説明

骨組構造体

【課題】変形の増加を抑制しつつ軽量化を図ることが可能な骨組構造体を提供すること。
【解決手段】三角型トラスユニット1と逆三角型トラスユニット2を並設してなり、三角型トラスユニット1は、一条の第一上弦材1aと、二条の第一下弦材1b,1bと、第一上弦材1aと各第一下弦材1bとを繋ぐ複数の第一ラチス材1cとを有し、逆三角型トラスユニット2は、一条の第二下弦材2bと、二条の第二上弦材2a,2aと、各第二上弦材2aと第二下弦材2bとを繋ぐ複数の第二ラチス材2cとを有し、第一上弦材1aと一方の第二上弦材2aとが上繋ぎ材3を介して連結されており、一方の第一下弦材1bと第二下弦材2bとが下繋ぎ材4を介して連結されており、第一上弦材1aと第二下弦材2bとが連結されておらず、かつ、第一下弦材1bと第二上弦材2aとが連結されていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨組構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の上弦材と複数の下弦材とを具備する複層の骨組構造体(スペースフレーム)が特許文献1に開示されている。各上弦材は、隣接する他の上弦材と複数の横材を介して連結されており、さらに、複数のラチス材を介して二条の下弦材と連結されている。同様に、各下弦材は、隣接する他の下弦材と複数の横材を介して連結されており、さらに、複数のラチス材を介して二条の上弦材と連結されている。なお、ラチス材は、節点を頂点とする四角錐の側辺(稜線)を形成するように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−262839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の骨組構造体では、弦材に設けた一の節点部に対して四本のラチス材と二本の横材とを接続しているので、部品点数が多く、骨組構造体の重量が嵩む虞がある。ラチス材等の本数を削減すれば、骨組構造体の軽量化を図ることはできるが、むやみに削減すると、変形が大きくなるなどの弊害が生じる虞がある。
【0005】
このような観点から、本発明は、変形の増加を抑制しつつ軽量化を図ることが可能な骨組構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究の結果、三角型トラスユニットと逆三角型トラスユニットとを間隔をあけて並設し、両トラスユニットの上弦材同士を連結するとともに下弦材同士を連結すれば、変形の増加を抑制しつつラチス材の本数を削減することができることを知得し、本発明を創案するに至った。
【0007】
すなわち、前記課題を解決する本発明は、三角型トラスユニットと逆三角型トラスユニットとを並設してなる骨組構造体であって、前記三角型トラスユニットは、一条の第一上弦材と、前記第一上弦材の長手方向に沿って並設された二条の第一下弦材と、前記第一上弦材と前記各第一下弦材とを繋ぐ複数の第一ラチス材とを有し、前記逆三角型トラスユニットは、一条の第二下弦材と、前記第二下弦材の長手方向に沿って並設された二条の第二上弦材と、前記各第二上弦材と前記第二下弦材とを繋ぐ複数の第二ラチス材とを有し、前記第一上弦材と一方の前記第二上弦材とが上繋ぎ材を介して連結されており、一方の前記第一下弦材と前記第二下弦材とが下繋ぎ材を介して連結されており、前記第一上弦材と前記第二下弦材とが連結されておらず、かつ、前記第一下弦材と前記第二上弦材とが連結されていないことを特徴とする。
【0008】
本発明では、三角型トラスユニットと逆三角型トラスユニットとが断面四角形を呈する空間を挟んで対向するようになる。本発明によれば、三角型トラスユニットと逆三角型トラスユニットとの間を繋ぐラチス材が不要となるので、従来の骨組構造体に比べてラチス材の本数を削減することが可能となり、ひいては、骨組構造体の軽量化を図ることが可能となる。なお、上弦材、下弦材、上繋ぎ材および下繋ぎ材の「上」、「下」は部材を区別するために付した便宜的なものであり、使用状態における上下とは必ずしも一致しない。
【0009】
前記三角型トラスユニットが前記第一下弦材同士を繋ぐ複数の第一横材を有し、前記逆三角型トラスユニットが前記第二上弦材同士を繋ぐ複数の第二横材を有している場合には、前記各第一横材の延長線上に前記下繋ぎ材を位置させ、前記各第二横材の延長線上に前記上繋ぎ材を位置させるとよい。このようにすると、第一トラスユニットと第二トラスユニットとの間の力のやり取りが、各トラスユニットの節点を介して行われるようになる。
【0010】
前記第一上弦材、前記第一下弦材、前記第二上弦材および前記第二下弦材は、アルミニウム合金製の押出形材にて構成し、かつ、同一の断面形状とすることが好ましい。このようにすると、骨組構造体のさらなる軽量化を図ることが可能になるとともに、各弦材の生産効率が高まり、コスト削減を図ることが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、変形の増加を抑制しつつ骨組構造体の軽量化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る骨組構造体を、弦材の長手方向を法線とする平面で切断した状態を示す断面図である。
【図2】図1のY−Y矢視方向側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る骨組構造体の分解平面図である。
【図4】(a)は図1のX部分の拡大図、(b)はラチス材の端部を示す斜視図である。
【図5】節点部を示す分解斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る骨組構造体の変形例を示す図である。
【図7】(a)および(b)は本発明の実施形態に係る骨組構造体の他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る骨組構造体Fは、ダブルレイヤー型(複層タイプ)のスペースフレームであり、三角型トラスユニット1と、逆三角型トラスユニット2と、上繋ぎ材3と、下繋ぎ材4とを備えている。
【0014】
三角型トラスユニット1および逆三角型トラスユニット2は、断面四角形(本実施形態では平行四辺形)を呈する空間を挟んで平行に並設されており、上繋ぎ材3および下繋ぎ材4を介して連結されている。
【0015】
三角型トラスユニット1は、一条の第一上弦材1aと、第一上弦材1aの長手方向に沿って並設された二条の第一下弦材1b,1bと、第一上弦材1aと各第一下弦材1bとを繋ぐ複数の第一ラチス材1c,1c,…と、第一下弦材1b,1bを繋ぐ複数の第一横材1d,1d,…とを有している。
【0016】
第一上弦材1aおよび第一下弦材1b,1bは、三角形の頂点を形成するように配置されており、いずれも、図1の紙面垂直方向が長手方向となるように配置されている。
【0017】
第一下弦材1bは、本実施形態では第一上弦材1aの斜め下方に位置し、且つ、第一上弦材1aと平行である(図2参照)。二条の第一下弦材1b,1bは、横方向に間隔をあけて並設されており、本実施形態では平行である(図3参照)。
【0018】
第一ラチス材1cは、図2に示すように、第一上弦材1aと第一下弦材1bを包含する構面内に配置されており、第一上弦材1aおよび第一下弦材1bに対して角度θをもって斜交している。前記構面内の複数の第一ラチス材1c,1c,…は、ジグザグ状に連設されており、第一上弦材1aおよび第一下弦材1bとともにトラス構造を形成している。
【0019】
図3に示すように、第一ラチス材1cは、第一上弦材1a上の節点部pを頂点とする四角錐の側辺(稜線)を形成するように配置されており、節点部pから延出する四本の第一ラチス材1c,1c,…のうち、二本の第一ラチス材1c,1cは、一方の第一下弦材1bに向かい、残り二本の第一ラチス材1c,1cは、他方の第一下弦材1bに向かっている。すなわち、第一上弦材1a上の一の節点部pには、四本の第一ラチス材1c,1c,…が集合し、第一下弦材1b上の一の節点部qには、二本の第一ラチス材1c,1c(第一上弦材1a上の一の節点部pから延出した第一ラチス材1c、および、第一上弦材1a上の他の節点部pから延出した第一ラチス材1c)が集合している。
【0020】
第一横材1dは、隣り合う第一下弦材1b,1bを包含する構面内に複数配置されている。第一横材1dの端部は、第一下弦材1b上の節点部qに接続されており、第一下弦材1bに対して垂直に交差している。
【0021】
逆三角型トラスユニット2は、一条の第二下弦材2bと、第二下弦材2bの長手方向に沿って並設された二条の第二上弦材2a,2aと、各第二上弦材2aと第二下弦材2bとを繋ぐ複数の第二ラチス材2c,2c,…と、第二上弦材2a,2aを繋ぐ複数の第二横材2d,2d,…を有している。本実施形態の逆三角型トラスユニット2は、三角型トラスユニット1の上下を反転させたものと同じ形態を具備しており、図1に示すように、第二上弦材2a,2aおよび第二下弦材2bは、逆三角形の頂点を形成するように配置されている。
【0022】
第二上弦材2aは、第一上弦材1aの側方に並設されている。本実施形態の第二上弦材2aは、第二下弦材2bの斜め上方に位置し、且つ、第二下弦材2bと平行である。二条の第二上弦材2a,2aは、横方向に間隔をあけて並設されており、本実施形態では平行である(図3参照)。第二上弦材2a,2aの離隔距離W2は、三角型トラスユニット1側の第二上弦材2aと第一上弦材1aとの離隔距離(三角型トラスユニット1と逆三角型トラスユニット2との離隔距離)W3と等しい。
【0023】
第二下弦材2bは、第一下弦材1bの側方に並設されている。第二下弦材2bと逆三角型トラスユニット2側の第一下弦材1bとの離隔距離W4は、前記の離隔距離W3と等しく、かつ、第一下弦材1b,1bの離隔距離W1と等しい。
【0024】
第二ラチス材2cは、図3に示すように、第二上弦材2aと第二下弦材2bを包含する構面内に配置されており、第二上弦材2aおよび第二下弦材2bに対して斜交している。前記構面内の複数の第二ラチス材2c,2c,…は、ジグザグ状に連設されており、第二上弦材2a,2aおよび第二下弦材2bとともにトラス構造を形成している。
【0025】
第二ラチス材2cは、第二下弦材2b上の節点部sを頂点とする逆四角錐の側辺(稜線)を形成するように配置されており、節点部sから延出する四本の第二ラチス材2c,2c,…のうち、二本の第二ラチス材2c,2cは、一方の第二上弦材2aに向かい、残り二本の第二ラチス材2c,2cは、他方の第二上弦材2aに向かっている。すなわち、第二下弦材2b上の一の節点部sには、四本の第二ラチス材2c,2c,…が集合し、第二上弦材2a上の一の節点部rには、二本の第二ラチス材2c,2c(第二下弦材2b上の一の節点部sから延出した第二ラチス材2c、および、第二下弦材2b上の他の節点部sから延出した第二ラチス材2c)が集合している。
【0026】
第二横材2dは、隣り合う第二上弦材2a,2aを包含する構面内に複数配置されている。第二横材2dの端部は、第二上弦材2a上の節点部rに接続されており、第二上弦材2aに対して垂直に交差している。
【0027】
上繋ぎ材3は、三角型トラスユニット1の第一上弦材1aと逆三角型トラスユニット2の一方の第二上弦材2aとを連結するものであり、第一上弦材1aと第二上弦材2aとを包含する構面内に複数配置されている。本実施形態の上繋ぎ材3は、逆三角型トラスユニット2の第二横材2dの延長線上に位置していて、第一上弦材1aの節点部pにおいて第一上弦材1aに対して垂直に交差し、かつ、第二上弦材2aの節点部rにおいて第二上弦材2aに対して垂直に交差する。
【0028】
下繋ぎ材4は、三角型トラスユニット1の一方の第一下弦材1bと逆三角型トラスユニット2の第二下弦材2bとを連結するものであり、第一下弦材1bと第二下弦材2bとを包含する構面内に複数配置されている。本実施形態の下繋ぎ材4は、三角型トラスユニット1の第一横材1dの延長線上に位置していて、第一下弦材1bの節点部qにおいて第一下弦材1bに対して垂直に交差し、かつ、第二下弦材2bの節点部sにおいて第二下弦材2bに対して垂直に交差する。
【0029】
次に、上記した各部材の構成を詳細に説明する。
第一上弦材1a、第一下弦材1b、第二上弦材2aおよび第二下弦材2bは、いずれも、アルミニウム合金製の押出形材(以下「弦材用押出形材」という。)からなり、同一の断面形状を具備している。
【0030】
弦材用押出形材は、図4の(a)に示すように、中空閉断面形状(本実施形態では略六角形)のホロー部11と、ホロー部11の外面から放射状に広がるように形成された接続プレート12,12,…とを備えていて、図4の(a)の紙面垂直方向に連続している。このような断面形状の部材によれば、強軸と弱軸とで断面性能の差が小さくなるので、圧縮力を効率良く伝達することが可能となる。なお、図4の(a)は、弦材用押出形材を第一下弦材1bとして使用する場合を示している。本実施形態では、ホロー部11の断面形状を略六角形(多角形)としたが、円形や楕円形に変更しても差し支えない。接続プレート12は、平板状であり、ホロー部11の外面から垂直に張り出している。なお、弦材用押出形材を第一上弦材1aまたは第二上弦材2aとして使用する場合には、図4の(a)に示した弦材用押出形材の上下を反転させて使用する。
【0031】
図3に示す第一ラチス材1cおよび第二ラチス材2cは、いずれも、アルミニウム合金製の押出形材(以下「ラチス材用押出形材」という。)からなり、同一の断面形状を具備している。
【0032】
ラチス材用押出形材は、図4の(b)に示すように、三つの中空空間を有するものであり、三つの中空空間のうち、中央に位置する中空空間は、扁平状を呈している。より詳細に説明すると、ラチス材用押出形材は、間隔をあけて対向する一対のフランジ21,21と、両フランジ21,21を繋ぐ一対のウェブ22,22と、ウェブ22,22の間に形成された層状空間を仕切る一対の仕切部23,23とを備えている。ウェブ22,22は、フランジ21,21の幅方向中央部同士を繋ぐように配置されており、かつ、接続プレート12(図4の(a)参照)を挿入可能な間隔をあけて平行に対向している。
【0033】
ラチス材用押出形材を第一ラチス材1cまたは第二ラチス材2cとして使用する際には、押出方向を法線とする平面に対して傾斜する面に沿って切断するとともに、フランジ21の幅方向中央部および仕切部23を切除して切欠き24を形成する。切断面の傾斜角度は、図2に示した角度θと一致している。切欠き24,24を形成すると、接続プレート12をウェブ22,22の間に挿入できるようになる。
【0034】
ラチス材用押出形材を弦材用押出形材に接合するには、ウェブ22,22の間に接続プレート12(図4の(a)参照)を挿入し、ウェブ22,22と接続プレート12を貫通するボルトB(図4の(a)参照)によって両者を締結すればよい。
【0035】
図3に示す第一横材1d、第二横材2d、上繋ぎ材3および下繋ぎ材4は、いずれも、アルミニウム合金製の押出形材(以下「横材用押出形材」という。)からなり、同一の断面形状を具備している。
【0036】
横材用押出形材は、図5に示すように、扁平状の中空空間を有するものであり、間隔をあけて対向する一対のフランジ31,31と、両フランジ31,31を繋ぐ一対のウェブ32,32とを備えている。なお、図5は、横材用押出形材を第一横材1cおよび下繋ぎ材4として使用する場合を示している。ウェブ32,32は、フランジ31,31の幅方向中央部同士を繋ぐように配置されており、かつ、接続プレート12を挿入可能な間隔をあけて平行に対向している。
【0037】
なお、横材用押出形材を第一横材1cや下繋ぎ材4などとして使用する際には、押出方向を法線とする平面に沿って切断するとともに、フランジ31の幅方向中央部を切除して切欠き33を形成する。切欠き33,33を形成すると、接続プレート12をウェブ32,32の間に挿入できるようになる。
【0038】
横材用押出形材を弦材用押出形材に接合するには、ウェブ32,32の間に接続プレート12を挿入し、ウェブ32,32と接続プレート12を貫通するボルトBによって両者を締結すればよい。
【0039】
本実施形態に係る骨組構造体Fによれば、三角型トラスユニット1の第一上弦材1aが逆三角型トラスユニット2の第二下弦材2b,2bに連結されておらず、かつ、三角型トラスユニット1の第一下弦材1b,1bが逆三角型トラスユニット2の第二上弦材2aに連結されていないので、三角型トラスユニット1と逆三角型トラスユニット2とが断面四角形を呈する空間を挟んで対向するようになる。すなわち、本実施形態に係る骨組構造体Fによれば、鉛直方向の変形性能に大きく寄与する弦材の本数が変わらないので、建築物等で支配的な荷重となる鉛直方向荷重(例えば、積載荷重や風による吹き上げ荷重等)に対しては十分な強度・剛性を有し、一方、三角型トラスユニット1と逆三角型トラスユニット2との間を繋ぐラチス材が不要となるので、従来の骨組構造体に比べてラチス材の本数を削減することが可能となり、ひいては、骨組構造体Fの軽量化を効率的に図ることが可能となる。
【0040】
また、三角型トラスユニット1および逆三角型トラスユニット2は、独立した状態(互いに連結されていない状態)であっても、構造的に安定しているので、工場で組み立てた三角型トラスユニット1または逆三角型トラスユニット2を構造的に安定した状態で輸送することができる。さらに現場においては、三角型トラスユニット1および逆三角型トラスユニット2が順次架設されることになるところ、それぞれが構造的に安定していて、組立途中の段階でも、安定した構造を順次得ることが可能となるので、施工が容易であり、組立の最終段階でファスナーの締め付けが可能である。このように、骨組構造体Fによれば、組立作業が容易となり、接合箇所や接合方法も明快となる。
【0041】
また、独立した状態の三角型トラスユニット1または逆三角型トラスユニット2を、それぞれ単純梁として所定位置に設置することができるので、支保工等の仮設部材を削減もしくは省略することが可能となる。なお、独立した状態の三角型トラスユニット1および逆三角型トラスユニット2を上繋ぎ材3および下繋ぎ材4で連結することにより、一体となった大きな骨組構造体Fを得ることができ、したがって、横方向の荷重(例えば、地震力や横風など)に対しても強い構造となる。
【0042】
また、三角型トラスユニット1および逆三角型トラスユニット2は、単独でも安定しているので、予期せぬ事象により一方のトラスユニットの部材に破断や損傷が発生しても、他方のトラスユニットの安定性に影響が及ぶことはなく、したがって、骨組構造体Fの全体崩壊が発生し難くなる。
【0043】
また、本実施形態では、第一横材1dの延長線上に下繋ぎ材4を位置させ、第二横材2dの延長線上に上繋ぎ材3を位置させているので、三角型トラスユニット1と逆三角型トラスユニット2との間の力のやり取りが、各トラスユニット1,2の節点部を介して行われるようになる。
【0044】
本実施形態では、第一上弦材1a、第一下弦材1b、第二上弦材2aおよび第二下弦材2bを、同一の押出形材(弦材用押出形材)にて構成しているので、各弦材の生産効率が高まり、コスト削減を図ることが可能になる。
【0045】
加えて、本実施形態では、第一ラチス材1cおよび第二ラチス材2cを同一の押出形材(ラチス材用押出形材)にて構成するとともに、第一横材1d、第二横材2d、上繋ぎ材3および下繋ぎ材4を、同一の押出形材(横材用押出形材)にて構成しているので、各部材の生産効率が高まり、コスト削減を図ることが可能になる。
【0046】
なお、本実施形態では、三角型トラスユニット1の第一横材1dとして、第一下弦材1bに対して垂直に交差する直交タイプの第一横材1dを使用したが、図6に示すように、第一下弦材1bに対して斜めに交差する斜交タイプの第一横材1dを使用してもよい。なお、図6は、三角型トラスユニットの下面図であるが、第一横材1dの配置が明りょうになるよう、第一上弦材と第一ラチス材の図示を省略している。図6では、直交タイプの第一横材1dと斜交タイプの第一横材1dとが交互に配置されていて、第一下弦材1b,1bと第一横材1d,1d,…とによって平面トラス構造が形成されている。なお、図示は省略するが、水平タイプの第一横材1dを省略し、斜交タイプの第一横材1dのみを配置してもよい。また、逆三角型トラスユニット2の第二横材として、第二上弦材2aに対して斜めに交差する斜交タイプの第二横材を使用してもよい。
【0047】
本実施形態では、一つの三角型トラスユニット1と一つの逆三角型トラスユニット2とを並設した場合を例示したが、三角型トラスユニット1および逆三角型トラスユニット2の数を限定する趣旨ではない。例えば、図7の(a)に示すように、一の逆三角形トラス2を挟んで両側に三角型トラスユニット1,1を並設してもよいし、図示は省略するが、一の三角型トラスユニット1を挟んで両側に逆三角型トラスユニット2を並設してもよい。また、図7の(b)に示すように、複数の三角型トラスユニット1,1,…と複数の逆三角型トラスユニット2,2,…とを交互に並設してもよい。
【0048】
本実施形態では、ホロー形材で弦材、ラチス材、横材、繋ぎ材を形成する場合を例示したが、セミホロー形材やソリッド形材で形成しても勿論差し支えない。また、本実施形態では、アルミニウム合金製の押出形材で弦材、ラチス材、横材、繋ぎ材を形成する場合を例示したが、押出形材に代えて、鋼材や木材などを使用しても差し支えない。
【0049】
本実施形態では、ボルトBを利用して部材同士を接合した場合を例示したが、接合方法を限定する趣旨ではない。各部材を溶接、嵌合、かしめ等の手段により接合しても勿論差し支えない。
【符号の説明】
【0050】
F 骨組構造体
1 三角型トラスユニット
1a 第一上弦材
1b 第一下弦材
1c 第一ラチス材
1d 第一横材
2 逆三角型トラスユニット
2a 第二上弦材
2b 第二下弦材
2c 第二ラチス材
2d 第二横材
3 上繋ぎ材
4 下繋ぎ材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三角型トラスユニットと逆三角型トラスユニットとを並設してなる骨組構造体であって、
前記三角型トラスユニットは、一条の第一上弦材と、前記第一上弦材の長手方向に沿って並設された二条の第一下弦材と、前記第一上弦材と前記各第一下弦材とを繋ぐ複数の第一ラチス材とを有し、
前記逆三角型トラスユニットは、一条の第二下弦材と、前記第二下弦材の長手方向に沿って並設された二条の第二上弦材と、前記各第二上弦材と前記第二下弦材とを繋ぐ複数の第二ラチス材とを有し、
前記第一上弦材と一方の前記第二上弦材とが上繋ぎ材を介して連結されており、
一方の前記第一下弦材と前記第二下弦材とが下繋ぎ材を介して連結されており、
前記第一上弦材と前記第二下弦材とが連結されておらず、かつ、前記第一下弦材と前記第二上弦材とが連結されていないことを特徴とする骨組構造体。
【請求項2】
前記三角型トラスユニットは、前記第一下弦材同士を繋ぐ複数の第一横材を有し、
前記逆三角型トラスユニットは、前記第二上弦材同士を繋ぐ複数の第二横材を有し、
前記各第一横材の延長線上に前記下繋ぎ材が位置し、前記各第二横材の延長線上に前記上繋ぎ材が位置していることを特徴とする請求項1に記載の骨組構造体。
【請求項3】
前記第一上弦材、前記第一下弦材、前記第二上弦材および前記第二下弦材は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、かつ、同一の断面形状を具備していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の骨組構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−219466(P2012−219466A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84391(P2011−84391)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(500538715)株式会社住軽日軽エンジニアリング (58)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)