説明

飲料サーバー

【課題】ペットボトル等の飲料ボトルを使用してコストを大幅に低減することができ家庭用、小規模事業所用としても最適な飲料サーバーを提供する。
【解決手段】飲料ボトル9を収納するためのボトル収納室2と、前記ボトル収納室の内部に設けられ、口部を下方に向けた前記飲料ボトルの下方側を面接触により支持するとともに、前記飲料ボトルとの面接触部を介する熱伝導により前記飲料ボトル内の飲料を冷却するための冷却支持部3と、前記冷却支持部に支持されて口部を下方に向けた前記飲料ボトルの当該口部と接続するための接続部4と、前記接続部に接続され、飲料を注出するための注出コック5と、前記冷却支持部に支持された前記飲料ボトルの上方の底部に空気流入用の孔を形成するための穿孔部23とを有する。本発明の飲料サーバーにより、小型化および低コスト化を推し進めることができ、冷却効率を向上させるとともに予冷時間を大幅に短縮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲料水等の飲料を冷却および加熱して貯留し、それらの飲料を注出する飲料サーバーに関するものであり、さらに詳しくは、一般消費者向けに販売されているペットボトル等の飲料容器を使用して安価に提供でき、家庭用、小規模事業所用としても最適な飲料サーバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ミネラルウォーター等の飲料水を冷却して冷水としたものと、加熱して温水としたものを注出可能な飲料サーバーは公知である。これらの冷水と温水とは、通常、飲料サーバー内の冷水タンクおよび温水タンクに貯留されている。この場合、温水の温度は高温(例えば、80℃程度)のため、細菌が繁殖することはないが、飲料容器内、冷水タンク内および冷水タンクに接続された配管内等には比較的細菌が繁殖しやすい環境となってしまう。
【0003】
そのため、下記の特許文献1に記載されたような技術が公知である。特許文献1には、BIB(バッグ・イン・ボックス)タイプの飲料容器を使用し、飲料を冷却する低温タンクと飲料を加熱する高温タンクを有する飲料サーバーにおいて、定期的に低温タンク内の飲料を加熱殺菌するようにした飲料サーバーが記載されている。
【0004】
BIBとは、紙製の箱内に柔軟樹脂からなる袋状容器が配置されたものである。BIB容器では、工場において十分に除菌・殺菌された飲料がBIB容器に充填され、内部が密封状態に保たれて最終消費地まで運搬される。このため、最終消費地に到達するまでBIB容器内の飲料に細菌等が侵入することがない。このようなBIB容器に充填されたミネラル水等の飲料を使用する飲料サーバーも広く利用されている。
【0005】
また、下記の特許文献2に記載されたような飲料サーバーも公知である。特許文献2には、一般消費者向けに販売されている安価なペット(PET)ボトル等の飲料容器を使用してコストを低減することができ、家庭用、小規模事業所用としても利用可能な飲料サーバーが記載されている。特許文献2の飲料サーバーはペットボトル等に入れられた飲料水を冷却室に収納して冷却し、それを低温飲料水として利用し、さらに加熱後に高温飲料水として利用するものである。
【特許文献1】特開2004−315049号公報
【特許文献2】特開2006−225012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の飲料サーバーは、前述のように温水側には比較的問題が少ないが、冷水側のタンクおよび供給路には、細菌が発生しやすいという問題点があり、特に冷水側のタンクおよび供給路の除菌処理等を頻繁に行う必要があった。このため、メインテナンスに時間とコストがかかり、飲料サーバーのランニングコストの上昇を招いていた。また、メインテナンスを怠ると飲用に適さない飲料が注出されてしまうおそれもあった。
【0007】
特許文献1の技術は、このような除菌処理等を効率的に行うものであるが、そのための殺菌用加熱器等の設備により幾分かのコスト上昇は避けられず、また、業務用のBIB容器から飲料水等を供給するものであるため、コストや設置スペースの観点から、家庭用の飲料サーバーとしては適するものではなかった。
【0008】
また、特許文献2に記載されたような飲料サーバーは、従来の飲料サーバーよりは小型化および低コスト化することができ、家庭用、小規模事業所用としても利用可能なものであるが、さらなる小型化および低コスト化が望まれていた。また、通常の冷蔵庫と同様に冷却室内でペットボトル入りの飲料水を冷却するため、冷却効率があまり良くないという問題点があった。また、冷却開始から適温の冷却水が実際に注出可能となるまでの時間(予冷時間)が長いという問題点があった。
【0009】
そこで、本発明は、一般消費者向けに販売されているペットボトル等の飲料容器を使用してコストを大幅に低減することができ、家庭用、小規模事業所用としても最適な飲料サーバーを提供することを目的とし、さらに、小型化および低コスト化を推し進めることができ、冷却効率を向上させるとともに予冷時間を大幅に短縮することができる飲料サーバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の飲料サーバーは、飲料ボトルを収納するためのボトル収納室と、前記ボトル収納室の内部に設けられ、口部を下方に向けた前記飲料ボトルの下方側を面接触により支持するとともに、前記飲料ボトルとの面接触部を介する熱伝導により前記飲料ボトル内の飲料を冷却するための冷却支持部と、前記冷却支持部に支持されて口部を下方に向けた前記飲料ボトルの当該口部と接続するための接続部と、前記接続部に接続され、飲料を注出するための注出コックと、前記冷却支持部に支持された前記飲料ボトルの上方の底部に空気流入用の孔を形成するための穿孔部とを有するものである。
【0011】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記ボトル収納室は、複数の前記接続部を設け、複数の前記飲料ボトルを収納可能なものとすることができる。
【0012】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記接続部に対して飲料の流入および流出を開閉するための開閉部を有することが好ましい。
【0013】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記冷却支持部は、冷却媒体を流通させるための冷却パイプを金属材料中に鋳込んだ構造の冷却器を備えたものとすることができる。
【0014】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記冷却器は、ステンレス鋼からなる前記冷却パイプをアルミニウム中に鋳込んだものであることが好ましい。
【0015】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記冷却器は、前記冷却パイプが前記飲料ボトルを周回するように配設されたものとすることができる。
【0016】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記ボトル収納室が、複数の前記接続部が設けられており、複数の前記飲料ボトルを収納可能なものである場合、前記冷却器を、前記冷却パイプが複数の前記飲料ボトルの間に配置するとともに、前記冷却パイプを蛇行して配設したものとすることができる。
【0017】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記冷却支持部は、前記飲料ボトルを支持するためのボトル支持部と前記冷却器とを接合したものとすることができる。
【0018】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記冷却支持部は、冷却媒体を流通させるための冷却パイプを外周に接触配置した構造の冷却器を備えたものとすることができる。
【0019】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記冷却支持部は、ペルチェ素子を使用した冷却器によって冷却するものとすることができる。
【0020】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記接続部の下方に設けられ、前記接続部に接続された冷却タンクを有し、前記冷却器は、前記冷却タンクの下方に配置され、前記冷却支持部を介して前記飲料ボトルを冷却するとともに前記冷却タンクを冷却するものとすることができる。
【0021】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記飲料ボトルの前記口部に、開閉弁付きの接続用キャップを装着して前記接続部に接続するものであり、前記接続用キャップと前記接続部との間は、水密状態に封止されていることが好ましい。
【0022】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記穿孔部は、前記ボトル収納室の上部カバーに設置され、穿孔工具の針状に形成された先端部が突出可能に設けられたものであることが好ましい。
【0023】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記接続部は、前記注出コックと一体に前方に引き出すことが可能であり、前記接続部を外部に引き出して洗浄可能なものであることが好ましい。
【0024】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記冷却支持部は、適用対象とする前記飲料ボトルの形状にのみ適合する形状とし、適合形状以外の種類の飲料ボトルの使用を困難なものとすることができる。
【0025】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記ボトル収納室が複数の前記飲料ボトルを収納可能なものである場合、前記ボトル収納室の底面部に設けられ、口部を下方に向けた前記飲料ボトルの当該口部と接続するための高温飲料用接続部と、前記高温飲料用接続部に接続され、前記飲料ボトルから供給された飲料を加熱した状態で貯留する高温タンクと、前記高温タンクに接続され、前記高温タンク内の飲料を注出するための高温飲料注出コックとを有するものとすることができる。
【0026】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記ボトル収納室を、複数の前記飲料ボトルを収納可能であるとともに複数の前記接続部を備えたものとし、少なくとも1つの前記接続部に接続され、前記飲料ボトルから供給された飲料を加熱した状態で貯留する高温タンクと、前記高温タンクに接続され、前記高温タンク内の飲料を注出するための高温飲料注出コックとを有するものとすることができる。
【0027】
また、上記の飲料サーバーにおいて、複数の前記接続部およびそれらに接続される配管に、前記高温タンク内の高温飲料を循環させるための循環用配管と、前記循環用配管に前記高温タンク内の高温飲料を循環させる循環ポンプとを有することが好ましい。
【0028】
また、上記の飲料サーバーにおいて、全ての前記接続部は、互いに接続されて1系統に構成されており、それらの前記接続部の一端側に前記注出コックが接続されるとともに、他端側の前記接続部に前記高温タンクが接続されており、前記循環用配管は、前記注出コック側の前記接続部から他端側の前記接続部まで、全ての前記接続部を通って高温飲料を循環させるように配管されたものであることが好ましい。
【0029】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記飲料ボトルの前記口部に、開閉弁付きの接続用キャップを装着して前記接続部に接続するものであり、前記接続用キャップは、耐熱性樹脂からなるとともに、前記接続部との間を水密状態に封止可能なものであり、前記接続部は熱伝導性の良好な金属材料からなるものであることが好ましい。
【0030】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記循環ポンプを定期的に始動および停止させるための循環制御手段を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、以上のように構成されているので、以下のような効果を奏する。
【0032】
一般消費者向けに販売されている飲料ボトルを使用して飲料サーバーの製造コストおよびランニングコストを大幅に低減することができる。倒立状態の飲料ボトルを冷却支持部の面接触部との直接的な熱伝導によって冷却するようにしたので、飲料サーバーの冷却効率を著しく向上させるとともに予冷時間を大幅に短縮することができる。冷却支持部の面接触部は飲料ボトルの外表面と密着しており、飲料ボトル内の飲料を効率よくかつ短時間で冷却することができる。さらに、飲料サーバーの小型化を推し進めることができ、低コストかつ省スペースの家庭用、小規模事業所用としても最適な飲料サーバーを提供することができる。
【0033】
ボトル収納室に複数の接続部を設け、複数の飲料ボトルを収納可能にした場合には、複数の飲料ボトルの合計容量を注出することができるため、飲料の注出容量を大幅に増大することができる。
【0034】
それぞれの接続部に対して開閉部を設けたので、ある接続部に対して他の接続部に接続された飲料ボトルの飲料が流入してあふれ出てしまうことを防止でき、飲料ボトルの交換作業を円滑に行うことができる。
【0035】
冷却パイプを金属材料中に鋳込んだ構造の冷却器を有するものでは、冷却能力が大きく効率よく大容量の飲料を短時間で冷却することができる。
【0036】
特に、ステンレス鋼からなる冷却パイプをアルミニウム中に鋳込んだものの場合、冷却能力および冷却効率がさらに向上する。
【0037】
冷却器の冷却パイプが複数の飲料ボトルの間に配置され、冷却パイプが蛇行して配設されたものである場合、冷却器の製造コストを低減することができる。
【0038】
冷却支持部を冷却器とボトル支持部とを接合した構成とした場合、冷却支持部の製造コストを低減することができる。
【0039】
冷却パイプを外周に接触配置した構造の冷却器を備えたものでは、冷却支持部の製造コストをさらに低減することができる。
【0040】
冷却支持部をペルチェ素子を使用して冷却するものでは、冷却支持部および冷却器が小型化および低騒音化でき、高精度な温度制御を簡単に行うことができる。
【0041】
接続部の下方に冷却タンクと冷却器を対置したものでは、冷却タンクに冷却飲料が貯留されているので、飲料ボトルの交換時にも即座に適温の飲料が注出可能である。また、冷却タンクは熱伝導性が良好で、冷却性能が優れているため、冷却タンクに供給された飲料を短時間で適温まで冷却することができる。
【0042】
飲料ボトルの口部に接続用キャップを装着して接続部に接続するようにしたので、飲料ボトルの交換作業が簡単になり、交換作業を円滑に行うことができる。また、接続用キャップの繰り返し再利用も可能である。
【0043】
ボトル収納室の上部カバーに穿孔部を設けたので、飲料ボトルの底部に空気流入用の穿孔を施すことを簡単に行うことができる。
【0044】
接続部と注出コックとを一体に前方に引き出すことができるようにしたので、これらを引き出して飲料サーバーから完全に取り外し、これらの洗浄作業を容易にかつ十分に行うことができる。
【0045】
冷却支持部の形状を、適用対象とする飲料ボトルの形状のみに適合する形状とすることにより、特定メーカや特定種類の飲料ボトル専用の飲料サーバーとすることができる。
【0046】
冷却飲料用の注出コックに加えて高温飲料注出コックを設けたものでは、冷却飲料に加えて高温飲料も注出することができ利便性が向上する。
【0047】
飲料供給経路に高温飲料を循環可能としたものでは、高温飲料により各部の殺菌処理を行う殺菌運転を簡単に実行することができる。また、循環ポンプを定期的に始動および停止させるようにして、殺菌運転を自動的に実行することができる。このため、人手で行う清浄作業や殺菌作業を軽減して、メインテナンスのためのコストを低減させることができる。そして、細菌等の繁殖を防止し、衛生的な観点からも良好な飲料サーバーを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。ここでは飲料としては、ミネラルウォーター、冷茶等の冷飲料を注出するサーバーを例にとって説明する。図1は、第1の実施の形態の飲料サーバー1の全体構成を示す断面図である。図1は飲料サーバー1を右側面方向から見た断面図である。
【0049】
飲料サーバー1の上部には、飲料ボトル9を収納するボトル収納室2が配置されている。飲料ボトル9としては、ポリ・エチレン・テレフタレート(PET)等の樹脂材料からなる一般用のペットボトル等を使用する。ボトル容量は2リットル程度のものが適当である。ただし、飲料ボトルはペットボトル等に限定されることはなく、他の材料からなる任意のボトルが使用可能である。
【0050】
図2に示すように、飲料ボトル9の上部には、ボトル本体に比較して細口の口部91が形成されており、その口部91にはねじ込み式のキャップ92が螺合により取り付けられている。口部91とキャップ92とは、ボトル内部の飲料が口部91から漏れ出ることのないように密封状態となるように螺合接続されている。飲料ボトル9は、工場において十分に除菌・殺菌された飲料がボトルに充填され、内部が密封状態に保たれて最終消費地まで運搬される。このため、最終消費地に到達するまで飲料ボトル9内の飲料に細菌等が侵入することはない。
【0051】
ボトル収納室2の周囲の壁面21および上部カバー22は、内部に断熱材が充填されている。ボトル収納室2の下部前面側には注出コック5が設置されている。この注出コック5から飲料が注出される。上部カバー22は、後部側が壁面21上端に回動可能に支持されており、図示のように、後方に回動させて開くことができる。開いた状態の上部カバー22は、図1の二点鎖線で示されている。
【0052】
この上部カバー22を開いて、ボトル収納室2内部の飲料ボトル9を交換することができる。上部カバー22を閉じた状態では、ボトル収納室2の内部と外部とは熱的に遮断される。また、上部カバー22には、飲料ボトル9の底部に対向する位置に穿孔部23が設けられている。この穿孔部23は、ボトル収納室2内にセットされた飲料ボトル9の上方の底部に空気流入用の孔を形成するためのものである。穿孔部23の構造については後ほど説明する。
【0053】
ボトル収納室2の下部には、飲料ボトル9を支持し冷却するための冷却支持部3と、飲料ボトル9の口部91を接続するための接続部4が配置されている。飲料ボトル9は図示のように倒立させて冷却支持部3にセットする。このとき、口部91は接続部4に接続される。飲料ボトル9と接続部4の接続構造については後に詳しく説明する。冷却支持部3は、倒立させた飲料ボトル9の下方部分(口部91側の部分)を支持し、飲料ボトル9に面接触して飲料ボトル9および内部の飲料を直接的に効率よく冷却する。飲料は、冷水としての適温(例えば、10℃以下)まで冷却される。
【0054】
冷却支持部3の下方側は冷却器31として構成されている。この冷却支持部3および冷却器31はアルミニウムの鋳造物として一体に形成されている。冷却器31の内部にはステンレス鋼からなる冷却パイプ32がらせん状に巻かれて設置されている。冷却パイプ32は冷却器31のアルミニウム材料中に鋳込まれており、その端部は接続部として冷却器31の外部に突出されている。冷却ユニット7で冷却された冷却媒体が冷却パイプ32を循環し、冷却支持部3を介して飲料ボトル9中の飲料を効率よく冷却する。冷却ユニット7は飲料サーバー1のサーバー下部空間6に配置されている。
【0055】
冷却器31および冷却支持部3はアルミニウムの鋳造物であり、大きな熱容量を持つとともに熱伝導率が大きい。また、冷却支持部3は面接触により飲料ボトル9を支持しており、その面接触部は飲料ボトルの外表面に密着している。このため、飲料ボトル内の飲料を効率よくかつごく短時間で冷却することができる。冷却器31の冷却温度は温度センサによって検出されており、冷却ユニット7をオン・オフ制御することにより、冷却器31がほぼ一定の低温度(冷水としての適温)になるように温度制御されている。
【0056】
冷却器31および冷却支持部3が大きな熱容量を持つので、飲料ボトル9を新しいものに交換したときにも、飲料ボトル9のボトル壁面近傍の飲料を即座に適温まで冷却することができる。そして、飲料ボトル9が倒立して冷却支持部3に支持されているので、ボトル壁面近傍の冷却された飲料が壁面に沿って口部91に向かって落下していく。この冷却された飲料が、接続部4から流出して、さらに注出コック5から注出される。
【0057】
このように、この飲料サーバー1では、飲料ボトル9中の飲料全体を均一に適温まで冷却する訳ではなく、飲料ボトル9の壁面近傍の飲料を効率的に短時間で冷却し、その冷却された飲料を落下させて口部91に集中させ、注出コック5から注出するようにしたものである。このため、飲料ボトル9の交換時にも非常に短時間で適温の冷飲料を注出することができる。飲料ボトル9の交換時に、適温の冷飲料が注出可能になるまでの待ち時間(予冷時間)が大幅に短縮される。従来の特許文献2に記載されているようなサーバーでは予冷時間が1〜5時間であるのに対し、この飲料サーバー1では予冷時間が5〜20分となった。
【0058】
このように、本発明の飲料サーバー1においては、飲料ボトル9の交換時にも、予冷時間を大幅に減少させることができ、ほぼ即座に適温の冷飲料が注出可能となる。さらに、この飲料サーバー1では、冷水タンクが不要で常に衛生的な飲料を注出可能である。また、この飲料サーバー1は、サーバー自体のコストおよびランニングコストともに低減させることができ、安価な飲料サーバーを提供することができる。
【0059】
なお、注出コック5と接続部4とは接続管によって互いに一体に接続されているが、この注出コック5と接続部4は一体として飲料サーバー1の前方(注出コック5側)に引き出すことができる。飲料ボトル9を接続部4から取り外すと、注出コック5と接続部4を前方に引き出すことが可能となり、これらを引き出して飲料サーバー1から完全に取り外すことができる。注出コック5および接続部4を取り外すことができるので、これらの洗浄作業を容易にかつ十分に行うことができる。飲料の流通管路を丸ごと取り外して洗浄することができるので、飲料サーバー1を極めて清潔に保つことができる。
【0060】
なお、飲料サーバー1の最下部前面側には、受け部61が設けられている。注出コック5から注出した飲料がこぼれた場合でも、飲料は受け部61に落ちる。また、この受け部61にグラス、紙コップ等の飲料容器を載置して、注出コック5からその飲料容器に飲料を注出することができる。
【0061】
図2は、飲料が入っている通常の飲料ボトル9を飲料サーバー1にセットするまでの手順を示す図である。図2(a)に示すように、飲料ボトル9の上部には、ボトル本体に比較して細口の口部91が形成されており、その口部91にはねじ込み式のキャップ92が螺合により取り付けられている。口部91とキャップ92とは、ボトル内部の飲料が口部91から漏れ出ることのないように密封状態となるように螺合接続されている。
【0062】
次に、図2(b)に示すように飲料ボトル9の口部91からキャップ92を取り外し、図2(c)に示すように口部91に接続用キャップ93をねじ込んで装着する。そして、図2(d)に示すように飲料ボトル9を倒立させて接続用キャップ93側が下方に向くようにし、飲料ボトル9を飲料サーバー1の冷却支持部3にセットする。このとき、接続用キャップ93が接続部4に水密的に接続される。なお、接続用キャップ93の内部には通常時に閉状態となる弁が設けられており、飲料ボトル9を倒立させても内部の飲料が漏れ出ることはない。接続用キャップ93が接続部4に接続されるとその弁が開状態となり、飲料ボトル9内の飲料が接続部4に流出可能となる。
【0063】
図3は、接続部4の構造を示す断面図である。接続部4の内部には上部空間41と下部空間42が設けられている。上部空間41は上方が開放されており、この上部空間41の上方から接続用キャップ93が挿入されて接続される。また、上部空間41の下方部分は図示のように内径が徐々に小さくなるように形成されており、接続用キャップ93との接続の水密性が保たれるようになっている。下部空間42には接続管45が接続されている。接続管45の他端側には注出コック5(図1参照)が設けられている。
【0064】
上部空間41と下部空間42との境界壁には、この境界壁と一体的に突出部43が上方に突出するように設けられている。突出部43は、接続用キャップ93の内部に設けられた弁を開状態として、飲料を流出可能とするためのものである。また、上部空間41と下部空間42の境界壁には、連通孔44が形成されており、飲料はこの連通孔44を通して下部空間42に流入可能となっている。
【0065】
図4は、接続用キャップ93の構造を示す断面図である。この図は、接続用キャップ93を飲料ボトル9の口部91に装着した状態を示すものである。接続用キャップ93の中央部には、飲料を注出するための注出口が形成されている。この注出口の内部には、可動部材97が上下方向に移動可能に設けられている。この可動部材97の下端には弁96が固定されている。また、注出口の下端には弁座部95が設けられており、弁96と弁座部95によって開閉弁を構成している。
【0066】
可動部材97は付勢部材であるばね98によって上方に付勢されており、弁96と弁座部95とからなる開閉弁は閉状態となっている。このため、飲料ボトル9を倒立させても飲料が接続用キャップ93から漏れ出ることはない。また、接続用キャップ93の飲料ボトル9との接続部にはパッキン99が配置されており、飲料ボトル9の口部91先端と接続用キャップ93の間を封止している。さらに、接続用キャップ93の先端部外周にはOリング94が設けられており、接続用キャップ93と接続部4を接続した際の両者間の間隙を封止する。
【0067】
図5は、接続用キャップ93と接続部4との接続状態を示す断面図である。この図は、飲料ボトル9に接続用キャップ93を装着し、その飲料ボトル9を倒立させて接続部4と接続した状態を示すものである。接続用キャップ93の内部の可動部材97は、接続部4内部の突出部43に当接し、ばね98の付勢力に抗して上方に移動される。そして、弁96と弁座部95とからなる開閉弁は開状態となる。飲料ボトル9の内部の飲料は、開閉弁から注出口を通り、接続部4の内部空間に流出可能となる。なお、接続用キャップ93と接続部4の間はOリング94によって水密状態に封止されている。
【0068】
図6は、穿孔部23の構造を示す断面図である。この穿孔部23は飲料サーバー1の上部カバー22(図1参照)に設けられている。飲料ボトル9を倒立させてボトル収納室2内にセットした後、上部カバー22を閉じて、穿孔部23により飲料ボトル9の底部に空気流入用の孔を形成する。穿孔部23によって飲料ボトル9に孔を形成することで、飲料ボトル9からの飲料の流出が円滑に行われるようになる。
【0069】
穿孔部23は、ケース25内に移動可能に配置された穿孔工具24とばね26とからなる。ケース25は上部カバー22に固定される。穿孔工具24は、上端側が平板状に形成され、下端側が尖鋭な針状の先端形状に形成されている。穿孔工具24の先端部が飲料ボトル9の底部に対向する位置に配置されている。ばね26に抗して穿孔工具24を指で押し下げることにより、飲料ボトル9の底部に空気流入用の孔を簡単に形成することができる。孔形成後は、穿孔工具24はばね26の弾性力により元の位置に戻る。
【0070】
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。この第2の実施の形態は、複数の飲料ボトル9をボトル収納室2に収納するようにして、飲料の注出容量を増加させたものである。図7は、第2の実施の形態の飲料サーバー11の全体構成を示す断面図である。図7は飲料サーバー11を右側面方向から見た断面図である。また、図8は、飲料サーバー11を上方向から見た断面図であり、図7におけるA−A矢視断面図である。
【0071】
飲料サーバー11は、飲料サーバー1の構成と類似する点も多く、共通する部分には同一の符号を付与している。ボトル収納室2の周囲の壁面21および上部カバー22は、内部に断熱材が充填されている。ボトル収納室2の下部前面側には注出コック5が設置されている。この注出コック5から飲料が注出される。上部カバー22は、後部側が壁面21上端に回動可能に支持されており、後方に回動させて開くことができる。これらの構成は飲料サーバー1と同様である。
【0072】
飲料サーバー11に使用する飲料ボトル9も、飲料サーバー1で使用するものと同じである。この飲料サーバー11では、ボトル収納室2に6本の飲料ボトル9を収納するようになっている。飲料ボトル9の口部91を接続するための接続部4も6個配置されており、それらの全ての接続部4が接続管によって注出コック5に接続されている。接続用キャップの構成や、飲料ボトル9と接続部4との接続構造は、飲料サーバー1と同様である。飲料ボトル9を支持し冷却するための冷却支持部3は、図示のように6本の飲料ボトル9を支持するように凹部が形成されている。冷却支持部3の各飲料ボトル9の支持位置は、各接続部4に対応する位置とされている。
【0073】
上部カバー22の形状も6本の飲料ボトル9に対応する形状とされており、それぞれの飲料ボトル9の底部に対向する位置には穿孔部23が設けられている。また、飲料サーバー1の最下部前面側には、受け部61が設けられている。注出コック5から注出した飲料がこぼれた場合でも、飲料は受け部61に落ちる。また、この受け部61にグラス、紙コップ等の飲料容器を載置して、注出コック5からその飲料容器に飲料を注出することができる。
【0074】
この飲料サーバー11では、各接続部4に対して、他の接続部4に接続された飲料ボトル9の飲料が流入してあふれ出てしまうことを防止するために、接続部4と接続管との連通を開閉する開閉部46が設けられている。開閉部46の構成に関しては後述する。この開閉部46は1列になった3個の接続部4で連動して作動する。操作レバー453により、この開閉部46の開閉状態を切り換える。図7,8に示すように操作レバー453が下方に垂下した状態では、開閉部46は開状態となり、飲料ボトル9の飲料が接続部4から流出して注出コック5まで供給される。操作レバー453を垂下状態から90度あるいは180度回動させると、開閉部46は閉状態となり、飲料は接続部4から流出不能となり、また接続部4に対して流入することもなくなる。
【0075】
飲料ボトル9を交換する際には、操作レバー453を操作して開閉部46は閉状態としてから行う。開閉部46が閉状態であれば、接続部4に飲料が流入してあふれ出てしまうことがない。この開閉部46により、飲料ボトル9の交換作業を円滑に行うことができる。もし開閉部46がない場合には、一部の接続部4に飲料ボトル9を接続した状態において、接続した飲料ボトル9内の飲料が他の未接続の接続部4に逆流して流入してしまい、そこからあふれ出てしまう。これでは、飲料ボトル9の円滑な交換作業は無理である。
【0076】
冷却支持部3の下方側は冷却器31として構成されている。この冷却支持部3および冷却器31はアルミニウムの鋳造物として一体に形成されている。冷却器31の内部にはステンレス鋼からなる冷却パイプ32がらせん状に巻かれて設置されている。冷却器31における冷却パイプ32の巻き状態は、図9に模式的に示されている。図9は冷却器31を上方から見た図であり、飲料ボトル9の位置が細点線で示されている。
【0077】
冷却パイプ32は冷却器31のアルミニウム材料中に鋳込まれており、その端部は接続部として冷却器31の外部に突出されている。冷却ユニット7で冷却された冷却媒体が冷却パイプ32を循環し、冷却支持部3を介して飲料ボトル9中の飲料を効率よく冷却する。
【0078】
冷却器31および冷却支持部3はアルミニウムの鋳造物であり、大きな熱容量を持つとともに、熱伝導率が大きく、飲料ボトル9中の飲料を効率的にかつごく短時間で冷却することができる。冷却器31の冷却温度は温度センサによって検出されており、冷却ユニット7をオン・オフ制御することにより、冷却器31がほぼ一定の低温度(冷水としての適温)になるように温度制御されている。
【0079】
図10は、各接続部4に設けられた開閉部46と操作レバー453の構成を示す図である。図10(a)に示すように、接続部4に接続される接続管は外管451と内管452とからなっている。外管451は接続部4に固定されているが、内管452は外管451の内部で管の軸線の周りに回動可能に設けられている。内管452の端部には操作レバー453が固定されており、操作レバー453によって内管452を回動させることができる。
【0080】
図10(b)に示すように、外管451には連通孔461が形成され、内管452には連通孔462が形成されている。この連通孔461,462が開閉部46を構成する。操作レバー453が垂下した状態では、図10(b)のように連通孔461,462の位置が一致しており、飲料が接続部4から接続管内に流出可能となる。このとき開閉部46は開状態である。操作レバー453を90度以上回動させると、図10(c)に示すように、連通孔461,462の位置がずれて互いに共通する孔部分がなくなり、接続部4と接続管との飲料の流通が遮断される。このとき開閉部46は閉状態である。
【0081】
このような開閉部46の操作により、飲料ボトル9の円滑な交換作業が可能となる。なお、ここでは開閉部として、複数の接続部4を連動して開閉するような機構について説明したが、個々の接続部4の開閉を独立して行うようなものでもよい。特に、接続部4に飲料ボトル9を接続することにより、開閉部が自動的に開状態となるものでもよい。個々の接続部4において開閉部が自動的に開状態となるものでは、操作レバーなどの開閉操作部は不要となる。
【0082】
以上のような飲料サーバー11では、飲料サーバー1と同様に、冷水タンクが不要で常に衛生的な飲料水を注出可能であり、かつサーバー自体のコストおよびランニングコストともに低減させることができ、安価な飲料サーバーを提供することができる。また、飲料ボトル9の交換時にも、予冷時間(待ち時間)を大幅に減少させることができ、ほぼ即座に適温の冷飲料が注出可能となる。それに加えて、飲料サーバー11では、複数の飲料ボトル9を収納することができるため、注出容量を大幅に増大することができる。
【0083】
なお、飲料サーバー11でも、注出コック5と6個の接続部4とは接続管によって互いに一体に接続されているが、この注出コック5と6個の接続部4を一体として飲料サーバー1の前方(注出コック5側)に引き出すことができる。飲料ボトル9を全て接続部4から取り外すと、注出コック5と接続部4を前方に引き出すことが可能となり、これらを引き出して飲料サーバー11から完全に取り外すことができる。注出コック5および接続部4を取り外すことができるので、これらの洗浄作業を容易にかつ十分に行うことができる。飲料の流通管路を丸ごと取り外して洗浄することができるので、飲料サーバー11を極めて清潔に保つことができる。
【0084】
図11から図13は、飲料サーバー11における冷却支持部3の他の形態を示す図である。図11は冷却支持部3aを上方から見た図である。そして、図12は図11におけるB−B矢視断面図であり、図13は図11におけるC−C矢視断面図である。図11〜13に示す冷却支持部3aでは、冷却器31aの位置と冷却パイプ32aの配設形態が、図7〜9に示す冷却支持部3とは異なっている。
【0085】
この冷却支持部3aでも6本の飲料ボトル9を収納可能となっているが、その2列の収納凹部の中央に冷却器31aが配置されている。この冷却器31aは2列に並んだ飲料ボトル9の間に配置されており、全ての飲料ボトル9を効率よく冷却することができる。また、冷却器31a中の冷却パイプ32aは、図12,13に示すように平面上に蛇行して配設されている。このため、冷却パイプ32aの曲げ形状が簡素なものとなり、冷却支持部3aの製造コストを低減させることができる。
【0086】
この冷却支持部3aでも、冷却器31aおよび冷却支持部3aはアルミニウムの鋳造物であり、これらは一体に成形されている。冷却パイプ32aは冷却器31aのアルミニウム材料中に鋳込まれており、その端部は接続部として冷却器31aの外部に突出されている。冷却ユニット7で冷却された冷却媒体が冷却パイプ32aを循環し、冷却支持部3aを介して飲料ボトル9中の飲料を効率よく冷却する。冷却器31aおよび冷却支持部3aは、大きな熱容量を持つとともに、熱伝導率が大きく、飲料ボトル9中の飲料を効率的にかつごく短時間で冷却することができる。
【0087】
図14は、さらに別の形態の冷却支持部3bの構成を示す図である。図15は、冷却支持部3bの側面図であり、図14の冷却支持部3bを紙面下方向から見た図である。この冷却支持部3bの構成は、図11〜13に示す冷却支持部3aと類似しており、冷却支持部3aの飲料ボトル9の支持部の構成を簡素化したものとなっている。図14には飲料ボトル9の位置が細点線で示されている。冷却支持部3bでは、飲料ボトル9の外周全周を支持せず、飲料ボトル9側面の2面あるいは3面で支持するようにした。このため、飲料ボトル9の支持部の構成が簡素化され、製造コストを低減させることができる。
【0088】
なお、この冷却支持部3bの場合、製造コストと引き換えに冷却能力が低下してしまう。そのため、2列の飲料ボトル9のそれぞれの列に注出コック5を設けて注出系統を2系統とすることが望ましい。そして注出と飲料ボトル9の交換を1系統ごとに順次行うようにすればよい。1つの系統の飲料ボトル9交換後には他の系統から注出を行うようにして、即時に適温の飲料を注出することができる。
【0089】
図16は、さらに別の形態の冷却支持部3cの構成を示す図である。図17は、冷却支持部3cの側面図であり、図16の冷却支持部3cを紙面下方向から見た図である。この冷却支持部3cの構成は、図11〜13に示す冷却支持部3aと類似しているが、冷却器とボトル支持部の構成を簡素化し低コスト化したものとなっている。冷却支持部3cの冷却器31cは、冷却パイプ32cがアルミニウム材料中に鋳込まれたものであり、板状の単純形状に形成されている。その冷却器31cが図示のように鉛直に配置されている。
【0090】
飲料ボトル9を支持するためのボトル支持部30cは、アルミニウム板材をプレス加工によって成形したものであり、安価に製造可能である。このボトル支持部30cを冷却器31cの鉛直な側面に3個ずつ固定して、合計6個のボトル支持部30cを有する冷却支持部3cが構成されている。冷却器31cに対するボトル支持部30cの固定方法はビス止めや溶接などの適宜の方法でよい。この冷却支持部3cでは、単純形状の板状の冷却器31cと、板材から形成したボトル支持部30cを接続固定して製造するため、各部分が安価に製造でき、冷却支持部3c全体の製造コストを大幅に低減させることができる。
【0091】
図18は、さらに別の形態の冷却支持部3dの構成を示す図である。図18は、冷却支持部3dの側面図である。この冷却支持部3dの構成は、図16,17に示す冷却支持部3cと類似しているが、ボトル支持部の構成をより簡素化しさらに低コスト化したものとなっている。冷却支持部3dの冷却器31dは、冷却パイプ32dがアルミニウム材料中に鋳込まれたものであり、板状の単純形状に形成されている。その冷却器31dが鉛直に配置されている。
【0092】
ボトル支持部30dは、アルミニウム板材をプレス加工によって成形したものである。ボトル支持部30dの形状は、下方側をすぼませずに鉛直方向にストレートに形成されており、図17のボトル支持部30cに比べてより単純な形状となっている。冷却支持部3cと同様に、6個のボトル支持部30dを冷却器31dに固定して冷却支持部3dが構成される。ボトル支持部30dの形状が単純化されているため、冷却支持部3dをさらに安価に製造することができる。
【0093】
なお、以上に説明した冷却支持部3〜3dにおける飲料ボトル9を保持する部分の形状は飲料ボトル9に密着する形状とすることが望ましい。また、飲料ボトル9に独自の凹凸形状や凹凸文字形状などを形成し、冷却支持部3〜3dの形状をその凹凸形状に適合する形状とすることによって、特定の種類の飲料ボトル9に適合する飲料サーバーとすることができる。例えば、特定のメーカーの飲料ボトル9のみに適合し、その他のメーカーの飲料ボトルは使用不能あるいは使用困難とすることもできる。
【0094】
次に、冷却支持部3の冷却器の別の形態について説明する。図19は、別の形態の冷却器31eを使用した飲料サーバー1を示す断面図である。この飲料サーバー1は、冷却器31e以外の構成は図1のものと同一であり、共通する部分には同一の符号を付与している。また、共通する部分についての説明は省略する。
【0095】
ここで使用されている冷却器31eは、冷却支持部3と一体のアルミニウム鋳造物として形成されており、冷却支持部3の下方側が冷却器31eとなっている。ただし、冷却パイプ32はアルミニウム材料中に鋳込まれてはおらず、冷却器31eの外周側に密着接触するようにらせん状に巻かれて設置されている。この冷却パイプ32の配置が図1の冷却器31とは異なっている。
【0096】
このような構成の冷却器31eでは、図1の冷却器31に比較して冷却効率がいくぶん低下するものの、製造コストをより低減させることができる。このため飲料サーバーの低コスト化を追求する場合にはこの冷却器31eが適している。
【0097】
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を参照して説明する。この第3の実施の形態は、飲料ボトル9の冷却をペルチェ素子によって行うようにしたものである。図20は、第3の実施の形態の飲料サーバー12の全体構成を示す断面図である。図20は飲料サーバー12を右側面方向から見た断面図である。
【0098】
飲料サーバー12は、図1に示す飲料サーバー1の構成と類似する点も多く、共通する部分には同一の符号を付与している。ボトル収納室2の周囲の壁面21および上部カバー22は、内部に断熱材が充填されている。ボトル収納室2の下部前面側には注出コック5が設置されている。この注出コック5から飲料が注出される。上部カバー22は、後部側が壁面21上端に回動可能に支持されており、後方に回動させて開くことができる。そして、上部カバー22の飲料ボトル9の底部に対向する位置には穿孔部23が設けられている。
【0099】
ボトル収納室2の下部には、飲料ボトル9を支持し冷却するための冷却支持部3と、飲料ボトル9の口部91を接続するための接続部4が配置されている。また、飲料サーバー12の最下部前面側には、受け部61が設けられている。注出コック5から注出した飲料がこぼれた場合でも、飲料は受け部61に落ちる。また、この受け部61にグラス、紙コップ等の飲料容器を載置して、注出コック5からその飲料容器に飲料を注出することができる。これらの構成は飲料サーバー1と同様である。
【0100】
飲料サーバー12では、冷却支持部3がペルチェ素子を利用した冷却器33によって冷却される。ペルチェ素子は電流を流すことによって冷却を行うことができる素子である。ペルチェ素子の発熱側は空冷ファンによって冷却される。ペルチェ素子を利用することで非常に小型の冷却器33を構成することができる。飲料サーバー12では、冷却支持部3の側面に冷却器33が固定されている。冷却器33の冷却温度は温度センサによって検出されており、飲料サーバー12のサーバー下部空間6に配置された冷却制御部71により、冷却温度がほぼ一定の低温度(冷水としての適温)になるように温度制御されている。
【0101】
なお、飲料サーバー12でも、注出コック5と接続部4とは接続管によって互いに一体に接続されているが、この注出コック5と接続部4を一体として飲料サーバー1の前方(注出コック5側)に引き出すことができる。飲料ボトル9を接続部4から取り外すと、注出コック5と接続部4を前方に引き出すことが可能となり、これらを引き出して飲料サーバー12から完全に取り外すことができる。注出コック5および接続部4を取り外すことができるので、これらの洗浄作業を容易にかつ十分に行うことができる。飲料の流通管路を丸ごと取り外して洗浄することができるので、飲料サーバー12を極めて清潔に保つことができる。
【0102】
この飲料サーバー12は、冷却器33が非常に小型であり、また低騒音であるため、小型かつ低騒音の飲料サーバーが実現できる。冷却器33の温度制御に関しても簡単に高精度の制御を行うことができる。この飲料サーバー12は、小容量の1人用、少人数家庭用の飲料サーバーとして適している。
【0103】
図21は、第4の実施の形態の飲料サーバー13の全体構成を示す断面図である。この飲料サーバー13は、図1に示す飲料サーバー12と同様に冷却支持部3をペルチェ素子を利用した冷却器33によって冷却するようにしたものである。飲料サーバー12と共通する部分には同一の符号を付与している。また、共通する部分についての説明は省略する。飲料サーバー13では、飲料ボトル9を支持し冷却するための冷却支持部3が、ボトル収納室2の底面まで延長されている。
【0104】
その冷却支持部3の底面の下面側に冷却器33が固定されている。冷却器33の放熱部および空冷ファンは飲料サーバー13のサーバー下部空間6に配置されている。また、図示は省略するが冷却器33の冷却制御部もこのサーバー下部空間6に配置されている。冷却支持部3は、その上部が飲料ボトル9の側面を支持しており、冷却器33の吸熱を伝達して飲料ボトル9を冷却する。
【0105】
また、飲料サーバー13では、接続部4の下方に小容量(200mL程度)の冷却タンク47が設けられている。冷却タンク47は接続部4と一体に固定されている。飲料ボトル9内の飲料は、接続部4から冷却タンク47に供給され、さらに、冷却タンク47から接続管を介して注出コック5に供給される。冷却タンク47は金属板材(板厚2〜3mm程度)で形成された熱伝導性の良好なタンクであり、冷却支持部3の底面に面接触するように配置されている。
【0106】
冷却タンク47にはコップ1杯程度の適温に冷却された飲料が常時貯留されるため、飲料ボトル9の交換時にも即座に適温の飲料が注出可能である。また、冷却タンク47は熱伝導性が良好で、冷却性能が優れているため、冷却タンク47に供給された飲料を短時間で適温まで冷却することができる。
【0107】
なお、飲料サーバー13では、注出コック5、接続部4および冷却タンク47が接続管によって互いに一体に接続されている。この注出コック5、接続部4および冷却タンク47を一体として飲料サーバー1の前方(注出コック5側)に引き出すことができる。飲料ボトル9を接続部4から取り外すと、注出コック5、接続部4および冷却タンク47を前方に引き出すことが可能となり、これらを引き出して飲料サーバー13から完全に取り外すことができる。そして、これらの洗浄作業を容易にかつ十分に行うことができる。
【0108】
飲料の流通管路を丸ごと取り外して洗浄することができるので、飲料サーバー13を極めて清潔に保つことができる。なお、冷却支持部3には、接続部4および冷却タンク47を引き出すための開口部が形成されている。
【0109】
この飲料サーバー13も、冷却器33が非常に小型であり、また低騒音であるため、小型かつ低騒音の飲料サーバーが実現できる。冷却タンク47が設けられているので、飲料ボトル9の交換時にも即座に適温の飲料が注出可能である。さらに、飲料を短時間で適温まで冷却することができる。冷却器33の温度制御に関しても簡単に高精度の制御を行うことができる。この飲料サーバー13は、小容量の1人用、少人数家庭用の飲料サーバーとして適している。
【0110】
次に、本発明の第5の実施の形態について図面を参照して説明する。この第5の実施の形態は、冷却飲料に加えて加熱した高温飲料の注出を可能としたものである。図22は、第5の実施の形態の飲料サーバー14の全体構成を示す平面図である。図22は飲料サーバー14を上方から見た図である。また、図23は、図22におけるD−D矢視断面図である。飲料サーバー1と共通する部分には同一の符号を付与している。また、共通する部分についての説明は省略する。
【0111】
この飲料サーバー14では、冷却飲料を注出するための注出コック5に加えて、加熱した高温飲料を注出するための高温飲料注出コック5aが設けられている。ボトル収納室2には複数(ここでは2本)の飲料ボトル9が収納可能であり、その一部の飲料ボトル9が高温飲料のために使用され、残りの飲料ボトル9が冷却飲料のために使用される。冷却飲料を注出するための構成は、図1に示す飲料サーバー1と同様であるため、説明は省略する。冷却飲料は接続部4から注出コック5に供給される。
【0112】
高温飲料を注出するための構成は、図23に示されている。高温飲料のための飲料は高温飲料用接続部4aから供給される。高温飲料用接続部4aの構成は接続部4と同様である。高温飲料用接続部4aにも、接続用キャップ93を装着した飲料ボトル9が倒立状態で接続される。飲料ボトル9はボトル支持部34によって支持されている。なお、ボトル支持部34には冷却機能は不要である。飲料ボトル9から高温飲料用接続部4aに流入した飲料は高温タンク8に供給される。高温タンク8は、加熱して高温とした飲料(温水)を貯留するためのものであり、飲料サーバー14のサーバー下部空間6に配置されている。高温タンク8の容量は飲料ボトル9の容量の半分程度で十分である。
【0113】
高温タンク8には加熱ヒータ81が設けられており、高温タンク8内の飲料は加熱ヒータ81によって加熱され、ほぼ一定の高温(例えば、80〜85℃)に保たれている。このため高温タンク8内の飲料は完全に殺菌されて無菌状態となっている。高温タンク8の上部には配管を介して高温飲料注出コック5aが接続されている。高温飲料注出コック5aのレバーを操作して開状態とすると、高温飲料がコックから注出される。高温飲料が注出されると、同量の飲料が飲料ボトル9から高温タンク8内に導入される。このように、高温タンク8内は常に満水状態となっている。
【0114】
この飲料サーバー14では、冷却飲料に加えて高温飲料も注出することができるので利便性が向上する。なお、ここでは冷却飲料用と高温飲料用の飲料ボトル9を1本ずつ使用するようにしたが、それぞれの飲料用に複数本の飲料ボトル9を使用するようにしてもよく、また、それぞれの飲料用に異なる数の飲料ボトル9を使用するようにしてもよい。
【0115】
次に、本発明の第6の実施の形態について図面を参照して説明する。この第6の実施の形態も、冷却飲料に加えて加熱した高温飲料の注出を可能としたものである。図24は、第6の実施の形態の飲料サーバー15の全体構成を示す断面図である。図24は飲料サーバー15を右側面側から見た断面図である。また、図25は、図24におけるE−E矢視断面図である。図7、図8に示す飲料サーバー11と共通する部分には同一の符号を付与している。また、共通する部分についての説明は省略する。
【0116】
この飲料サーバー15では、冷却飲料を注出するための注出コック5に加えて、加熱した高温飲料を注出するための高温飲料注出コック5aが設けられている。ボトル収納室2には複数(ここでは6本)の飲料ボトル9が収納可能であり、これらの飲料ボトル9の飲料が冷却飲料と高温飲料のために共通に使用される。冷却飲料を注出するための注出コック5には、接続部4から配管が接続されており、飲料ボトル9内の冷却飲料が直接供給されている。
【0117】
高温飲料のための飲料は接続部4から供給管88を介して高温タンク82に供給される。高温タンク82は、加熱して高温とした飲料(温水)を貯留するためのものであり、飲料サーバー15のサーバー下部空間6に配置されている。また、高温タンク82の外周には、断熱材83が配設されており、高温タンク82内の飲料の温度低下を防ぐようになっている。高温タンク82の内部には内部加熱ヒータ84が設けられている。内部加熱ヒータ84としては、シースヒータなどの液中に直接配置できるものが好ましい。シースヒータは、金属製のさや管の内部にさや管とは絶縁された発熱体を配置したものである。内部加熱ヒータ84を飲料中に配置することにより、効率よく飲料を加熱することができる。
【0118】
高温タンク82内の飲料は内部加熱ヒータ84によって加熱され、ほぼ一定の高温(例えば、85〜95℃)に保たれている。このため高温タンク82内の飲料は完全に殺菌されて無菌状態となっている。高温タンク82の上部には配管87を介して高温飲料注出コック5aが接続されている。高温飲料注出コック5aのレバーを操作して開状態とすると、高温飲料がコックから注出される。高温飲料が注出されると、同量の飲料が飲料ボトル9から高温タンク82内に導入される。このように、高温タンク82内は常に満水状態となっている。
【0119】
複数(ここでは6個)の接続部4は、全て互いに接続されて1系統に構成されている。図25に示すように、全ての接続部4が数珠繋ぎに1本のひも状に接続されていて、その一端側の接続部4に注出コック5が接続されており、他端側の接続部4には供給管88を介して高温タンク82が接続されている。高温タンク82の下方側には、循環用配管86と循環ポンプ85が接続されている。これらの循環用配管86と循環ポンプ85は、定期的に高温飲料を飲料の供給経路に循環させるためのものである。
【0120】
高温飲料の供給経路は、高温(例えば、85〜95℃)に保たれた高温飲料自体により殺菌作用が働くため、衛生的には問題がない。しかし、冷却飲料の供給経路は、通常ではこのような殺菌作用が働かず、衛生上の問題が生じるおそれがある。そこで、この飲料サーバー15では、高温飲料を冷却飲料の供給経路にも循環させることができるようにして、定期的な殺菌運転を自動的に行うことができるようにしたものである。
【0121】
循環用配管86の循環ポンプ85とは反対側の端部は、注出コック5と接続部4とを接続する配管の中間に接続されている。また、注出コック5とは反対側の端に相当する接続部4には供給管88を介して高温タンク82が接続されているので、循環ポンプ85を起動することにより全て接続部4および接続配管に高温飲料を循環させることができる。飲料ボトル9と接続部4との接続には、図4に示されるような接続用キャップ93が使用される。この接続用キャップ93は、接続部4との間を水密状態に封止可能なものであり、耐熱性樹脂からなるものが望ましい。また、接続部4は熱伝導性の良好な金属材料からなるものが望ましい。
【0122】
循環ポンプ85および内部加熱ヒータ84は、循環制御部89によって制御される。飲料サーバー15は、通常24時間連続的に通電されており24時間連続運転とされている。しかしながら、一般的には0時から5時などの時間帯は使用頻度が極めて低下するため、このような使用頻度の小さな時間帯に殺菌運転を行うようにする。例えば、午前3時0分から午前3時15分の間、循環制御部89によって自動的に殺菌運転を行うようようにする。
【0123】
殺菌運転は、循環ポンプ85を起動させて、高温飲料を供給経路各部に循環させるようにするのであるが、この際、内部加熱ヒータ84を制御して高温飲料の温度を循環に適した温度に調整する。通常運転時には、前述のように高温飲料が85〜95℃に保たれているが、この温度は循環ポンプ85にとっては高すぎて問題がある。循環ポンプ85が故障したり寿命が著しく低下してしまう等のおそれもある。そこで、殺菌運転時には、高温飲料の温度を循環ポンプ85の許容範囲である70〜80℃に低下させる。この温度でも殺菌作用には支障がない。
【0124】
具体的には、循環制御部89によって次のような制御を行う。循環制御部89は実時間時計回路などにより実時間を検知できるようになっており、毎日、午前3時0分になると、内部加熱ヒータ84を制御して高温飲料の温度を循環に適した70〜80℃に低下させる。そして、循環ポンプ85を起動して、高温飲料を供給経路各部に循環させる。午前3時15分までこの殺菌運転を継続する。午前3時15分になると、循環ポンプ85を停止するとともに高温飲料の温度を85〜95℃に戻す。これで殺菌運転から通常運転に戻るのである。なお、殺菌運転の実施時間はあくまで一例であって、使用環境に応じて使用頻度の小さな時間帯を適宜設定することができる。また、任意の時間に手動で殺菌運転を実施することもできる。
【0125】
この飲料サーバー15では、冷却飲料に加えて高温飲料も注出することができるので利便性が向上する。さらに、飲料の供給経路各部に、高温飲料を循環させて殺菌作用を行う殺菌運転を、自動的に実行することができる。このため、人手で行う清浄作業や殺菌作業が不要となり、メインテナンスのためのコストを低減させることができる。そして、細菌等の繁殖を防止し、衛生的な観点からも良好な飲料サーバーを提供することができる。なお、ここでは循環制御部89により自動的に殺菌運転を起動する場合について説明したが、殺菌運転を手動で起動するようにしてもよい。
【0126】
次に、他の形態の接続部40について図面を参照して説明する。図26は、接続部40の構造を示す断面図である。接続部40の内部には内部空間401が形成されており、この内部空間401に連通するように接続管45が固定されている。また、接続部40には、飲料ボトル9と接続するための接続突部402が固定されている。なお、接続突部402は接続部40と一体成形としてもよい。接続突部402は中央部に飲料の流通路403が形成されたステンレス鋼からなる管状の部材であり、接続部40の上面に鉛直方向に突出するように固定されている。
【0127】
流通路403は接続突部402の上端と内部空間401を連通させるものであり、飲料ボトル9内の飲料がこの流通路403を通って内部空間401に流出する。接続突部402の上方先端部は、図示のように尖鋭に形成されている。この尖鋭な先端部により飲料ボトル9に装着されているキャップ92aの中央部を突き破り、飲料ボトル9の内部に接続する。接続部40の上面にはパッキン405が固定されており、このパッキン405によって飲料ボトル9のキャップ92aと接続部40との間を封止する。
【0128】
また、接続突部402の側面には長孔404が形成されている。長孔404は管の軸方向に長く形成されている。この長孔404により接続突部402の外周側と流通路403が連通されており、飲料が長孔404を通って流通路403に流れ込む。飲料ボトル9内の飲料は長孔404を通しても流通路403に流れ込むので、全ての飲料を飲料ボトル9内に残留させずに外部に流出させることができる。
【0129】
図27は、接続部40とともに使用する飲料ボトル9のキャップ92aの構造を示す断面図である。飲料ボトル9は、図示するような構造のキャップ92aが工場出荷時から装着されて販売されているものが好ましい。図示のように、キャップ92aの閉塞面に円形の溝921が形成されている。この溝921により、接続突部402での孔の形成が容易になる。なお、溝921はキャップ92aの内面側に形成されていてもよい。ただし、キャップとしては、図27のような溝付きのキャップ92aに限定されず、通常の形態のキャップでもよい。
【0130】
図28は、接続部40と飲料ボトル9との接続状態を示す断面図である。飲料ボトル9はキャップ92aが工場出荷時から装着されて販売されているものであり、キャップを交換することなくそのまま倒立させて接続部40に接続することができる。キャップ92aの閉塞面は溝921に沿って切断されていくが、切断された切断片922は完全にキャップ92aから離れてしまうことはなく、外周の一部がキャップ92aに繋がった状態で、図示のように開孔される。飲料ボトル9内の飲料は、流通路403や長孔404を通して接続部40内に流れ込む。キャップ92aと接続部40との間はパッキン405によって封止されている。
【0131】
この接続部40を使用した場合は、飲料ボトル9のキャップを交換することなくそのまま倒立させて接続部40に接続することができ、飲料ボトル9の交換作業が大幅に簡素化される。また、キャップを交換する場合は、キャップの交換時に飲料ボトル9内に細菌や異物などが侵入するおそれがあるが、この接続部40ではキャップ交換の必要がなく、細菌や異物などの侵入を排除することができる。このため衛生的にも優れた飲料サーバーを提供することができる。
【0132】
以上のように、本発明によれば、一般消費者向けに販売されているペットボトル等の飲料容器を使用して飲料サーバーの製造コストおよびランニングコストを大幅に低減することができる。さらに、飲料サーバーの小型化を推し進めることができる。また、飲料サーバーの冷却効率を向上させるとともに予冷時間を大幅に短縮することができる。このように、本発明の飲料サーバーは、低コストかつ省スペースであり、家庭用、小規模事業所用としても最適な飲料サーバーである。なお、本発明は、ミネラルウォーター等の飲料水や冷茶などの任意の飲料に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明によれば、常に衛生的な飲料を注出可能であり、小型で安価な飲料サーバーを提供することができる。また、飲料ボトル交換後でも冷却飲料を即座に適温状態として注出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の第1の実施の形態の飲料サーバー1の全体構成を示す断面図である。
【図2】飲料ボトル9を飲料サーバー1にセットするまでの手順を示す図である。
【図3】接続部4の構造を示す断面図である。
【図4】接続用キャップ93の構造を示す断面図である。
【図5】接続用キャップ93と接続部4の接続状態を示す断面図である。
【図6】穿孔部23の構造を示す断面図である。
【図7】第2の実施の形態の飲料サーバー11の全体構成を示す断面図である。
【図8】図7におけるA−A矢視断面図である。
【図9】冷却器31における冷却パイプ32の巻き状態を示す図である。
【図10】開閉部46と操作レバー453の構成を示す図である。
【図11】飲料サーバー11における他の形態の冷却支持部3aの構成を示す図である。
【図12】図11におけるB−B矢視断面図である。
【図13】図11におけるC−C矢視断面図である。
【図14】別の形態の冷却支持部3bの構成を示す図である。
【図15】冷却支持部3bの側面図である。
【図16】さらに別の形態の冷却支持部3cの構成を示す図である。
【図17】冷却支持部3cの側面図である。
【図18】さらに別の形態の冷却支持部3dの構成を示す図である。
【図19】別の形態の冷却器31eを使用した飲料サーバー1を示す断面図である。
【図20】第3の実施の形態の飲料サーバー12の全体構成を示す断面図である。
【図21】第4の実施の形態の飲料サーバー13の全体構成を示す断面図である。
【図22】第5の実施の形態の飲料サーバー14の全体構成を示す平面図である。
【図23】図22におけるD−D矢視断面図である。
【図24】第6の実施の形態の飲料サーバー15の全体構成を示す断面図である。
【図25】図24におけるE−E矢視断面図である。
【図26】他の形態の接続部40の構造を示す断面図である。
【図27】接続部40とともに使用するキャップ92aの構造を示す断面図である。
【図28】接続部40と飲料ボトル9との接続状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0135】
1,11,12,13 飲料サーバー
2 ボトル収納室
3,3a,3b,3c 冷却支持部
4,40 接続部
4a 高温飲料用接続部
5 注出コック
5a 高温飲料注出コック
6 サーバー下部空間
7 冷却ユニット
8 高温タンク
9 飲料ボトル
21 壁面
22 上部カバー
23 穿孔部
24 穿孔工具
25 ケース
26 ばね
30c,30d,34 ボトル支持部
31,31a,31c,31d,31e,33 冷却器
32,32a,32c,32d 冷却パイプ
41 上部空間
42 下部空間
43 突出部
44 連通孔
45 接続管
46 開閉部
461,462 連通孔
47 冷却タンク
61 受け部
71 冷却制御部
81 加熱ヒータ
82 高温タンク
83 断熱材
84 内部加熱ヒータ
85 循環ポンプ
86 循環用配管
87 配管
88 供給管
89 循環制御部
91 口部
92,92a キャップ
93 接続用キャップ
94 Oリング
95 弁座部
96 弁
97 可動部材
98 ばね
99 パッキン
401 内部空間
402 接続突部
403 流通路
404 長孔
405 パッキン
451 外管
452 内管
453 操作レバー
921 溝
922 切断片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料ボトル(9)を収納するためのボトル収納室(2)と、
前記ボトル収納室(2)の内部に設けられ、口部(91)を下方に向けた前記飲料ボトル(9)の下方側を面接触により支持するとともに、前記飲料ボトル(9)との面接触部を介する熱伝導により前記飲料ボトル(9)内の飲料を冷却するための冷却支持部(3)と、
前記冷却支持部(3)に支持されて口部(91)を下方に向けた前記飲料ボトル(9)の当該口部(91)と接続するための接続部(4)と、
前記接続部(4)に接続され、飲料を注出するための注出コック(5)と、
前記冷却支持部(3)に支持された前記飲料ボトル(9)の上方の底部に空気流入用の孔を形成するための穿孔部(23)とを有する飲料サーバー。
【請求項2】
請求項1に記載した飲料サーバーであって、
前記ボトル収納室(2)は、複数の前記接続部(4)が設けられており、複数の前記飲料ボトル(9)を収納可能なものである飲料サーバー。
【請求項3】
請求項2に記載した飲料サーバーであって、
前記接続部(4)に対して飲料の流入および流出を開閉するための開閉部(46)を有する飲料サーバー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載した飲料サーバーであって、
前記冷却支持部(3)は、冷却媒体を流通させるための冷却パイプ(32)を金属材料中に鋳込んだ構造の冷却器(31)を備えたものである飲料サーバー。
【請求項5】
請求項4に記載した飲料サーバーであって、
前記冷却器(31)は、ステンレス鋼からなる前記冷却パイプ(32)をアルミニウム中に鋳込んだものである飲料サーバー。
【請求項6】
請求項4,5のいずれか1項に記載した飲料サーバーであって、
前記冷却器(31)は、前記冷却パイプ(32)が前記飲料ボトル(9)を周回するように配設されたものである飲料サーバー。
【請求項7】
請求項4,5のいずれか1項に記載した飲料サーバーであって、
前記ボトル収納室(2)は、複数の前記接続部(4)が設けられており、複数の前記飲料ボトル(9)を収納可能なものであり、
前記冷却器(31)は、前記冷却パイプ(32)が複数の前記飲料ボトル(9)の間に配置されるとともに、前記冷却パイプ(32)が蛇行して配設されたものである飲料サーバー。
【請求項8】
請求項7に記載した飲料サーバーであって、
前記冷却支持部(3c,3d)は、前記飲料ボトル(9)を支持するためのボトル支持部(30c,30d)と前記冷却器(31c,31d)とを接合したものである飲料サーバー。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれか1項に記載した飲料サーバーであって、
前記冷却支持部(3)は、冷却媒体を流通させるための冷却パイプ(32)を外周に接触配置した構造の冷却器(31e)を備えたものである飲料サーバー。
【請求項10】
請求項1に記載した飲料サーバーであって、
前記冷却支持部(3)は、ペルチェ素子を使用した冷却器(33)によって冷却するものである飲料サーバー。
【請求項11】
請求項10に記載した飲料サーバーであって、
前記接続部(4)の下方に設けられ、前記接続部(4)に接続された冷却タンク(47)を有し、
前記冷却器(33)は、前記冷却タンク(47)の下方に配置され、前記冷却支持部(3)を介して前記飲料ボトル(9)を冷却するとともに前記冷却タンク(47)を冷却するものである飲料サーバー。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載した飲料サーバーであって、
前記飲料ボトル(9)の前記口部(91)に、開閉弁付きの接続用キャップ(93)を装着して前記接続部(4)に接続するものであり、
前記接続用キャップ(93)と前記接続部(4)との間は、水密状態に封止されている飲料サーバー。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載した飲料サーバーであって、
前記穿孔部(23)は、前記ボトル収納室(2)の上部カバー(22)に設置され、穿孔工具(24)の針状に形成された先端部が突出可能に設けられたものである飲料サーバー。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載した飲料サーバーであって、
前記接続部(4)は、前記注出コック(5)と一体に前方に引き出すことが可能であり、前記接続部(4)を外部に引き出して洗浄可能なものである飲料サーバー。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載した飲料サーバーであって、
前記冷却支持部(3)は、適用対象とする前記飲料ボトル(9)の形状に適合する形状とされ、適合形状以外の種類の飲料ボトルの使用を困難なものとした飲料サーバー。
【請求項16】
請求項1に記載した飲料サーバーであって、
前記ボトル収納室(2)は、複数の前記飲料ボトル(9)を収納可能なものであり、
前記ボトル収納室(2)の底面部に設けられ、口部(91)を下方に向けた前記飲料ボトル(9)の当該口部(11)と接続するための高温飲料用接続部(4a)と、
前記高温飲料用接続部(4a)に接続され、前記飲料ボトル(9)から供給された飲料を加熱した状態で貯留する高温タンク(8)と、
前記高温タンク(8)に接続され、前記高温タンク(8)内の飲料を注出するための高温飲料注出コック(5a)とを有する飲料サーバー。
【請求項17】
請求項1に記載した飲料サーバーであって、
前記ボトル収納室(2)は、複数の前記飲料ボトル(9)を収納可能であるとともに、複数の前記接続部(4)を備えたものであり、
少なくとも1つの前記接続部(4)に接続され、前記飲料ボトル(9)から供給された飲料を加熱した状態で貯留する高温タンク(8)と、
前記高温タンク(8)に接続され、前記高温タンク(8)内の飲料を注出するための高温飲料注出コック(5a)とを有する飲料サーバー。
【請求項18】
請求項17に記載した飲料サーバーであって、
複数の前記接続部(4)およびそれらに接続される配管に、前記高温タンク(8)内の高温飲料を循環させるための循環用配管(86)と、
前記循環用配管(86)に前記高温タンク(8)内の高温飲料を循環させる循環ポンプ(85)とを有する飲料サーバー。
【請求項19】
請求項18に記載した飲料サーバーであって、
全ての前記接続部(4)は、互いに接続されて1系統に構成されており、
それらの前記接続部(4)の一端側に前記注出コック(5)が接続されるとともに、他端側の前記接続部(4)に前記高温タンク(8)が接続されており、
前記循環用配管(86)は、前記注出コック(5)側の前記接続部(4)から他端側の前記接続部(4)まで、全ての前記接続部(4)を通って高温飲料を循環させるように配管されたものである飲料サーバー。
【請求項20】
請求項18,19のいずれか1項に記載した飲料サーバーであって、
前記飲料ボトル(9)の前記口部(91)に、開閉弁付きの接続用キャップ(93)を装着して前記接続部(4)に接続するものであり、
前記接続用キャップ(93)は、耐熱性樹脂からなるとともに、前記接続部(4)との間を水密状態に封止可能なものであり、
前記接続部(4)は熱伝導性の良好な金属材料からなるものである飲料サーバー。
【請求項21】
請求項18〜20のいずれか1項に記載した飲料サーバーであって、
前記循環ポンプ(85)を定期的に始動および停止させるための循環制御手段(89)を有する飲料サーバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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