説明

顆粒の製造方法

【課題】生理活性物質を含有する顆粒からの主薬の溶出プロファイルのばらつきの改善主薬顆粒の遠心流動造粒方法を提供する。
【解決手段】生理活性物質を含有する顆粒の製造工程において、顆粒の温度を約50℃以上に加温し、当該温度に約1分以上保持することを特徴とし、核に結合液を噴霧しながら、生理活性物質を含有する主薬散布剤を散布する際の散布速度が核1gに対し約90mg/min以上の速度であり、遠心流動型コーティング造粒装置単位面積当たりの仕込み総重量が約1.5g/cm2以上であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品の分野において、生理活性物質の溶出プロファイルのばらつきを低減できる顆粒の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品の中で経口投与製剤は最も多用される剤形であり、近年はQOL向上の観点から1日1-2回の投与で薬効が持続する経口投与製剤が多く開発されている。生理活性物質自身の特性として1-2回の投与で薬効が持続するものもあるが、製剤的な工夫により作用を持続させる試みも多く行われている。経口持続性製剤としては、放出制御膜やマトリックスによる生理活性物質拡散制御による放出制御、基剤の侵食による生理活性物質の放出制御、pH依存的な生理活性物質の放出制御、一定のラグタイムの後、生理活性物質を放出させる時限放出制御など種々のシステムが開発応用されている。これら経口持続製剤は投与後生理活性物質を放出しながら消化管内を移動していくことから、その効果発現に消化管移動速度変動の影響を受けるが、その影響は剤形により異なる。一般にシングルユニットである錠剤に比べマルチプルユニットである顆粒剤、細粒剤が影響を受けにくいことが知られている。
従来の生理活性物質を含有する顆粒剤、細粒剤などは製剤毎、ロット毎での溶出プロファイルのばらつき(溶出変動)がしばしば発生し、望ましい効果を発現させるのに必要な所望の溶出プロファイルを発現する顆粒、細粒剤を安定的に得ることは難しく、ばらつきを抑制するために極めて狭い製造条件範囲での製造を余儀なくされている。
顆粒の製造法は種々知られているが、その一つとして特許文献1には、細粒状の核に、水溶性高分子と共に少なくとも1種の生理活性物質が被覆され、かつ粒子径が実質的に500μm以下である薬物の溶出性が制御された有核散剤の製造法が記載されている。
【0003】
本発明者らは、安定した溶出プロファイルを示す顆粒の製造法を検討したところ、本発明にしたがえば製剤毎あるいはロット毎の溶出プロファイルのばらつきが著しく低減でき、任意の所望のプロファイルを安定的に提供できる顆粒が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、生理活性物質を含有する顆粒の製造工程において、顆粒の温度を約50℃以上に加温し、当該温度に約1分以上保持することにより当該顆粒から溶出する生理活性物質の溶出変動を改善する方法、及び該方法を用いた生理活性物質含有顆粒の製造方法等に関する。
ここで、「溶出変動の改善」とは、溶出プロファイル(製剤からの生理活性物質溶出率の時間変化)の変動を減ずることを意味する。また、「当該温度に約1分以上保持」とは当該温度に保持される時間の合計が1分以上であることを意味し、連続的に1分以上保持される場合に加え、断続的に当該温度に保持され合計として1分以上保持される場合も含まれる。溶出率とは溶出した生理活性物質量の製剤中に含有される生理活性物質量(含量)に対する割合(百分率)を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−92918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、生理活性物質を含有する顆粒からの主薬の溶出プロファイルのばらつきを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、
[1]生理活性物質を含有する顆粒の製造工程において、顆粒の温度を約50℃以上に加温し、当該温度に約1分以上保持することを特徴とする顆粒の製造方法;
[2]被覆顆粒の製造方法である上記[1]記載の方法;
[3]約60℃以上に加温することを特徴とする上記[1]記載の製造方法;
[4]約65℃以上に加温することを特徴とする上記[1]記載の製造方法;
[5]保持時間が約3分以上である上記[1]記載の製造方法;
[6]核に結合液を噴霧しながら、生理活性物質を含有する主薬散布剤を散布する際の散布速度が核1gに対し約90mg/min以上の速度であり、遠心流動型コーティング造粒装置単位面積当たりの仕込み総重量(すなわち、核と主薬散布剤とを合わせた重量)が約1.5 g/cm2以上であることを特徴とする主薬顆粒の遠心流動造粒方法;
[7]主薬散布剤の散布速度が約90〜約250mg/minである上記[6]記載の方法;
[8]核1gに対する主薬散布速度/線速の値が0.27〜2である上記[6]記載の方法;
[9]遠心流動型コーティング造粒装置単位面積当たりの仕込み総重量が約1.5〜約6g/cm2である上記[6]記載の方法;および
[10]上記[1]記載の製造方法または上記[6]記載の造粒方法により得られる顆粒等を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明における生理活性物質の溶出変動の改善方法は、生理活性物質を含有する顆粒の製造工程において、顆粒の温度を所定温度に加温し、当該温度に一定時間保持するだけで生理活性物質の溶出プロファイルのばらつきを低減でき、薬物の安定した有効血中濃度を維持するような製剤設計が容易となる。これによって、極めて狭い製造条件範囲での製造を行うことなく、安定した溶出プロファイルを提供する顆粒の製造が可能となり、工業的実施において、スケールアップも容易であり、かつ一貫した品質を保証することができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の生理活性物質としては毒性が低い薬剤が使用され、自体公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体とともに混合・造粒した顆粒の製造方法に関し、該顆粒はそのまま顆粒剤として、あるいはカプセル剤、錠剤、口腔内崩壊錠、徐放剤等の製剤として、経口的に安全に投与することができる。
本明細書において、「顆粒」とは、粒子の平均粒子径が、50μmから5mm、好ましくは100μmから3mm、さらに好ましくは100μmから2mmの粒子をさす。日抗基(1993)で規定される細粒(粒剤のうち全量の95%以上が500μmのふるいを通過する製剤)も上記「顆粒」に含まれることとする。
本発明の目的は、生理活性物質を含有する顆粒からの主薬の溶出プロファイルのばらつきを改善することであるから、かかる改善が必要とされる顆粒の製造に使用することができる。従って、本発明に使用される生理活性物質としては、製造毎あるいはロット毎の溶出性のばらつきをコントロールすることが要求される生理活性物質であればよく、特に限定されるものではないが、例えば中枢神経系薬物、循環器系薬物、呼吸器系薬物、消化器系薬物、抗生物質、代謝系薬物、ビタミン系薬物、制酸剤などが挙げられる。数種(2〜3種)の生理活性物質を用いてもよい。
生理活性物質としては、例えば後述するランソプラゾールとその光学活性体等のイミダゾール系化合物またはその塩、とりわけベンズイミダゾール系化合物、またはイミダゾール系化合物誘導体もしくはそれらの塩またはそれらの光学活性体であるプロトンポンプインヒビター(PPI)などが挙げられる。
【0009】
本発明の顆粒の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が挙げられ、例えば、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、水溶性高分子、塩基性無機塩等があげられる。また、必要に応じて、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、酸味剤、発泡剤、香料等の添加物を用いることもできる。
該「賦形剤」としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、でんぷん、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、酸化チタン等が挙げられる。
該「滑沢剤」としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸等が挙げられる。
該「結合剤」としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末、ゼラチン、プルラン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
該「崩壊剤」としては、(1)クロスポビドン、(2)クロスカルメロースナトリウム(FMC−旭化成)、カルメロースカルシウム(五徳薬品)等スーパー崩壊剤と称される崩壊剤、(3)カルボキシメチルスターチナトリウム(例、松谷化学(株)製)、(4)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(例、信越化学(株)製)、(5)コーンスターチ等が挙げられる。該「クロスポビドン」としては、ポリビニルポリピロリドン(PVPP)、1−ビニル−2−ピロリジノンホモポリマーと称されているものも含め、1−エテニル−2−ピロリジノンホモポリマーという化学名を有し架橋されている重合物のいずれであってもよく、具体例としては、コリドンCL(BASF社製)、ポリプラスドンXL(ISP社製)、ポリプラスドンXL−10(ISP社製)、ポリプラスドンINF−10(ISP社製)等である。
【0010】
該「水溶性高分子」としては、例えば、エタノール可溶性水溶性高分子〔例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(以下、HPCと記載することがある)等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン等〕、エタノール不溶性水溶性高分子〔例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、HPMCと記載することがある)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、グアーガム等〕等が挙げられる。
該「塩基性無機塩」としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよび/またはカルシウムの塩基性無機塩が挙げられる。好ましくはマグネシウムおよび/またはカルシウムの塩基性無機塩である。さらに好ましくはマグネシウムの塩基性無機塩である。該ナトリウムの塩基性無機塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム等が挙げられる。該カリウムの塩基性無機塩としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。該マグネシウムの塩基性無機塩としては、例えば、重質炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト〔Mg6Al2(OH)16・CO3・4H2O〕および水酸化アルミナ・マグネシウム、好ましくは、重質炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。該カルシウムの塩基性無機塩としては、例えば、沈降炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
該「防腐剤」としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
【0011】
該「抗酸化剤」としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等が挙げられる。
該「着色剤」としては、例えば、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号等の食用色素;食用レーキ色素、ベンガラ等が挙げられる。
該「甘味剤」としては、例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン等が挙げられる。
該「酸味剤」としては、例えば、クエン酸(無水クエン酸)、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられる。
該「発泡剤」としては、例えば、重曹等が挙げられる。
該「香料」としては、合成物および天然物のいずれでもよく、例えば、レモン、ライム、オレンジ、メントール、ストロベリー等が挙げられる。
【0012】
顆粒中の賦形剤の含量は、特に限定されないが、例えば約20〜99.9重量%、好ましくは約40〜95重量%などである。
顆粒中の滑択剤の含量は、特に限定されないが、例えば約0.01〜3重量%、好ましくは約0.05〜2重量%などである。
顆粒中の結合剤の含量は、例えば0.1〜10重量%、好ましくは約1〜5重量%などである。
顆粒中の崩壊剤の含量は、例えば約0.1〜30重量%、好ましくは約3〜25重量%などである。
顆粒中の水溶性高分子の含量は、例えば0.1重量〜50重量%、好ましくは1〜30重量%などである。
顆粒中の塩基性無機塩の含量は、例えば0.1重量〜30重量%、好ましくは1〜20重量%などである。
顆粒中の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、酸味剤、発泡剤、香料の含量は、必要に応じて使用されるが、例えばそれぞれ約0.0001〜3重量%程度である。
【0013】
本発明の方法により製造される顆粒は、自体公知の方法に従い、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤または滑沢剤等の上記担体を添加して圧縮成形などにより造粒し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法でコーティングすることにより経口投与製剤とすることができる。腸溶性製剤とする場合、腸溶層と薬剤含有層との間に両層の分離を目的として、自体公知の方法により中間層を設けることもできる。
【0014】
本発明の製造方法は、生理活性物質を含有する顆粒の製造工程において、顆粒の温度を約50℃以上に加温し、当該温度に約1分以上保持することを特徴とする。「当該温度に約1分以上保持」とは当該温度に保持される時間の合計が1分以上(好ましくは3分以上)であることを意味し、連続的に1分以上(好ましくは3分以上)保持される場合に加え、断続的に当該温度に保持され合計として1分以上(好ましくは3分以上)保持される場合も含まれる。
ここで、上記「当該温度」とは、加温された顆粒の温度を意味し、本発明においては50℃以上、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上であり、温度の上限値は薬剤の安定性を損なわない温度範囲から選択される。
なお、「顆粒の温度」とは、顆粒の製造装置あるいは温度制御装置によってコントロールされる給気温度や排気温度などの装置システム上の設定温度ではなく、顆粒自体の温度、いわゆる「品温」を意味する。
加温するタイミングは特に限定されず、
(1)生理活性物質と上記担体とを添加し、混合する工程、
(2)造粒工程中、あるいは
(3)造粒工程後
のいずれの時期に加温してもよい。
特に、造粒工程後に加温するのが好ましい。
加温すべき望ましい温度は、約50℃〜約80℃、より好ましくは約65℃〜約75℃である。
加温した後に当該温度に保持する望ましい時間は、約1分以上(好ましくは3分以上)であれば主薬の安定性に影響がない限り特に限定されないが、約1分〜約6時間、好ましくは約1分〜約3時間、より好ましくは約1分〜約1時間、特に好ましくは約3分〜約30分である。
ここで「保持する」とは、上記した所定の温度範囲、すなわち約50℃以上、好ましくは約50℃〜約80℃、より好ましくは約65℃〜約75℃の温度範囲内に一定時間保てばよく、同一の温度で保つ場合に加え、上記温度範囲内であれば昇温あるいは降温させてもよい。「保持する」とは上記した「所定の温度範囲」に保持される時間の合計を意味し、連続的に所望の時間以上保持される場合に加え、断続的に所定の温度範囲に保持され合計として所望の時間以上保持される場合も含まれる。
本発明にしたがって所定温度に加温し、当該温度に一定時間保持しても薬剤の安定性を損なわない範囲で当該加温すべき温度およびその保持時間は選択される。
造粒手段としては特に限定されず、自体公知の乾式造粒法、押し出し造粒もしくは転動造粒などの湿式造粒法、噴霧法などにより製造することができる。
乾式造粒法としては、原料粉末をそのまま、または上記した適当な結合剤などと混合し、強圧により小塊とし、これを適当に破砕して造粒する工程を含む。
湿式造粒法としては、原料粉末に上記した適当な結合剤の溶液あるいは懸濁液を加え、混合後、造粒・乾燥・整粒などの工程を含む。湿らせた原料粉末に振動または回転運動を与えて、転動により緻密な球形粒子としてもよい。
噴霧法としては、スラリー状の原料をノズルまたは回転円板により微小液滴として噴霧し、これに熱風を吹き付けて乾燥する工程を含む。
【0015】
本発明の製造方法を適用できる顆粒の好ましい態様は被覆顆粒である。
「被覆」とは、被覆の対象である核顆粒(細粒状の核を含む。以下、「核顆粒」は「核粒」と称する場合がある。)の表面全体を被覆する場合に限らず、部分的に被覆する場合や、吸着または吸収されている場合も含む意味に用いる。
核顆粒は主薬である生理活性物質を含んでいてもよいが、主薬を含む被覆層により、薬物の放出性をコントロールできるので、核は生理活性物質を含んでいなくてもよい。
核顆粒は、被覆のバラツキを小さくすると共に、被覆量を多くするため、球状であるのが好ましい。
ここで「球状」とは、真球状に限らず、断面楕円状、なす型状、液滴状などの曲面を有する形状も含む意味に用いる。
核顆粒の粒子径は、実質的に5000μm以下であればよく、50〜5000μm、好ましくは100〜3000μm、より好ましくは200〜2000μm程度である。
このような粒子径を有する核顆粒としては、例えば、前記した生理活性物質と薬理学的に許容される担体を混合し、造粒して得られる顆粒(主薬顆粒)が挙げられる。
被覆(コーティング)に用いるコーティング剤としては特に限定されないが、例えばエタノールのような低級アルコール、水またはこれらの混液中に疎水性物質、可塑性賦形剤、腸溶性高分子物質から選ばれる1種又は2種以上の物質を混合・分散して調製したものが使用される。その他には、エチルセルロース、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、メタアクリル酸コポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロースプタレート等のコーティング液を使用してもよい。
疎水性物質としてはエチルセルロース、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー又はカルボキシビニルポリマー等が挙げられる。
可塑性賦形剤としてはクエン酸トリエチル、グリセリン脂肪酸エステル類、セタノール、硬化ヒマシ油、硬化ナタネ油、カルナバロウ等が挙げられる。
腸溶性高分子物質としてはメタアクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロースまたは酢酸フタル酸セルロース等が挙げられる。
コーティング方法としては、通常のコーティング方法により実施することができ、例えば流動層コーティング法などによりスプレーコーティングすることができる。更に、これらのコーティング固形物を圧縮成形することによっても、本発明の顆粒を製造することができる。
【0016】
被覆顆粒の製造においては例えば、核として、ノンパレル(ノンパレル-101(粒径850-710、710‐500、500‐355μm)、ノンパレル-103(粒径850-710、710‐500、500‐355μm)、ノンパレル-105(粒径710‐500、500‐355、300‐180μm)、Freund社製)、セルフィア(CP−507(粒径500-710μm)、CP−305(粒径300-500μm)、旭化成(株)製)などの不活性担体を用いることもできる。
当該不活性担体の核に、水溶性高分子と生理活性物質を含む混合液を噴霧して被覆顆粒(主薬顆粒)を得ることができる。
混合液は、溶液であってもよく、分散液であってもよい。混合液は、水、エタノールなどの有機溶媒またはこれらの混液を用いて調製できる。
水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(以下、HPCと記載することがある)、ポリビニルピロリドンなどのエタノール可溶性の水溶性高分子;ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、HPMCと記載することがある)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、グアーガムなどのエタノール不溶性の水溶性高分子が挙げられる。なお、エタノール可溶性の水溶性高分子とエタノール不溶性の水溶性高分子とを併用したり、粘度の異なる水溶性高分子を併用することにより、薬物の溶出性をコントロールできる。
混合液中の水溶性高分子の濃度は、薬物及び添加剤の割合により異なるが、通常、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜10重量%程度である。
薬物を含む被覆層は、顆粒の強度を増すため、例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(以下、L−HPCと記載する)や、その他の添加剤を含んでいてもよい。
該添加剤としては、例えば、乳糖、コーンスターチ、ショ糖、タルク、結晶セルロース、マンニトール、軽質無水ケイ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、L−システィンなどの賦形剤;アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリン、アラビアゴムなどの結合剤;カルボキシメチルセルロースカルシウム、デンプン類、クロスリンクドカルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスリンクドインソルブルポリビニルピロリドンなどの崩壊剤;酸化チタン、ベンガラ、タール色素などの着色剤などが挙げられる。これらの添加剤は2種以上用いてもよい。
HPC及び/又はHPMCなどの水溶性高分子の含量は、顆粒中の薬物の溶出性をコントロールできる範囲であればよく、例えば、0.1重量〜50重量%、好ましくは1〜30重量%程度である。
水溶性高分子、例えばHPC及び/又はHPMCの粘度のグレードや含有量、およびエタノール可溶性の水溶性高分子(例えばHPC)とエタノール不溶性の水溶性高分子(例えばHPMC)との比率を選択することにより、薬物の溶出性をコントロールできる。また、薬物の溶解する液性の影響が余りなく、溶出性を適当にコントロールできる。
核顆粒に対する被覆層の割合は、生理活性物質の溶出性を制御できる範囲で選択でき、例えば、核100重量部に対して、5〜400重量部程度であるが、この限りではない
なお、被覆層は複数の層で形成されていてもよく、複数の被覆層の少なくとも1つの層が生理活性物質を含有していればよい。
この場合、水溶性高分子の配合割合や粘度のグレードを選定したり、生理活性物質や他の添加剤の割合が変化した混合液を用いて順次被覆し、各層の生理活性物質濃度を連続的にまたは段階的に変動させてもよい。さらには、複数の層間に、公知の方法により非活性の被膜(中間被覆層)を形成し、生理活性物質を含む各層間を遮断してもよい。
配合性が悪い2種以上の生理活性物質を配合する場合、それぞれの混合液を同時にまたは別々に使用して、核を被覆してもよい。
【0017】
被覆顆粒(主薬顆粒)を製造する他の方法においては、水溶性高分子を含有する溶液あるいは分散液を核(例えば前記した不活性担体など)に噴霧しながら、生理活性物質及び/又は添加剤を混和した粉末散布剤を散布してもよい。
粉末散布剤に生理活性物質を混和させる場合は、水溶性高分子を含有する溶液あるいは分散液には生理活性物質を含んでいてもよいが、含んでいなくてもよい。この方法では、粉末状散布剤を散布するという簡単な操作で被覆層を形成できる。
散布剤の平均粒度は、一般に約100μm以下、好ましくは約50μm以下である。
粉末状散布剤の散布により得られる被覆顆粒は、さらに一層あるいは複数の層で被覆してもよい。粉末状散布剤の散布により得られる被覆顆粒は生理活性物質を含有するが、被覆顆粒をさらに被覆する場合には当該被覆層にも生理活性物質を含有していてよい。
さらには、複数の層間に、公知の方法により非活性の被膜(中間被覆層)を形成し、薬物を含む各層間を遮断してもよい。
【0018】
前記の方法により核を混合液や散布剤などで被覆することにより、造粒が行なわれる。造粒温度は、生理活性物質の安定性を損わない範囲で行なわれる。
生理活性物質の安定性が高い場合には、通常、混合液や散布剤の温度は特に調整する必要はなく、一般に1〜30℃程度の室温で行なうことができる。
核を被覆する方法は特に制限されず、例えば、遠心転動型コーティング造粒装置(以下、遠心転動造粒装置と称する場合がある)、遠心流動型コーティング造粒装置(CF装置と称する場合がある)、流動型コーティング造粒装置、転動流動型コーティング装置(複合型流動コーティング装置と称する場合がある)、撹拌造粒装置などの慣用の設備が使用できる。
特に、遠心流動型コーティング造粒装置による遠心流動造粒方法により製造するのが好ましい。
遠心流動型コーティング造粒装置の具体例としては、例えばフロイント社製のCFグラニュレーターなどが挙げられるが、この限りではない。
遠心転動型コーティング造粒装置の具体例としては、例えばフロイント社製のグラニュレックスが挙げられるが、この限りではない。
流動型コーティング造粒装置の具体例としては、例えばフロイント社製のフローコーターが挙げられるが、この限りではない。
転動流動型コーティング装置の具体例としてはフロイント社製のスパイラフロー、パウレック社製のマルチプレックスなどが挙げられるが、この限りではない。
【0019】
本発明は、顆粒の製造工程において、顆粒の温度を一定温度に加温し、当該温度に一定時間保持することにより、薬物の放出プロファイルのばらつきを低減できることを見出したものであるが、特に工業的スケールで遠心流動造粒方法によって核顆粒を散布剤で被覆する場合には、遠心流動型コーティング造粒時における仕込み重量(すなわち、核と主薬散布剤とを合わせた重量)や散布剤の散布速度またはローター回転数を調整することによっても顆粒からの薬物放出プロファイルのばらつき低減という本発明の目的を達成することができる。
すなわち、本発明は、
(1)核に結合液を噴霧しながら、生理活性物質を含有する主薬散布剤を散布する際の散布速度が核1gに対し約90mg/min以上の速度であることを特徴とする主薬顆粒の遠心流動造粒方法、
(2)主薬散布剤の散布速度が約90〜約250mg/minである上記(1)記載の方法、
(3)主薬散布剤を核に対して2倍重量以上散布することを特徴とする上記(1)記載の方法、
(4)主薬散布剤が生理活性物質、塩基性無機塩、結合剤、崩壊剤および賦形剤の混合物である上記(1)記載の方法、
(5)核が乳糖または/および結晶セルロースの球形造粒品である上記(1)記載の方法、
(6)遠心流動型コーティング造粒装置単位面積当たりの仕込み総重量が約6g/cm2以下(好ましくは約1.5〜約6g/cm2)であることを特徴とする主薬顆粒の遠心流動造粒方法、
(7)遠心流動型コーティング造粒装置単位面積当たりの仕込み総重量が約6g/cm2以下であることを特徴とする上記(1)記載の方法、
(8)核1gに対する主薬散布速度/線速の値が0.27〜2である上記(1)記載の方法
も提供するものである。
遠心流動造粒方法とは一般的にローターの回転による遠心力とスリットエアーにより遊星運動させた球形核顆粒あるいは核の表面に、水あるいは結合液を含む溶液をスプレーしながら主薬を含む散布剤をコーティングするもので、真球度が高くかつ粒度分布の狭い球形顆粒が得られる。
「核」としては、例えば、前記した生理活性物質と薬理学的に許容される担体を混合し、造粒して得られる顆粒や、前記した不活性担体などが用いられる。散布剤に生理活性物質を含有する場合には、不活性担体を核に用いるのが好ましい。
「結合液」としては、前記した水溶性高分子を含有する溶液あるいは分散液などが挙げられる。
「主薬散布剤」としては、粉末状の生理活性物質をそのまま、あるいは前記した生理活性物質及び添加剤を混和した粉末散布剤などが挙げられる。
主薬散布剤の散布は、装置の種類にもよるが、通常1分当たりの散布重量により制御され、核1gに対し約90mg/min以上、好ましくは約90〜約250mg/min、より好ましくは約100〜約200mg/min、特に好ましくは約120〜約160mg/minであり、通常の被覆顆粒の製造に用いる散布速度の約1.5〜約5倍の速い速度で散布するのが好ましい。
散布速度は、散布開始時から上記速度で散布をはじめてもよいが、通常は低速度から徐々に上記速度まで上げればよく、また、散布工程中に当該散布速度が多少上下しても差し支えない。
遠心流動型コーティング造粒装置において、原料はローター部分に仕込まれるが、当該装置の単位面積当たりの原料の仕込み総重量は約6g/cm2以下(好ましくは約1.5〜約6g/cm2)、より好ましくは2〜4g/cm2である。「総重量」とは顆粒の製造原料全ての総重量を意味し、例えば、核、主薬散布剤の合計重量を意味する。
遠心流動造粒方法において仕込み総重量が少ない、すなわち小型遠心流動型コーティング造粒装置(単位面積当たりの仕込み総重量が約1.5g/cm2未満で行う)を用いる場合には造粒時のシェアが低く、薬物放出プロファイルのばらつきの原因とならないと考えられることから、本発明は中型遠心流動型コーティング造粒装置以上の大きさの装置(単位面積当たりの仕込み総重量が約1.5g/cm2以上で行う)を用いる遠心流動造粒方法において適用される。
主薬散布剤は、核に対して0.1倍重量以上、好ましくは0.5〜5倍重量、特に好ましくは1〜4倍重量の割合で散布するのが好ましい。
遠心流動造粒法では核を装置のローター部分に投入し、ローターを回転させることで核を流動させる。ローターの回転数は装置の大きさにより異なるが、ローター外周部での速度(線速)には装置の大きさにかかわらず、主薬散布剤の種類により好ましい速度が存在する。例えば、主薬散布剤によっては300m/min以下が望ましい場合があるが、この限りではない。また、主薬散布剤の散布速度により好ましい線速が存在する。すなわち主薬散布剤の散布速度と線速とは補完的な関係にあり、両者の比(核1gに対する主薬散布剤の散布速度/線速)に好ましい値が存在する。例えば主薬散布速度/線速の値が0.27〜2の範囲、好ましくは0.35〜1.5の範囲、より好ましくは0.45〜1の範囲にあることが望ましい。
遠心流動型コーティング造粒時における仕込み重量および/または散布剤の散布速度を上記のように選択した場合には、本発明にかかる、「顆粒の温度を約50℃以上に加温し、当該温度に約1分以上保持する方法」を採用しなくとも、顆粒からの薬物放出プロファイルのばらつき低減という本発明の目的を達成することができるが、これらの方法を組み合わせて採用してもよい。
【0020】
上記のようにして得られた被覆造粒物は乾燥した後、篩により粒度の揃った有核顆粒が得られる。篩としては、例えば12メッシュ(1400μm)の丸篩が使用できる。
乾燥は、例として真空乾燥により、40℃程度で実施されるが、この限りではない。
【0021】
このようにして得られた顆粒(主薬顆粒、中間層被覆顆粒など)には、所望により味のマスキング、腸溶性、胃溶性などを付与するため、慣用の方法によりコーティングを施してもよい。
コーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン80、プルロニックF68、ヒマシ油、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(以下、HP−55と記載する)、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、アクリル酸コポリマー、カルボキシメチルエチルセルロース、ポリビニルアセタルジエチルアミノアセテート、セラック、ワックス類、及びタルク、酸化チタン、ベンガラ等の色素が挙げられる。
【0022】
特に生理活性物質としてPPIを用いる場合には腸溶性被覆することが望ましいが、腸溶性被膜層として、例えば、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HP−55、HP−50(商品名;信越化学(株)製)、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS(商品名;信越化学(株)製)、メタクリル酸メチル・メタクリル酸共重合体(オイドラギットL100(メタクリル酸コポリマーL)もしくはオイドラギットS100(メタクリル酸コポリマーS)(商品名;レーム社製))、〔メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体(オイドラギットL30D−55(メタクリル酸コポリマーLD)(商品名;レーム社製)、コリコートMAE30DP(商品名;BASF社製)、ポリキッドPA30(商品名;三洋化成社製)等からなる層を形成させることが望ましい。
【0023】
本発明の製造方法を被覆顆粒の製造に適用する場合の加温するタイミングは特に限定されない。
核顆粒として、例えば前記した生理活性物質と薬理学的に許容される担体を混合・造粒して得られる顆粒を用いて被覆する場合には、
(1)主薬顆粒の造粒工程中、
(2)主薬顆粒の造粒工程後、所望により形成させる中間層被覆工程前、
(3)所望により形成させる中間層被覆工程中、あるいは被覆工程後、
(4)腸溶性被膜などの各種コーティング工程前、
(5)上記コーティング工程中、
(6)上記コーティング工程後
のいずれの時期に加温してもよい。
なかでも(2)主薬顆粒の造粒工程後、所望により形成させる中間層被覆工程前、(3)所望により形成させる中間層被覆工程中、あるいは被覆工程後、(4)腸溶性被膜などの各種コーティング工程前、(5)上記コーティング工程中、(6)上記コーティング工程後に加温するのが好ましい。
上記したとおり、被覆層は複数の層で形成されていてもよいが、複数層をコーティングする場合、各層のコーティング工程前、コーティング工程中あるいはコーティング工程後のいずれの段階で加温してもよい。
コーティング工程後に顆粒を乾燥させる場合には、乾燥前、乾燥中、または乾燥後に加温してもよい。
本発明の製造方法を被覆顆粒の製造に適用する場合の加温すべき望ましい温度、および加温した後に当該温度に保持する望ましい時間は、前記と同様である。
【0024】
本発明の製造方法を適用できる被覆顆粒のより好ましい態様は、生理活性物質の放出が制御された顆粒である。
「生理活性物質の放出が制御された顆粒」における生理活性物質の放出の制御は、生理活性物質を含有する顆粒を生理活性物質の放出を制御する膜で被覆して、または生理活性物質を放出制御性マトリックス中に分散することによって行う。なお、「生理活性物質の放出が制御された顆粒」には、pHが約5.5程度で溶解する通常の腸溶性被膜で被覆された顆粒を含む。
一方、本明細書において「放出制御被膜」というときは、pH5.5程度で溶解するような通常の腸溶性被膜より、より高いpH領域で溶解するpHに依存して溶解する被膜または膜自体は溶解しないが膜に生じた細孔を通じて生理活性物質を放出する拡散制御膜など、より生理活性物質の放出遅延乃至持続させる機能を有する膜を示し、pH5.5程度で溶解し、腸液中で速やかに溶解して、生理活性物質を放出する通常の腸溶性被覆膜は含まない。尚、ここでいうpHは、McIlvaine溶液あるいはClark−Lubs溶液で調整したpHを意味する。以下pH依存的に溶解する膜のpHは、このpHを意味する。
また、「放出制御被膜」における被膜は、フィルム状の被膜層のみならず、より大きな厚みを持つ被膜層も含み、さらに、完全に内部の核粒もしくは層を被覆する被膜層のみならず、部分的には被覆しない部分はあるが、内部の核粒もしくは層の大部分を被覆する被膜層をも含む(内部の核粒もしくは層の表面の少なくとも80%以上、好ましくは全体を被覆する被膜)。
かかる生理活性物質の放出が制御された顆粒を含有する医薬製剤を経口投与する場合、生理活性物質の消化管からの吸収は、(1)放出制御顆粒による生理活性物質の放出制御および(2)ゲル形成性ポリマーによる顆粒の消化管内滞留延長を利用した2種類のシステムまたはそれらの組み合わせにより調節される。ゲル形成性ポリマーを含有する顆粒は、経口投与された場合、消化管においてゲル形成性ポリマーが急速に水分を吸収することにより、粘着性のゲルを形成してゲル表面あるいはゲル中に顆粒を保持し徐々に消化管を移動する。その間に生理活性物質の放出が制御され、顆粒から生理活性物質が連続的にあるいはパルス的に、制御された方式により放出され、結果として持続した吸収と薬効の発現が得られる。
放出を長時間にわたって制御することにより治療有効濃度の持続を可能にする上記システムは投与回数の低減のみならず、低投与量での治療の有効性および血中濃度の立ち上がりに起因する副作用の軽減などの利点を有する。
本発明の顆粒の製造方法を用いることにより、上記の放出制御システムは製剤毎あるいはロット毎でばらつきなく作動し、安定的に所望の溶出プロファイルを得ることを可能にする。
【0025】
ゲル形成性ポリマーとしては、水と接触することにより急速に高粘度のゲルを形成し、消化管内での滞留性を延長するポリマーであればよい。このようなゲル形成性ポリマーとしては、25℃における5%水溶液の粘度が約3000mPa・s以上のポリマーであるものが好ましい。また、通常ゲル形成性ポリマーが、分子量400000−10000000程度のポリマーが一般に好ましい。このようなゲル形成性ポリマーは粉末状、顆粒状ないしは細粒状のものが製剤化するうえで好適である。このようなゲル形成性ポリマーとしては、ポリエチレンオキサイド(PEO、例えばPolyox WSR303 (分子量7000000)、Polyox WSR Coagulant (分子量5000000)、Polyox WSR 301 (分子量4000000)、Polyox WSR N-60K (分子量2000000)、Polyox WSR 205 (分子量600000) ; Dow Chemical社製)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、Metlose 90SH10000、Metlose 90SH50000、Metlose 90SH30000 、信越化学(株)製)、カルボキシメチルセルロース(CMC−Na、Sanlose F−1000MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC、例えばHPC−H、日本曹達(株)製)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシビニルポリマー(ハイビスワコー(R)103、104、105、和光純薬(株)製;カーボポール943、Goodrich社製)、キトサン、アルギン酸ナトリウム、ペクチンなどが挙げられる。これらは単独または少なくとも2種以上の粉末を適当な比率で混合して用いてもよい。とりわけPEO、HPMC、HPC、CMC−Na、カルボキシビニルポリマーなどがゲル形成性ポリマーとして好ましく用いられる。
【0026】
生理活性物質の放出が制御された顆粒の好ましい1つの態様として、少なくとも1つの生理活性物質を含む核粒上に放出制御膜を被覆した顆粒があげられる。このような有核顆粒を調製するにはノンパレル(ノンパレル-101(粒径850-710、710‐500、500‐355μm)、ノンパレル-103(粒径850-710、710‐500、500‐355μm)、ノンパレル-105(粒径710‐500、500‐355、300‐180μm)、Freund社製)、セルフィア(CP−507(粒径500-710μm)、CP−305(粒径300-500μm)、旭化成(株)製)などの不活性担体を核として、その上に生理活性物質をコーティングした顆粒、あるいは生理活性物質と通常製剤化に用いられる賦形剤などの担体を用いて造粒することにより得られた粒子を核粒として用いることができる。例えば特開昭63−301816に記載の方法によって製造することができる。例えば、不活性担体の核上に生理活性物質をコーティングすることにより核粒を得る場合には、例えば遠心流動造粒機(CF−mini、CF−360、Freund社製)あるいは転動流動造粒装置(パウレック MP−10)などを用い湿式造粒により生理活性物質含有核粒を調製することができるが、この限りではない。また結合剤等を含む溶液を不活性担体の核上に噴霧等によって添加しながら生理活性物質を散布してコーティングしてもよい。製造装置は限定されないが、例えば、後者のコーティングにおいては遠心転動造粒装置等を用いて製造するのが好ましい。上記の2種の装置によるコーティングを組み合わせて実施して生理活性物質を2段階でコーティングしてもよい。
生理活性物質含有核粒を製造する場合に遠心転動造粒装置を使用する場合には前記したような仕込み重量および/または散布剤の散布速度の調整をすることが望ましい。
不活性担体核を用いない場合には、乳糖、白糖、マニトール、コーンスターチ、結晶セルロースなどの賦形剤と生理活性物質をヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、マクロゴール、プルロニックF68、アラビアゴム、ゼラチン、澱粉などの結合剤を用い、必要ならばカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルボキシメチルセルロースナトリウム(Ac-Di-Sol、FMC International社製)、ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどの崩壊剤を加えて撹拌造粒機、湿式押し出し造粒機、流動層造粒機などで製造することにより得られる。
得られた顆粒は篩い分け操作により所望の大きさの粒子を得ることができる。ローラーコンパクターなどによる乾式造粒により核粒を調製してもよい。粒子の大きさとしては5mm以下、好ましくは50μmから5mm、より好ましくは100μmから3mm、さらに好ましくは200μmから2mmの粒子が用いられる。
【0027】
このようにして得られた生理活性物質含有核粒にさらにコーティングを施して中間被覆層を設けて、このような粒子を核粒としてもよい。主薬が、例えば、PPIなど酸に対して不安定な薬物である場合など、中間被覆層を設けて生理活性物質含有核粒と放出制御膜との直接の接触を遮断することは、薬剤の安定性の向上を図る上で好ましい。このような中間被覆層は複数の層で形成されていてもよい。
中間被覆層用のコーティング物質としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、TC-5等)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどの高分子基剤に、ショ糖〔精製白糖(粉砕したもの(粉糖)や粉砕しないもの)等〕、コーンスターチなどの澱粉糖、乳糖、蜂蜜および糖アルコール(D−マンニトール,エリスリトールなど)等の糖類を適宜配合したものなどが挙げられる。中間被覆層には、この外にも下記する製剤化を行うため必要により添加される賦形剤(例、隠蔽剤(酸化チタン等)、静電気防止剤(酸化チタン、タルク等))を適宜加えてもよい。
中間被覆層の被覆量は、主薬を含有する顆粒1重量部に対して、通常、約0.02重量部〜約1.5重量部、好ましくは約0.05〜約1重量部である。被覆は常法によって行える。例えば,これらの中間層被覆層成分を精製水などで希釈し、液状として散布して被覆するのが好ましい。その際、ヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤を噴霧しながら行うのが好ましい。
【0028】
放出制御顆粒としては、このような核粒上に、pH依存的に溶解/溶出し、放出を制御するコーティング物質を被覆して放出制御被膜を設けた顆粒が好ましい。ここで、「pH依存的」とは、一定のpH以上の環境で溶解/溶出し、生理活性物質を放出することをいう。通常の腸溶コーティングではpH5.5程度で溶出し、薬物の放出が開始するが、ここで用いられるコーティング物質としては、より高いpH(好ましくはpH6.0以上7.5以下、より好ましくはpH6.5以上7.2未満のpH)で溶出し、胃での薬物放出をより抑制する物質が好ましい。
このような生理活性物質の放出をpH依存的に制御するためのコーティング物質としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HP−55, HP−50、信越化学(株)製)、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC、フロイント産業(株)製)、メタクリル酸メチル・メタクリル酸共重合体(Eudragit L100(メタクリル酸コポリマーL)もしくはEudragitS100(メタクリル酸コポリマーS)、Rohm社製)、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体(Eudragit L100−55(乾燥メタクリル酸コポリマーLD)もしくはEudragitL30D−55(メタクリル酸コポリマーLD)、Rohm社製)、メタクリル酸・アクリル酸メチル・メタクリル酸メチル共重合体(Eudragit FS30D、Rohm社製)、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS 信越化学(株)製)、ポリビニルアセテートフタレート、シェラックなどのポリマーが用いられる。生理活性物質の放出条件が異なる2種類以上の放出制御被膜を有する顆粒としてもよく、上記したコーティング物質としてのポリマーを単独で、あるいは少なくとも2種以上のポリマーを組み合わせてコーティングしてもよく、または少なくとも2種以上のポリマーを順次コーティングして多層にしてもよい。好ましくはpH>6.0以上、より好ましくはpH>6.5、さらに好ましくはpH6.75以上で溶解するように、コーティング物質を単独であるいは必要により組み合わせて用いるのが望ましい。また、pH6.0以上で溶解するポリマーとpH7.0以上で溶解するポリマーを組み合わせて用いるのがより望ましく、pH6.0以上で溶解するポリマーとpH7.0以上で溶解するポリマーを1:0.5−1:5の割合で組み合わせて用いるのがさらに望ましい。
さらにコーティングには必要に応じてポリエチレングリコール、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、トリアセチン、クエン酸トリエチルなどの可塑剤、安定化剤などを用いてもよい。コーティング物質の量は核粒に対して5%−200%、好ましくは20%−100%、より好ましくは30%−60%が望ましい。このようにして得られた生理活性物質放出制御顆粒からの生理活性物質の溶出はpH6.0液中での溶出率が5時間で10%以下、pH6.8液中での溶出率が1時間で5%以下でかつ8時間で60%以上であることが望ましい。
このようにして得られた生理活性物質放出制御顆粒上に、ポリエチレンオキサイド(PEO、例えばPolyox WSR303 (分子量7000000)、Polyox WSR Coagulant (分子量5000000)、Polyox WSR 301 (分子量4000000)、Polyox WSR N-60K (分子量2000000)、Polyox WSR 205 (分子量600000) ; Dow Chemical社製)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、Metlose 90SH10000、Metlose 90SH50000、Metlose 90SH30000 、信越化学(株)製)、カルボキシメチルセルロース(CMC−Na、Sanlose F−1000MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC、例えばHPC−H、日本曹達(株)製)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシビニルポリマー(ハイビスワコー(R)103、104、105、和光純薬(株)製;カーボポール943、Goodrich社製)、キトサン、アルギン酸ナトリウム、ペクチンなど水と接触することにより粘性を生じる物質を被覆した顆粒を放出制御顆粒(以下単に放出制御顆粒と称することがある)としてもよい。
【0029】
放出制御顆粒としては、生理活性物質を含有する核粒上に、拡散により生理活性物質放出を制御する作用を奏する拡散制御膜でコーティングを施す形態にしてもよい。このような拡散制御膜としてはアクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体(Eudragit RS (アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS)もしくは Eudragit RL(アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRL)、Rohm社製)、メタクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体(Eudragit NE30D、Rohm社製)、エチルセルロースなどが挙げられる。またこれらの膜は適当な比率で混合してもよく、HPMC、HPC、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール6000、乳糖、マニトール、有機酸などの親水性ポア形成物質と一定の比率で混合して用いることもできる。
【0030】
さらに一定のラグタイム後に生理活性物質が放出されるように制御した顆粒を得るには、上記の拡散制御膜をコーティングする前に、崩壊剤等の膨潤性物質をあらかじめコーティングして生理活性物質含有核粒と放出制御被膜との間に崩壊剤層を設ける。例えば、生理活性物質を含む核粒上にクロスカルメロースナトリウム (Ac−Di−Sol、FMC International社製)、カルメロースカルシウム(ECG505、五徳薬品製)、クロスポビドン(ISP Inc)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC、信越化学(株)製)などの膨潤性物質を1次コーティングし、さらにアクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体(Eudragit RS もしくはEudragit RL、Rohm社製)、メタクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体(Eudragit NE30D、Rohm社製)、エチルセルロースなどを単独もしくは混合して、さらにはHPMC、HPC、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール6000、乳糖、マニトール、有機酸などの親水性ポア形成物質と一定の比率で混合した拡散制御膜を2次コーティングするのが好ましい。このような2次コーティング物質としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HP−55, HP−50、信越化学(株)製)、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC、フロイント産業(株)製)、メタクリル酸メチル・メタクリル酸共重合体(Eudragit L100(メタクリル酸コポリマーL)もしくはEudragitS100(メタクリル酸コポリマーS)、Rohm社製)、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体(Eudragit L100−55(乾燥メタクリル酸コポリマーLD)もしくはEudragitL30D−55(メタクリル酸コポリマーLD)、Rohm社製)、メタクリル酸・アクリル酸メチル・メタクリル酸メチル共重合体(Eudragit FS30D、Rohm社製)、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS 信越化学(株)製)、ポリビニルアセテートフタレート、シェラックなどのpH依存的に生理活性物質を放出する腸溶性ポリマーでもよい。コーティング物質の量は核粒に対し1%−200%、好ましくは20%−100%、より好ましくは30%−60%が望ましい。
【0031】
さらにコーティングには必要に応じてポリエチレングリコール、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、トリアセチン、クエン酸トリエチルなどの可塑剤、安定化剤などを用いてもよい。このようにして得られた生理活性物質放出制御錠剤、顆粒あるいは細粒上に、ポリエチレンオキサイド(PEO、例えばPolyox WSR303 (分子量7000000)、Polyox WSR Coagulant (分子量5000000)、Polyox WSR 301 (分子量4000000)、Polyox WSR N-60K (分子量2000000)、Polyox WSR 205 (分子量600000) ; Dow Chemical社製)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、Metlose 90SH10000、Metlose 90SH50000、Metlose 90SH30000 、信越化学(株)製)、カルボキシメチルセルロース(CMC−Na、Sanlose F−1000MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC、例えばHPC−H、日本曹達(株)製)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシビニルポリマー(ハイビスワコー(R)103、104、105、和光純薬(株)製;カーボポール943、Goodrich社製)、キトサン、アルギン酸ナトリウム、ペクチンなど水と接触することにより粘性を生じる物質を被覆した顆粒を放出制御顆粒としてもよい。
【0032】
生理活性物質の放出条件が異なる2種類以上の放出制御膜を有する顆粒において、該放出制御被膜間に生理活性物質を含有する層を設けてもよい。このような放出制御被膜間に生理活性物質を含む多層構造の態様として、放出制御被膜により生理活性物質の放出が制御された顆粒上に生理活性物質をコーティングし、その後放出制御被膜をさらにコーティングした顆粒が挙げられる。
【0033】
少なくとも1つの生理活性物質の放出が制御された顆粒のもう1つの形態としては、生理活性物質が放出制御性マトリックス中に分散した顆粒であってもよい。このような放出制御顆粒は、硬化ヒマシ油、硬化ナタネ油、ステアリン酸、ステアリルアルコールなどのワックス類やポリグリセリン脂肪酸エステルなどの疎水性担体中に生理活性物質を均一に分散させることによって製造することができる。マトリックスとは担体中に生理活性物質が均一に分散している組成物のことであり、必要ならば、製剤調製に一般的に用いられる乳糖、マニトール、コーンスターチ、結晶セルロースなどの賦形剤を生理活性物質とともに分散させてもよい。さらにこのマトリックス中に生理活性物質、賦形剤とともに水と接触することにより粘性のゲルを生じるポリオキシエチレンオキサイド、架橋型アクリル酸ポリマー(ハイビスワコー(R)103,104,105、カーボポール)、HPMC、HPC、キトサンなどの粉末を分散させてもよい。
調製方法としては、スプレードライ、スプレーチリング、熔融造粒などの方法により調製することができる。
このようにして得られた生理活性物質放出制御顆粒上に、ポリエチレンオキサイドポリエチレンオキサイド(PEO、例えばPolyox WSR303 (分子量7000000)、Polyox WSR Coagulant (分子量5000000)、Polyox WSR 301 (分子量4000000)、Polyox WSR N-60K (分子量2000000)、Polyox WSR 205 (分子量600000) ; Dow Chemical社製)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、Metlose 90SH10000、Metlose 90SH50000、Metlose 90SH30000 、信越化学(株)製)、カルボキシメチルセルロース(CMC−Na、Sanlose F−1000MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC、例えばHPC−H、日本曹達(株)製)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシビニルポリマー(ハイビスワコー(R)103、104、105、和光純薬(株)製;カーボポール943、Goodrich社製)、キトサン、アルギン酸ナトリウム、ペクチンなど水と接触することにより粘性を生じる物質を被覆した顆粒を放出制御顆粒としてもよい。このような水と接触することにより粘性を生じる物質を被覆に用いる他にさらにカプセル剤等の同一製剤中に共存させてもよい。
放出が制御された顆粒は上記したような各種の放出制御性膜や放出制御性マトリックスなどを組み合わせて有する形態にしてもよい。
生理活性物質の放出が制御された顆粒の大きさとしては、50μmから5mm、好ましくは100μmから3mm、さらに好ましくは100μmから2mmの粒子が用いられる。最も好ましくは約100−1500μmの顆粒である。
【0034】
さらに製剤化を行うための賦形剤(例えば、ぶどう糖、果糖、乳糖、蔗糖、D−マンニトール、エリスリトール、マルチトール、トレハロース、ソルビトール、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、結晶セルロース、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなど)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、部分α化デンプン、α化デンプン、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアゴム末、ゼラチンなど)、崩壊剤(例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルスターチなど)、矯味剤(例えば、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、グルタミン酸ナトリウム、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウムなど)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート(ポリソルベート80など)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、香料(例えば、レモン油、オレンジ油、メントール、はっか油など)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、蔗糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコールなど)、着色剤(例えば、酸化チタン、食用黄色5号、食用青色2号、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄など)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、L−システイン、亜硫酸ナトリウムなど)、隠蔽剤(例えば、酸化チタンなど)、静電気防止剤(例えば、タルク、酸化チタンなど)などの添加剤を用いることができる。
これらに用いられる原料の粒子径については特に制限がないが、製造性や服用性の観点から約500μm以下の粒子が好ましい。
【0035】
このようにして得られた顆粒は、消化管滞留性のゲル形成性ポリマーと混合して、そのまま投与してもよく、あるいはカプセルに充填することによりカプセル剤とすることもできる。放出制御顆粒に対する消化管滞留性ゲル形成性ポリマーの量は0.1%−100%、好ましくは2%−50%、より好ましくは10%−40%、さらに好ましくは10%−35%が望ましい。
このようにして得られる医薬組成物は、少なくとも6時間、好ましくは8時間、より好ましくは12時間、さらに好ましくは16時間の間、治療効果を発揮するような放出制御システムによる薬効持続性の組成物である。
【0036】
上記したような放出制御顆粒の製造における顆粒の加温するタイミングは特に限定されず、
(1)生理活性物質含有核粒の造粒中、
(2)生理活性物質含有核粒の造粒後、所望により形成させる中間被覆層のコーティング前、
(3)所望により形成させる中間被覆層のコーティング中、コーティング後、
(4)核粒上に放出制御被膜をコーティングする工程前、工程中または工程後
のいずれの時期に加温してもよい。
なかでも、(2)生理活性物質含有核粒の造粒後、所望により形成させる中間被覆層のコーティング前、(3)所望により形成させる中間被覆層のコーティング中または後、(4)核粒上に放出制御被膜をコーティングする工程前、工程中または工程後が好ましい。
上記したとおり、放出制御被膜は、pH依存溶解性放出制御被膜、拡散制御膜のいずれであってもよく、複数層をコーティングする場合には、各層のコーティング工程前、コーティング工程中あるいはコーティング工程後のいずれの段階で加温してもよい。
コーティング工程後に顆粒を乾燥させる場合には、乾燥前、乾燥中、または乾燥後に加温してもよい。
また、生理活性物質が放出制御性マトリックス中に分散した顆粒を製造する場合には、生理活性物質を放出制御性マトリックス中に分散させる工程中あるいは工程後に加温してもよく、さらにその後の所望の被覆工程前、工程中、工程後に加温してもよい。
本発明の製造方法を被覆顆粒の製造に適用する場合の加温すべき望ましい温度、および加温した後に当該温度に保持する望ましい時間は、前記と同様である。
【0037】
すなわち、本発明は
(1)生理活性物質を含有する被覆顆粒の製造工程において、顆粒の温度を約50℃以上に加温し、当該温度に約1分以上保持することを特徴とする被覆顆粒の製造方法、
(2)生理活性物質を含有する被覆顆粒が、有核顆粒である上記(1)記載の製造方法、
(3)被覆が、生理活性物質を含有する核粒上に形成させる中間被覆層の被覆である上記(1)記載の製造方法、
(4)被覆が、生理活性物質を含有する顆粒上に形成させる腸溶性被膜の被覆である上記(1)記載の製造方法、
(5)被覆が、生理活性物質を含有する顆粒上に形成させる放出制御被膜の被覆である上記(1)記載の製造方法、
(6)放出制御被膜が、pH依存溶解性放出制御被膜である上記(5)記載の製造方法、
(7)pH依存溶解性放出制御被膜がpH5.0以上pH7.5以下の範囲で溶解する高分子物質を含有する放出制御被膜である上記(6)記載の製造方法、
(8)高分子物質がメタアクリル酸共重合体である上記(7)記載の製造方法、
(9)放出制御被膜が拡散制型放出制御被膜である上記(5)記載の製造方法、
(10)腸溶性被膜が主薬顆粒(生理活性物質を含有する顆粒)上に形成された中間被覆層を介して形成されていることを特徴とする上記(4)記載の製造方法、
(11)放出制御被膜が主薬顆粒上に形成された中間被覆層を介して形成されていることを特徴とする上記(5)記載の製造方法を包含する。
【0038】
本発明の製造方法で好ましく使用される生理活性物質としては、薬効領域にかかわらず適用することができるが、例えば胃炎、胃食道逆流症、胃・十二指腸潰瘍等の治療薬であるランソプラゾールおよびその光学活性体(R体およびS体、好ましくはR体)、オメプラゾールおよびその光学活性体(S体:エスオメプラゾール)、ラベプラゾールおよびその光学活性体、パントプラゾールおよびその光学活性体などで代表されるベンズイミダゾール系プロトンポンプインヒビター(PPI)およびテナトプラゾールなどで代表されるイミダゾピリジン系PPIなどが挙げられる。
とりわけ、ランソプラゾールとその光学活性体等の下記一般式(I’)で表されるイミダゾール系化合物、とりわけ(I)で表されるベンズイミダゾール系化合物、または後記一般式(II)、(III)で表されるイミダゾール系化合物誘導体(プロドッラグタイプPPI)もしくはそれらの塩またはそれらの光学活性体であるPPIなどが挙げられる。
【化1】

式中、環C’は置換基を有していてもよいベンゼン環または置換基を有していてもよい芳香族単環式複素環を、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアラルキル基、アシル基またはアシルオキシ基を、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいアミノ基を、およびYは窒素原子またはCHを示す。
上記式(I’)で表される化合物のうち、特に、環C’が置換基を有していてもよいベンゼン環である化合物については下記式(I)で表す。
【化2】

すなわち、式(I)中、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環を示し、R、R、R、RおよびYは上記式(I’)におけると同意義である。
前記式(I)において、好ましい化合物は、環Aが、ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1-4アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC1-4アルコキシ基および5または6員複素環基から選ばれた置換基を有していてもよいベンゼン環であり、Rは水素原子、置換されていてもよいアラルキル基、アシル基またはアシルオキシ基であり、RがC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基またはジ−C1−6アルキルアミノ基であり、Rが水素原子、C1−6アルコキシ−C1‐6アルコキシ基またはハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基であり、Rが水素原子またはC1−6アルキル基であり、Yが窒素原子である化合物である。
特に好ましくは、式(Ia):
【化3】

〔式中、RはC1−3アルキル基またはC1−3アルコキシ基、Rはハロゲン化されているかまたはC1−3アルコキシ基で置換されていてもよいC1−3アルコキシ基、Rは水素原子またはC1−3アルキル基、Rは、水素原子、ハロゲン化されていてもよいC1−3アルコキシ基またはピロリル基(例えば、1−,2−または3−ピロリル基)を示す〕で表される化合物である。
式(Ia)において、RがC1−3アルキル基、Rがハロゲン化されていてもよいC1−3アルコキシ基、Rが水素原子、Rが水素原子またはハロゲン化されていてもよいC1−3アルコキシ基である化合物が特に好ましい。
【0039】
上記式(I)で表される化合物〔以下、化合物(I)と称する〕中、環Aで示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」の「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルボキシ基、アシル基、アシルオキシ基、5ないし10員複素環基などが挙げられ、これらの置換基はベンゼン環に1ないし3個程度置換していてもよい。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。これらの置換基のうち、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基などが好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子などが挙げられる。なかでもフッ素が好ましい。
「置換基を有していてもよいアルキル基」の「アルキル基」としては、例えば、C1−7アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec‐ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル基など)が挙げられる。「置換基を有していてもよいアルキル基」の「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル基等)、カルバモイル基などで例示でき、これらの置換基の数は1ないし3個程度であってもよい。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
「置換基を有していてもよいアルコキシ基」の「アルコキシ基」としては、例えば、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ等)などが挙げられる。「置換基を有していてもよいアルコキシ基」の「置換基」としては、上記「置換基を有していてもよいアルキル基」の「置換基」と同様のものが例示でき、置換基の置換数も同様である。
「アリール基」としては、例えば、C6−14アリール基(例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニル、2−アンスリル基等)などが挙げられる。
「アリールオキシ基」としては、例えば、C6−14アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ基等)などが挙げられる。
「アシル基」としては、例えば、ホルミル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、カルバモイル、アルキルカルバモイル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル基などが挙げられる。
「アルキルカルボニル基」としては、C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル基等)などが挙げられる。
「アルコキシカルボニル基」としては、例えば、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル基等)などが挙げられる。
「アルキルカルバモイル基」としては、N−C1−6アルキル−カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル基等)、N,N−ジC1−6アルキル−カルバモイル基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル基等)などが挙げられる。
「アルキルスルフィニル基」としては、例えば、C1−7アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル基等)が挙げられる。
「アルキルスルホニル基」としては、例えば、C1−7アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル基等)が挙げられる。
「アシルオキシ基」としては、例えば、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルキルカルバモイルオキシ基、アルキルスルフィニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基などが挙げられる。
「アルキルカルボニルオキシ基」としては、C1−6アルキル−カルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ基等)などが挙げられる。
「アルコキシカルボニルオキシ基」としては、例えばC1−6アルコキシ−カルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ基等)などが挙げられる。
「アルキルカルバモイルオキシ基」としては、C1−6アルキル−カルバモイルオキシ基(例えば、メチルカルバモイルオキシ、エチルカルバモイルオキシ基等)などが挙げられる。
「アルキルスルフィニルオキシ基」としては、例えばC1−7アルキルスルフィニルオキシ基(例えば、メチルスルフィニルオキシ、エチルスルフィニルオキシ、プロピルスルフィニルオキシ、イソプロピルスルフィニルオキシ基等)が挙げられる。
「アルキルスルホニルオキシ基」としては、例えばC1−7アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ、プロピルスルホニルオキシ、イソプロピルスルホニルオキシ基等)が挙げられる。
「5ないし10員複素環基」としては、例えば、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1個以上(例えば、1〜3個)を含む5ないし10員(好ましくは5または6員)複素環基が挙げられ、具体例としては、2−または3−チエニル基、2−、3−または4−ピリジル基、2−または3−フリル基、1−、2−または3−ピロリル基、2−、3−、4−、5−または8−キノリル基、1−、3−、4−または5−イソキノリル基、1−、2−または3−インドリル基などが挙げられる。このうち好ましくは1−、2−または3−ピロリル基などの5または6員複素環基である。
好ましくは環Aは、ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルコキシ基および5または6員複素環基から選ばれる置換基を1または2個有していてもよいベンゼン環である。
【0040】
上記式(I’)において、環C’で表される「置換基を有していてもよい芳香族単環式複素環」の「芳香族単環式複素環」としては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、フラザン、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等の5ないし6員の芳香族単環式複素環等が挙げられる。これらC’環で示される「芳香族単環式複素環」としては、とりわけ、上記した環Aで示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」と「置換基を有していてもよいピリジン環」が好ましい。C’環で示される「置換基を有していてもよいピリジン環」は、上記環Aで示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」と同様の置換基をその置換可能な位置に1ないし4個有していてもよい。
「置換基を有していてもよい芳香族単環式複素環」の「芳香族単環式複素環」がイミダゾール部分と縮合する位置に特に限定はない。
【0041】
上記式(I’)または(I)において、Rで示される「置換基を有していてもよいアラルキル基」の「アラルキル基」としては、例えば、C7−16アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチルなどのC6−10アリールC1−6アルキル基等)などが挙げられる。「置換基を有していてもよいアラルキル基」の「置換基」としては、上記「置換基を有していてもよいアルキル基」の「置換基」と同様の置換基が例示でき、置換基の数は1ないし4個程度である。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
で示される「アシル基」としては、例えば、上記環Aの置換基として記載した「アシル基」が挙げられる。
で示される「アシルオキシ基」としては、例えば、上記環Aの置換基として記載した「アシルオキシ基」が挙げられる。
好ましいRは水素原子である。
上記式(I’)または(I)において、R、RまたはRで示される「置換基を有していてもよいアルキル基」としては、上記環Aの置換基として記載した「置換基を有していてもよいアルキル基」が挙げられる。
、RまたはRで示される「置換基を有していてもよいアルコキシ基」としては、上記環Aの置換基として記載した「置換基を有していてもよいアルコキシ基」が挙げられる。
、RまたはRで示される「置換基を有してもよいアミノ基」としては、例えば、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ等)、モノ−C6−14アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、1−ナフチルアミノ、2−ナフチルアミノ等)、ジーC1−6アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等)、ジ−C6−14アリールアミノ基(例えば、ジフェニルアミノ等)などが挙げられる。
好ましいRは、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基である。さらに好ましいRはC1−3アルキル基またはC1−3アルコキシ基である。
好ましいRは、水素原子、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基またはハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基である。さらに好ましいRはハロゲン化されているかまたはC1−3アルコキシ基で置換されていてもよいC1−3アルコキシ基である。
好ましいRは、水素原子またはC1−6アルキル基である。さらに好ましいRは水素原子またはC1−3アルキル基(特に水素原子)である。
好ましいYは窒素原子である。
【0042】
化合物(I)の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−イミダゾール(ランソプラゾール)、2−[[(3,5−ジメチルー4−メトキシ−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]‐5‐メトキシ−1H−ベンズイミダゾール、2−[[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩、5−ジフルオロメトキシ−2−[[(3,4−ジメトキシ−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールなど。
これらの化合物のうち、特にランソプラゾールすなわち2−[[[3‐メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールが好ましい。
上記した、ベンズイミダゾール系化合物のPPIのほかにイミダゾピリジン系化合物のPPIも本発明が好適に適用される。このようなイミダゾピリジン系化合物のPPIとしては、例えば、テナトプラゾールが挙げられる。
なお、上記化合物(I)やイミダゾピリジン系化合物を含む化合物(I’)は、ラセミ体であってもよく、R−体、S−体などの光学活性体であってもよい。例えば、ランソプラゾールの光学活性体、すなわち(R)−2−[[[3‐メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールおよび(S)−2−[[[3‐メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールなどの光学活性体が特に本発明に好適である。尚、ランソプラゾール、ランソプラゾールR体およびランソプラゾールS体等は通常結晶が好ましいが、後記するように製剤化すること自体で安定化されることに加え、塩基性無機塩を配合し、さらに中間被膜層を設けることにより、より安定化されるので、結晶のみならず非晶形のものも用いることができる。
【0043】
化合物(I’)および化合物(I)の塩としては、薬学的に許容される塩が好ましく、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、塩基性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えば、アルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミンなど)、複素環式アミン(ピリジン、ピコリンなど)、アルカノールアミン(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)、ジシクロヘキシルアミン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
これらの塩のうち好ましくは、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩である。とりわけナトリウム塩が好ましい。
【0044】
化合物(I’)または(I)は、自体公知の方法により製造でき、例えば、特開昭61‐50978号、米国特許4,628,098、特開平10195068号、WO 98/21201、特開昭52−62275号、特開昭54−141783号等に記載の方法またはこれらに準じた方法により製造される。なお、光学活性な化合物(I)は、光学分割法(分別再結晶法、キラルカラム法、ジアステレオマー法、微生物または酵素を用いる方法など)不斉酸化などの方法で得ることができる。また、ランソプラゾールR体は、例えばWO 00−78745、WO 01/83473等に記載の製造法などに従い製造することもができる。
【0045】
本発明で用いる抗潰瘍作用を有するベンズイミダゾール系化合物としては、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール、レミノプラゾール、テナトプラゾール(TU−199)などまたはそれらの光学活性体ならびにそれらの薬学的に許容される塩が好ましく、さらに好ましくはランソプラゾールまたはその光学活性体特にR体が好ましい。ランソプラゾールまたはその光学活性体特にR体は、結晶形が好ましいが非晶形であってもよい。また、これらPPIのプロドラッグにも好都合に適用される。
【0046】
これらのプロドラッグの好ましいものとして、化合物(I)または(I’)に含まれるプロドラッグに加え下記一般式(II)および(III)で表される化合物が挙げられる。
【化4】

上記式(II)で表される化合物〔以下、化合物(II)と称する〕において、B環は「置換基を有していてもよいピリジン環」を示す。
B環で示される「置換基を有していてもよいピリジン環」のピリジン環はその置換可能な位置に1ないし4個の置換基を有していてもよい。置換基としては、例えばハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、置換基を有していてもよい炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基等の炭素数1ないし6のアルキル基等)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えば、アミノ;メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたアミノ基等)、アミド基(例えば、ホルムアミド、アセトアミド等のC1-3アシルアミノ基等)、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、3−メトキシプロポキシ基等の炭素数1ないし6のアルコキシ基等)、低級アルキレンジオキシ基(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ等のC1-3アルキレンジオキシ基等)等が挙げられる。
【0047】
B環で示される「置換基を有していてもよいピリジン環」の置換基が有し得る置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル基等の炭素数1ないし6のアルキル基等)、低級アルケニル基(例えば、ビニル、アリル基等の炭素数2ないし6のアルケニル基等)、低級アルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル基等の炭素数2ないし6のアルキニル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等の炭素数3ないし8のシクロアルキル基等)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ基等の炭素数1ないし6のアルコキシ基等)、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシル基、低級アルカノイル基(例えば、ホルミル;アセチル、プロピオニル、ブチリル基等の炭素数1ないし6のアルキル−カルボニル基等)、低級アルカノイルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ;アセチルオキシ、プロピオニルオキシ基等の炭素数1ないし6のアルキル−カルボニルオキシ基等)、低級アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル基等の炭素数1ないし6のアルコキシ−カルボニル基等)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数7ないし11のアラルキルオキシ−カルボニル基等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基等の炭素数6ないし14のアリール基等)、アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ基等の炭素数6ないし14のアリールオキシ基等)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル、ナフトイル基等の炭素数6ないし14のアリール−カルボニル基等)、アリールカルボニルオキシ基(例えば、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ基等の炭素数6ないし14のアリール−カルボニルオキシ基等)、置換基を有していてもよいカルバモイル基(例えば、カルバモイル;メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたカルバモイル基等)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えば、アミノ;メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたアミノ基等)等が挙げられ、置換基の数および置換位置に特に限定はない。
B環で示される「置換基を有していてもよいピリジン環」の置換基の数および置換位置に特に限定はないが、1ないし3個の上記置換基がピリジン環の3、4、および5位のいずれかに置換しているのが好ましい。
B環で示される「置換基を有していてもよいピリジン環」としては、3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジルが好ましい。
【0048】
本発明において、C環はイミダゾール部分と縮合する「置換基を有していてもよいベンゼン環」または「置換基を有していてもよい芳香族単環式複素環」を示し、なかでも前者が好ましい。
C環で示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」の該ベンゼン環はその置換可能な位置に1ないし4個の置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、置換基を有していてもよい炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基等の炭素数1ないし6のアルキル基等)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えば、アミノ;メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたアミノ基等)、アミド基(例えば、ホルムアミド、アセトアミド等のC1-3アシルアミノ基等)、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメトキシ基等の炭素数1ないし6のアルコキシ基等)、低級アルキレンジオキシ基(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ等のC1-3アルキレンジオキシ基等)等が挙げられる。
【0049】
C環で示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」の置換基が有し得る置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル基等の炭素数1ないし6のアルキル基等)、低級アルケニル基(例えば、ビニル、アリル基等の炭素数2ないし6のアルケニル基等)、低級アルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル基等の炭素数2ないし6のアルキニル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等の炭素数3ないし8のシクロアルキル基等)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ基等の炭素数1ないし6のアルコキシ基等)、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシル基、低級アルカノイル基(例えば、ホルミル;アセチル、プロピオニル、ブチリル基等の炭素数1ないし6のアルキル−カルボニル基等)、低級アルカノイルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ;アセチルオキシ、プロピオニルオキシ基等の炭素数1ないし6のアルキル−カルボニルオキシ基等)、低級アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル基等の炭素数1ないし6のアルコキシ−カルボニル基等)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数7ないし17のアラルキルオキシ−カルボニル基等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基等の炭素数6ないし14のアリール基等)、アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ基等の炭素数6ないし14のアリールオキシ基等)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル、ナフトイル基等の炭素数6ないし14のアリール−カルボニル基等)、アリールカルボニルオキシ基(例えば、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ基等の炭素数6ないし14のアリール−カルボニルオキシ基等)、置換基を有していてもよいカルバモイル基(例えば、カルバモイル;メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたカルバモイル基等)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えば、アミノ;メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたアミノ基等)等が挙げられ、置換基の数および置換位置に特に限定はない。
C環で示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」としては、ベンゼン環が好ましい。
【0050】
C環で示される「置換基を有していてもよい芳香族単環式複素環」の「芳香族単環式複素環」としては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、フラザン、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等の5ないし6員の芳香族単環式複素環等が挙げられる。これらC環で示される「芳香族単環式複素環」としては、とりわけ、ピリジン環が好ましい。C環で示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」と同様の置換基をその置換可能な位置に1ないし4個有していてもよい。
「置換基を有していてもよい芳香族単環式複素環」の「芳香族単環式複素環」がイミダゾール部分と縮合する位置に特に限定はない。
本発明において、X1、X2はそれぞれ酸素原子または硫黄原子を示す。X1およびX2がともに酸素原子を示す場合が好ましい。
【0051】
本発明において、Wは「置換基を有していてもよい二価の鎖状炭化水素基」、あるいは式:
【化5】

(式中、W1、W2はそれぞれ「二価の鎖状炭化水素基」または結合手を示し、Zは「置換基を有していてもよい二価の炭化水素環基」、「置換基を有していてもよい二価の複素環基」、酸素原子、SOn(式中、nは0、1または2を示す)または>N−E(式中、Eは水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、低級アルカノイル基、低級アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、チオカルバモイル基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、スルファモイル基、モノ−低級アルキルスルファモイル基、ジ−低級アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、アリールスルフィニル基、アリールスルホニル基、アリールカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基を示す)を示し、Zが酸素原子、SOnまたは>N−Eである場合、W1、W2はそれぞれ「二価の鎖状炭化水素基」を示す)で表わされる二価の基を示す。なかでも、Wとしては「置換基を有していてもよい二価の鎖状炭化水素基」が好ましい。
Wで示される「置換基を有していてもよい二価の鎖状炭化水素基」の「二価の鎖状炭化水素基」および、W1、W2で示される「二価の鎖状炭化水素基」としては、例えば、C1-6アルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン等)、C2-6アルケニレン基(例えば、エテニレン等)、C2-6アルキニレン基(例えば、エチニレン等)等が挙げられる。Wの二価の鎖状炭化水素基は、C環で示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」と同様の置換基をその置換可能な位置に1ないし6個有していてもよい。
Wで示される「置換基を有していてもよい二価の鎖状炭化水素基」の「二価の鎖状炭化水素基」および、W1、W2で示される「二価の鎖状炭化水素基」としては、メチレン基、エチレン基が好ましい。Wとしては、エチレン基が特に好ましい。Zが酸素原子、SOnまたは>N−E(n及びEは前義の通り)のとき、W1で示される「二価の鎖状炭化水素基」としては、炭素数2以上の炭化水素基が好ましい。
【0052】
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の炭化水素環基」の「炭化水素環」としては、例えば、脂環式炭化水素環および芳香族炭化水素環等が挙げられ、炭素数3ないし16のものが好ましく、C環で示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」と同様の置換基をその置換可能な位置に1ないし4個有していてもよい。炭化水素環としては、例えば、シクロアルカン、シクロアルケンおよびアレーン等が用いられる。
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の炭化水素環基」の「シクロアルカン」としては、例えば、低級シクロアルカン等が好ましく、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよびアダマンタン等のC3-10シクロアルカン等が汎用される。
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の炭化水素環基」の「シクロアルケン」としては、例えば低級シクロアルケンが好ましく、例えばシクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のC4-9シクロアルケン等が汎用される。
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の炭化水素環基」の「アレーン」としては、例えばベンゼン、ナフタレン、フェナントレン等のC6-14アレーン等が好ましく、例えばフェニレン等が汎用される。
【0053】
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の複素環基」の「複素環」としては、環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれるヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし2個)含む、5〜12員の「芳香族複素環」あるいは「飽和または不飽和の非芳香族複素環」等が挙げられ、C環で示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」と同様の置換基をその置換可能な位置に1ないし4個有していてもよい。
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の複素環基」の「芳香族複素環」としては、芳香族単環式複素環または芳香族縮合複素環等が挙げられる。
該「芳香族単環式複素環」としては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、フラザン、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等の5ないし6員の芳香族単環式複素環等が挙げられる。
該「芳香族縮合複素環」としては、例えば、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、1,2−ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、1,2−ベンゾイソチアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、ナフチリジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、アクリジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン、フェノキサチイン、チアントレン、フェナントリジン、フェナントロリン、インドリジン、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジン、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジン、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジン、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジン、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジン、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジン、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジン、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジン等の8〜12員の芳香族縮合複素環等が挙げられる。
【0054】
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の複素環基」の「飽和または不飽和の非芳香族複素環」としては、例えば、オキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、アゼパン、オキセパン、チエン、オキサゼパン、チアゼパン、アゾカン、オキソカン、チオカン、オキサゾカン、チアゾカン等の3〜8員(好ましくは5〜6員)の飽和あるいは不飽和(好ましくは飽和)の非芳香族複素環(脂肪族複素環)などが挙げられる。これらは、オキソ置換されていてもよく、例えば、2−オキソアゼチジン、2−オキソピロリジン、2−オキソピペリジン、2−オキソアゼパン、2−オキソアゾカン、2−オキソテトラヒドロフラン、2−オキソテトラヒドロピラン、2−オキソテトラヒドロチオフェン、2−オキソチアン、2−オキソピペラジン、2−オキソオキセパン、2−オキソオキサゼパン、2−オキソチエパン、2−オキソチアゼパン、2−オキソオキソカン、2−オキソチオカン、2−オキソオキサゾカン、2−オキソチアゾカン等でもよい。
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の炭化水素環基」の「炭化水素環基」あるいは「置換基を有していてもよい二価の複素環基」の「複素環基」からの2本の結合手は可能な位置であればどこでもよい。
【0055】
Eで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」および「置換基を有していてもよい複素環基」は、後述で定義する通りである。
Eで示される「低級アルカノイル基」として、例えば、ホルミル;アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル等のC1-6アルキル−カルボニル基等が用いられる。
Eで示される「低級アルコキシカルボニル基」として、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル等のC1-6アルコキシ−カルボニル基等が用いられる。
Eで示される「アラルキルオキシカルボニル」として、例えば、ベンジルオキシカルボニル等のC7-11アラルキルオキシ−カルボニル基等が用いられる。
Eで示される「低級アルキルスルフィニル基」として、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル等のC1-6アルキルスルフィニル基等が用いられる。
Eで示される「低級アルキルスルホニル基」として、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル等のC1-6アルキルスルホニル基等が用いられる。
Eで示される「モノ−低級アルキルスルファモイル基」として、例えば、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル等のモノ−C1-6アルキルスルファモイル基等が用いられる。
Eで示される「ジ−低級アルキルスルファモイル基」として、例えば、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル等のジ−C1-6アルキルスルファモイル基等が用いられる。
Eで示される「アリールスルファモイル基」として、例えば、フェニルスルファモイル、ナフチルスルファモイル等のC6-10アリールスルファモイル基等が用いられる。
Eで示される「アリールスルフィニル基」として、例えば、フェニルスルフィニル、ナフチルスルフィニル等のC6-10アリールスルフィニル基等が用いられる。
Eで示される「アリールスルホニル基」として、例えば、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル等のC6-10アリールスルホニル基等が用いられる。
Eで示される「アリールカルボニル基」として、例えば、ベンゾイル、ナフトイル等のC6-10アリール−カルボニル基等が用いられる。
Eで示される「置換基を有していてもよいカルバモイル基」として、例えば、式−CONR23(式中、R2およびR3はそれぞれ水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基もしくは置換基を有していてもよい複素環基を示す。また、式−CONR23において、R2とR3は隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい。)で表わされる基等が用いられる。
【0056】
本発明において、Rは「置換基を有していてもよい炭化水素基」または「置換基を有していてもよい複素環基」を示し、また、RはWと結合することができ、なかでも、置換基を有していてもよいC1-6炭化水素基、とりわけ低級(C1-6)アルキル基が好ましい。Rで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」および「置換基を有していてもよい複素環基」は、後述で定義する通りである。また、RがWと結合する場合については後述にて詳説する。
【0057】
本発明において、D1、D2は、それぞれ、結合手、酸素原子、硫黄原子または>NR1を示し、式中、R1は水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。ただし、本発明においては、D1とD2がともに結合手である場合は除かれる。なかでも、D1、D2がそれぞれ結合手または酸素原子であるのが好ましく、特に、D1が酸素原子であり、かつD2が酸素原子または結合手であるのが好ましい。R1で示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」は、後述で定義する通りである。
【0058】
本発明において、Gは「置換基を有していてもよい炭化水素基」または「置換基を有していてもよい複素環基」を示し、なかでも置換基を有していてもよいC1-6炭化水素基、または置換基を有していてもよく、環構成原子として酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含有する飽和複素環基が好ましい。とりわけ、Gとしては、置換基を有していてもよいC1-6炭化水素基、または置換基を有していてもよく、環構成原子として酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子をさらに1ないし3個含有していてもよい飽和含酸素複素環基が好ましい。Gで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」または「置換基を有していてもよい複素環基」は、下記に定義する通りである。
【0059】
上記E、R、R1、Gで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、飽和または不飽和の脂環式炭化水素基、飽和または不飽和の脂環式−脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族−飽和または不飽和の脂環式炭化水素基等が挙げられ、好ましくは炭素数1ないし16、より好ましくは炭素数1ないし6のものが挙げられる。具体的には、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルケニルアルキル基、アリール基およびアリールアルキル基等が用いられる。
「アルキル基」は、例えば、低級アルキル基(C1-6アルキル基)等が好ましく、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、1−エチルプロピルおよびヘキシル等のC1-6アルキル基等が汎用される。Rにおいては低級アルキル基(C1-6アルキル基)が好ましく、特にメチル基が好ましい。
「アルケニル基」は、例えば、低級アルケニル基等が好ましく、例えばビニル、1−プロペニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニルおよび2,2−ジメチル−ペント−4−エニル等のC2-7アルケニル基等が汎用される。
「アルキニル基」は、例えば、低級アルキニル基等が好ましく、例えばエチニル、プロパルギルおよび1−プロピニル等のC2-6アルキニル基等が汎用される。
「シクロアルキル基」は、例えば、低級シクロアルキル基等が好ましく、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルおよびアダマンチル等のC3-10シクロアルキル基等が汎用される。
「シクロアルケニル基」は、例えば、低級シクロアルケニル基等が好ましく、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル等のC3-10シクロアルケニル基等が汎用される。
「シクロアルキルアルキル基」は、例えば、低級シクロアルキルアルキル基等が好ましく、例えば、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルおよびシクロヘキシルエチル等のC4-9シクロアルキルアルキル基等が汎用される。
「シクロアルケニルアルキル基」は、例えば、低級シクロアルケニルアルキル基等が好ましく、シクロペンテニルメチル、シクロヘキセニルメチル、シクロヘキセニルエチル、シクロヘキセニルプロピル、シクロヘプテニルメチル、シクロヘプテニルエチルおよびビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルメチル等などのC4-9シクロアルケニルアルキル等が汎用される。
「アリール基」は、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリルおよび2−アンスリル等のC6-14アリール基等が好ましく、例えばフェニル基等が汎用される。
「アリールアルキル基」は、アリール部分としては上記で定義した「アリール基」を有し、アルキル部分としては上記で定義した「アルキル基」を有する。なかでも、例えば、C6-14アリール−C1-6アルキル基が好ましく、例えば、ベンジル、フェネチル等が汎用される。
【0060】
上記E、R、R1、Gで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、スルホ基、スルフィノ基、ホスホノ基、ハロゲン化されていてもよい低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、1−エチルプロピルおよびヘキシル等のC1-6アルキル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、6,6,6−トリフルオロヘキシル等のモノ−、ジ−またはトリ−ハロゲノ−C1-6アルキル基等)、オキソ基、アミジノ基、イミノ基、アルキレンジオキシ基(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ等のC1-3アルキレンジオキシ基等)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等のC1-6アルコキシ基等)、ハロゲン化されていてもよい低級アルコキシ基(例えば、クロロメチルオキシ、ジクロロメチルオキシ、トリクロロメチルオキシ、フルオロメチルオキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2−ブロモエチルオキシ、2,2,2−トリフルオロエチルオキシ、ペンタフルオロエチルオキシ、3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ、4,4,4−トリフルオロブチルオキシ、5,5,5−トリフルオロペンチルオキシ、6,6,6−トリフルオロヘキシルオキシ等のモノ−、ジ−またはトリ−ハロゲノ−C1-6アルコキシ基等)、低級アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ等のC1-6アルキルチオ基等)、カルボキシル基、低級アルカノイル基(例えば、ホルミル;アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル等のC1-6アルキル−カルボニル基等)、低級アルカノイルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ;アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ等のC1-6アルキル−カルボニルオキシ基等)、低級アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル等のC1-6アルコキシ−カルボニル基等)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル等のC7-11アラルキルオキシ−カルボニル基等)、チオカルバモイル基、低級アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル等のC1-6アルキルスルフィニル基等)、低級アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル等のC1-6アルキルスルホニル基等)、スルファモイル基、モノ−低級アルキルスルファモイル基(例えば、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル等のモノ−C1-6アルキルスルファモイル基等)、ジ−低級アルキルスルファモイル基(例えば、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル等のジ−C1-6アルキルスルファモイル基等)、アリールスルファモイル基(例えば、フェニルスルファモイル、ナフチルスルファモイル等のC6-10アリールスルファモイル基等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル等のC6-10アリール基等)、アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ等のC6-10アリールオキシ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等のC6-10アリールチオ基等)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル、ナフチルスルフィニル等のC6-10アリールスルフィニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル等のC6-10アリールスルホニル基等)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル、ナフトイル等のC6-10アリール−カルボニル基等)、アリールカルボニルオキシ基(例えば、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ等のC6-10アリール−カルボニルオキシ基等)、ハロゲン化されていてもよい低級アルキルカルボニルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、トリフルオロアセチルアミノ等のハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル−カルボニルアミノ基等)、置換基を有していてもよいカルバモイル基(例えば、式−CONR23(式中、R2およびR3はそれぞれ水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基もしくは置換基を有していてもよい複素環基を示す。また、式−CONR23において、R2とR3は隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい。)で表わされる基)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えば、式−NR23(式中、R2およびR3は前記と同意義を示す。また、式−NR23において、R2とR3は隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい。)で表わされる基)、置換基を有していてもよいウレイド基(例えば、式−NHCONR23(式中、R2およびR3は前記と同意義を示す。また、式−NHCONR23において、R2とR3は隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい。)で表わされる基)、置換基を有していてもよいカルボキサミド基(例えば、式−NR2COR3(式中、R2およびR3は前記と同意義を示す)で表わされる基)、置換基を有していてもよいスルホンアミド基(例えば、式−NR2SO23(式中、R2およびR3は前記と同意義を示す)で表わされる基)、置換基を有していてもよい複素環基(R2およびR3で示されるものと同意義である)等が用いられる。
2およびR3における「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」としては、例えば、低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル基等の炭素数1ないし6のアルキル基等)、低級アルケニル基(例えば、ビニル、アリル基等の炭素数2ないし6のアルケニル基等)、低級アルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル基等の炭素数2ないし6のアルキニル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等の炭素数3ないし8のシクロアルキル基等)、シクロアルケニル基(例えば、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル基等の炭素数3ないし8のシクロアルケニル基等)、シクロアルキルアルキル基(例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル基等の炭素数3ないし8のシクロアルキル−炭素数1ないし6のアルキル基等)、シクロアルケニルアルキル基(例えば、シクロブテニルメチル、シクロペンテニルメチル、シクロヘキセニルメチル基等の炭素数3ないし8のシクロアルケニル−炭素数1ないし6のアルキル基等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基等の炭素数6ないし14のアリール基等)、アリールアルキル基(例えば、ベンジル、ナフチルメチル基等の炭素数6ないし14のアリール−炭素数1ないし6のアルキル基等)等が挙げられる。
2およびR3で示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」としては、ピリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、2−オキソアゼピニル、フリル、デカヒドロイソキノリル、キノリニル、インドリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、モルホリニル等の窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれた1〜2種のヘテロ原子1〜4個を含有する、5〜12員の、単環式または縮合複素環基等が挙げられる。R2およびR3における「置換基を有していてもよい炭化水素基」および「置換基を有していてもよい複素環基」の置換基としては、それぞれ、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル基等の炭素数1ないし6のアルキル基等)、低級アルケニル基(例えば、ビニル、アリル基等の炭素数2ないし6のアルケニル基等)、低級アルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル基等の炭素数2ないし6のアルキニル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等の炭素数3ないし8のシクロアルキル基等)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ基等の炭素数1ないし6のアルコキシ基等)、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシル基、低級アルカノイル基(例えば、ホルミル;アセチル、プロピオニル、ブチリル基等の炭素数1ないし6のアルキル−カルボニル基等)、低級アルカノイルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ;アセチルオキシ、プロピオニルオキシ基等の炭素数1ないし6のアルキル−カルボニルオキシ基等)、低級アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル基等の炭素数1ないし6のアルコキシ−カルボニル基等)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数7ないし17のアラルキルオキシ−カルボニル基等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基等の炭素数6ないし14のアリール基等)、アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ基等の炭素数6ないし14のアリールオキシ基等)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル、ナフトイル基等の炭素数6ないし14のアリール−カルボニル基等)、アリールカルボニルオキシ基(例えば、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ基等の炭素数6ないし14のアリール−カルボニルオキシ基等)、置換基を有していてもよいカルバモイル基(例えば、カルバモイル;メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたカルバモイル基等)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えば、アミノ;メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたアミノ基等)等が挙げられる。置換基の数および位置に特に限定はない。
2とR3が隣接する窒素原子とともに形成する環としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ホモピペリジン、モルホリン、ピペラジン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン等が挙げられる。
上記E、R、R1、Gで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」は、それぞれ前記の置換基を、炭化水素基の置換可能な位置に1ないし5個、好ましくは1〜3個有していてもよく、置換基数が2個以上の場合は各置換基は同一または異なっていてもよい。
【0061】
上記E、R、Gで示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」としては、環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれるヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし3個)含む、5〜12員の、芳香族複素環基あるいは飽和または不飽和の非芳香族複素環基等が挙げられる。Gで示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」としては、上述のように、環原子として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれるヘテロ原子1ないし4個、さらに好ましくは1ないし3個含む飽和含酸素複素環基等が好ましく、とりわけ5〜12員の、飽和含酸素複素環基等が好ましい。
【0062】
該「芳香族複素環基」としては、芳香族単環式複素環基または芳香族縮合複素環基等が挙げられる。
「芳香族単環式複素環基」としては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等の5ないし6員の芳香族単環式複素環基等が挙げられる。
「芳香族縮合複素環基」としては、例えば、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジニル等の8〜12員の芳香族縮合複素環基(好ましくは、前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基がベンゼン環と縮合した複素環または前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基の同一または異なった複素環2個が縮合した複素環)等が挙げられる。
【0063】
該「飽和または不飽和の非芳香族複素環基」としては、例えば、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、チオラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チアニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼパニル、チアゼパニル、アゾカニル、オキソカニル、チオカニル、オキサゾカニル、チアゾカニル等の3〜8員(好ましくは5〜6員)の飽和あるいは不飽和(好ましくは飽和)の非芳香族複素環基(脂肪族複素環基)などが挙げられる。これらは、オキソ置換されていてもよく、例えば、2−オキソアゼチジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソアゼパニル、2−オキソアゾカニル、2−オキソテトラヒドロフリル、2−オキソテトラヒドロピラニル、2−オキソチオラニル、2−オキソチアニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソオキセパニル、2−オキソオキサゼパニル、2−オキソチエパニル、2−オキソチアゼパニル、2−オキソオキソカニル、2−オキソチオカニル、2−オキソオキサゾカニル、2−オキソチアゾカニル等が挙げられる。好ましくは2−オキソピロリジニル等の5員非芳香族複素環基である。
【0064】
上記E、R、Gで示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」が有していてもよい置換基としては、例えば、前記E、R、R1、Gで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「置換基」と同様のもの等が用いられる。
E、R、Gで示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」は、それぞれ前記の置換基を、複素環基の置換可能な位置に1ないし5個、好ましくは1〜3個有していてもよく、置換基数が2個以上の場合は各置換基は同一または異なっていてもよい。
【0065】
本発明化合物において、RがWと結合する場合について説明する。RとWが結合する場合、RとWが結合する位置は、それぞれRおよびWにおける結合可能な位置であれば特に限定はない。
Rにおける結合可能な位置としては、上記Rで定義される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」および「置換基」における結合可能な位置、ならびに上記Rで定義される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」および「置換基」における結合可能な位置が挙げられる。
Wにおける結合可能な位置としては、上記Wで定義される「置換基を有していてもよい二価の鎖状炭化水素基」の「二価の鎖状炭化水素基」における結合可能な位置、上記W1、W2で定義される「二価の鎖状炭化水素基」における結合可能な位置、ならびに上記Z環で定義される「置換基を有していてもよい炭化水素環」の「炭化水素環」における結合可能な位置および上記Z環で定義される「置換基を有していてもよい複素環」の「複素環」における結合可能な位置が挙げられる。
RとWは互いの結合可能な位置で結合し、隣接する窒素原子と一緒になって環を形成し得る。該環としては、例えば、飽和含窒素環(例えば、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ホモピペリジン等)、不飽和含窒素環(例えば、テトラヒドロピリジン等)、芳香族含窒素環(例えば、ピロール等)、RおよびWが隣接している窒素原子以外に窒素、酸素、硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ含むヘテロ環(例えば、ピペラジン、モルホリン等)、縮合環(例えば、インドール、インドリン、イソインドール、イソインドリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン等)等が挙げられる。なかでも4〜7員環が好ましい。
RとWが互いの結合可能な位置で結合し、隣接する窒素原子と一緒になって形成する環は、その置換可能な位置に1ないし4個の置換基を有していてもよい。置換基数が2以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。置換基としては、Rで定義される「置換基を有していてもよい炭化水素基」および「置換基を有していてもよい複素環基」の置換基、ならびにWで定義される「置換基を有していてもよい二価の鎖状炭化水素基」の置換基が挙げられる。具体的には、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、1−エチルプロピルおよびヘキシル等のC1-6アルキル基等の置換基が挙げられる。
【0066】
RとWが結合することによって例えば、
【化6】

等が形成されるがこれらに限定されない。これらは、上記で定義するように置換基を有していてもよく、また、異性体を含み得ることは当業者に理解されるべきである。
本発明において、Xは、例えば、ハロゲン原子、ベンゾトリアゾリル基、(2,5−ジオキシピロリジン−1−イル)オキシ基等の脱離基を示し、中でもフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子が好ましく、塩素が特に好ましい。
【0067】
本発明において、Mは水素原子、金属陽イオンまたは第4級アンモニウムイオンを示す。
本発明における「金属陽イオン」としては、アルカリ金属イオン(例えば、Na+、K+、Li+、Cs+など)が挙げられ、中でもNa+が好ましい。
本発明における「第4級アンモニウムイオン」としては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが挙げられ、中でもテトラブチルアンモニウムイオンが好ましい。
【0068】
化合物(II)では、分子中の酸性基と無機塩基または有機塩基等とが薬理学的に許容され得る塩基塩を形成することができ、また分子中の塩基性基と無機酸または有機酸等とが薬理学的に許容され得る酸付加塩を形成することができる。
化合物(II)の無機塩基塩としては、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム等)、アンモニア等との塩等が、また化合物(II)の有機塩基塩としては、例えば、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、2−フェニルエチルアミン、ベンジルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピリジン、コリジン等との塩等が挙げられる。
【0069】
化合物(II)の酸付加塩としては、例えば、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等)、有機酸塩(例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、蓚酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等)等が挙げられる。
本発明の化合物(II)としては、水和物を包含している。該「水和物」としては、0.5水和物〜5.0水和物が挙げられる。このうち、0.5水和物、1.0水和物、1.5水和物、2.0水和物が好ましい。
【0070】
本発明の化合物(II)としては、ラセミ体および光学的に活性な化合物を包含している。光学的に活性な化合物としては、一方のエナンチオマーが90%以上のエナンチオマー過剰率(e.e.)のものが好ましく、より好ましくは99%以上のエナンチオマー過剰率のものが挙げられる。光学活性体としては、一般式
【化7】

〔式中の記号は前記と同意義を示す〕で表わされる(R)体が好ましい。
化合物(II)に含まれる好ましい化合物としては、具体的には例えば次のような化合物が挙げられる。
【0071】
すなわち、
2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル アセテート、
2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル トリメチルアセテート、
2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル シクロヘキサンカルボキシレート、
2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル ベンゾエート、
2−[メチル[[2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル ベンゾエート、
2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル 4−メトキシベンゾエート、2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル 3−クロロベンゾエート、
2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル 3,4−ジフルオロベンゾエート、
2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル 4−トリフルオロメトキシベンゾエート、
2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル 4−フルオロベンゾエート、2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル 3,4,5−トリメトキシベンゾエート、
2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル 2−ピリジンカルボキシレート、
2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル メトキシアセテート、
エチル 2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル カーボネート、
イソプロピル 2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル カーボネート、
イソプロピル 2−[メチル[[2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル カーボネート、
ベンジル 2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル カーボネート、
2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル テトラヒドロピラン−4−イル カーボネート、
2−メトキシエチル 2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル カーボネート、
2−[エチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル アセテート、
2−[イソプロピル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル アセテート、
エチル 2−[イソプロピル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル カーボネート、
2−[シクロヘキシル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル アセテート、
2−[シクロヘキシル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル エチル カーボネート、
2−[[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル](フェニル)アミノ]エチル アセテート、
2−[[[2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル](フェニル)アミノ]エチル アセテート、
tert−ブチル [2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]−3−ピリジル]メチル カーボネート、
2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]ベンジル アセテート、
2−[[2-(アセチルオキシ)エチル][[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル アセテート、
[(2S)−1−[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]−2−ピロリジニル]メチル アセテート、
エチル [メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]アセテート、
2−[[[5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンゾイミダゾール−1−イル]カルボニル](メチル)アミノ]エチル ベンゾエート、
3−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]プロピル ベンゾエート、
2−[メチル[[2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル テトラヒドロピラン−4−イル カーボネート、
エチル 2−[メチル[[2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル カーボネート、
エチル 2−[メチル[[(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル カーボネート、
エチル 2−[[[5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジル)メチル]スルフィニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]カルボニル](メチル)アミノ]エチル カーボネート、
2−[[[5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジル)メチル]スルフィニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]カルボニル](メチル)アミノ]エチル アセテート、
2−[[[5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジル)メチル]スルフィニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]カルボニル](フェニル)アミノ]エチル アセテート、
4−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]ブチル アセテート、
エチル 4−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]ブチル カーボネート、
エチル 3−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]プロピル カーボネート、
3−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]プロピル アセテート、
3−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]プロパン−1,2−ジイル ジアセテート、
ジエチル 3−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]プロパン−1,2−ジイル
ビスカーボネート、
2−[[[5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジル)メチル]スルフィニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]カルボニル](メチル)アミノ]エチル 3−クロロベンゾエート、
2−[メチル[[2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル アセテート、
2−エトキシエチル 2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル カーボネート、
3−メトキシプロピル 2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル カーボネート、
2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル N,N−ジメチルグリシネート、
S−[2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル] チオアセテート、
エチル 2−[2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エトキシ]エチル カーボネート、
エチル 2−[メチル[[2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エトキシ]カルボニル]アミノ]エチル カーボネート、
エチル 2−[[[5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル](メチル)アミノ]エチル カーボネート、
2−[[[5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル](フェニル)アミノ]エチル アセテート、
エチル 2−[[[(S)−5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル](メチル)アミノ]エチル カーボネート、
エチル 2−[[[2−[[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル](メチル)アミノ]エチル カーボネート、
2−[[[2−[[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル](フェニル)アミノ]エチル アセテート、
2−[[[5−(ジフルオロメトキシ)−2−[[(3,4−ジメトキシ−2−ピリジル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル](メチル)アミノ]エチル エチル カーボネート、
2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル 1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート、
2−[[4−(アミノカルボニル)フェニル][[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル アセテート、
2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル 1−メチル−4−ピペリジニル カーボネート、
2−[[4−(アミノカルボニル)フェニル][[2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル アセテート、
(−)−エチル 2−[[[5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジル)メチル]スルフィニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]カルボニル](メチル)アミノ]エチル カーボネートおよび
(+)−エチル 2−[[[5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジル)メチル]スルフィニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]カルボニル](メチル)アミノ]エチル カーボネートおよびその塩等が挙げられる。
【0072】
とりわけ、下記の化合物及びその塩が好ましい。
2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル アセテート、
エチル 2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル カーボネート、
2−[メチル[[(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル テトラヒドロピラン−4−イル カーボネート、
2−[メチル[[2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル テトラヒドロピラン−4−イル カーボネート、
エチル 2−[メチル[[2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル カーボネート、
エチル 2−[[[5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジル)メチル]スルフィニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]カルボニル](メチル)アミノ]エチル カーボネート、
2−[[[5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジル)メチル]スルフィニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]カルボニル](メチル)アミノ]エチル アセテート、
2−[メチル[[2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル]アミノ]エチル アセテート、
エチル 2−[[[5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル](メチル)アミノ]エチル カーボネート、
エチル 2−[[[(S)−5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル](メチル)アミノ]エチル カーボネート、
エチル 2−[[[2−[[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル](メチル)アミノ]エチル カーボネート、および
2−[[[5−(ジフルオロメトキシ)−2−[[(3,4−ジメトキシ−2−ピリジル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]カルボニル](メチル)アミノ]エチル エチル カーボネート。
【0073】
化合物(II)は、特開2004−307457号公報にしたがって製造できる。
【0074】
また、下記一般式(III):
【化8】

で表わされるベンズイミダゾール化合物またはその塩も上記プロドラッグの具体例として挙げられる。
上記式(III)において、Dは酸素原子又は結合手を、Qは置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。
【0075】
Qで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」は、脂肪族または芳香族の炭化水素基を包含し、ここでいう脂肪族炭化水素基とは、飽和または不飽和の、直鎖状、分岐鎖状または環状の炭化水素基を意味する。炭化水素基としては、炭素数が1〜14である炭化水素基が好ましく、例えば、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8シクロアルキル基、C6-14アリール基が挙げられ、C1-6アルキル基、C3-8シクロアルキル基、C6-14アリール基が好ましく、中でもC1-6アルキル基、C3-8シクロアルキル基がより好ましい。
【0076】
上記「アルキル基」とは、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基(「C1-6アルキル基」)であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−メチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルプロピル、2−エチルブチル等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。Qにおいては、中でもメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチルが好ましく、特にtert-ブチルが好ましい。
【0077】
上記「C2-6アルケニル基」とは、直鎖状または分岐鎖状の炭素数2〜6のアルケニル基であり、例えば、ビニル、n−プロペニル、イソプロペニル、n−ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル、tert−ブテニル、n−ペンテニル、イソペンテニル、ネオペンテニル、1−メチルプロペニル、n−ヘキセニル、イソヘキセニル、1,1−ジメチルブテニル、2,2−ジメチルブテニル、3,3−ジメチルブテニル、3,3−ジメチルプロペニル、2−エチルブテニル等が挙げられ、炭素数2〜4のアルケニル基が好ましく、中でもビニル、n−プロペニル、イソプロペニルが好ましい。
【0078】
上記「C2-6アルキニル基」とは、直鎖状または分岐鎖状の炭素数2〜6のアルキニル基であり、例えば、エチニル、n−プロピニル(1−プロピニル)、イソプロピニル(2−プロピニル)、n−ブチニル、イソブチニル、sec−ブチニル、tert−ブチニル、n−ペンチニル、イソペンチニル、ネオペンチニル、1−メチルプロピニル、n−ヘキシニル、イソヘキシニル、1,1−ジメチルブチニル、2,2−ジメチルブチニル、3,3−ジメチルブチニル、3,3−ジメチルプロピニル、2−エチルブチニル等が挙げられ、炭素数2〜3のアルキニル基が好ましく、中でもエチニル、1−プロピニル、2−プロピニルが好ましい。
【0079】
上記「C3-8シクロアルキル基」とは、直鎖状または分岐鎖状の、炭素数3〜8のシクロアルキル基であり、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられ、炭素数5〜7のシクロアルキル基が好ましく、中でもシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルが好ましく、特にシクロヘキシルが好ましい。
【0080】
上記「アリール基」とは、単環式または縮合多環式の芳香族炭化水素基であり、好ましくは炭素数6〜14の芳香族炭化水素基(「C6-14アリール基」)であり、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニルが挙げられ、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基が好ましく、Qにおいては、中でもフェニルが特に好ましい。
【0081】
上記「炭化水素基」は、置換されていてもよく、置換基の例としては、例えば、C6-14アリール基、水酸基、ハロゲン、ハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、C7-12アラルキルオキシ基、C1-5アルコキシ−カルボニル基、ハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル基、C1-6アルキル基で置換されていてもよいアミノ基などが挙げられる。
【0082】
「置換基を有していてもよいアルキル基」における置換基としては、例えば、アリール基、水酸基、ハロゲン、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいアルコキシ基、C7-12アラルキルオキシ基、C1-5アルコキシ−カルボニル基等が挙げられる。該置換基の数は1〜5個、好ましくは1〜3個である。
【0083】
「置換基を有していてもよいアリール基」における置換基としては、例えば、ハロゲン、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいアルキル基、アリール基、水酸基、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいアルコキシ基、C7-12アラルキルオキシ基、C1-5アルコキシ−カルボニル基等が挙げられる。該置換基の数は1〜5個、好ましくは1〜3個である。
【0084】
上記「C1-6アルキル基」、「C2-6アルケニル基」および「C2-6アルキニル基」は、置換されていてもよく、置換基の例としては、(i)C6-14アリール基、(ii)水酸基、(iii)ハロゲン、(iv)ハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、(v)C7-12アラルキルオキシ基、(vi)C1-5アルコキシ−カルボニル基、(vii)アシルアミノ基、(viii)C1-6アルキル基で置換されていてもよいアミノ基などが挙げられ、中でも(i)〜(vii)が好ましい。該置換基の数は1〜5個、好ましくは1〜3個である。
【0085】
上記「C3-8シクロアルキル基」および「C6-14アリール基」は、置換されていてもよく、置換基の例としては、(i)C6-14アリール基、(ii)水酸基、(iii)ハロゲン、(iv)ハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、(v)C7-12アラルキルオキシ基、(vi)C1-5アルコキシ−カルボニル基、(vii)ハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル基、(viii)C1-6アルキル基で置換されていてもよいアミノ基などが挙げられ、中でも(i)〜(vii)が好ましい。該置換基の数は1〜5個、好ましくは1〜3個である。
【0086】
式(III)においてQは、(i)C6-14アリール基、(ii)水酸基、(iii)ハロゲン、(iv)ハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、(v)C7-12アラルキルオキシ基、(vi)C1-5アルコキシ−カルボニル基および(vii)アシルアミノ基からなる群より選ばれる置換基を有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基又はC2-6アルキニル基であるか、あるいは
(i)C6-14アリール基、(ii)水酸基、(iii)ハロゲン、(iv)ハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、(v)C7-12アラルキルオキシ基、(vi)C1-5アルコキシ−カルボニル基および(vii)ハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル基からなる群より選ばれる置換基を有していてもよい、C3-8シクロアルキル基又はC6-14アリール基であるのが好ましく、
【0087】
(1)(i)C6-14アリール基、(ii)水酸基、(iii)ハロゲン、(iv)1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、(v)C7-12アラルキルオキシ基および(vi)C1-5アルコキシ−カルボニル基からなる群より選ばれる1〜5個の置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、または(2)(i)ハロゲン、(ii)1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル基、(iii)C6-14アリール基、(iv)水酸基、(v)1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、(vi)C7-12アラルキルオキシ基および(vii)C1-5アルコキシ−カルボニル基からなる群より選ばれる1〜5個の置換基を有していてもよいC6-14アリール基であるのがより好ましく、
【0088】
(i)C6-14アリール基、(ii)水酸基、(iii)ハロゲン、(iv)ハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、(v)C7-12アラルキルオキシ基、(vi)C1-5アルコキシ−カルボニル基および(vii)アシルアミノ基からなる群より選ばれる置換基を有していてもよいC1-6アルキル基であるか、あるいは
(i)C6-14アリール基、(ii)水酸基、(iii)ハロゲン、(iv)ハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、(v)C7-12アラルキルオキシ基、(vi)C1-5アルコキシ−カルボニル基および(vii)ハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル基からなる群より選ばれる置換基を有していてもよい、C3-8シクロアルキル基又はC6-14アリール基であるのが更に好ましく、
【0089】
中でも、QがC6-14アリール基で置換されていてもよいC1-6アルキル基またはC6-14アリール基であるのが好ましく、Qがフェニル基であるか、またはメチルもしくはtert−ブチル基であるのが特に好ましい。
【0090】
化合物(III)は分子中の酸性基と無機塩基または有機塩基等とが薬理学的に許容され得る塩基塩を形成することができ、また分子中の塩基性基と無機酸または有機酸等とが薬理学的に許容され得る酸付加塩を形成することができる。
【0091】
本発明の化合物(III)の好適な態様の1つとして、Dが結合手であり、かつQが置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基である化合物が挙げられる。
【0092】
化合物(III)の無機塩基塩としては、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム等)、アンモニア等との塩等が、また化合物(III)の有機塩基塩としては、例えば、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、2−フェニルエチルアミン、ベンジルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピリジン、コリジン等との塩等が挙げられる。
【0093】
化合物(III)の酸付加塩としては、例えば、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等)、有機酸塩(例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、蓚酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等)等を挙げられる。
【0094】
本発明の化合物(III)としては、水和物を包含している。該「水和物」としては、0.5水和物〜5.0水和物が挙げられる。このうち、0.5水和物、1.0水和物、1.5水和物、2.0水和物が好ましい。
【0095】
本発明の化合物(III)としては、ラセミ体および光学的に活性な化合物を包含している。光学的に活性な化合物としては、一方のエナンチオマーが90%以上のエナンチオマー過剰(e.e.)のものが好ましく、より好ましくは99%以上エナンチオマー過剰のものが挙げられる。光学活性体としては、一般式
【化9】

〔式中の記号は前記と同意義を示す〕で表わされる(R)体が好ましい。
【0096】
化合物(III)は、自体公知の方法により製造でき、例えば、特開2002‐187890号、WO 02/30920等に記載の方法またはこれらに準じた方法により製造される。なお、光学活性な化合物(III)は、光学分割法(分別再結晶法、キラルカラム法、ジアステレオマー法、微生物または酵素を用いる方法など)不斉酸化などの方法で得ることができる。その他のベンズイミダゾール系化合物誘導体のPPIとして、WO03/27098に記載の化合物も本願発明の生理活性物質として適用できる。
【0097】
本発明で用いられる生理活性物質の配合量は、生理活性物質の種類、投与量にもより異なるが、例えば、本発明の顆粒全量に対して約1重量%〜約60重量%、好ましくは約1重量%〜約50重量%、さらに好ましくは約8重量%〜約40重量%である。生理活性物質が、ベンズイミダゾール系化合物などのPPI、特にランソプラゾールあるいはその光学活性体の場合、約8重量%〜約40重量%である。
【0098】
本発明の製造法により得られる顆粒は、毒性が低い生理活性物質を使用するので、そのままあるいは自体公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体とともに混合・成形した医薬組成物、例えば、錠剤、カプセル剤、口腔内崩壊錠剤等の製剤として、経口的に安全に投与することができる。
い。
1日の投与量は、症状の程度、投与対象の年齢、性別、体重、投与の時期、間隔、有効成分の種類などによって異なり、特に限定されないが、例えば、抗潰瘍剤などとして、成人(60kg)に対し、経口的に投与する場合、有効成分として約0.5〜1500mg/日、好ましくは約5〜150mg/日である。製剤は、1日1回または2〜3回に分けて投与してもよい。
本発明で用いるベンズイミダゾール系化合物(例、ランソプラゾールまたはその光学活性体ならびにその薬学的に許容される塩など)、特にランソプラゾールR体は、プロトンポンプ阻害作用を有し、効果的に胃酸の分泌を抑制するので哺乳動物(例、ヒト、サル、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス等)において、消化性潰瘍(例、胃潰瘍、手術後ストレスによる胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍等);胃炎;びらん性・非びらん性食道炎;びらん性・非びらん性逆流性食道炎などの逆流性食道炎;びらん性・非びらん性胃食道逆流症などの症候性胃食道逆流症(Symptomatic Gastroesophageal Reflux Disease(Symptomatic GERD));NUD(Non Ulcer Dyspepsia);胃癌(インターロイキン−1の遺伝子多型によるインターロイキン−1βの産生促進に伴う胃癌を含む);胃MALTリンパ腫;ゾリンジャー・エリソン(Zollinger−Ellison)症候群;胃酸過多(例、手術後ストレスによる胃酸過多ならびに潰瘍);消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎または侵襲ストレス(手術後に集中管理を必要とする大手術や集中治療を必要とする脳血管障害、頭部外傷、多臓器不全、広範囲熱傷から起こるストレス)等による上部消化管出血等の治療および予防、麻酔前投与、ヘリコバクター・ピロリ除菌あるいは除菌の補助等に有用である。
ここで、上記逆流性食道炎および症候性胃食道逆流症(Symptomatic Gastroesophageal Reflux Disease(Symptomatic GERD))を合わせて単にGERDと称する場合がある。
【0099】
以下、実施例および実験例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の製剤の実施例で用いられるトウモロコシデンプン(コーンスターチ)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)、ポリエチレングリコール6000、酸化チタンとしては、第十四改正日本薬局方適合品を用いた。
【実施例1】
【0100】
組成を表1に示す。ランソプラゾールR体 7290g、炭酸マグネシウム 1944g、ショ糖(粉砕品)4802gおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 1458gをバーチカルグラニュレーターで混合し、主薬散布剤(合計:15494g)とした。遠心流動造粒機(フロイント社製、CF−600S)に核としてショ糖・トウモロコシデンプン球形造粒品(フロイント社製、ノンパレル101−750)4500gを入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(2%水溶液:W/W)を噴霧(最終噴霧量:54g(固形分))しながら上記の主薬散布剤 14346gを散布し球形顆粒を得た。コーティング操作条件はローター回転数:160rpm、線速:339m/min、核1gに対する主薬散布速度:78mg/min/gで行った。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1400μmの主薬顆粒Aを得た。
上記の主薬顆粒A 15120gに中間層コーティング液 19860g(固形分濃度:10%)を流動造粒コーティング機(パウレック社製、FD-S2)を用いてコーティングした。コーティング操作条件は給気風量:7m3/分、給気温度:65℃、品温:40℃(予熱温度、工程中)。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1400μmの中間層顆粒Aを得た。
上記で得られた中間層顆粒Aを70℃で5分、10分または15分加温処理し、中間層粒A-5、A-10、A-15を得た。
〔表1〕
【表1】

〔実験例1〕
【0101】
実施例1で得られた中間層粒A、A-5、A-10、A-15のpH6.8リン酸緩衝液中での溶出性を調べた。20分後の溶出薬物量の中間層粒中全薬物量(含量)に対する割合、すなわち溶出率(%)を表2に示す。
〔表2〕
【表2】

未処理の中間層顆粒Aは20分後の溶出率が約70%であったのに対し、加温処理した中間層顆粒A-5、A-10、A-15はいずれもほぼ100%の溶出を示した。
【実施例2】
【0102】
組成を表3に示す。実施例1で得られた中間層顆粒Aを流動造粒コーティング機(パウレック社製、MP-10)に投入し70℃で5分間加温処理した。その後引き続きpH依存溶解性放出制御被膜用コーティング液をコーティングした。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、1000μm〜1700μmのpH依存溶解性放出制御顆粒Aを得た。
〔表3〕
【表3】

【実施例3】
【0103】
組成を表4に示す。ランソプラゾールR体 3645g、炭酸マグネシウム 972g、ショ糖(粉砕品)2401gおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 729gをバーチカルグラニュレーターで混合し、主薬散布剤(合計:7747g)とした。遠心流動造粒機(フロイント社製、CF−600S)に核としてショ糖・トウモロコシデンプン球形造粒品(フロイント社製、ノンパレル101−750)2250gを入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(2%水溶液:W/W)を噴霧(最終噴霧量:27g(固形分))しながら上記の主薬散布剤 7173gを散布し球形顆粒を得た。コーティング操作条件はローター回転数:120rpm、線速:226m/min、核1gに対する主薬散布速度:147mg/min/gで行った。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1400μmの主薬顆粒Bを得た。
上記の方法で得た主薬顆粒B 15120gに中間層コーティング液 19860g(固形分濃度:10%)を流動造粒コーティング機(パウレック社製、FD-S2)を用いてコーティングした。コーティング操作条件は給気風量:7m3/分、給気温度:65℃、品温:40℃(予熱温度、工程中)。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1400μmの中間層顆粒Bを得た。
上記の方法で得た中間層顆粒B 18070gを流動造粒コーティング機(パウレック社製、FD-S2)に投入し70℃で5分間加温処理した。その後引き続き腸溶性被膜用コーティング液 23850g(固形分濃度:18%)をコーティングした。コーティング操作条件は給気風量:1.5m3/分、給気温度:65℃、注液速度:15g/分、スプレーエア圧力:3kg/cm2で行う。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、850μm〜1400μmの腸溶性顆粒Aを得た。
上記の方法で得た中間層顆粒B 15310gを流動造粒コーティング機(パウレック社製、FD-S2)に投入し70℃で5分間加温処理した。その後引き続きpH依存溶解性放出制御被膜用コーティング液 77160g(固形分濃度:10%)をコーティングした。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、1000μm〜1700μmのpH依存溶解性放出制御顆粒Bを得た。
得られた腸溶性顆粒AおよびpH依存溶解性放出制御顆粒Bにそれぞれタルクおよび軽質無水ケイ酸を混合する。得られた腸溶性混合粒A 87mg(ランソプラゾールR体 22.5mg相当量)およびpH依存溶解性放出制御混合粒B 315mg(ランソプラゾールR体 67.5mg相当量)の両方を1号ロングHPMCカプセルに充填する。
上記で得られたHPMCカプセルを40℃、2時間真空乾燥し水分値:22%ERH以下のHPMCカプセル剤を得た。
〔表4〕
組成表
【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【実施例4】
【0104】
組成を表5に示す。ランソプラゾールR体 3645g、炭酸マグネシウム 972g、ショ糖(粉砕品)2400gおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 729gをバーチカルグラニュレーターで混合し、主薬散布剤(合計:7746g)とした。遠心流動造粒機(フロイント社製、CF−600S)に核としてショ糖・トウモロコシデンプン球形造粒品(フロイント社製、ノンパレル101−750)2250gを入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(2%水溶液:W/W)を噴霧(最終噴霧量:21.6g(固形分))しながら上記の主薬散布剤 7173gを散布し球形顆粒を得た。コーティング操作条件はローター回転数:120rpm、線速:226m/min、核1gに対する主薬散布速度:147mg/min/gで行った。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1400μmの主薬顆粒Cを得た。
〔表5〕
【表13】

【実施例5】
【0105】
実施例4で製造した主薬顆粒と同一組成の主薬顆粒を異なる製造条件で製造した。すなわちランソプラゾールR体 1355g、炭酸マグネシウム 361g、ショ糖(粉砕品)893gおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 271gをバーチカルグラニュレーターで混合し、主薬散布剤(合計:2880g)とした。遠心流動造粒機(フロイント社製、CF360)に核としてショ糖・トウモロコシデンプン球形造粒品(フロイント社製、ノンパレル101−750)752.8gを入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(2%水溶液:W/W)を噴霧(最終噴霧量:9g(固形分))しながら上記の主薬散布剤 2400gを散布し球形顆粒を得た。コーティング操作条件はローター回転数:240rpm、線速:271m/min、核1gに対する主薬散布速度:139mg/min/gで行った。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1400μmの主薬顆粒Dを得た。
【実施例6】
【0106】
組成を表6に示す。ランソプラゾールR体 493g、炭酸マグネシウム 361g、ショ糖(粉砕品)1754gおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 272gをバーチカルグラニュレーターで混合し、主薬散布剤(合計:2880g)とした。遠心流動造粒機(フロイント社製、CF360)に核としてショ糖・トウモロコシデンプン球形造粒品(フロイント社製、ノンパレル101−750)755.8gを入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(2%水溶液:W/W)を噴霧(最終噴霧量:8.8g(固形分))しながら上記の主薬散布剤 2400gを散布し球形顆粒を得た。コーティング操作条件はローター回転数:240rpm、線速:271m/min、核1gに対する主薬散布速度:139mg/min/gで行った。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1400μmの主薬顆粒Eを得た。
〔表6〕
【表14】

【実施例7】
【0107】
組成を表7に示す。ランソプラゾールR体 246g、炭酸マグネシウム 361g、ショ糖(粉砕品)2000gおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 272gをバーチカルグラニュレーターで混合し、主薬散布剤(合計:2880g)とした。遠心流動造粒機(フロイント社製、CF360)に核としてショ糖・トウモロコシデンプン球形造粒品(フロイント社製、ノンパレル101−750)755.8gを入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(2%水溶液:W/W)を噴霧(最終噴霧量:8.8g(固形分))しながら上記の主薬散布剤 2400gを散布し球形顆粒を得た。コーティング操作条件はローター回転数:240rpm、線速:271m/min、核1gに対する主薬散布速度:139mg/min/gで行った。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1400μmの主薬顆粒Fを得た。
〔表7〕
【表15】

〔比較例1〕
【0108】
実施例4で製造した主薬顆粒と同一組成の主薬顆粒を異なる製造条件で製造した。すなわちランソプラゾールR体 7290g、炭酸マグネシウム 1944g、ショ糖(粉砕品)4800gおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 1458gをバーチカルグラニュレーターで混合し、主薬散布剤(合計:15492g)とした。遠心流動造粒機(フロイント社製、CF−600S)に核としてショ糖・トウモロコシデンプン球形造粒品(フロイント社製、ノンパレル101−750)4500gを入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(2%水溶液:W/W)を噴霧(最終噴霧量:43.2g(固形分))しながら上記の主薬散布剤 14350gを散布し球形顆粒を得た。コーティング操作条件はローター回転数:160rpm、線速:339m/min、核1gに対する主薬散布速度:78mg/min/gで行った。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1400μmの主薬顆粒Gを得た。
【実施例8】
【0109】
実施例4、5、6,7で得られた主薬顆粒C、D、E、Fと比較例1で得られた主薬顆粒GのpH6.8リン酸緩衝液中での溶出プロファイルを測定した。その結果、主薬顆粒C、D、E、Fは20分で溶出率は約100%と全て溶出したのに対し、主薬顆粒Gでは20分で約60%と明らかに溶出が遅延した。
【実施例9】
【0110】
組成を表8に示す。ランソプラゾールR体 450g、炭酸マグネシウム 330g、ショ糖(粉砕品)1601gおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 248.4gをバーチカルグラニュレーターで混合し、主薬散布剤(合計:2629g)とした。遠心転動造粒機(フロイント社製、CF−360)に核としてショ糖・トウモロコシデンプン球形造粒品(フロイント社製、ノンパレル101−750)724.5gを入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(2%水溶液:W/W)を噴霧(最終噴霧量:8.4g(固形分))しながら上記の主薬散布剤 2416gを散布し球形顆粒を得た。コーティング操作条件はローター回転数:240rpm、線速:271m/min、核1gに対する主薬散布速度:138mg/minで行った。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1400μmの主薬顆粒Hを得た。
【0111】
上記の方法で得た主薬顆粒H 4680gに中間層コーティング液 6141g(固形分濃度:10%)を流動造粒コーティング機(パウレック社製、MP-10)を用いてコーティングした。コーティング操作条件は給気風量:2.4m3/分、給気温度:70℃、品温:42℃(予熱温度、工程中)。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1400μmの中間層顆粒Cを得た。
【0112】
上記の方法で得た中間層顆粒C 4388gを流動造粒コーティング機(パウレック社製、MP-10)に投入し70℃で5分間加温処理した。その後引き続き腸溶性被膜用コーティング液 5875g(固形分濃度:18%)をコーティングした。コーティング操作条件は給気風量:2.4m3/分、給気温度:66℃、注液速度:24g/分、スプレーエア圧力:3kg/cm2で行う。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、850μm〜1400μmの腸溶性顆粒Bを得た。
得られた腸溶性顆粒Bにタルクおよび軽質無水ケイ酸を混合し、腸溶性混合粒Bを得た。
腸溶性混合粒B 80mg(ランソプラゾールR体 7.5mg相当量)および実施例3で得たpH依存溶解性放出制御混合粒B 105mg(ランソプラゾールR体 22.5mg相当量)の両方を3号HPMCカプセルに充填する。
上記で得られたHPMCカプセルを40℃、2時間真空乾燥し水分値22%RH以下のHPMCカプセル剤を得た。
【0113】
〔表8〕
組成表
【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

【表20】

【表21】

【表22】

【実施例10】
【0114】
腸溶性混合粒B 120mg(ランソプラゾールR体 11.25mg相当量)および実施例3で得たpH依存溶解性放出制御混合粒B 157.5mg(ランソプラゾールR体 33.75mg相当量)の両方を2号HPMCカプセルに充填する。
上記で得られたHPMCカプセルを40℃、2時間真空乾燥し水分値22%RH以下のHPMCカプセル剤を得た。
【表23】

【実施例11】
【0115】
腸溶性混合粒B 160mg(ランソプラゾールR体 15mg相当量)および実施例3で得たpH依存溶解性放出制御混合粒B 210mg(ランソプラゾールR体 45mg相当量)の両方を1号HPMCカプセルに充填する。
上記で得られたHPMCカプセルを40℃、2時間真空乾燥し水分値22%RH以下のHPMCカプセル剤を得た。
【表24】

【実施例12】
【0116】
組成を表9に示す。ランソプラゾールR体 225g、炭酸マグネシウム 330g、ショ糖(粉砕品)1826gおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 248.4gをバーチカルグラニュレーターで混合し、主薬散布剤(合計:2629g)とした。遠心転動造粒機(フロイント社製、CF−360)に核としてショ糖・トウモロコシデンプン球形造粒品(フロイント社製、ノンパレル101−750)724.5gを入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(2%水溶液:W/W)を噴霧(最終噴霧量:8.4g(固形分))しながら上記の主薬散布剤 2416gを散布し球形顆粒を得た。コーティング操作条件はローター回転数:240rpm、線速:271m/min、核1gに対する主薬散布速度:138mg/minで行った。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1400μmの主薬顆粒Iを得た。
上記の方法で得た主薬顆粒D 2311gに中間層コーティング液 3032g(固形分濃度:10%)を流動造粒コーティング機(パウレック社製、MP-10)を用いてコーティングした。コーティング操作条件は給気風量:1.5m3/分、給気温度:70℃、品温:42℃(予熱温度、工程中)。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1400μmの中間層顆粒Dを得た。
上記の方法で得た中間層顆粒D 2145gを流動造粒コーティング機(パウレック社製、MP-10)に投入し70℃で5分間加温処理した。その後引き続き腸溶性被膜用コーティング液 2872g(固形分濃度:18%)をコーティングした。コーティング操作条件は給気風量:1.5m3/分、給気温度:70℃、注液速度:16.5g/分、スプレーエア圧力:3kg/cm2で行う。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、850μm〜1400μmの腸溶性顆粒Cを得た。
得られた腸溶性顆粒Cにタルクおよび軽質無水ケイ酸を混合し、腸溶性混合粒Cを得た。
腸溶性混合粒C 80mg(ランソプラゾールR体 7.5mg相当量)および実施例3で得たpH依存溶解性放出制御混合粒B 52.5mg(ランソプラゾールR体 22.5mg相当量)の両方を4号HPMCカプセルに充填する。
上記で得られたHPMCカプセルを40℃、2時間真空乾燥し水分値22%RH以下のHPMCカプセル剤を得た。
【0117】
〔表9〕
組成表
【表25】

【表26】

【表27】

【表28】

【表29】

【表30】

【表31】

【実施例13】
【0118】
実施例3で得た腸溶性混合粒A 58mg(ランソプラゾールR体 15mg相当量)およびpH依存溶解性放出制御混合粒B 210mg(ランソプラゾールR体 45mg相当量)の両方を2号HPMCカプセルに充填する。
上記で得られたHPMCカプセルを40℃、2時間真空乾燥し水分値22%RH以下のHPMCカプセル剤を得た。
【表32】

【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明における顆粒の製造方法、生理活性物質の溶出変動の改善方法は、生理活性物質を含有する顆粒の製造工程において、顆粒の温度を一定温度に加温し、当該温度に一定時間保持するだけで生理活性物質の溶出プロファイルのばらつきを低減でき、薬物の安定した有効血中濃度を維持するような製剤設計が容易となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核に結合液を噴霧しながら、生理活性物質を含有する主薬散布剤を散布する際の散布速度が核1gに対し約90mg/min以上の速度であり、遠心流動型コーティング造粒装置単位面積当たりの仕込み総重量が約1.5g/cm以上であることを特徴とする主薬顆粒の遠心流動造粒方法。
【請求項2】
主薬散布剤の散布速度が約90〜約250mg/minである請求項1記載の方法。
【請求項3】
核1gに対する主薬散布速度/線速の値が0.27〜2である請求項1記載の方法。
【請求項4】
遠心流動型コーティング造粒装置単位面積当たりの仕込み総重量が約1.5〜約6g/cmである請求項1記載の方法。
【請求項5】
請求項1記載の造粒方法により得られる顆粒。

【公開番号】特開2011−235172(P2011−235172A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166783(P2011−166783)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【分割の表示】特願2007−504819(P2007−504819)の分割
【原出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】