説明

鞍乗型車両

【課題】自動二輪車の前部の側方に配置されたサイドカバーに方向指示灯を配置することで、他の自動二輪車等から方向指示灯を視認しやすくするとともに、他の自動二輪車等とすれ違う際に、方向指示灯が他の自動二輪車等に接触しにくい構成を備えた自動二輪車を提供することにある。
【解決手段】サイドカバー53は、車体フレームの前部の車幅方向外側を覆い、前部がフロントカバー52に接続される第1サイドカバーと、車幅方向外側から見て第1サイドカバーと隣接して配置される第2サイドカバーとを含んでいる。第1サイドカバーの車幅方向外側に面する第1側面よりも、第2サイドカバーの車幅方向外側に面する支持面は、車幅方向内側に位置している。支持面には、開口が形成されている。方向指示灯59は、開口から一部が車幅方向外側に突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関し、さらに詳しくは、前部にサイドカバーが設けられた鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗型車両の一種である自動二輪車が知られている。自動二輪車には、サイドカバーが設けられたものがある。サイドカバーは、フットボードの上方に位置する空間を覆っている。サイドカバーは、フットボードの上方に位置する空間の車幅方向外側に位置している。
【0003】
特許文献1に記載の自動二輪車では、乗員が着座可能なシートの前方にフロントカバーが配置されている。フロントカバーにはサイドカバーが接続されている。
【0004】
自動二輪車においては、前部に方向指示灯が配置される。他の自動二輪車又は車等から視認しやすい位置に方向指示灯が配置される。他の自動二輪車等から方向指示灯を視認しやすくするため、方向指示灯をサイドカバーから車幅方向の外方に向かって突出させて配置することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63−077885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前部にサイドカバーが配置されている自動二輪車において、サイドカバーに方向指示灯を配置した場合には、車幅が大きくなるために、自動二輪車と他の自動二輪車等とがすれ違う際に、他の自動二輪車との間の距離を大きくする必要がある。
さらに、上記の自動二輪車を駐車する際には大きなスペースが必要となる。
【0007】
本発明の課題は、自動二輪車の前部の側方に配置されたサイドカバーに方向指示灯を配置することで、他の自動二輪車等から方向指示灯を視認しやすくするとともに、車幅が小さい自動二輪車を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
本発明に係る鞍乗型車両は、車体フレームと、車体カバーと、方向指示灯とを備えている。車体フレームは、ヘッドパイプと、ヘッドパイプから後方に向かって斜め下方に延びる前部フレームとを有する。車体カバーは、車体フレームを覆っている。方向指示灯は、車体カバーの前部に設けられている。車体カバーは、フロントカバーと、サイドカバーとを有している。フロントカバーは、ヘッドパイプの前方を覆っている。サイドカバーは、車体フレームの前部の車幅方向外側を覆い、前部がフロントカバーに接続される第1サイドカバーと、車幅方向外側から見て第1サイドカバーと隣接して配置される第2サイドカバーとを含んでいる。第1サイドカバーの車幅方向外側に面する第1側面よりも、第2サイドカバーの車幅方向外側に面する第2側面は、車幅方向内側に位置している。第2側面には、開口が形成されている。方向指示灯は、開口から一部が車幅方向外側に突出している。
【0009】
方向指示灯は、サイドカバーの第1側面よりも車幅方向における内側に位置している第2側面から車幅方向外側に突出している。このため、サイドカバーが1つの側面のみを有している場合に比べて、車幅を小さくすることができる。さらに、サイドカバーから車幅方向外側に向かって方向指示灯が突出しているため、他の自動二輪車等から方向指示灯を視認しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態による自動二輪車の全体構成を示す左側面図である。
【図2】自動二輪車の正面図である。
【図3】左側の前サイドカバーを示す部品図である。
【図4】左側の前サイドカバーの構成部材をそれぞれ示す部分拡大図である。
【図5】図5の状態の前サイドカバーを背面側から見た状態を示す部分拡大図である。
【図6】左側の前サイドカバーの背面の一部を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る自動二輪車1について説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその部材についての説明は繰り返さない。
【0012】
〈全体構成〉
図1に本発明に係る自動二輪車1の全体左側面図を示す。なお、以下の説明において前後左右と方向を示す場合、自動二輪車1のシート23に着座した乗員から見た前後左右の方向を意味するものとする。以下、図1中矢印Fは、自動二輪車1の前方向を、矢印Uは、自動二輪車1の上方向を示す。
【0013】
自動二輪車1は、車両本体2、自動二輪車1の前部に設けられた前輪3及び自動二輪車1の後部に設けられた後輪4を備えている。
【0014】
車両本体2は、主に、車体フレーム21、車体カバー5、ヘッドライト6、ハンドル22、シート23およびパワーユニット24を備えている。
【0015】
車体フレーム21は、前部フレーム21aと、後部フレーム21bとを有する。前部フレーム21aは、自動二輪車1の前部に配置されている。後部フレーム21bは、前部フレーム21aの後方に位置している。車体フレーム21は、パワーユニット24およびシート23などを支持する。パワーユニット24は、エンジンおよびミッション装置等を含んでいる。図1では、車体フレーム21は破線で示されている。
【0016】
車体フレーム21は、ヘッドパイプ211を有している。ヘッドパイプ211には、前部フレーム21aの前端が取り付けられている。前部フレーム21aは、ヘッドパイプ211から後方に向かって斜め下方に延びている。ヘッドパイプ211にはステアリングシャフトが回転自在に挿入されている。ステアリングシャフトの上端にはハンドル22が取り付けられている。ステアリングシャフトの下端にブラケットが取り付けられている。ブラケットの左右両端にはブラケットを介してフロントフォーク212が取り付けられている。フロントフォーク212の下端には、前輪3が回転自在に取り付けられている。車体フレーム21は、鉄鋼などの剛性の高い金属によって形成されている。
【0017】
車体フレーム21は、車体カバー5によって覆われている。車体カバー5は樹脂製である。車体カバー5の下方には、フットボード51が配置されている。車体カバー5は、フロントカバー52、後部カバー57、サイドカバー53、ハンドルカバー54、フロントフェンダー55及びリアフェンダー56を有している。
【0018】
フットボード51は、シート23の下方に設けられる。フットボード51は、前後方向に延びている。フットボード51には、センタースタンド511が取り付けられている。
【0019】
フロントカバー52は、シート23の前方に位置している。フロントカバー52は、ヘッドパイプ211を前方から覆っている。フロントカバー52には、ヘッドライト6が配置されている。
【0020】
後部カバー57は、フロントカバー52の後ろ面に取り付けられている。後部カバー57はシート23に対向して配置されている。後部カバー57はヘッドパイプ211を後方から覆っている。
【0021】
ヘッドライト6は、自動二輪車1の前方を照らす。ヘッドライト6は、前輪3の上方に配置されている。
【0022】
サイドカバー53は、車体フレーム21の側部を覆う。サイドカバー53は、自動二輪車1の前部に設けられている。サイドカバー53の一部は、フロントカバー52よりも下方に配置されている。サイドカバー53の前部は、フロントカバー52に接続される。サイドカバー53の後部は、後部カバー57に接続される。サイドカバー53は方向指示灯59を支持している。
【0023】
ハンドルカバー54は、ハンドル22の一部を覆う。ハンドルカバー54は、フロントカバー52の上方に設けられている。
【0024】
フロントフェンダー55は、前輪3の上方に配置されている。フロントフェンダー55は、フロントカバー52の下方に配置されている。フロントフェンダー55は、フロントカバー52よりも前方に突出するように設けられている。リアフェンダー56は、後輪4の上方に配置されている。
【0025】
ハンドル22は、フロントカバー52の上方に配置されている。ハンドル22は、左右方向に延びる。ハンドル22の両端には乗員が握持可能なグリップが配置されている。
【0026】
シート23は、パワーユニット24の上方に配置されている。シート23の下方には、ヘルメット等を収納可能な収納スペースが設けられている。
【0027】
パワーユニット24は、後輪4の近傍に配置されている。パワーユニット24が備えるCVTケース241が車体カバー5から露出している。
【0028】
図2は、自動二輪車1の正面図である。図2中の矢印Uは上方を、矢印Rはシート23に着座した乗員から見た右方を示す。
【0029】
前輪3の上方でフロントフェンダー55がフロントフォーク212に支持されている。右側のフロントフォーク212の右側には右側のサイドカバー53が配置されている。左側のフロントフォーク212の左側には左側のサイドカバー53が配置されている。
【0030】
サイドカバー53の前部は、フロントカバー52の下部に接続されている。サイドカバー53の下端は、フロントフォーク212の下端よりも下方まで延びている。サイドカバー53は、方向指示灯59を支持している。
【0031】
方向指示灯59は、サイドカバー53から車幅方向の外側に向かって突出している。方向指示灯59の車幅方向の最外点Aは、サイドカバー53の車幅方向の最外点Bよりも距離Xだけ車幅方向の外側に位置している。サイドカバーのうち方向指示灯59を覆っている部分の車幅方向における最外点Cは、サイドカバー53の車幅方向の最外点Bよりも距離Yだけ車幅方向内側に位置している。
【0032】
フロントカバー52は、ヘッドライト6を支持している。フロントカバー52の上方には、ハンドルカバー54と、ハンドル22が配置されている。ハンドルカバー54には、ミラー541が取り付けられている。
【0033】
〈サイドカバーの構成〉
以下にサイドカバー53の構成について詳細に説明する。
【0034】
図3は、フロントフォーク212の左側に配置されたサイドカバー53の全体を示す部品全体図である。図3中の矢印Gは、サイドカバー53の長手方向を示す。図3中の矢印Gは、サイドカバー53を自動二輪車1に取り付けた際には前方斜め上方に相当する方向を示す。図3の矢印Gは、サイドカバー53を自動二輪車1に取り付けた際には図1に示す矢印Gの方向に相当する方向を示す。図3中の矢印Eは、サイドカバー53の第1面531aに直交する方向を示す。図矢印Eは、サイドカバー53が自動二輪車1に取り付けられた際には、車幅方向の外方に相当する方向を示す。
【0035】
右側のフロントフォーク212の右側に配置されたサイドカバー53は、左側のフロントフォーク212の左側に配置されたサイドカバー53と左右対称で同様の構成であるため、左側のフロントフォーク212の左側に配置されたサイドカバー53についてのみ詳細に説明する。
【0036】
サイドカバー53は、第1サイドカバー531及び第2サイドカバー532を有している。第2サイドカバー532は、サイドカバー53が自動二輪車に取り付けられた状態では、車幅方向外側からから見て第1サイドカバー531に隣接している。
【0037】
第1サイドカバー531は、第1面531a及び第2面531bを有している。第1面531aには、第1段差531cが形成されている。第2面531bは矢印Gの方向に延びている。
【0038】
第2サイドカバー532は、第1サイドカバー531の第2面531bに接続されている。第2サイドカバー532には、方向指示灯59が装着される。第2サイドカバー532は、第1サイドカバー531の第2面531bから突出している。第2サイドカバー532は、第2面531bに対して略直交する方向に突出している。第2サイドカバー532は、サイドカバー53が自動二輪車1に装着された状態では、上方に突出する。第2サイドカバー532は、第2面531bの矢印G方向に関して前端部に配置されている。第2サイドカバー532は、支持面532aを有している。支持面532aは、方向指示灯59を支持している。矢印Eの方向(車体中心から車幅方向で左側に向かう方向)において、第2サイドカバー532の第2サイドカバー532が設けられている部分の幅C(図3参照)は、第2面531bの幅D(図3参照)よりも小さい。
【0039】
方向指示灯59は、支持面532aから突出している。方向指示灯59は、矢印Eの方向に向かって突出している。方向指示灯59は、サイドカバー53を自動二輪車1に装着した状態において、車幅方向外側から見て略三角形状である。方向指示灯59は、第1サイドカバー531の第1面531aよりも矢印Eの方向に突出している。つまり、方向指示灯59は、サイドカバー53を自動二輪車1に装着した状態において、第1面531aよりも車幅方向外側に突出している。方向指示灯59は、自動二輪車1に取り付けられた状態において、一部が第1サイドカバー531よりも上側に位置している。
【0040】
以下に、第2サイドカバー532及び第1サイドカバー531の構成について詳細に説明する。
【0041】
図4は、第2サイドカバー532及び第1サイドカバー531の各部材を示す組立図である。図4中の矢印Jはサイドカバー53の第1面531aに直交する方向であって、第1サイドカバー531に第2サイドカバー532及び方向指示灯59を取り付ける際にネジ591u、591zが第1サイドカバー531に挿入される方向を示す。矢印Jは、サイドカバー53を自動二輪車1に装着した状態では車幅方向外方に相当する方向を示す。図4中の矢印Kは、第2サイドカバー532に方向指示灯59を取り付ける際にネジ591wが第2サイドカバー532に挿入される方向を示す。矢印Kは、サイドカバー53が自動二輪車1に装着された状態では、略下方向に相当する方向を示す。
【0042】
第1サイドカバー531の第2面531bには、装着部531dが設けられている。装着部531dは、車幅方向の端部が矢印Jの方向に窪んで形成された部分である。装着部531dには、第2サイドカバー532の一部が配置される。
【0043】
第2サイドカバー532は、支持面532aに三角形状の開口532bを有している。第2サイドカバー532は、第1板状支持部532c、第2板状支持部532d及び取り付け部532eを有している。
【0044】
第1板状支持部532c、第2板状支持部532d及び取り付け部532eによって開口532bは囲まれている。第1板状支持部532cは、第1サイドカバー531の第2面531bに対して略直交する方向に延びている。第1板状支持部532cは、第1端部532v及び第2端部532wを有している。第1端部532vは、取り付け部532eに接続されている。第2端部532wは、第2板状支持部532dに接続されている。
【0045】
第2板状支持部532dは、第3端部532x及び第4端部532yを有している。第3端部532xは取り付け部532eに接続されている。第4端部532yは第1板状支持部532cに接続されている。
【0046】
取り付け部532eは、第1サイドカバー531に取り付けられる。取り付け部532eは、第5端部532u及び第6端部532zを有している。第5端部532uには、第1貫通孔532fが形成されている。第1サイドカバー531に第2サイドカバー532を取り付ける際には、第1貫通孔532fに第1取り付けネジ591zが挿入される。第6端部532zには、第2貫通孔532gが形成されている。取り付け部532eと第2板状支持部532dとの接続部分には、第2段差532hが設けられている。取り付け部532eは、矢印J方向に向かって突出する突出板532jを有している。突出板532jは開口532bの縁に沿って設けられている。突出板532jの端部は、第2段差532hに隣接している。第2サイドカバー532を第1サイドカバー531に取り付ける際には、突出板532jは、第1サイドカバー531の第2面531bの背面に接触する。
【0047】
方向指示灯59は、支持基板591及びレンズ592を備えている。方向指示灯59は、第2取り付けネジ591wによって第2サイドカバー532に取り付けられる。方向指示灯59は、第3取り付けネジ591uによって第2サイドカバー531及び第2サイドカバー532に取り付けられる。
【0048】
支持基板591は、レンズ592を背面側から支持している。支持基板591は、略三角形の板状部材である。支持基板591は、第1被支持部591a、第2被支持部591b及び取り付け板591cを有している。
【0049】
第1被支持部591aは、支持基板591の頂点の1つに配置されている。第1被支持部591aは、円柱状の部分である。第1被支持部591aは、第2支持部591bから第1支持部591aに向かう方向に延びている。
【0050】
第2被支持部591bは、支持基板591の頂点の1つに配置されている。第2被支持部591bは、凹部591yを有している。凹部591yは、矢印Kの方向に窪んでいる。凹部591yは、内周側にネジ溝が形成されている。第2サイドカバー532を第1サイドカバー531に取り付ける際には、凹部591yに第2取り付けネジ591wが挿入される。
【0051】
取り付け板591cには、円形の第3貫通孔591dが設けられている。第3貫通孔591dの内周側には弾性部材591eが配置されている。弾性部材591eは、環状の部材である。方向指示灯59を第1サイドカバー531及び第2サイドカバー532に取り付ける際には、第3貫通孔591dに第3取り付けネジ591uが挿入される。
【0052】
図5は、図4の各部材の背面を示す組立図である。図5中の矢印Zは、第1サイドカバー531から取り付け板531c側に向かう方向を示す。矢印Zは、サイドカバー53が自動二輪車1に取り付けられた際に、車幅方向外側から中心側に向かう方向に相当する方向を示す。
【0053】
第1サイドカバー531の背面531hには、第1突起531e及び第2突起531fが形成されている。第1突起531eは、第1面531aの背面531hから突出している。第1突起531eは、矢印Z方向に突出している。第1突起531eには、窪み531gが形成されている。窪み531gの内周側には、ネジ溝が形成されている。第2突起531fは、第1面531aの背面531hから突出している。第2突起531fは、矢印Z方向に突出している。第2突起531fは円筒状の部分である。第2突起531fの内周側にはネジ溝が形成されている。
【0054】
第2サイドカバー532の背面532rには、第1支持部532k及び第2支持部532mが設けられている。
【0055】
第1支持部532kは、第1被支持部591aを支持可能な部分である。第1支持部532kは、第1板532n、第2板532p及び第3板532qを有している。第1板532nは、第2サイドカバー532の背面532rから矢印Zの方向に延びる。第2板532pは、第2サイドカバー532の背面532rに対向して配置されている。第2板532pは、第1板532nの端部に接続されている。第3板532qは、第1板532nと対向して配置されている。第3板532qは、矢印Z方向に延びている。第3板532qは、第2板532pの端部に接続されている。第1板532n、第2板532p、第3板532q及び第2サイドカバー532の背面532rによって空間Sが囲まれている。方向指示灯59を第2サイドカバー532に取り付ける際には、空間Sに第1被支持部591aが挿入される。
【0056】
第2支持部532mは、第2被支持部591bを支持する。第2支持部532mは、接触板532tを有している。接触板532tは、第2被支持部591bに接触する。接触板532tには、切欠き532sが設けられている。切欠き532sは、第2取り付けネジ591wのネジ山が通過可能な幅である。
【0057】
方向指示灯59は、バルブ593をさらに有している。バルブ593は、支持基板591に支持されている。バルブ593の一部は、支持基板591及びレンズ592によって囲まれた空間に配置されている。
【0058】
図6は、第1サイドカバー531に第2サイドカバー532が取り付けられた状態を示す。図6中の矢印Tは、第1サイドカバー531から取り付け板591cに向かう方向を示す。矢印Tは、サイドカバー53が自動二輪車1に装着された際には、車幅方向外側から中心側に向かう方向に相当する方向を示す。
【0059】
第1被支持部591aは、第1支持部532kによって支持されている。ここで、第1被支持部591aは円柱状であるため、中心軸周りに回転可能である。
【0060】
第2取り付けネジ591wは、先端が切欠き532sを通って、第2被支持部591bの凹部591yに挿入されている。第2被支持部591bは、接触板532tに接触している。第2取り付けネジ591wの頭部と第2被支持部591bとによって接触板532tが挟まれている。このため、弱い力で矢印Tの方向に方向指示灯59が押圧された場合であっても、第2被支持部591bは動かない。
【0061】
第3取り付けネジ591uは、取り付け部591cの第3貫通孔591dを貫通して、第2突起531fのネジ溝と噛み合っている。
【0062】
〈取り付け動作及び方向指示灯が車幅方向外側から中心側に向かって強く押圧された場合の動作〉
方向指示灯59、第1サイドカバー531及び第2サイドカバー532を固定する動作について説明する。
【0063】
図5を参照して、第1被支持部591aが空間Sに挿入される。第2被支持部591bが、第2支持部532mに支持される。このとき、第2被支持部591bは、接触板532tに接触する場所に位置している。切欠き532sと第2被支持部591bの凹部591yとが同軸上に配置されている。第2取り付けネジ591wが、切欠き532sを貫通して、凹部591yにネジ止めされる。取り付け板591cの第3貫通孔591d、第2貫孔532g及び第2突起531fが同軸上に配置される。第3取り付けネジ591uが、第3貫通孔591d及び第2貫通孔532gを通って、第2突起531fのネジ溝にネジ止めされる。
【0064】
以上のようにして、方向指示灯59、第1サイドカバー531及び第2サイドカバー532が固定される。
【0065】
次に、方向指示灯59が車幅方向外側から内側に向かって強い力で押圧された場合の動作について説明する。
【0066】
方向指示灯59が車幅方向における外側から内側に向かって押圧された場合には、第2被支持部591bが図5における矢印Z方向に移動する。第2被支持部591bは、第2支持部532mに支持されない状態となる。取り付け板591cは、矢印Z方向に移動する。取り付け板591cが矢印Zの方向に移動すると、弾性部材591eは弾性変形して、第3取り付けネジ591uの頭部は、第3貫通孔591dを通過する。取り付け板591cは、第2サイドカバー532から離間する。
【0067】
このようにして、第2被支持部591b及び取り付け板591cは、第2サイドカバー532及び第1サイドカバー531から離間する。
【0068】
〈本実施形態の特徴〉
以下に本実施形態の特徴を説明する。
【0069】
上記の実施形態では、方向指示灯59が、第2サイドカバー532から車幅方向外側に突出しているため、他の自動二輪車等から視認されやすい。
【0070】
第2サイドカバー532の支持面532aが第1サイドカバー531の第1面531aよりも車幅方向内側に位置しているため、第1サイドカバー531の第1面531aに方向指示灯59を配置した場合や、支持面532aと第1面531aとが同じ車幅方向位置に配置されている場合に比べて、車幅を小さくすることができる。
【0071】
さらに、自動二輪車1の転倒等によって、方向指示灯59が車幅方向外側から内側に向かって強い力で押圧された場合でも、取り付け板591c及び第2被支持部591bが図5の矢印Z方向に移動するため、方向指示灯59が破損することなく強い押圧力を逃がすことができる。
【0072】
第1サイドカバー531と第2サイドカバー532とが別の部材であるため、それぞれの部材を異なる色に塗装しやすくなる。このため、自動二輪車1の美観性を向上させやすくなる。
【0073】
[他の実施形態]
上記の実施形態では、自動二輪車について説明したが、本発明はこれに限らず、3又は4輪の鞍乗型車両等であっても適用できる。
【0074】
上記の実施形態では、第1サイドカバー531と第2サイドカバー532とを別の部材で構成したが、本発明はこれに限らず、一体で形成されていてもよい。ただし、第1サイドカバー531と第2サイドカバー532とを異なる色に塗装する場合には、上記の実施形態のように第1サイドカバー531と第2サイドカバー532とをそれぞれ別の部材で構成した方が塗装しやすくなる。
【0075】
上記の実施形態では、方向指示灯59が車幅方向外側から内側に向かって押圧された場合に、方向指示灯59の一部が車幅方向内側に移動可能な構成とすることで強い力を逃がす構成としたが、本発明はこれに限られず、第2サイドカバー532に方向指示灯59を固定するようにしてもよい。
【0076】
上記の実施形態では、方向指示灯59の車幅方向における最も外側の部分が第1サイドカバー531の車幅方向における最も外側の部分よりも車幅方向外側に位置するようにしたが、本発明はこれに限らず、方向指示灯59の車幅方向における最も外側の部分が第1サイドカバー531の車幅方向における最も外側の部分よりも車幅方向内側に位置していてもよい。この場合には、他の自動二輪車等から方向指示灯59を視認しにくくなるが、上記実施形態よりも車幅を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 自動二輪車(鞍乗型車両)
5 車体カバー
21 車体フレーム
59 方向指示灯
52 フロントカバー
53 サイドカバー
212 ヘッドパイプ
531 第1サイドカバー
531a 第1面(第1側面)
531b 第2面(上面)
531d 装着部
531e 第1突起
531f 第2突起
532 第2サイドカバー
532a 支持面(第2側面)
532b 開口
532e 取り付け部
532g 第2貫通孔
532k 第1支持部
532m 第2支持部
591 支持基板
591a 第1被支持部
591b 第2被支持部
591c 取り付け板
591d 第3貫通孔(支持孔)
591e 弾性部材(環状部材)
591u 第3取り付けネジ(固定部材)
591w 第2取り付けネジ
593 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプを有する車体フレームと、
前記車体フレームを覆う車体カバーと、
前記車体カバーの前部に設けられる方向指示灯と、
を備え、
前記車体カバーは、フロントカバーと、サイドカバーとを有し、
前記フロントカバーは、前記ヘッドパイプの前方を覆い、
前記サイドカバーは、前記ヘッドパイプの車幅方向外側を覆い、前部が前記フロントカバーに接続される第1サイドカバーと、車幅方向外側から見て前記第1サイドカバーと隣接して配置される第2サイドカバーとを含み、
前記第1サイドカバーの車幅方向外側に面する第1側面よりも、前記第2サイドカバーの車幅方向外側に面する第2側面は、車幅方向内側に位置しており、
前記第2側面には、開口が形成されており、
前記方向指示灯は、前記開口から一部が車幅方向外側に突出している、
鞍乗型車両。
【請求項2】
請求項1に記載の鞍乗型車両であって、
前記第2サイドカバーは、前記第1サイドカバーとは別部材である、
鞍乗型車両。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の鞍乗型車両であって、
前記方向指示灯は、前記第1側面よりも車幅方向外側まで突出している、
鞍乗型車両。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の鞍乗型車両であって、
前記第1サイドカバーは、車幅方向内側の面に位置する第1取り付け部を有し、
前記第2サイドカバーは、前記第1取り付け部に対向する第2取り付け部を有し、
前記第1取り付け部と前記第2取り付け部とを固定する複数の固定部材をさらに備えた、
鞍乗型車両。
【請求項5】
請求項4に記載の鞍乗型車両であって、
前記方向指示灯は、前記第2サイドカバーの車幅方向内側の面に対向する複数の被支持部を有し、
前記第2サイドカバーは、前記被支持部を支持する複数のベース支持部を車幅方向内側の面に有している、
鞍乗型車両。
【請求項6】
請求項5に記載の鞍乗型車両であって、
前記方向指示灯は、発光体と、前記発光体を支持するベース部材とを有しており、
前記ベース部材は、前記第2サイドカバーの車幅方向内側に配置され、前記複数の被支持部を有しており、
前記ベース部材の被支持部の少なくとも1つには、車幅方向に延びる支持孔が設けられており、
前記支持孔の内周側には、環状部材が配置されており、
前記環状部材は弾性部材によって形成され
前記固定部材は、ネジを有しており、
前記被支持部の内の1つは、前記支持孔と対向する貫通孔を有しており、
前記支持孔と前記貫通孔とを貫通する前記固定部材によって、前記方向指示灯と前記第2サイドカバーとが固定される、
鞍乗型車両。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の鞍乗型車両であって、
前記方向指示灯は、一部が鉛直方向において前記第1サイドカバーの上側に位置している、
鞍乗型車両。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の鞍乗型車両であって、
前記第1サイドカバーは、第1側面の上部に接続され、車幅方向に延びる上面を有し、
前記上面には第2サイドカバーを装着する装着部が設けられており、
前記第2サイドカバーは、前記上面から突出している、
鞍乗型車両。
【請求項9】
請求項8に記載の鞍乗型車両であって、
前記第2サイドカバーの車幅方向の幅は、前記第1サイドカバーの前記上面の車幅方向幅よりも狭い、
鞍乗型車両。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の鞍乗型車両であって、
前記車体カバーは、前記フロントカバーの後面に取り付けられた後部カバーを有し、
前記第1サイドカバーは、前記フロントカバーと前記後部カバーとに接続されている、
鞍乗型車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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