説明

風呂蓋の支持具

【課題】安定した強度を確保して風呂蓋を支持でき、入浴中に頭が干渉することがなく、また、風呂蓋からの雫が垂れてくることがない風呂蓋支持具を提供する。
【解決手段】浴槽2の上面から宙に浮いた状態で浴室壁面4に取り付けられる風呂蓋支持具7であって、風呂蓋支持具7は、風呂蓋5の幅方向の半分以上の長さを有して風呂蓋5の荷重を受けることのできる受け部71と、受け部71から上方に立ち上がり風呂蓋5の滑りや落下を防止する立上り部72と、受け部71から浴室壁面4に当接して荷重を分散し得る当接部73を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室において風呂蓋を支持する支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に開示されているように、浴室の壁面に受け金具と留め金具を設けて、受け金具と留め金具間に風呂蓋を支持させる構造のものが存在する。
また、特許文献2に開示されているように、浴槽の一端縁に凹条を設け、この凹条に風呂蓋の下端を納めて、風呂蓋を浴室の壁面に沿って立て掛けるように構成した風呂蓋収納構造が存在する。
【特許文献1】実開平5−43982号公報
【特許文献2】特開平8−322754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されている構造では、受け金具上に支持させた風呂蓋からの水滴が入浴者の頭に垂れる虞があり、不快感を生ずるという問題点があり、また、この受け金具に手を掛けた場合等における強度が不十分であるという問題点があった。
また、上記特許文献2に開示されているような構造では、浴槽に形成した凹条に風呂蓋を納めるものであるため、風呂蓋が入浴者の頭と干渉する虞があり、また、風呂蓋の外周のエッジ材が浴槽と密着し、水膜を形成してカビや汚れ等が発生し易いという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、安定して風呂蓋を支持することができ、入浴者の頭と干渉することもなく、頭の上に風呂蓋からの雫が垂れてくることもない風呂蓋の支持具を提供するものであり、その請求項1は、浴槽上面から宙に浮いた状態で浴室壁面に取り付けられる風呂蓋の支持具であって、該支持具は、少なくとも風呂蓋の幅方向の半分以上の長さを有して風呂蓋の荷重を受けることのできる受け部と、該受け部から上方に立ち上がり風呂蓋の滑りや落下を防止する立上り部と、前記受け部から前記浴室壁面に当接して荷重を分散し得る当接部を備えていることである。
【0005】
また、請求項2は、前記受け部には、風呂蓋を該受け部の底面から宙に浮いた状態で支持可能な凸部が部分的に突出形成されていることである。
【0006】
また、請求項3は、前記受け部には、風呂蓋からの水滴を排水するための排水路が形成されていることである。
【0007】
また、請求項4は、前記受け部または立上り部から突出状に手掛け部または握りバーを設けたことである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、浴槽上面から宙に浮いた状態で浴室壁面に取り付けられる風呂蓋の支持具であって、該支持具は、少なくとも風呂蓋の幅方向の半分以上の長さを有して風呂蓋の荷重を受けることのできる受け部と、該受け部から上方に立ち上がり風呂蓋の滑りや落下を防止する立上り部と、前記受け部から前記浴室壁面に当接して荷重を分散し得る当接部を備えていることにより、風呂蓋を支持具に載せると、風呂蓋は浴槽上面から宙に浮いた状態で浴室壁面に安定して支持され、宙に浮いているため入浴者の頭に干渉せず邪魔になることがなく、しかも、風呂蓋からの雫が入浴者の頭に垂れてこないため入浴中に不快感を生ずることがなく、また受け部に手をついたりして荷重がかかっても、当接部全体に荷重が分散されて、風呂蓋支持具が破損し難いものとなる。
【0009】
また、前記受け部には、風呂蓋を該受け部の底面から宙に浮いた状態で支持可能な凸部が部分的に突出形成されていることにより、風呂蓋を支持具の上に置いた際に、凸部により、風呂蓋の外周のエッジ部が受け部に密着することがなく、風呂蓋と支持具間に水膜が形成されることがないため、カビや汚れが付き難いものとなる。
【0010】
また、前記受け部には、風呂蓋からの水滴を排水するための排水路が形成されていることにより、風呂蓋の水滴が良好に排水路を介して排水されるために、風呂蓋の外周のエッジ部や支持具が汚れ難いものとなる。
【0011】
また、前記受け部または立上り部から突出状に手掛け部または握りバーを設けたことにより、浴槽への出入りや浴槽内での立ち座り等の際に、手掛け部あるいは握りバーに手を添えて体重を支え、姿勢を安定させることができるものとなる。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、風呂蓋を風呂蓋支持具に支持させた状態の斜視構成図であり、図2は、風呂蓋支持具の側面拡大構成図であり、図3は、風呂蓋支持具の斜視構成図である。
浴室1には、洗い場3の奥側に浴槽2が設置されており、この浴槽2の上方の壁面4には、略水平状に風呂蓋支持具7が固設されており、また、風呂蓋支持具7の上方の壁面4にはフック6が設けられている。フック6は、壁面4から突出された軸6aの先端に下向きに形成されている。
【0013】
風呂蓋支持具7は、浴槽側へ略水平に延びる受け部71と、受け部71の先端で上方へ立ち上がる立上り部72と、受け部71の壁面4側に垂下状に一体形成された当接部73からなり、当接部73には横方向に間隔をおいて固定孔74,74が形成されている。
それぞれの固定孔74内にビス8を差し込んで、ビス8を壁4に締め付け、ビス8の頭をビスキャップ9で隠して、風呂蓋支持具7が壁面4にビス8を介し固定されるものであり、この固定状態では、当接部73が壁面4に広い面積で当接し、荷重を良好にこの当接部73で分散することができるものである。
【0014】
風呂蓋支持具7の受け部71上には、組蓋で構成される風呂蓋5を載せることができ、風呂蓋5の荷重をこの受け部71で受けることができるものである。また、立上り部72により、風呂蓋5の滑りや落下を良好に防ぐことができるものである。
なお、この風呂蓋支持具7の横方向寸法は、風呂蓋5の横方向幅寸法の半分以上の長さを有するものである。
なお、受け部71に洗い場3側へ勾配を形成させておくと、風呂蓋5からの雫が良好に受け部71上を流れ、洗い場3に水滴を良好に排水することができ、浴槽2内に入浴している入浴者の頭部に雫が垂れることがなく、快適に入浴できるものとなる。
【0015】
また、風呂蓋支持具7は浴槽2の上面から宙に浮いた上方に設置されるため、入浴者の頭と干渉することがなく、邪魔にならない位置に風呂蓋5を収納しておくことができるものとなる。
また、当接部73が広い面積で壁面4に当接して荷重を分散することができるため、受け部71や立上り部72に手をついて荷重をかけた場合にも、風呂蓋支持具7が破損することがなく、強度が確保されるものとなる。
【0016】
なお、風呂蓋5は、洗い場3側から受け部71上に風呂蓋5の外周のエッジ材5aを置き、その状態で洗い場側3側から押し込んで、横方向にスライドさせてフック6に掛止状にして、風呂蓋5を風呂蓋支持具7に支持させることができ、風呂蓋5を風呂蓋支持具7に収納させる操作を容易に行うことができるものであり、また、風呂蓋5を風呂蓋支持具7から取り外す際にも、洗い場3側へスライドさせ、良好に風呂蓋5を風呂蓋支持具7から引っ張り出すことができるものである。
なお、フック6は固定状のものであるが、このフック6が洗い場3側に設けられている場合には、フック6は軸6aに対し回転できるように構成しておくと、風呂蓋5を掛止する際の操作が容易なものとなる。
【0017】
なお、図4および図5は、風呂蓋支持具7の形状を変更した側面断面構成図である。
図4の風呂蓋支持具7は、当接部73が受け部71から上方へ立ち上げ形成されたものであり、この当接部73には固定孔74が形成されており、この固定孔74内にビス8を通して、壁面4にビス8を締め付けて固定できるものであるが、ビス8を締め付ける際にドライバーを通すための孔が立上り部72にドライバー孔72aとして形成されている。
【0018】
また、図5では、受け部71に対し上方へ立ち上がる上当接部73aと、受け部71から下方へ垂下する下当接部73bを有し、上当接部73aにはビス8を通す固定孔74aが形成されており、下当接部73bにはビス8を通す固定孔74bが形成されている。また、立上り部72には、固定孔74aと整合する位置にドライバーを通すためのドライバー孔72aが形成されている。
この図5の構成では、当接部73a,73bが極めて広い面積で壁面4に当接され、しかも固定孔74a,74bが上下に形成されているため、強度を高めて壁面4に風呂蓋支持具7が固設されることとなり、立上り部72や受け部71に手をついて荷重がかかった場合にも、強固に荷重を受けることができるものとなる。
【0019】
次に、図6の側面断面構成図で、図7の平面図で、また図8に正面図で示す風呂蓋支持具7は、更に形状を変更したものである。
この風呂蓋支持具7は、図9に当接部73側から見た部分斜視図で示すように、受け部71に上方へ立ち上げられた凸部75が形成されており、この凸部75は間隔をおいて2個以上形成されたものである。
また、受け部71と当接部73間に凹み状に排水路Mが形成されており、この排水路Mは、当接部73の上端で受け部71側へ水平に形成された排水面77と、排水面77の受け部71側で立ち上がる立ち面76で形成されている。
【0020】
このような構成では、風呂蓋5を受け部71上に載せた時に、風呂蓋5の外周のエッジ材が凸部75,75上に当接し、風呂蓋5は受け部71の底面と密着しないために、密着することによる水膜が生成されることがなく、カビや汚れが風呂蓋5の外周のエッジ部あるいは受け部71に付き難くなり、汚れ難いものとなる。
また、風呂蓋5からの雫は、受け部71から排水路M内に流れ込み、排水路Mを通り良好に洗い場3側へ排水することができ、風呂蓋5に邪魔されることなくスムーズに雫を排水することができるものとなる。
【0021】
なお、図10は、排水路Mを備えた風呂蓋支持具7を浴槽2の上方に設置して、風呂蓋5を支持させた使用状態図であり、風呂蓋支持具7は浴槽2のかなり上方の壁面4に設置されるため、風呂蓋支持具7と浴槽2間の空間に、頭を干渉することなく配置させて良好に入浴することができ、図10のように、風呂蓋支持具7の下方に枕10を配置させたりして、よりリラックスした状態で入浴できるものである。なお、枕10は浴槽2の上面に配置させて使用することもできる。
【0022】
次に、図11に、当接部73側から見た斜視図で示す風呂蓋支持具7は、排水路Mのみを形成させたものであり、排水路Mを、洗い場3側に向かって水勾配のある傾斜排水面77aとしておけば、風呂蓋5からの水滴を排水路Mを通し、より良好に洗い場3側へ排水できるものとなる。
【0023】
次に、図12および図13に示す風呂蓋支持具7は更に変更したものであり、この図12,図13の風呂蓋支持具7では、立上り部72の上端に略水平に突出して水平突出部78が一体形成されており、水平突出部78の先端に、手を掛けることのできる手掛け部79が略垂下状に一体形成されたものである。また、受け部71上に凸部75が形成され、当接部73側に凹み状に排水路Mが形成されている点は図6のものと同様である。
このように、風呂蓋支持具7に一体で手掛け部79を形成させておけば、浴槽2内への出入りの時、あるいは浴槽2内での立ち座りの際に、この手掛け部79に手を掛けて姿勢を安定させることができるものとなる。
【0024】
なお、図14および図15に示すものは、更に異なる変更例を示すものであり、図14および図15では、風呂蓋支持具7の立上り部72に、取付アーム11a,11aを介して樹脂あるいは金属製の握りバー11を取り付けたものである。
この握りバー11は別体で形成されて、取付アーム11a,11aを風呂蓋支持具7の立上り部72に取付固定したものであり、このような握りバー11を設けておけば、浴槽2への出入り時、あるいは浴槽2内での立ち座りの時に、良好に握りバー11を握り姿勢を安定させることができるものとなる。
【0025】
次に、図16,図17,図18で示すものは、更なる変更例であり、図16,図17,図18で示す風呂蓋支持具7は、受け部71の下部に当接部73から前方へ突出させてノズル受け部13,13を例えば2個設けておき、各ノズル受け部13,13に首振り角度を調節可能に散水ノズル12,12をそれぞれ設けたものであり、この散水ノズル12には、それぞれ図18に示すように壁面4の裏側から配管14を接続させておき、配管14を通して各散水ノズル12から図16に示すように、肩口に湯水を散水させて、入浴中にマッサージ等を行うことができるものである。
なお、このような構成の場合は、半身浴等で肩口が露出している場合でも、散水ノズル12からの湯水で寒くなることがなく、良好に半身浴を行うことができるものとなる。
【0026】
なお、更には図19に示すように、風呂蓋支持具7の立上り部72,あるいは受け部71から浴槽2側へ傾斜状に枕部15を一体形成させておくこともでき、また、この枕部15は別体で形成したものを風呂蓋支持具7の受け部71あるいは立上り部72に取付可能に構成しておくことができ、浴槽に浸かった状態で頭部を良好にこの枕部15に載せて、リラックスした状態で入浴できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】浴室における風呂蓋の収納状態の斜視構成図である。
【図2】風呂蓋支持具に風呂蓋を収納させた状態の側面拡大構成図である。
【図3】風呂蓋支持具の斜視構成図である。
【図4】風呂蓋支持具の変更例の側面断面構成図である。
【図5】更に異なる風呂蓋支持具の変更例の側面断面構成図である。
【図6】更に異なる変更例の風呂蓋支持具と風呂蓋の側面構成図である。
【図7】図6の風呂蓋支持具の平面概略構成図である。
【図8】図6の正面概略構成図である。
【図9】図6の風呂蓋支持具を当接側から見た一部拡大斜視構成図である。
【図10】風呂蓋支持具の下方に枕を置いて入浴している状態の斜視構成図である。
【図11】排水路を形成した風呂蓋支持具の当接部側からの斜視構成図である。
【図12】手掛け部を備えた風呂蓋支持具の使用状態の斜視構成図である。
【図13】図12の風呂蓋支持具の側面断面構成図である。
【図14】握りバーを備えた風呂蓋支持具の使用状態を示す斜視図である。
【図15】図14の風呂蓋支持具の側面断面構成図である。
【図16】散水ノズルを備えた風呂蓋支持具の使用状態の斜視図である。
【図17】散水ノズルを備えた風呂蓋支持具の斜視図である。
【図18】図17の設置状態の側面一部断面構成図である。
【図19】枕部を備えた風呂蓋支持具の使用状態の斜視構成図である。
【符号の説明】
【0028】
1 浴室
2 浴槽
3 洗い場
4 壁面
5 風呂蓋
6 フック
7 風呂蓋支持具
8 ビス
9 ビスキャップ
10 枕
11 握りバー
11a 取付アーム
12 散水ノズル
13 ノズル受け部
15 枕部
71 受け部
72 立上り部
72a ドライバー孔
73 当接部
73a 上当接部
73b 下当接部
74 固定孔
75 凸部
76 立ち面
77 排水面
77a 傾斜排水面
78 水平突出部
79 手掛け部
M 排水路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽上面から宙に浮いた状態で浴室壁面に取り付けられる風呂蓋の支持具であって、
該支持具は、少なくとも風呂蓋の幅方向の半分以上の長さを有して風呂蓋の荷重を受けることのできる受け部と、該受け部から上方に立ち上がり風呂蓋の滑りや落下を防止する立上り部と、前記受け部から前記浴室壁面に当接して荷重を分散し得る当接部を備えていることを特徴とする風呂蓋の支持具。
【請求項2】
前記受け部には、風呂蓋を該受け部の底面から宙に浮いた状態で支持可能な凸部が部分的に突出形成されていることを特徴とする請求項1に記載の風呂蓋の支持具。
【請求項3】
前記受け部には、風呂蓋からの水滴を排水するための排水路が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の風呂蓋の支持具。
【請求項4】
前記受け部または立上り部から突出状に手掛け部または握りバーを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載の風呂蓋の支持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−80022(P2008−80022A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266111(P2006−266111)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】