説明

風力発電装置

【課題】一部又は全部が風車部の回転軸方向に沿った方向に配したブレードを有する風車を用いた風力発電装置において、風車の回転アシストを実現すること。
【解決手段】ねじれ円弧翼型風車28の回転外周を覆う風洞カバー24内に、U相誘導コイル部50と、V相誘導コイル部52と、W相誘導コイル部54とを設け、これらの誘導コイルに3相交流を印加する制御装置14を設ける。微風時に、誘導コイル部にねじれ円弧翼型風車28の正回転方向に回転する回転磁界を発生させるように3相交流を印加して、ねじれ円弧翼型風車28を電磁誘導作用により回転方向に回転アシストする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電装置には様々な種類が知られている。一部又は全部が風車部の回転軸方向に沿った方向に配したブレードを有する風力発電装置として、ねじれ円弧翼型水平軸風車を用いたものが知られている(例えば、非特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】小島,「ねじれ円弧翼型水平軸風車の開発」,太陽エネルギー,日本太陽エネルギー学会,1996年5月,第22巻,第3号,p.25−31
【非特許文献2】小島,岸村,「ねじれ円弧翼型水平軸風車に関する研究」,太陽エネルギー,日本太陽エネルギー学会,1997年9月,第23巻,第5号,p.70−76
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、風力発電装置は、十分な風力がないと発電機の回転負荷により回転できなかったり、回転してもスムーズに回らず、上手く発電できない状況がおこる。より具体的には、発電機が持つコギング力(電磁的結合力)と、発電機から電気的負荷に対して負荷電流が流れることによる発電機固定子と電機子の電磁的結合力とが、風車に回転逆方向の力を与えることで、風車の回転力が低減される。ねじれ円弧翼型水平軸風車のような、一部又は全部が風車部の回転軸方向に沿った方向に配したブレードを有する風力発電装置においても、風速が小さいと上手く発電できない状況がおこるのは同様である。
【0005】
本発明は、一部又は全部が風車部の回転軸方向に沿った方向に配したブレードを有する風車を用いた風力発電装置において、風車の回転アシストを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するための第1の形態は、一部又は全部が風車部の回転軸方向に沿った方向に配したブレードを有する風車を用いた風力発電装置であって、
前記ブレードの回転外周を覆うカバー部(例えば、図1の風洞カバー24)と、
前記カバー部の内方空間に回転磁界を発生させるための前記カバー部に設けられた巻線部(例えば、図4のU相誘導コイル部50、V相誘導コイル部52、W相誘導コイル部54)と、
前記巻線部に印加する交流電力を制御して前記巻線部に前記回転磁界を発生させる制御部(例えば、図1の制御装置14)と、を備え、前記回転磁界によって回転力をアシストする風力発電装置である。
【0007】
第1の形態によれば、カバー部に設けられた巻線部に発生した回転磁界によってブレードが電磁誘導作用を受ける。回転磁界を風車の回転方向に合わせると回転力が補助される。よって、風力のみでは起動しきれないような微風条件下であっても、風車の回転をアシストすることができる。
【0008】
第2の形態は、前記各ブレードと前記回転軸部の前記ブレードが接続される接続部位(例えば、図2の前方ブレード固定具42)とは導体でなり、当該接続部位を介して前記各ブレードが短絡されてなる第1の形態の風力発電装置である。
【0009】
第2の形態によれば、第1の形態と同様の効果を奏するとともに、ブレードとその接続部位とがかご型誘導電動機の「かご」に相当する回路を形成し、そのうちの接続部位が「端絡環」に、ブレードが「導体」に相当する回路を形成する。このため、風車の回転アシストに際して、ブレード等を回転子とする誘導電動機として機能させることができる。
【0010】
第3の形態は、風速計(例えば、図1の風向風速計6)を更に備え、
前記制御部は、前記風速計で検出された風速が所定のアシスト開始風速条件を満たした場合に、前記回転磁界の発生制御を開始する、第1又は第2の形態の風力発電装置である。
【0011】
第3の形態によれば、第1又は第2の形態と同様の効果を奏するとともに、例えば風力のみで風車がスムーズに回る風速の場合には起動アシストをしないことで、無用な電力消費を抑制できる。
【0012】
回転磁界の制御としては、次の形態が考えられる。
例えば、第4の形態として、第1〜第3の何れかの形態の風力発電装置において、
前記回転軸部の回転速度を検出する回転速度検出部(例えば、図2の回転計32)を更に備え、
前記制御部は、前記回転速度検出部で検出された回転速度に応じて前記回転磁界の目標回転速度を設定する目標速度設定手段(例えば、図1のCPU14b、ICメモリ14c、図7のステップS6)と、前記目標回転速度となるように前記回転磁界の回転速度を徐々に変更制御する回転速度制御手段(例えば、図1のCPU14b、ICメモリ14c、図7のステップS8〜S10)と、を有する風力発電装置とする構成である。
【0013】
また、第5の形態として、第3の形態の風力発電装置において、
前記制御部が、
前記風速計で検出された風速に応じて前記回転磁界の目標回転速度を設定する目標速度設定手段(例えば、図1のCPU14b、ICメモリ14c、図8のステップS22)と、
前記目標回転速度となるように前記回転磁界の回転速度を徐々に変更制御する回転速度制御手段(例えば、図1のCPU14b、ICメモリ14c、図8のステップS26)と、
を有する風力発電装置を構成することとしてもよい。
【0014】
この場合、第6の形態として、前記目標設定手段が、予め定められた風速に対する無負荷時の回転速度の参照データを用いて、前記風速計で検出された風速に応じた前記目標回転速度を設定する風力発電装置を構成することとしてもよい。
【0015】
第6の形態によれば、第5の形態と同様の効果を奏するとともに、風車の仕様に最適な回転磁界を発生させることができる。
【0016】
第7の形態は、前記風車が、ねじれ円弧翼型水平軸風車である、第1〜第6の何れかの形態の風力発電装置である。
【0017】
第7の形態によれば、ねじれ円弧翼型水平軸風車において、第1〜第6の形態と同様の効果を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】風力発電装置の構成例を示す図。
【図2】ねじれ円弧翼型風車の前端部周辺を拡大して示す側面図。
【図3】ねじれ円弧翼型風車の前端部周辺の部分縦断面図。
【図4】誘導コイルの配置例を示す風車部の概略正面図。
【図5】誘導コイルの配置例を示す風車部の概略側面図。
【図6】ねじれ円弧翼型風車の回転アシスト中の作用説明するための概念図。
【図7】回転アシストに関する制御の流れを説明するためのフローチャート。
【図8】回転アシストの変形例に関する制御の流れを説明するためのフローチャート。
【図9】ジャイロミル型風車に本発明を適用した形態の一例を示す風車部回りの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
一部又は全部が風車部の回転軸方向に沿った方向に配したブレードを有する風車を用いた風力発電装置の一例として、第1の実施形態ではねじれ円弧翼型水平軸風力発電装置に本発明を適用した場合について説明する。
図1は、本実施形態における風力発電装置の構成例を示す図である。風力発電装置2は、ソーラパネル4と、風向風速計6と、電力変換装置8と、バッテリー10と、制御装置14と、風車部20とを備える。
【0020】
電力変換装置8は、電力変換用インバータ回路やコンバータ回路、電力ラインの切換回路等を搭載し、ソーラパネル4で発電された電力及び風車部20で発電された電力をバッテリー10へ蓄電させるとともに、バッテリー10の蓄電電力を電圧変換等して制御装置14へ供給する。また、電力変換装置8はバッテリー10の蓄電電力を検出し、バッテリー10の蓄電電力が最低電力を下回った場合には、電力会社によって電力線9から供給される交流電力をAC/DC変換等して、バッテリー10へ蓄電させる。
【0021】
上述の通り風力発電装置2は、発電手段として風車部20の他にソーラパネル4を備える構成としているが、風車部20のみを備える構成としても勿論よい。
また、本実施形態における風力発電装置2はバッテリー10を備える構成としているが、これを不用とし、風車部20が発電した電力を電力変換装置8に送る負荷ライン12をそのまま外部への電力供給線としても良い。但し、この場合には、後述する回転磁界の生成・制御のために、電力線9から供給される電力を電力変換装置8が変換して制御装置14へ供給する系統は必要である。
【0022】
風向風速計6は、計測した風向及び風速を示す信号を制御装置14へ出力する。
【0023】
制御装置14は、コンピュータ回路等でなる演算装置や電力変換装置を搭載し、風車部20に内蔵される誘導コイル部へ3相交流を供給して回転磁界を発生させる制御をする。
例えば、スイッチング素子を用いた3相出力インバータ回路14aや、CPU(Central Processing Unit)14b、CPUが演算処理を実行するためのプログラムや各種データを記憶したり演算処理の記憶領域として使用されるICメモリ14c、外部装置との信号の入出力を制御するI/OインターフェースIC14dなどを搭載する。
【0024】
そして、本実施形態における制御装置14は、(1)風向風速計6で計測された風速が、風力のみで風車部20が微小に回転するまでに満たない微風状態であるかを判定する処理、(2)微風状態である場合に、回転磁界の目標回転数を算出して、現在の風車部20の回転数と算出した目標回転数との差に基づいて回転磁界を発生させる回転磁界生成制御処理、(3)無風又は微風状態以上の風速である場合に、回転磁界の発生を中止させる処理、などを実行する。尚、これらの機能をCPU16bによる演算処理で実現する構成としても良いし、一部又は全部を電子回路により実現する構成としても良いのは勿論である。
【0025】
風車部20は、略鉛直軸回りに首振り自在なメインポール22と、メインポール22の上端にて開口部が略水平方向を向いて固定された略円筒状の風洞カバー24と、この風洞カバー24の内側に立設された支柱26で枢支されたねじれ円弧翼型風車28とを備える。
【0026】
ねじれ円弧翼型風車28は、略水平に支持された回転軸30の前端に回転計32を内蔵した前端軸受部34を備え、またその後端に発電機36を備える。そして、前端軸受部34と発電機36とで支柱26に固定される。回転計32は、回転軸30の回転数を検出し、検出した回転数に応じた信号を制御装置14へ出力する。
【0027】
図2は、ねじれ円弧翼型風車28の前端部周辺を拡大して示す側面図である。図3は、ねじれ円弧翼型風車28の前端部周辺の部分縦断面図である。
回転軸30の前端軸受部34のすぐ後側には、ブレード40の前端を回転軸30に固定する為の前方ブレード固定具42が固定されている。ブレード固定具42にはブレード固定ボルト44によりブレード40が固定される。これらは、何れも導電性を有しており、相互に電気的に短絡している。但し、ブレード固定具42と回転軸30とは、非導電性の絶縁カラー46を介して固定されており、両者の間では電気は流れない或いは流れにくいようになっている。同様にして、回転軸30の発電機36のすぐ前側には、ブレード40の後端を固定するための後方ブレード固定具48が、絶縁46を介して固定されている(図1参照)。
【0028】
つまり、前方ブレード固定部42とブレード40と後方ブレード固定部48は、かご型誘導電動機の「かご」を形成する。そのうち、前方ブレード固定部42と後方ブレード固定部48とは「端絡環」の役割を有し、ブレード40は「導体」の役割を有する。
【0029】
図4及び図5は、誘導コイルの配置例を示す風車部の概略正面図及び概略側面図である。尚、図4の例では、意図的に誘導コイルの太さを大きくし、数を少なくした上で断面を明示しているが、太さやコイルの所要巻数を限定するものではない。また、図4では、風洞カバー24の内壁面上にコイルを配置して示しているが、透磁性を確保できれば風洞カバー24の流れを乱さないように風洞カバー24の壁面内に埋設されるようにすると好適である。例えばコイルを収納配置するための凹部を形成し、その凹部のコイル埋設するように配置するとよい。また、図5の例では、U相誘導コイル部50のみを図示し、V相誘導コイル部52と、Wの誘導コイル部54とは図示を省略している。
【0030】
風洞カバー24は、風車部20を保護するとともに周囲に流れる風を整流する。また、本実施形態では、風洞カバー24の内部、より具体的には風洞カバー24の内周面に沿ってU相誘導コイル部50と、V相誘導コイル部52と、W相誘導コイル部54とを備える。これらの誘導コイル部は互いに60°ずつ位相がずれて設けられており、誘導電動機の「固定子コイル」として機能する。
【0031】
これら誘導コイル部を設ける位置や巻回数、巻回幅等は、ねじれ円弧型風車28の仕様に応じて適宜設定すればよいが、「導体」として機能するブレード40に対向してブレード40が最も近接する位置に、回転磁界によってブレード40に誘導電流を生じさせるのに適当な巻回数及び巻回幅で設けると良い。
【0032】
図6は、本実施形態におけるねじれ円弧翼型風車28の回転アシスト中の作用を説明するための概念図であって、3相交流タイミング(図1参照)の(1)〜(6)の各タイミングにおけるねじれ円弧翼型風車28の正面図を示している。また、図6中の破線は磁界の向きを示している。また、U相誘導コイル部50と、V相誘導コイル部52と、Wの誘導コイル部54の表記は電流の向きを示している。
【0033】
前述のように、前方ブレード固定部42とブレード40と後方ブレード固定部48は、誘導電動機で言うところの「かご」を形成する。制御装置14により、U相誘導コイル部50と、V相誘導コイル部52と、Wの誘導コイル部54へ、ねじれ円弧翼型風車28の正回転方向(風力により回転する方向)へ回転する回転磁界を形成するように3相交流が印加されると、「導体」として機能するブレード40には誘導電流が流れ、回転磁界と誘導電流との相互作用によりブレード40が回転磁界に引っ張られるように黒矢印の方向(正回転方向へ)へ回転する力が作用する。これを本実施形態におけるねじれ円弧翼型風車28の回転アシストとする。
【0034】
図7は、本実施形態における回転アシストに関する制御の流れを説明するためのフローチャートであって、所定サイクルで繰り返し実行される。
具体的には、制御装置14は、風向風速計6で検出される風速が「0」ではない状態で(ステップS2のYES)、且つ回転計32で検出される回転数(例えば、rpm(revolutions per minute))が基準回転数未満の場合に(ステップS4のYES)、回転アシスト開始条件を満たすと判断する。そして、風速及び/又は回転数に対する目標回転数が予め定められてICメモリ14cに記憶された所定のテーブルデータを参照して回転磁界の目標回転数を算出する(ステップS6)。勿論、「テーブルデータ」は、ねじれ円弧翼型風車28の大きさや各部のフリクションとの兼ね合いを考慮して、風速及び/又は回転軸30の回転数と、回転磁界の目標回転数とが対応づけられ、事前テストにより適宜設定するものとする。なお、風速及び/又は回転数から目標回転数を求める関数を予め定めておき、その関数を用いて目標回転数を算出することとしてもよい。
【0035】
尚、ここで言う「基準回転数」は、風力のみでねじれ円弧翼型風車28のコギングの影響が微小又は無しと見なされるときの無負荷回転数であって、回転アシストの要/不要の判断の境目とされる回転数である。ねじれ円弧翼型風車28の仕様に応じて事前テストにより適宜設定する。
【0036】
そして、回転磁界の目標回転数を算出したならば、制御装置14は、現在の回転軸30の回転数と回転磁界の目標回転数との差を算出し(ステップS8)、算出した差に基づいて回転磁界が目標回転数となるように回転磁界を生成させるPI制御を実行し(ステップS10)、ステップS2に戻る。
【0037】
一方、もし、風速が「0」の場合や(ステップS2のNO)、風速が回転アシストする必要がないほど十分有って回転軸30の回転数が基準値以上の場合には(ステップS4のNO)、回転磁界の生成制御を中止し(ステップS12)、ステップS2に戻る。
【0038】
以上、本実施形態によれば、ねじれ円弧翼型風車28のブレード40と前方ブレード固定部42と後方ブレード固定部48とを電気的に短絡する構成としたことで誘導電動機の「かご(=回転子)」が形成される。また、ねじれ円弧翼型風車28のブレード40の回転周部に誘導コイル部50,52,54を設け、回転磁界を発生・制御することで、回転磁界によって風車をかご型誘導電動機の回転子のようにして回転させることができる。よって、風力のみでは風車が回転できない或いは回転しにくい微風条件下において効果的な回転アシストをすることができる。
【0039】
〔変形例〕
尚、本発明の適用形態は上記実施形態に限らず、適宜構成要素の追加・省略・変更を施す事ができる。
【0040】
[その1]
例えば、上記実施形態では回転磁界の目標回転数を、ねじれ円弧翼型風車28の回転数から算出する構成としたが、例えば図8に示すように変更できる。
具体的には、風向風速計6で検出される風速が「0」以上の所定の基準範囲である場合すなわち風力のみではねじれ円弧翼型風車28がスムーズに起動・回転できない程に弱い微風条件下である場合(ステップS20のYES)、制御装置14は、所定のアシスト開始風速条件を満たしたと判断し、ICメモリ14cに予め記憶されている無負荷回転数テーブルデータを参照して、検出されている風速に対応する無負荷時回転数を算出する(ステップS22)。無負荷回転数テーブルデータとは、発電機36からの負荷ライン12を開放し、無負荷とした状態の風速と回転数(無負荷時回転数)との対応関係を予め計測したデータである。
【0041】
そして、また別途ICメモリ14cに記憶させていた目標回転数テーブルデータ又は目標回転数算出関数に従って、算出された無負荷時回転数に対する回転磁界の目標回転数を算出し(ステップS24)、算出した差に基づいて回転磁界が目標回転数となるように3相交流制御を実行し(ステップS26)、ステップS20に戻る。
もし、風速が「0」の場合には(ステップS20のNO)、回転磁界を生成させる制御を中止し(ステップS28)、ステップS20に戻る。
【0042】
[その2]
また、上記実施形態では風車部20として、ねじれ円弧翼を用いた水平軸型風車を用いた例を挙げたが、一部又は全部が風車部の回転軸方向に沿った方向に配したブレードを有する風車であれば、ダリウス型、ジャイロミル型(垂直ダリウス)や、クルスフロー型、サボニウス型、へリックスタービン型などの垂直軸型に変更することができる。
【0043】
例えば、図9はジャイロミル型風車に本発明を適用した形態の一例を示す風車部回りの側面図である。尚、図中の誘導コイル部はU相誘導コイル部のみを図示しているが、第1実施形態の誘導コイル部と同様に、V相誘導コイル部とW相誘導コイル部も設置されているものとする。
【0044】
具体的には、ジャイロミル型風車部60は、略鉛直のメインポール22に回転自在に枢支されたロータ62から、ロータ62外縁から放射方向に複数のブレードステー64を設ける。そして、このブレードステー64の外端にブレード66を固定する。ブレード66は例えば翼断面を有して略鉛直に立設されている。これら3枚のブレード66は、下端で環状のロアフレーム68により相互に固定されている。
【0045】
ロータ62と、ブレードステー64と、ブレード66及びロアフレーム68は、全体又は表面が電気伝送性材料で構成されており接触する物同士で導通し、これらに沿って電流が流れる。つまり、ロータ62と、ブレードステー64及びロアフレーム68が「端絡環」の役割を果たし、ブレード66が「導体」の役割を果たすことで、これらがかご型誘導電動機の「かご」の役割を果たす。U相誘導コイル部、V相誘導コイル部及びW相誘導コイル部は、ブレード66の「導体」の部分に作用するように配置される。
【0046】
また、ジャイロミル型風車部60は、メインポール22に対してコイルハウジング58を備える。コイルハウジング58は第1実施形態の風洞カバー24に相当する。具体的には、直径がブレード66の外形よりも大きく、ブレード66の下端から翼幅(図の縦方向長さ)の1/4程度の幅を有する円筒形を有する。そして、その内壁面には、第1実施形態の風洞カバー24の構成と同様にして、U相誘導コイル部50と、V相誘導コイル部及びW相コイル部(不図示)とを備え、制御装置14で駆動される3相交流によって回転磁界が生成される。
【0047】
[その3]
また、上記実施形態のブレード40に着磁させる、或いは磁性材料を封入する構成とし、擬似的な同期型電動機のように見立てて制御装置14が回転磁界を制御する構成としても良い。
【符号の説明】
【0048】
4 ソーラパネル
6 風向風速計
8 電力変換装置
10 バッテリー
14 制御装置
20 風車部
24 風洞カバー
28 ねじれ円弧翼型風車
40 ブレード
42 前方ブレード固定具
46 絶縁カラー
50 U相誘導コイル部
52 V相誘導コイル部
54 W相誘導コイル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部又は全部が風車部の回転軸方向に沿った方向に配したブレードを有する風車を用いた風力発電装置であって、
前記ブレードの回転外周を覆うカバー部と、
前記カバー部の内方空間に回転磁界を発生させるための前記カバー部に設けられた巻線部と、
前記巻線部に印加する交流電力を制御して前記巻線部に前記回転磁界を発生させる制御部と、
を備え、
前記回転磁界によって回転力をアシストする風力発電装置。
【請求項2】
前記各ブレードと前記回転軸部の前記ブレードが接続される接続部位とは導体でなり、当該接続部位を介して前記各ブレードが短絡されてなる請求項1に記載の風力発電装置。
【請求項3】
風速計を更に備え、
前記制御部は、前記風速計で検出された風速が所定のアシスト開始風速条件を満たした場合に、前記回転磁界の発生制御を開始する、
請求項1又は2に記載の風力発電装置。
【請求項4】
前記回転軸部の回転速度を検出する回転速度検出部を更に備え、
前記制御部は、
前記回転速度検出部で検出された回転速度に応じて前記回転磁界の目標回転速度を設定する目標速度設定手段と、
前記目標回転速度となるように前記回転磁界の回転速度を徐々に変更制御する回転速度制御手段と、
を有する、
請求項1〜3の何れか一項に記載の風力発電装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記風速計で検出された風速に応じて前記回転磁界の目標回転速度を設定する目標速度設定手段と、
前記目標回転速度となるように前記回転磁界の回転速度を徐々に変更制御する回転速度制御手段と、
を有する、
請求項3に記載の風力発電装置。
【請求項6】
前記目標設定手段は、予め定められた風速に対する無負荷時の回転速度の参照データを用いて、前記風速計で検出された風速に応じた前記目標回転速度を設定する、
請求項5に記載の風力発電装置。
【請求項7】
前記風車は、ねじれ円弧翼型水平軸風車である、請求項1〜6の何れか一項に記載の風力発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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