説明

食品の搬送式冷却方法及び装置

【課題】連続搬送式フリーザにおいて、コンベアの広幅化に対しても、食品の冷却効果を向上でき、かつ冷却室内の隔壁や構造物を減らして冷気流の圧力損失を低減し、動力低減と保守点検を容易にする。
【解決手段】凍結室18内にコンベアベルト14を貫設し、コンベアベルト14上で搬送される食品fに該コンベアベルトの上下に配置した上部冷気噴射部48及び下部冷気噴射部50から冷気を噴射して食品fを凍結する。該凍結室内の上部空間にエアクーラ44を配置し、該エアクーラ44で冷却した冷気をコンベアベルト14の外側空間s1に吐出して冷気の陽圧下降流r1を形成すると共に、上部冷気噴射部48に間隙iをもうけ、軸流吸引ファン40の差圧吸引作用によりコンベアベルト14の内側空間s2に間隙iを通る冷気の負圧上昇流r2を形成することで、食品fの冷却効果を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉空間を形成する冷却室に貫通配置されたコンベアで食品を搬送しながら、該コンベアの上方及び下方からコンベア上の食品に冷気を吹き付け、該食品を連続的に冷却するようにした食品の搬送式冷却方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品を横長の密閉ハウジング内にコンベアを貫通配置させ、該コンベアで食品を搬送しながら、冷却、加熱又は乾燥用のガスジェットを食品に吹き付け、該食品を冷却、加熱又は乾燥させる方法が従来から用いられている。この方法は、食品を連続的に冷却、加熱又は乾燥処理できるので、バッチ式より優れた処理効率を達成できる。
【0003】
特許文献1(国際公開公報WO2006/46317A1)には、この種の連続式急速凍結装置が開示されている。この装置は、コンベアの上方及び下方にコンベアの幅方向にスリット状に配置され山形断面をなす冷気噴射ノズルから食品に向けて冷気を噴射させ、冷気流を食品表面に衝突させるものである。食品表面に衝突した冷気は、コアンダ効果によって食品の表面に密着した薄膜流を形成するので、高い冷却効果が得られる。
【0004】
食品を冷却した後の冷気流は、冷気噴射ノズル間に形成されたコンベア幅方向の排気路からコンベアの幅方向へ排気される。排気された冷気は、密閉ハウジング内の隅に立設された熱交換器で再冷却し、熱交換器の出口側に設けられた送風ファンで冷気噴射ノズルに再循環される。
【0005】
特許文献2(特開2007−24364号公報)には、食品を搬送するコンベアの上下に上側噴射部及び下側噴射部を設け、これら上下噴射部からコンベア上の食品に向けて冷気を噴射すると共に、上下噴射部に冷気を通す隙間をもうけ、食品を冷却した後の冷気流を送風ファンによりこの隙間から斜め上方へ逃がすようにしている。
【0006】
食品をコンベア上に搭載した場合、食品表面と冷気噴流が噴き出すスリットノズルの先端との間の間隔は、食品の厚みに変動がある場合、スリットノズルを適宜昇降させる必要がある。
特許文献3(特開2004−169960号公報)に開示された冷却装置には、多種類の食品に対応するため、上部スリットノズルの高さを段階的に変更可能とするノズル昇降機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開公報WO2006/46317A1
【特許文献2】特開2007−24364号公報
【特許文献3】特開2004−169960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
連続搬送式冷却装置では、多種類の食品に対応するため、あるいは単位時間当たりの冷却処理量を増加させるため、コンベアの幅を広くする傾向にある。
しかし、特許文献1に開示された凍結装置は、食品を冷却した後の冷気をコンベアの幅方向に導出する排気通路を形成するようにしているため、コンベアの幅が広い場合、コンベア中央部の冷気がスムーズに排出されないという問題がある。これによって、食品周囲の冷気に滞留や乱流が生じ、ノズルから噴射された冷気が食品に衝突するのを阻害して冷気効果を低減するという問題がある。
【0009】
特に、多数のノズルから冷気噴流を噴出させる噴流群において、噴出後の冷気がスムーズに排出されない場合、隣り同士の噴流が食品に衝突した後、互いの噴流をノズル方向への巻き上げる巻上げ現象が発生する。この巻上げ流が噴流の巻き込み(エントレインメント)効果によりノズルから噴出する流れに流入し、噴流速度を減衰させてしまうため、食品への熱伝達抑制を引き起こす問題が生じ、食品に凍結ムラが生じる。
【0010】
特許文献2に開示された装置は、上下噴射部に冷気を通す隙間をもうけているが、上側噴射部上方の空間が隔壁で遮蔽され、送風ファン及び熱交換器が配置された上部空間とは、密閉ハウジングの側壁に隣接した通路で連通している。
そのため、上側噴射部にもうけられた隙間を通る冷気が該通路に向けて斜め方向に吸引されるため、コンベア幅方向で該隙間を通る冷気の風速にムラが発生する。これによって、食品近傍の冷気に滞留や乱流が生じ、食品の冷却効果を阻害するという問題がある。
【0011】
また、上下噴射部とも山形断面のノズル形状をもつダクトで構成されているため、構造が複雑で製造費が高コストとなる問題がある。
【0012】
また、特許文献3に開示された装置は、前記ノズル昇降機構が大掛かりな構造であるため、該ノズル昇降機構の重量が増大し、コンベアの幅を広くすると、該ノズル昇降機構の重量がさらに増大し、装置全体が大型化し、高コストになるという問題がある。また、特許文献3には前記問題を解決する手段が開示されていない。
【0013】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、コンベアの広幅化に対しても、食品の冷却に供した後の冷気を食品周辺から速やかに除去して食品周辺の滞留や乱流をなくし、これによって、食品の冷却効果を向上できるようにすることを第1の目的とする。
また、冷却室内の隔壁や構造物を減らして冷気流の圧力損失を低減し、冷気流を形成する駆動力を低減すると共に、冷却室内の可視化性を高めて、洗浄、衛生等の保守点検を容易にすることを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる目的を達成するため、本発明の食品の搬送式冷却方法は、
冷却室内に貫設されコンベア面に冷気通過孔を有するコンベアで食品を搬送しながら、該コンベアの上下に設けられた上部冷気噴射部及び下部冷気噴射部から該食品に向けて冷気を吹き付けるようにした食品の搬送式冷却方法において、
前記冷却室の上部空間で熱交換器から吐出した冷気を前記コンベアの両外側空間で下降させる冷気の陽圧下降流を形成し、
該陽圧下降流を前記上部冷気噴射部及び下部冷気噴射部に導いて冷気を食品に噴射し、該上部冷気噴射部の上方に設けられた送風機の差圧吸引作用により、噴射された冷気が該上部冷気噴射部にもうけられた冷気流通空間から直上方に戻る冷気の負圧上昇流を形成させ、
該陽圧下降流と該負圧上昇流とで冷却室の横断面内で左右対称の冷気流を形成するようにしたものである。
【0015】
本発明方法では、上下冷気噴射部から噴射された後の冷気を上部冷気噴射部にもうけられた冷気流通空間から上方に逃がすようにしているため、前記巻上げ現象を解消できると共に、食品と熱交換した後の冷気をスムーズに排出できるので、食品周辺で冷気の滞留や乱流を低減して、食品の冷却効果を向上できる。
また、下部冷気噴射部では、前記送風機の差圧吸引作用により、均一な直上昇流を形成できるため、コンベアの幅方向で食品の冷却ムラをなくすことができる。
【0016】
また、冷却室内壁に沿うコンベアの幅方向外側空間に陽圧下降流を形成することで、陽圧形成のためのダクト等を配設する必要がなく、該外側空間から上下冷気噴射部に冷気を導入できる。そのため、冷気の圧力損失を低減し、冷気流を形成する駆動力を低減できると共に、コンベアの上下又は左右方向周辺の可視化性を高めて、洗浄、衛生等の保守点検を容易にできる。
【0017】
本発明方法において、上部冷気噴射部は山形断面を有しコンベアの幅方向に配置された複数のスリットノズルと該スリットノズル間にもうけられた冷気流通空間とからなり、該上部冷気噴射部から食品に冷気流を衝突させる衝突噴流を噴射すると共に、下部冷気噴射部はコンベアに対面する冷気噴射面に多数の打抜き孔が分散配置されてなり、該下部冷気噴射部から均一な冷気流を噴射し、前記負圧上昇流の形成により、該コンベアの冷気通過孔を通る均一で低速な上昇流を形成するようにするとよい。
【0018】
上部冷気噴射部のスリットノズルから食品に衝突噴流を噴射することで、食品の冷却効果を向上できると共に、コンベアの冷気通過孔を通る均一で低速な上昇流を形成することにより、食品の芯部まで均一に冷却できる。また、該コンベアの冷気通過孔を通る上昇流でコンベア面を冷却することにより、間接的に食品を冷却する効果をもつ。
【0019】
そのため、下部冷気噴射部は、従来のようなコンベア幅方向へ排気流路を確保する山形断面をもつスリットノズル構造とする必要がなくなり、例えば、冷気噴射面を打抜き孔を有するパンチング板で構成できる。これにより、下部冷気噴射部の構成を大幅に簡素化できる。
【0020】
また、上部冷気噴射部を上下にスライド可能にし、上部冷気噴射部の高さを調節することにより、前記冷気流通空間を通る冷気流量を調節可能にするとよい。
上部冷気噴射部の高さを調節して、上下冷気噴射部から噴射される冷気噴射量に合わせて、冷気流通空間を通る冷気流量を調節できるので、食品周辺の冷気の滞留や乱流をさらに効果的に低減できる。
【0021】
また、前記本発明方法の実施に直接使用可能な本発明の食品の搬送式冷却装置は、
冷却室内に貫設されコンベア面に冷気通過孔を有するコンベアで食品を搬送しながら、該コンベアの上下に設けられた上部冷気噴射部及び下部冷気噴射部から該食品に冷気を吹き付けるようにした食品の搬送式冷却装置において、
前記コンベアの両側に立設され前記上部冷気噴射部及び下部冷気噴射部を支持すると共に該コンベアの外側空間と内側空間とを仕切る支持フレームと、
前記冷却室の上部空間で対面配置され吐出口を該外側空間に向けて該外側空間に冷気の陽圧下降流を形成する一対の熱交換器と、
該内側空間の上部に設けられ該内側空間に上昇流を形成する送風機と、を備え、
該陽圧下降流を該上部冷気噴射部及び下部冷気噴射部に導入すると共に、該上部冷気噴射部に冷気流通空間をもうけ、該送風機の差圧吸引作用により該上部冷気噴射部及び下部冷気噴射部から噴射された冷気が該冷気流通空間を通って該冷却室の上部に戻る冷気の負圧上昇流を形成させ、該陽圧下降流と該負圧上昇流とで冷却室の横断面内で左右対称の冷気流を形成するように構成したものである。
【0022】
本発明装置では、前記構成により、上下冷気噴射部から噴射された後の冷気を上部冷気噴射部にもうけられた冷気流通空間から上方に逃がすようにしているため、上部冷気噴射部の前記巻上げ現象を解消できると共に、食品と熱交換した後の冷気をスムーズに排出できるので、食品周辺で冷気の滞留や乱流を低減して、食品の冷却効果を向上できる。
また、下部冷気噴射部では、送風機の差圧吸引作用により、均一な直上昇流を形成できるため、コンベアの幅方向で食品の冷却ムラをなくすことができる。
【0023】
また、冷却室内壁に沿うコンベアの幅方向外側空間に陽圧下降流を形成することで、陽圧形成のためのダクト等を配設する必要がなく、該外側空間から上下冷気噴射部に冷気を導入できる。そのため、冷気の圧力損失を低減し、冷気流を形成する駆動力を低減できると共に、コンベアの上下又は左右方向周辺の可視化性を高めて、洗浄、衛生等の保守点検を容易にできる。
【0024】
該冷気流通空間に冷気の上昇流を形成させる手段として、軸流送風機を用いるようにすれば、冷気流に沿った吸引風路を確保できるため、冷気流の圧力損失を低減できて、動力を低減できる。
【0025】
本発明装置において、上部冷気噴射部は、スリットノズルを有する複数の冷気導入ダクトが前記冷気流通空間を介在して並列配置され、該冷気導入ダクトの両端に配置されたフランジによって一体に形成されるとよい。
これによって、上部冷気噴射部をコンベアの両側に立設する支持フレームに固設することなく、上部冷気噴射部を該フランジを介して支持フレームに掛け渡すことにより、上部冷気噴射部を容易に配置できるため、冷却室内の隔壁や構造物を減らすことができる。
【0026】
さらに、前記構成に加えて、上部冷気噴射部は、前記フランジに昇降装置が接続され、支持フレームに対して上下方向にスライド可能に構成されるとよい。
これによって、該フランジを昇降させるだけでよいので、該昇降装置の構成を簡素化できる。また、該支持フレームに対して該フランジ摺接させることで、上部冷気噴射部の昇降時でも場合でも、コンベア外側空間の密封性を確保して、陽圧下降流の陽圧を維持できる。
【0027】
また、本発明装置において、下部冷気噴射部は、コンベアに対面する冷気噴射面を有し、該冷気噴射面に多数の打抜き孔が均一に分散配置されるとよい。
本発明では、送風機の差圧吸引作用によりコンベア面にもうけられた冷気通過孔を通って食品を通る冷気の負圧上昇流を形成するため、下部冷気噴射部を従来のようなコンベアの幅方向に排気流路を形成する山形断面のスリットノズル構造とする必要がない。そこで、前記冷気噴射面を用いることにより、下部冷気噴射部をコンベアの下面近傍に配置できるようになる。
【0028】
下部冷気噴射部をコンベアの下面近傍に配置できるため、ポテンシャルコア(初期噴射速度維持領域)の短い、孔径の小さい円形又は孔幅の狭いスリット状の打抜き孔(パンチング)板で構成できる。
下部冷気噴射部として前記冷気噴射面を用いることにより、下部冷気噴射部の構成を簡素化できると共に、コンベア面全面に冷気噴射を均一に行なうことができるので、送風機の差圧吸引効果による食品下面と噴出冷気の接触がムラ無く行なわれ、従来より冷却効果を向上できる。
【0029】
前記打抜き孔は、孔径の小さい円形又は孔幅の狭いスリット形状とするのがよい。これら形状の孔を好ましくは千鳥足状に互い違いに配設することにより、陽圧下降流の陽圧を保持できる狭い孔面積とすることができると共に、コンベアの下面全面に冷気噴射を行なうことができ、送風機の差圧吸引作用による食品下面と噴出冷気との接触がムラ無く行なわれ、従来より冷却効果を向上できる。
【0030】
さらに、前記冷気噴射面を箱型形状に形成し、支持フレームに支持させるとよい。冷気噴射面を箱型形状とすることによって、強度を保持できると共に、冷気噴射面を簡易な支持構造で支持フレームに着脱可能に支持できる。そのため、コンベア下方の部位の可視化性を高め、洗浄、衛生等の保守点検を容易にできる。
【発明の効果】
【0031】
本発明方法によれば、冷却室内に貫設されコンベア面に冷気通過孔を有するコンベアで食品を搬送しながら、該コンベアの上下に設けられた上部冷気噴射部及び下部冷気噴射部から該食品に向けて冷気を吹き付けるようにした食品の搬送式冷却方法において、冷却室の上部空間で熱交換器から吐出した冷気を前記コンベアの両外側空間で下降させる冷気の陽圧下降流を形成し、該陽圧下降流を上部冷気噴射部及び下部冷気噴射部に導いて冷気を食品に噴射し、該上部冷気噴射部の上方に設けられた送風機の差圧吸引作用により、噴射された冷気が該上部冷気噴射部にもうけられた冷気流通空間から直上方に戻る冷気の負圧上昇流を形成させ、該陽圧下降流と該負圧上昇流とで冷却室の横断面内で左右対称の冷気流を形成するようにしたことにより、上下冷気噴射部から噴射された後の冷気を上部冷気噴射部にもうけられた冷気流通空間から上方に逃がすようにしているため、上部冷気域噴射部では、噴射後の冷気による巻上げ現象を解消できると共に、食品と熱交換した後の冷気をスムーズに排出できるので、食品周辺で冷気の滞留や乱流を低減して、食品の冷却効果を向上できる。
また、下部冷気噴射部では、送風機の差圧吸引作用により、均一な直上昇流を形成できるため、コンベアの幅方向で食品の冷却ムラをなくすことができる。
【0032】
また、冷却室内壁に沿うコンベアの幅方向外側空間に陽圧下降流を形成することで、陽圧形成のためのダクト等を配設する必要がなく、該外側空間から上下冷気噴射部に冷気を導入できる。そのため、冷気の圧力損失を低減し、冷気流を形成する駆動力を低減できると共に、コンベアの上下又は左右方向周辺の可視化性を高めて、洗浄、衛生等の保守点検を容易にできる。
【0033】
また、本発明装置によれば、冷却室内に貫設されコンベア面に冷気通過孔を有するコンベアで食品を搬送しながら、該コンベアの上下に設けられた上部冷気噴射部及び下部冷気噴射部から該食品に冷気を吹き付けるようにした食品の搬送式冷却装置において、コンベアの両側に立設され前記上部冷気噴射部及び下部冷気噴射部を支持すると共に該コンベアの外側空間と内側空間とを仕切る支持フレームと、冷却室の上部空間で対面配置され吐出口を該外側空間に向けて該外側空間に冷気の陽圧下降流を形成する一対の熱交換器と、該内側空間の上部に設けられ該内側空間に上昇流を形成する送風機と、を備え、該陽圧下降流を該上部冷気噴射部及び下部冷気噴射部に導入すると共に、該上部冷気噴射部に冷気流通空間をもうけ、該送風機の差圧吸引作用により該上部冷気噴射部及び下部冷気噴射部から噴射された冷気が該冷気流通空間を通って該冷却室の上部に戻る冷気の負圧上昇流を形成させ、該陽圧下降流と該負圧上昇流とで冷却室の横断面内で左右対称の冷気流を形成するように構成したことにより、本発明方法と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に係る連続搬送式フリーザの正面視断面図(図2中のA−A断面図)である。
【図2】前記第1実施形態の平面視断面図(図1中のB−B断面図)である。
【図3】前記第1実施形態の側面視断面図(図1中のC−C断面図)である。
【図4】前記第1実施形態の凍結室の内部構造の斜視図である。
【図5】前記第1実施形態の上部冷気噴射部の斜視図である。
【図6】前記第1実施形態のコンベアベルト及び下部冷気噴射部の斜視図である。
【図7】前記第1実施形態の凍結室の内部構造の正面図(図3中のD視図)である。
【図8】前記第1実施形態の上部冷気噴射部の昇降装置の斜視図である。
【図9】前記第1実施形態の冷気の挙動を示す説明図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る上部冷気噴射部の昇降手段を示す斜視図である。
【図11】ノズル口から噴射された噴流の挙動を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この考案の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0036】
(実施形態1)
本発明を連続搬送式フリーザに適用した第1実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。
図1〜図3において、連続搬送式フリーザ10は、内部に凍結室を構成する横長のハウジング12が配置されている。ハウジング12は断熱壁で構成され、後述するコンベアベルト14が出入する出入り口以外は密閉構造となっている。ハウジング12は、長手方向にコンベアベルト14が通り抜け可能に配置されている。ハウジング12は、コンベアベルト14の搬送方向(矢印a方向)に沿って、前室16、凍結室18及び後室20に区画されている。
【0037】
前室16、凍結室18及び後室20には、夫々コンベアベルト14及びコンベアベルト14上に載置された凍結対象となる食品f(肉類、レトルト食品等の各種食品、包装されたものも含む。)が通過可能なだけの開口を有する出入り口16a、18a、18b及び20aが設けられている。ハウジング12の側壁には、保守点検用扉22が設けられている。
【0038】
搬送装置24は、ハウジング12の長手方向に前記出入り口を通して配置されたコンベアベルト14と、コンベアベルト14を移動可能に支持する従動ローラ26と、コンベアベルト14を搬送方向に駆動する駆動ローラ28と、該駆動ローラ28を駆動する駆動装置30と、コンベアベルト14のたるみ度を調節する調節ローラ32と、駆動装置30や従動ローラ26を載置した架台34とから構成されている。なお、図6に示すように、コンベアベルト14は、冷気が通過可能なメッシュ状の細孔sが設けられ、コンベアベルト14の材質は、熱伝達率の良いスチール製である。
【0039】
図3及び図4に示すように、凍結室18内には、コンベアベルト14の両側に支持フレーム36が立設されている。支持フレーム36の上端にフード状の架台38が架設され、架台38でコンベアベルト14の上方を覆っている。架台38の中央域に長手方向に4個の軸流吸引ファン40が設けられている。凍結室18の上部空間には、凍結室18の横断方向に対面配置されると共に、吐出口をコンベアベルト14の幅方向両外側空間s1に向けた4台のエアクーラ44が配設されている。該エアクーラ44により、両外側空間s1に該エアクーラ44で冷却された冷気の陽圧下降流r1が形成される。
【0040】
また、軸流吸引ファン40により、該軸流吸引ファン40の下方で、コンベアベルト14の内側空間s2に、軸流吸引ファン40を囲むケーシング42内を下方から上方に向う冷気の負圧上昇流r2が形成される。
エアクーラ44には、外部から冷媒を循環させるための配管46が設けられ、ハウジング12の外部から冷媒が配管46を通してエアクーラ44に供給される。エアクーラ44で該冷媒と凍結室18内の空気とが熱交換し、その後、冷媒はハウジング12外の図示省略の冷凍機に戻される。
【0041】
架台38の下方には、支持フレーム36に両端が支承された上部冷気噴射部48が及び下部冷気噴射部50が配設されている。上部冷気噴射部48は、コンベアベルト14の往動部14aの上方に該往動部14aと対面して配置されている。下部冷気噴射部50は、コンベアベルト14の往動部14aと復動部14b間に該往動部14aに対面して配置されている。
【0042】
往動部14aの横方向に位置する支持フレーム36には、点検用扉52が開閉可能に設けられ、ここから往動部14a及び上部冷気噴射部48を点検可能になっている。また、復動部14bの横方向に位置する支持フレーム36には、点検用開口54がもうけられ、ここから復動部14b及び下部冷気噴射部50を点検可能になっている。また、上部冷気噴射部48の上方に位置する支持フレーム36には、点検用扉56が設けられ、ここから後述する上部冷気噴射部48の昇降装置82を操作又は点検可能になっている。
【0043】
上部冷気噴射部48及び下部冷気噴射部50は、凍結室18内のコンベアベルト14に沿って略全長に亘り配設されている。なお、図4では、上部冷気噴射部48はコンベア幅方向aの上流側のみ図示され、下流側は省略されている。以下、上部冷気噴射部48の構成を図5により、下部冷気噴射部50の構成を図6により説明する。
【0044】
図5において、上部冷気噴射部48は、コンベアベルト14の幅方向に並列配置された複数の冷気導入ダクト58と、該冷気導入ダクト58の両端を連結したフランジ60とからなる。フランジ60には、冷気を冷気導入ダクト58に導入する上部が屋根形の5角形の開口62が穿設されている。各冷気導入ダクト58間には間隙iがもうけられ、ここから冷気が流通可能になっている。冷気導入ダクト58のフランジ60との接合部には、支持フレーム36に嵌合する凹部64がもうけられている。図4に示すように、上部冷気噴射部48は、該凹部64を支持フレーム36に嵌合することにより、支持フレーム36に載置固定される。
【0045】
図7又は図9に示すように、冷気導入ダクト58の内側断面は左右対称の6角形をなし、左右片側が夫々平行四辺形を形成し、左右の下端部に夫々山形断面のスリットノズル66を有している。スリットノズル66は、漏斗状流路68と、漏斗状流路68の下端に形成された助走流路70と、助走流路70の下端に開口したノズル開口72とで構成されている。助走流路70はノズル開口72と同一形状及び同一大きさの断面をもつ。ノズル開口72はコンベアベルト14の往動部14aのベルト面に対して垂直に向けられている。
【0046】
図6において、下部冷気噴射部50は、コンベアベルト14に下方から対面する4角形の冷気噴射面74と該冷気噴射面74の4辺から下方に垂下する側壁76との5面からなる箱型形状を形成している。該側壁76が支持フレーム36間に架設された支持棒78に着脱可能に載置固定されている。冷気噴射面74には、孔幅の狭いスリット状の打抜き孔80が穿設されている。打抜き孔80は、コンベアベルト14の全面に亘り対面するように配置されている。また、冷気噴射面74は、コンベアベルト14との間隔が打抜き孔80の短径寸法の6倍以下となるようにコンベアベルト14に近接配置されている。
【0047】
次に、図7及び図8により、上部冷気噴射部48の昇降装置82の構成を説明する。図7及び図8において、昇降装置82は、コンベアベルト14の両側の支持フレーム36間に架設された2本の回動軸84と、該支持フレーム36の外側で該回動軸84の両端に固設されたホィール86と、該ホィール86とフランジ60とを連結したリンク棒88とを備えている。また、回動軸84の長手方向中心位置にホィール90が固設され、該ホィール90は連結棒92で互いに連結されている。
【0048】
一方の回動軸84にはピニオン94が固設され、表面にピニオン94と噛み合うラックが形成された操作棒96が設けられ、操作棒96には雌ネジ孔が設けられ、該雌ネジ孔にネジ軸98が螺合している。そして、ネジ軸98の一端に取り付けられたハンドル100を回転することによって、操作棒96を矢印方向に移動させる。操作棒96の移動によりホィール86を回転させ、リンク棒88を上下させる。これによって、上部冷気噴射部48を上下方向に昇降させることができる。
【0049】
かかる構成の本実施形態において、ハウジング12の外部でコンベアベルト14に凍結対象となる食品fを載置し、食品fをハウジング12内に搬送する。食品fは凍結室18内で上部冷気噴射部48及び下部冷気噴射部50から冷気を噴射され急速凍結される。
凍結室18内の空気は、軸流吸引ファン40によってコンベアベルト14の内側空間s2で上昇流が形成される。該上昇流は、内側空間s2からエアクーラ44に入って冷却される。エアクーラ44で冷却された冷気は、凍結室18内の上方空間でエアクーラ44から外側空間s1に吐出され、外側空間s1で陽圧下降流r1を形成する。
【0050】
冷気の陽圧下降流r1は、上部冷気噴射部48のフランジ60にもうけられた開口62から冷気導入ダクト58に進入すると共に、支持フレーム36にもうけられた点検用開口54及び下部空隙55から下部冷気噴射部50の下方に進入する。
冷気導入ダクト58に進入した冷気は、スリットノズル66のノズル開口72から食品fに向けて垂直方向に噴射され、食品fに衝突する衝突噴流を形成する。下部冷気噴射部50の下方に導入された冷気は、冷気噴射面74にもうけられた打抜き孔80からコンベアベルト14の下面に向けて噴射される。
【0051】
ノズル開口72及び打抜き孔80から噴射された冷気で食品fが凍結処理される。軸流吸引ファン40の下方の内側空間s2では、軸流吸引ファン40の差圧吸引作用により垂直方向の負圧上昇流s2が形成されている。そのため、食品fの凍結に供した後の冷気は、冷気導入ダクト58間に形成された間隙iを通って上方に吸引され、ケーシング42内を通って上部空間に到る。
【0052】
次に、コンベアベルト14で搬送される食品f付近の冷気の挙動を図9により説明する。図9において、食品fには、上部冷気噴射部48のノズル開口72から冷気Raがコンベア面に向けて垂直に噴射される。また、下部冷気噴射部50の打抜き孔80からコンベア面の裏面に向けて冷気Rbが噴射される。コンベアベルト14には多数の細孔sがもうけられているので、冷気Rbはコンベア面を自由に通過できる。
【0053】
スリットノズル66は、漏斗状流路68と助走流路70とを備えているので、冷気Raが助走流路70を通過する間に流れ方向と異なる方向の流れ成分が消滅し、流れ方向のみの流れ成分に整流される。これによって、ノズル開口72から噴射された冷気噴流は、拡散せず到達距離の長い噴流となる。
【0054】
そのため、ノズル開口72から噴射された冷気Raは、拡散せず到達距離の長い噴流となって食品fに衝突し、コアンダ効果によって食品表面に密着した薄膜流Raを形成するので、薄膜流Raと食品f間で熱交換が促進する。これによって、食品fの冷却効果を向上できる。冷気Raは食品表面に密着した薄膜流Raを形成した後、軸流吸引ファン40の差圧吸引作用により、間隙iを通り上昇流となって、上方空間に排出される。
【0055】
一方、下部冷気噴射部50の冷気噴射面74に穿設された打抜き孔80は孔幅の狭いスリット形状をしているので、打抜き孔80から噴射される噴流のポテンシャルコア部は短くなる。打抜き孔80は、コンベアベルト14の全面に亘ってコンベアベルト14の下面近傍に対面配置されており、打抜き孔80から噴射された冷気Rbは、軸流吸引ファン40の差圧吸引作用により、コンベアベルト14にもうけられた細孔sを通る均一な上昇流を形成する。
【0056】
打抜き孔80から噴射された冷気Rbは、差圧吸引されてコンベア面を通過する均一な上昇流となり、図示のような食品表面に密着した薄膜流Rbを形成して食品fと熱交換を行ない、食品fの冷却効果をさらに向上させることができる。
【0057】
図11にノズル口200から壁面202に向かって噴射された噴流Fの挙動を示す。図11において、噴流Fは壁面202に衝突した後、噴流F同士が衝突し、ノズル口200に向う巻上げ流Fが発生する。この巻上げ流Fは、噴流のエントレインメント効果によりノズル口200から噴出する噴流Fに流入し、噴流Fの噴流速度を減衰させ、壁面202上の物体Mとの熱伝達を抑制する。
【0058】
一方、本実施形態では、上部冷気噴射部48及び下部冷気噴射部50から噴射された冷気は、食品fと熱交換した後、上部冷気噴射部48の冷気導入ダクト58間にもうけられた間隙iから上昇流となって速やかに軸流吸引ファン40で排気されるため、前記巻上げ流Fの発生は起こらない。そのため、コンベア面上で均一な上昇流を形成できるので、コンベアベルト14の幅寸法に影響されず、コンベア面上で冷却効果を向上できる。
【0059】
さらに、上部冷気噴射部48を構成する冷気導入ダクト58は、コンベアベルト14の全面に冷気を噴射し、下部冷気噴射部50では、軸流吸引ファン40による吸引排気の差圧により、コンベア下面に均等な流量の冷気を噴射できる。従って、冷気の流量にムラが生じないので、食品fをコンベア搬送方向及びコンベア幅方向に亘り均等に冷却できる。
【0060】
また、凍結室18の内壁に沿うコンベアベルト14の幅方向外側空間s1に冷気の陽圧下降流r1を形成することで、陽圧形成のためのダクト等を配設する必要がなく、該外側空間s1から上下冷気噴射部48及び50に冷気を導入できる。そのため、冷気の圧力損失を低減し、冷気流を形成する駆動力を低減できると共に、コンベアベルト14の上下又は左右方向周辺の可視化性を高めて、洗浄、衛生等の保守点検を容易にできる。さらに、陽圧形成のための動力として軸流吸引ファン40を用いたことにより、さらなる動力低減を達成できる。
【0061】
また、上部冷気噴射部48のスリットノズル66から食品fに衝突噴流を噴射することで、食品の冷却効果を高めると共に、下部冷気噴射部50から噴射された冷気でコンベアベルト14の細孔sを通る均一で低速な上昇流を形成することにより、食品fの芯部まで均一に冷却できる。また、細孔sを通る上昇流で熱伝達の良いスチール製のコンベア面を冷却することにより、間接的に食品fを冷却する効果をもつ。
【0062】
また、下部冷気噴射部50は、従来のようなコンベア幅方向へ排気流路を確保する山形断面をもつスリットノズル構造とせず、打抜き孔80を有するパンチング板で構成できるので、下部冷気噴射部50の構成を大幅に簡素化できる。
【0063】
また、上部冷気噴射部48を昇降装置82により上下にスライド可能にし、上部冷気噴射部50の高さを調節できるので、上部冷気噴射部48の高さを調節して、上下冷気噴射部48及び50から噴射される冷気噴射量に合わせて、間隙iを通る冷気流量を調節できるので、食品周辺の冷気の滞留や乱流をさらに効果的に低減できる。
【0064】
また、上部冷気噴射部48は、複数の冷気導入ダクト58がフランジ60によって一体に形成され、該フランジ60を介して支持フレーム36に掛け渡されているので、上部冷気噴射部48の取り付けが容易になり、これによって、凍結室18内の隔壁や構造物を減らすことができる。
また、昇降装置82により該フランジ60を昇降させるだけで上部冷気噴射部全体を昇降できるので、昇降装置82の構成を簡素化できる。
また、支持フレーム36に対してフランジ60を摺接させることで、上部冷気噴射部48の昇降時に、支持フレーム36による陽圧下降流r1の密封性を確保できる。
【0065】
また、打抜き孔80は、孔径の小さい円形又は孔幅の狭いスリット形状とすると共に、打抜き孔80を千鳥足状に互い違いに配設しているので、陽圧下降流r1の陽圧を保持できる狭い孔面積とすることができる。
さらに、下部冷気噴射部50を冷気噴射面74を含めて箱型形状に形成し、支持フレーム36に支持させているので、強度を保持できると共に、冷気噴射面74を簡易な支持構造で支持フレーム36に着脱可能に支持しているため、コンベア下方の部位の可視化性を高め、洗浄、衛生等の保守点検を容易にできる。
【0066】
また、本実施形態では、凍結室18の内部は、軸流吸引ファン40、エアクーラ44、支持フレーム36及び架台38以外に仕切りや構造物がなく、オープンスペースとなっているので、冷気の循環流を形成するための軸流吸引ファン40の駆動力を低減できると共に、凍結室18内の保守点検が容易になる。
【0067】
さらに、支持フレーム36に点検用扉52及び56や点検用開口54を設けているので、コンベアベルト14の往動部14aや復動部14b、及び上部冷気噴射部48やその昇降装置82、及び下部冷気噴射部50の保守点検が容易になると共に、点検用扉52及び56を閉じることで、外側空間s1の陽圧を確保できる。
【0068】
(実施形態2)
次に、本発明の第2実施形態を図10により説明する。本実施形態は、上部冷気噴射部の別な昇降手段を採用したものである。図10は、前記第1実施形態の支持フレーム36及び上部冷気噴射部58に相当する支持フレーム122及び上部冷気噴射部110を示す。図10において、上部冷気噴射部110は、多数の冷気導入ダクト112が並列配置され、該冷気導入ダクト112間に、冷気上昇流を通すための間隙iがもうけられている。冷気導入ダクト112は、第1実施形態の冷気導入ダクト58と同一構造をなしている。
【0069】
冷気導入ダクト112は両端で、間隙iを保有した状態でフランジ114に連結されている。フランジ114には、図示省略のエアクーラから吐出された冷気の陽圧下降流を冷気導入ダクト112内に導入するための開口116がもうけられている。
フランジ114は、第1実施形態のフランジ60と比べて、高さ寸法が大きく形成されていると共に、フランジ114から直角方向に突出した鍔板118が固着されている。
冷気導入ダクト112のフランジ114との連結部下方には、支持フレーム122に嵌合する凹部120が凹設されている。
【0070】
支持フレーム122は、コンベアベルトの両側端に立設され、上部冷気噴射部110及び図示省略のコンベアベルトや下部冷気噴射部を支持するもので、第1実施形態の支持フレーム36に相当するものである。
本実施形態の支持フレーム36には、水平方向に載置板124が一体に取り付けられている。
【0071】
かかる構成において、凹部120を支持フレーム36に嵌合することにより、上部冷気噴射部110を支持フレーム36に固定する。この状態で鍔板118は載置板124上に載置される。本実施形態では、図示省略の吊り上げ機構により上部冷気噴射部110を吊り上げ、鍔板118と載置板124との間に長方形状の高さ調整ブロック126を挿入することにより、上部冷気噴射部110の高さを調整する。
この場合、種々の高さtを有する複数の高さ調整ブロック126を用意することで、上部冷気噴射部110の上昇位置を調整できる。なお、上部冷気噴射部110及び支持フレーム122以外の構成は第1実施形態と同一である。
【0072】
本実施形態によれば、第1実施形態のような昇降装置82を不要とし、簡易な手段で上部冷気噴射部110の高さを調整できる。連続搬送式フリーザにおける上部冷気噴射部110の高さ調整頻度はそれほど多くなく、本実施形態の手段で十分対応できる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によれば、連続搬送式フリーザにおいて、コンベアの広幅化に対しても食品の冷却効果を高く維持できると共に、冷却室の構造を簡素化して、動力を低減し、保守点検を容易にできる。
【符号の説明】
【0074】
10 連続搬送式フリーザ
14 コンベアベルト
14a コンベアベルト往動部
14b コンベアベルト復動部
18 凍結室
36,122 支持フレーム
40 軸流吸引ファン
44 エアクーラ
48,110 上部冷気噴射部
50 下部冷気噴射部
58,112 冷気導入ダクト
60,114 フランジ
64,120 凹部
66 スリットノズル
74 冷気噴射面
80 打抜き孔
82 昇降装置
118 鍔板
126 高さ調整ブロック
Ra、Rb 薄膜流
f 食品
i 間隙(冷気流通空間)
r1 陽圧下降流
r2 負圧上昇流
s 細孔(冷気通過孔)
s1 コンベア外側空間
s2 コンベア内側空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却室内に貫設されコンベア面に冷気通過孔を有するコンベアで食品を搬送しながら、該コンベアの上下に設けられた上部冷気噴射部及び下部冷気噴射部から該食品に向けて冷気を吹き付けるようにした食品の搬送式冷却方法において、
前記冷却室の上部空間で熱交換器から吐出した冷気を前記コンベアの両外側空間で下降させる冷気の陽圧下降流を形成し、
該陽圧下降流を前記上部冷気噴射部及び下部冷気噴射部に導いて冷気を食品に噴射し、該上部冷気噴射部の上方に設けられた送風機の差圧吸引作用により、噴射された冷気が該上部冷気噴射部にもうけられた冷気流通空間から直上方に戻る冷気の負圧上昇流を形成させ、
該陽圧下降流と該負圧上昇流とで冷却室の横断面内で左右対称の冷気流を形成するようにしたことを特徴とする食品の搬送式冷却方法。
【請求項2】
前記上部冷気噴射部は山形断面を有し前記コンベアの幅方向に配置された複数のスリットノズルと該スリットノズル間にもうけられた前記冷気流通空間とからなり、該上部冷気噴射部から食品に冷気流を衝突させる衝突噴流を噴射すると共に、
前記下部冷気噴射部は前記コンベアに対面する冷気噴射面に多数の打抜き孔が分散配置されてなり、該下部冷気噴射部から均一な冷気流を噴射し、前記負圧上昇流の形成により、該コンベアの冷気通過孔を通る均一な上昇流を形成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の食品の搬送式冷却方法。
【請求項3】
前記上部冷気噴射部を上下にスライド可能にし、該上部冷気噴射部の高さを調節することにより、前記冷気流通空間を通る冷気流量を調節可能にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品の搬送式冷却方法。
【請求項4】
冷却室内に貫設されコンベア面に冷気通過孔を有するコンベアで食品を搬送しながら、該コンベアの上下に設けられた上部冷気噴射部及び下部冷気噴射部から該食品に冷気を吹き付けるようにした食品の搬送式冷却装置において、
前記コンベアの両側に立設され前記上部冷気噴射部及び下部冷気噴射部を支持すると共に該コンベアの外側空間と内側空間とを仕切る支持フレームと、
前記冷却室の上部空間で対面配置され吐出口を該外側空間に向けて該外側空間に冷気の陽圧下降流を形成する一対の熱交換器と、
該内側空間の上部に設けられ該内側空間に上昇流を形成する送風機と、を備え、
該陽圧下降流を該上部冷気噴射部及び下部冷気噴射部に導入すると共に、該上部冷気噴射部に冷気流通空間をもうけ、該送風機の差圧吸引作用により該上部冷気噴射部及び下部冷気噴射部から噴射された冷気が該冷気流通空間を通って該冷却室の上部に戻る冷気の負圧上昇流を形成させ、該陽圧下降流と該負圧上昇流とで冷却室の横断面内で左右対称の冷気流を形成するように構成したことを特徴とする食品の搬送式冷却装置。
【請求項5】
前記上部冷気噴射部は、スリットノズルを有する複数の冷気導入ダクトが前記冷気流通空間を介在して並列配置され、該冷気導入ダクトの両端に配置されたフランジによって一体に形成されてなることを特徴とする請求項4に記載の食品の搬送式冷却装置。
【請求項6】
前記上部冷気噴射部は、前記フランジに昇降装置が接続され、前記支持フレームに対して上下方向にスライド可能に構成されていることを特徴とする請求項5に記載の食品の搬送式冷却装置。
【請求項7】
前記下部冷気噴射部は、前記コンベアに対面する冷気噴射面を有し、該冷気噴射面に多数の打抜き孔が均一に分散配置されていることを特徴とする請求項4に記載の食品の搬送式冷却装置。
【請求項8】
前記冷気噴射面を箱型形状に形成し、前記支持フレームに支持させたことを特徴とする請求項7に記載の食品の搬送式冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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