷本体(1)が無く、くにゃ、くにゃ、と曲がり、靴中敷の形状を保つことが出来ないため、実用性に欠ける。塩基性粉粒体(2)又は水分吸収寄与粉粒体(3)に抗菌剤を添加することで、細菌の増殖を抑えることができ、更に消臭効果を増すことも出来る。固体の無機抗菌剤として「ゼオミック」(株式会社シナネンゼオミック製)等があり、これらを添加することで更に消臭効果を改善できる。本発明の構造の穴(5)に、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、等の臭気解消寄与粉粒剤を充填しても消臭効果に寄与する靴中敷を製造することが出来る。この場合は、本発明の構造の中敷において、塩基性粉粒体(2)を塩基性粉粒体(2)以外の臭気解消寄与粉粒剤に置き換えたものである。ここで、臭気解消寄与粉粒体とは、その物質が臭気を解消することに寄与する粉粒体を意味する。また、塩基性粉粒体(2)、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、水分吸収寄与粉粒体(3)、等をそれぞれ適当な数の穴(5)に充填し、数種、組み合わせて製品とすることも出来る。
【実施例】
【0010】
実施例1
図1は、本発明の外観斜視図である。図2は、この分解斜視図である。中敷本体(1)は、靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材で形成され、1個以上の穴(5)が貫設されている。この例では、図3のように計37個の円形状の穴(5)が貫設されている。図4のように、この内の27個に塩基性粉粒体(2)が充填され、10個に水分吸収寄与粉粒体(3)が充填されている。穴(5)の形状は任意で、楕円形や四角形、三角形、星型、等でもかまわない。また穴(5)の大きさ、数も任意で、必要に応じて種々の製品をつくることが出来る。穴(5)の全部に塩基性粉粒体(2)を充填しても良い。穴(5)のいくつかに水分吸収寄与粉粒体(3)を充填した場合には、これが靴の中の水分を吸収することに役立ち、靴を履いた時の快適性が増す。穴(5)に、塩基性粉粒体(2)と水分吸収寄与粉粒体(3)の両方をそれぞれ充填する場合、それぞれ充填する穴(5)の数の割合は、任意で良い。この例では、27個の穴(5)に塩基性粉粒体(2)が充填され、10個の穴(5)に水分吸収寄与粉粒体(3)が充填されているが、例えば、20個の穴(5)に塩基性粉粒体(2)を充填し、17個の穴(5)に水分吸収寄与粉粒体(3)を充填しても良い。また、塩基性粉粒体(2)と水分吸収寄与粉粒体(3)を充填する穴(5)の位置は任意で良いが、塩基性粉粒体(2)と水分吸収寄与粉粒体(3)とが偏ることなく互いに分散された位置が望ましい。中敷本体(1)の両面には図2で示されるように、シート状の通気性素材(4)が接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で貼着されている。中敷本体(1)は、ポリエチレン発砲体や、ポリウレタン発砲体、塩ビ等の各種プラスチックやコルク、紙、木材、金属、不織布、等、靴の中敷の形状を形成できるものであればどれでも利用できる。例では、三和化工(株)製のサンペルカL−1400を使用してこれに円形状の穴(5)を37個、貫設した。この穴(5)の27個に塩基性粉粒体(2)を充填し、10個に水分吸収寄与粉粒体(3)を充填した。例では、塩基性粉粒体(2)として、安全性の高い、共立化成(株)製のタンサン(重曹)(炭酸水素ナトリウム)や(株)日本漢方研究所のホタテ貝焼成カルシウム、等を使用した。水分吸収寄与粉粒体(3)としては、シリカゲルや珪藻土が使用できる。例では、豊田化工(株)のシリカゲルや、フジワラ化学(株)の珪藻土、等を使用した。シート状の通気性素材(4)は、ポリエステル等の合成繊維で編んだ布、木綿等のその他の素材で編んだ布、細かい穴を貫設した各種プラスチックのシート状の素材、細かい穴を貫設したその他の素材のシート状のもの等を使用することができる。例では東レのセラミカサテン#310(ポリエステル100%)の生地を使用した。こうして試作した靴中敷は、塩基性粉粒体(2)が靴や足の悪臭原因である酸性成分を中和し、水分吸収寄与粉粒体(3)が靴の中の水分を吸収することで良好な消臭効果と快適性を発揮し、持続性にも優れた。水分を吸収したシリカゲルや珪藻土は、空気中に放置すれば水分が自然に蒸発し、再度、水分吸収効果機能が発現する。このため、本発明を複数用意し、交互に使用することがより望ましい。これにより優れた消臭効果と靴を履いた際の快適性を実現することが可能となる。この例において、塩基性粉粒体(2)の代わりに、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、等の臭気解消寄与粉粒剤を充填しても消臭効果に寄与する靴中敷を製造することが出来る。また、塩基性粉粒体(2)、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、水分吸収寄与粉粒体(3)、等をそれぞれ適当な数の穴(5)に充填し、数種、組み合わせて製品とすることも出来る。
実施例2
図5は、本発明の他の実施例を示す分解斜視図である。この例では、図6で中敷本体(1)の外観斜視図が示されているように、穴(5)の形状が、円形で無く、長方形、等になっている。図7で示されるように、この穴(5)に塩基性粉粒体(2)と水分吸収寄与粉粒体(3)が交互に充填され、合計では、7個の穴(5)に塩基性粉粒体(2)が充填され、6個の穴(5)に水分吸収寄与粉粒体(3)が充填されている。これらを充填後、通気性素材(4)を接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で中敷本体(1)の両面に貼着することにより、本発明を得る。この例において、塩基性粉粒体(2)の代わりに、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、等の臭気解消寄与粉粒剤を充填しても消臭効果に寄与する靴中敷を製造することが出来る。また、塩基性粉粒体(2)、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、水分吸収寄与粉粒体(3)、等をそれぞれ適当な数の穴(5)に充填し、数種、組み合わせて製品とすることも出来る。
実施例3
図8は、本発明において中敷本体に充填される塩基性粉粒体及び水分吸収寄与粉粒体をスティック状に形成したところの塩基性粉粒体内包部材及び水分吸収寄与粉粒体内包部材を封入した状態を示す分解斜視図である。この例では、図10で中敷本体(1)の外観斜視図が示されているように、穴(5)は、中敷本体(1)に作られた1個しかない。この中に、図11で示されるような塩基性粉粒体内包部材(6)と水分吸収寄与粉粒体内包部材(7)の集合体が充填されている。塩基性粉粒体内包部材(6)は図12で示されるように、内部に塩基性粉粒体(2)を内包したスティック状の部材で、通気性の素材で作られている。水分吸収寄与粉粒体内包部材(7)は、内部に水分吸収寄与粉粒体(3)を内包したスティック状の部材で、通気性の素材で作られている。例では、この塩基性粉粒体内包部材(6)と水分吸収寄与粉粒体内包部材(7)が交互に、穴(5)に充填され、合計では、図11のように、塩基性粉粒体内包部材(6)が49個、水分吸収寄与粉粒体内包部材(7)が49個、充填されている。図9は、これらを充填した場合の部分拡大図を示している。穴(5)にこれらを充填後、シート状の通気性素材(4)を接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で中敷本体(1)の両面に貼着することにより、本発明を得る。この例の場合も靴や足の臭い成分が、シート状の通気性素材(4)及び塩基性粉粒体内包部材(6)を通過し、この内部に充填されている塩基性粉粒体(2)に触れて中和されることにより、臭いが軽減される。また、水分吸収寄与粉粒体内包部材(7)の中に充填されている水分吸収寄与粉粒体(3)が水分を吸収する働きをするため、靴を履いた際の快適性を実現することが可能となる。穴(5)に充填される塩基性粉粒体内包部材(6)と水分吸収寄与粉粒体内包部材(7)の数は、任意である。また、塩基性粉粒体内包部材(6)と水分吸収寄与粉粒体内包部材(7)を必ずしも交互に充填する必要は無く、任意である。この例で示される本発明は、粉粒体を量的に多く充填出来る為、効果や持続性により優れる。この例において、塩基性粉粒体(2)の代わりに、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、等の臭気解消寄与粉粒剤を使用しても消臭効果に寄与する靴中敷を製造することが出来る。また、塩基性粉粒体(2)、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、水分吸収寄与粉粒体(3)、等をそれぞれ同様の構造でスティック状に加工し、数種、組み合わせて製品とすることも出来る。
実施例4
図13は、本発明において中敷本体に穴を有しない形での実施例を示す外観斜視図である。図13では、穴(5)を有しない中敷本体(1)の表面に塩基性粉粒体(2)と水分吸収寄与粉粒体(3)が交互に配置され、シート状の通気性素材(4)が接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で中敷本体(1)の表面に貼着されこれらが封入されている。このケースでは、穴(5)が無いため、塩基性粉粒体(2)と水分吸収寄与粉粒体(3)の部分は、中敷本体(1)の上に盛り上がる形になる。これを靴に装着して使用した場合には、この盛り上がりが足に触れる為、やや違和感がある。また、塩基性粉粒体(2)や水分吸収寄与粉粒体(3)を圧力やバインダー等によって成型していない場合には、それらが中敷本体(1)の上で、一部分に偏り、その部分が大きく盛り上がる為、やや実用性に欠ける。この例では、中敷本体(1)に通気性が無い場合は、靴や足の臭い成分は本発明品の表面からのみシート状の通気性素材(4)を通過して、塩基性粉粒体(2)に触れ中和される。中敷本体(1)に塩基性粉粒体(2)又は水分吸収寄与粉粒体(3)が通過しない微小な穴を設け通気性を持たせれば、裏面からも靴や足の臭い成分が中敷本体(1)を通過して塩基性粉粒体(2)に触れ中和される。この場合、水分も同様に裏面から中敷本体(1)を通過して、水分吸収寄与粉粒体(3)に吸収される。この例において、塩基性粉粒体(2)の代わりに、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、等の臭気解消寄与粉粒剤を使用しても消臭効果に寄与する靴中敷を製造することが出来る。また、塩基性粉粒体(2)、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、水分吸収寄与粉粒体(3)、等を、数種、組み合わせて製品とすることも出来る。なを、この例で示されている本発明の構造は、穴の無い中敷本体(1)の両面に設けることも出来る。
実施例5
図14は、本発明において中敷本体に穴を凹設した場合の実施例における分解斜視 図である。この例では、図14で示されるように中敷本体(1)に穴(5)が凹設されている。すなわち穴(5)は、中敷本体(1)を貫通していない。中敷本体(1)に凹設されたこの穴(5)に、塩基性粉粒体(2)又は塩基性粉粒体(2)及び水分吸収寄与粉粒体(3)の両方が充填され、中敷本体(1)の表面にシート状の通気性素材(4)が接着剤、縫合、熱圧着、等の貼着手段で貼着され、これらが封入されている。穴(5)が中敷本体(1)を貫通していないことを除くと、実施例1の場合と同様となる。ただし、穴(5)が中敷本体(1)を貫通していないので、中敷本体(1)の裏面にシート状の通気性素材(4)を貼着する必要は無い。この例の場合も、中敷本体(1)に通気性が無い場合は、靴や足の臭い成分は本発明品の表面からのみシート状の通気性素材(4)を通過して、塩基性粉粒体(2)に触れ中和される。中敷本体(1)に塩基性粉粒体(2)又は水分吸収寄与粉粒体(3)が通過しない微小な穴を設け通気性を持たせれば、裏面からも靴や足の臭い成分が中敷本体(1)を通過して塩基性粉粒体(2)に触れ中和される。この場合、水分も同様に裏面から中敷本体(1)を通過して、水分吸収寄与粉粒体(3)に吸収される。この穴(5)を中敷本体(1)に凹設した構造の本発明は、中敷本体(1)の厚さが同じで、穴(5)の形状、大きさ、数が同じ場合、実施例1の場合と比べると、穴(5)に充填される塩基性粉粒体(2)又は水分吸収寄与粉粒体(3)の量が少なくなる。この為、本発明の効果を考慮すると、穴(5)は中敷本体(1)に貫設した方が望ましいと言える。このことは、実施例2や実施例3に関して、中敷本体(1)に凹設した穴(5)を用いた場合にも同様に言えることである。この例において、塩基性粉粒体(2)の代わりに、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、等の臭気解消寄与粉粒剤を充填しても消臭効果に寄与する靴中敷を製造することが出来る。また、塩基性粉粒体(2)、活性炭、銅粉、無機抗菌剤、水分吸収寄与粉粒体(3)、等をそれぞれ適当な数の穴(5)に充填し、数種、組み合わせて製品とすることも出来る。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明は、工業的に量産することが可能であるため、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0012】
1 中敷本体
2 塩基性粉粒体
3 水分吸収寄与粉粒体
4 通気性素材
5 穴
6 塩基性粉粒体内包部材
7 水分吸収寄与粉粒体内包部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材を用いて形成した中敷本体に、任意の形状の穴を1個以上貫設し、その穴に塩基性粉粒体又は塩基性粉粒体及び水分吸収寄与粉粒体の両方を充填し、中敷本体の両面にシート状の通気性素材を貼着してそれらを封じ込めた構造からなる靴中敷。
【請求項2】
塩基性粉粒体が重曹又はホタテ貝焼成カルシウムである請求項1における靴中敷。
【請求項3】
水分吸収寄与粉粒体がシリカゲル又は珪藻土である請求項1における靴中敷。
【請求項4】
塩基性粉粒体又は水分吸収寄与粉粒体に抗菌剤を混合した請求項1における靴中敷。
【請求項5】
靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材を用いて形成した中敷本体の表面に、塩基性粉粒体又は塩基性粉粒体及び水分吸収寄与粉粒体の両方を配置し、その上からシート状の通気性素材を貼着してそれらを封じ込めた構造からなる靴中敷。
【請求項6】
靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材を用いて形成した中敷本体に、任意の形状の穴を1個以上貫設し、その穴に活性炭又は活性炭及び水分吸収寄与粉粒体の両方を充填し、この素材の両面にシート状の通気性素材を貼着してそれらを封じ込めた構造からなる靴中敷。
【請求項7】
靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材を用いて形成した中敷本体に、任意の形状の穴を1個以上貫設し、その穴に銅粉又は銅粉及び水分吸収寄与粉粒体の両方を充填し、この素材の両面にシート状の通気性素材を貼着してそれらを封じ込めた構造からなる靴中敷。
【請求項8】
靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材を用いて形成した中敷本体に、任意の形状の穴を1個以上貫設し、その穴に無機系抗菌剤又は無機系抗菌剤及び水分吸収寄与粉粒体の両方を充填し、この素材の両面にシート状の通気性素材を貼着してそれらを封じ込めた構造からなる靴中敷。
【請求項1】
靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材を用いて形成した中敷本体に、任意の形状の穴を1個以上貫設し、その穴に塩基性粉粒体又は塩基性粉粒体及び水分吸収寄与粉粒体の両方を充填し、中敷本体の両面にシート状の通気性素材を貼着してそれらを封じ込めた構造からなる靴中敷。
【請求項2】
塩基性粉粒体が重曹又はホタテ貝焼成カルシウムである請求項1における靴中敷。
【請求項3】
水分吸収寄与粉粒体がシリカゲル又は珪藻土である請求項1における靴中敷。
【請求項4】
塩基性粉粒体又は水分吸収寄与粉粒体に抗菌剤を混合した請求項1における靴中敷。
【請求項5】
靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材を用いて形成した中敷本体の表面に、塩基性粉粒体又は塩基性粉粒体及び水分吸収寄与粉粒体の両方を配置し、その上からシート状の通気性素材を貼着してそれらを封じ込めた構造からなる靴中敷。
【請求項6】
靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材を用いて形成した中敷本体に、任意の形状の穴を1個以上貫設し、その穴に活性炭又は活性炭及び水分吸収寄与粉粒体の両方を充填し、この素材の両面にシート状の通気性素材を貼着してそれらを封じ込めた構造からなる靴中敷。
【請求項7】
靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材を用いて形成した中敷本体に、任意の形状の穴を1個以上貫設し、その穴に銅粉又は銅粉及び水分吸収寄与粉粒体の両方を充填し、この素材の両面にシート状の通気性素材を貼着してそれらを封じ込めた構造からなる靴中敷。
【請求項8】
靴の中敷の形状を有する一定の厚さの素材を用いて形成した中敷本体に、任意の形状の穴を1個以上貫設し、その穴に無機系抗菌剤又は無機系抗菌剤及び水分吸収寄与粉粒体の両方を充填し、この素材の両面にシート状の通気性素材を貼着してそれらを封じ込めた構造からなる靴中敷。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−39348(P2013−39348A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2012−111980(P2012−111980)
【出願日】平成24年5月15日(2012.5.15)
【出願人】(505120146)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−111980(P2012−111980)
【出願日】平成24年5月15日(2012.5.15)
【出願人】(505120146)
【Fターム(参考)】
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