説明

高吸水性複合シートおよび吸収体物品

【課題】簡便なプロセスで製造することができ、実用上の問題がなく、十分な液体吸収機能を保持しつつ、液体成分と固形成分とを効率よく処理し得る高吸水性複合シート、およびこの高吸水性複合シートを有する吸収体物品を提供する。
【解決手段】液体成分の吸収能を有するSAP担持層と、該SAP担持層上に積層された、親水性を有する吸収拡散層と、該吸収拡散層上に積層された、耐水性を有する疎水性表面層と、を有する高吸水性複合シートであって、前記SAP担持層、前記吸収拡散層および前記疎水性表面層は、一体化されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高吸水性複合シート、およびこの高吸水性複合シートを有する吸収体物品に係り、詳しくは、耐水性の表面を有する高吸水性複合シート、およびこの高吸水性複合シートを有する吸収体物品に関する。
【背景技術】
【0002】
紙おむつ、ナプキン、大人用失禁用品などの吸収体物品において、ムレやカブレを防ぐ対策は必須となっているとともに、使用後の処理をいかに簡便にまた衛生的に行うかも重要な商品設計のポイントとなってきている。
【0003】
そのための手段として、尿と便とを分離する機能をもったおむつが提案されている(特許文献1乃至6参照)。これらの方法としては、吸収体物品の表面の前部に尿用の開口を、後部に便用の開口をそれぞれ設けて、尿と便とを別々に収容する方法や、中央部付近に仕切部材(尿便セパレーター)を設け、前後に尿・便を分離処理する方法等が挙げられる。
【0004】
しかしながら、実態的には、尿の排出回数が多いため、おむつは、本来、尿の吸収を主目的として設計されているといえよう。このため、単に前後に吸収体を仕切って、前部を尿専用、後部を便専用とするのでは、尿の吸収機能を大きく減少させてしまうことになる。そこで、尿の吸収機能を確保することを目的として、特許文献5は、吸収体の後部に第二防漏体を設け、第二防漏体の下部に尿吸収層とし、第二防漏体の上部を便の収納スペースとするという、いわば二階建ての構造とした吸収体物品を開示する。これにより、尿の吸収量・収容量を減らすことなく、尿と便とを分離して処理することが可能となる。しかしながら、このような構成であると、第二防漏体と吸収層とが別々に必要となり、吸収体物品においてかさばる構成となり、吸収体物品のコンパクト化の点で、問題があった。また、このような構成であると、製造の点でも、煩雑なものとなるという問題があった。
【0005】
また、尿の吸収体への吸収方式として、従来は、吸収体物品の表面から順に、液透過性の表面シート、液を分配する機能を有するアクイジッション層および吸収体を設けた構造を採用することにより、尿を物品の上方から下方へと移動させる方式を採用していた。一方、特許文献6は、吸収体前部の表面を液不透過性のサーフェスシートで被覆し、両サイドに液の通路を設けた構成を採用した吸収体製品を開示する。このような構成を採用することにより、尿などの液体は、吸収体製品の表面から両サイドの通路を介してバックシート側に移動した後、バックシート側から吸収体製品の表面側へと吸収されることとなる。しかしながら、このような構成では、吸収体製品の表面から吸収体側への尿などの液体の流動性の点で、実用上、問題があった。
【特許文献1】特開平6−327715号公報
【特許文献2】特表平9−510384号公報
【特許文献3】特表平9−510385号公報
【特許文献4】特開平11−113958号公報
【特許文献5】特開2006−055308号公報
【特許文献6】国際公開第2004/052257号パンフレット
【特許文献7】国際公開第02/065965号パンフレット
【特許文献8】特開2006−116157号公報
【特許文献9】特願2006−11855号公報
【特許文献10】特開2002−20957号公報
【特許文献11】特開2003−103677号公報
【特許文献12】特開2003−103740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、簡便なプロセスで製造することができ、実用上の問題がなく、十分な液体吸収機能を保持しつつ、液体成分と固形成分とを効率よく処理し得る高吸水性複合シート、およびこの高吸水性複合シートを有する吸収体物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による高吸水性複合シートは、液体成分の吸収能を有するSAP担持層と、該SAP担持層上に積層された、親水性を有する吸収拡散層と、該吸収拡散層上に積層された、耐水性を有する疎水性表面層と、を有する高吸水性複合シートであって、前記SAP担持層、前記吸収拡散層および前記疎水性表面層は、一体化されていることを特徴とする。これにより、高吸水性複合シートにおける尿などの液体成分の移動・拡散が安定に行われ、便などの固形成分が高吸水性複合シートの表面に受容されるとともに、液体成分と固形成分とが分離して収納されつつ、SAP担持層による液体成分の吸収を効率よく行うことが可能となる。
【0008】
本発明による高吸水性複合シートにおいて、前記疎水性表面層の耐水圧は、50mmHO以上であることを特徴とする。これにより、便を安定にその表面に受容するとともに、高吸水性複合シートの表面におけるX−Y方向への液体成分の移動・拡散が促進される。
【0009】
本発明による高吸水性複合シートにおいて、前記疎水性表面層の耐水圧は、100mmHO以上であることを特徴とする。これにより、便の受容をさらに安定化し、高吸水性複合シートの表面におけるX−Y方向への液体成分の移動・拡散がさらに促進される。
【0010】
本発明による高吸水性複合シートにおいて、前記疎水性表面層の表面上に、さらに親水性で液透過性を有する表面拡散層を有することを特徴とする。これにより、上述に加え、高吸水性複合シートの表面における液体成分の移動・拡散がより一層均一化される。
【0011】
本発明による高吸水性複合シートにおいて、前記疎水性表面層は、液透過ゾーンを有することを特徴とする。これにより、高吸水性複合シートのZ方向、すなわち高吸水性複合シートの表面からSAP担持層へと至る液体成分の通路が確保され、結果として、液体成分を、高吸水性複合シートの表面からSAP担持層へと容易に導くことが可能となる。
【0012】
本発明による高吸水性複合シートにおいて、前記液透過ゾーンは、開口状を呈していてもよく、前記液透過ゾーンは、スリット状を呈していてもよく、前記液透過ゾーンは、界面活性剤による親水化処理されたものであってもよい。
【0013】
また、本発明による吸収体物品は、着用者の身体から離れて配置された、液不透過性を有する底面防漏体と、該底面防漏体から前記着用者の身体側に配置された、上述の高吸水性複合シートとを有する吸収体物品であって、前記高吸水性複合シートは、前記疎水性表面層の表面が前記着用者の身体に向くように、配置されていることを特徴とする。これにより、高吸水性複合シートにおける尿などの液体成分のX−Y方向への移動・拡散が起こり、便などの固形成分が高吸水性複合シートの表面に受容されるとともに、液体成分と固形成分とが分離して収納されつつ、SAP担持層による液体成分の吸収を効率よく起こすことが可能となる。
【0014】
本発明による吸収体物品において、前記高吸水性複合シートと、前記底面防漏体との間に、液体成分の吸収能を有する吸収体をさらに有することを特徴とする。これにより、上述に加え、液体成分の吸収能力が増強される。
【0015】
本発明による吸収体物品において、前記高吸水性複合シートは、前記着用者の身体の背側に対応する後身頃部分から前記着用者の身体の股部分に対応する中央部分までにのみ配置されていることを特徴とする。これにより、上述の効果を得つつ、着用者の解剖学的特徴に応じた構成とすることができる。
【0016】
本発明による吸収体物品において、前記高吸水性複合シートの表面に接するように、液透過性を有するガイドシートをさらに有することを特徴とする。これにより、上述に加え、高吸水性複合シートの表面におけるX−Y方向への液体成分の拡散・移動がさらに促進される。
【0017】
本発明による吸収体物品において、前記ガイドシートは、当該吸収体物品の前身頃部分にのみ配置されていることを特徴とする。これにより、上述に加え、尿などの液体成分の排出が集中する箇所において高吸水性複合シートの表面におけるX−Y方向への液体成分の移動・拡散がさらに促進される。
【0018】
本発明による吸収体物品において、前記高吸水性複合シートの上方に配置されるように、便処理シートをさらに有することを特徴とする。これにより、上述に加え、水分含有量が高く、流動性のある軟便の安定処理が可能となる。
【0019】
本発明による吸収体物品において、前記着用者の身体の股部分に対応する中央部分に、尿便分離ユニットをさらに有することを特徴とする。これにより、上述に加え、液体成分と固形成分との混合を防止する効果がさらに促進される。
【発明の効果】
【0020】
本発明による高吸水性複合シートによれば、この高吸水性複合シートの表面における液体成分の残存を回避し、この液体成分と便などの固形成分との混合を防止しつつ、液体成分の吸収能力を最大限に発揮させることが可能となる。
【0021】
また、本発明による吸収体物品によれば、ムレやカブレに繋がる着用者に接する吸収体物品表面における液体成分の残存を回避し、この液体成分と便などの固形成分との混合を防止しつつ、液体成分の吸収能力を最大限に発揮させることが可能となる。その結果、着用者の装用感が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明による高吸水性複合シートおよび吸収体物品を、添付図面に示す好適実施形態に基づいて、詳細に説明する。
【0023】
本発明は、表面層とSAP担持層とから複層構成されてなる高吸水性複合シートにおいて、表面層を耐水性の大きい疎水性シートから構成した多機能高吸水性複合シートを用意し、これを吸収体として吸収体物品に組み込むことにより、前部からは液不透過性のサーフェスシートの利点によって尿の吸収を効率的に行うことを可能とし、後部には上述の従来技術で言及した第二防漏体の利点によってそのままその表面に便の収容機能を持つよう吸収体物品を提案するものである。
【0024】
このような構成は、着用者に近い側からトップシート、吸収体およびバックシートを有するように構成された従来公知の吸収体物品とは、構造的にも、機能的にも、明らかに相違するものである。
【0025】
つまり、この従来公知の吸収体物品では、着用者から排出された尿などの液体成分は、吸収体物品の上下方向に移動することで、トップシートを介して吸収体に吸収されることとなる。
【0026】
一方、本発明では、着用者から排出された尿などの液体成分は、高吸水性複合シートの表面でX−Y方向に移動・拡散した後、最下層のSAP担持層にまで移動し、高吸水性複合シートの最下部から上方に向かって液体成分の吸収が起こる。また、着用者から排出された便などの固形成分は、高吸水性複合シートの表面に受容される。このような移動・拡散・吸収・受容により、従来採用されていたトップシートや、さらには吸収体被覆シートを用いる必要がなくなる。
【0027】
また、本発明によれば、高吸水性複合シートの最下層に配置されたSAP担持層に吸収された液体成分と、高吸水性複合シートの表面に受容された固形成分との混合が防止される。このことから、従来採用されていた、第二防漏体を用いた二階建ての構造を採用する必要がなくなる。
【0028】
なお、本発明において、本発明による吸収体物品を実際に着用した場合に、着用者の肌に近い側を「上」ともいい、着用者の肌から遠い側を「下」ともいう。また、本発明による吸収体物品を実際に着用した場合に、着用者の身体の腹側に対応する側を「前」ともいい、背中側に対応する側を「後」ともいう。また、各図中、理解を容易にするために、実際には接触している部材を離間させて示すことがある。
【0029】
(本発明による高吸水性複合シート)
図1は、本発明による高吸水性複合シートの一例を示す図であって、疎水性表面層、SAP担持層および吸収拡散層が配置された高吸水性複合シートの断面を示す図である。本発明による高吸水性複合シート10は、耐水性を有する疎水性表面層12と、親水性を有する吸収拡散層14と、液体成分の吸収能を有するSAP担持層16とが一体に成形された構造を有する。
【0030】
高吸水性複合シートにおける各層の演ずる役割についてまず説明する。
【0031】
疎水性表面層12の役割は、疎水性表面層の表面を、尿などの液体成分の表面拡散・移動面として機能させることにある。また、疎水性表面層の他の役割は、疎水性表面層の表面を、便などの固形成分の受容面として効率的に働かせることにある。
【0032】
吸収拡散層14の役割は、吸収拡散層において、体液などの液体成分を、高吸水性複合シートのX−Y方向に拡散させて、SAP担持層の有する吸収能力を効率的に発揮させることにある。このように、吸収拡散層に存在する液体成分としては、例えば、高吸水性複合シートの下部のSAP担持層から溢れ浸透してくる体液などの液体成分が挙げられる。また、吸収拡散層14の付加的な効果としては、SAP担持層に含まれる粉塵に類似したSAPの微粒子が物理的に疎水性表面層に透過移動してくるのを防ぐ、フィルターとしての効果もある。このことは、本発明による高吸水性複合シートの使用時だけでなく、高吸水性複合シートの製造時においても、顕著な効果であると言える。
【0033】
SAP担持層16の役割は、この層に担持するSAPの吸収膨潤現象を充分に利用し、体液の吸収・固定化を図ることである。
【0034】
本発明において、原理的には、疎水性表面層と、SAP担持層との2層構成のみで高吸水性複合シートを構成することも可能であるが、この2層の効果、特にSAP担持層の有する吸収能力の利用効率を高めるためには、吸収拡散層を備えた3層構成がより望ましい構成である。
【0035】
疎水性表面層の材料としては、PE、PP、EVA、PET系の樹脂やエラストマーからなるフィルムやネット、あるいはPE繊維、PP繊維、PET繊維、PE/PET複合繊維、アセテート繊維等の疎水性化合繊繊維からなる不織布や開繊トウ等などが挙げられる。なかでも、耐水性の点で、合繊系不織布が好ましく、PE、PP系のスパンボンドやメルトブローンあるいはその複合体であるSMS等のスパンメルト不織布がさらに好ましい。
【0036】
疎水性表面層の耐水性としては、50mmHO以上の耐水圧を有することが好ましく、100mmHO以上であることがより好ましい。この耐水圧の上限としては、エラストマー、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムと織布のラミネート品などの、防水シートと織布の複合シート防漏体のような高度な耐水性は有してもよいが、例えば、500mmHO以下であってもよい。目付としては、8〜50g/m、コストや柔軟性等を配慮すると12〜20g/mのものが選択される。
【0037】
吸収拡散層の材料としては、親水性を有するものであれば、特に制約はない。なかでも、濡れやすく毛細管移動効果の大きい親水性のシートや不織布が好ましい。代表的なものはティシュペーパー、レーヨン、リヨセルやコットン等が混合された乾式・湿式不織布、TCF(二村化学)、ベンリーゼ(旭化成)等のセルロース系スパンボンド等が好んで用いられる。吸収拡散層の目付は、特に制限がないが、コスト等を考慮すると、50g/m以下であることが望ましい。
【0038】
SAP担持層としては、SAP(super absorbent polymer)などの液体成分に対して吸収性を有する粒子を有する層構造であれば、特に制約はない。例えば、不織布にSAP粒子を包含させたり、ホットメルト等でSAPを固定させたり、また不織布にアクリル酸モノマーを含浸あるいはスプレーした後に重合させたSAPシート、あるいはパルプ層にSAPを混合してシート状に成形したエアレイドマット等が用いられるが、SMS/ティシュ/カードウェブという構成の積層ウェブのカードウェブ側にSAPスラリーをコーティングし脱溶媒の後乾燥させて疎水性表面層/吸収拡散層/SAP担持層を一体的に製造してもよい。
【0039】
本発明による高吸水性複合シートを構成するSAP担持層において、SAP粒子の存在形態は、SAP担持層の吸収特性を発揮し得るものであれば、特に限定されるものではない。例えば、図1(A)に示すように、ポリエチレンテレフタレートからなる繊維ウェブに、SAPを部分的に担持させたものであってもよい。また、図1(B)に示すように、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート複合繊維からなる繊維ウェブに、SAPを全面に担持させたものであってもよい。また、図1(C)に示すように、ポリエステルからなる繊維ウェブに、SAPをホットメルト法で固定化して担持したものであってもよい。また、図1(D)に示すように、木材フラッフパルプに、SAPを混合しプレス固定して担持させたものであってもよい。
【0040】
なお、本発明による高吸水性複合シートを構成するSAP担持層において、「担持」とは、SAP担持層のSAP以外の成分にSAPが包含・固定化されている状態を総称するものであって、ホットメルト法による固定、プレス法による固定、コーティングによる固定、エアレイド法による固定、木材パルプ層による固定などを含む。
【0041】
本発明による高吸水性複合シートの成形方法としては、疎水性表面層と、吸収拡散層と、SAP担持層とを一体化し得る方法であれば、特に制約はない。例えば、不織布の製造工程で使用されるような全面融着若しくは部分的熱融着によって3層を一体化する方法、または水流交絡法などによって3層を一体化する方法などが挙げられる。また、Airlaid法でSAP・パルプ混合体/ティシュとの2層複合体を作っておき、別工程でその上にSMS等の疎水性表面層を接合して3層構造とする方法等も採用される。
【0042】
このように、疎水性表面層と、吸収拡散層と、SAP担持層とを一体化することにより、上述したような3層のそれぞれの役割が有機的に発揮されるようになり、結果として、SAP担持層の吸収特性を最大限に発揮させることが可能となる。つまり、疎水性表面層の表面に供給された尿などの液体成分は、高吸水性複合シートの表面のX−Y方向に拡散・移動し、大部分は高吸水性複合シートの下面に移動し、この下面からSAP担持層側へ接触し、このSAP担持層において吸収されることとなるが、一方で、SAP担持層側へ移動した液体成分の一部は、毛細管現象などの移動力によりSAP担持層を越えて、疎水性表面層と吸収拡散層とで構成される領域、および/または吸収拡散層とSAP担持層とで構成される領域に達する。これらの領域に達した液体成分は、これらの層が一体化されていることから、SAP担持層による吸収を受けるまで、これらの領域を通じてX−Y方向にさらに拡散されるとともに、この領域で一時的に貯溜されることとなる。従って、SAP担持層による液体成分の吸収は、高吸水性複合シートの下面側から起こるだけでなく、SAP担持層の吸収拡散層側からも起こることとなる。これらのことから、本発明による高吸水性複合シートは、一体化されることにより、十分な吸収能力を発揮し得る。
【0043】
なお、本発明による高吸水性複合シートは、図1の(A)に示すように、疎水性表面層として耐水圧150mmHOのSMS(目付:13g/m)を、吸収拡散層としてティシュ(目付:15g/m)を、SAP担持層としてPET(7d×51mm)ウェブ(目付:30g/m)に、SAPを部分的に200g/mになるように担持させたものを3層一体化したものであってもよい。
【0044】
また、本発明による高吸水性複合シートは、図1の(B)に示すように、疎水性表面層として耐水圧120mmHOのSMS(目付:11g/m)を、吸収拡散層としてティシュ(15g/m)を、SAP担持層としてPE/PET複合繊維(3d×51mm)ウェブ(目付:30g/m)に、SAPを全面に150g/mになる量に担持させたものを3層一体化したものであってもよい。
【0045】
また、本発明による高吸水性複合シートは、図1の(C)に示すように、疎水性表面層としてSMS(13g/m)を、吸収拡散層としてティシュ(15g/m)を、SAP担持層としてはポリエステルウェブ全体に粒状SAPをホットメルトで固定し、150g/m相当を担持させたものを3層一体化させた構造としたものであってもよい。
【0046】
また、本発明による高吸水性複合シートは、図1の(D)に示すように、疎水性表面層として耐水圧50mmHOのSB(15g/m)を、吸収拡散層としてレーヨンスパンレース(20g/m)を、SAP担持層として木材パルプとSAPとが50/50になるように混合しプレス固定して300g/mになるようにSAPを担持させたマットを3層一体化したものであってもよい。
【0047】
本発明による高吸水性複合シートにおいて、上記の構成に加え、疎水性表面層の表面に表面拡散層が配置されてもよい。その態様を図2に示す。図2は、本発明による高吸水性複合シートの一例を示す図であって、疎水性表面層、SAP担持層および吸収拡散層の構成に、さらに疎水性表面層の表面に表面拡散層を組み合わせた高吸水性複合シートの断面を示す図である。この構成は、上述の高吸水性複合シートにおいて、3層構造の高吸水性複合シートの表面に、さらに表面拡散層を配したものである。
【0048】
表面拡散層としては、液透過性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、化合繊系繊維からなる不織布や、開口フィルムが挙げられる。なかでも、おむつやナプキンなど、吸収体物品のトップシートやスキンコンタクトシートとして用いられるようなレーヨン、コットンなどの親水性繊維を含むスパンレースや乾式不織布、界面活性剤で表面親水化処理されたポリエチレン製、ポリエステル製、ポリプロピレン製などの液透過性の化合繊不織布や、液透過性の開口フィルム等が用いられる。
【0049】
表面拡散層の疎水性表面層への配置方法としては、疎水性表面層の表面に部分的または全体的に固定される方法であれば、特に限定はない。
【0050】
表面拡散層を設けることにより、高吸水性複合シートの表面におけるX−Y方向への尿などの液体成分の移動・拡散がより一層促進されることとなる。この移動・拡散については、後述する。
【0051】
なお、表面拡散層を有する本発明による高吸水性複合シートは、図2の(A)に示すように、表面拡散層としてレーヨンスパンレース(目付:20g/m)を、疎水性表面層としてSMS(13g/m)を、吸収拡散層としてティシュ(目付:15g/m)を、SAP担持層としてポリエステルウェブにSAPを部分的にコーティングして150g/m相当を担持させたものを4層一体化した構造をもつものであってもよい。
【0052】
また、表面拡散層を有する本発明による高吸水性複合シートは、図2の(B)に示すように、表面拡散層として表面親水化したポリエステル繊維からなるサーマルボンド不織布(15g/m)を、疎水性表面層として耐水圧120mmHOのSMS(目付:11g/m)を、吸収拡散層としてティシュ(15g/m)を、SAP担持層としてPE/PET複合繊維(3d×51mm)ウェブ(目付:30g/m)に、SAPを全面に150g/mになる量に担持させたものを4層一体化したものであってもよい。
【0053】
また、表面拡散層を有する本発明による高吸水性複合シートは、図2の(C)に示すように、表面拡散層としてTCF(二村化学製)(目付:20g/m)を、疎水性表面層としてSMS(13g/m)を、吸収拡散層としてティシュ(15g/m)を、SAP担持層としてポリエステルウェブ全体に粒状SAPをホットメルトで固定し、150g/m相当を担持させたものを4層一体化させた構造としたものである。
【0054】
図2の(D)は、表面拡散層として生理用ナプキンに用いられるPE開口フィルム(トレドガー社製)17g/mを、疎水性表面層としてLLDPE製フィルム(20g/m)を、吸収拡散層としてはティシュ(15g/m)を、SAP担持層としてパルプ/SAP=50/50にブレンドした後にアクリル酸バインダーで結合した280g/mのエアレイド法によるSAPシートを4層一体化させた構造をもつものである。
【0055】
本発明による高吸水性複合シートにおいて、疎水性表面層の表面に、尿などの液体成分を高吸水性複合シートのZ方向に透過し得る液透過ゾーンを設けてもよい。その態様を示したのが、図3A乃至図3D、図4A乃至図4D、および図5である。これらの図は、本発明による高吸水性複合シートにおいて、液透過ゾーンを有する例を示す平面図である。
【0056】
本発明による高吸水性複合シートは、上述の通り、疎水性の疎水性表面層を有するため、尿などの液体成分や、糞便などに含まれる液体成分の移動は、主として、疎水性表面層の表面の平面方向、つまりX方向およびY方向に起こるが、液体成分の移動を、高吸水性複合シートのZ方向に起こさせる場合、この液透過ゾーンを設けてもよい。これにより、液体成分の移動をより安定化することも可能となる。
【0057】
液透過ゾーンとしては、疎水性表面層の一部分に開口部を設けた、開口状の態様や、疎水性表面層の一部分を、ノニオン系、カチオン系、アニオン系、ベタイン系などの界面活性剤で親水化処理した態様などが例示される。
【0058】
液透過ゾーンの形状としては、特に限定されるものではなく、スリット状(図3Aおよび図4A、並びに図3Cおよび図4C)、帯状(図3Bおよび図4B)、円形(図3Dおよび図4D)、線状(図5)などが例示される。また、液透過ゾーンは、単一箇所(3Aおよび図4A、並びに図3Bおよび図4B)に設けてもよく、複数箇所(図3Cおよび図4C、図3Dおよび図4D並びに図5)に設けてもよい。また、液透過ゾーンの分布状態としては、特に限定はないが、図3Dおよび図4D、並びに図5のように、均一/等間隔に配置されたものであってもよい。また、液透過ゾーンは、高吸水性複合シートのどちらか一端側に配置されてもよく(図3A乃至図3D、および図4A乃至図4D)、高吸水性複合シートの全体に渡って配置されてもよい(図5)。
【0059】
具体的には、液透過ゾーンは、図3Aに示すように、高吸水性複合シートを吸収体物品に設けた際に、吸収体物品の前身頃部分の前部から、吸収体物品の中央部に至る箇所に縦長帯状で設けられてもよく、図3Bに示すように、前身頃の前部に横長帯状で設けられてもよく、図3Cに示すように、前身頃の2箇所に短い帯状で設けられてもよく、図3Dに示すように、前身頃の全体に均一にスポット状で設けられてもよい。
【0060】
また、液透過ゾーンは、高吸水性複合シートを吸収体物品に設けた際に、吸収体物品の後部、つまり後身頃に相当する箇所に設けられてもよい。この態様は、糞便などに含まれる液体成分がZ方向に透過され得るようにする場合に有効である。
【0061】
具体的には、図4Aに示すように、後身頃部分の後部から中央部に至る箇所に縦長帯状で設けられてもよく、図4Bに示すように、後身頃の後部に横長帯状で設けられてもよく、図4Cに示すように、後身頃の2箇所に短い帯状で設けられてもよく、図4Dに示すように、後身頃の全体に均一にスポット状で設けられてもよい。
【0062】
また、液透過ゾーンは、図5に示すように、高吸水性複合シートの全長の長手方向に渡って線状に設けられてもよい。この態様は、高吸水性複合シートを吸収体物品に設けた際、吸収体物品の前身頃から後身頃までに相当する箇所に配置されるものである。
【0063】
液透過ゾーンは、上述の態様のそれぞれを適宜組み合わせて設けられてもよい。
【0064】
(本発明による吸収体物品)
図6Aおよび図6Bは、本発明による吸収体物品の一例を示す概略図であって、(a)は、その平面図を示し、(b)は、線Y−Y’に沿った断面図を示す。本発明による吸収体物品は、いわゆるバックシートなどの液不透過性を有する底面防漏体112と、上記の本発明による高吸水性複合シート10とを有し、高吸水性複合シート10の疎水性表面層12が着用者の身体に向くように配置されていることを特徴とする。従って、図6Aおよび図6Bの各(a)において、高吸水性複合シート10は、この高吸水性複合シートの疎水性表面層12が見えていることとなる。
【0065】
底面防漏体112としては、液不透過性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、PE、PP、PET、EVA等の樹脂のフィルムや、発泡シート等の体液不透過性シートなどが挙げられる。また、これらの材料を有する複層シートを用いてもよく、複層シートとしては、比較的低目付のSB、SMS、サーマルボンド等の不織布と、上記のフィルムまたはシートとを組み合わせたものであってもよい。
【0066】
高吸水性複合シート10としては、上述の本発明による高吸水性複合シートの全ての形態を採用し得る。本発明による吸収体物品において、高吸水性複合シート10は、着用者の身体に近い側に配置されていれば、どのような態様で配置されていてもよく、例えば、図6Aに示すように、吸収体物品の長さ方向の略全体を覆うように配置されてもよく、図6Bに示すように、着用者の後部側、つまり背側に対応する後身頃部分から、着用者の身体の股部分に対応する中央部分までにのみ配置されてもよく、図示していないが、着用者の身体の腹側に対応する前身頃部分から中央部分までにのみ配置されてもよい。
【0067】
このような構成を採用することにより、吸収体物品を構成する高吸水性複合シートの表面において、尿など、または糞便などに含まれる液体成分が高吸水性複合シートの平面方向に移動・拡散し、高吸水性複合シートの底面防漏体側に設けられたSAP担持層により、吸収されることとなる。高吸水性複合シートの表面における液体成分の移動・拡散については、後述する。
【0068】
なお、図6Aおよび図6Bにおいて、高吸水性複合シート10は、疎水性表面層12と、吸収拡散層14と、SAP担持層16とからなるように示されているが、その他の構成、例えば、表面拡散層22を設けた高吸水性複合シートも、採用され得る。
【0069】
本発明による吸収体物品において、液体成分の吸収能を向上させる目的で、高吸水性複合シート10と底面防漏体112との間に、吸収体114をさらに設けてもよい。吸収体114の配置形態としては、上述の目的の限り、特に制約はなく、図6Aおよび図6Bに示すように、吸収体物品の全長に渡って配置されてもよく、液体成分の吸収能の向上を所望する箇所にのみ配置されてもよい。
【0070】
吸収体としては、液体成分を吸収し得るものであれば、特に制限されない。例えば、粉末状の木材パルプ、加工/無加工のSAPを、不織布、合繊維等の基材に含有させた構成が挙げられ、上述の本発明による高吸水性複合シートにおけるSAP担持層の構成を用いてもよい。なかでも、形態安定性、脱落を回避し得る点で、化合繊の不織布にSAP粒子を混合した不織布/SAP混合体や、シート状吸収体であってもよい。
【0071】
本発明による吸収体物品において、着用時の表面感触の向上を目的として、着用者に接するように、液透過性を有するスキンコンタクトシート116を設けてもよい。特に、スキンコンタクトシート116は、図6Bに示すように、スキンコンタクトシートの一端が高吸水性複合シート10と底面防漏体112との間に配置されつつ、スキンコンタクトシートの他端が吸収体114上に配置されてもよい。
【0072】
スキンコンタクトシートとしては、液体成分の透過性を有する材料からなるものであれば、特に制限されない。例えば、従来公知のトップシートを用いることができる。スキンコンタクトシートの材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、アセテート等の化合成繊維製や、レーヨン、コットンなどの親水性繊維などが挙げられる。また、スキンコンタクトシートの形態としては、これらの材料を適宜組み合わせて得られる不織布、乾式/湿式不織布などが挙げられる。
【0073】
本発明による吸収体物品において、着用者の装着感の向上等を目的として、伸縮性を有するインナーギャザー122およびアウターギャザー124、着用者への吸収体物品の装着を確実にするウェストバンド126等を適宜設けてもよい。
【0074】
本発明による吸収体物品において、高吸水性複合シートの疎水性表面層側、つまり着用者側に、高吸水性複合シートの表面での液体成分の移動・拡散を促進する目的で、ガイドシート132を設けてもよい。本発明による吸収体物品において、高吸水性複合シートが表面拡散層を有しない場合には、ガイドシートは、疎水性表面層上に配置されることとなり、高吸水性複合シートが表面拡散層を有する場合には、ガイドシートは、表面拡散層上に配置されることとなる。これらの態様を示したのが、図7である。図7は本発明による吸収体物品において、高吸水性複合シートの表面における液体成分の移動・拡散を説明する部分模式図であって、図の左側は、その平面図を示し、右側は、左側の図の両矢印x−xに沿った断面図を示す。図7中、(A)は、高吸水性複合シートの表面に疎水性表面層を設けた場合を示す図であり、(B)は、(A)の疎水性表面層の表面にガイドシートを設けた場合を示す図であり、(C)は、高吸水性複合シートの表面に表面拡散層を設けた場合を示す図であり、(D)は、(C)の表面拡散層の表面にガイドシートとを設けた場合を示す図である。
【0075】
本発明による吸収体物品において、高吸水性複合シートの表面近傍における液体成分の移動・拡散の現象について、説明する。なお、説明の便宜上、部材、吸収体または製品の厚さに直交する平面、つまり高吸水性複合シートの平面に沿った方向をX−Y方向と称し、X−Y方向のうち、部材または製品の幅および長さ、つまり高吸水性複合シートの幅および長さに対応する方向を、それぞれX方向およびY方向と称し、部材または製品の幅および長さに対して略直交する方向、つまり高吸水性複合シートの幅および長さに対して略直交する方向のうち、高吸水性複合シートの疎水性表面層側からSAP担持層側へと至る方向をZ方向と称する。
【0076】
図7の(A)を参照すると、本発明による吸収体物品において、着用者から排出された尿などの液体成分Lは、高吸水性複合シート10の疎水性表面層12の表面に到達すると、疎水性表面層12の表面が有する耐水性によって、Z方向に移行することなく、X−Y方向へと移動・拡散が起こる。
【0077】
移動・拡散された液体成分は、高吸水性複合シート10の主として側端部に到達した後にZ方向に移動して、経時的にSAP担持層に吸収される。このような本発明における液体成分の吸収の態様は、透過性の表面シートと吸収体とを組み合わせた構造を有する従来の吸収体製品では実現され得ないものである。つまり、このような従来の吸収体製品では、液体成分が供給されると、この成分は、表面シートをまずZ方向に透過し、吸収体に移動してからX−Y方向に拡散する。しかしながら、本発明による吸収体物品においては、X−Y方向への移動・拡散が先に起こり、続いて、SAP担持層による吸収が起こる。なお、図7の(B)乃至(D)に示す態様においても、このように移動・拡散された液体成分は、同様にして、経時的にSAP担持層に吸収されることから、説明は割愛する。
【0078】
本発明による吸収体物品において、(A)の構成の疎水性表面層12の表面上にガイドシート132を設けた場合、液体成分Lは、図7(B)に示すように、ガイドシート132の表面に到達すると、ガイドシートの有する液体成分の移動・拡散を促進し得る特性によって、X−Y方向に移動・拡散される。また、移動・拡散された液体成分は、高吸水性複合シート10の疎水性表面層12にも到達し、この疎水性表面層の表面においても、上述の様式によって、移動・拡散が起こる。従って、ガイドシートを設けることにより、液体成分のX−Y方向への移動・拡散は、(A)の態様に比べ、大幅に促進されるが、疎水性表面層の表面形状に凹凸状態が存在するような場合には、ガイドシートとともに、更に後述するような液体成分を表面において拡散させる機能を有する表面拡散層を併用することが好ましい。
【0079】
次に、図7の(C)を参照すると、本発明による吸収体物品において、着用者から排出された尿などの液体成分Lは、高吸水性複合シート10の表面拡散層22の表面に到達すると、表面拡散層22が有する液体成分を移動・拡散させる特性によって、より均一に表面拡散層の表面のX−Y方向の全周に渡って移動・拡散される。また、液体成分Lは、表面拡散層22によって移動・拡散されつつ、疎水性表面層12の表面にも到達し、ここにおいても、疎水性表面層の表面に沿った移動・拡散が起こる。従って、吸収拡散層が配置された高吸水性複合シートを用いることにより、液体成分のX−Y方向への移動・拡散は、図7(A)の態様に比べ、促進される全周に渡って均一化される。
【0080】
本発明による吸収体物品において、図7(C)の構成の表面拡散層22の表面上にガイドシート132を設けた場合、液体成分Lは、図7(D)に示すように、ガイドシート132の表面に到達すると、ガイドシートの有する液体成分の移動・拡散を促進し得る特性によって、X−Y方向に移動・拡散される。この際、表面拡散層の存在により、X−Y方向への液体成分の移動は、全周に渡って均一化される。このように、ガイドシートと表面拡散層とを併用することにより、X−Y方向への移動・拡散は、図7(C)の態様に比較して大幅に促進され、図7(B)の態様に比べ、より均一化されることになる。
【0081】
以上の説明をまとめると、本発明による吸収体物品において、吸収体物品を構成する高吸水性複合シートは、高吸水性複合シートの表面のX−Y方向への液体成分の移動・拡散を促進させる点で、高吸水性複合シートの疎水性表面(疎水性表面層)に接するようにガイドシートを設ける方が、好ましい。また、本発明による高吸水性複合シートが疎水性表面層の上に表面拡散層を有する場合、この表面拡散層と接するようにガイドシートを設けて、表面拡散層とガイドシートとを併用することにより、液体成分の均一な移動・拡散は、さらに向上される。
【0082】
ガイドシート132としては、液体成分の移動・拡散を促進し得る材料/構成であれば、特に限定されるものではない。ガイドシートの材料としては、液透過性を有するものであれば、限定されない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートからなる繊維が挙げられ、これらの材料を複数採用してなる複合繊維などであってもよく、具体的には、PE/PET複合繊維、PET/PET複合繊維などが挙げられる。これらの繊維の繊度は、3d以上であってもよく、5d以上であることが好ましい。繊維の見かけ比率は、0.1g/cm以下であることが好ましい。繊維の厚さは、無荷重時に1〜5mmであることが好ましい。ガイドシートの形態としては、嵩高でしかもポーラス性の高いものが好ましい。なかでも、次のような構成をもつものが好ましく用いられる。
【0083】
1)液体分配効果を持つ液透過性開口フィルム
例えば、本発明者が提案した、特許文献7に述べられているような0.5mmφ以上の比較的大きな開口と導入管を備えたようなポリオレフィン系フィルムで好ましくは1mm以上の厚みをもったものである。液の馴染みや濡れ性を改良するため、活性剤等により表面親水化加工を施すことが望ましい。
【0084】
2)嵩高でポーラス性の高い液浸透性不織布
吸収体製品の表面部にはトップシートに接してサブレイヤーとしてエアスルー法やスポットボンド法で得られる嵩高な乾式法による不織布が、いわゆるアクイジション層として用いられている。これらのものを、本発明のガイドシートとして用いることが可能である。
【0085】
本発明による吸収体物品において、ガイドシートは、吸収体物品の適用に応じて、適宜配置されればよい。例えば、ガイドシートは、高吸水性複合シートの表面の全体を覆うように配置されてもよく、着用者の身体の腹側に対応する前身頃部分に配置されてもよく、着用者の背側に対応する後身頃部分に配置されてもよく、着用者の身体の股部分に対応する、前身頃部分と後身頃部分との間の中央部分に配置されてもよい。特に、ガイドシートは、液体成分の移動・拡散を最大限に発揮させる点で、液体成分の導入が集中する部分(例えば、前身頃部分)およびその近傍に配置することが好ましい。
【0086】
次に、本発明による吸収体物品における便などの固形成分の収納と、尿などの液体成分の吸収との関係について、便などの固形成分の収納と尿などの液体成分の吸収との両者が関係する後身頃部分の構造のモデルについて説明する。図8は本発明による吸収体物品において、高吸水性複合シートの表面における固形成分の受容と、液体成分の吸収との関係を説明する拡大模式図であって、(A)は、高吸水性複合シートとして表面拡散層を有さない場合を示し、(B)は、高吸水性複合シートとして表面拡散層を有する場合を示す。
【0087】
着用者から排出された尿などの液体成分Lおよび便などの固形成分Sのうち、液体成分Lについては、上記図7で説明した様式に従って、前身頃部分の高吸水性複合シート上に供給された尿などの液体成分は、高吸水性複合シートの下面に移動し、吸収体物品を構成する高吸水性複合シート10のSAP担持層16に吸収されつつ、後身頃部分に移動する。後身頃部分においては、便などの固形成分Sは、液体成分Lに比べて流動性が低いため、高吸水性複合シート10を構成する疎水性表面層12の表面(図8(A)参照)や、高吸水性複合シート10を構成する表面拡散層22の表面(図8(B)参照)に受容される。従って、着用者から排出された液体成分Lと固形成分Sとは、少なくとも高吸水性複合シート10を構成する疎水性表面層12を挟んで、分離して配置されることとなる。そして、液体成分Lおよび固形成分Sは、疎水性表面層12の有する耐水性、ひいては固形物を透過させない特性により、疎水性表面層12を挟んで、互いに混合されずに配置されることとなる。このように、本発明による吸収体物品において、高吸水性複合シートを使用することにより、液体成分と固形成分との混合を防止する効果が得られる。
【0088】
また、着用者から軟便などの流動性を有する排泄物が排出された場合、このような排出物中には、液体成分Lと固形成分Sとが含まれることとなる。このような場合においても、上述したように、このような排出物中に含まれる液体成分Lは、上記図7で説明した様式に従って、吸収体物品を構成する高吸水性複合シート10のSAP担持層16に吸収される。一方、このような排出物中に含まれる固形成分Sは、上記図8で説明した様式に従って、高吸水性複合シート10の表面に受容され、結果として、このような排出物中に含まれる液体成分Lおよび固形成分Sは、高吸水性複合シート10を構成する疎水性表面層12を挟んで、分離して配置されることとなる。従って、着用者から流動性を有する排泄物が排出された場合であっても、本発明による吸収体物品において、高吸水性複合シートを使用することにより、液体成分と固形成分との混合を防止する効果が得られる。
【0089】
なお、排出物中に液体成分Lと固形成分Sとが含まれる場合、水分などの液体成分が比較的少ないときには図8(B)の表面拡散層で一部濃縮されるが、より水分率の多い水様便の場合には、図4A乃至4Bに説明したようなZ方向への液透過ゾーンを設けて、このような便の濃縮を行ってもよい。
【0090】
本発明による吸収体物品のガイドシートの配置の別の態様について、図9を参照して説明する。図9は、本発明による吸収体物品の一例を示す概略図であって、(a)は、その平面展開図を示し、(b)および(c)は、それぞれ線X−X’および線X−X’に沿った断面図を示す。図9は、特にガイドシートを前身頃部分に設けた例であって、特に子ども用おむつの吸収体への応用例を示す模式図である。
【0091】
図9を参照すると、本発明による吸収体物品において、ガイドシート132は、高吸水性複合シート10に接するように配置されるとともに、ガイドシート132のX方向の両端部が高吸水性複合シート10と底面防漏体112との間に挿入されるように、配置されてもよい。つまり、ガイドシート132は、ガイドシート132のX方向の両端部が高吸水性複合シート10を構成するSAP担持層に到達するように、配置されてもよい。
【0092】
このような態様を採用することにより、ガイドシート132の表面に排出された液体成分は、ガイドシートの有する液体成分の移動・拡散の特性により、ガイドシートの表面および高吸水性複合シートの表面を上述の様式で移動・拡散した後、さらにガイドシートの有する液体成分の移動・拡散の特性により、底面防漏体112に面して配置された高吸水性複合シート10を構成するSAP担持層に到達することとなる。
【0093】
一方、ガイドシートが吸収体物品の前身頃部分にのみ配置されることにより、着用者から排出された固形成分Sは、上述の図8の様式に従って、高吸水性複合シート10の表面に収納される一方で、ガイドシートが配置されていない後身頃部分においては、高吸水性複合シートの表面が露出することになり、着用者から排出された固形成分Sは、後身頃部分に配置された高吸水性複合シート10の表面に収納される。従って、着用者から排出された固形成分Sは、図8の様式に従って、上述した着用者から排出された液体成分Lと分離して収納される。
【0094】
本発明による吸収体物品において、尿などの液体成分と便などの固形成分とを高吸水性複合シートの平面において前後に分離することを目的として、着用者の身体の股部分に対応する中央部分に尿便分離ユニットをさらに設けてもよい。その態様を示したのが、図10である。図10は、本発明による吸収体物品の一例を示す概略図であって、(a)は、その平面展開図を示し、(b)、(c)および(d)は、それぞれ線X−X’、線X−X’および線X−X’に沿った断面図を示す。図10は、上述のガイドシートと尿便分離ユニットとを設けた例であって、特に子ども用おむつの吸収体への応用例を示す模式図である。
【0095】
本発明による吸収体物品において、尿便分離ユニット134は、着用者から排出された液体成分Lと固形成分Sとが高吸水性複合シートの平面において分離し得る態様であれば、配置方法に制約はない。特に、図10に例示するように、ガイドシート132が着用者の身体の腹側に接するように吸収体物品の前身頃部分に配置し、高吸水性複合シートが着用者の身体の背側に接するように吸収体物品の後身頃部分に配置した場合、尿便分離ユニット134は、着用者の身体の股部分に対応する中央部分に配置されてもよい。
【0096】
尿便分離ユニット134の態様について、図11を参照して、説明する。図11は本発明による吸収体物品において、尿便分離ユニットの態様を説明する概略図である。
【0097】
尿便分離ユニットとは、尿便分離効果を示す尿便セパレーター、尿導入口、便導入口等の尿便分離に関わる機構を総称したものである。尿便分離ユニットとしては、上述のように、尿などの液体成分と便などの固形成分とを高吸水性複合シートの平面において分離することを目的とする限り、その態様は限定されない。従って、尿便分離ユニットとしては、耐水抵抗を有する公知の材料を用いて製造されたものが挙げられ、例えば、PEフィルムや、PEフィルムと不織布のラミネートシート、ウレタンフォーム、ポリプロピレンフォームなどの発泡シート、あるいはSMS、SBのような耐水性のあるスパンメルト不織布シートなどが挙げられる。また、上述の高吸水性複合シートの疎水性表面層を構成する材料を有するものであってもよい。
【0098】
尿便分離ユニット134の構造としては、図11に例示した態様が挙げられる。例えば、尿便分離ユニット134は、図11の(a)に示すように、吸収体物品の中央部分近傍で、高吸水性複合シート10の端部を吸収体物品の上方に持ち上げるように構成して、設けられてもよい。また、尿便分離ユニット134は、図11の(b)に示すように、耐水抵抗を有する尿便分離ユニットの一端を高吸水性複合シート10の下方に挿入し、尿便分離ユニット134の他端を吸収体物品の上方に持ち上げるようにして前方から後方に滑り台状になるように設けられてもよい。また、図11の(c)に示すように、尿便分離ユニットの一端を高吸水性複合シート10の表面上に配置し、尿便分離ユニット134の他端を吸収体物品の上方に持ち上げるようにして前方から後方に滑り台状になるように設けてもよい。また、尿便分離ユニット134は、図11の(d)に示すように、吸収体物品の中央部分近傍で、高吸水性複合シート10の端部を吸収体物品の上方で且つ後身頃部分の方に向くように持ち上げるように構成して、設けられてもよい。つまり、尿便分離ユニット134は、高吸水性複合シート10の端部を鍵状に吸収体物品の後方に折り曲げ前方部にポケットが形成されるように設けられてもよい。また、尿便分離ユニット134は、図11の(e)に示すように、耐水抵抗を有する尿便分離ユニットの一端を高吸水性複合シート10の下方に挿入し、尿便分離ユニット134の他端を吸収体物品の後身頃部分の方に向けて、図11(d)と同様に、前方部にポケットが形成されるように設けられてもよい。
【0099】
その他、尿便分離ユニットの態様として、尿便セパレーター等の尿便分離ユニットに関する詳しい記述を開示する特許文献8および9で述べているような尿便分離ユニットを用いてもよい。
【0100】
このように、本発明による吸収体物品において、尿便分離ユニットを設けることにより、尿などの液体成分と便などの固形成分とが高吸水性複合シートの表面上で混合されるのを防止し得る。特に、尿などの液体成分は、流動性を有することから、高吸水性複合シートの表面上を移動し易いが、尿便分離ユニットの有する耐水抵抗により、吸収体物品の前身頃部分に排出された液体成分を高吸水性複合シートのSAP担持層が配置された方向にガイドし吸収体物品の後身頃部分に排出された固形成分と混合することを防止することができる。
【0101】
なお、図11には、本発明による吸収体物品の前後上下関係を明確にする目的で、上述の図6Aにおいて説明した高吸水性複合シート10および吸収体114を有する構成を用いて説明したが、本発明による吸収体物品に尿便分離ユニットを設ける態様において、本発明において説明するその他の構成を採用することは、差し支えない。また、図11に示す吸収体物品において、高吸水性複合シート10は、吸収体物品の後身頃部分から中央部分へ至るまでにのみ配置されているように示されているが、高吸水性複合シート10の配置の態様について、これに限定されるものではなく、上述の構成を採用しても差し支えない。
【0102】
本発明による吸収体物品において、軟便や水様便などの比較的流動性のある便などの固形成分における水分含量を低下させることと固形成分を一定の領域に保持することとを目的として、高吸水性複合シートの上方に配置されるように、便処理シートをさらに設けてもよい。その態様を示したのが、図12である。図12は本発明による吸収体物品の一例を示す概略図であって、(a)は、その平面展開図を示し、(b)、(c)および(d)は、それぞれ線X−X’、線X−X’および線X−X’に沿った断面図を示す。図12は、特に上述のガイドシートおよび尿便分離ユニット、並びに便処理シートを設けた例であって、特に子ども用おむつの吸収体への応用例を示す模式図である。
【0103】
便処理シートは、固形成分を一定の領域に保持し得る領域に配置されればよく、例えば、図12に示すように、着用者の背側に対応する吸収体物品の後身頃部分に、高吸水性複合シートに接するように、配置されてもよい。
【0104】
高吸水性複合シートの上方に受容される固形成分を含む便などの排出物の性状は、着用者の食事内容、健康状態、そして乳幼児の場合には月齢によって様々である。つまり、着用者の排泄物は、固形状から水様状まで流動状態も異なり、重量や体積も異なる。特に、排出物が、流動性が大きく、水分率が80%以上と水分含有量の高い軟便や水様便である場合、このような排出物を適切に処理するにはいろいろな工夫が必要である。これより軟便や水様便は流動性便として称する。流動便を処理する方法を列挙すると、以下の通りである。
【0105】
1)便などの排泄物に含まれる水分などの液体成分を吸収し、固形成分の濃縮を図る。
2)嵩高な多孔性組織の中に流動性便などの固形成分を分割して閉じこめ、移動しないようにする。
3)便などの排泄物に含まれる液体成分を濾過し、排泄物に含まれる固形成分と液体成分とを分離して固形成分の濃縮を図る。
4)流動性便など流動性を有する排泄物を移動可能な通路、スペースを確保してその部位に誘導して漏れを生じないようにする。
【0106】
本発明において、便処理シートの役割は、特に、上記1)に示すように、流動性便などの排泄物から水分などの液体成分を吸収して、便などの固形成分を濃縮することにより排出物の流動性を低下させるか、上記2)に示すように流動性便そのものを閉じこめて移動しないようにするかのいずれかの役割か、あるいは同時に1)と2)両方の役割を発揮するものであってもよい。
【0107】
本発明において、便処理シートの材料としては、上述の通り、固形成分を一定の領域に保持することを目的とするものであれば、特に制約はない。特に、便処理シートの材料としては、上記1)の通り液体成分を吸収して流動性便の水分を吸収する目的を重視する場合には、例えば親水性の強い、液保有性の高いレーヨンスパンレースやTCFやアクイジション層としても用いるような嵩高の親水性不織布が挙げられる。また、上記2)の通り流動性を有する固形成分を分割して閉じこめ移動しないようにすることを目的とする場合には、表面親水化処理を施したネット状組織を持つ発泡体(イノアック社製モルトフィルター)や植毛・起毛シート等が挙げられる。また、上述の1)と2)との組合せの通り、水分などの液体成分を吸収するとともに流動性便などの固形成分を含む画分を閉じこめ、移動しないようにすることを目的とする場合には、本発明者らが提案した特許文献10乃至12等の複層構造を持った嵩高不織布を用いてもよい。
【0108】
本発明による吸収体物品において、便処理シートを設けた態様を採用することにより、上記図8を参照して説明した様式で、流動性の異なる広い範囲の性状をもった固形成分が受容され、液体成分との混合防止の効果が向上される。
【0109】
以下、上述のそれぞれの構成を組み合わせた、本発明による吸収体物品について、説明する。
【0110】
図13および図14は、上述の構成、特に尿便分離ユニットの種々の構成を採用して吸収体物品を示す。図13は、本発明による吸収体物品の一例を示す概略図であって、(a)は、その平面図を示し、(b)は、線Y−Y’に沿った断面図を示す。また、図14は本発明による吸収体物品の一例を示す概略図であって、(a)は、その平面図を示し、(b)は、その斜視図を示し、(c)は、(a)に示す線Y−Y’に沿った断面図を示す。
【0111】
図13によると、本発明による吸収体物品は、高吸水性複合シート10が着用者の背側に対応する後身頃部分から着用者の股部分に対応する中央部分にまで配置されるとともに、この高吸水性複合シートの吸収体物品の中央部分に配置された高吸水性複合シートの端部が吸収体物品の上方に持ち上げられており、この端部が尿便分離ユニット134を形成している。また、高吸水性複合シート10と底面防漏体112との間には、吸収体物品の全長に渡って吸収体114が配置され、着用者と吸収体114との間にスキンコンタクトシート116が配置されている。
【0112】
また、図14によると、本発明による吸収体物品は、高吸水性複合シート10が着用者の背側に対応する後身頃部分から着用者の股部分に対応する中央部分にまで配置されるとともに、この高吸水性複合シートの吸収体物品の中央部分に配置された高吸水性複合シートの端部を鍵状に吸収体物品の後身頃部分に折り曲げてインナーギャザー122の下面と吸収体物品の幅方向で結合されて、この端部が尿便分離ユニット134を形成している。また、高吸水性複合シート10の下方には、底面防漏体112と吸収体114とが配置され、着用者と吸収体114との間にスキンコンタクトシート116が配置されている。インナーギャザー122およびアウターギャザー124には、600dtexポリウレタンのフィラメントをそれぞれ3本ずつ5mm間隔で配した。
【0113】
これらにより、着用者から排出された尿などの液体成分は、スキンコンタクトシート116を介して吸収体114に吸収されるとともに、液体成分の排出量に応じて、高吸水性複合シート10のSAP担持層16においても液体成分の吸収が起こる。この一連の液体成分の吸収の際、吸収体物品の前身頃部分に排出された液体成分は、尿便分離ユニット134により、吸収体物品の後身頃部分への移動が防止される。それとともに、着用者から排出された便などの固形成分は、上記図8を参照して説明した様式で高吸水性複合シート10の表面に受容される。図13および図14に示す吸収体物品では、インナーギャザー122が装着されていることから、着用者と高吸水性複合シート10との間には、一定の空間が存在するようになるが、高吸水性複合シート10の表面に受容された固形成分は、この一定の空間の間に配置されることとなる。また、液体成分と固形成分とは、尿便分離ユニット134によって高吸水性複合シート10の表面のX−Y方向での混合が防止される。従って、着用者から排出された液体成分および固形成分は、本発明による吸収体物品により、液体成分が固形成分と分離されてSAP担持層に吸収されるとともに、固形成分が高吸水性複合シートの表面および先端の窪みに受容され、このように分離された液体成分と受容された固形成分との混合が防止される。
【0114】
本発明による吸収体物品は、複数の高吸水性複合シートを有してもよい。図15は、本発明による吸収体物品の一例を示す概略図であって、(a)は、その平面図を示し、(b)、(c)および(d)は、それぞれ線X−X’、線X−X’および線Y−Y’に沿った断面図を示し、(e)は、この吸収体物品を構成する第一吸収体の概略平面図を示す。図15に示す吸収体物品は、特に子供用尿便分離おむつとして適したものである。
【0115】
図15によると、本発明による吸収体物品は、吸収体物品の長さ方向の全長に配置した底面防漏体112と、この上に配置した第二吸収体30と、この上に配置した第一吸収体20と、着用者の股部分に対応する吸収体物品の中央部分に折りたたみ状態になるように配置した尿便分離ユニット134とを有する。この吸収体物品において、着用者の腹側に対応する吸収体物品の前身頃部分には、第二吸収体30に接するようにガイドシート132が配置されている。ガイドシートは、図9を参照して説明したように、吸収体物品の上部においては高吸水性複合シート10に接するように配置されるとともに、ガイドシート132のX方向の両端部が高吸水性複合シート10と底面防漏体112との間に挿入されるように、配置されている。つまり、第一吸収体20を包むように配置されている。また、吸収体物品の前身頃部分においてガイドシートと接し且つ吸収体物品のその他の部分において第一吸収体と接するように、スキンコンタクトシート116が配置されている。
【0116】
この吸収体物品において、第一吸収体20および第二吸収体30は、いずれも、上述の高吸水性複合シート10であって、この高吸水性複合シートを構成するSAP担持層は、吸収体物品の下方に向くように配置されている。従って、第二吸収体30のSAP担持層は、底面防漏体112と対向するように配置され、第一吸収体20のSAP担持層は、第一吸収体20の疎水性表面層側の表面と対向するように配置されている。
【0117】
この吸収体物品において、第一吸収体20は、図15(e)に示すように、第一吸収体20の幅方向(吸収体物品のX方向に対応)の両端部に切れ込み(スリット)を入れ、この切れ込みから第一吸収体20の長さ方向の端部(吸収体物品の前身頃部分に対応)へと至る方向に沿って第一吸収体の端部を第一吸収体の内側に折り返した構造を有する。従って、吸収体物品の前身頃部分に配置された第一吸収体20の幅方向の端部では、第一吸収体を構成するSAP担持層が互いに対向するように2層構造を形成する(図15(b)参照)。このように構成することで、吸収体物品の前身頃部分において、尿などの液体成分の移動・拡散・吸収が容易となる。高吸水性複合シートをこのような態様で使用することについて、後述する。
【0118】
このように、本発明による吸収体物品において、複数の高吸水性複合シートを配置することにより、上記図7、図8等を参照して説明したように、液体成分が移動・拡散・吸収されるとともに、固形成分が受容される。また、複数の高吸水性複合シートを配置することで、液体成分が高吸水性複合シートの表面での移動・拡散を経て第一吸収体のSAP担持層において吸収されつつ、この層における吸収量を超えた液体成分がさらに第二吸収体の表面での移動・拡散を経て第二吸収体のSAP担持層において吸収される。さらに、第一吸収体20の幅方向の端部でSAP担持層により形成された2層構造においても、上下に対向するように配置された2つのSAP担持層の間隙に液体成分が保持されつつ、2つのSAP担持層において液体成分が吸収される。従って、複数の高吸水性複合シートを設けたことに伴う比例的な吸収量増大に加え、高吸水性複合シートの有する吸収能力が相乗的に増大されることとなる。
【0119】
次に、本発明による吸収体物品における高吸水性複合シートの使用例について、図16を参照して、説明する。図16は、高吸水性複合シートの使用例を示す概略図である。なお、この図において、図の右側が吸収体物品の前身頃部分に対応し、左側が後身頃部分に対応する。
【0120】
本発明による吸収体物品において、高吸水性複合シートは、図16(a)に示すように、前身頃部分および後身頃部分の両方の部分において同じ幅で使用してもよいが、液体成分の移動・拡散・吸収を制御/促進することを目的として、変形して使用されてもよい。
【0121】
例えば、図16(b)に示すように、高吸水性複合シートにおいて、高吸水性複合シートの長さ方向の一端部から高吸水性複合シートの長さ方向に沿って2つの切れ込み(スリット)を入れ、切れ込みで高吸水性複合シートの一端から長さ方向に沿って帯状の部分が形成されてもよい。これにより、尿などの液体成分の移動・拡散方向を変更/制御することが可能となる。
【0122】
また、図16(c)および(d)に示すように、高吸水性複合シートは、高吸水性複合シートの幅方向の両端部からそれぞれ高吸水性複合シートの中央の方向に向かって切れ込みを入れ、この切れ込みのそれぞれの先端から高吸水性複合シートの長さ方向に沿って高吸水性複合シートの長さ方向の一つの端部にまで至るそれぞれの線(図16の(c)および(d)の点線に相当)に沿って、高吸水性複合シートの幅方向の端部が中央の部分に対向するように折り返されてもよい。図16(c)および(d)に示すように、高吸水性複合シートの中央の方向に向かって形成される切れ込みの方向は、吸収体物品の後身頃部分に対応する方向へと向かって形成されてもよく(図16(c)に対応)、吸収体物品の前身頃部分に対応する方向へと向かって形成されてもよい(図16(d)に対応)。このように構成することで、折り返された高吸水性複合シートの幅方向の両端部では、SAP担持層が互いに向かい合って、この向かい合ったSAP担持層間で間隙が形成される。
【0123】
また、図16(e)に示すように、高吸水性複合シートにおいて、高吸水性複合シートの長さ方向の一端部から高吸水性複合シートの長さ方向に沿って1つの切れ込み(スリット)を入れ、この切れ込みの先端から高吸水性複合シートの幅方向の端部のそれぞれに向かう方向に2つの切れ込みを形成して、この幅方向に形成された切れ込みのそれぞれの先端から高吸水性複合シートの長さ方向の端部へと至るそれぞれの線(図16の(e)に対応)で高吸水性複合シートを折り返されてもよい。この場合も、上記図16(c)および(d)を参照して説明したように、吸収体物品の前身頃部分に対応する高吸水性複合シートの幅方向の両端部において、SAP担持層が互いに向かい合って、この向かい合ったSAP担持層間で間隙が形成される。
【0124】
このような構成の高吸水性複合シートを用いることにより、上記図15を参照して説明した様式等で、液体成分の移動・拡散・吸収を制御/促進することが可能となる。
【0125】
なお、図16では、いずれも、疎水性表面層が上となるよう折り返されているが、SAP担持層が上となるように折り返されてもよい。
【0126】
図17は、本発明による吸収体物品の一例を示す概略図であって、(a)は、その平面図を示し、(b)、(c)および(d)は、それぞれ線X−X’、線X−X’および線Y−Y’に沿った断面図を示し、(e)は、この吸収体物品を構成する第一吸収体の概略平面図を示す。
【0127】
図17によると、本発明による吸収体物品は、吸収体物品の長さ方向の全長に配置した底面防漏体112と、この上に配置した第二吸収体30と、この上に配置した第一吸収体20と、着用者の股部分に対応する吸収体物品の中央部分に配置した尿便分離ユニット134とを有する。この吸収体物品において、着用者の腹側に対応する吸収体物品の前身頃部分には、第二吸収体30に接するようにガイドシート132が配置されている。この吸収体物品において、第一吸収体20は、着用者の背側に対応する吸収体物品の後身頃部分から着用者の股部分に対応する吸収体物品の中央部分までに配置されている。また、吸収体物品の前身頃部分においてガイドシートと接し且つ吸収体物品の中央部分において第一吸収体20と接するように、スキンコンタクトシート116が配置されている。
【0128】
このような構成により、本発明による吸収体物品の前身頃部分においては、ガイドシート132および第二吸収体30により液体成分の移動・拡散が起こるとともに、後身頃部分においては、第一吸収体20の表面上に固形成分Sが受容される。また、第二吸収体30および/またはガイドシート132を移動・拡散した液体成分Lは、第二吸収体30のSAP担持層にて吸収されるとともに、吸収体物品の後身頃部分に配置された第一吸収体20のSAP担持層にも吸収される。このように、本発明による吸収体物品によると、着用者から多量の液体成分が排出された場合であっても、固形成分と分離・吸収・受容を好適に行うことが可能となる。
【実施例】
【0129】
(製造例1)
表1に示す各素材を用い、図19に示す製造プロセスに従って、図20に示す装置を用いて、幅1.5m、運転速度40m/分で高吸水性複合シートを製造した。製造の概略について、以下、説明する。
【0130】
【表1】

【0131】
なお、図20に示す装置の構成は、以下の通りである。
【0132】
1.SMSアンリーラー(SMS Unreeler(大昌鉄工所製))
1)型式:ターレット式自動枠替機構付巻出方式
2)原反幅:最大2,500mm
3)速度:最大100m/分
4)巻径:最大φ1,200mm
【0133】
2.ティシュアンリーラー(Tissue Unreeler(大昌鉄工所製))
1)型式:2台直列配置交互単独巻出方式
2)原反幅:最大2,500mm
3)速度:最大100m/分
4)巻径:最大φ1,500mm
【0134】
3.カード(Card(鳥越紡機製))
1)型式:高速コンパクトカード3台直列
2)働き幅:最大2,497mm
3)目付:常用20g/m
4)速度:最大100m/分
【0135】
4.ウォータージェット(Water Jet(化繊ノズル製作所))
1)ノズル穴径、ピッチ:0.15mmφ×8mmピッチ
2)使用水圧:6MPa
【0136】
5.コーター(Coater(ヒラノテクシード製))
1)型式:2本ロール式(コーテイングロールφ300mm)
2)塗工幅:2,400mm
3)ヘッドコントロールレベル:100〜180mm
4)塗工量:80〜300g/m
5)速度:最大100m/分
【0137】
6.ドライヤー(Dryer(大昌鉄工所製))
1)エタノール乾燥ゾーン(EtOH Drying Zone)
(1)型式:蒸気加熱シリンダードライヤー方式
(2)雰囲気:Nゾーン
(3)シリンダー:φ3,050mm×1本
(4)表面処理:テフロン(登録商標)コート
2)水分乾燥ゾーン(Water Drying Zone)
(1)型式:蒸気加熱シリンダードライヤー方式
(2)雰囲気:エアゾーン
(3)シリンダー:φ3,050mm×1本
(4)表面処理:クロムメッキ
3)冷却ゾーン(Cooling Zone)
(1)型式:冷却水シリンダー通水方式
(2)雰囲気:エアゾーン
(3)ロール:φ500mm×3本
【0138】
7.巻取機(Winder(大昌鉄工所製))
1)型式:ドラム駆動式サーフェスリール
2)原反幅:最大2,500mm
3)速度:最大100m/分
4)巻取径:最大2,000mm
【0139】
まず、SMSおよびティシュを、それぞれSMSアンリーラーおよびティシュアンリーラーから供給した。次に、3台のカードにより、PET繊維からなる20g/mウェブを作成し、供給されたSMSとティシュの上に重ねて上部から、ウェブ/ティシュ/SMSの3層構成からなる積層体を形成した。この3層積層体をコンベア上に導き、5MPaの圧力で水流を噴出させ、3層ウェブを上下に交絡させ一体化させた。一体化させたウェブを、エタノール/水=60/40の混合溶媒でプリコート処理した後、ロールコーター方式のコーティング装置へと導いた。コーティング装置には図21に示すラインパターン成形機を挿入・使用した。コーティング装置のヘッドに以下の成分からなるスラリーを供給し、図18に示したような10/5ラインパターン(10mmコート部、5mm非コート部)で、絶乾で150g/m相当になるように計量したスラリーをコーティングした。
【0140】
MFC 0.7部
SAP 20部
エタノール 51.3部
水 28.0部
【0141】
次に、上記スラリーコーティングを施した3層積層体を脱水した後、エタノールおよび水を除去して水分率10%前後まで乾燥して巻き取り、図18のような構造を有する高吸水性複合シートを得た。
【0142】
(比較製造例1)
製造例1において、表1に示す各素材の代わりに、表2に示す各素材を用いた以外は、製造例1と同様に行い、比較シート1を得た。
【0143】
【表2】

【0144】
(比較製造例2)
製造例1において、表1に示す各素材の代わりに、表3に示す各素材を用いた以外は、製造例1と同様に行い、比較シート2を得た。
【0145】
【表3】

【0146】
(実施例1)
<高吸水性複合シートの吸水・拡散挙動試験>
[吸収能力の測定]
製造例1並びに比較製造例1および2で得た高吸水性複合シート並びに比較シート1および2を、10cm×15cm=150cmの大きさに切り取り、生理食塩水(0.9%NaCl水溶液)での保水量および吸水量の測定をJIS K−7223のティーバッグ法に基づいて行った。これら3種類のシートは、いずれも、SAPの担持量が150g/mであり、下記表4のように、ほぼ同様の結果が得られた。
【0147】
【表4】

【0148】
これらの結果をSAP担持層に換算すると、保水量は、SAP1g当たり30mLであり、吸水量は、SAP1g当たり50mLであった。
【0149】
[体液浸透性テスト]
製造例1並びに比較製造例1および2で得た高吸水性複合シート並びに比較シート1および2を、10cm×15cm=150cmの大きさに切り取った。次に、図22に示したような17cm(横)×21cm(縦)×4cm(深さ)のステンレスバット中に配置した透明なアクリル板の上に、SAP担持層とこのアクリル板とが接するように、高吸水性複合シートおよび各シートを置いた。これらのシートの上面から、10ccの生理食塩水を約2秒間でビュレットから滴下し、滴下した液が消失するまでの様子を目視で観察した。その結果を表5に示す。
【0150】
SMS面とティシュ面を併せもつ本発明の高吸水性複合シートは、30分以上経過した後も、その上面に食塩水が残存した状態であった。SMS面のみの比較シート1は、SAP成分の細粒部分の一部がSMSの下面にまで移動してきているため、若干の浸透性を持ち、5分後には全量が浸透・吸収された。ティシュ面のみの比較シート2は、滴下に応じて直ちに浸透・吸収を開始し、10秒以内に全量が吸収された。
【0151】
[吸水性試験]
図23に示したように実験台上にほぼ水平に設置した3セットのステンレスバット内に100mLの生理食塩水を添加した。これを静置状態として、製造例1並びに比較製造例1および2で得た高吸水性複合シート並びに比較シート1および2を、10cm×15cm=150cmの大きさに切り取り、これらをそれぞれSAP担持層が下になるようにして、食塩水上に浮かべるように放置し、100mLの食塩水のほぼ全量がシートに吸収されるまでの時間を測定した。その結果を表5に示した。
【0152】
製造例1の高吸水性複合シートでは、約15分後には殆どバット中の残液がなくなった。比較シート2では、製造例1の高吸水性複合シートと同様、約15分後にはほぼバット中の残液がなくなったが、比較シート1では、30分経過後もバットの中に一部の液が残っていた。
【0153】
これらのシートの吸収後の状態は、製造例1の高吸水性複合シート、および比較シート2では、全体の厚みが均一になったが、比較シート1では、凹凸の度合いが大きく不均一であった。なお、吸収後の製造例1の高吸水性複合シートでは、図24に示すように、高吸水性複合シートの厚みが約6倍に膨張し、SAPのない部位に深いトンネル状態のチャネルが形成されていた。このチャネルの形成効果により、SAPの膨潤後でも、液体の移動通路が確保できることとなり、これは、極めて有効な形態であるといえる。
【0154】
[滲出性試験]
上記の[吸水性試験]で得た各試料の上表面について、それぞれ指でそっと触れると、製造例1の高吸水性複合シートでは、全く乾いた状態であり、比較シート1は、乾いた状態であり、比較シート2では、ぐっしょり濡れた状態であった。そこで、図25に示すように、吸収後の各試料の上に、直径7cmの濾紙を置き、透明アクリル板で押さえ、200gのリング状の重しを置いて、荷重下での液の表面滲出性をテストした。結果を表5に示す。
【0155】
製造例1の高吸水性複合シートでは、30分経過した後でも、濾紙に濡れた部分は全く観察されなかった。比較シート1では、5分後に部分的なしみが多数観察されたが、その後放置しておいてもそのしみが拡がることはなかった。比較シート2では、10秒後に濾紙全体に液が浸透し、このシート表面の全体に、液体の滲出が観察された。
【0156】
【表5】

【0157】
(製造例2)
製造例1において、SMSの代わりに、表6に示す疎水性表面層用の材料を用い、SAPとして、目付が200g/mのものを用いた以外は、製造例1と同様に行い、高吸水性複合シートA、BおよびCを得た。
【0158】
【表6】

【0159】
(実施例2)
[体液浸透性テスト]
この高吸水性複合シートA、BおよびCの3種類の試料について、[体液浸透性テスト]を行った。この結果を表7に示す。表に示すように、30分経過後も全く下層へは浸透せず、全く差が認められなかった。
【0160】
【表7】

【0161】
[滲出性試験]
図23に示したように実験台上にほぼ水平に設置した3セットのステンレスバット内に100mLの生理食塩水を添加した。これを静置状態として、製造例2で得た高吸水性複合シートA、BおよびCを、10cm×15cm=150cmの大きさに切り取り、これらをそれぞれSAP担持層が下になるようにして、食塩水上に浮かべるように30分間放置した。吸収後の各試料の表面は、いずれも指での感触は乾いている状態で、それぞれの試料に差異は認められなかった。
【0162】
このようにして得たそれぞれの高吸水性複合シートA、BおよびCについて、上記の[滲出性試験]を行った。その結果を表8に示す。
【0163】
【表8】

【0164】
この表に示すように、濾紙の吸液状態は、高吸水性複合シートA、BおよびCにそれぞれ差異が見られた。
【0165】
この結果から、50mmH0程度でも使用可能であるが、荷重下での挙動を考えると疎水性表面層の耐水圧で、100mmHO以上であることが好ましく、200mmHO以上であることがさらに好ましい。
【0166】
(製造例3)
製造例1で得た高吸水性複合シートにおいて、図26に示すように、高吸水性複合シートの疎水性表面層であるSMS面に、30mmの間隔をおいて20mm幅でノニオン系の親水化剤(松本油脂製薬製ASA2007)でゼブラパターン(縞馬)状の親水化ゾーンを形成して、高吸水性複合シート3を得た。親水化剤の使用量は、0.4g/mであった。図26に高吸水性複合シート3の外観図を示す。
【0167】
[体液浸透性テスト]
この高吸水性複合シート3について、上記の[体液浸透性テスト]に従って、図26に示す「体液の添加部位」に、15秒間で100ccの生理食塩水が滴下されるように、行った。
【0168】
その結果、この食塩水の一部(約30mL)は、ステンレスバット中に落下したが、大部分(約70mL)は親水化ゾーンからSAP担持層に移行し、親水化ゾーン以外の領域(図中、網掛けの部分)には、生理食塩水が多数の小さな水玉状で存在したが、親水化ゾーンでは均一な湿潤状態を呈し、全体として大量の液がそのまま高吸水性複合シート3の表面に留まることはなかった。
【0169】
(製造例4)
後身頃部分に高吸水性複合シートを有する吸収体物品(子ども用おむつ)の製造
後身頃部分に高吸水性複合シートを有する、図6Bに示す吸収体物品を、以下の要領で製造した。
【0170】
高吸水性複合シート(図6B中、符号10に相当)として、下記の仕様を有する高吸水性複合シートを、製造例1で示した方法に従って製造した。なお、この高吸水性複合シートは、製造例1で説明したように、図18の(a)(b)で図示したコーティングパターンを有するものである。
【0171】
・幅×長さ:120mm×160mm
・面積:192cm
・保水量:77mL
・吸水量:147mL
【0172】
次に、図6B中、符号114に相当する吸収体として、SAPと木材パルプ(Rayonier社製)とを混合し、この上下をティシュ(王子ネピア社製)で被覆した、下記の仕様を有するマット状の吸収体を作製した。
【0173】
・幅×長さ:140mm×380mm
・SAP含有量:5g
・パルプ含有量:15g
・保水量:173mL
・吸水量:400mL
【0174】
次に、図6B中、符号116に相当するスキンコンタクトシートとして、PE/PET(3d×51mm)繊維からなる下記の仕様のサーマルボンド不織布(レンゴー製)を用意した。
【0175】
・幅×長さ:150mm×200mm
・目付:20g/m
【0176】
次に、図6Bに示すように、上記の吸収体(符号114)の前身頃部分に相当する部分に、上記のスキンコンタクトシート(符号116)を重ね合わせ、ホットメルトスプレーにより接合した。また、吸収体の後身頃部分に相当する部分に、高吸水性複合シートの疎水性表面層が着用者の身体側に向くように上記の高吸水性複合シート(符号10)を重ね合わせて、本発明による吸収体物品の吸収本体(図6B中、符号10、114および116に相当)を作製した。なお、この吸収本体の特性は、以下の通りであった。
【0177】
・保水量:250mL
・吸水量:547mL
【0178】
次に、図6B中、符号112に相当する底面防漏体として、下記の仕様のSMSの中央部に通気性フィルムを張り合わせたものを作製した。
【0179】
・SMS(Toray Saehan製)
目付:13g/m
幅×長さ:330mm×450mm
・通気性フィルム(ポリエチレン製、トクヤマ社製)
目付:20g/m
幅×長さ:230mm×450mm
【0180】
次に、図6B中、符号122および124にそれぞれ相当するインナーギャザーおよびアウターギャザーとして、600texのポリウレタンフィラメントヤーン(東レデュポン製)4本を用意した。
【0181】
次に、図6B中、符号126に相当するウェストバンドとして、弾性部を備えた面ファスナー・雄部と、吸収体物品の前身頃部分の前面に設けるテープ状のメッシュ不織布・雌部(いずれも住友3M社製)とを用意した。
【0182】
さらに、上記の吸収本体を、上記の底面防漏体の上にホットメルトで接合し、この底面防漏体の横方向のそれぞれの端部から3mmの位置に吸収体物品の長手方向に延在するように2本の上記のポリウレタンフィラメントを配置した。さらに、この2本のポリウレタンフィラメントから20mmの位置に3mm間隔で、吸収体物品の長手方向に延在するように2本のウレタンフィラメントを配置した。その後、これらのポリウレタンフィラメントを、200%の伸長下でホットメルトにより接合し、これらを吸収体物品の内側に折り返しそれぞれインナーギャザーおよびアウターギャザーを構成・設置した。通常のおむつと同じ手法に従って、前身頃前面には面ファスナーの雌部を、ウェスト部には伸縮材付の雄を接合して、図6Bに示した吸収体物品を24枚製造した。
【0183】
(実施例3)
製造例4で製造した吸収体物品(4枚)を、モデル人形(液体を導入する入口と、この液体を排出する出口とを備えるもの)の出口に装着した。このモデル人形を伏臥位および仰臥位とした場合における吸収試験を、以下の要領で行った。結果を表9に示す。
【0184】
・液体導入方法
生理食塩水を100mLずつ10分間隔で、入口から3回供給した。
・観察項目
300mLの生理食塩水を導入した後、モデル人形から吸収体物品を取り外し、吸収体物品を分解した。この分解した吸収体物品について、以下の観察項目を検討した。
【0185】
・漏れの発生
生理食塩水が吸収体物品の底面防漏体から漏れ出ているかどうかを、目視で観察した。
・疎水性表面層への漏れ
吸収体物品の後身頃部分に配置した高吸水性複合シートの疎水性表面層の表面に、導入した生理食塩水が残存しているかどうかを、目視で観察した。
・吸収体の前身頃部分における利用状態
吸収体物品の全面に配置した吸収体のうち、生理食塩水の吸収に利用された吸収体の前身頃部分における面積を、目視によって、算出した。
・吸収体物品の後身頃部分のSAP担持層の利用状態
吸収体物品の後身頃部分に配置された高吸水性複合シートのうち、生理食塩水の吸収に利用されたSAP担持層の面積を、吸収体物品の前側、中央および後側のそれぞれについて、目視によって、算出した。
・高吸水性複合シートの厚みの変化
生理食塩水の導入の前後におけるそれぞれの高吸水性複合シートの厚みを計測した。また、これらの厚みの割合を算出した。
【0186】
【表9】

【0187】
この結果、仰臥位の場合、尿は、吸収体物品の後身頃部分の末端まで浸透した。なかでも、符号114に相当する吸収体も、符号10に相当する高吸水性複合シートのSAP担持層も、それぞれ充分に膨潤・膨化し、厚みは3倍程度増加した。特に、SAP担持層は、図24(b)に示すような、トンネル状のチャネルが観察されるまでに膨潤した。
【0188】
(実施例4)<着用試験>
製造例3で製造した吸収体物品を、男児2名、および女児2名の計4名のそれぞれに装着した。下記の要領で各名に使用させた後、使用後の吸収体物品について、以下の項目を検討した。なお、各名5枚ずつ、装着/使用を行った。結果を表10に示す。
【0189】
・尿使用枚数
使用後の吸収体物品において、吸収体物品のいずれかの部分に尿が見出された吸収体物品の数を計数した。
・尿の平均吸収量
尿が見出された使用後の吸収体物品について、使用前の吸収体物品の重量と使用後の吸収体物品の重量とを測定し、吸収本体に吸収された尿の量を測定した。
・尿漏れ発生枚数
吸収体物品を使用中の装着者を目視で観察し、吸収体物品から漏れの発生が観察された吸収体物品の枚数を計数した。
・便使用枚数
使用後の吸収体物品において、吸収体物品のいずれかの部分に便が見出された吸収体物品の数を計数した。
・便漏れ発生枚数
使用後の吸収体物品において、着用者の身体から見て吸収体物品の外側(例えば、底面防漏体に相当)に便が見出された吸収体物品の枚数を計数した。
・尿便分離状態
尿と便とが両方とも見出された使用後の吸収体物品において、吸収体物品の前身頃部分と後身頃部分との間で尿と便とが分離されているかどうか(前後分離)、および吸収体物品の後身頃部分に配置した高吸水性複合シートの疎水性表面層側と、高吸水性複合シートのSAP担持層側とで、尿と便とが分離されているかどうか(上下分離)を、それぞれ、目視で観察した。
【0190】
【表10】

【0191】
以上の結果を解析すると、次のようなことがわかる。
【0192】
1)尿の吸収および分離状態
尿の吸収量が200mLを超えた場合には、尿は、吸収体物品の後身頃部分にまで移動して、高吸水性複合シートのSAP担持層の一部に吸収されていた。
【0193】
尿の吸収量が300mLを超えて、しかも仰臥位や横臥位などの体位を反復して使用されていた場合は、尿は、高吸水性複合シートのSAP担持層の全体に行き渡り、膨潤・膨化していた。
【0194】
尿漏れが発生した1枚の吸収体物品と、吸収量が360mLに達した1枚の吸収体物品とでは、尿は、吸収体物品の後身頃部分に配置した高吸水性複合シートの疎水性表面層にまで達し、この疎水性表面層の表面に水滴状で留まっていた。その他の18枚の吸収体物品では、尿は、吸収体物品の後身頃部分に配置された高吸水性複合シート(10)のSAP担持層側、および吸収体物品の前身頃部分に配置された吸収体(114)に留まっていて、後身頃の表面への浸出は認められなかった。
【0195】
2)便の捕集および分離状態
使用後の20枚の吸収体物品のうち、13枚では尿のみが見出され、6枚では尿と便の両方が見出され、1枚では便のみが見出された。
【0196】
尿と便の両方が見出された使用後の吸収体物品(7枚)について、尿と便との分離状態(前後分離、上下分離)を観察した。
【0197】
前後分離について、7枚中3枚では、便は、吸収体物品の後身頃部分に配置された高吸水性複合シートの疎水性表面層の表面に留まっていた。一方、残りの4枚では、便は、吸収体物品の前身頃部分に配置された吸収体にまで浸出し、吸収体物品の前部では尿と便とが混合した状態になっていた。従って、この実施例では、尿と便との前後分離機能は、一部発揮されたものの、十分ではなかった。
【0198】
一方、上下分離について、尿と便の両方が見出された使用後の吸収体物品(7枚)のいずれも、吸収体物品の後身頃部分に配置された高吸水性複合シートの下部(SAP担持層側)への便の移動は観察されなかった。従って、高吸水性複合シートによる尿・便の上下分離効果は、充分に発揮された。
【0199】
(実施例5)
製造例3で製造した吸収体物品において、高吸水性複合シート(10)の前端部を着用者側に折り曲げて、この前端部の横方向の両端部をインナーギャザー(122)の頭部直下にホットメルトで結合し、図13の符号134で示すような尿便分離ユニットを形成させた。この吸収体物品について、実施例4の<使用試験>に準じて、装着/使用を行った。結果を表11に示す。なお、着用者が排便を行った場合には、その直後に吸収体物品を回収して、上記の検討を行った。
【0200】
【表11】

【0201】
尿・便の前後分離の効果について、実施例3で得た結果と比較すると、実施例3では、7枚中3枚(43%)の吸収体物品において、前後分離が達成された一方で、本実施例では、12枚中10枚(83%)の吸収体物品において、前後分離が達成された。従って、吸収体物品に尿便分離ユニットを設けることで、尿・便の前後分離の効果が大幅に向上することが分かった。なお、尿・便の上下分離の効果は、実施例3と本実施例とで差異がなく顕著なものであった。
【0202】
(製造例5)
図17に示す構成を有する、高吸水性複合シートを有する吸収体物品を作製した。
【0203】
[吸収体物品の構成]
この製造例において、吸収体物品の構成の概略は、以下の通りである。つまり、この吸収体物品において、前身頃部分と後身頃部分との間に、尿などの液体成分と便などの固形成分とを分離する尿便分離ユニット(134)を配置し、液体成分を吸収する部材として、上述の高吸水性複合シートを用いた第一吸収体(20)および第二吸収体(30)を有する。また、第二吸収体(30)の上面には、ガイドシート(132)を配置するとともに、第一吸収体(20)の上面には、便処理シート(136)を配置した。
【0204】
この製造例における吸収体物品は、前身頃部分、中央部分および後身頃部分に相当する箇所には、それぞれ、以下の部材を配置するように、構成した。
【0205】
・前身頃部分
図17(b)に示すように、着用者の身体側から順に、スキンコンタクトシート(116)、ガイドシート(132)および第二吸収体(30)を配置するとともに、最外側に底面防漏体(112)を配置した。
・中央部分
図17(d)に示すように、着用者の身体側から順に、尿便分離ユニット(134)、スキンコンタクトシート(116)、第一吸収体(20)および第二吸収体(30)を配置するとともに、最外側に底面防漏体(112)を配置した。なお、この尿便分離ユニットは、後身頃部分に配置された第一吸収体の前端に接続するように、配置した。
・後身頃部分
図17(c)に示すように、着用者の身体側から順に、便処理シート(136)、第一吸収体(20)および第二吸収体(30)を配置するとともに、最外側に底面防漏体(112)を配置した。
【0206】
次に、上記の各部材の作製方法について、説明する。
【0207】
・第一吸収体(20)および第二吸収体(30)
製造例1で作製した高吸水性複合シートを、第一吸収体および第二吸収体として用いた。
【0208】
具体的には、第一吸収体は、図17の符号20で示すように、第一吸収体の疎水性表面層の表面が便などの固形成分の受容部分となるように、この疎水性表面層を身体側に向けて吸収体物品の後身頃部分にのみ配置した。なお、第一吸収体の寸法は、縦が160mm、横が60mmであり、形状は、長方形である。また、第一吸収体の吸収特性は、吸水量が120g、保水量が72gとなった。
【0209】
また、第二吸収体は、図17の符号30で示すように、第二吸収体の疎水性表面層を身体側に向けて、吸収体物品の前身頃部分から後身頃部分に渡って配置した。従って、吸収体物品の前身頃部分において、第二吸収体は、尿などの液体成分の吸収を主に担うとともに、吸収体物品の後身頃部分では、第二吸収体は、上記の第一吸収体のSAP担持層に接するように配置した。なお、第二吸収体の寸法は、縦が360mm、横が80mmであり、形状は、長方形である。また、第二吸収体の吸収特性は、吸水量が360g、保水量が216gとなった。
【0210】
なお、これらの第一吸収体および第二吸収体のSAP担持層は、図18で示すような、SAPコート層が10mm前後の寸法でライン状に分布させるとともに、各SAPコート層間を約5mm間隔で配置した。従って、SAPコート層が存在しない箇所は、PETウェブ層ウェブ層が露出する構成とした。また、これらの第一吸収体および第二吸収体のSAP担持層のラインを、吸収体物品の前身頃部分から後身頃部分に至る方向に対して略平行となるように配置した。
【0211】
・ガイドシート(132)
ガイドシートとして、表面親水化処理をしたPE製の開孔フィルム(Tredegar社製)を使用した。形状は、縦が50mm、横が80mmの横長の長方形である。
【0212】
このガイドシートを、図17の符号132で示すように、上述の第二吸収体の疎水性表面層の表面に接するように、配置した。従って、ガイドシートは、吸収体物品の前身頃部分に配置され、尿などの液体成分を主に吸収する役割を担うこととなる。
【0213】
・尿便分離ユニット(134)
尿便分離ユニットの材料として、SMS(Toray Saehan社製、目付13g/m)と、PEフィルム(L.L.D.PE)(三井化学製)とをラミネートしたものを使用した。尿便分離ユニットの形状は、縦が20mm、横が80mmであり、Z折り部分の折返し部の長さを20mmとした。
【0214】
この尿便分離ユニットを、図11(c)に示すように、第一吸収体の前端部の疎水性表面層上に、ホットメルトにより、接合した。また、尿便分離ユニットの横方向の両端部を、ホットメルトにより側縁帯に接合した。これにより、着用者の会陰部への接触状態を常に保たれる。
【0215】
このように構成することにより、この尿便分離ユニットは、着用者の股部中央、尿排出口と肛門との間、および会陰の部分に接するように配置されることとなる。また、この尿便分離ユニットは、吸収体物品の前後方向にZ型の折り込み構造を有することから、装着時や排便後などに、尿便分離ユニットの上面部分を着用者の会陰部に接触した状態を保ったまま、第一吸収体の疎水性表面層で構成される便などの固形成分Sの受容部の奥行きを確保できるような立体構造が形成されることとなる。なお、疎水性表面層と両側の側縁帯とで構成される固形成分の受容部の受容可能容積を測定すると、固形成分などで荷重されていない無荷重状態で200mL前後の容積を、加圧下(0.6kg/cm)でも約80mL程度の容積を保有している。
【0216】
・便処理シート(136)
便処理シートの材料として、無加重下で1.5mmの厚さを持つ嵩高のエアスルー不織布(クラレ社製、PE/PET、目付30g/m)を使用した。この便処理シートの形状は、縦が160mm、横が50mmの長方形である。
【0217】
この便処理シートを、第一吸収体の疎水性表面層の表面に重ね合わせ、ホットメルトでライン状に接合した。
【0218】
このように構成することで、便処理シートは、吸収体物品の後身頃部分に配置され、ここで、便などの固形成分の受容部として機能することとなる。
【0219】
・側縁帯
側縁帯の材料として、スパンボンド(Toray Saehan社製)を使用した。また、側縁帯の伸縮部分には、ウレタンフィラメント(620tex、東レデュポン社製)を使用した。
【0220】
この側縁帯を、吸収体物品の横方向の端部に配置した底面防漏体に、吸収体物品の前後方向に沿って接続した。これにより、吸収体物品の横方向の両端部において、帯状の伸縮性部分を構成することとなる。なお、側縁帯の伸縮率は、吸収体物品の前後方向において200%であり、側縁帯の寸法は、長さが360mm(収縮時)であり、幅が20mmである。
【0221】
・その他の部材
吸収体物品を着用者に装着する目的で、ウェスト部として弾性帯(おむつ(商品名:ムーニーマンBigサイズ、ユニチャーム社製)のウェスト部を構成するもの。幅80mm)を既存の商品から切り取り、これを、吸収体物品の底面防漏体に取り付けた。
【0222】
以上の部材を、図17の構成を有するように組み立て、本製造例における吸収体物品を作製した。
【0223】
(実施例6)
製造例5で作製した吸収体物品について、JIS K7223−1996の「高吸水性樹脂の吸収量試験方法」の規定に準じて、吸水量および保水量を測定した。
【0224】
具体的には、吸水量については、バット内で吸収体物品を、20分間、生理食塩水に浸して吸水させ、その後、ステンレス金網上で5分間放置し、したたる生理食塩水を除した後、重量を測定した。
【0225】
また、保水量については、吸水量を測定した後、吸水した吸収体物品を1,000Gで10分間遠心分離をすることにより脱水して、測定した。
【0226】
その結果、吸水量は、480gであり、保水量は、288gであった。
【0227】
さらに、上述のように生理食塩水を吸収させる前と、後とで、吸収体物品の前身頃部分の中央部および後身頃部分の中央部における厚みを測定した。具体的には、第二吸収体、ガイドシートおよびスキンコンタクトシートを有する吸収体物品の前身頃部分の中央付近、並びに第二吸収体、第一吸収体および便処理シート136を有する吸収体物品の後身頃部分の中央付近を、この厚みの測定対象とした。その結果を表12に示す。なお、第一吸収体および第二吸収体として用いた高吸水性複合シートの1枚の厚みは、1.1mmであり、高吸水性複合シートの2枚の厚みは、2.3mmであった。
【0228】
【表12】

【0229】
その結果、前身頃部分の中央部分の厚みは、吸収前(2.9mm)と吸収後(13.0mm)とで、4.5倍に増加した。また、後身頃部分の中央部分の厚みは、吸収前(3.9mm)と吸収後(24.0mm)とで、6.2倍に増加した。このように吸収の前後で厚みが劇的に増加したのは、本実施例に使用した吸収体物品の前身頃部分および後身頃部分に配置した高吸水性複合シートのSAP担持層が膨潤したことに起因するものである。また、このように観察された吸収体物品の膨潤の値は、実施例3で観察したパルプ層と組み合わせて構成したSAP担持層を用いた場合に得た値の2倍に近いものであった。
【0230】
(実施例7)<着用試験>
正常な排尿機能および排便機能を持つ健常な乳幼児(男児2名、女児3名、計5名)に、製造例5で作製した吸収体物品を装着して、下記の各項目について、検討した。
【0231】
・使用枚数
装着した吸収体物品のうち、吸収体物品のいずれかの部材に尿および便が観察された吸収体物品を計数した。その結果、装着した吸収体物品の全て(15枚)に尿が観察された。また、装着した吸収体物品のうち、5枚に便が観察された。
・平均着用時間
乳幼児が吸収体物品を装着した時間の平均値を算出した。
・平均吸収量
装着後の吸収体物品の重量から、装着前の吸収体物品の重量を差分して得た値の平均値を算出した。従って、ここに示す値は、吸収体物品に観察された着用者からの排出物の総質量に対応する。
・尿漏れ枚数
使用中の装着者を目視で観察し、吸収体物品から漏れの発生が観察された吸収体物品の枚数を計数した。
【0232】
【表13】

【0233】
また、上述の通り吸収体物品を装着した着用者のそれぞれの装着中の主な体位の別(立位、座位、伏臥位、仰臥位および横臥位)を検討した。また、上述の通り装着させた後の吸収体物品を分解し、装着後の第一吸収体および第二吸収体の尿の吸収状態を観察した。特に、装着後の第二吸収体については、吸収体物品の前身頃部分、中央部分および後身頃部分に相当する部位に等分割して、それぞれの部位について、尿の吸収状態を観察した。観察の指標としては、全面に尿が拡散しているものを100%とし、半分程度拡散しているものを50%とし、ほとんど拡散していないものを20%として、第一吸収体および第二吸収体のそれぞれの部位について、官能的に評価した。このように検討/評価した結果を、装着中の着用者の主な体位の別に区分し、その結果を表14に示す。
【0234】
【表14】

【0235】
以上の結果を要約すると、次のことが明らかになった。
(1)どのような体位でも、尿が吸収体物品の外側に漏れることはなかった。
(2)装着中にいずれの体位を取った場合であっても、尿が広い範囲に分配され、より効率よく吸収体が使われたことが分かった。このことは、ガイドシートを組み合わせた第二吸収体により、尿などの液体成分が広く分配された結果によるものと考えられる。
(3)後身頃に比較的移動しやすい仰臥位だけでなく、立位、座位などでも、吸収体物品の中央部分に相当する着用者の股下部から後身頃部分への液体成分の流れが起こり、吸収が充分行われたことが分かった。
(4)装着後のガイドシートの表面は湿っておらず、排泄された液は全て高吸水性複合シートからなる第二吸収体および/または第一吸収体に吸収・固定化されていた。
(5)ガイドシート部分で分配され、後身頃部分へ流れた液は、第二吸収体だけでなく第一吸収体にも吸収された。また、吸収後の第一吸収体および第二吸収体において、厚みが変化した。これらの現象は、液体成分の吸収により、第一吸収体および第二吸収体を構成するSAP担持層が膨潤・膨化し、これらの層が隣接する部位に、ライン状の空隙ができて、この空隙が液体成分の流路となったことによるものと考えられる。その結果、この流路が形成されることで、吸収体物品の前身頃部分に排出された尿などの液体成分は、前身頃部分に配置されたSAP担持層だけでなく、吸収体物品の後身頃部分に配置された第二吸収体および第一吸収体のSAP担持層でも吸収されたものと考えられる。
(6)排尿口付近の肌は、常にドライ状態に保たれていた。
【0236】
また、装着後の吸収体物品のうち、便が観察された5枚の吸収体物品について、下記の「便の種類」の項目の他、表13で示した各項目について、検討した。結果を表15に示す。
【0237】
・便の種類
装着後の吸収体物品において見出された便が普通便であるか、軟便であるかを、使用中の目視による観察および使用後に目視で観察し、その枚数を計数した。
【0238】
【表15】

【0239】
また、装着後の吸収体物品に便が見出された5枚の吸収体物品を分解し、便が受容されていた箇所を観察した。また、各装着者毎に、この便が受容されていた箇所とともに、下記の項目について、それぞれ検討した。その結果を表16に示す。
【0240】
・主な体位
吸収体物品を装着した各着用者が、装着中に取った体位の別を、立位、座位、伏臥位、仰臥位および横臥位に分けて、観察した。
・便の種類
吸収体物品に見出された便が普通便であるか、軟便であるかを目視で観察した。
・便受容箇所
吸収体物品のいずれに便が見出されたかを、目視で観察した。
・便量
装着後の吸収体物品に見出された便がどの程度の量であるかを、官能的に評価した。
・身体の汚れ
装着後の着用者のどの部位が便で汚れているかを、目視で観察した。
【0241】
【表16】

【0242】
その結果、便の受容場所は、普通便や軟便など、便の状態にかかわらず、吸収体物品の後身頃部分に配置した便処理シート上に全て受容されていたことが分かった。また、装着後の着用者の身体の汚れは、肛門や尻全体に見出され、睾丸やペニス周辺に便の汚れが見出されなかった。このことは、会陰よりも後側に汚れが見出されたこととなり、吸収体物品に配置した尿便分離ユニットにより、尿と便との分離、特に、便が前身頃部分に移動することが阻止されたことを示すものである。さらに、実施例5では、便漏れが観察されたものの、本実施例では、全く観察されなかったこととともに、軟便が見出された吸収体物品においては、便処理シートに受容された便の流動性がほとんど消失していた。これらのことは、便に含まれる液体成分が便処理シートにより吸収されていたためであると考えられ、流動性を消失した便が便処理シートに受容され、便漏れが抑制されたものと考えられる。また、便が見出された吸収体物品の全てにおいて、便は、吸収体物品の便処理シートに受容されていた。このことは、Z折りの構造を有する尿便分離ユニットを採用したことにより、便受容部を構成する容積が大きくなったためであると考えられる。
【0243】
一方、尿が観察された吸収体物品において、吸収体物品の後身頃部分に配置された第一吸収体の疎水性表面層の表面には、尿は、見出されなかった。また、便が観察された吸収体物品において、吸収体物品の前身頃部分に配置されたスキンコンタクトシート、ガイドシートおよび第二吸収体の表面には、便は観察されなかった。これらの結果は、いずれも、本実施例で使用した吸収体物品に設けた尿便分離ユニットが、尿の前後方向への移動を阻止したことによるものと考えられる。
【0244】
(製造例6)
製造例5において、ガイドシートを用いなかった以外は、製造例5と同様に行い、吸収体物品を作製した。
【0245】
(実施例8)
正常な排尿機能および排便機能を持つ健常な乳幼児(男児2名、女児3名、計5名)に、製造例6で作製した吸収体物品を装着して、表13に示した各項目について、実施例7と同様に、検討した。結果を表17に示す。
【0246】
【表17】

【0247】
その結果、装着した吸収体物品の全て(15枚)に尿が観察された。また、装着した吸収体物品のうち、4枚に便が観察された。
【0248】
また、表14に示した各項目について、装着した吸収体物品のうち装着中の着用者の主な体位が明らかな8枚の吸収体物品を対象に、表14に示した各項目について、実施例7と同様に、検討した。その結果を表18に示す。
【0249】
【表18】

【0250】
これらの結果をまとめると、以下の通りである。
【0251】
(1)尿漏れ枚数は、尿が見出された吸収体物品15枚のうち、2枚であった。
(2)吸収体の使用状態は、通常のおむつと比較して、概ね、全領域に渡って分布していた。ただ、ガイドシートを設けた実施例5の吸収体物品で得た結果と比較すると、全体に第一吸収体および第二吸収体の各吸収体の使用状態に偏りが見られ、第一吸収体の使用状況も悪くなった。
(3)特に、横臥位で装着された場合、各吸収体の使用状態が悪いことが分かった。
(4)第二吸収体の前身頃部分の表面には、残留した液が水玉状にところどころに溜まっていた。
【0252】
これらのことから、本実施例で用いた吸収体物品は、実用上、特に問題があるレベルではないものの、実施例5で用いた吸収体物品と比較すると、各吸収体の使用状態の点で、差異が認められた。この差異は、ガイドシートの存在の有無に起因するものと思われる。
【0253】
(比較例1)
本発明による高吸水性複合シートの疎水性表面層の効果を確認する目的で、製造例5において、第一吸収体(20)のSAP担持層が着用者の身体側に配置されるように作製した以外は、製造例5と同様に作製し、比較吸収体物品を5枚得た。このように作製した比較吸収体物品の後身頃部分には、着用者の身体側から順に、便処理シート(136)、第一吸収体(20)および第二吸収体(30)が配置されるとともに、最外側に底面防漏体(112)を配置した。従って、第一吸収体(20)のSAP担持層は、便処理シートと接することとなる。
【0254】
この比較吸収体物品を、正常な排尿機能および排便機能を持つ健常な乳幼児(男児1名)に装着して、使用させ、使用後の比較吸収体物品について、尿吸収量、尿漏れの発生の有無および発生部位、第二吸収体の疎水性表面層における便の受容状態およびこの疎水性表面層表面の濡れ状態、並びに便処理シートおよび着用者へのSAPの付着の有無および程度を観察した。結果を表19に示す。
【0255】
【表19】

【0256】
その結果、5枚の比較吸収体物品のうち、尿のみに使用されたものが4枚であり、尿と便とに使用されたものが1枚であった。尿吸収量の少ないものから順に、表19のNo.1乃至No.5とした。便に使用されたNo.2では、第二吸収体の疎水性表面層に便を受容していた。
【0257】
この結果から、以下のことが明らかとなった。
【0258】
(1)使用後の比較吸収体物品5枚のうち、3枚で尿漏れが発生した。このことは、第一吸収体のSAP担持層の液体吸収性が少ないものと推測される。
(2)尿漏れが発生した3枚の比較吸収体物品では、第二吸収体の表面にまで液体が浸出した。
(3)特に、No.4およびNo.5では、溢れた尿が、第二吸収体のSAP担持層によって吸収されていた。
(4)SAP担持層のSAPが膨潤すると、肌にSAP粒子が付着し使用不可となる。
【0259】
これらの結果から、SAP担持層を着用者の身体側に配した場合、製品としての機能を発揮し得ないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0260】
【図1】本発明による高吸水性複合シートの一例を示す図である。
【図2】本発明による高吸水性複合シートの一例を示す図である。
【図3A】本発明による高吸水性複合シートにおいて、液透過ゾーンを有する例を示す平面図である。
【図3B】本発明による高吸水性複合シートにおいて、液透過ゾーンを有する例を示す平面図である。
【図3C】本発明による高吸水性複合シートにおいて、液透過ゾーンを有する例を示す平面図である。
【図3D】本発明による高吸水性複合シートにおいて、液透過ゾーンを有する例を示す平面図である。
【図4A】本発明による高吸水性複合シートにおいて、液透過ゾーンを有する例を示す平面図である。
【図4B】本発明による高吸水性複合シートにおいて、液透過ゾーンを有する例を示す平面図である。
【図4C】本発明による高吸水性複合シートにおいて、液透過ゾーンを有する例を示す平面図である。
【図4D】本発明による高吸水性複合シートにおいて、液透過ゾーンを有する例を示す平面図である。
【図5】本発明による高吸水性複合シートにおいて、液透過ゾーンを有する例を示す平面図である。
【図6A】本発明による吸収体物品の一例を示す概略図であって、(a)は、その平面図を示し、(b)は、線Y−Y’に沿った断面図を示す。
【図6B】本発明による吸収体物品の一例を示す概略図であって、(a)は、その平面図を示し、(b)は、線Y−Y’に沿った断面図を示す。
【図7】本発明による吸収体物品において、高吸水性複合シートの表面における液体成分の移動・拡散を説明する部分模式図であって、図の左側は、その平面図を示し、右側は、左側の図の両矢印x−xに沿った断面図を示す。
【図8】本発明による吸収体物品において、高吸水性複合シートの表面における固形成分の受容と、液体成分の吸収との関係を説明する拡大模式図である。
【図9】本発明による吸収体物品の一例を示す概略図であって、(a)は、その平面展開図を示し、(b)および(c)は、それぞれ線X−X’および線X−X’に沿った断面図を示す。
【図10】本発明による吸収体物品の一例を示す概略図であって、(a)は、その平面展開図を示し、(b)、(c)および(d)は、それぞれ線X−X’、線X−X’および線X−X’に沿った断面図を示す。
【図11】本発明による吸収体物品において、尿便分離ユニットの態様を説明する概略図である。
【図12】本発明による吸収体物品の一例を示す概略図であって、(a)は、その平面展開図を示し、(b)、(c)および(d)は、それぞれ線X−X’、線X−X’および線X−X’に沿った断面図を示す。
【図13】本発明による吸収体物品の一例を示す概略図であって、(a)は、その平面図を示し、(b)は、線Y−Y’に沿った断面図を示す。
【図14】本発明による吸収体物品の一例を示す概略図であって、(a)は、その平面図を示し、(b)は、その斜視図を示し、(c)は、(a)に示す線Y−Y’に沿った断面図を示す。
【図15】本発明による吸収体物品の一例を示す概略図であって、(a)は、その平面図を示し、(b)、(c)および(d)は、それぞれ線X−X’、線X−X’および線Y−Y’に沿った断面図を示し、(e)は、この吸収体物品を構成する第一吸収体の概略平面図を示す。
【図16】高吸水性複合シートの使用例を示す概略図である。
【図17】本発明による吸収体物品の一例を示す概略図であって、(a)は、その平面図を示し、(b)、(c)および(d)は、それぞれ線X−X’、線X−X’および線Y−Y’に沿った断面図を示し、(e)は、この吸収体物品を構成する第一吸収体の概略平面図を示す。
【図18】製造例1で得た高吸水性複合シートの概略図であって、(a)は、その平面図を示し、(b)は、線X−X’に沿った断面図を示す。
【図19】高吸水性複合シートの製造プロセスの概略を示すブロック図である。
【図20】高吸水性複合シートの製造に使用した装置の概略図である。
【図21】図20に示す装置のコーターに装着したラインパターン成形機を示す概略図であって、(a)は、根元部の前方断面図と上面図とを示し、(b)は、先端部の前方断面図を示し、(c)は、先端部の上面図を示し、(d)は、根元部断面図を示し、(e)は、先端部断面図を示し、(f)は、組立完成図を示す。
【図22】体液浸透性試験に用いた装置の構成を示す概略図である。
【図23】吸水性試験の態様を示す概略図である。
【図24】高吸水性複合シートにおける吸水の前後の変化を示す概略図であって、(a)は、吸収前のものを示し、(b)は、吸収後のものを示す。
【図25】滲出性試験に用いた装置の構成を示す概略図である。
【図26】製造例3で用いた高吸水性複合シートの概略図を示す。
【符号の説明】
【0261】
10 高吸水性複合シート
12 疎水性表面層
14 吸収拡散層
16 SAP担持層
20 第一吸収体
22 表面拡散層
24 液透過ゾーン
30 第二吸収体
100 吸収体物品
112 底面防漏体
114 吸収体
116 スキンコンタクトシート
122 インナーギャザー
124 アウターギャザー
126 ウェストバンド
128 結束部
132 ガイドシート
134 尿便分離ユニット
136 便処理シート
L 液体成分
S 固形成分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体成分の吸収能を有するSAP担持層と、
該SAP担持層上に積層された、親水性を有する吸収拡散層と、
該吸収拡散層上に積層された、耐水性を有する疎水性表面層と、
を有する高吸水性複合シートであって、
前記SAP担持層、前記吸収拡散層および前記疎水性表面層は、一体化されていることを特徴とする高吸水性複合シート。
【請求項2】
前記疎水性表面層の耐水圧は、50mmHO以上であることを特徴とする請求項1に記載の高吸水性複合シート。
【請求項3】
前記疎水性表面層の耐水圧は、100mmHO以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の高吸水性複合シート。
【請求項4】
前記疎水性表面層の表面上に、さらに親水性で液透過性を有する表面拡散層を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の高吸水性複合シート。
【請求項5】
前記疎水性表面層は、液透過ゾーンを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の高吸水性複合シート。
【請求項6】
前記液透過ゾーンは、開口状を呈することを特徴とする請求項5に記載の高吸水性複合シート。
【請求項7】
前記液透過ゾーンは、スリット状を呈することを特徴とする請求項5に記載の高吸水性複合シート。
【請求項8】
前記液透過ゾーンは、界面活性剤による親水化処理されたものであることを特徴とする請求項5に記載の高吸水性複合シート。
【請求項9】
着用者の身体から離れて配置された、液不透過性を有する底面防漏体と、
該底面防漏体から前記着用者の身体側に配置された、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の高吸水性複合シートと
を有する吸収体物品であって、
前記高吸水性複合シートは、前記疎水性表面層の表面が前記着用者の身体に向くように、配置されていることを特徴とする吸収体物品。
【請求項10】
前記高吸水性複合シートと、前記底面防漏体との間に、液体成分の吸収能を有する吸収体をさらに有することを特徴とする請求項9に記載の吸収体物品。
【請求項11】
前記高吸水性複合シートは、前記着用者の身体の背側に対応する後身頃部分から前記着用者の身体の股部分に対応する中央部分までにのみ配置されていることを特徴とする請求項9または10に記載の吸収体物品。
【請求項12】
前記高吸水性複合シートの表面に接するように、液透過性を有するガイドシートをさらに有することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載の吸収体物品。
【請求項13】
前記ガイドシートは、当該吸収体物品の前身頃部分にのみ配置されていることを特徴とする請求項12に記載の吸収体物品。
【請求項14】
前記着用者の身体の股部分に対応する中央部分に、尿便分離ユニットをさらに有することを特徴とする請求項9乃至13のいずれか一項に記載の吸収体物品。
【請求項15】
前記高吸水性複合シートの上方に配置されるように、便処理シートをさらに有することを特徴とする請求項9乃至14のいずれか一項に記載の吸収体物品。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2008−136583(P2008−136583A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−324120(P2006−324120)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(592034744)株式会社日本吸収体技術研究所 (28)
【Fターム(参考)】