説明

高周波加熱装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品の沸騰を検知して加熱動作を自動制御するもので、沸騰検知部からの水滴落下を防止する構造とした高周波加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より高周波加熱装置は温度センサ等により、食品の沸騰を検知して加熱動作を自動制御する等、加熱の自動化が進み、最適加熱が手間なしで簡単に行えるようになった。例えば図3に示すごとく、高周波加熱で食品を加熱調理すると、食品からでる水蒸気が加熱室から流出口を経てチューブ11を介してファンガイド6に取り付けられたセンサガイド12に流出し、ファンガイド6に設けた温度センサ15に接触すると結露して水滴になり、温度センサ15は沸騰を検知して自動加熱を行うが、結露した水滴が温度センサ15もしくは温度センサ15を取り付けるセンサガイド12からマグネトロン等高圧部品(図示せず)に落下する危険性があった。そのためこのセンサガイド12には加熱室1内の水蒸気を含んだ排気をファン5の吸引力を利用して吸引する吸引口13を設け、吸水性のよいパッキン20などを温度センサ15を取り付けるセンサガイド12にはったり、センサガイド12の形状を複雑化して高圧部品への水滴落下を防止していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の高周波加熱装置では、温度センサ15から落下する水滴が、高圧部品へ落下するのを防止するために吸水性のよいパッキン20を用いたりセンサガイド12の形状を複雑化していたためコストアップの要因となっていた。また、パッキン20取付の組立作業工程が増えていた。
【0004】また、パッキンを設ける代りに、特開平6−50542号公報に示すように、蒸気検出器を取り付ける取付け台と蒸気ガイドからなる混合器の下方に混合器から生ずる水滴を一定量蓄えるつゆ受けを別途設けたものがあるが、混合器全体をカバーするため大きなつゆ受けを別途設けねばならず、コスト高であるとともに、別途つゆ受け取付の組立作業工程が増えていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の問題点を解決するために、食品を収納して高周波加熱調理する加熱室と、加熱室内へ高周波電波を供給するマグネトロンと、マグネトロンを冷却し加熱室内へ空気を供給するファンとファンガイドからなる冷却装置と、食品から発生する水蒸気を検出し食品の加熱状況を検知する温度センサと、食品から発生する水蒸気を加熱室から温度センサまで導く蒸気ガイドを備えた高周波加熱装置において、ファンガイドに温度センサとセンサガイドを取り付けるとともに、ファンガイドの温度センサの外方に上が凸の球面状の絞りを設け、センサガイドの一方に蒸気ガイドの端部であり食品から発生する水蒸気を温度センサに導くチューブを接続し、センサガイドの他方の絞りと対応する位置に絞りより外形が小さいファンにて空気を吸引する吸引口と、さらに吸引口の外方に凹状のつゆ受けを一体に設けた。
【0006】
【作用】加熱調理時に食品から発生し加熱室から温度センサまで導かれた水蒸気がファンガイドで結露し水滴になっても、球面状の絞りを水滴が滑り、絞りを避けて吸引口の周りに落下させ、落下した水滴をセンサガイドに吸引口と一体に設けたつゆ受けに一定量ため、吸引口から高圧部分に水滴が落下するのを防止する。
【0007】
【実施例】以下本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
【0008】図1は本発明の一実施例による高周波加熱装置の平断面図であり、図2は同じく温度センサ周りの縦断面図であり、温度センサの取付構造を説明するものである。
【0009】図において、1は食品を収納して高周波加熱で加熱調理する加熱室であり、2は加熱室1に食品を出し入れするためのドアであり、3は加熱室1内の加熱の指示を行う操作パネルである。4は高周波電波を発生するマグネトロンであり、5はマグネトロン4やマグネトロン4に高電圧を供給する昇圧トランス(図示せず)を冷却するファンであり、6はこのファン5からの風を案内するファンガイドである。
【0010】7はマグネトロン4を冷却した後の空気が加熱室1へ流れ込む流入口であり、8及び9は流入口7から流入した空気が加熱室1外へ流出口である。このうち後者の流出口9には順次排気ダクト10、チューブ11及びファンガイド6に取り付けられたセンサガイド12を接続して、食品から発生する水蒸気を加熱室1からセンサガイド12まで導く蒸気ガイドを構成している。
【0011】このセンサガイド12には上方にバーリングした吸引口13及び凹状のつゆ受け14が一体に設けられており、吸引口13は蒸気ガイドを介して加熱室1内の水蒸気を含んだ排気をファン5の吸引力を利用して吸引するものであり、つゆ受け14の先端はセンサガイド12のつゆ受け14部を除く底面より適当な寸法Hだけ低くし、水切り機能を持たせてある。
【0012】上部のファンガイド6に食品から発生する水蒸気を検出し食品の加熱状況を検知する温度センサ15が、さらに吸引口13と対応する上面に吸引口13の内径D1より外形D2が大きく上が凸の球面状の絞り16が設置されている。17は高周波加熱装置本体の背面であり、温度センサ15を通過した排気が排出される開口18及びつゆ受け14の先端が挿通する開口19が設けられている。
【0013】次にこのように構成された実施例の動作を説明する。マグネトロン4およびファン5が動作を開始し、加熱室1内の食品が沸騰して水蒸気が発生すると、水蒸気は加熱室1の流出口9から蒸気ガイドを構成する排気ダクト10、チューブ11を通りセンサガイド12内に流れ込み、温度センサ15に供給され、その表面で凝縮し、潜熱が伝達されることにより、温度センサ15は食品から発生する水蒸気を検出し食品の加熱状況を検知する。そのとき温度センサ15部及びファンガイド6上部で結露した水滴が落下する。
【0014】ファンガイド6の吸引口13に対応する位置に吸引口13の内径D1より外形D2が大きい球面状の絞り16を設けているため、この結露した水滴は球面状の絞り16を滑り吸引口13を避けるように落下し、落下した水滴はつゆ受け14に流れ込み、マグネトロン4や昇圧トランス(図示せず)等の高圧部への水滴落下を防止している。また、万一つゆ受け14から溢れるほど水滴が溜った場合も、本体背面17の開口19から突出しておりセンサガイド12の他の部分より寸法Hだけ低く水切り機能を有するつゆ受け14の先端から水滴が落下するので、本体内の高圧部への水滴落下は完全に防止出来る。
【0015】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、食品の沸騰を検知して加熱動作を自動制御する高周波加熱装置において、ファンガイドに温度センサとセンサガイドを取り付けるとともに、ファンガイドの温度センサの外方に上が凸の球面状の絞りを設け、センサガイドの一方に蒸気ガイドの端部であり食品から発生する水蒸気を温度センサに導くチューブを接続し、センサガイドの他方の絞りと対応する位置に絞りより外形が小さいファンにて空気を吸引する吸引口と、さらに吸引口の外方に凹状のつゆ受けを一体に設けたから、パッキンなどの部品をもちいたり、つゆ受けを別に設けたり、センサガイドを複雑化することなく、水蒸気吸引口から高圧部品への水滴落下を防ぐことが可能であり、コストの低減を計れ、また、センサガイドの形状を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による高周波加熱装置の平断面図である。
【図2】同じく温度センサ部の縦断面図である。
【図3】従来例を示す高周波加熱装置の温度センサ部の縦断面図である。
【符号の説明】
5 ファン
6 ファンガイド
11 チューブ
12 センサガイド
13 吸引口
14 つゆ受け
15 温度センサ
16 絞り

【特許請求の範囲】
【請求項1】 食品を収納して高周波加熱調理する加熱室と、加熱室内へ高周波電波を供給するマグネトロンと、マグネトロンを冷却し加熱室内へ空気を供給するファンとファンガイドからなる冷却装置と、食品から発生する水蒸気を検出し食品の加熱状況を検知する温度センサと、食品から発生する水蒸気を加熱室から温度センサまで導く蒸気ガイドを備えた高周波加熱装置において、前記ファンガイド(6)に温度センサ(15)とセンサガイド(12)を取り付けるとともに、ファンガイド(6)の温度センサ(15)の外方に上が凸の球面状の絞り(16)を設け、センサガイド(12)の一方に前記蒸気ガイドの端部であり食品から発生する水蒸気を温度センサ(15)に導くチューブ(11)を接続し、センサガイド(12)の他方の絞り(16)と対応する位置に絞り(16)より外形が小さい前記ファン(5)にて空気を吸引する吸引口(13)と、さらに吸引口(13)の外方に凹状のつゆ受け(14)を一体に設け、ファンガイド(6)で結露した水滴を球面状の絞り(16)を避けて吸引口(13)の周りに落下させ、落下した水滴をセンサガイド(12)に設けたつゆ受け(14)に一定量ため、吸引口(13)からの水滴落下を防止するものとしたことを特徴とする高周波加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【特許番号】特許第3314126号(P3314126)
【登録日】平成14年5月31日(2002.5.31)
【発行日】平成14年8月12日(2002.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−139776
【出願日】平成7年6月7日(1995.6.7)
【公開番号】特開平8−334232
【公開日】平成8年12月17日(1996.12.17)
【審査請求日】平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願人】(000005131)株式会社日立ホームテック (10)
【参考文献】
【文献】特開 平6−50542(JP,A)
【文献】特開 平3−306022(JP,A)
【文献】特開 平6−109262(JP,A)