説明

鞍乗型車両

【課題】レンズとカバーとを固定する際にレンズが破損する恐れのない構成を提供することにある。
【解決手段】レンズ65には、第1ヘッドライトカバー522によって覆われる部分に第1貫通孔654aが設けられている。第1ヘッドライトカバー522には、第1貫通孔654aと対向する位置に第1凹部522bが設けられている。第1ヘッドライトカバー522は、レンズ65と対向する内面と、外部に露出する外面とを有している。第1凹部522bは、第1ヘッドライトカバー522の内面から外面に向かって第1貫通孔654aと同軸上に窪んでいる。第1凹部522bには、ネジ溝522dが形成されている。ネジ7は、ネジ山部71と、頭部73とを有している。レンズ65は、発光体を収容する空間の内周面を有している。ネジ山部71が、ネジ溝522dと噛み合うとともに、頭部73が、レンズ65の内周面側に位置する状態で、ネジ7がレンズ65と第1ヘッドライトカバー522とを固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関し、さらに詳しくは、ヘッドライトのレンズにカバーが取り付けられた鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗型車両の一種である自動二輪車が知られている。自動二輪車には、進行方向前方を照射するヘッドライトが設けられている。ヘッドライトは、ヘッドライト用の発光体と、発光体を覆うレンズとを有している。レンズには、装飾の目的又は保護の目的等でカバーが取り付けられる場合がある。
【0003】
特許文献1に記載の構成では、レンズに凹部が設けられている。凹部の内周には、ネジ溝が形成されている。カバーには貫通孔が形成されている。レンズの凹部とカバーの貫通孔とを対向させた状態で、ネジの先端がカバーの貫通孔を通過するとともにレンズの凹部に挿入されている。このようにして、カバーとレンズとがネジ止めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−202825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成では、レンズに設けられた凹部にネジ溝が形成されている。このため、レンズとカバーとを固定する際には、レンズの凹部にネジが挿入される。このとき、ネジを締め過ぎたり誤った方向にネジを挿入したりすると、レンズが破損してしまう可能性がある。
【0006】
本発明の課題は、レンズとカバーとを固定する際にレンズが破損する恐れのない構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
本発明に係る鞍乗型車両は、ヘッドライト用発光体と、レンズと、取付け部材とを備えている。レンズは、発光体の前方に配置され、発光体が発する光を透過する樹脂材料で形成されている。カバーは、レンズの一部を覆う。取付け部材は、レンズとカバーとを固定する。レンズには、カバーによって覆われる部分に貫通孔が設けられている。カバーには、貫通孔と対向する位置に凹部が設けられている。カバーは、レンズと対向する内面と、外部に露出する外面とを有している。凹部は、カバーの内面から外面に向かって貫通孔と同軸上に窪んでいる。凹部には、ネジ溝が形成されている。取付け部材は、ネジ山部と、頭部とを有している。レンズは、発光体を収容する空間の内周面を有している。ネジ山部が、ネジ溝と噛み合うとともに、頭部が、レンズの内周面側に位置する状態で、取付け部材がレンズとカバーとを固定する。
【0008】
ここでは、カバーに設けられた凹部にネジ溝が形成されている。取り付け部材はレンズに対してネジ止めされず、カバーに対してネジ止めされる。したがって、本発明の構成では、レンズとカバーとを固定する際にレンズが破損する恐れがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態による自動二輪車の全体構成を示す左側面図である。
【図2】自動二輪車の正面図である。
【図3】自動二輪車の正面図の部分拡大図である。
【図4】ヘッドライトを構成する部材を示す斜視観図である。
【図5】ヘッドライトを構成する部材をそれぞれ後方から見た斜視図である。
【図6】カバーとレンズとを固定する構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る自動二輪車1について説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその部材についての説明は繰り返さない。
〈全体構成〉
【0011】
図1は、本発明に係る自動二輪車1の全体左側面図を示す。なお、以下の説明において前後左右と方向を示す場合、自動二輪車1のシート23に着座した乗員から見た前後左右の方向を意味するものとする。以下、図1中矢印Fは、自動二輪車1の前方向を、矢印Uは、自動二輪車1の上方向を示す。
【0012】
自動二輪車1は、車両本体2、自動二輪車1の前部に設けられた前輪3および自動二輪車1の後部に設けられた後輪4を備えている。
【0013】
車両本体2は、主に、車体フレーム21、車体カバー5、ヘッドライト6、ハンドル22、シート23およびパワーユニット24を備えている。
【0014】
車体フレーム21は、パワーユニット24およびシート23などを支持する。パワーユニット24は、エンジンおよびミッション装置等を含んでいる。図1では車体フレーム21は破線で示されている。
【0015】
車体フレーム21は、ヘッドパイプ211を有している。ヘッドパイプ211には、ステアリングシャフトが回転自在に挿入されている。ステアリングシャフトの上端には、ハンドル22が取り付けられている。ステアリングシャフトの下端にブラケットが取り付けられている。ブラケットの左右両端にはブラケットを介してフロントフォーク212が取り付けられている。フロントフォーク212の下端には、前輪3が回転自在に取り付けられている。車体フレーム21は、鉄鋼などの剛性の高い金属によって形成されている。
【0016】
車体フレーム21は、車体カバー5によって覆われている。車体カバー5は、樹脂製である。車体カバー5の下方にはフットボード51が配置されている。車体カバー5は、フロントカバー52、第1サイドカバー53、ハンドルカバー54、フロントフェンダー55、リアフェンダー56および第2サイドカバー57を有している。
【0017】
フットボード51は、シート23の下方に設けられる。フットボード51は、前後方向に延びている。
【0018】
フロントカバー52は、シート23の前方に位置している。フロントカバー52は、ヘッドパイプ211を覆っている。フロントカバー52には、ヘッドライト6が取り付けられている。
【0019】
ヘッドライト6は、自動二輪車1の前方を照らす。ヘッドライト6は、前輪3の上方に配置されている。
【0020】
第1サイドカバー53は、自動二輪車1の側部を覆う。第1サイドカバー53は、自動二輪車1の前部に配置されている。第1サイドカバー53は、ヘッドライト6の下方に配置されている。第1サイドカバー53の前部は、フロントカバー52に接続されている。
【0021】
ハンドルカバー54は、ハンドル22の一部を覆う。ハンドルカバー54は、フロントカバー52の上方に設けられている。
【0022】
フロントフェンダー55は、前輪3の上方に配置されている。フロントフェンダー55は、フロントカバー52の下方に配置されている。フロントフェンダー55は、フロントカバー52よりも前方に突出するように設けられている。リアフェンダー56は、後輪4の上方に配置されている。
【0023】
第2サイドカバー57は、シート23の下方に設けられている。第2サイドカバー57は、後輪4の上方に位置している。第2サイドカバー57は、車体フレーム21の後部の左右両側を覆っている。第2サイドカバー57は、シート23の下方から後方に延びている。
【0024】
ハンドル22は、シート23に着座した乗員の前方に配置されている。ハンドル22は、左右方向に延びる。ハンドル22の両端には、乗員が握持可能なグリップが配置されている。
【0025】
シート23は、パワーユニット24の上方に配置されている。シート23の下方には、ヘルメット等を収納可能な収納スペースが設けられている。
【0026】
パワーユニット24は、後輪4の近傍に配置されている。パワーユニット24が備えるCVTケース241が車体カバー5から露出している。
【0027】
図2は、自動二輪車1を正面から見た図である。図2中の矢印Uは上方向を、矢印Rは乗者にとっての右方向を示す。
【0028】
前輪3の左右両側には、フロントフォーク212が配置されている。フロントフォーク212は、前輪3の上方でフロントフェンダー55を支持している。フロントフォーク212の左右両側には、それぞれ第1サイドカバー53が配置されている。
【0029】
第1サイドカバー53は、方向指示灯531を支持している。方向指示灯531は、第1サイドカバー53の上部に配置されている。方向指示灯531は、第1サイドカバー53から車幅方向外側に向かって突出している。第1サイドカバー53の上方には、フロントカバー52が配置されている。
【0030】
フロントカバー52の車幅方向中央には、ヘッドライト6が設けられている。フロントカバー52の上方には、ハンドルカバー54およびハンドル22が配置されている。ハンドルカバー54には、ミラー541が取り付けられている。
〈フロントカバーおよびヘッドライトの構成〉
【0031】
図3は、図2の部分拡大図である。図3は、正面視におけるフロントカバー52およびヘッドライト6を主に示している。図3中の矢印Uは上方を示し、矢印Rは乗者にとっての右方を示す。
【0032】
ヘッドライト6は、第1サイドカバー53の上方に配置されている。ヘッドライト6は外周をフロントカバー52によって覆われている。
【0033】
ヘッドライト6は、4つのバルブ61、62、63および64と、レンズ65とを主に有している。レンズ65は、4つのバルブ61、62、63および64の前方に配置されている。なお、4つのバルブ61、62、63および64等は、レンズ65によって覆われているため、図3では破線で示している。
【0034】
第1バルブ61は、車幅方向の略中央に配置されている。第1バルブ61の前方には集光レンズ67が配置されている。集光レンズ67はガラス製である。第1バルブ61から照射される光は、ロービームとして用いられる。
【0035】
第2バルブ62は、車幅方向の略中央に配置されている。第2バルブ62は、第1バルブ61の上方に配置されている。第2バルブ62の後方側の周囲には、リフレクタ66が配置されている。第2バルブ62から照射される光は、ハイビームとして用いられる。第2バルブ62は、第1バルブ61と同じ大きさである。
【0036】
第3バルブ63は、自動二輪車1の中央よりも左側に配置されている。第3バルブ63は、ポジションライトとして用いられる。第3バルブ63は、高さ方向において第1バルブ61と第2バルブ62の間に配置されている。第3バルブ63は、第1バルブ61よりも小さい。
【0037】
第4バルブ64は、自動二輪車1の中央よりも右側に配置されている。第4バルブ64は、ポジションライトとして用いられる。第4バルブ64は、高さ方向において、第1バルブ61と第2バルブ62の間に配置されている。第4バルブ64は、第3バルブ63と同じ大きさであり、第1バルブ61よりも小さい。
【0038】
レンズ65は、4つのバルブ61、62、63および64を前方側から覆う。レンズ65は、透明の樹脂によって形成されている。レンズ65は、4つのバルブ61、62、63および64が発する光を透過させる。レンズ65は、第1バルブ61および第2バルブ62を覆うフロントレンズ651と、第3バルブ63を覆う第1サイドレンズ652と、第4バルブ64を覆う第2サイドレンズ653とを有している。
【0039】
フロントレンズ651は、自動二輪車1の車幅方向略中央に配置されている。フロントレンズ651は、上方から下方に向かって徐々に幅が狭くなっている。
【0040】
第1サイドレンズ652は、フロントレンズ651に接続されている。第1サイドレンズ652によって前方を覆われた空間Aは、フロントレンズ651によって前方を覆われた空間Bと連続している。空間Aには、第3バルブ63が配置されている。空間Bには、第1バルブ61および第2バルブ62が配置されている。第1サイドレンズ652は、上方から下方に向かって左から右に斜め方向に配置されている。
【0041】
第2サイドレンズ653は、フロントレンズ651に接続されている。第2サイドレンズ653によって前方を覆われた空間Cは、空間Bと連続している。空間Cには、第4バルブ64が配置されている。第2サイドレンズ653は、上方から下方に向かって右から左に斜め方向に配置されている。
【0042】
フロントカバー52は、樹脂によって形成されている。フロントカバー52は、カウル521、第1ヘッドライトカバー522、第2ヘッドライトカバー523および上部カバー524を有している。フロントカバー52は、透明以外の色に着色されている。フロントカバー52は、レンズ65よりも透光性が低い。第1ヘッドライトカバー522および第2ヘッドライトカバー523と、上部カバー524とは異なる色に着色されている。
【0043】
カウル521は、レンズ65を支持する。カウル521は、レンズ65を囲むように配置されている。カウル521は、第1サイドカバー53に接続されている。カウル521の左右の側面には、それぞれ1対の突出部521aが設けられている。1対の突出部521aは、車幅方向外側に向かって突出する。
【0044】
第1ヘッドライトカバー522は、後部がカウル521に支持されている。第1ヘッドライトカバー522は、レンズ65の一部を覆っている。第1ヘッドライトカバー522は、外部に露出する外面522fを有している。第1ヘッドライトカバー522は車幅方向中央よりも左側に位置している。第1ヘッドライトカバー522は、第1延設部522aを有している。第1延設部522aは、車幅方向において第2バルブ62と第3バルブ63との間に位置している。第1延設部522aの前端は、下方に向かうにつれて徐々に車幅方向の幅が狭くなっている。
【0045】
第2ヘッドライトカバー523は、後部がカウル521に支持されている。第2ヘッドライトカバー523は、レンズ65の一部を覆っている。第2ヘッドライトカバー523は外部に露出する外面523fを有している。第2ヘッドライト523は車幅方向中央よりも右側に位置している。第2ヘッドライトカバー523は、第2延設部523aを有している。第2延設部523aは、車幅方向において第2バルブ62と第4バルブ64との間に位置している。第2延設部523aの前端は、下方に向かうにつれて徐々に車幅方向の幅が狭くなっている。
【0046】
上部カバー524は、レンズ65の上部を覆っている。上部カバー524は、車幅方向において第1ヘッドライトカバー522と第2ヘッドライトカバー523との間に配置されている。
【0047】
図4は、ヘッドライト6、カウル521、第1ヘッドライトカバー522および第2ヘッドライトカバー523をそれぞれ分離した状態を示す。図4中の矢印Uは上方を、矢印Rは乗者にとっての右方を、矢印Fは前方を示す。
【0048】
ヘッドライト6は、レンズ65を支持する基板68を有している。
【0049】
基板68は、レンズ65を後方から支持している。基板68は、上部カバー524を取り付けるための板状部681を有している。板状部681には、上部カバー取り付け孔681aが設けられている。
【0050】
レンズ65には、第1窪み654が形成されている。第1窪み654は、後方に向かって窪んでいる。第1窪み654は、車幅方向においてフロントレンズ651と第1サイドレンズ652との間に設けられている。第1窪み654には、第1ヘッドライトカバー522の第1延設部522aの前端部が配置可能である。レンズ65には、第2窪み655が形成されている。第2窪み655は、後方に向かって窪んでいる。第2窪み655は、車幅方向におけるフロントレンズ651と第2サイドレンズ653との間に設けられている。第2窪み655は、第2ヘッドライトカバー523の第2延設部523aの前端部が配置可能である。第1窪み654および第2窪み655は、正面視においてそれぞれ略三角形状である。第1窪み654には、第1貫通孔654aが設けられている。第2窪み655にも、第1貫通孔654aと同様の貫通孔が設けられている。
【0051】
カウル521には、開口521bが設けられている。開口521bには、ヘッドライト6が配置可能である。カウル521は、下部支持部521c、第1サイド支持部521dおよび第2サイド支持部521eを有している。下部支持部521cは、レンズ65の下部を支持する。第1サイド支持部521dは、第1サイドレンズ652の左面を支持する。第2サイド支持部521eは、第2サイドレンズ653の右面を支持する。上部支持部521fには、上部カバー524を取り付ける際に、ネジの前端が通過可能な2つの孔521gが設けられている。上部支持部521fの左部には、第1取り付け孔521rが設けられている。上部支持部521fの右部には、第2取り付け孔521sが設けられている。
【0052】
第2ヘッドライトカバー523の第2延設部523aの背面には第1凹部523bが設けられている。第1凹部523bは後方から前方に向かって窪んでいる。第1凹部523bの内周側には、ネジ溝が形成されている。
【0053】
図5は、図4の各部材を後方から見た状態を示す。図5において矢印Uは上方を、矢印Fは前方を、矢印Lは乗者にとっての左方を示す。
【0054】
基板68には、8つの取り付け部682が設けられている。取り付け部682は、基板68とカウル521とをネジによって固定するためのものである。取り付け部682は、板状の部分である。取り付け部682には、第2貫通孔682aが設けられている。基板68には、第1ヘッドライトカバー522を取り付けるためのネジ挿入孔683が設けられている。なお、図5では、第1ヘッドライトカバー522を取り付けるためのネジ挿入孔683のみが表われているが、基板68には第2ヘッドライトカバー523を取り付けるためのネジ挿入孔も設けられている。ネジ挿入孔683は、車幅方向において、第2バルブ62が取り付けられる位置と第3バルブ63が取り付けられる位置の間に設けられている。第2ヘッドライトカバー523を取り付けるためのネジ挿入孔は、図5には表われていないが、車幅方向において、第2バルブ62が取り付けられる位置と第4バルブ64が取り付けられる位置との間に設けられている。
【0055】
第1ヘッドライトカバー522は、レンズ65と対向する内面522gを有している。内面522gには、第2凹部522bと第3凹部522cとが形成されている。第2凹部522bおよび第3凹部522cの内周側には、ネジ溝が形成されている。第2凹部522bは第3凹部522cよりも下方に位置している。第3凹部522cは、カウル521に設けられた第1取り付け孔521rに対応する位置に配置されている。
【0056】
第2ヘッドライトカバー523は、レンズ65と対向する内面523gを有している。内面523gには、第4凹部523cが形成されている。第4凹部523cの内周側には、ネジ溝が形成されている。第4凹部523cは、カウル521に設けられた第2取り付け孔521sに対応する位置に配置されている。
【0057】
カウル521は、後方に面する背面521tを有している。カウル521の背面521tには、取り付け部682に設けられた第2貫通孔682aと対向する取り付け凹部521hが設けられている。取り付け凹部521hには、ネジ溝が形成されている。カウル521と基板68とを固定する際には、ネジが取り付け部682の第2貫通孔682aを貫通してカウル521の凹部521hにネジ止めが行われる。
【0058】
図6は、図3におけるX−X断面を示す。図6は、第1ヘッドライトカバー522、基板68およびレンズ65を固定する構造を模式的に示した断面図である。図6において矢印Fは前方を示し、矢印Uは上方を示す。
【0059】
第1ヘッドライトカバー522、基板68およびレンズ65を固定する構造では、第1ヘッドライトカバー522の第2凹部522b、レンズ65の第1貫通孔654aおよび基板68の通過孔683が同軸上に配置されている。ネジ7の前端は、通過孔683および第1貫通孔654aを貫通して第2凹部522bに嵌り込んでいる。ネジ7によって第1ヘッドライトカバー522、レンズ65および基板68が固定されている。
【0060】
ネジ7は、第1ヘッドライトカバー522、レンズ65および基板68を固定する。ネジ7は、ネジ山部71と、円筒部72と、頭部73と、を有している。
【0061】
ネジ山部71は、周囲にネジ山71aが設けられている。ネジ山部71は、ネジ7の前部に位置している。ネジ山部71は、第1ヘッドライトカバー522の第2凹部522bに形成されたネジ溝522dと噛み合っている。
【0062】
円筒部72は、ネジ山部71の後方に位置している。円筒部72の断面は、レンズ65の第1貫通孔654aおよび基板68の通過孔683の径よりも小さな直径の円形状である。円筒部72は、第1貫通孔654aおよび通過孔683を内面により位置決めされている。
【0063】
頭部73は、円筒部72の後部に位置している。頭部73は、基板68の背面と対向する対向面73aを有している。対向面73aは、基板68の通過孔683よりも直径の大きな円形状である。レンズ65は、後方に面する内周面65aと、外部に露出する外周面65bとを有している。頭部73は、レンズ65の内周面65aに対向している。
【0064】
レンズ65と基板68との間には、シール部材74が配置されている。シール部材74は、レンズ65の第1貫通孔654aを囲んでいる。シール部材74は、ネジ7の円筒部72を囲んでいる。シール部材74は、第1貫通孔654aおよび通過孔683から空間Aに雨水等が進入するのを防止する。
【0065】
上述のように、図6を用いて第1ヘッドライトカバー522、レンズ65および基板68を固定する構造について説明したが、第2ヘッドライトカバー523、レンズ65および基板68を固定する構造も同様の構造である。
〈本実施形態の特徴〉
【0066】
以下に本実施形態の特徴を説明する。
【0067】
上記の実施形態では、第1ヘッドライトカバー522に設けられた第2凹部522bの内周側にネジ溝522dが形成されている。そして、基板68、レンズ65および第1ヘッドライトカバー522を固定する際に、ネジ7のネジ山部71は、第2凹部522bのネジ溝522dと噛み合う。このため、上記の構成では、レンズ65にネジ溝を形成する必要が無く、レンズ65に対してネジ止めを行うことがない。このため、基板68、レンズ65および第1ヘッドライトカバー522を固定する際に、レンズ65が破損する恐れがない。第2ヘッドライトカバー523についても、第1ヘッドライトカバー522と同様の構成であるため、レンズ65を破損する恐れがない。
【0068】
また、ネジ7の頭部73は、第1ヘッドライトカバー522の後方に位置しており、ネジ7のネジ山部71は、第2凹部522bと噛み合っているため、正面からネジ7の頭部73を視認されることがない。したがって、ネジ7の頭部73が正面から見える構成と比べて、美観性が高くなる。
【0069】
上記の実施形態では、レンズ65と、第1ヘッドライトカバー522および第2ヘッドライトカバー523とがそれぞれ別の部材であるため、これらの部材が一体として形成した場合に比べて塗装が行いやすい。
【0070】
基板68とレンズ65との間には、シール部材74が配置されているため、空間A又は空間Cに水や埃等が進入するのを防止できる。
【0071】
上記の実施形態では、第1ヘッドライト522の第1延設部522aは前方に向かって徐々に車幅方向の幅が狭くなっており、第2凹部522bが第1延設部522aの前端の背面に設けられている。このため、第1延設部522aの前端とレンズ65との間に隙間が形成されることや、第1ヘッドライトカバー522の前端がレンズ65から離れることを防止できる。なお、第2ヘッドライトカバー523の第2延設部523aについても同様である。
【0072】
[他の実施形態]
上記の実施形態では、自動二輪車について説明したが、本発明はこれに限らず、3又は4輪の鞍乗型車両等であっても適用できる。
【0073】
上記の実施形態では、ネジ7の頭部73が後方に面している場合について説明したが、本発明はこれに限られず、ネジ7の頭部73が前方に面していてもよい。ただし、美観性の観点からは、上記の実施形態のように頭部73が後方に面している方が好ましい。
【0074】
上記の実施形態では、第1ヘッドライトカバー522の第1延設部522a及び第2ヘッドライトカバー523の第2延設部523a、レンズ65及び基板68を固定する構成を説明したが、本発明はこれに限らず、フロントカバー52、レンズ65及び基板68を固定する必要があれば、どの箇所であっても適用可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 自動二輪車(鞍乗型車両)
7 ネジ(取り付け部材)
61 第1バルブ(発光体)
62 第2バルブ(発光体)
63 第3バルブ(第1ライト)
64 第4バルブ(第2ライト)
65 レンズ
65a 内周面
65b 外周面
68 基板(支持部材)
71 ネジ山部
72 円筒部(位置決め部)
73 頭部
74 シール部材
521 カウル
522 第1ヘッドライトカバー(第1カバー)
522a 第1延設部
522b 第2凹部
522d ネジ溝
523 第2ヘッドライトカバー(第2カバー)
523a 第2延設部
523b 第1凹部
654a 第1貫通孔
683 通過孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドライト用発光体と、
前記発光体の前方に配置され、前記発光体が発する光を透過させる樹脂材料で形成されたレンズと、
前記レンズの一部を覆うカバーと、
前記レンズと前記カバーとを固定する取付け部材と、
を備え、
前記レンズには、前記カバーによって覆われる部分に貫通孔が設けられ、
前記カバーには、前記貫通孔と対向する位置に凹部が設けられ、
前記カバーは、前記レンズと対向する内面と、外部に露出する外面とを有し、
前記凹部は、前記カバーの前記内面から前記外面に向かって前記貫通孔と同軸上に窪んでおり、
前記凹部には、ネジ溝が形成されており、
前記取付け部材は、ネジ山部と、頭部とを有し、
前記レンズは、前記発光体を収容する空間の内周面を有し、
前記ネジ山部が、前記ネジ溝と噛み合うとともに、前記頭部が、前記レンズの内周面側に位置する状態で、前記取付け部材が前記レンズと前記カバーとを固定する、
鞍乗型車両。
【請求項2】
請求項1に記載の鞍乗型車両であって、
前記発光体および前記レンズを支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材は、一部が前記レンズの内周面と前記頭部とに挟まれており、
前記頭部は、前記支持部材を介して前記レンズを支持する、
鞍乗型車両。
【請求項3】
請求項2に記載の鞍乗型車両であって、
前記貫通孔の内径は、前記取付け部材の前記ネジ山部の外形よりも大きい、
鞍乗型車両。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の鞍乗型車両であって、
前記支持部材と前記レンズとの間に配置され、前記貫通孔を囲むシール部材をさらに備えた、
鞍乗型車両。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載の鞍乗型車両であって、
前記支持部材は、前記貫通孔に対向して設けられた通過孔を有しており、
前記通過孔の直径は、前記取付け部材の前記ネジ山部の直径よりも大きく、
前記取付け部材は、前記ネジ山部と前記頭部との間に位置決め部を有しており、
前記位置決め部は、前記貫通孔の内面および前記通過孔の内面に位置決めされる、
鞍乗型車両。
【請求項6】
請求項5に記載の鞍乗型車両であって、
前記位置決め部は、円筒部を有している、
鞍乗型車両。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の鞍乗型車両であって、
車体の幅方向において、前記ヘッドライトを挟んで配置される第1ライトと第2ライトとをさらに備え、
前記カバーは、第1カバーと、第2カバーとを含み、
前記第1カバーは、前記車体の幅方向において、前記ヘッドライトと前記第1ライトとの間に位置する第1延設部を有しており、
前記第1延設部の前記内面に、前記凹部が形成されており、
前記第2カバーは、前記車体の幅方向において、前記ヘッドライトと前記第2ライトとの間に位置する第2延設部を有しており、
前記第2延設部の前記内面に、前記凹部が形成されている、
鞍乗型車両。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の鞍乗型車両であって、
前記カバーは、前記レンズの外周を覆うカウルと別体であり、前記カウルに取り付けられている、
鞍乗型車両。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の鞍乗型車両であって、
前記頭部は、前記ネジ山部の軸方向から見たとき円板状の部分を有し、
前記円板状の部分の直径は、前記貫通孔の直径よりも大きい、
鞍乗型車両。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の鞍乗型車両であって、
前記カバーは、前記レンズよりも透光性の低い樹脂材料で形成されている、
鞍乗型車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−112296(P2013−112296A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262721(P2011−262721)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)