説明

高級脂肪酸誘導体含有組成物及び飲食物

本発明は、低コストで容易に製造でき、ダイエット、食餌制限等の種々の要因で誘発される骨粗鬆症予防治療剤として有効であり、安全性が高く常用可能な高級脂肪酸誘導体含有組成物、及び、それを含み、ダイエット、食餌制限等の種々の要因で誘発される骨粗鬆症予防治療剤として有効であり、病院用飲食品、健康飲料乃至食品、飼料等として好適な飲食物を提供することを目的とする。 前記高級脂肪酸誘導体含有組成物は、少なくとも1種の高級脂肪酸誘導体を有効成分として含み、骨粗鬆症予防治療剤として使用されることを特徴とする。前記高級脂肪酸誘導体がオクタコサナールを含むことが好ましい。前記飲食物は、前記高級脂肪酸誘導体含有組成物を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、低コストで容易に製造でき、安全性が高く常用可能な骨粗鬆症予防治療剤としての高級脂肪酸誘導体含有組成物、及びそれを含み、病院用飲食品、健康飲料乃至食品、安全飼料等として常用可能な飲食物に関する。
【背景技術】
近年、ダイエット、食事内容の変化、長寿化等の種々の要因により骨粗鬆症の患者が増加し、問題となっている。この骨粗鬆症は、更年期後のホルモン分泌の低下やホルモン分泌異常性疾患等によって発症し、骨密度が低下して骨が折れ易くなってしまう疾患である。特に、大腿骨を骨折した老齢の患者では回復が遅く、脳卒中、老衰に続いて、寝たきり患者となる原因の第3位として挙げられ、社会的に大きな問題となっている。
骨粗鬆症患者において最も問題となるのは、易骨折性と疼痛であり、医師により骨粗鬆症と診断された患者では、エストロゲンを投与するホルモン補充療法、ビスフォスフォネート、ラロキシフェン、カルシトニン、カルシウム剤、ビタミンD、ビタミンK、イプリフラボンなどの薬剤投与が行われている。
しかし、骨密度低下の程度が軽い潜在的患者では、特に症状が現れないため、医師の診断を受ける動機付けがなく、見過ごされてしまう場合が多い。日本では約500万人もの潜在的患者がいると言われ、特に女性では50歳代で約20%、60歳代で約48%、70歳代で約70%、80歳代では約85%の人の骨密度が低下しているとの報告もある。
多数の潜在的骨粗鬆症患者がいる現状では、医師の処方による医薬品よりも効果がマイルドで、一方、日常の食事や健康食品、サプリメントなどによって、手軽に骨粗鬆症の予防治療に有効なものを摂取することが好ましいといえる。このような現状に鑑み、種々の骨粗鬆症予防治療剤や健康食品が提案されている。例えば、オコタコサノールを含むブラジル原産白甘藷に、女性ホルモン作用があることが提案されている(特許文献1参照)。また、炭素数22から38の直鎖飽和アルコールの1種又は2種以上を有効成分とする骨粗鬆症予防治療剤が提案されている(特許文献2参照)。
一方、前記オクタコサノールの別の作用に着目し、体力の増進と性ホルモンとを刺激する作用や(特許文献3参照)、コレステロール値を低下させる作用を有することが提案されている(特許文献4参照)。また、前記オクタコサノールと類似のオクタコサナールが発揮する作用に着目し、体力増進効果や疲労回復効果を有する栄養食品が提案されている(特許文献5参照)。また、炭素数27の直鎖状脂肪族アルデヒドなどがコレステロール値を低下させる作用を有することが提案されている(特許文献6参照)。
各種の骨粗鬆症治療剤等が提案されてきているが、更に新規で、低コストで容易に製造でき、ダイエット、食餌制限等の種々の要因で誘発される骨粗鬆症予防治療剤として有効であり、各種用途に好適に使用可能であり、安全性が高く常用可能な組成物乃至飲食物の提供が望まれている。
【特許文献1】 特開昭63−283552号公報
【特許文献2】 特開平4−266820号公報
【特許文献3】 特開平4−278061号公報
【特許文献4】 特表平7−505414号公報
【特許文献5】 特開平1−225461号公報
【特許文献6】 特開昭59−53427号公報
本発明は、前記要望に応え、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、低コストで容易に製造でき、ダイエット、食餌制限等の種々の要因で誘発される骨粗鬆症予防治療剤として有効であり、安全性が高く常用可能な高級脂肪酸誘導体含有組成物、及び、それを含み、ダイエット、食餌制限等の種々の要因で誘発される骨粗鬆症予防治療剤として有効であり、病院用飲食品、健康飲料乃至食品、飼料等として好適な飲食物を提供することを目的とする。
【発明の開示】
本発明の高級脂肪酸誘導体含有組成物は、少なくとも1種の高級脂肪酸誘導体を有効成分として含み、骨粗鬆症予防治療剤として使用されることを特徴とする。
該高級脂肪酸誘導体含有組成物は、有効成分として少なくとも1種の高級脂肪酸誘導体を含むので、骨粗鬆症予防治療剤として好適に使用可能である。
本発明の飲食物は、本発明の前記高級脂肪酸誘導体含有組成物を含むことを特徴とする。
該飲食物は、天然成分を有効成分とし、安全で病院用、日常用、飼育用等の飲食品として特に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
(高級脂肪酸誘導体含有組成物)
本発明の高級脂肪酸誘導体含有組成物としては、少なくとも1種の高級脂肪酸誘導体を有効成分として含み、更に、目的に応じて適宜選択したその他の成分を含んでいてもよい。
−高級脂肪酸誘導体−
前記高級脂肪酸誘導体としては、高級脂肪酸の誘導体である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基含有高級脂肪酸、アルデヒド基含有高級脂肪酸、などが挙げられる。
前記水酸基含有高級脂肪酸としては、水酸基を有する限り、特に制限はなく、例えば、テトラコサノール、ヘキサコサノール、ヘプタコサノール、オクタコサノール、ノナコサノールなどが挙げられる。これらの中でも、オクタコサノールが好ましい。
前記アルデヒド含有高級脂肪酸としては、アルデヒド基を有する限り、特に制限はなく、例えば、テトラコサナール、ヘキサコサナール、ヘプタコサナール、オクタコサナール、ノナコサナールなどが挙げられる。これらの中でも、オクタコサナールが特に好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルデヒド基含有高級脂肪酸が特に好ましい。また、前記高級脂肪酸誘導体を2種以上併用する場合には、前記オクタコサノールと前記オクタコサナールとの併用(混合物)が好ましい。
前記高級脂肪酸誘導体は、化学合成品であってもよいし、天然由来のものであってもよい。後者の場合、飲食物用途には安全性の点で有利であり、その中でも天然物の抽出物であるのが好ましい。
前記高級脂肪酸誘導体における炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、24〜38が好ましく、26〜32がより好ましい。
前記高級脂肪酸誘導体の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然物から抽出する方法、公知の合成方法などが挙げられる。これらの中でも、より簡便に低コストで製造可能な点で、前記天然物から抽出する方法が好ましい。
前記天然物としては、特に制限はなく、例えば、サトウキビ(甘蔗)、玄米胚芽、麦芽、リンゴ皮、椰子果実などが挙げられる。
以下に前記高級脂肪酸誘導体としての前記オクタコサナールの製造方法の一例について説明する。即ち、先ず、前記天然物として甘蔗を用い、該甘蔗の茎皮を細切して細片とした後、ベンゼン、イソプロパノール、ヘキサンなどの有機溶媒を加えて、30〜80℃の温度条件の下、10分〜数時間程度加温して、濾過を行う。この濾液を減圧濃縮することにより得られた脂状物質をシリカゲルカラムにかけ、ベンゼンなどの有機溶媒中へ溶出した初期画分を、更に薄層クロマトグラフィーで精製し、Rf値が約0.60〜0.65の画分を集めて、再結晶化することにより前記オクタコサナールを製造することができる。
なお、前記脂状物質は、通常、前記オクタコサナールを60〜90質量%含有しているため、該脂状物質に前記その他の成分を含有させることにより、そのまま製剤化することもできる。
前記高級脂肪酸誘導体の前記高級脂肪酸誘導体含有組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、本発明の目的を妨げない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、薬効成分、添加剤などが挙げられる。
前記薬効成分としては、例えば、生薬、ビタミン類、止しゃ剤、整腸剤、抗潰瘍剤、健胃消化剤、制酸剤、消化酵素剤、鎮咳剤、利胆剤、抗ヒスタミン剤、抗不安剤、抗てんかん剤、解熱鎮痛消炎剤、鎮けい剤、利尿剤、強心剤、血圧降下剤、血管拡張剤、抗不整脈剤、血栓溶解剤、高脂血症用剤、気管支拡張剤、喘息治療剤、抗アレルギー剤、抗生物質、抗ウイルス剤、ホルモン剤、などが挙げられる。
前記生薬としては、例えば、アセンヤク、アマチャ、ウイキョウ、ウコン、エンメイソウ、オウゴン、オウレン、ガイヨウ、カッコン、カンゾウ、ケイヒ、ゲンノショウコ、コウボク、サフラン、サンサシ、シャクヤク、ショウキョウ、センナ、センブリ、チョウジ、チンピ、トウヒ、ビャクジュツ、ボウフウ、マオウ、リュウコツ、レンギョウ、などが挙げられる。これらはエキス剤として添加してもよく、また、抽出物、粉末として添加してもよい。
前記ビタミン剤としては、例えば、レチノール、レチナール等のビタミンA群;カロチン類、チアミン、リボフラビン、ビオチン等のビタミンB群;アスコルビン等のビタミンC群;コレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール等のビタミンD群;α−トコフェロール、トコトリエノール等のビタミンE群;フィトナジオン、メナテトレノン等のビタミンK群;ニコチン酸、パントテン酸、葉酸等、及びこれらの誘導体若しくはこれらの塩などが挙げられる。
前記添加剤としては、特に制限はなく、例えば、安定化剤、界面活性剤、可溶化剤、緩衝剤、甘味剤、矯味剤、懸濁化剤、抗酸化剤、清涼化剤、着香剤・香料、乳化剤、pH調整剤、分散剤、芳香剤、防腐剤、保存剤などが挙げられる。
前記安定化剤としては、例えば、アジピン酸、アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスパラギン酸、L−アスパラギン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、L−アルギニン、安息香酸ナトリウム、イノシトール、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、エルソルビン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グリシン、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、軽質無水ケイ酸、酢酸トコフェロール、ゼラチン、大豆油不けん化物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、無水クエン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、リン酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
前記界面活性剤としては、例えば、コレステロール、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリルアルコール、セスキオレイン酸ソルビタン、セタノール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリソルベート、マクロゴール、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリン、モノラウリン酸ソルビタン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴールなどが挙げられる。
前記可溶化剤としては、例えば、L−アスパラギン酸、L−アルギニン、安息香酸ナトリウム、エタノール、塩化ナトリウムソルビタン脂肪酸エステル、炭酸水素ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリソルベート、ポリビニルアルコール、D−マンニトール、無水エタノールなどが挙げられる。
前記緩衝剤としては、例えば、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸マグネシウム、アミノエチルスルホン酸、L−アルギニン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、グリシン、炭酸水素ナトリウム、乳酸、ブドウ糖、無水クエン酸、無水クエン酸ナトリウム、無水リン酸一水素ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウムなどが挙げられる。
前記甘味剤としては、例えば、アスパルテーム、アマチャ、カンゾウ、果糖、果糖ブドウ糖液、ブドウ糖果糖液糖、還元麦芽糖水アメ、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、アセスルファムカリウム、高果糖液糖、ブドウ糖、水アメ、乳糖、白糖、精製白糖、ハチミツ、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア、スクラロース、エリスリトール、キシリトール、D−ソルビトール、マルチトール、マルトース、D−マンニトール、単シロップなどが挙げられる。
前記矯味剤としては、例えば、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、DL−アラニン、5’−イノシン酸二ナトリウム、ウイキョウ、塩化ナトリウム、オレンジ油、カカオ末、カンフル、グリシン、グリセリン、L−グルタミン酸、サフラン、酒石酸、ショウキョウ、D−ソルビトール、ハッカ、アジピン酸、フマル酸、ペパーミント、ボルネオール、メントール、リュウノウ、緑茶末、リンゴ果汁、リンゴ酢、レモン油、ローズ油、ローヤルゼリーなどが挙げられる。
前記懸濁化剤としては、例えば、アラビアゴム、カラギーナン、カルボキシビニルポリマー、カンテン、キサンタンガム、グリセリン脂肪酸エステル、酸化チタン、ショ糖脂肪酸エステル、ステリアルアルコール、ステアリン酸アルミニウム、セタノール、精製ゼラチン、ソルビタン脂肪酸エステル、大豆レシチン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ペクチン、プロピレングリコール、リオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、モノステアリン酸グリセリン、流動パラフィンなどが挙げられる。
前記抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、塩酸システイン、酢酸トコフェロール、大豆レシチン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピルなどが挙げられる。
前記清涼化剤としては、例えば、ゲラニオール、ハッカ水、ハッカ油、ボルネオール、メントール、ミントなどが挙げられる。
前記着香剤・香料としては、例えば、ウイキョウ、エチルバニリン、エチルマルトール、オレンジ、カンフル、ケイヒ、シュガーフレーバー、シンナムアルデヒド、チェリーフレーバー、トウヒチンキ、ハッカ、バニラフレーバー、バニリン、ビターエッセンス、フルーツフレーバー、フレーバーGI、ベルモットフレーバー、ミックスフレーバー、ミントフレーバー、メントール、ユーカリ油、リュウノウ、レモンパウダー、レモン油、ロジン、ローズ油などが挙げられる。
前記乳化剤としては、例えば、カラギーナン、カルボキシビニルポリマー、カルメロースナトリウム、グァーガム、グリセリン脂肪酸エステル、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリルアルコール、ステアリン酸、セタノール、ゼラチン、ソルビタン脂肪酸エステル、大豆レシチン、ヒドロキシプロピルセルロース、プロピレングリコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリソルベート、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、モノラウリン酸ソルビタン、ラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記pH調整剤としては、例えば、希塩酸、クエン酸ナトリウム、グリシン、コハク酸、酢酸、酒石酸、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、フマル酸一ナトリウム、リン酸、リン酸三ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二水素ナトリウムなどが挙げられる。
前記分散剤としては、例えば、アミノアルキルメタクリレートポリマーRS、アラビアゴム、オレイン酸、カルボキシビニルポリマー、カルメロースナトリウム、グリセリン、結晶セルロース、コリンリン酸塩、レシチン、セスキオレイン酸ソルビタン、デキストリン、トウモロコシデンプン、トリオレイン酸ソルビタン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、モノステアリン酸グリセリン、ラウリル硫酸ナトリウム、流動パラフィンなどが挙げられる。
前記芳香剤としては、例えば、ウイキョウ、エチルバニリン、オレンジ油、カンフル、ケイヒ、ショウキョウ、ジンコウ、チョウジ、ハッカ、バニラ、バニリン、ボルネオール、マルトール、メントール、メントール、ユーカリ、リュウノウ、レモン、ローズ水などが挙げられる。
前記防腐剤としては、例えば、アミノエチルスルホン酸、安息香酸、安息香酸ナトリウム、エタノール、エデト酸ナトリウム、カンテン、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、メントールなどが挙げられる。
前記保存剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、グリセリン、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、D−ソルビトール、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸メチル、プロピレングリコールなどが挙げられる。
前記骨粗鬆症予防治療剤の剤形としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉末、細粒、顆粒、マイクロカプセルなどの固形剤としてもよく、更に、これらを錠剤、フィルムコート剤、チュアブル錠、カプレットとしてもよく、カプセルなどに充填してもよい。また、適宜選択した溶媒によって溶液化又は懸濁化して、液剤としてもよい。
本発明の高級脂肪酸誘導体含有組成物は、日常的に手軽に摂取できると共に安全性が高く、骨粗鬆症の予防及び治療の少なくともいずれかに有効に効果を発揮することができ、以下に説明する本発明の飲食物に特に好適に使用することができる。
(飲食物)
本発明の飲食物としては、前記高級脂肪酸誘導体含有組成物を含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分等を含んでなる。
本発明の飲食物の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、食品、飲料、飼料など各種用途に好適に使用可能である。
前記食品としては、例えば、常用食、病院食、栄養補助食品や病気予防治療食品等の健康用機能食品、などが好適に挙げられる。これらの具体例としては、アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;などが挙げられる。
前記飲料としては、例えば、常用飲料、病院飲料、栄養補助飲料や病気予防治療飲料等の健康用機能飲料、などが好適に挙げられる。これらの具体例としては例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料などが挙げられる。
前記飼料としては、例えば、豚用飼料、牛用飼料、鶏用飼料、馬用飼料、ペットフード、などが好適に挙げられる。なお、前記ペットフードとしては、例えば、犬用ペットフード、猫用ペットフード、などが挙げられる。
前記飲食物における前記高級脂肪酸誘導体含有組成物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の飲食物は、日常的に手軽に摂取できると共に安全性が高く、骨粗鬆症の予防及び治療の少なくともいずれかに有効である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例1】
−骨粗鬆症予防治療剤の製造−
前記天然物として甘蔗の茎の表皮をピーラーで削りとり、その30gにベンゼン600mlを加え、攪拌しながら60℃の温度条件で30分間加温した。加温した前記ベンゼンの溶液を濾過し、その濾液を窒素ガス気流下、40℃で乾固するまで減圧濃縮し、白色の脂状物質7.2gを得た。次に、予めベンゼンで洗浄したシリカゲル(100メッシュ以上)を充填したカラムに、前記脂状物質をベンゼンに溶解した溶液を投入して、ベンゼンでの溶出を行った。各画分について、n−ヘキサンとベンゼンとの混合物[n−ヘキサン:ベンゼン=1:1(v/v)]を展開溶媒として、シリカゲル薄層クロマトグラフィーを行い、Rf値が0.62の画分を集めた。該画分を窒素ガス気流下で濃縮乾固し、2.1gのワックス状結晶(骨粗鬆症予防治療剤A)を得た。
該ワックス状結晶をガスクロマトグラフィーで分析したところ、オクタコサナールが23.9質量%含まれることが判った。
【実施例2】
−骨粗鬆症予防治療剤の製造−
オクタコサノール1.0g(東京化成社製)にCHCl300ml、CaCO5.0g及びモレキュラーシーブス2.0g(三光純薬社製、MS4A)を加え、室温で30分間の攪拌を行った。ここにクロロクロム酸ピリジニウム3.0gを加え、室温で2時間の反応を行った。更に、CaCO5.0gと、ケイソウ土10.0gと、ヘキサン300mlとを加え、15分間攪拌した後、濾過を行い、粗精製物を得た。該粗精製物をシリカゲルカラム(2.0×60cm)を使用して、質量混合比が、ヘキサン:トルエン=3:1の溶出溶媒で精製を行い、オクタコサナール456.8mg(骨粗鬆症予防治療剤B)を得た(収率45.9%)。
なお、得られたオクタコサナールについて、H−NMR(300MHz)及びマススペクトル分析(EI法)を行った。結果を以下に示す。
H−NMRケミカルシフトδ(帰属水素)>
0.88(3H,t,J6.7Hz),1.63(2H,m),2.42(2H,dt,J2.0 and 7.0Hz),9.77(1H,t,J1.8Hz)
<マススペクトル分析結果>
2856Oとして、分子量計算値:408.4331
マススペクトルの分子量ピーク:408.4326
(実施例3及び比較例1〜2)
−飼料の製造−
常法により、下記表1の組成からなる標準飼料、制限飼料(1)を製造した。また、該制限飼料(1)に前記製造したオクタコサノール(前記骨粗鬆症予防治療剤B)を、ラット1体が1日当たり7mgの摂取量となるように更に添加させて制限飼料(2)を製造し、それぞれの飼料について以下の評価を行った。結果を表2に示す。

<破断エネルギー評価>
前記製造した標準飼料、制限飼料(1)及び(2)を、ラット骨粗鬆症モデル(Sun et al.,J.Jap.Soc.Nutrition and Food Science,55(3),149−155,2002)に投与して、以下の方法により行った。
15例の雌ラット(日本エスエルシー社製、Wister系、実験開始時6週齢、体重100〜110g)を用意し、1ケージに1例ずつ入れ、温度25±2℃、相対湿度60±5%、12時間毎の明暗条件下で1週間の予備飼育を行った。この間、前記標準飼料及び水道水を自由摂取させ、1例当たりの1日の平均摂食量(g/head/day)を算出した。
15例のラットを各群5例ずつの3群(対照群、制限飼料群、試験群)に、各群の平均体重が略等しくなるようにして群分けを行った。前記対照群には、前記標準飼料を自由摂取させ、前記制限飼料群には、前記平均摂食量の半分の量とした前記制限飼料(1)を、1日1回、午前11:00に摂取させ、前記試験群には、前記制限飼料(2)を、前記制限飼料(1)と同様にして摂取させた。前記水道水は各群ともに自由摂取させた。
前記条件にて、4週間飼育した後、各ラットをペントバルビタールナトリウムで麻酔し、腹大動脈から全採血して屠殺した。その後剖検し、肉眼的に検査した後、両側の大腿骨を摘出した。該摘出した右側の大腿骨を使用して、Pengらの方法(J.Bone Miner.Res.,2,249−257,1987)に従って、破断エネルギーの測定を行った。
<骨密度評価>
前記摘出した左側の大腿骨について、二重エネルギーX線吸収測定法(Aloka company社製、骨密度測定装置DCS−600型)で、ピッチ1.0mmで測定し、画像処理をして骨密度を算出した。
<血清エストラジオール濃度>
前記採取した血液を遠心分離して血清を分取し、常法に従い、エストラジオールEIAキット(フナコシ社製)を用いてエストラジオール濃度の測定を行った。

表2に示すように、制限飼料(1)を摂取させた群では、標準飼料を摂取させた群と比較して、破断エネルギーが低く、骨が折れ易くなっていた。しかしながら、制限飼料(2)を摂取させた群においては、標準飼料を摂取させた群とほぼ同じ破断エネルギーであることが判った。また、大腿骨骨密度についても、前記破断エネルギーの測定結果と同様に、標準飼料を摂取させた群と、制限飼料(2)を摂取させた群とは略同じ密度であることが判った。
なお、前記血清エストラジオール濃度については、制限飼料(1)を摂取させた群と制限飼料(2)を摂取させた群とでは差が認められなかった。
【産業上の利用可能性】
本発明によると、低コストで容易に製造でき、ダイエット、食餌制限等の種々の要因で誘発される骨粗鬆症予防治療剤として有効であり、安全性が高く常用可能な高級脂肪酸誘導体含有組成物、及び、それを含み、ダイエット、食餌制限等の種々の要因で誘発される骨粗鬆症予防治療剤として有効であり、病院用飲食品、健康飲料乃至食品、飼料等として好適な飲食物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の高級脂肪酸誘導体を有効成分として含み、骨粗鬆症予防治療剤として使用されることを特徴とする高級脂肪酸誘導体含有組成物。
【請求項2】
炭素数が24〜38の高級脂肪酸誘導体を含む請求の範囲第1項に記載の高級脂肪酸誘導体含有組成物。
【請求項3】
高級脂肪酸誘導体がオクタコサナールを含む請求の範囲第1項から第2項のいずれかに記載の高級脂肪酸誘導体含有組成物。
【請求項4】
高級脂肪酸誘導体がオクタコサノールを含む請求の範囲第3項に記載の高級脂肪酸誘導体含有組成物。
【請求項5】
請求の範囲第1項から第4項のいずれかに記載の高級脂肪酸誘導体含有組成物を含むことを特徴とする飲食物。

【国際公開番号】WO2004/105739
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【発行日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−500245(P2005−500245)
【国際出願番号】PCT/JP2003/010347
【国際出願日】平成15年8月14日(2003.8.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(000000217)エーザイ株式会社 (102)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】