説明

飾り窓

【課題】より意匠性を向上させた飾り窓を提供する。
【解決手段】ブロック塀55に形成した開口部56に取付けられる略方形状の枠部10内にパネル状の装飾材11を設けてなるものであって、装飾材11は鋳物で形成され、草花をモチーフとした形状の装飾部12を有すると共に、装飾部12内に平坦な取付面13を有してなり、取付面13には該取付面13と略同形の陶磁器素材からなる装飾板14が取付けられ、装飾板14には装飾部12のモチーフとした草花の形状と連続するデザインが施されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック塀の開口部に設けられ枠体内にパネル状の装飾材を設けてなる飾り窓に関し、特に装飾材が草花をモチーフとした形状に形成されると共に陶磁器からなる装飾板を取付けてなる飾り窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅などの建物の周囲に設けられるブロック塀においては、装飾性を向上させ、かつ風通しをよくするために、穴の開いた透かしブロックを用いることがあった。この透かしブロックは、ブロック塀の閉塞感を排除する点でも有効である。近年、ブロック塀は意匠性を高めるために、ブロック塀の表面全体をモルタル等で覆い、ブロックの地肌を露出させないような施工が行われることがある。この場合には、透かしブロックの代わりに、ブロック塀の一部に開口部を設け、その開口部に装飾物を取付けることで装飾性の向上を図ることとしていた。また、装飾物を枠体内に納め、この枠体を開口部に納めるようにした飾り窓も知られていた。飾り窓としては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開2003−213837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の飾り窓は、装飾部分が鋳物素材で形成されており、このため外形状及び凹凸のみでデザインを表現していた。このため、素材感の違いや多様な色彩を用いることによるデザイン表現ができず、意匠性の向上には限界があった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、より意匠性を向上させた飾り窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る飾り窓は、ブロック塀に形成した開口部に取付けられる略方形状の枠部内にパネル状の装飾材を設けてなる飾り窓において、
前記装飾材は鋳物で形成され、草花をモチーフとした形状の装飾部を有すると共に、該装飾部内に平坦な取付面を有してなり、
前記取付面には該取付面と略同形の陶磁器素材からなる装飾板が取付けられ、該装飾板には前記装飾部のモチーフとした草花の形状と連続するデザインが色彩により施されてなることを特徴として構成されている。
【0006】
また、本発明に係る飾り窓は、前記取付面は一面側が前記装飾板を取付可能となるように平坦状に形成され、他面側の表面には前記装飾部のモチーフとした草花の形状が前記装飾部と連続状に形成されることを特徴として構成されている。
【0007】
さらに、本発明に係る飾り窓は、前記装飾材は前記取付面の領域以外は両面が同形状に形成され、前記装飾板に施されるデザインは前記取付面の他面側に形成される草花の形状と同じであることを特徴として構成されている。
【0008】
さらにまた、本発明に係る飾り窓は、前記装飾部は前記取付面の縁部に沿って隣接する支持部を有してなることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る飾り窓によれば、装飾材は鋳物で形成され、草花をモチーフとした形状の装飾部を有すると共に、装飾部内に平坦な取付面を有してなり、取付面には該取付面と略同形の陶磁器素材からなる装飾板が取付けられ、装飾板には装飾部のモチーフとした草花の形状と連続するデザインが色彩により施されてなることにより、陶磁器からなる装飾板に色彩による形状を表現することができ、形状と凹凸のみでデザインを表現する鋳物に加えて色彩によるデザインも施すことができるので、意匠性を高くすることができる。また、装飾板に施されるデザインが周囲の装飾部に施されたデザインと連続状となるため、装飾部全体のデザインの統一性を図ることができる。さらには、装飾部内に異なる素材からなる装飾板を設け、これらに一体的なデザインを施していることにより、さらなる意匠性の向上を図ることができる。
【0010】
また、本発明に係る飾り窓によれば、取付面は一面側が装飾板を取付可能となるように平坦状に形成され、他面側の表面には装飾部のモチーフとした草花の形状が装飾部と連続状に形成されることにより、飾り窓の両面について意匠性を高めることができる。
【0011】
さらに、本発明に係る飾り窓によれば、装飾材は取付面の領域以外は両面が同形状に形成され、装飾板に施されるデザインは取付面の他面側に形成される草花の形状と同じであることにより、飾り窓の両面についてデザインを統一しさらなる意匠性の向上を図ることができる。
【0012】
さらにまた、本発明に係る飾り窓によれば、装飾部は取付面の縁部に沿って隣接する支持部を有してなることにより、取付面を装飾部により強固に支持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態における飾り窓を取付けたブロック塀の正面図を示している。この図に示すように、本実施形態の飾り窓1は、複数のブロック50からなるブロック塀55において、1つのブロック50aを半分の大きさとすることで形成された開口部56に納められるものであって、略正方形状の外形を有している。
【0014】
ブロック塀55は、住宅などの建物を囲むように設けられるもので、一方の面が建物側、すなわち敷地の内側に面し、他方の面が道路など敷地の外側に面するように配置される。なお図1は、敷地の外側から見た正面図を示している。また、各ブロック50及び飾り窓1は、モルタルによって接合されている。
【0015】
図2には飾り窓1の正面図を、図3には飾り窓1の背面図を、図4には飾り窓1の側面図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、飾り窓1は正方形の枠形状を有した枠部10内にパネル状の装飾材11が設けられてなるものである。飾り窓1は全体が鋳物によって形成されており、枠部10と装飾材11は一体的に形成されている。
【0016】
飾り窓1の枠部10は、図2及び図3に示すように正面視において正方形状に形成され、図4に示すように側面には四周に渡って溝部15が形成されている。枠部10に溝部15が形成されていることで、枠部10の周囲にモルタルを設けてブロック塀55の開口部56に取付ける際、モルタルが溝部15に入り込むことにより、飾り窓1の位置ずれを防止することができる。また、ブロック塀55内に設けられる鉄筋が飾り窓1に近接する場合において、枠部10の側面に溝部15が形成されていることにより鉄筋と干渉しないようにすることができる。
【0017】
飾り窓1の装飾材11は、鋳物で形成することにより複雑な形状を有するものとできる。そして、本実施形態において装飾材11は、草花をモチーフとした形状に形成された装飾部12を有している。装飾部12は、外形状と凹凸によってモチーフとする草花を表現している。なお、装飾材11において装飾部12の外形縁の外側は、空間となっている。
【0018】
また、装飾部12内の中央部には、楕円形状からなる平坦な取付面13が形成されている。取付面13は、敷地の外側に面する側が平坦状に形成され、この平坦に形成された部分には陶磁器からなる装飾板14が接着固定される。装飾板14は、所定の厚みを有した楕円形状であって、取付面13よりやや小さい略同形状に形成されている。図5には、装飾板14の取付前状態における飾り窓1の正面図を示している。この図に示すように、取付面13は装飾板14の取付前の状態において、縁部13a以外の部分が平坦とされており、一方で装飾板14には予め表面に色彩によるデザインが施されている。
【0019】
図2に示すように、装飾部12に表現される草花は、枠部10内において主に上部から下部に向かって伸びるように形成されている。また、装飾材11の中央部に形成される取付面13の縁部13aに沿って隣接するように伸びる部分を有しており、この部分は取付面13を支持する支持部12aとなっている。装飾部12に取付面13を取り囲む支持部12aを形成することで、取付面13を確実に保持することができる。
【0020】
図3に示すように、取付面13の敷地の内側に面する側には、装飾部12のモチーフとした草花の形状が、装飾部12から連続状に形成された連続装飾部13bが形成されている。連続装飾部13bにおいては、モチーフとなる草花の形状が凹凸によって表現されている。これによって、飾り窓1を敷地の内側から見た場合に、デザインされた形状が枠部10内の全領域に渡って設けられることとなり、意匠性を向上させることができる。
【0021】
取付面13の平坦な側に取付けられる装飾板14には、取付面13の反対側に形成される草花の形状と同じ草花の形状からなるデザインが、色彩によって表面に施されている。すなわち、装飾板14に色彩により施されているデザインは、装飾部12のモチーフとした草花の形状と連続するものとなっている。装飾板14に施される色彩は、青色や赤色、あるいはその他の様々な色を用いることができ、また単色でもよいし複数の色を用いるようにしてもよい。
【0022】
装飾板14は陶磁器からなるので、色彩によりデザインを表現することができ、そのデザインが周囲の装飾部12に施されたデザインと連続状となるため、装飾部12全体のデザインの統一性を図ることができ、意匠性の高い飾り窓1とすることができる。また、鋳物からなる装飾部12は、形状と凹凸のみでデザインを表現しているのに対し、陶磁器からなる装飾板14には様々な色彩を色鮮やかに施すことができるので、意匠性をより高くすることができる。さらには、装飾部12内に異なる素材からなる装飾板14を設け、これらに一体的なデザインを施していることにより、さらなる意匠性の向上を図っている。
【0023】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図6には本実施形態における飾り窓1の正面図を、図7には本実施形態における飾り窓1の背面図を、それぞれ示している。本実施形態の飾り窓1は、基本的な構成において第1の実施形態と共通する。すなわち、鋳物からなる正方形状の枠部10内にパネル状の装飾材11が一体的に形成されてなり、装飾材11は装飾部12と取付面13とからなると共に、取付面13には陶磁器からなる装飾板14が接着固定されて構成されている。
【0024】
本実施形態の飾り窓1は、装飾部12のデザインが第1の実施形態と異なっている。本実施形態における装飾部12は、枠部10内で上方から下方に向かって伸びる草花と、下方から上方に向かって伸びる草花とがデザインされており、この両方によって取付面13を取り囲む支持部12aを形成している。また、装飾板14には装飾部12と連続する草花の形状が、色彩により表現されており、さらに、取付面13の反対側には、装飾部12と連続する草花の形状が凹凸により形成されている。
【0025】
このように、装飾材11の装飾部12及び装飾板14に施されるデザインは、草花をモチーフとした様々なものとすることができ、またその配置も様々になすことができる。ただし、取付面13の周囲を取り囲むように支持部12aが設けられる点については共通する。
【0026】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態に限られるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、これらの実施形態では枠部10と装飾材11が鋳物で一体的に形成されたものを示したが、枠部10と装飾材11を別々に形成し、装飾材11を枠部10内に納めて固定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施形態における飾り窓を取付けたブロック塀の正面図である。
【図2】飾り窓の正面図である。
【図3】飾り窓の背面図である。
【図4】飾り窓の側面図である。
【図5】装飾板の取付前状態における飾り窓の正面図である。
【図6】第2の実施形態における飾り窓の正面図である。
【図7】第2の実施形態における飾り窓の背面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 飾り窓
10 枠部
11 装飾材
12 装飾部
12a 支持部
13 取付面
14 装飾板
15 溝部
50 ブロック
50a ブロック
55 ブロック塀
56 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック塀に形成した開口部に取付けられる略方形状の枠部内にパネル状の装飾材を設けてなる飾り窓において、
前記装飾材は鋳物で形成され、草花をモチーフとした形状の装飾部を有すると共に、該装飾部内に平坦な取付面を有してなり、
前記取付面には該取付面と略同形の陶磁器素材からなる装飾板が取付けられ、該装飾板には前記装飾部のモチーフとした草花の形状と連続するデザインが色彩により施されてなることを特徴とする飾り窓。
【請求項2】
前記取付面は一面側が前記装飾板を取付可能となるように平坦状に形成され、他面側の表面には前記装飾部のモチーフとした草花の形状が前記装飾部と連続状に形成されることを特徴とする請求項1記載の飾り窓。
【請求項3】
前記装飾材は前記取付面の領域以外は両面が同形状に形成され、前記装飾板に施されるデザインは前記取付面の他面側に形成される草花の形状と同じであることを特徴とする請求項2記載の飾り窓。
【請求項4】
前記装飾部は前記取付面の縁部に沿って隣接する支持部を有してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の飾り窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−197454(P2009−197454A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39135(P2008−39135)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】