説明

鞍乗型車両

【課題】ヘッドライトを大型化した場合であっても、ヘッドライトを車体フレームに安定して取り付けることができる鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】一対の前輪支持部材22,22の上端部を支持するブラケット20と、ブラケット20から上方に向かって延びるステアリングシャフト16と、ステアリングシャフト16を回転可能に支持するヘッドパイプ14と、ヘッドパイプ14の前方に配置されるヘッドライト36と、ヘッドライト36をヘッドパイプ14に取り付ける取付部材とを備える。ヘッドライト36は、上下に並んで配置される上側及び下側の発光体50,46と、上側及び下側の発光体50,46を結ぶ直線に対して左右両側に配置される左側及び右側の発光体53,54とを含む。取付部材及びヘッドライト36が一対の前輪支持部材22,22の回転範囲と干渉しない位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両におけるヘッドライトの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗型車両には、例えば、自動二輪車がある。自動二輪車は、ヘッドライトを備える。ヘッドライトは、例えば、特許第3020964号(特許文献1)、実開昭58−184346号公報(特許文献2)に開示されている。
【0003】
特許文献1,2において、自動二輪車は、一対のフロントフォークを備える。一対のフロントフォークは、上下のブラケットで連結されている。上下のブラケットの間であって、且つ、一対のフロントフォークの前方に、ヘッドライトが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3020964号
【特許文献2】実開昭58−184346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動二輪車においては、例えば、他の自動二輪車との差別化を図るために、ヘッドライトを大型化することがある。しかしながら、ヘッドライトを大型化すると、その重量を支えるのが難しくなる。
【0006】
本発明の目的は、ヘッドライトを大型化した場合であっても、ヘッドライトを車体フレームに安定して取り付けることができる鞍乗型車両を提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の鞍乗型車両は、前輪と、前記前輪を支持する一対の前輪支持部材と、前記一対の前輪支持部材の上端部を支持するブラケットと、前記ブラケットから上方に向かって延びるステアリングシャフトと、前記ステアリングシャフトに接続されるハンドルと、前記ステアリングシャフトを回転可能に支持するヘッドパイプを含む車体フレームと、前記ヘッドパイプの前方に配置されるヘッドライトと、前記ヘッドライトを前記車体フレームに取り付ける取付部材とを備え、前記ヘッドライトは、上下に並んで配置される上側及び下側の発光体と、前記上側及び下側の発光体を結ぶ直線に対して左右両側に配置される左側及び右側の発光体とを含み、前記取付部材及び前記ヘッドライトが前記一対の前輪支持部材の回転範囲と干渉しないように配置される。
【0008】
本発明の鞍乗型車両は、ヘッドライトを大型化した場合であっても、ヘッドライトを車体フレームに安定して取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態による自動二輪車の全体構成を示す左側面図である。
【図2】図1に示す自動二輪車の正面図である。
【図3】ヘッドライトの分解斜視図である。
【図4】ヘッドライトの縦断面図である。
【図5】ヘッドライトの平面図である。
【図6】ヘッドライトの正面図である。
【図7】ハンドルが右方向の回転端に位置する状態におけるヘッドライトとブラケットとの関係を示す平面断面図である。
【図8】ハンドルが右方向の回転端に位置する状態におけるヘッドライトとブラケットとの関係を示す側面断面図である。
【図9】ハンドルが左方向の回転端に位置する状態におけるヘッドライトとブラケットとの関係を示す平面断面図である。
【図10】ハンドルが左方向の回転端に位置する状態におけるヘッドライトとブラケットとの関係を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態に係る鞍乗型車両について説明する。本実施形態では、鞍乗型車両として、スクーター式の自動二輪車を例に説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその部材についての説明は繰り返さない。
【0011】
[全体構成]
図1は、本発明の実施の形態による自動二輪車10の左側面図である。図2は、自動二輪車10の正面図である。
【0012】
なお、以下の説明において、前後左右とは、自動二輪車10のシート30に着座した乗員から見た前後左右を意味する。図1において、矢印Fは自動二輪車10の前方向を示し、矢印Uは自動二輪車10の上方向を示す。図2において、矢印Rは自動二輪車10の右方向を示し、矢印Uは自動二輪車10の上方向を示す。
【0013】
自動二輪車10は、車体フレーム12を備える。車体フレーム12の前端部には、ヘッドパイプ14が設けられている。
【0014】
ヘッドパイプ14には、ステアリングシャフト16が左右方向に回転可能に挿入されている。ステアリングシャフト16の上端には、ハンドル18が取り付けられている。ハンドル18を操作することにより、ステアリングシャフト16が回転する。
【0015】
ステアリングシャフト16の下端には、ブラケット20が取り付けられている。ブラケット20には、一対のフロントフォーク22,22(前輪支持部材)の上端部が取り付けられている。一対のフロントフォーク22,22は、前輪24を回転可能に支持する。
【0016】
前輪24の上方には、フロントフェンダ26が配置されている。一対のフロントフォーク22,22が、フロントフェンダ26を支持する。
【0017】
車体フレーム12は、車体カバー28によって覆われている。車体カバー28は、例えば、合成樹脂製である。
【0018】
車体フレーム12の後側の上方には、シート30が配置されている。シート30の下方には、収納スペースが形成されている。収納スペースには、例えば、ヘルメット等が収納される。
【0019】
車体フレーム12の後側の下方には、パワーユニット32が配置されている。車体フレーム12は、パワーユニット32を上下方向に揺動可能に支持する。
【0020】
パワーユニット32の後端には、後輪34が回転可能に取り付けられている。パワーユニット32の動力が後輪34に伝達されることにより、後輪34が回転する。
【0021】
[ヘッドライト]
自動二輪車10は、ヘッドライト36を備える。図1,2に示すように、ヘッドライト36は、フロントフェンダ26の上方であって、且つ、ヘッドパイプ14の前方に配置されている。
【0022】
図3〜5を参照しながら、ヘッドライト36について説明する。図3は、ヘッドライト36の分解斜視図である。図4は、ヘッドライト36の縦断面図であって、図2のIV−IV断面図である。図5は、ヘッドライト36の平面図である。図6は、ヘッドライト36の正面図である。
【0023】
図3〜5に示すように、ヘッドライト36は、ヘッドライト本体38と、ヘッドライトカバー40とを備える。
【0024】
図3,4に示すように、ヘッドライト本体38は、プロジェクタランプユニット42と、リフレクタランプユニット44と、支持部材45とを備える。
【0025】
本実施形態では、プロジェクタランプユニット42とリフレクタランプユニット44とが選択的に点灯される。プロジェクタランプユニット42が発する光は、ロービームに用いられる。リフレクタランプユニット44が発する光は、ハイビームに用いられる。
【0026】
[上側及び下側の発光体]
図3,4に示すように、プロジェクタランプユニット42は、発光体46と、レンズ部材48とを備える。
【0027】
発光体46は、例えば、ハロゲンランプである。発光体46は、プロジェクタランプユニット42の後端に位置する。
【0028】
レンズ部材48は、ガラス製である。レンズ48の前面は、前方に向かって凸となる半球状の湾曲面である。レンズ48の後面は、上下方向及び左右方向に広がる平坦面である。レンズ部材48は、プロジェクタランプユニット42の前端に位置する。レンズ部材48は、発光体46の光を透過する。
【0029】
図3,4に示すように、リフレクタランプユニット44は、発光体50と、リフレクタ52とを備える。
【0030】
発光体50は、例えば、ハロゲンランプである。発光体50は、リフレクタランプユニット44の後端に位置する。
【0031】
リフレクタ52は、前方に向かって開口する凹部521を有する。凹部521内に、発光体50が配置される。リフレクタ52は、発光体50が発する光を前方に向けて反射する。
【0032】
図4に示すように、支持部材45は、プロジェクタランプユニット42と、リフレクタランプユニット44とを支持する。つまり、支持部材45は、プロジェクタランプユニット42が備える発光体46と、リフレクタランプユニット44が備える発光体50とを支持する。
【0033】
ここで、図3,4に示すように、プロジェクタランプユニット42は、リフレクタランプユニット44よりも下方に配置される。つまり、プロジェクタランプユニット42の発光体46が下側発光体であり、リフレクタランプユニット44の発光体50が上側発光体である。
【0034】
車両の正面から見ると、図6に示すように、プロジェクタランプユニット42が備える発光体46と、リフレクタランプユニット44が備える発光体50とは、ヘッドパイプ14と重なる位置で上下に並んで配置されている。ここで、本実施形態では、図4に示すように、発光体46の後端は、発光体50の後端よりも前方に位置する。
【0035】
プロジェクタランプユニット42の前後方向長さは、リフレクタランプユニット44の前後方向長さよりも長い。ここで、プロジェクタランプユニット42の前端は、レンズ48の前面中央である。プロジェクタランプユニット42の後端は、発光体46の後端である。リフレクタランプユニット44の前端は、リフレクタ52が有する凹部521の開口端である。リフレクタランプユニット44の後端は、発光体50の後端である。
【0036】
図4に示すように、プロジェクタランプユニット42の前端は、リフレクタランプユニット44の前端よりも前方に位置する。これにより、ヘッドライトカバー40は、前方に向かって下る前面を備えることができる。その結果、ヘッドライト36の空気抵抗を減らすことができる。
【0037】
[左側及び右側の発光体]
図3,6に示すように、ヘッドライト本体38は、左側発光体53及び右側発光体54をさらに備える。左側発光体53及び右側発光体54は、支持部材45に取り付けられている。換言すれば、支持部材45は、左側発光体53及び右側発光体54を支持する。左側発光体53及び右側発光体54は、例えば、ポジションライト、フラッシャとして機能する。
【0038】
図6に示すように、車両の正面から見ると、左側発光体53及び右側発光体54は、プロジェクタランプユニット42の発光体46と、リフレクタランプユニット44の発光体50とを結ぶ直線L1に対して、左右両側に配置される。プロジェクタランプユニット42の発光体46及びリフレクタランプユニット44の発光体50は、左側発光体53及び右側発光体54を結ぶ直線L2に対して、上下両側に配置される。プロジェクタランプユニット42の発光体46の下端は、左側発光体53及び右側発光体54のそれぞれの下端よりも下方に位置する。
【0039】
図2に示すように、車両の正面から見ると、左側発光体53は左側のフロントフォーク22よりも左側に位置し、右側発光体54は右側のフロントフォーク22よりも右側に位置する。
【0040】
[カバーレンズ]
図3〜6に示すように、ヘッドライトカバー40は、無色透明な合成樹脂製のカバーレンズ56を含む。カバーレンズ56は、中央レンズ56C、左レンズ56L及び右レンズ56Rを有する。カバーレンズ56は、レンズ部材48よりも前方に配置される。
【0041】
図6に示すように、中央レンズ56Cは、プロジェクタランプユニット42の発光体46及びリフレクタランプユニット44の発光体50の前方に位置し、発光体46及び発光体50が発する光を透過する。つまり、中央レンズ56Cは、リフレクタランプユニット44の発光体50の前方に位置する上レンズと、プロジェクタランプユニット42の発光体46の前方に位置する下レンズとが一体形成されたものである。
【0042】
図6に示すように、車両の正面から見ると、中央レンズ56Cは、左レンズ56L及び右レンズ56Rのそれぞれよりも大きい。換言すれば、車両の前後方向の投影において、中央レンズ56Cの投影面積が、左レンズ56L及び右レンズ56Rのそれぞれの投影面積よりも大きい。
【0043】
図3,4,6に示すように、中央レンズ56Cの前端56Cfよりも後端56Crが上方に位置する。中央レンズ56Cの前端56Cfよりも後端56Crのほうが、車両の左右方向の幅が広い。
【0044】
図6に示すように、左レンズ56Lは、左側発光体53の前方に位置する。左レンズ56Lは、左側発光体53が発する光を透過する。図3,6に示すように、左レンズ56Lの前端56Lfよりも後端56Lrが上方に位置する。本実施形態において、左レンズ56Lの前端56Lfは、図5に示すように、カバーレンズ56を上方から見た場合の前端である。
【0045】
図3,5,6に示すように、左レンズ56Lは、中央レンズ56Cと一体形成されている。本実施形態では、左レンズ56Lの前端及びその近傍が、中央レンズ56Cの前端近くにおいて、中央レンズ56Cに連結されている。
【0046】
図5に示すように、左レンズ56Lの前端56Lfは、中央レンズ56Cの前端56Cfよりも後方に位置する。図6に示すように、左レンズ56Lの前端56Lfは、左側のフロントフォーク22よりも右側に位置する。
【0047】
図5に示すように、左レンズ56Lの後端56Lrは、中央レンズ56Cの後端56Crよりも後方に位置する。図5,6に示すように、左レンズ56Lの後端56Lrは、左レンズ56Lの前端56Lfよりも、車両の左右方向で中央レンズ56Cから離れている。図6に示すように、左レンズ56Lの後端56Lrは、左側のフロントフォーク22よりも左側に位置する。
【0048】
図6に示すように、右レンズ56Rは、右側発光体54の前方に位置する。右レンズ56Rは、右側発光体54が発する光を透過する。図3,6に示すように、右レンズ56Rの前端56Rfよりも後端56Rrが上方に位置する。本実施形態において、右レンズ56Rの前端56Rfは、図5に示すように、カバーレンズ56を上方から見た場合の前端である。
【0049】
図3,5,6に示すように、右レンズ56Rは、中央レンズ56Cと一体形成されている。本実施形態では、右レンズ56Rの前端及びその近傍が、中央レンズ56Cの前端近くにおいて、中央レンズ56Cに連結されている。
【0050】
図5に示すように、右レンズ56Rの前端56Rfは、中央レンズ56Cの前端56Cfよりも後方に位置する。図6に示すように、右レンズ56Rの前端56Rfは、右側のフロントフォーク22よりも左側に位置する。
【0051】
図5に示すように、右レンズ56Rの後端56Rrは、中央レンズ56Cの後端56Crよりも後方に位置する。図5,6に示すように、右レンズ56Rの後端56Rrは、右レンズ56Rの前端56Rfよりも、車両の左右方向で中央レンズ56Cから離れている。図6に示すように、右レンズ56Rの後端56Rrは、右側のフロントフォーク22よりも右側に位置する。
【0052】
[取付部材]
ヘッドライト36は、取付部材58によって、ヘッドパイプ14に取り付けられている。取付部材58は、上側連結部材60と、下側連結部材62とを含む。
【0053】
上側連結部材60は、金属ステーである。上側連結部材60は、ヘッドライト36と、ヘッドパイプ14とを連結する。上側連結部材60は、取付部64と、延出部66とを含む。
【0054】
取付部64は、例えば、板状部材である。取付部64は、ヘッドライト36が有する取付片68に取り付けられる。
【0055】
図3〜5に示すように、取付片68は、延出部70と、縦壁部72とを有する。
【0056】
延出部70は、ヘッドライト本体38の後端から後方に向かってに延びている。図3〜5に示す例では、2つの延出部70,70がヘッドライト本体38の上縁に形成されている。
【0057】
縦壁部72は、延出部70の後端に設けられている。図3〜5に示す例では、縦壁部72が、各延出部70の後端を連結している。縦壁部72は、延出部70の後端から上方に向かって延びている。換言すれば、縦壁部72は、延出部70の延出方向に略垂直な方向に延びている。図5に示すように、縦壁部72の右端はヘッドパイプ14の中心軸線L3より車両の右側に位置し、縦壁部72の左端はヘッドパイプ14の中心軸線L3より車両の左側に位置する。
【0058】
例えば、以下のようにして、取付部64が取付片68に取り付けられる。先ず、取付片68が有する取付面(縦壁部72の後面)に、取付部64が有する取付面(取付部64の前面)を重ねる。この状態で、例えば、ボルトとナット等を用いて、取付片68に取付部64を取り付ける。
【0059】
取付部64は、その下端縁に補強用のリブを有していてもよい。この場合、取付部64の強度が向上する。
【0060】
延出部66は、長手状の部材である。図4,5に示す例では、延出部66は、上側延出部661と、下側延出部662と、連結部663とを有する。上側連結部661及び下側連結部662は、前後方向に延びている。連結部663は、上下方向に延びて、上側連結部661と下側連結部662とを連結する。
【0061】
延出部66の前端には、取付部64が設けられている。本実施形態では、取付部64の右端に、延出部66の前端が連結されている。延出部66に取付部64を連結する方法としては、例えば、延出部66と取付部64とを溶接する方法等がある。
【0062】
延出部66の後端は、ヘッドパイプ14に取り付けられる。延出部66をヘッドパイプ14に取り付ける方法としては、例えば、溶接、ボルト固定等がある。
【0063】
延出部66は、その上端縁及び下端縁の少なくとも一方に補強用のリブを有していてもよい。この場合、延出部66の強度が向上する。
【0064】
下側連結部材62は、金属ステーである。下側連結部材62は、ヘッドライト36と、ヘッドパイプ14とを連結する。下側連結部材62は、延出部74と、第1取付部76と、第2取付部78とを備える。
【0065】
延出部74は、長手状の部材である。延出部74は、例えば、棒であってもよいし、管であってもよいし、板状であってもよい。
【0066】
第1取付部76は、延出部74の前端に設けられている。第1取付部76と延出部74とを固定する方法としては、例えば、溶接等がある。
【0067】
第1取付部76は、延出部74の前端をヘッドライト本体38の後端に固定する。第1取付部76とヘッドライト本体38との固定方法としては、例えば、ボルト固定等がある。本実施形態では、第1取付部76は、支持部材45が備える台座77に、延出部74の前端を固定する。台座77は、支持部材45の後端下縁451よりも上方であって、且つ、後端下縁451の近傍に位置する。後端下縁451は、支持部材45が有する下面452の後端縁である。台座77は、支持部材45が有する取付面453に設けられている。台座77は、図5に示すように、ヘッドパイプ14の中心軸線L3より車両の左側に位置する。台座77は、図5に示すように、縦壁部72よりも前方に位置する。取付面453は、下面452とともに、後端下縁451を規定する。本実施形態では、取付面453が、ヘッドライト36の後端面の下端部に相当する。
【0068】
第2取付部78は、延出部74の後端に設けられている。第2取付部78と延出部74を固定する方法としては、例えば、溶接等がある。図4,5に示す例では、第2取付部78は、2つの固定片781,782を有する。これらの固定片781,782によって、第2取付部78が延出部74の後端に固定される。固定片781は、延出部74の後端において、延出部74に固定される。固定片782は、固定片781よりも前端側において、延出部74に固定される。第2取付部78と延出部74との固定強度が向上する。
【0069】
第2取付部78は、延出部74の後端をヘッドパイプ14に固定する。第2取付部78とヘッドパイプ14とを固定する方法としては、例えば、溶接、ボルト固定等がある。
【0070】
本実施形態では、図4に示すように、上側連結部材60及び下側連結部材62がブラケット20よりも上方に位置する。そのため、上側連結部材60及び下側連結部材62の長さ(車両前後方向の長さ)を短くすることができる。その結果、上側連結部材60及び下側連結部材62の部材強度を向上させることができる。また、ヘッドライト36をヘッドパイプ14に近づけることができるので、例えば走行時等の振動に対する強度も向上させることができる。従って、例えば、図3〜6に示すような4つの発光体46,50,53,54を備える大型のヘッドライト36を採用した場合であっても、ヘッドライト36を安定してヘッドパイプ14に取り付けることができる。換言すれば、ヘッドライト36の支持状態を安定させることができる。
【0071】
本実施形態では、上側連結部材60及び下側連結部材62がヘッドライト36とヘッドパイプ14とを連結している状態では、図4に示すように、ブラケット20は、下側連結部材62よりも下方に位置する。ヘッドライト36の後端下縁451は、ブラケット20よりも前方に位置する。取付面453は、ブラケット20よりも前方に位置する。台座77は、ブラケット20よりも前方に位置する。つまり、ブラケット20は、ヘッドライト36及び下側連結部材62に接触しない。
【0072】
ここで、図4は、ステアリングシャフト16が回転範囲の中心に位置する状態を示す。図4に示す状態から、図7に示すように、ハンドル18(ステアリングシャフト16)を右方向の回転端まで回転させる。この状態で、ブラケット20の左端(左側のフロントフォーク22を支持する部分)は、ヘッドパイプ14の中心軸線L3よりも車両の左側に位置する。換言すれば、ブラケット20の左端は、ハンドル18を右方向の回転端まで回転させても、ヘッドパイプ14の中心軸線L3より車両の右側に位置することはない。
【0073】
また、ハンドル18が右方向の回転端に位置する状態で、ブラケット20は、図8に示すように、下側連結部材62よりも下方に位置する。ヘッドライト36の後端下縁451は、ブラケット20よりも前方に位置する。取付面453は、ブラケット20よりも前方に位置する。台座77は、ブラケット20よりも前方に位置する。
【0074】
つまり、ハンドル18を右方向の回転端まで回転させても、ブラケット20がヘッドライト20及び下側連結部材62に接触することはない。
【0075】
また、図4に示す状態から、図9に示すように、ハンドル18を左方向の回転端まで回転させる。この状態で、ブラケット20の右端(右側のフロントフォーク22を支持する部分)は、ヘッドパイプ14の中心軸線L3よりも車両の右側に位置する。換言すれば、ブラケット20の右端は、ハンドル18を左方向の回転端まで回転させても、ヘッドパイプ14の中心軸線L3より車両の左側に位置することはない。
【0076】
また、ハンドル18が左方向の回転端に位置する状態で、ブラケット20は、図10に示すように、下側連結部材62よりも下方に位置する。ヘッドライト36の後端下縁451は、ブラケット20よりも前方に位置する。取付面453は、ブラケット20よりも前方に位置する。台座77は、ブラケット20よりも前方に位置する。
【0077】
つまり、ヘッドライト18を左方向の回転端まで回転させても、ブラケット20がヘッドライト36及び下側連結部材62に接触することはない。
【0078】
本実施形態では、取付部材58が、上側連結部材60及び下側連結部材62を含む。上側連結部材60及び下側連結部材62は、上下に離隔して配置される。そのため、ヘッドライト36を上下で支持することができる。その結果、ヘッドライト36の支持状態がさらに安定する。
【0079】
本実施形態では、図4に示すように、上側連結部材60は、ヘッドパイプ14の軸方向中心Cよりも上端側で、ヘッドパイプ14に固定されている。また、下側連結部材62は、ヘッドパイプ14の軸方向中心Cよりも下端側で、ヘッドパイプ14に固定されている。そのため、上側連結部材60がヘッドパイプ14に固定される位置と、下側連結部材62がヘッドパイプ14に固定される位置とを、上下方向で引き離すことが容易にできる。その結果、ヘッドライト36の支持状態の更なる安定化を図ることができる。
【0080】
本実施形態では、図5に示すように、上側連結部材60のヘッドライト36側の端部と、下側連結部材62のヘッドライト36側の端部が、車両の左右方向にずれている。ヘッドライト36の支持状態の更なる安定化を図ることができる。
【0081】
本実施形態では、図5に示すように、上側連結部材60のヘッドライト36側の端部と、下側連結部材62のヘッドライト36側の端部が、車両の前後方向にずれている。ヘッドライト36の支持状態の更なる安定化を図ることができる。
【0082】
本実施形態では、上側連結部材60及び下側連結部材62は、それぞれ、ヘッドパイプ14に直接固定されている。そのため、上側連結部材60及び下側連結部材62のヘッドパイプ14に対する固定強度が向上する。その結果、ヘッドライト36をより安定して支持することができる。
【0083】
本実施形態では、図2,4に示すように、プロジェクタランプユニット42の発光体46及びリフレクタランプユニット44の発光体50が、車両を正面から見たときに、ヘッドパイプ14に重なる。換言すれば、車両を正面から見たときに、プロジェクタランプユニット42及びリフレクタランプユニット44がヘッドパイプ14に重なる。
【0084】
特に本実施形態では、発光体46の後端が発光体50の後端よりも前方に位置する。
【0085】
加えて、本実施形態では、図7,8に示すように、ハンドル18が右方向の回転端に位置するときに、ブラケット20の左端がヘッドパイプ14の中心軸線L3より車両の左側に位置する。また、図9,10に示すように、ハンドル18が左方向の回転端に位置するときに、ブラケット20の右端がヘッドパイプ14の中心軸線L3より車両の右側に位置する。
【0086】
ブラケット20が回転しても、プロジェクタランプユニット42及びリフレクタランプユニット44がブラケット20に接触し難い。プロジェクタランプユニット42及びリフレクタランプユニット44をヘッドパイプ14に接近させ易い。
【0087】
本実施形態では、図7,8に示すように、ハンドル18が右方向の回転端に位置する状態で、支持部材45の取付面453がブラケット20の前方に位置する。また、図9,10に示すように、ハンドル18が左方向の回転端に位置する状態で、支持部材45の取付面453がブラケット20の前方に位置する。ブラケット20がヘッドライト36に接触するのを回避できる。
【0088】
本実施形態では、プロジェクタランプユニット42とリフレクタランプユニット44が上下に配置されているので、ヘッドライト36の上下方向の寸法が長くなる。そのため、ヘッドライト36をブラケット20の上方へ逃がすことが難しい。しかしながら、上述のように、本実施形態では、支持部材45の取付面453がブラケット20よりも前方に位置する。そのため、ブラケット20がヘッドライト36に接触するのを回避できる。
【0089】
本実施形態では、上述のように、支持部材45の取付面453がブラケット20よりも前方に位置する。そのため、取付部材58の強度を確保することが重要になる。しかしながら、本実施形態では、取付部材58が、上側連結部材60及び下側連結部材62を含む。そのため、取付部材58の強度を確保し易い。ヘッドライト36の支持状態が安定する。
【0090】
本実施形態では、カバーレンズ56が、中央レンズ56C、左レンズ56L及び右レンズ56Rを有する。中央レンズ56C、左レンズ56L及び右レンズ56Rは一体形成されている。1つの大きなヘッドライト36を実現できる。
【0091】
本実施形態では、上側及び下側の発光体50,46は、図2,6に示すように、車両の正面から見たときに、ヘッドパイプ14と重なる位置で上下に並んで配置されている。下側の発光体46の下端は、左側及び右側の発光体53,54のそれぞれの下端よりも下方に位置する。左側及び右側の発光体53,54をブラケット20から遠ざけることができる。ブラケット20が回転しても、左側及び右側の発光体53,54がブラケット20に接触し難い。
【0092】
本実施形態では、図2,6に示すように、車両の正面から見たときに、左側発光体53が左側のフロントフォーク22よりも左側に位置し、右側発光体54が右側のフロントフォーク22よりも右側に位置する。ヘッドライト36の左右方向の幅が大きい。左側及び右側の発光体53,54が発する光を目立たせることができる。
【0093】
本実施形態では、図6に示すように、左側及び右側の発光体53,54を結ぶ直線L2よりも上側に発光体50が位置し、当該直線L2よりも下側に発光体46が位置する。これら4つの発光体46,50,53,54がバランスよく配置される。
【0094】
本実施形態では、図6に示すように、車両の正面から見たときに、中央レンズ56Cが左レンズ56L及び右レンズ56Rのそれぞれよりも大きい。中央レンズ56Cを左レンズ56L及び右レンズ56Rよりも目立たせることができる。
【0095】
本実施形態では、図3,4,6に示すように、車両の正面から見たときに、中央レンズ56Cの前端56Cfよりも後端56Crが上方に位置する。空気抵抗を低減し易い。
【0096】
本実施形態では、図3,6に示すように、車両の正面から見たときに、左レンズ56L及び右レンズ56Rのそれぞれにおいて、前端56Lf、56Rfよりも後端56Lr、56Rrが上方に位置する。空気抵抗を低減し易い。
【0097】
本実施形態では、図3,6に示すように、左レンズ56L,56Rのそれぞれの前端56Lf、56Rfが、中央レンズ56Cの前端56Cfよりも後方に位置する。空気抵抗を低減し易い。
【0098】
本実施形態では、図3,6に示すように、左レンズ56L及び右レンズ56Rのそれぞれの後端56Lr、56Rrが、中央レンズ56Cの後端56Crよりも後方に位置する。空気抵抗を低減し易い。
【0099】
本実施形態では、図3,6に示すように、左レンズ56Lの後端56Lrが、左レンズ56Lの前端56Lfよりも、中央レンズ56Cから離れている。右レンズ56Rの後端56Rrが、右レンズ56Rの前端56Rfよりも、中央レンズ56Cから離れている。ヘッドライト36の幅を広くして、ヘッドライト36を目立たせることができる。
【0100】
本実施形態では、図3,6に示すように、中央レンズ56Cの前端56Cfよりも後端56Crのほうが、左右方向の幅が広くなっている。中央レンズ56Cを目立たせることができる。
【0101】
本実施形態では、上側の発光体50と下側の発光体46が選択的に点灯される。ハイビームとロービームの切り替えが容易になる。
【0102】
本実施形態では、図2,6に示すように、車両の正面から見たときに、左レンズ56Lの後端56Lrが左側のフロントフォーク22よりも左側に位置し、右レンズ56Rの後端56Rrが右側のフロントフォーク22よりも右側に位置する。ヘッドライト36の幅が広くなるので、ヘッドライト36を目立たせることができる。
【0103】
本実施形態では、図2,6に示すように、車両の正面から見たときに、左レンズ56Lの前端56Lfが左側のフロントフォーク22よりも右側に位置するとともに、左レンズ56Lの後端56Lrが左側のフロントフォーク22よりも左側に位置する。また、右レンズ56Rの前端56Rfが右側のフロントフォーク22よりも左側に位置するとともに、右レンズ56Rの後端56Rrが右側のフロントフォーク22よりも右側に位置する。車両の正面から見たときに、左レンズ56L及び右レンズ56Rの左右方向の幅が広くなる。左レンズ56L及び右レンズ56Rを目立たせることができる。
【0104】
上記の実施形態において、上側連結部材60及び下側連結部材62の少なくとも一方とヘッドライト38との間に、例えば樹脂製の部材等が存在してもよい。
【0105】
上記の実施形態では、自動二輪車について説明したが、本発明はこれに限らず、3又は4輪のリーニング車両等であっても適用できる。
【0106】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0107】
10 自動二輪車
12 車体フレーム
14 ヘッドパイプ
16 ステアリングシャフト
18 ハンドル
20 ブラケット
22 フロントフォーク(前輪支持部材)
24 前輪
36 ヘッドライト
45 支持部材
46 発光体(下側発光体)
50 発光体(上側発光体)
53 左側発光体
54 右側発光体
56 カバーレンズ
56C 中央レンズ(上側及び下側のレンズ)
56L 左レンズ
56R 右レンズ
58 取付部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪と、
前記前輪を左右両側から支持する一対の前輪支持部材と、
前記一対の前輪支持部材の上端部を支持するブラケットと、
前記ブラケットから上方に向かって延びるステアリングシャフトと、
前記ステアリングシャフトに接続されるハンドルと、
前記ステアリングシャフトを回転可能に支持するヘッドパイプを含む車体フレームと、
前記ヘッドパイプの前方に配置されるヘッドライトと、
前記ヘッドライトを前記車体フレームに取り付ける取付部材とを備え、
前記ヘッドライトは、
上下に並んで配置される上側及び下側の発光体と、前記上側及び下側の発光体を結ぶ直線に対して左右両側に配置される左側及び右側の発光体とを含み、
前記取付部材及び前記ヘッドライトが前記一対の前輪支持部材の回転範囲に干渉しないように配置される、鞍乗型車両。
【請求項2】
請求項1に記載の鞍乗型車両であって、
前記ヘッドライトは、
前記上側及び下側の発光体と、前記左側及び右側の発光体とを支持する支持部材と、
前記支持部材の前方に配置されるカバーレンズとを有し、
前記カバーレンズは、
前記上側発光体の前方に位置する上側レンズと、前記下側発光体の前方に位置する下側レンズと、前記左側発光体の前方に位置する左側レンズと、前記右側発光体の前方に位置する右側レンズとを有し、
前記上側レンズ、前記下側レンズ、前記左側レンズ及び前記右側レンズが一体成形されている、鞍乗型車両。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の鞍乗型車両であって、
前記上側及び下側の発光体は、車両の正面から見たときに前記ヘッドパイプと重なる位置で上下に並んで配置され、
前記下側発光体の下端は、前記左側及び右側の発光体のそれぞれの下端よりも下方に位置する、鞍乗型車両。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の鞍乗型車両であって、
車両の正面から見たときに、前記左側及び右側の発光体のそれぞれが前記一対の前輪支持部材よりも車両左右方向で外側に位置する、鞍乗型車両。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の鞍乗型車両であって、
前記左側及び右側の発光体を結ぶ直線に対して、前記上側及び下側の発光体が上下両側に配置される、鞍乗型車両。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の鞍乗型車両であって、
前記取付部材は、前記ヘッドライトと前記車体フレームとを連結する連結部材を含み、
前記連結部材は、前記ヘッドライト側の端部が上下に離れて位置する上側及び下側の連結部材を含む、鞍乗型車両。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の鞍乗型車両であって、
前記ヘッドライトが前記ヘッドパイプに支持され、
前記下側発光体の後端が前記上側発光体の後端よりも前方に位置する、鞍乗型車両。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の鞍乗型車両であって、
車両の正面から見たときに、前記上側及び下側のレンズが、前記左側及び右側のレンズよりも大きい、鞍乗型車両。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の鞍乗型車両であって、
前記上側及び下側のレンズの前端よりも後端が上方に位置している、鞍乗型車両。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の鞍乗型車両であって、
前記左側及び右側のレンズのそれぞれの前端よりも後端が上方に位置している、鞍乗型車両。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項に記載の鞍乗型車両であって、
前記左側及び右側のレンズのそれぞれの前端が、前記上側及び下側のレンズの前端よりも後方に位置する、鞍乗型車両。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか1項に記載の鞍乗型車両であって、
前記左側及び右側のレンズのそれぞれの後端が、前記上側及び下側のレンズの後端よりも後方に位置する、鞍乗型車両。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか1項に記載の鞍乗型車両であって、
前記左側及び右側のレンズのそれぞれの前端よりも後端が前記上側及び下側のレンズから離れている、鞍乗型車両。
【請求項14】
請求項1〜13の何れか1項に記載の鞍乗型車両であって、
前記上側及び下側のレンズの前端よりも後端のほうが、左右方向の幅が大きくなっている、鞍乗型車両。
【請求項15】
請求項1〜14の何れか1項に記載の鞍乗型車両であって、
車両の正面から見たときに、前記左側及び右側のレンズのそれぞれの後端が、前記一対の前輪支持部材よりも車両左右方向で外側に位置する、鞍乗型車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−112295(P2013−112295A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262692(P2011−262692)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】