説明

食品の調理方法および食品調理装置

【課題】冷凍した食品の、解凍時における褐変を防止する。
【解決手段】食品を凍結する工程(S206〜S210)と、前記凍結の工程の前に、前記食品の温度を、前記食品を褐変させる酵素が失活する酵素失活温度まで上げる工程(S201〜S205)とを備えた食品凍結方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品を解凍したり、さらには凍結解凍して調理する際に、食品の変色を防止する食品解凍方法とその装置等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷凍冷蔵庫の機能としては、食品の保存機能の追究がなされてきた。近年、その保存機能の中でも冷凍で高品位の保存をおこなうため、食品凍結時の最大氷結晶生成帯となる−1〜−5℃の温度帯をすばやく通過させる急速冷凍における技術開発が多くなされ、長期間かつ肉、魚の解凍時のドリップが少ない高品位の保存が可能となってきた。その後、冷凍冷蔵庫の新しい機能として、加熱後の熱い状態からすばやく冷却したり、常温の飲料を短時間で冷やすなどの開発がされてきた。これらの機能は、冷凍冷蔵庫においては、下ごしらえ的な調理機能の一つである。
【0003】
さらに、下ごしらえではなく、冷蔵庫を調理装置として使用する従来の技術としては、特開平4−73583号公報がある。食材を一定時間、凍結状態にした後、調味液に浸漬して食材の温度を上昇させて、調味液の浸透を促し、漬け物をつくるというものである。この調理装置の構成について、図9に従い説明する。
【0004】
図9において、15は冷凍室16と冷蔵室17とを、区画壁によって区画されて構成される冷凍冷蔵庫の低温調理装置である。18は外周に断熱材19を有し、前面開口部に開閉自在の扉20を備えている低温調理室である。6は圧縮機21で冷媒を加圧し、凝縮機22で液化した冷媒を膨張弁23で一気に気化することにより冷却される冷却器24から成る冷却手段で、送風手段25により、冷却手段6で冷却された冷気を強制通風させ、送風路7を介して低温調理室18へ冷気を送るようにしている。8はダンパーサーモ等の温度制御手段で、送風路7に設けられ、低温調理室18を適温に維持するようにしている。さらにこの調理室18には上部ヒータ26と下部ヒータ27とからなる加熱手段2が設置されている。27は低温調理室28内の食材29に応じて、前記低温調理室28内の温度と時間とを設定するコントロールパネルであり、これらのキーを設定することにより、各材料等に応じた適切な温度管理が行なわれる。
【0005】
よって、使用者が食材29を低温調理室18に入れ、コントロールパネル27を用いて前記食材29に応じた設定をすることにより、冷却手段6で冷却された冷気が送風手段25で前記低温調理室18内へ循環し、設定に応じて一定時間食材29を凍結し、その後、上下ヒータ26、27の加熱手段2により、食材29を昇温させる。食塩を加えずに、食材の細胞組織に原形質分離が起こり、調味材料が浸透し、漬け物の減塩化と漬け込み時間の短縮が図れる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の調理装置は、以上のようなものであるが、食材を一旦凍結させた後解凍させるという工程において、野菜などの細胞壁を有する食材は、凍結時の組織の水分の体積増加により細胞壁が破壊され、解凍時に水分が破壊された細胞壁から外部へ流出して漬け物と同様の状態になる。
【0007】
例えば、食材としてじゃがいもを用いた場合、凍結させた後に解凍させるとすると、ジャガイモの表面は著しく褐変する。これは、ジャガイモの成分であるアミノ酸の一種であるチロシンが空気にさらされ、酵素であるチロシナーゼを触媒として酸化してしてしまうことにより生ずる。この褐変は、ジャガイモの皮を普通に剥いて、表面を露出させるだけでも生ずる現象であるが、一旦凍結させた後に解凍させる場合は、細胞内部の組織が外部へ流出しているため、空気にさらされるチロシンおよびチロシナーゼの量は、単に外皮を剥いた場合よりも多くなるため、褐変化の進行度合いが大きくなってしまう。
【0008】
したがって、一旦凍結した食品を解凍すると、褐変のために食材のダメージが大きくなるという課題があった。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、凍結した食材の褐変を防止して解凍することができる食品凍結方法、食品解凍方法、食品凍結装置、食品解凍装置等を提供することを目的とする。さらに本発明は、上記の食品凍結方法、食品解凍方法等を用いた凍結解凍調理方法とその装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の本発明(請求項1に対応)は、食品を凍結する食品凍結方法であって、
前記凍結を行う前および/または前記凍結中に、前記食品内の、前記食品を褐変させる酵素が失活する状態にする食品凍結方法である。
【0011】
また、第2の本発明(請求項2に対応)は、前記酵素が失活する状態は、前記食品の温度を、前記食品を褐変させる酵素が失活する酵素失活温度まで上げることにより実現する第1の本発明の食品凍結方法である。
【0012】
また、第3の本発明(請求項3に対応)は、前記酵素は、チロシナーゼ、ポリフェノールオキシターゼ、フェノールオキシターゼの全部または一部を含む第1または第2の本発明の食品凍結方法である。
【0013】
また、第4の本発明(請求項4に対応)は、前記酵素失活温度は、80℃以上である第2の本発明の食品凍結方法である。
【0014】
また、第5の本発明(請求項5に対応)は、前記食品を、凍結前に調味料に浸潤させる第1から第4のいずれかの本発明の食品凍結方法である。
【0015】
また、第6の本発明(請求項6に対応)は、凍結した食品を解凍する食品解凍方法であって、
少なくとも前記解凍が行われている間、前記食品の周囲の雰囲気を、酸素が所定量より少なくなるような状態に保つ工程を備え、
前記所定量は、前記酸素を触媒として前記食品を褐変させる酵素が、前記食品を褐変させるのに最低限必要な量である食品解凍方法である。
【0016】
また、第7の本発明(請求項7に対応)は、前記雰囲気を、不活性ガスを存在させることにより実現している第6の本発明の食品解凍方法である。
【0017】
また、第8の本発明(請求項8に対応)は、少なくとも第1から第5のいずれかの本発明の食品凍結方法により凍結した食品を、解凍する工程を備えた凍結解凍調理方法である。
【0018】
また、第9の本発明(請求項9に対応)は、凍結した食品を、少なくとも第6または第7の本発明の食品解凍方法により解凍する工程を備えた凍結解凍調理方法である。
【0019】
また、第10の本発明(請求項10に対応)は、前記凍結と、前記解凍とを少なくとも1回以上繰り返して行う第8または第9の本発明の凍結解凍調理方法第8の本発明の食品解凍装置である。
【0020】
また、第11の本発明(請求項11に対応)は、食品を凍結する凍結手段と、
前記凍結手段が凍結動作を行う前および/または凍結動作中に、前記食品内の、前記食品を褐変させる酵素が失活する状態にする酵素失活手段を備えた食品凍結装置である。
【0021】
また、第12の本発明(請求項12に対応)は、前記酵素失活手段は、前記凍結手段が凍結動作を行う前に、前記食品の温度を、前記食品を褐変させる酵素が失活する酵素失活温度まで上げる第11の本発明の食品凍結装置である。
【0022】
また、第13の本発明(請求項13に対応)は、前記酵素は、チロシナーゼ、ポリフェノールオキシターゼ、フェノールオキシターゼの全部または一部を含む第11または第12の本発明の食品凍結装置である。
【0023】
また、第14の本発明(請求項14に対応)は、前記酵素失活温度は、80℃以上である第12の本発明の食品凍結装置である。
【0024】
また、第15の本発明(請求項15に対応)は、凍結した食品が収納される収納室と、前記収納室内の脱気を行う脱気手段と、前記凍結した食品を解凍する解凍手段とを備えた食品解凍装置であって、
前記脱気手段は、少なくとも前記解凍が行われている間、前記食器の周囲の雰囲気を、酸素が所定量より少なくなるような状態に保ち、
前記所定量は、前記酸素を触媒として前記食品を褐変させる酵素が、前記食品を褐変させるのに最低限必要な量である食品解凍装置である。
【0025】
また、第16の本発明(請求項16に対応)は、前記収納室内に不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段を備え、
前記雰囲気を、前記不活性ガスを存在させることにより実現している第15の本発明の食品解凍装置である。
【0026】
また、第17の本発明(請求項17に対応)は、第1から第4のいずれかの本発明の食品凍結装置と、前記凍結が行われる前の前記食品を調味料に浸潤させる湿潤手段とを備えた凍結解凍調理装置である。
【0027】
また、第18の本発明(請求項18に対応)は、第15または第16の本発明の食品解凍装置と、
前記食品を凍結させる凍結手段と、
前記凍結が行われる前の前記食品を調味料に浸潤させる湿潤手段とを備えた凍結解凍調理装置である。
【0028】
また、第19の本発明(請求項19に対応)は、食品を凍結して得られた冷凍食品であって、
前記食品は、前記食品を褐変させる酵素が失活した酵素失活状態にある冷凍食品である。
【0029】
また、第20の本発明(請求項20に対応)は、前記酵素失活状態は、前記凍結を行う前および/または前記凍結中に、前記食品内の、前記食品を褐変させる酵素が失活する酵素失活温度まで加熱されることにより実現されている第19の本発明の冷凍食品である。
【0030】
また、第21の本発明(請求項21に対応)は、第1の本発明の食品凍結方法の、前記食品の温度を、前記食品を褐変させる酵素が失活する酵素失活する状態にする工程の全部または一部をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0031】
また、第22の本発明(請求項22に対応)は、第6の本発明の食品解凍方法の、少なくとも前記解凍が行われている間、前記食品の周囲の雰囲気を、酸素が所定量より少なくなるような状態に保つ工程の全部または一部をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0032】
また、第23の本発明(請求項23に対応)は、第1の本発明の食品凍結方法の、前記食品の温度を、前記食品を褐変させる酵素が失活する酵素失活する状態にする工程の全部または一部をコンピュータに実行させるためのプログラムを担持した媒体であって、コンピュータにより処理可能な媒体である。
【0033】
また、第24の本発明(請求項24に対応)は、第6の本発明の食品解凍方法の、少なくとも前記解凍が行われている間、前記食品の周囲の雰囲気を、酸素が所定量より少なくなるような状態に保つ工程の全部または一部をコンピュータに実行させるためのプログラムを担持した媒体であって、コンピュータにより処理可能な媒体である。
【0034】
以上のような本発明は、その一例として、食品を収納できる調理室と、前記食品を凍結する冷却手段と、解凍する加熱手段と、調理室内の温度を制御する温度制御手段から構成し、前記調理室内に食品を密封する容器と、前記容器に接続して食品周囲の気体を吸引する脱気手段および不活性ガスに置換するガス吸入手段を設けた凍結解凍調理器である。
【0035】
また、本発明の他の一例は、加熱手段でマイクロ波を用いる構成とした凍結解凍調理器である。
【0036】
また、本発明の他の一例は、食品を凍結する凍結工程と、前記凍結工程を経た食品を解凍する解凍工程の2工程を少なくとも1回以上繰り返す凍結解凍調理において、前記凍結工程前に食品の変色に関与する酵素失活温度まで加熱を行う工程からなる方法とする。
【0037】
また、本発明の他の一例は、前記凍結工程後に食品の可食温度に加熱を行う工程からなる凍結解凍調理の方法である。
【0038】
また、本発明の他の一例は、前記凍結解凍調理の加熱工程において、途中でマイクロ波の出力を切り替える凍結解凍調理の方法である。
【0039】
また、本発明の他の一例は、前記凍結工程中あるいは前に、食品周囲の気体を除去する脱気工程を加えた凍結解凍調理の方法である。
【0040】
また、本発明の他の一例は、前記凍結工程中あるいは前に、食品周囲の気体を不活性ガスに換えるガス置換工程を加えた凍結解凍調理の方法である。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1から図7に基づいて説明する。本発明の実施には、食品を冷却するための手段として冷蔵庫内の冷却空気が利用できる。また、加熱手段としてヒータ加熱あるいはマイクロ波加熱が用いることができる。これらの手段はいずれも、従来より用いられている手段で、本明細書ではこれらについての技術的説明は省略する。
【0042】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における凍結解凍調理器の構成図であり、図2は、凍結解凍調理器の調理工程のフローシート図である。
【0043】
図1において、調理室1は冷蔵庫内部を断熱材で仕切った一区画からなり、加熱手段2と収納容器3を備える。加熱手段2は収納容器3内の食材を加熱する手段で、例えばマイクロ波を出力するマグネトロンやヒータからなる。そして、容器3の下部に設置した重量センサ4の検知信号をもとにマイコン5で加熱時間が演算され動作する。6は冷蔵庫内部の各区画に冷気を送り出す冷却手段で、冷媒を加圧する圧縮機、冷媒を液化する凝縮機、液化した冷媒を一気に気化する膨張弁、気化により冷却される冷却器から成る。冷却手段6からの冷気は送風路7を介して調理室1に送るようにしている。送風路7から調理室1への入り口に温度制御手段8が設けられている。温度制御手段8は、例えばダンパーサーモ等により実現され、で、調理室1内に設けられた温度センサ9の信号をもとに調理室内を適温に維持するように作動する。
【0044】
上記の様な構成の、本発明の実施の形態による凍結解凍調理器の動作を、図2のフローを参照して説明するとともに、これにより、本発明の食品凍結方法、凍結解凍調理方法の一実施の形態について説明を行う。
【0045】
食品の一例として、ジャガイモ調理を行う場合を説明する。まず、4つ切りにしたジャガイモと合わせ調味料とを収納容器3に入れる。
【0046】
重量センサ4が、収納容器3およびジャガイモの重量を検知し、マイコン5に信号が送られる(S201)。マイコン5には、調理室1に格納された食品重量に応じて、食品の温度が後述する酵素失活温度に到達する時間があらかじめ設定入力されている。マイコン5は、送られた信号をもとに、加熱時間を算出する(S203)と、加熱手段2が作動する(S204)。一方、加熱手段が作動している間は、温度制御手段8は、冷却手段6が生成する冷気が調理室1内に入らないように調理室と送風路を遮断するように動作する(S202)。
【0047】
加熱工程終了後、重量センサ4は、収納容器3および加熱後のジャガイモの重量を検知し、マイコン5に信号が送られる(S208)。マイコン5は、送られた信号をもとに、凍結時間を算出する(S209)と、温度制御手段8は、冷却手段6が生成する冷気が調理室1内に導入されるように調理室1と送風路7とを連通するように動作する(S206)。これにより、調理室1内は冷却される。
【0048】
温度センサ9は調理室1内の温度を検出し(S207)、これに基づき、調理室内が−5℃に達するまで、温度制御手段8は、送風路7から冷却手段6の冷気を導入させる。−5℃到達後は、一定時間放置したのち、加熱調理を行うまで0℃雰囲気にて保存する。
【0049】
このように、食品の種類と重量に応じて設定された時間だけ、調理室1内は−5℃を保持するように制御される。なお、上記のS206〜209の動作において、S208の動作は省略し、マイコン5は、S201で検知した重量データをそのまま用いてもよい。
【0050】
次に、解凍工程においては、重量センサ4が、収納容器3および凍結されたジャガイモの重量を検知し、マイコン5に信号が送られる(S211)。マイコン5には、調理室1に格納された食品重量に応じて、食品を加熱するのに要する時間があらかじめ設定入力されている。マイコン5は、送られた信号をもとに、加熱時間を算出する(S212)と、加熱手段2が作動する(S214)。一方、加熱手段2が作動している間は、温度制御手段8は、冷却手段6が生成する冷気が調理室1内に入らないように調理室1と送風路7との間を遮断するように動作する(S210)。加熱時間が到達すると、加熱手段2は動作を停止し、解凍が完了する。なお、上記のS210〜214の動作において、S211の動作は省略し、マイコン5は、S201で検知した重量データをそのまま用いてもよい。
【0051】
上記の動作において、凍結工程にてジャガイモを凍結すると、細胞組織内の水分が氷となり、体積膨張によって細胞壁に変形または亀裂が生ずる。そのとき、細胞内部の氷は水となって、細胞壁に生じた亀裂から流出する。流出した水分と入れ替わるように、あわせ調味料がジャガイモの細胞内へ浸透する。
【0052】
このような凍結解凍調理を施したものを加熱すると、ジャガイモの細胞組織が脆弱になっているため、柔らかくなりやすく、普通の加熱調理時間に較べて調理時間が短縮される。また、解凍時に細胞内にあわせ調味料液が浸透しているため、加熱時間が短くても、味の良くしみこんだ煮物となる。
【0053】
しかし、凍結後、解凍直後からジャガイモの表面は褐変する。これは、従来例の場合でも述べたように、ジャガイモの成分であるアミノ酸の一種であるチロシンが空気にさらされ、酵素であるチロシナーゼを触媒として酸化してしてしまうことにより生ずる。この褐変は、ジャガイモの皮を普通に剥いて、表面を露出させるだけでも生ずる現象であるが、一旦凍結させた後に解凍させる場合は、細胞内部の組織が外部へ流出しているため、空気にさらされるチロシンおよびチロシナーゼの量は、単に外皮を剥いた場合よりも多くなるため、褐変化の進行度合いが大きくなってしまう。
【0054】
本実施の形態においては、このような褐変を防止するため、上記の加熱工程において、チロシナーゼなどの酵素を失活させている。あわせ調味液の量をいくら多くしてもよい料理では、調味液にジャガイモを完全に浸漬することで空気の遮断が可能だが、そうでない場合は、凍結解凍調理の凍結工程の前に加熱を行って、酵素を失活させる。ジャガイモの場合、品温が80℃以上になるように加熱を行う。
【0055】
この加熱工程により、凍結解凍調理後から加熱調理を行うまでに生ずる食材の褐変を防止できる。
【0056】
また、ジャガイモの他に褐変する食品としては、ごぼうやレンコンなどがあり、これらについても、酵素を失活するために品温が80℃以上になるような加熱工程を行うことにより、凍結解凍調理における褐変を防止できる。
【0057】
また、加熱しない状態で食する漬け物において、褐変が見られるものとしては、からし菜の漬け物、白菜の漬け物、キュウリのピクルス等がある。通常の漬け物では、塩を添加して、食品中の水分を流出させるが、凍結解凍調理では、食品中の水分を凍結させたときの氷の体積膨張による細胞破壊を利用して、水分を流出させるので、塩を添加せずにでき、無塩漬け物をつくることができる。しかし、通常の漬け物の調理方法と較べると、凍結解凍調理では、細胞内部の成分が流出しやすくなり、白菜ではポリフェノール物質のポリフェノールオキシダーゼ作用による酸化がおこりやすく、キュウリやからし菜では酸素と光の存在により生ずる、活性酵素によるクロロフィルの酸化分解が生じ、褐変が促進される。
【0058】
そこで、凍結解凍調理で、生の状態で食べる漬け物風の野菜を作る場合にも、加熱工程を入れることで、白菜などで見られる褐変が防止できる。また、キュウリのピクルスやからし菜の漬け物風を作る場合も、凍結解凍工程の前に品温が70℃になるような加熱工程を行うと、クロロフィラーゼという酵素が作用し、緑色の色素クロロフィルがクロロフィリンに変化して鮮緑色となり、凍結解凍調理での褐変が防止できる。
【0059】
ここで表1に、褐変する食品の一例と、褐変の原因となる食品中の成分、および食品を褐変させる原因の一つである酵素の種類、および酵素失活温度を示す(「食材を生かす調理学」弘学出版 田辺尚子編著、に基づく)。
【0060】
【表1】

表1に示すように、酵素としては、チロシナーゼ、ポリフェノールオキシターゼ、フェノールオキシターゼがあるが、本実施の形態の凍結解凍調理においては、食品がこれらの全部または一部を含んでいる場合、酵素失活温度として80℃以上を設定するようにすれば、食品の褐変を防止することができることがわかる。
【0061】
なお、加熱手段2にマイクロ波を使う場合、容器はマイクロ波が透過し、かつ温度に対する耐性を有する素材を用いる。たとえば、温度に対する耐性が−20℃〜110℃のポリプロピレンなどがあげられる。加熱手段2にヒータを使う場合は、食品への熱伝達を速やかにするためにアルミなど熱伝導性のよいものを使用する。
【0062】
また、上記の動作において、凍結工程と解凍工程はそれぞれ一度ずつ行うものとしたが、凍結工程と解凍工程とは、一度以上繰り返して行うようにしてもよい。また、凍結工程と解凍工程を繰り返す毎に、ジャガイモの雰囲気の温度を変動させるようにしてもよい。
【0063】
また、本発明は、上記実施の形態1の凍結解凍調理器によらず、電子レンジ、オーブン他の外部手段を用いた他の方法によって解凍される食品に対しても、その食品をあらかじめ上記加熱工程によって、その内部に含まれる酵素が失活した後に凍結させる処理を行う、食品冷凍方法または食品冷凍装置として実現してもよい。さらに、食品に湿潤させるための調味料は用いなくてもよい。
【0064】
また、本発明は、食品を凍結して得られる冷凍食品であって、例えば上記加熱工程によって、その内部に含まれる酵素が、食品を褐変させる酵素が失活した酵素失活状態にあるような冷凍食品として実現してもよい。
【0065】
また、上記の実施の形態においては、食品に対する酵素失活状態は、食品の加熱によって実現するものとしたが、本発明は、他の方法によって食品に対する酵素失活状態を実現するものであってもよい。
【0066】
(参考例1)
図3は本発明に関連する参考例1における凍結解凍調理器の調理工程のフローシートであり、本発明の実施の形態1の凍結解凍調理器の動作の解凍工程の後に加熱工程を行うところが実施の形態1と異なり、その点について説明を行う。
【0067】
凍結工程、解凍工程を経た凍結解凍調理物はその後、生のまま食するもの、あるいは、通常の調理を行うものがある。後者の場合は、煮物であったり、焼き物であったりする。このうち煮物のように凍結解凍後の調理物を鍋に移し変えて加熱調理を行うものについて、図3のフローシートに示すように、解凍工程後に加熱手段による加熱工程を加える。
【0068】
解凍工程は、加熱手段2により食品の温度が0℃に到達するまでの時間を食品の種類、量に応じて設定しておく。そして、解凍工程設定時間が経過した時点で、温度制御手段8が閉じ、加熱手段が作動して加熱工程がすすむ。加熱時間は、重量センサ4の検知データをもとに演算され、加熱終了時間がきまる。加熱終了後、食品が取り出されるまでは、温度制御手段8によって5℃に保持され、通常の冷蔵室保存ができる。このような調理工程で行うメニューは、肉じゃが、筑前煮、煮豆、魚の煮つけなどがある。これらのメニューにおいては、加熱手段2にマイクロ波を用いると、少量の場合、短時間で加熱がすむ。また、煮ている時間が短く、煮汁が少量しかなくても、凍結解凍によって食品内部に調味液が浸透しているので、味のよくしみこんだ煮物を作ることができる。また、加熱工程を組み入れることにより、調理物を鍋に移し変えて加熱調理を行うという煩わしい操作をなくすことができる。
【0069】
(参考例2)
図4は本発明に関連する参考例2における凍結解凍調理器の調理工程のフローシートである。本発明の実施の形態1の凍結解凍調理器の動作の解凍工程と加熱工程にマイクロ波加熱を用い、そのマイクロ波の制御方法についての説明をおこなう。
【0070】
解凍工程でのマイクロ波の食品への入力電力は、200W前後でおこなう。解凍工程での食品は凍った状態であり、マイクロ波を照射しても、透過しやすく、食品自体は温まりにくい。そして、食品の一部分が解け始めると、その部分におけるマイクロ波の吸収がよくなり、加熱むらの原因となる。この現象は照射するマイクロ波の電力が大きいほど顕著に現れる。よって、食品が解けるまでは200W前後のマイクロ波を照射する。
【0071】
そして、完全に食品が解凍されたら加熱工程へ移り、マイクロ波の電力を500W前後に切り替えて加熱をおこなう。マイクロ波の電力の切替は、あらかじめ食品の種類と重量から解凍時間をマイコンに設定入力しておくか、食品の凍結時から解凍時の形状変化をとらえておこなう。例えば、煮汁を含むものでは、凍結状態から解凍していくにしたがって液体が生じる。液体が生じるときの振動を重量センサでとらえ、マイクロ波の電力切替を行う。また、煮汁がないものでは、解凍時に野菜から流出する水分の振動を同様に重量センサでとらえて、マイクロ波の電力制御をおこなう。このように、食品の凍結状態と解凍状態でマイクロ波の出力を切り替えて加熱を行うことにより、マイクロ波の加熱ムラを抑えつつ、凍結解凍調理の出来栄えが良好なものとなる。
【0072】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における凍結解凍調理器は、基本的には実施の形態1と同一であるが、収納容器3内の空気を脱気する機能を有する点が異なる。
【0073】
図5は本発明の実施の形態2における凍結解凍調理器における、脱気機能付き収納容器の構成図であり、図6は、この凍結解凍調理器の調理工程のフローシート図である。
【0074】
図5に示すように、脱気機能付き収納容器50は、収納容器3に隣接して設けられた脱気手段10を有する手段であり、脱気手段10は吸引ポンプ11を内蔵し、排気口13を有している。吸引ポンプ11のチューブ12は、例えばゴム管などからなり、収納容器3と接続され、吸引ポンプ11と収納容器3の内部とを連通するようにしている。
【0075】
このような構成を有する、本発明の実施の形態2による凍結解凍調理器の動作について、説明を行うとともに、これにより、本発明の食品凍結方法および凍結解凍調理方法の一実施の形態について説明を行う。ただし、実施の形態1と重複する部分は省略し、相違点を中心に述べる。
【0076】
本実施の形態による凍結解凍調理器の動作は、図6に示すように、実施の形態1の動作における加熱工程、凍結工程、解凍工程において、加熱工程の代わりに、脱気機能付き収納容器50を用いた脱気工程を行う。
【0077】
脱気工程は、吸引ポンプ11の作動からはじまり、これにより収納容器3内の空気が吸引され、排気口13から調理室内に排出される。一定の排気量以下になった時点で、吸引ポンプ11の動作は停止する。排気量の検知はチューブ12に流量計などを接続して行う。
【0078】
脱気工程終了後の凍結工程、解凍工程は前述した実施の形態1に準ずる。実施の形態1にて説明したように、食品の褐変は、酵素と、食品周囲の空気に含まれる酸素によって引き起こされるが、本実施の形態においては、食品周囲の空気を脱気することにより、食品の褐変に必要な量以下の酸素しか残留してしないようにする。したがって、収納容器3内においては、褐変に必要な酸素の量よりも少ないため、解凍工程が始まっても、食品の褐変反応は生じず、ジャガイモや、野菜等の食品の褐色化を防止することができる。このとき、脱気工程は、少なくとも解凍された食品が褐変を開始するタイミングまで、食品の周辺の酸素が、食品に含まれる酵素が褐変に必要とする最低限の量よりも少ないような雰囲気を実現できればよく、したがって、脱気工程の一部は凍結工程と平行して行われてもよい。
【0079】
なお、上記の説明においては、脱気工程、凍結工程、解凍工程の3工程から動作を行うものとして説明を行ったが、脱気工程と凍結工程との間に、実施の形態1の加熱工程を加えてもよい。このとき、収納容器3内の食材は、脱気された状態で、酵素失活温度まで加熱されることとなり、褐変防止の効果をさらに向上させることができる。
【0080】
(実施の形態3)
図7は本発明の実施の形態3における凍結解凍調理器における、ガス注入機能付き収納容器の構成図であり、図8は、この凍結解凍調理器の調理工程のフローシート図である。
【0081】
図7において、図5と同一部または相当部には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。また、14は収納容器3内に不活性ガスを注入する、ガス注入手段である。ガス注入手段14としては、脱気手段10本体から脱着可能な、カートリッジ型の缶の状態のものをセットするような構成となっている。不活性ガスの例として、窒素などがあげられる。
【0082】
このような構成を有する、本実施の形態による凍結解凍調理器の動作は、図8に示すように、実施の形態2の動作における脱気工程、凍結工程、解凍工程において、脱気工程と凍結工程との間に、ガス注入機能付き機能付き収納容器70を用いたガス注入工程をさらに加えたものである。したがって、実施の形態2と同様の点は省略し、相違点を中心に述べる。
【0083】
脱気工程において、食品の褐変に必要な酸素量以下になるまで、収納容器3内の空気が排出されると、ガス注入工程として、ガス注入手段14から不活性ガスが収納容器3に注入され、収納容器3内は、不活性ガスが充填される。
【0084】
ガス注入工程終了後の凍結工程、解凍工程は前述してきた実施の形態1に準ずる。収納容器3内において、食品周辺の空気を不活性ガスにおきかえることにより、褐変に必要な酸素の量が少ないため、解凍工程が始まっても、食品の褐変反応は生じず、さらに、食品成分の化学変化が置きにくい状態となる。それにともない、食品の褐変だけではなく、成分酸化による劣化も防止され、ジャガイモや、野菜等の食品の凍結解凍調理の仕上がりが良好となる。
【0085】
なお、上記の説明においては、脱気工程、ガス注入工程、凍結工程、解凍工程の4工程から動作を行うものとして説明を行ったが、ガス注入工程と凍結工程との間、脱気工程の前、もしくは脱気工程またはガス注入工程と平行して、実施の形態1の加熱工程を加えてもよい。このとき、収納容器3内の食材は、不活性ガスが注入された状態で、酵素失活温度まで加熱されることとなり、褐変防止の効果をさらに向上させることができる。
【0086】
以上のような本発明の各実施の形態は、食品周囲の気体を吸引あるいは不活性ガスに置換する手段を設け、食品を凍結解凍する調理器にすることによって、食品の褐変を防止でき、味の染み込みがよいなど利点のある凍結解凍調理の出来栄えが良好となる。
【0087】
さらに、凍結解凍調理の加熱手段にマイクロ波を用いることによって、少量の場合、短時間調理が可能となる。
【0088】
さらに、凍結と解凍工程の前に加熱工程を行うことにより、食品の酵素作用による褐色化をおさえることができ、凍結解凍調理の出来栄えが良好なものとなる。
【0089】
さらに、凍結工程後に食品の可食温度まで加熱を行う工程にすることにより、調理物を鍋に移し変えて加熱調理を行うという煩わしい操作をなくすことができる。
【0090】
さらに、凍結解凍調理の解凍工程と加熱調理工程でマイクロ波の出力を切り替えて加熱を行うことにより、マイクロ波の加熱ムラを抑えつつ、凍結解凍調理の出来栄えが良好なものにすることができる。
【0091】
また、前記凍結工程中あるいは前に、食品周囲の気体を除去する脱気工程を加えることによって、食品周辺の空気を取り除かれ、カットした野菜での褐色化を防止して凍結解凍調理の出来栄えをよくすることができる。
【0092】
また、前記凍結工程中あるいは前に、食品周囲の気体を不活性ガスに置き換えることにより、酸素が除去されるとともに、食品成分の化学変化が置きにくい状態となり、食品の褐変だけではなく、成分酸化による劣化も防止され、カットした野菜での凍結解凍調理の仕上がりが良好となる。
【0093】
なお、上記の各実施の形態において、マイコン5および加熱手段2は、本発明の酵素失活手段および解凍手段の一例であり、マイコン5および冷却手段6は、本発明の凍結手段の一例であり、収納容器3は、本発明の湿潤手段および収納室の一例であり、マイコン5および脱気手段10は、本発明の脱気手段の一例であり、マイコン5およびガス注入手段14は、本発明の不活性ガス導入手段の一例である。
【0094】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の収納室は、凍結解凍調理を行うための湿潤手段と兼用する必要はなく、外部の冷凍装置等、他の手段により凍結した食品を収納するものであってもよい。したがって、本発明は、凍結解凍調理ばかりでなく、外部手段により凍結された食品を解凍し、その際に該食品の前記食器の周囲の雰囲気を、酸素が所定量より少なくなるような状態に保ち、前記所定量は、前記酸素を触媒として前記食品を褐変させる酵素が、前記食品を褐変させるのに最低限必要な量である食品解凍装置または食品解凍方法として実現してもよい。
【0095】
また、本発明は、上述した本発明の食品解凍方法または食品凍結方法の全部又は一部の工程の動作をコンピュータにより実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0096】
また、本発明は、上述した本発明の食品解凍方法または食品凍結方法の全部または一部の工程の全部または一部の動作をコンピュータにより実行させるためのプログラムを担持した媒体であり、コンピュータにより読み取り可能且つ、読み取られた前記プログラムが前記コンピュータと協動して前記機能を実行する媒体である。
【0097】
なお、本発明の一部の手段(又は、装置、素子、回路、部等)、本発明の一部のステップ(又は、工程、動作、作用等)とは、それらの複数の手段又はステップの内の、幾つかの手段又はステップを意味し、あるいは、一つの手段又はステップの内の、一部の機能又は一部の動作を意味するものである。 また、本発明の一部の装置(又は、素子、回路、部等)とは、それらの複数の装置の内の、幾つかの装置を意味し、あるいは、一つの装置の内の、一部の手段(又は、素子、回路、部等)を意味し、あるいは、一つの手段の内の、一部の機能を意味するものである。
【0098】
また、本発明のプログラムを記録した、コンピュータに読みとり可能な記録媒体も本発明に含まれる。
【0099】
また、本発明のプログラムの一利用形態は、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
【0100】
また、本発明のプログラムの一利用形態は、伝送媒体中を伝送し、コンピュータにより読みとられ、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
【0101】
また、記録媒体としては、ROM等が含まれ、伝送媒体としては、インターネット、光ファイバ等の伝送機構、光・電波・音波等が含まれる。
【0102】
また、上述した本発明のコンピュータは、CPU等の純然たるハードウェアに限らず、ファームウェアや、OS、更に周辺機器を含むものであっても良い。
【0103】
なお、以上説明した様に、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現しても良いし、ハードウェア的に実現しても良い。
【0104】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、凍結した食品を解凍する際に、食品の褐変を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における凍結解凍調理器の構成図
【図2】本発明の実施の形態1における凍結解凍調理器の調理工程のフローシート図
【図3】本発明の参考例1における凍結解凍調理器の調理工程のフローシート図
【図4】本発明の参考例2における凍結解凍調理器の調理工程のフローシート図
【図5】本発明の実施の形態2における凍結解凍調理器の脱気機能付き収納容器の構成図
【図6】本発明の実施の形態2における凍結解凍調理器の調理工程のフローシート図
【図7】本発明の実施の形態3における凍結解凍調理器のガス注入機能付き収納容器の構成図
【図8】本発明の実施の形態3における凍結解凍調理器の調理工程のフローシート図
【図9】従来の低温調理装置の構成図
【符号の説明】
1 調理室
2 加熱手段
3 収納容器
4 重量センサ
5 マイコン
6 冷却手段
7 送風路
8 温度制御手段
9 温度センサ
10 脱気手段
11 吸引ポンプ
12 チューブ
13 排気口
14 ガス注入手段
50 脱気機能付き収納容器
70 ガス注入機能付き収納容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を凍結する食品凍結方法であって、
前記凍結を行う前および/または前記凍結中に、前記食品内の、前記食品を褐変させる酵素が失活する状態にする食品凍結方法。
【請求項2】
前記酵素が失活する状態は、前記食品の温度を、前記食品を褐変させる酵素が失活する酵素失活温度まで上げることにより実現する請求項1に記載の食品凍結方法。
【請求項3】
前記酵素は、チロシナーゼ、ポリフェノールオキシターゼ、フェノールオキシターゼの全部または一部を含む請求項1または2に記載の食品凍結方法。
【請求項4】
前記酵素失活温度は、80℃以上である請求項2に記載の食品凍結方法。
【請求項5】
前記食品を、凍結前に調味料に浸潤させる請求項1から4のいずれかに記載の食品凍結方法。
【請求項6】
凍結した食品を解凍する食品解凍方法であって、
少なくとも前記解凍が行われている間、前記食品の周囲の雰囲気を、酸素が所定量より少なくなるような状態に保つ工程を備え、
前記所定量は、前記酸素を触媒として前記食品を褐変させる酵素が、前記食品を褐変させるのに最低限必要な量である食品解凍方法。
【請求項7】
前記雰囲気を、不活性ガスを存在させることにより実現している請求項6に記載の食品解凍方法。
【請求項8】
少なくとも請求項1から5のいずれかの食品凍結方法により凍結した食品を、解凍する工程を備えた凍結解凍調理方法。
【請求項9】
凍結した食品を、少なくとも請求項6または7に記載の食品解凍方法により解凍する工程を備えた凍結解凍調理方法。
【請求項10】
前記凍結と、前記解凍とを少なくとも1回以上繰り返して行う請求項8または9に記載の凍結解凍調理方法。
【請求項11】
食品を凍結する凍結手段と、
前記凍結手段が凍結動作を行う前および/または凍結動作中に、前記食品内の、前記食品を褐変させる酵素が失活する状態にする酵素失活手段を備えた食品凍結装置。
【請求項12】
前記酵素失活手段は、前記凍結手段が凍結動作を行う前に、前記食品の温度を、前記食品を褐変させる酵素が失活する酵素失活温度まで上げる請求項11に記載の食品凍結装置。
【請求項13】
前記酵素は、チロシナーゼ、ポリフェノールオキシターゼ、フェノールオキシターゼの全部または一部を含む請求項11または12に記載の食品凍結装置。
【請求項14】
前記酵素失活温度は、80℃以上である請求項12に記載の食品凍結装置。
【請求項15】
凍結した食品が収納される収納室と、前記収納室内の脱気を行う脱気手段と、前記凍結した食品を解凍する解凍手段とを備えた食品解凍装置であって、
前記脱気手段は、少なくとも前記解凍が行われている間、前記食器の周囲の雰囲気を、酸素が所定量より少なくなるような状態に保ち、
前記所定量は、前記酸素を触媒として前記食品を褐変させる酵素が、前記食品を褐変させるのに最低限必要な量である食品解凍装置。
【請求項16】
前記収納室内に不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段を備え、
前記雰囲気を、前記不活性ガスを存在させることにより実現している請求項15に記載の食品解凍装置。
【請求項17】
請求項10から14のいずれかに記載の食品凍結装置と、前記凍結が行われる前の前記食品を調味料に浸潤させる湿潤手段とを備えた凍結解凍調理装置。
【請求項18】
請求項15または16に記載の食品解凍装置と、
前記食品を凍結させる凍結手段と、
前記凍結が行われる前の前記食品を調味料に浸潤させる湿潤手段とを備えた凍結解凍調理装置。
【請求項19】
食品を凍結して得られた冷凍食品であって、
前記食品は、前記食品を褐変させる酵素が失活した酵素失活状態にある冷凍食品。
【請求項20】
前記酵素失活状態は、前記凍結を行う前および/または前記凍結中に、前記食品内の、前記食品を褐変させる酵素が失活する酵素失活温度まで加熱されることにより実現されている請求項19に記載の冷凍食品。
【請求項21】
請求項1に記載の食品凍結方法の、前記食品の温度を、前記食品を褐変させる酵素が失活する酵素失活する状態にする工程の全部または一部をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項22】
請求項6に記載の食品解凍方法の、少なくとも前記解凍が行われている間、前記食品の周囲の雰囲気を、酸素が所定量より少なくなるような状態に保つ工程の全部または一部をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項23】
請求項1に記載の食品凍結方法の、前記食品の温度を、前記食品を褐変させる酵素が失活する酵素失活する状態にする工程の全部または一部をコンピュータに実行させるためのプログラムを担持した媒体であって、コンピュータにより処理可能な媒体。
【請求項24】
請求項6に記載の食品解凍方法の、請求項6に記載の食品解凍方法の、少なくとも前記解凍が行われている間、前記食品の周囲の雰囲気を、酸素が所定量より少なくなるような状態に保つ工程の全部または一部をコンピュータに実行させるためのプログラムを担持した媒体であって、コンピュータにより処理可能な媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−6702(P2007−6702A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−353423(P2001−353423)
【出願日】平成13年11月19日(2001.11.19)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【出願人】(000004488)松下冷機株式会社 (25)
【Fターム(参考)】