説明

香り付き使い捨てカイロ

【課題】香りが使い捨てカイロ本体内の発熱体に含まれる活性炭に吸着されることがなく個包装用袋内に充満して留まり、開封時に強く芳香し、使用時にも芳香を継続することができる、香り付き使い捨てカイロを提供すること。
【解決手段】少なくとも一方の面11aに複数の通気用小孔17を備えた扁平袋体11内に発熱体12を封入してなるカイロ本体13と、非通気性を有し複数の通気用小孔17を閉塞して前記一方の面の易剥離可能に貼着され使用時に剥離される剥離シート14と、扁平袋体11又は剥離シート14に貼着され芳香剤を含浸した不織布15と、を有し、これらを個包装用袋16内に収容・密封してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋を開くと芳香する香り付き使い捨てカイロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨てカイロの表面に薬剤や香料を含浸させ、この薬剤や香料を、使い捨てカイロの発熱原理を応用することにより、揮発・拡散の促進させる、使い捨て拡散装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−218816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のものは、使い捨てカイロの発熱原理を使った発熱体を通気性梱包材で包み、その表部に薬剤又は香料を含ませた、あるいは湿布した拡散層をとりつける構成であるので、製造直後から発熱体に含まれる活性炭に揮発した香料が吸収されてしまう。このため、製造から購入までの期間が比較的短くても活性炭が香り吸収するので個包装用袋の開封時には弱く芳香し、製造から購入までの期間が長くなると、芳香が終わり、香りの全部が活性炭に吸収されてしまい、開封時にはほとんど芳香がしない、という問題がある。
【0005】
本発明は、上述した点にかんがみ案出されたもので、その目的とするところは、香りが使い捨てカイロ本体内の発熱体に含まれる活性炭に吸着されることがなく個包装用袋内に充満して留まり、開封時に強く芳香し、使用時にも芳香を継続することができる、香り付き使い捨てカイロを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の香り付き使い捨てカイロは、少なくとも一方の面に複数の通気用小孔を備えた扁平袋体内に発熱体を封入してなるカイロ本体と、非通気性を有し前記複数の通気用小孔を閉塞して前記一方の面の易剥離可能に貼着され使用時に剥離される剥離シートと、前記扁平袋体又は前記剥離シートに貼着され芳香剤を含浸した不織布と、を有し、これらを個包装用袋内に収容・密封してなることを特徴とする。
上記構成の香り付き使い捨てカイロは、貼らないタイプと、貼るタイプとを含む。
【0007】
上記構成によれば、カイロ本体を構成する扁平袋体の通気用小孔を剥離シートで閉塞して個包装用袋内に収容・密封しているので、カイロ本体に貼着された芳香剤を含浸した不織布から、製造直後より気化する香りがカイロ本体内の発熱体に含まれる活性炭に吸着されることがないから、不織布から気化する香りは個包装用袋内に充満して留まり、個包装用袋の開封時に強く芳香し、使用中も扁平袋体に貼着した芳香剤を含浸した不織布からの芳香を引き続いて継続することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、不織布から気化する香りがカイロ本体内の発熱体に含まれる活性炭に吸着されることがなく個包装用袋内に充満して留まり、開封時に強く芳香し、使用時にも芳香を継続することができる、香り付き使い捨てカイロを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態に係る香り付き使い捨てカイロについて図面を参照して説明する。
【0010】
〔第1の実施形態〕
図1は、貼らないタイプの香り付き使い捨てカイロ10Aに係る。香り付き使い捨てカイロ10Aは、一方の面に複数の通気用小孔17を備え他方の面11bが非通気性である扁平袋体11内に発熱体12を封入したカイロ本体13と、非通気性を有し前記複数の通気用小孔17を閉塞して前記一方の面11aに易剥離可能に貼着され使用時に剥離される剥離シート14Aと、前記他方の面11bに貼着され芳香剤を含浸した不織布15Aと、を有し、これらを個包装用袋16内に収容・密封してなる(図1(a)参照)。
【0011】
扁平袋体11は、複数の通気用小孔17を備えた一方の面11aと(図1(b)参照)、非通気性である他方の面11bとを備えた扁平な袋形状であれば良く、三方シール袋体形状、四方シール袋体形状、或いはピロー包装袋体形状等の何れの形態であっても良い。また、扁平袋体11は、シーラントフィルムの単層フィルム、又はシーラントフィルムを内層とする積層フィルム(外層に不織布も含まれるものとする)の何れより製袋されても良く、易引裂性を有していない構成が良い。
【0012】
複数の通気用小孔17は、扁平袋体11の一方の面11aに分散して備えられ、発熱体12が酸化発熱するための空気を通流させる役目を果たす。通気用小孔は、例えば製袋工程で一方の面11aを構成する単層フィルム又は積層フィルムに釘等の針状体を突き刺して開けた孔であって良い。扁平袋体11をピロー包装袋体形状とする場合には、背張りシールが無い方の面を上述した一方の面11aとして通気用小孔を備えるのが良い。
【0013】
剥離シート14Aは、扁平袋体11の一方の面11aに易剥離可能に貼着されている。剥離シート14Aは、非通気性を有し、複数の通気用小孔を閉塞し使用時に剥離される(図1(b)参照)。剥離シート14Aは、非通気性を有していれば良く、単層フィルム又は積層フィルムの何れでも良い。剥離シート14Aの扁平袋体11の一方の面11aへの貼着は、接着または粘着の何れであっても良く、易剥離性を有していれば良い。易剥離性を有する接着として、シーラントフィルム同士をイージーピールを介在させてヒートシールするのが良い。
【0014】
不織布15Aは、芳香剤を含浸されてなり、この実施形態ではカイロ本体13の他方の面11bに貼着されている。
【0015】
個包装用袋16は、これらを酸素バリア性、水蒸気バリア性、及び香りを含む気体バリア性を有する包材よりなる。個包装用袋16は、三方シール袋体形状、四方シール袋体形状、或いはピロー包装袋体形状の何れでも良く、例えば、opp/アルミ箔/cppの三層フィルムにより製袋し、或いは、易引裂性を有するシーラントフィルムの単層フィルム、又はシーラントフィルムを内層とする積層フィルムにより製袋するのが良い。
【0016】
香り付き使い捨てカイロ10Aによれば、図1(a)に示すように、カイロ本体13の一方の面11aの通気用小孔17を非通気性を有する剥離シート14Aで閉塞して個包装用袋16内に収容・密封しているので、カイロ本体13に貼着された芳香剤を含浸した不織布15Aから気化する香りが製造直後よりカイロ本体13内の発熱体12に含まれる活性炭に吸着されてしまい芳香しなくなる、ということがなく、不織布15Aから気化する香りは個包装用袋16内に充満して留まる。図1(b)に示すように、個包装用袋16を開封すると、袋内に溜まっていた香りが拡散し、強く芳香し、これにより使用者の興趣を満足する。開封後の使用時は、通気用小孔17を通して酸素がカイロ本体13内に入り発熱体12が発熱し、カイロ機能を発揮する。他方の面11bに貼着されている不織布15Aから含浸している芳香剤が使用中も芳香し得る。
【0017】
〔第2の実施形態〕
図2は、貼らないタイプの香り付き使い捨てカイロを示す。この香り付き使い捨てカイロ10Bは、一方の面に複数の通気用小孔17を備え他方の面11bが非通気性である扁平袋体11内に発熱体12を封入したカイロ本体13と、非通気性を有し前記複数の通気用小孔17を閉塞して前記一方の面11aに易剥離可能に貼着され使用時に剥離される剥離シート14Bと、前記剥離シート14Bに積層して貼着され芳香剤を含浸した不織布15Bと、を有し、これらを個包装用袋16内に収容・密封してなる(図2(a)参照)。
【0018】
香り付き使い捨てカイロ10Bは、扁平袋体11と発熱体12とカイロ本体13と個包装用袋16が、第1の実施形態複数の構成と同一である。
【0019】
香り付き使い捨てカイロ10Bでは、剥離シート14Bに粘着剤が塗布されていて、この粘着剤により、剥離シート14Bがカイロ本体13の一方の面11aに粘着されている。不織布15Bは、剥離シート14Bの上に積層して貼着され使用時に該剥離シート14Bと一体に剥離される。剥離シート14Bはカイロ本体13の他方の面11bへ再粘着することができる。これにより、不織布15Bも他方の面11bへ貼着される構成である。
【0020】
香り付き使い捨てカイロ10Bによれば、図2(a)に示すように、第1の実施形態と全く同様に、カイロ本体13の一方の面11aの通気用小孔を剥離シート14Bで閉塞しているので、不織布15Bから気化する香りは個包装用袋16内に充満して留まり、図2(b)に示すように、個包装用袋16を開封すると、袋内に溜まっていた香りが拡散し、強く芳香する。開封後は、剥離した剥離シート14Bをカイロ本体13の他方の面11bに再粘着することにより、不織布15Bをカイロ本体13の他方の面11bに貼着する。これにより、使用時は、剥離シート14Bの剥離により通気用小孔17を通して酸素がカイロ本体13内に入り発熱体12が発熱し、カイロ機能を発揮する。他方の面11bに貼着されている不織布15Bから含浸している芳香剤が使用中も芳香し得る。
【0021】
〔第3の実施形態〕
図3は、貼らないタイプの香り付き使い捨てカイロを示す。この香り付き使い捨てカイロ10Cは、両面に複数の通気用小孔17を備えた扁平袋体11内に発熱体12を封入したカイロ本体13と、非通気性を有しカイロ本体13の両面の複数の通気用小孔17を閉塞して両面11a,11bに易剥離可能に貼着され使用時に剥離される一対の剥離シート14C,14Cと、一方の剥離シート14Cに積層して粘着され芳香剤を含浸した不織布15Cと、を有し、これらを個包装用袋16内に収容・密封してなる(図3(a)参照)。
【0022】
香り付き使い捨てカイロ10Cでは、不織布15Cに粘着剤が塗布されていて、この粘着剤により、不織布15Cがカイロ本体13のいずれか一方の剥離シート14Cに粘着されている。不織布15Cは、剥離シート14Cの上に積層して粘着され使用時に該剥離シート14Cと共に剥離され、さらに剥離シート14Cから剥離され、カイロ本体13のいずれか一方の面11a又は11bへ再粘着することができる構成である。
【0023】
香り付き使い捨てカイロ10Cによれば、図3(a)に示すように、第1の実施形態と全く同様に、カイロ本体13の一方の面11aの通気用小孔17を剥離シート14Cで閉塞しているので、不織布15Cから気化する香りは個包装用袋16内に充満して留まり、図3(b)に示すように、個包装用袋を開封すると、袋内に溜まっていた香りが拡散し、強く芳香する。開封後は、カイロ本体13の両面から不織布15C,15Cを剥離しさらに一方の剥離シート14Cから不織布15Cを剥離し、この不織布15Cをカイロ本体13の一方の面11a又は他方の面11bに粘着する。これにより、使用時は、通気用小孔17を通して酸素がカイロ本体13内に入るので発熱体12が発熱し、カイロ機能を発揮する。他方の面11bに貼着されている不織布15Cから含浸している芳香剤が使用中も芳香し得る。
【0024】
〔第4の実施形態〕
図4は、貼るタイプの香り付き使い捨てカイロを示す。この香り付き使い捨てカイロ10Dは、一方の面11aに複数の通気用小孔17を備えてなる扁平袋体11内に発熱体12を封入したカイロ本体13と、非通気性を有し前記複数の通気用小孔17を閉塞して前記一方の面11aの易剥離可能に貼着され使用時に剥離される剥離シート14Dと、前記他方の面11bに塗布された弱粘着剤を隠蔽して易剥離可能に貼着され使用時に剥離される剥離シート18と、前記剥離シート14Dに積層貼着され芳香剤を含浸した不織布15Dと、を有し、これらを個包装用袋16内に収容・密封してなる。なお、芳香剤を含浸した不織布15Dが前記剥離シート18に積層貼着されていても良い。
【0025】
香り付き使い捨てカイロ10Dによれば、図4(a)に示すように、カイロ本体13の一方の面11aの通気用小孔17を非通気性を有する剥離シート14Dで閉塞して個包装用袋16内に収容・密封しているので、カイロ本体13に貼着された芳香剤を含浸した不織布15Dから気化する香りが製造直後よりカイロ本体13内の発熱体12に含まれる活性炭に吸着されてしまい芳香しなくなる、ということがなく、不織布15Dから気化する香りは個包装用袋16内に充満して留まる。図4(b)に示すように、個包装用袋16を開封すると、袋内に溜まっていた香りが拡散し、強く芳香し、これにより使用者の興趣を満足する。開封後の使用時は、図4(c)に示すように、カイロ本体13の両面から剥離シート14D、18を剥離し剥離シート18で隠蔽されていた弱粘着剤19により衣類等に貼着する。芳香剤を含浸した不織布15Dは、剥離した剥離シート14Dから更に剥離して該剥離シート14Dを張っていた一方の面11aに貼着する。不織布15Dの貼着は、一方の面11aの通気用小孔17の通気性を妨げない。こうして、剥離シート14D、18を剥離し、剥離シート14Dから剥離した不織布15Dを一方の面11aに再貼着すると、通気用小孔17を通して酸素がカイロ本体13内に入り発熱体12が発熱し、カイロ機能を発揮する。他方の面11bに貼着されている不織布15Dから含浸している芳香剤が使用中も芳香し得る。
〔第5の実施形態〕
図5は、貼るタイプの香り付き使い捨てカイロ10Eを示す。香り付き使い捨てカイロ10Eは、一方の面11aが非通気性を有し、他方の面11bに複数の通気用小孔17を備えかつ弱粘着剤19を塗布された扁平袋体11内に発熱体12を封入したカイロ本体13と、非通気性を有し複数の通気用小孔17を閉塞して他方の面11bの易剥離可能に貼着され使用時に剥離される剥離シート14Eと、一方の面11aに貼着され芳香剤を含浸した不織布15Eと、を有し、これらを個包装用袋16内に収容・密封してなる。
【0026】
香り付き使い捨てカイロ10Eによれば、図5(a)に示すように、カイロ本体13の他方の面11bの通気用小孔17を非通気性を有する剥離シート14Eで閉塞して個包装用袋16内に収容・密封しているので、カイロ本体13に貼着された芳香剤を含浸した不織布15Eから気化する香りが製造直後よりカイロ本体13内の発熱体12に含まれる活性炭に吸着されてしまい芳香しなくなる、ということがなく、不織布15Eから気化する香りは個包装用袋16内に充満して留まる。図5(b)に示すように、個包装用袋16を開封すると、袋内に溜まっていた香りが拡散し、強く芳香し、これにより使用者の興趣を満足する。開封後の使用時は、図5(c)に示すように、カイロ本体13の両面から剥離シート14Eを剥離し露出した弱粘着剤19により衣類等に貼着する。剥離シート14Eを剥離すると、通気用小孔17を通して酸素がカイロ本体13内に入り発熱体12が発熱し、カイロ機能を発揮する。他方の面11bに貼着されている不織布15Eから含浸している芳香剤が使用中も芳香し得る。
【0027】
本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施の形態の香り付き使い捨てカイロに係り、(a)は未使用状態を示す断面図であり、(b)は使用時に剥離する状態を示す断面図である。
【図2】第2の実施の形態の香り付き使い捨てカイロに係り、(a)は未使用状態を示す断面図であり、(b)は使用時に剥離する状態を示す断面図である。
【図3】第3の実施の形態の香り付き使い捨てカイロに係り、(a)は未使用状態を示す断面図であり、(b)は使用時に剥離する状態を示す断面図であり、(c)は使用状態を示す断面図である。
【図4】第4の実施の形態の香り付き使い捨てカイロに係り、(a)は未使用状態を示す断面図であり、(b)は使用時に剥離する状態を示す断面図であり、(c)は使用状態を示す断面図である。
【図5】第5の実施の形態の香り付き使い捨てカイロに係り、(a)は未使用状態を示す断面図であり、(b)は使用時に剥離する状態を示す断面図であり、(c)は使用状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0029】
10A,10B,10C 貼らないタイプの香り付き使い捨てカイロ
10D,10E 貼るタイプの香り付き使い捨てカイロ
11 扁平袋体
11a 一方の面
11b 他方の面
12 発熱体
13 カイロ本体
14A,14B,14C,14D,14E 剥離シート
15A,15B,15C,15D,15E 不織布
16 個包装用袋
17 通気用小孔
18 剥離シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の面に複数の通気用小孔を備えた扁平袋体内に発熱体を封入してなるカイロ本体と、
非通気性を有し前記複数の通気用小孔を閉塞して前記一方の面の易剥離可能に貼着され使用時に剥離される剥離シートと、
前記扁平袋体又は前記剥離シートに貼着され芳香剤を含浸した不織布と、を有し、
これらを個包装用袋内に収容・密封してなることを特徴とする香り付き使い捨てカイロ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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