説明

音声再生システム、音声処理装置及び音声処理プログラム

【課題】 マルチチャンネル音声データに、1つのAVアンプがスピーカーに出力できるチャンネル以外のチャンネルの音声データが含まれている場合にも、それら各チャンネルの音声データをスピーカーに出力すること。
【解決手段】 AVアンプ20A及び20Bには、マルチチャンネル音声データが供給される。AVアンプ20Aは、マルチチャンネル音声データに第1設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれていると判断された場合、マルチチャンネル音声データに含まれかつ第1設定手段によって記憶されているチャンネルの音声データを再生し、スピーカーに出力する。AVアンプ20Bは、マルチチャンネル音声データに第2設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれていると判断された場合、マルチチャンネル音声データに含まれかつ第2設定手段によって記憶されているチャンネルの音声データを再生し、スピーカーに出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチチャンネル音声データを再生する音声処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
HDMI規格に準拠したソース機器であるBD(Blue-lay
Disc)プレーヤと、リピーター機器であるAVアンプと、シンク機器であるディスプレイ装置とを備える音声再生システムが利用されている。AVアンプは、BDプレーヤから受信したHDMIデータを元の映像データ及び音声データに変換し、音声データを増幅してスピーカーに出力すると共に、映像データを再度HDMIデータに変換し、ディスプレイ装置に送信する。ディスプレイ装置は、受信したHDMIデータを元の映像データに変換して表示する。
【0003】
BDプレーヤからAVアンプに送信されるHDMIデータに含まれている音声データは、マルチチャンネル音声データがエンコードされたものである。例えば、マルチチャンネル音声データは、図3に示すように、左音声データL、右音声データR、中央音声データC、低域音声データLFE,LFE2、サラウンド左音声データLs,Lsd、サラウンド右音声データRs,Rsd、サラウンド後方左音声データLrs、サラウンド後方右音声データRrs、左中央側音声データLc、右中央側音声データRc、左外側音声データLw、右外側音声データRw、左上側音声データLh、右上側音声データRh、中央上側音声データCh、サラウンド中央音声データCs等を含む。なお、マルチチャンネル音声データには、これら全てのチャンネルの音声データが含まれているわけではなく、これらの中から選択された複数のチャンネルの音声データが含まれている。
【0004】
AVアンプは、コスト等を考慮して、これら全てのチャンネルに対応する増幅部やスピーカー出力端子が設けられていない。例えば、AVアンプは、L,R,C,LFE,Ls,Rs,Lrs,Rrs等の8チャンネル分の増幅部やスピーカー出力端子を備えており、残りのチャンネルLw,Rw,Lc,Rc,Lh,Rh,Ch,LFE2,Lsd,Rsd,Csに対応する増幅部やスピーカー出力端子を備えていない。この場合、ディスクにこれらのチャンネルの音声データが含まれている場合であっても、これらのチャンネルの音声データを再生し、スピーカーから音声を出力することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−288247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、マルチチャンネル音声データに、1つの音声処理装置がスピーカーに出力できるチャンネル以外のチャンネルの音声データが含まれている場合にも、それら各チャンネルの音声データをスピーカーに出力することができる音声再生システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい実施形態による音声再生システムは、第1の音声処理装置と、第2の音声処理装置とを備え、前記第1の音声処理装置が、マルチチャンネル音声データを受信する第1受信手段と、複数チャンネルの内、前記第1音声処理装置がスピーカーに出力するチャンネルを記憶する第1設定手段と、マルチチャンネル音声データに前記第1設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれているか否かを判断する第1判断手段と、マルチチャンネル音声データに前記第1設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれていると判断された場合、マルチチャンネル音声データに含まれかつ前記第1設定手段によって記憶されているチャンネルの音声データをスピーカーに出力する第1再生手段とを有し、前記第2の音声処理装置が、マルチチャンネル音声データを受信する第2受信手段と、複数チャンネルの内、前記第2音声処理装置がスピーカーに出力するチャンネルを記憶する第2設定手段と、マルチチャンネル音声データに前記第2設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれているか否かを判断する第2判断手段と、マルチチャンネル音声データに前記第2設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれていると判断された場合、マルチチャンネル音声データに含まれかつ前記第2設定手段によって記憶されているチャンネルの音声データをスピーカーに出力する第2再生手段とを有する。
【0008】
マルチチャンネル音声データに含まれているチャンネルの内、第1設定手段に記憶されているチャンネルの音声データは第1の音声処理装置によって再生され、第2設定手段に記憶されているチャンネルの音声データは第2の音声処理装置によって再生される。従って、マルチチャンネル音声データに、1つの音声処理装置がスピーカーに出力できるチャンネル以外のチャンネルの音声データが含まれている場合にも、それら各チャンネルの音声データをスピーカーに出力することができる。
【0009】
本発明の別の好ましい実施形態による音声再生システムは、第1の音声処理装置と、第2の音声処理装置とを備え、前記第1の音声処理装置が、マルチチャンネル音声データを受信する第1受信手段と、複数チャンネルの内、前記第1音声処理装置がスピーカーに出力するチャンネルを記憶する第1設定手段と、複数チャンネルの内、前記第2音声処理装置がスピーカーに出力するチャンネルを記憶する第2設定手段と、マルチチャンネル音声データに前記第1設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれているか否かを判断する第1判断手段と、マルチチャンネル音声データに前記第1設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれていると判断された場合、マルチチャンネル音声データに含まれかつ前記第1設定手段によって記憶されているチャンネルの音声データをスピーカーに出力する第1再生手段と、マルチチャンネル音声データに前記第2設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれているか否かを判断する第2判断手段と、マルチチャンネル音声データに前記第2設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれていると判断された場合、マルチチャンネル音声データに含まれかつ前記第2設定手段によって記憶されているチャンネルの音声データを前記第2の音声処理装置に送信する送信手段とを有し、前記第2の音声処理装置が、前記送信手段から音声データを受信する第2受信手段と、受信した音声データをスピーカーに出力する第2再生手段とを有する。
【0010】
好ましい実施形態においては、前記第1の音声処理装置が、複数チャンネルの内、前記第2音声処理装置がスピーカーに出力するチャンネルを記憶する第2設定手段と、マルチチャンネル音声データに前記第1設定手段及び前記第2設定手段のいずれにも記憶されていないチャンネルが含まれているか否かを判断する第3判断手段と、マルチチャンネル音声データに前記第1設定手段及び前記第2設定手段のいずれにも記憶されていないチャンネルが含まれていると判断された場合、マルチチャンネル音声データに含まれかつ前記第1設定手段及び前記第2設定手段のいずれにも記憶されていないチャンネルを、前記第1設定手段によって記憶されているチャンネルの音声データに混合する混合手段とをさらに有する。
【0011】
この場合、マルチチャンネル音声データに含まれているチャンネルの内、第1設定手段及び第2設定手段のいずれにも記憶されていないチャンネルの音声データについては、第1設定手段に記憶されているチャンネルの音声データに混合することにより、再生することができる。
【0012】
好ましい実施形態においては、前記第1の音声処理装置が、通常状態と低消費電力状態とを有し、マルチチャンネル音声データに前記第1設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれていると判断された場合、通常状態に移行し、マルチチャンネル音声データに前記第1設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれていないと判断された場合、低消費電力状態に移行し、前記第2の音声処理装置が、通常状態と低消費電力状態とを有し、マルチチャンネル音声データに前記第2設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれていると判断された場合、通常状態に移行し、マルチチャンネル音声データに前記第2設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれていないと判断された場合、低消費電力状態に移行する。
【0013】
この場合、第1の音声処理装置と第2の音声処理装置との内、再生しない方の音声処理装置は低消費電力状態に移行するので、消費電力を低減することができる。
【0014】
好ましい実施形態においては、前記第1受信手段が、第1マルチチャンネル音声データと第2マルチチャンネル音声データとを受信し、前記第1の音声処理装置が、複数チャンネルの内、前記第2音声処理装置がスピーカーに出力するチャンネルを記憶する第2設定手段と、前記第1設定手段及び前記第2設定手段の記憶内容に基づいて、第1マルチチャンネル音声データと第2マルチチャンネル音声データとのいずれか一方を、再生するマルチチャンネル音声データとして選択する選択手段をさらに有する。
【発明の効果】
【0015】
マルチチャンネル音声データに、1つの音声処理装置がスピーカーに出力できるチャンネル以外のチャンネルの音声データが含まれている場合にも、それら各チャンネルの音声データをスピーカーに出力することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態によるディスク再生装置(ソース機器、BDプレーヤ)、音声処理装置(リピータ機器、AVアンプ)及びディスプレイ装置(シンク機器)を備える音声再生システムついて、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0017】
図1は、BDプレーヤ10及びAVアンプ20Aの構成を示すブロック図であり、図2は、AVアンプ20B及びディスプレイ装置40の構成を示すブロック図である。BDプレーヤ10、AVアンプ20A,20B及びディスプレイ装置40は、例えばHDMI規格に準拠しており、HDMIケーブルを介して相互に接続されている。BDプレーヤ10はディスクに記録されたマルチチャンネル音声データをAVアンプ20Aに送信する。AVアンプ20Aは、マルチチャンネル音声データをAVアンプ20Bに転送する。
【0018】
マルチチャンネル音声データは、図3に示すように、左音声データL、右音声データR、中央音声データC、低域音声データLFE,LFE2、サラウンド左音声データLs,Lsd、サラウンド右音声データRs,Rsd、サラウンド後方左音声データLrs、サラウンド後方右音声データRrs、左中央側音声データLc、右中央側音声データRc、左外側音声データLw、右外側音声データRw、左上側音声データLh、右上側音声データRh、中央上側音声データCh、サラウンド中央音声データCs等を含む。なお、マルチチャンネル音声データには、これら全てのチャンネルの音声データが含まれているわけではなく、これらの中から選択された複数のチャンネルの音声データが含まれている。
【0019】
AVアンプ20A,20Bの各々は、自身がスピーカーに出力する(つまり、再生する)音声データのチャンネルをユーザ操作に基づいて設定する。AVアンプ20A,20Bは、マルチチャンネル音声データに含まれている各チャンネルの音声データの内、自身に設定されているチャンネルの音声データを再生する。
【0020】
図4は、AVアンプ20Aにおけるスピーカー設定テーブルの一例であり、AVアンプ20Aは、マルチチャンネル音声データの各チャンネルの内、L,R,C,LFE,Ls,Rs,Lrs,Rrsをデコード及び再生し、スピーカーに出力する。図5は、AVアンプ20Aに接続されるスピーカーのチャンネルと配置とを示す一例である。AVアンプ20Aには、左スピーカーSL、右スピーカーSR、中央スピーカーSC、低域スピーカーSLFE、サラウンド左スピーカーSLs、サラウンド右スピーカーSRs、サラウンド後方左スピーカーSLrs、サラウンド後方右スピーカーSRrsが接続されている。
【0021】
図6は、AVアンプ20Bにおけるスピーカー設定テーブルの一例であり、AVアンプ20Bは、マルチチャンネル音声データの各チャンネルの内、Lw,Rw,Lc,Rc,LFE2,Lh,Rh,Chをデコード及び再生し、スピーカーに出力する。図7は、AVアンプ20Bに接続されるスピーカーのチャンネルと配置とを示す一例である。AVアンプ20Bには、左外側スピーカーSLw、右外側スピーカーSRw、左中央側スピーカーSLc、右中央側スピーカーSRc、低域スピーカーSLFE2、左上側スピーカーSLh、右上側スピーカーSRh、中央上側スピーカーSChが接続されている。
【0022】
以上のように、AVアンプ20A及び20Bを相互に接続し、各々が異なるチャンネルの音声データを再生することによって、1つのAVアンプのみで音声データを再生する場合に比べて、多くのチャンネルの音声データを再生することができる。
【0023】
[BDプレーヤ10の構成]
図1に示すように、BDプレーヤ10は、再生部11と、HDMI送信部13と、制御部14と、操作表示部15と、メモリ16と、出力端子17とを備える。
【0024】
再生部11は、ブルーレイディスク(以下、単にディスクという。)に記録されている映像データ及びマルチチャンネル音声データをディスクから読み出して、HDMI送信部13に供給する。HDMI送信部13は、再生部11から供給された映像データ及びマルチチャンネル音声データを、HDMI規格のデータ(以下、HDMIデータという。)に変換し、出力端子17を介してAVアンプ20に送信する。
【0025】
制御部14は、メモリ16に格納されているBDプレーヤ10の動作プログラムに基づいて、BDプレーヤ10の各部を制御するものであり、例えば、マイコンやCPU等である。制御部14は、CECラインを介してAVアンプ20Aの制御部23Aに接続され、制御部23Aとコマンドを送受信する。
【0026】
[AVアンプ20Aの構成]
図1に示すように、AVアンプ20Aは、HDMI受信部21Aと、HDMI送信部22Aと、制御部23Aと、音声処理部25Aと、メモリ26Aと、操作部27Aと、表示部28Aと、入力端子29Aと、出力端子30Aと、電源回路31Aとを備える。
【0027】
メモリ26Aには、図4に示すスピーカー設定テーブルが格納されている。スピーカー設定テーブルは、マルチチャンネル音声データに含まれる各チャンネルの内、AVアンプ20Aが再生してスピーカーに出力するチャンネルを記憶するテーブルである。スピーカー設定テーブルは、操作部27Aを介してユーザ操作によって設定されるが、制御部23Aによって自動的に設定されてもよい。
【0028】
HDMI受信部21Aは、BDプレーヤ10から送信されたHDMIデータを、入力端子29Aを介して受信し、受信したHDMIデータから元のマルチチャンネル音声データを生成し、音声処理部25Aに供給する。また、HDMI受信部21Aは、BDプレーヤ10から送信されたHDMIデータをHDMI送信部22Aにそのまま供給する。
【0029】
音声処理部25Aは、HDMI受信部21Aから供給されたマルチチャンネル音声データに所定の音声処理を実行し、外部に接続されたスピーカー60A(図5の各チャンネルのスピーカーに対応)に各チャンネルの音声信号を供給する。
【0030】
図8は、音声処理部25Aの構成を示すブロック図である。音声処理部25Aは、DSP51Aと、DAC(デジタル−アナログ変換器)52Aと、ボリューム調整部53Aと、増幅部54Aとを有する。
【0031】
DSP51Aは、HDMI受信部21Aから供給されるマルチチャンネル音声データの各チャンネルの内、図4に示すスピーカー設定テーブルに記憶されているチャンネルの音声データをデコードする。本例では、L,R,C,LFE,Ls,Rs,Lrs,Rrsの各チャンネルの音声データがデコードされる。デコードされた各チャンネルの音声データは、DAC52Aに供給される。
【0032】
DAC52Aは、DSP51Aから供給された各チャンネルの音声データをデジタル−アナログ変換し、各チャンネルのアナログ音声信号を生成し、ボリューム調整部53Aに供給する。ボリューム調整部53Aは、各チャンネルのアナログ音声信号のボリューム値を調整し、増幅部54Aに供給する。増幅部54Aは、ボリューム調整部53Aから供給された各チャンネルの音声信号を増幅し、各チャンネルのスピーカー出力端子を介して、各チャンネルのスピーカーに出力する。なお、DAC52A、ボリューム調整部53A、増幅部54A及びスピーカー出力端子は本例では8チャンネル分設けられている。
【0033】
図1に示すように、HDMI送信部22Aは、HDMI受信部21から供給されたHDMIデータを、出力端子30Aを介してAVアンプ20Bに送信する。
【0034】
制御部23Aは、メモリ26Aに格納されているAVアンプ20Aの動作プログラムに基づいて、AVアンプ20Aの各部を制御するものであり、例えば、マイコンやCPU等である。制御部23Aは、CECラインを介してBDプレーヤ10の制御部14に接続され、制御部14とコマンドを送受信する。また、制御部23Aは、CECラインを介してAVアンプ20Bの制御部23Bに接続され、制御部23Bとコマンドを送受信する。
【0035】
制御部23Aは、AVアンプ20Bの制御部23Bから、図6に示すAVアンプ20Bのスピーカー設定テーブルを、CECラインを介して取得し、メモリ26Aに記憶する。AVアンプ20Bのスピーカー設定テーブルは後述する各処理において使用される。また、制御部23Aは、ユーザ操作によって図4に示すAVアンプ20Aのスピーカー設定テーブルが設定されたとき、スピーカー設定テーブルを、CECラインを介してAVアンプ20Bの制御部23Bに送信する。
【0036】
表示部28Aは、スピーカー設定テーブルやその他の設定内容等を表示するものであり、FL管やLCD等である。電源回路31Aは、AVアンプ20Aの各部に電源電圧を供給する。
【0037】
[AVアンプ20Bの構成]
図2に示すように、AVアンプ20Bは、HDMI受信部21Bと、HDMI送信部22Bと、制御部23Bと、音声処理部25Bと、メモリ26Bと、操作部27Bと、表示部28Bと、入力端子29Bと、出力端子30Bと、電源回路31Bとを備える。
【0038】
メモリ26Bには、図6に示すスピーカー設定テーブルが格納されている。スピーカー設定テーブルは、マルチチャンネル音声データに含まれる各チャンネルの内、AVアンプ20Bが再生してスピーカーに出力するチャンネルを記憶するテーブルである。スピーカー設定テーブルは、操作部27Bを介してユーザ操作によって設定されるが、制御部23Bによって自動的に設定されてもよい。なお、代表的には、図6のスピーカー設定テーブルには、図4のスピーカー設定テーブルとは異なるチャンネルが記憶される。
【0039】
HDMI受信部21Bは、AVアンプ20Aから送信されたHDMIデータを、入力端子29Bを介して受信し、受信したHDMIデータから元のマルチチャンネル音声データを生成し、音声処理部25Bに供給する。また、HDMI受信部21Bは、HDMIデータから元の映像データを生成し、HDMI送信部22Bに供給する。
【0040】
音声処理部25Bは、HDMI受信部21Bから供給されたマルチチャンネル音声データに所定の音声処理を実行し、外部に接続されたスピーカー60B(図7の各スピーカーに対応)に各チャンネルの音声信号を供給する。
【0041】
図9は、音声処理部25Bの構成を示すブロック図である。音声処理部25Bは、DSP51Bと、DAC52Bと、ボリューム調整部53Bと、増幅部54Bとを有する。
【0042】
DSP51Bは、HDMI受信部21Bから供給されたマルチチャンネル音声データの各チャンネルの内、図6に示すスピーカー設定テーブルに設定されているチャンネルの音声データをデコードする。本例では、Lw,RW,Lc,RC,LFE2,Lh,Rh,Chの各チャンネルの音声データがデコードされる。デコードされた各チャンネルの音声データは、DAC52Bに供給される。
【0043】
DAC52Bは、DSP51Bから供給される各チャンネルの音声データをデジタル−アナログ変換し、各チャンネルのアナログ音声信号を生成し、ボリューム調整部53Bに供給する。ボリューム調整部53Bは、各チャンネルのアナログの音声信号のボリューム値を調整し、増幅部54Bに供給する。増幅部54Bは、ボリューム調整部53Bから供給された各チャンネルの音声信号を増幅して、各チャンネルのスピーカー出力端子を介して、各チャンネルのスピーカーに出力する。なお、DAC52B、ボリューム調整部53B、増幅部54B及びスピーカー出力端子は本例では8チャンネル分設けられている。
【0044】
図2に示すように、HDMI送信部22Bは、HDMI受信部21Bから供給された映像データをHDMIデータに変換し、変換したHDMIデータを、出力端子30Bを介してディスプレイ装置40に送信する。
【0045】
制御部23Bは、メモリ26Bに格納されているAVアンプ20Bの動作プログラムに基づいて、AVアンプ20Bの各部を制御するものであり、例えば、マイコンやCPU等である。制御部23Bは、CECラインを介してAVアンプ20Aの制御部23Aに接続され、制御部23Aとコマンドを送受信する。また、制御部23Bは、CECラインを介してディスプレイ装置40の制御部42に接続され、制御部42とコマンドを送受信する。
【0046】
制御部23Bは、AVアンプ20Aの制御部23Aから図4に示すAVアンプ20Aのスピーカー設定テーブルを、CECラインを介して取得して、メモリ26Bに記憶する。AVアンプ20Aのスピーカー設定テーブルは後述する各処理において使用される。また、制御部23Bは、ユーザ操作によって図6に示すAVアンプ20Bのスピーカー設定テーブルが設定されたとき、スピーカー設定テーブルを、CECラインを介してAVアンプ20Aの制御部23Aに送信する。
【0047】
表示部28Bは、スピーカー設定テーブルやその他の設定内容等を表示するものであり、FL管やLCD等である。電源回路31Bは、AVアンプ20Bの各部に電源電圧を供給する。
【0048】
[ディスプレイ装置40の構成]
図2に示すように、ディスプレイ装置40は、HDMI受信部41と、制御部42と、表示部43と、メモリ44と、操作部45と、入力端子46とを有する。
【0049】
HDMI受信部41は、AVアンプ20BのHDMI送信部22Bから送信されたHDMIデータを、入力端子46を介して受信し、HDMIデータから元の映像データを生成し、表示部43に供給する。表示部43は、HDMI受信部41から映像データが供給され、当該映像データに基づいて映像を表示するものであり、LCDまたはCRT等である。
【0050】
制御部42は、メモリ44に格納されたディスプレイ装置40の動作プログラムに基づいて、ディスプレイ装置40の各部を制御するものであり、例えば、マイコンやCPU等である。
【0051】
[音声再生システムの動作]
[スピーカー(チャンネル)設定処理]
図10は、AVアンプ20Aの制御部23A、又は、AVアンプ20Bの制御部23Bのスピーカー設定処理を示すフローチャートである。AVアンプ20A(又はAVアンプ20B、以下同様。)の制御部23Aは、ユーザ操作によって図4に示すスピーカー設定テーブルが設定されたか否かを判断している(S1)。スピーカー設定テーブルが設定された場合(S1でYES)、制御部23Aは、他方のAVアンプ20Bの制御部23Bに、CECラインを介して、スピーカー設定テーブルの設定内容を送信する(S2)。
【0052】
AVアンプ20B(又はAVアンプ20A、以下同様。)の制御部23Bは、他方のAVアンプ20Aの制御部23Aから、CECラインを介して、図4に示すスピーカー設定テーブルの設定内容を受信したか否かを判断している(S3)。受信した場合(S3でYES)、制御部23Bは、受信した図4に示すスピーカー設定テーブルをメモリ26Bに記憶する。これにより、AVアンプ20A及び20Bは、両方のAVアンプ20A及び20Bのスピーカー設定テーブルをメモリに記憶している。なお、AVアンプ20A(及び20B)に、ユーザ操作によって直接、図4に示すAVアンプ20Aのスピーカー設定テーブルと、図6に示すAVアンプ20Bのスピーカー設定テーブルとの両方が設定されてもよい。
【0053】
[各設定処理]
図11は、AVアンプ20Aの制御部23A、又は、AVアンプ20Bの制御部23Bの各設定処理を示すフローチャートである。各設定とは、本例ではユーザ操作による音量設定又は遅延量設定である。遅延量設定とは、音声信号の映像信号に対する遅延時間又は映像信号の音声信号に対する遅延時間の設定であり、一般的にはA/V Syncと呼ばれている。
【0054】
AVアンプ20A(又はAVアンプ20B、以下同様。)の制御部23Aは、ユーザ操作によって音量又は遅延量が設定されたか否かを判断している(S5)。音量又は遅延量が設定された場合(S5でYES)、制御部23Aは、他方のAVアンプ20Bの制御部23Bに、CECラインを介して、音量又は遅延量の設定内容を送信する(S6)。
【0055】
AVアンプ20B(又はAVアンプ20A、以下同様。)の制御部23Bは、他方のAVアンプ20Aの制御部23Aから、CECラインを介して、音量又は遅延量の設定内容を受信したか否かを判断している(S7)。受信した場合(S7でYES)、制御部23Bは受信した音量又は遅延量に、AVアンプ20Bの音量又は遅延量を設定する。
【0056】
従って、一方のAVアンプ20においてユーザ操作によって音量又は遅延量が変更された場合、他方のAVアンプ20の音量又は遅延量も同じ値に自動的に変更される。従って、AVアンプ20A及び20Bの両方が、設定されている各チャンネルの音声データを再生する場合にも、同一の音量及び遅延量で再生することができる。
【0057】
[音声再生処理]
図12は、AVアンプ20A、及び、AVアンプ20Bの音声再生処理を示すフローチャートである。なお、破線で示すS12は、AVアンプ20Aのみの処理である。AVアンプ20A(又はAVアンプ20B、以下同様。)の制御部23Aは、HDMIデータが入力端子29Aを介してHDMI受信部21Aに入力されたか否かを判断している(S11)。入力された場合(S11でYES)、HDMI受信部21A、及び、HDMI送信部22Bは、受信したHDMIデータを他方のAVアンプ20Bに転送する(S12)。従って、AVアンプ20A及び20Bには、同一のHDMIデータが入力される。
【0058】
HDMI受信部21Aは、HDMDIデータからマルチチャンネル音声データを生成し、音声処理部25Aに供給する。音声処理部25AのDSP51Aは、マルチチャンネル音声データのヘッダをデコードし、ヘッダに含まれているチャンネル情報を読み出し、制御部23Aに供給する(S13)。制御部23Aは、チャンネル情報を解析し、マルチチャンネル音声データの中に、AVアンプ20Aで設定されているチャンネル(つまり、図4のスピーカー設定テーブルに記憶されているチャンネル)の音声データが含まれているか否かを、図4のスピーカー設定テーブルを参照して、判断する(S14)。
【0059】
マルチチャンネル音声データに、L,R,C,LFE,Ls,Rs,Lw,Rwの音声データが含まれている場合、L,R,C,LFE,Ls,RsがAVアンプ20Aによって設定されているので(S14でYES)、制御部23Aは、設定されているチャンネルの音声データをデコードするようにDSP51Aに指示する(S15)。DSP51Aは、マルチチャンネル音声データの中から、L,R,C,LFE,Ls,Rsをデコードする(S15)。そして、これらのチャンネルの音声データは、DAC52Aでアナログ信号に変換され、ボリューム調整部53Aで音量調整され、増幅部54Aで増幅されて、スピーカー出力端子を介して、スピーカーSL,SR,SC,SLFE,SLs,SRsに出力される(S16)。
【0060】
同様に、AVアンプ20Bにおいては、マルチチャンネル音声データに、L,R,C,LFE,Ls,Rs,Lw,Rwの音声データが含まれている場合、Lw,RWがAVアンプ20Bによって設定されているので(S14でYES)、制御部23Bは、設定されているチャンネルの音声データをデコードするようにDSP51Bに指示する(S15)。DSP51Bは、マルチチャンネル音声データの中から、Lw,Rwをデコードする(S15)。そして、これらのチャンネルの音声データは、DAC52Bでアナログ信号に変換され、ボリューム調整部53Bで音量調整され、増幅部54Bで増幅されて、スピーカー出力端子を介して、スピーカーSLw,SRwに出力される(S16)。
【0061】
なお、マルチチャンネル音声データに、L,R,C,LFE,Ls,Rsの音声データが含まれている場合、AVアンプ20Aにおいては、L,R,C,LFE,Ls,RsがAVアンプ20Aによって設定されていると判断され(S14でYES)、AVアンプ20Aはこれらのチャンネルの音声データを再生する(S15、S16)。一方、AVアンプ20Bにおいては、マルチチャンネル音声データに含まれるいずれのチャンネルもAVアンプ20Bには設定されていないと判断され(S14でNO)、AVアンプ20Bはいずれのチャンネルの音声データも再生しない。
【0062】
[他の実施形態1]
本例では、AVアンプ20Aは、AVアンプ20BにHDMIデータをそのまま転送するのではなく、AVアンプ20Bで設定されているチャンネルの音声データのみ(及び、必要に応じて映像データ)を含むHDMIデータをAVアンプ20Bに送信する。これにより、AVアンプ20AからAVアンプ20Bに転送されるHDMIデータのデータ量を小さくすることができる。
【0063】
図13は、AVアンプ20Aの処理を示すフローチャートであり、図12と同一処理には同一符号を付す。AVアンプ20Aの制御部23Aは、チャンネル情報を解析し、マルチチャンネル音声データの中に、AVアンプ20Bで設定されているチャンネル(つまり、図6のスピーカー設定テーブルに設定されているチャンネル)の音声データが含まれているか否かを、図6のスピーカー設定テーブルを参照して、判断する(S21)。
【0064】
マルチチャンネル音声データに、L,R,C,LFE,Ls,Rs,Lw,Rwの音声データが含まれている場合、Lw,RWがAVアンプ20Bによって設定されているので(S21でYES)、制御部23Aは、設定されているチャンネルLw,Rwの音声データを抽出するようにDSP51Aに指示する。DSP51Aは、マルチチャンネル音声データの中から、Lw,Rwを抽出する。これらのチャンネルLw,Rwの音声データは、HDMI送信部22AにおいてHDMIデータに変換され、変換されたHDMIデータがAVアンプ20Bに送信される。AVアンプ20Bの処理は、受信したHDMIデータに含まれているLW,Rwの音声データを再生するだけでよい。
【0065】
なお、マルチチャンネル音声データに、L,R,C,LFE,Ls,Rsの音声データが含まれている場合、マルチチャンネル音声データにはAVアンプ20Bによって設定されているチャンネルが含まれていないので(S21でNO)、AVアンプ20AはAVアンプ20Bに音声データを送信しない(必要に応じて、映像データのみを含むHDMIデータを送信する)。
【0066】
[他の実施形態2]
上記実施形態ではAVアンプ20A,20Bの両方で設定されていないチャンネルの音声データについては再生することができない。本例では、AVアンプ20A及び20Bの両方で設定されていないチャンネルの音声データを、AVアンプ20A(又はAVアンプ20B)で設定されているチャンネルの音声データに混合することによって、再生する。
【0067】
図14はAVアンプ20Aの処理を示すフローチャートであり、図12と同一の処理には同一符号を付す。なお、AVアンプ20Bの処理は図12の処理と同じでよい。AVアンプ20Aの制御部23Aは、チャンネル情報を解析し、マルチチャンネル音声データの中に、AVアンプ20A及び20Bのいずれにも設定されていないチャンネル(つまり、図4,図6のスピーカー設定テーブルのいずれにも設定されていないチャンネル)の音声データが含まれているか否かを、図4,図6のスピーカー設定テーブルを参照して、判断する(S31)。
【0068】
マルチチャンネル音声データに、L,R,C,LFE,Ls,Rs,Lw,Rw,Lsd,Rsdの音声データが含まれている場合、Lsd,RsdがAVアンプ20A及び20Bのどちらにも設定されていないので(S31でYES)、制御部23Aは、Lsd,Rsdの音声データをデコードして、所定のチャンネルの音声データに混合するように音声処理部25Aに指示する。所定のチャンネルは、例えば、図3を参照して、混合するチャンネルに最も近い位置のチャンネルに予め設定されている。例えば、Lsdは最も近いLsに混合し、Rsdは最も近いRsに混合するように定められている。音声処理部25Aにおいて、DSP51AがLsd,Rsdの音声データをデコードし、DAC52Aにおいてアナログ信号に変換された後、LsdがLsに混合され、RsdがRsに混合される。従って、スピーカーSLsにはLsとLsdとが混合された音声信号が出力され、スピーカーSRsにはRsとRsdとが混合された音声信号が出力される。なお、複数のチャンネルの音声信号を混合して出力するための回路構成自体は周知のスイッチ回路等によって構成されている。
【0069】
なお、マルチチャンネル音声データに、L,R,C,LFE,Ls,Rs,Lw,Rwの音声データが含まれている場合、AVアンプ20A及び20Bのいずれにも設定されていないチャンネルは含まれていないので(S31でNO)、混合することなく各チャンネルの音声データを再生する。
【0070】
また、マルチチャンネル音声データに、L,R,C,LFE,Lw,Rw,Lsd,Rsdの音声データが含まれ、Ls,Rsが含まれていない場合、LsdをLsに混合したと仮定してLsdのみをスピーカーSLsに出力し、RsdをRsに混合したと仮定してRsdのみをスピーカーSRsに出力する。
【0071】
本例においても、他の実施形態1のように、AVアンプ20Aが、AVアンプ20Bに設定されているチャンネルの音声データのみを含むHDMIデータをAVアンプ20Bに送信するようにしてもよい。
【0072】
[他の実施形態3]
本例では、AVアンプ20A(AVアンプ20Bも同様)は、通状状態と低消費電力状態とを有している。通常状態は、AVアンプ20Aの増幅部54Aを含む各部に電源回路31Aから電源電圧が供給されている状態であり、音声データを増幅してスピーカーに出力できる状態である。低消費電力状態は、AVアンプ20Aの増幅部54Aには電源回路31Aから電源電圧が供給されず、増幅部54Aが動作を停止し、消費電力を低減した状態である。低消費電力状態において、表示部28A等にも電源電圧を供給しないようにしてもよい。低消費電力状態でも、制御部23A等の必要な部分には電源電圧が供給されている。本例では、マルチチャンネル音声データにAVアンプ20Aで設定されているチャンネルが含まれない場合に、少なくとも増幅部54Aは動作する必要がないので、AVアンプ20Aが低消費電力状態に移行することによって、消費電力を低減する。一方、マルチチャンネル音声データにAVアンプ20Aで設定されているチャンネルが含まれる場合に、通常状態に移行することによって、設定されているチャンネルの音声信号を増幅してスピーカーに出力することができる。
【0073】
図15は、AVアンプ20A(及びAVアンプ20B、以下同様)の処理を示すフローチャートであり、図12と同一の処理ついて同一符号を付す。AVアンプ20Aの制御部23Aは、チャンネル情報を解析し、マルチチャンネル音声データの中に、AVアンプ20Aで設定されているチャンネル(つまり、図4のスピーカー設定テーブルに設定されているチャンネル)の音声データが含まれているか否かを、図4のスピーカー設定テーブルを参照して、判断する(S14)。
【0074】
マルチチャンネル音声データに、L,R,C,LFE,Ls,Rs,Lw,Rwの音声データが含まれている場合、L,R,C,LFE,Ls,RsがAVアンプ20Aによって設定されているので(S14でYES)、制御部23Aは、AVアンプ20Aが低消費電力状態であるか否かを判断する(S41)。低消費電力状態であるか否かは電源回路31Aからの電源電圧が増幅部54Aに供給されているか否かを判断することによって判断される。低消費電力状態であれば(S41でYES)、制御部23Aは、AVアンプ20Aを低消費電力状態から通常状態に移行させた後(S42)、L,R,C,LFE,Ls,Rsを再生させる(S15,S16)。一方、低消費電力状態でなければ(S41でNO)、既に通常状態であるので、制御部23Aは、L,R,C,LFE,Ls,Rsを再生させる(S15,S16)。
【0075】
マルチチャンネル音声データに、Lw,Rwの音声データが含まれている場合、AVアンプ20Aによって設定されているチャンネルが含まれていないので(S14でNO)、制御部23Aは、AVアンプ20Aが低消費電力状態であるか否かを判断する(S43)。低消費電力状態でなければ(S43NO)、制御部23Aは、AVアンプ20Aを通常状態から低消費電力状態に移行させ(S44)、処理を終了する。一方、低消費電力状態であれば(S43でYES)、処理を終了する。
【0076】
以上のように、マルチチャンネル音声データにAVアンプ20で設定されているチャンネルが含まれておらず、音声データをスピーカーに出力する必要がないAVアンプ20は低消費電力状態に移行することにより、消費電力を低減することができる。
【0077】
本例においても、他の実施形態1のように、AVアンプ20Aが、AVアンプ20Bに設定されているチャンネルの音声データのみを含むHDMIデータをAVアンプ20Bに送信するようにしてもよい。
【0078】
[他の実施形態4]
本例は、他の実施形態3の変形例であり、AVアンプ20Aが、マルチチャンネル音声データにAVアンプ20Bで設定されているチャンネルが含まれているか否かを判断し、含まれていなければ、低消費電力状態に移行するようにAVアンプ20Bに指示する。図16は、AVアンプ20Aの処理を示すフローチャートであり、図15と同一の処理には同一符号を付す。図17はAVアンプ20Bの処理を示すフローチャートである。
【0079】
図16に示すように、AVアンプ20Aの制御部23Aは、チャンネル情報を解析し、マルチチャンネル音声データの中に、AVアンプ20Bで設定されているチャンネル(つまり、図6のスピーカー設定テーブルに設定されているチャンネル)の音声データが含まれているか否かを、図6のスピーカー設定テーブルを参照して、判断する(S51)。
【0080】
マルチチャンネル音声データに、L,R,C,LFE,Ls,Rs,Lw,Rwの音声データが含まれている場合、Lw,RWがAVアンプ20Bによって設定されているので(S51でYES)、制御部23Aは、通常モードに移行する指示を、CECラインを介して、AVアンプ20Bの制御部23Bに送信する(S52)。一方、マルチチャンネル音声データに、L,R,C,LFE,Ls,Rsの音声データが含まれている場合、AVアンプ20Bによって設定されているチャンネルが含まれないので(S51でNO)、制御部23Aは、低消費電力状態に移行する指示を、CECラインを介して、AVアンプ20Bの制御部23Bに送信する(S53)。
【0081】
図17に示すように、AVアンプ20Bの制御部23Bは、低消費電力状態に移行する指示を、CECラインを介して、AVアンプ20Aの制御部23Aから受信したか否かを判断している(S61)。受信した場合(S61でYES)、制御部23Bは、AVアンプ20Bを低消費電力状態に移行させる(S62)。従って、無駄な消費電力を低減することができる。
【0082】
また、AVアンプ20Bの制御部23Bは、通常状態に移行する指示を、CECラインを介して、AVアンプ20Aの制御部23Aから受信したか否かを判断している(S63)。受信した場合(S63でYES)、制御部23Bは、AVアンプ20Bを通常状態に移行させる(S64)。
【0083】
本例においても、他の実施形態1のように、AVアンプ20Aが、AVアンプ20Bに設定されているチャンネルの音声データのみを含むHDMIデータをAVアンプ20Bに送信するようにしてもよい。
【0084】
[他の実施形態5]
本例では、AVアンプ20Aが、第1のマルチチャンネル音声データと、第2のマルチチャンンル音声データとを同時受信する場合に、AVアンプ20A及び20Bのスピーカー設定テーブルに基づいて、どちらのマルチチャンネル音声データを再生するかを選択する。
【0085】
例えば、第1のマルチチャンネル音声データがL,R,C,LFE,Ls,Rs,Lw,Rwを含み、第2のマルチチャンネル音声データがL,R,C,LFE,Ls,Rsを含む場合、AVアンプ20Aの制御部23Aは、図4及び図6のスピーカー設定テーブルを参照し、第1のマルチチャンネル音声データを再生する音声データとして選択する。従って、L,R,C,LFE,Ls,RsがAVアンプ20Aによって再生され、Lw,RwがAVアンプ20Bによって再生される。一方、図6のスピーカー設定テーブルにおいてLw,Rwが設定されていない場合には、AVアンプ20Aの制御部23Aは、第2のマルチチャンネル音声データを再生する音声データとして選択する。従って、L,R,C,LFE,Ls,RsがAVアンプ20Aによって再生される。第2のマルチチャンネル音声データには、第1のマルチチャンネル音声データにおけるLwがLに混合されており、RwがRに混合されている場合があるので、第2のマルチチャンネル音声データを再生することによって、Lw,Rwの成分も再生することができる。
【0086】
本例においても、他の実施形態1のように、AVアンプ20Aが、AVアンプ20Bに設定されているチャンネルの音声データのみを含むHDMIデータをAVアンプ20Bに送信するようにしてもよい。
【0087】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。BDプレーヤ10からのHDMIデータが直接AVアンプ20A及び20Bに供給されてもよい。AVアンプの上記動作をコンピュータに実行させるためのプログラムおよびこれを記録した記録媒体という形態で提供されてもよい。また、AVアンプの上記動作の一部のみのプログラムを、AVアンプにファームウェアアップデートという形態で提供されてもよい。さらには、AVアンプの上記動作の一部のみのプログラムが格納されたDSP、マイコンなどの電子部品という形態で提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、AVアンプ等に好適に採用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】BDプレーヤ10及びAVアンプ20Aを示すブロック図である。
【図2】AVアンプ20B及びディスプレイ装置40を示すブロック図である。
【図3】マルチチャンネル音声データに含まれるチャンネルの位置を示す図である。
【図4】AVアンプ20Aに設定されるスピーカー設定テーブルを示す図である。
【図5】AVアンプ20Aに接続されるスピーカーの配置を説明する図である。
【図6】AVアンプ20Bに設定されるスピーカー設定テーブルを示す図である。
【図7】AVアンプ20Bに接続されるスピーカーの配置を説明する図である。
【図8】音声処理装置25Aの構成を示すブロック図である。
【図9】音声処理装置25Bの構成を示すブロック図である。
【図10】スピーカー設定処理を示すフローチャートである。
【図11】各設定処理を示すフローチャートである。
【図12】音声再生処理を示すフローチャートである。
【図13】音声再生処理を示すフローチャートである。
【図14】音声再生処理を示すフローチャートである。
【図15】音声再生処理を示すフローチャートである。
【図16】音声再生処理を示すフローチャートである。
【図17】通常状態又は低消費電力状態に移行する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
10 BDプレーヤ
20A,20B AVアンプ
21A,21B HDMI受信部
22A,22B HDMI送信部
23A,23B 制御部
25A,25B 音声処理部
26A,26B メモリ
27A,27B 操作部
28A,28B 表示部
29A,29B 入力端子
30A,30B 出力端子
31A,31B 電源回路
40 ディスプレイ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の音声処理装置と、第2の音声処理装置とを備え、
前記第1の音声処理装置が、マルチチャンネル音声データを受信する第1受信手段と、
複数チャンネルの内、前記第1音声処理装置がスピーカーに出力するチャンネルを記憶する第1設定手段と、
マルチチャンネル音声データに前記第1設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれているか否かを判断する第1判断手段と、
マルチチャンネル音声データに前記第1設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれていると判断された場合、マルチチャンネル音声データに含まれかつ前記第1設定手段によって記憶されているチャンネルの音声データをスピーカーに出力する第1再生手段とを有し、
前記第2の音声処理装置が、マルチチャンネル音声データを受信する第2受信手段と、
複数チャンネルの内、前記第2音声処理装置がスピーカーに出力するチャンネルを記憶する第2設定手段と、
マルチチャンネル音声データに前記第2設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれているか否かを判断する第2判断手段と、
マルチチャンネル音声データに前記第2設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれていると判断された場合、マルチチャンネル音声データに含まれかつ前記第2設定手段によって記憶されているチャンネルの音声データをスピーカーに出力する第2再生手段とを有する、音声再生システム。
【請求項2】
第1の音声処理装置と、第2の音声処理装置とを備え、
前記第1の音声処理装置が、マルチチャンネル音声データを受信する第1受信手段と、
複数チャンネルの内、前記第1音声処理装置がスピーカーに出力するチャンネルを記憶する第1設定手段と、
複数チャンネルの内、前記第2音声処理装置がスピーカーに出力するチャンネルを記憶する第2設定手段と、
マルチチャンネル音声データに前記第1設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれているか否かを判断する第1判断手段と、
マルチチャンネル音声データに前記第1設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれていると判断された場合、マルチチャンネル音声データに含まれかつ前記第1設定手段によって記憶されているチャンネルの音声データをスピーカーに出力する第1再生手段と、
マルチチャンネル音声データに前記第2設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれているか否かを判断する第2判断手段と、
マルチチャンネル音声データに前記第2設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれていると判断された場合、マルチチャンネル音声データに含まれかつ前記第2設定手段によって記憶されているチャンネルの音声データを前記第2の音声処理装置に送信する送信手段とを有し、
前記第2の音声処理装置が、前記送信手段から音声データを受信する第2受信手段と、
受信した音声データをスピーカーに出力する第2再生手段とを有する、音声再生システム。
【請求項3】
前記第1の音声処理装置が、複数チャンネルの内、前記第2音声処理装置がスピーカーに出力するチャンネルを記憶する第2設定手段と、
マルチチャンネル音声データに前記第1設定手段及び前記第2設定手段のいずれにも記憶されていないチャンネルが含まれているか否かを判断する第3判断手段と、
マルチチャンネル音声データに前記第1設定手段及び前記第2設定手段のいずれにも記憶されていないチャンネルが含まれていると判断された場合、マルチチャンネル音声データに含まれかつ前記第1設定手段及び前記第2設定手段のいずれにも記憶されていないチャンネルを、前記第1設定手段によって記憶されているチャンネルの音声データに混合する混合手段とをさらに有する、請求項1または2に記載の音声再生システム。
【請求項4】
前記第1の音声処理装置が、通常状態と低消費電力状態とを有し、
マルチチャンネル音声データに前記第1設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれていると判断された場合、通常状態に移行し、マルチチャンネル音声データに前記第1設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれていないと判断された場合、低消費電力状態に移行し、
前記第2の音声処理装置が、通常状態と低消費電力状態とを有し、
マルチチャンネル音声データに前記第2設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれていると判断された場合、通常状態に移行し、マルチチャンネル音声データに前記第2設定手段によって記憶されているチャンネルが含まれていないと判断された場合、低消費電力状態に移行する、請求項1〜3のいずれかに記載の音声再生システム。
【請求項5】
前記第1受信手段が、第1マルチチャンネル音声データと第2マルチチャンネル音声データとを受信し、
前記第1の音声処理装置が、複数チャンネルの内、前記第2音声処理装置がスピーカーに出力するチャンネルを記憶する第2設定手段と、
前記第1設定手段及び前記第2設定手段の記憶内容に基づいて、第1マルチチャンネル音声データと第2マルチチャンネル音声データとのいずれか一方を、再生するマルチチャンネル音声データとして選択する選択手段をさらに有する、請求項1〜4のいずれかに記載の音声再生システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の音声再生システムにおける前記第1の音声処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の前記第1の音声処理装置の各手段をコンピュータに実行させる音声処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−226317(P2010−226317A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70159(P2009−70159)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】